JP3926257B2 - 波長分割多重化伝送装置における利得設定方法 - Google Patents

波長分割多重化伝送装置における利得設定方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、波長分割多重化伝送装置における利得設定方法に関する。特に、光ファイバー増幅器に対する励起光により発生される自然放出光(ASE:Amplified Spontanous Emission)を用いる利得設定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、光伝送技術において、波長の異なる複数の光信号を多重化して伝送する波長分割多重(WDM:Wavelength Division Multiplexing)の技術が実用化され、その技術もますます進歩している。
【0003】
図1は、波長分割多重(WDM)光伝送システムにおいて、タンデムに接続された複数の中継装置における、隣接する2つの中継装置としてのWDM伝送装置の構成例である。
【0004】
WDM伝送装置では隣り合ったA、B局において、A局からB局へ出力された信号光は、伝送路202により伝送され、B局の受信アンプユニット120の受信用アンプ(Pre-Amp)111に入力される。
【0005】
受信用アンプ111で増幅された信号光は、波長分離器(DMUX)112で波長毎の信号光に分離され、光スイッチ113で経路選択(通過Thru/挿入Add/分岐Drop)される。
【0006】
さらに、光スイッチ113により通過(Thru)された波長光については、光可変減衰器 (VOA)114で波長ごとにレベル調整され、送信アンプユニット130の波長多重器 (MUX)115に入力される。ついで、波長多重器 (MUX)115で波長多重され、送信アンプユニット130の送信用アンプ(Post-Amp)116で増幅されて、伝送路203によりEAST側の図示されていない更なる次局へ伝送される。
【0007】
ここで、受信用アンプ(Pre-Amp)111及び、送信用アンプ(Post-Amp)116は、レーザダイオード(LD)からの励起光を用いる光ファイバー増幅器を使用し、レーザダイオード(LD)電流の大きさによって増幅率が制御される。
【0008】
一方、光スイッチ113により分岐(Drop)された波長については、伝送路207により、他のネットワークへ伝送される。また、伝送路206から光スイッチ113で新たに挿入(Add)された波長については、通過(Thru)された波長同様に光可変減衰器 (VOA)114でレベル調整を行い、波長多重器 (MUX)115で波長多重される。ついで、送信用アンプ116で増幅されて、伝送路203によりEAST側の図示されていない次局へ伝送される。
【0009】
同様にB局からA局へ出力された信号光は伝送路212により伝送され、A局の受信アンプユニット230の受信用アンプ141へ入力される。A局の受信用アンプ141で増幅された信号光は、波長分離器(DMUX)142で波長ごとに分離され、光スイッチ143で経路選択(通過Thru/挿入Add/分岐Drop)される。通過(Thru)及び光スイッチ143で挿入された伝送路216からの信号光は光可変減衰器 (VOA)144で各波長のレベル調整を行い、送信アンプユニット240の波長多重器 (MUX)145で波長多重され、送信用アンプ146で増幅されて、伝送路213によりWEST側の図示されていない次局へ伝送される。
【0010】
このように、従来例としてWDM伝送装置がタンデムに接続され、両方向に光伝送が行なわれ、各中継装置において、光信号の分岐挿入が行なわれる(例えば、特許文献1参照)。
【0011】
【特許文献1】
特許第3241337号公報
ここで、WDM伝送装置では、受信用アンプ及び、送信用アンプにおいて、1波当たりのレベルが一定となるように光信号を増幅する必要があり、そのためには、各アンプに対して適切な利得(増幅度)を設定する必要がある。
【0012】
A局の送信アンプユニット110における送信用アンプ106、B局の受信アンプユニット120の受信用アンプ111を例にすると、光可変減衰器 (VOA)104により各波長のレベルが調整されて光信号が送信用アンプ106に入力されるため、利得を一意に決定することが可能である。
【0013】
しかし、B局において、受信用アンプ111に関しては伝送路202の伝送路損失等に入力光のレベルが依存するため、受信用アンプ111の電源投入時及び伝送路202のファイバー交換やファイバー断からの復旧時には、受信用アンプ111への入力レベルに合わせて受信用アンプ111の利得を決定する必要がある。
【0014】
ここで、受信用アンプ111の利得を正しく設定するためには、受信用アンプ111の利得設定中は、受信用アンプ111に一定波長数の安定したレベルの入力光が入力されていることが必要である。
【0015】
そこで、送信用アンプ106への入力光を波長数一定で安定した光レベルの入力光とすることで、送信用アンプ106の出力光を安定させ、受信用アンプ111に対し一定波長数の安定した入力光を与えるようにすることが必要である。
【0016】
そして、このための対応として、送信用アンプ106への入力光を波長数一定で安定した光レベルの入力光とする方法では、A局に対する前局から伝送されてくる通過光を止め、A局の光スイッチ103により挿入(Add)光を設定するか、又は、基準光用の光源107を用意し、一定光を送信用アンプ106へ入力させる方法が考えられる。
【0017】
また、A局の前局からの通過(Thru)光を止める方法としては、A局の光スイッチ103において、通過(Thru)光を伝送路205に全て分岐(Drop)させる方法も考えられる。あるいは、光可変減衰器 (VOA)104で通過(Thru)光を減衰させることも可能である。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記のいずれの方法による場合も伝送路204に繋がる挿入光源や基準光用の光源107を用意しなければならず、タンデムに接続された全局において、かかる光源を用意するためには、大きなコストがかかるという問題がある。
【0019】
また、受信用アンプの立ち上げ用の光源を用いて受信用アンプの利得設定を行う場合、光源が用意されていないスパンの受信用アンプについては、前のスパンの受信用アンプの利得設定が終了後、前のスパンの送信用アンプの出力光を用いて利得の設定を行うことが考えられる。
【0020】
しかし、光源が設定されたスパンの受信用アンプから順番に利得設定が行われ、全てのスパンの受信用アンプの利得設定が完了するまでにはスパン分の時間がかかるという問題がある。
【0021】
また、光源が無いスパンの受信用アンプの利得を設定する時に、他のスパンがサービス状態である場合、光源が無いスパンの受信用アンプ利得設定のために、光源のあるスパンから光源の無いスパンまでのサービスを一時中止しなければならないという問題がある。
【0022】
また、光可変減衰器 (VOA)104により送信用アンプ106への通過光を止めた場合、光可変減衰器104が通過光を完全に減衰しきれず、洩れ光が生じてしまう。洩れ光が生じた場合、受信用アンプ111への入力が安定せず、利得が正しく設定できないという問題が生じる。そこで、送信用アンプ106への洩れ光を完全に遮断することが課題となる。
【0023】
また、受信用アンプ111の利得設定が必要な時、保守者が受信用アンプ111の利得設定の必要性を認識し、受信用アンプ111の利得設定用の入力光を設定しなければならない。更に、受信用アンプ111の利得設定終了後も同様に、受信用アンプ111の利得設定用の入力光を再び元に戻し、信号光の設定を行わなければならない。そのため、受信用アンプの利得設定完了までに保守者の手が多く介在し、保守者に負担がかかると共に、人為的ミスが発生する可能性があるという問題がある。
【0024】
更に、受信用アンプ111の利得設定を行う時、利得設定用の光が設定された波長に関しては、その波長の信号光が潰されてしまう(信号光として使用できなくなる)という問題が生ずる。そこで、受信用アンプ111の利得設定時に、既存の信号光の設定は変えずに、受信用アンプ111へ安定した光レベルの入力光を入力することが必要となる。
【0025】
従って、本発明の目的は、上記の諸々の問題を解消するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法を提供することにある。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第1の態様は、前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと、後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって、
自局装置の受信用アンプの電源投入時に、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検知し、
前局の波長分割多重伝送装置にASE光出力を要求し、
前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置で、通過光及び挿入光を遮断し、信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し、
前記自局装置の受信用アンプは、前記ASE光により利得設定を行い、
前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信及び、前記前局の波長分割多重伝送装置で光信号の出力に切り替える
ことを特徴とする。
【0027】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第2の態様は、前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと、後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって、
前記波長分割多重伝送装置間を繋ぐファイバー断からの復旧時又は、ファイバー交換時に、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検知し、
前局の波長分割多重伝送装置にASE光出力を要求し、
前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置で、通過光及び挿入光を遮断し、信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し、
前記自局装置の受信用アンプは、前記ASE光により利得設定を行い、
前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信及び、前記前局の波長分割多重伝送装置で光信号の出力に切り替える
ことを特徴とする。
【0028】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第3の態様は、第1又は第2の態様において、
前記信号光の所定波長数分に相当するASE光は、信号光の一波長分相当のASE光であることを特徴とする。
【0029】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第4の態様は、第1又は第2の態様において、
前記複数の波長分割多重伝送装置は、装置全体を制御するネットワークエレメントを備え、前記自局の受信用アンプの電源投入時に、自局のネットワークエレメントにより、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検出することを特徴とする。
【0030】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第5の態様は、第1又は第2の態様において、
前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターを閉じることにより前記通過光及び挿入光を遮断することを特徴とする。
【0031】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第6の態様は、第5の態様において、
前記前局の送信用アンプがASE光を出力する際、前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターの状態を監視し、異常が生じた場合、保守者に異常を通知することを特徴とする。
【0032】
上記の本発明の課題を達成するWDM伝送装置における受信用アンプの利得設定方法の第7の態様は、第1又は第2の態様において、
前記自局装置で前局の送信用アンプのASE光出力の安定状態を監視し、前記自局の受信用アンプの利得設定中に前記前局の送信用アンプの非安定状態を検出した場合には、前記自局の受信用アンプの利得設定を中止し、再度前局の送信用アンプのASE光出力の安定状態を検出後に、前記自局の受信用アンプの利得を再設定することを特徴とする。
【0033】
本発明の特徴は、以下に図面に従い説明される発明の実施の形態例から更に明らかになる。
【0034】
【発明の実施の形態】
図2は、波長分割多重(WDM)光伝送システムにおける中継装置としてのWDM伝送装置の、本発明に従う実施の形態例である。図3〜図9は、図2の構成を用いる実施例動作フローであり、図10は、図3〜図9の関係を示す図である。
【0035】
即ち、図10に示すように、実施例動作は、例えば、図3と、図7〜図9の流れを有し、図3の部分のみを変更することにより、図4、図5、又は図6の異なる実施例が得られる。
【0036】
先ず、図3及び、図7〜図9を参照して、図2における第1の実施例動作について説明する。
【0037】
図2において、B局のネットワークエレメント(NEM)311は、B局全体を制御する装置である。自(B)局の受信アンプ(プリアンプ)ユニット120に電源が投入されると(処理工程P0)、受信アンプユニット120の図示しない制御部からネットワークエレメント(NEM)311に対し、利得設定のために、条件(プロビジョニング:provisioning)情報を要求する(処理工程P1)。
【0038】
これに対し、ネットワークエレメント(NEM)311から受信アンプユニット120の制御部にプロビジョニング情報が送られる(処理工程P2)。
【0039】
受信アンプユニット120では、これにより、制御部により受信用アンプ120に対し、プロビジョニング情報に対応する設定を指示する(処理工程P3)。
【0040】
受信用アンプ111に対し、ASE光による利得制御が要求されると、B局のWDM伝送装置の受信用アンプ111に、出力の目標値等の条件(Provisioning)が設定される。
【0041】
受信用アンプ111にプロビジョニング設定が終了すると、ASE光による利得設定の準備状態となり(処理工程P4)、AMPモードが制御部に通知され(処理工程P4−1)、受信用アンプ111がサポート範囲内に設定されていれば、A局の送信アンプユニット110に対してASE光出力を要求する状態となる(処理工程P5、Yes)。
【0042】
ここで、ASE光は、送信用アンプ106としての光ファイバー増幅器に供給するレーザダイオード(LD)による励起光により誘導される自然放出光(ASE:Amplified Spontanous Emission)である。
【0043】
更に、ASE光による利得制御は、図11に示す如くであり、AGC制御モードにおいては、入力波長数(横軸)が大きくなると受信用アンプ111を励起するLD電流(縦軸)が大きくなる。これに対し、ASEモード制御では、送信用アンプ106から送られる光信号の波長数を一波相当に固定し、従って、受信用アンプ111に対する励起用のLD電流は一定となり、利得設定が容易である。
【0044】
ASE光による利得制御が要求されると、B局のWDM伝送装置の光信号制御回路(OSC)312から伝送路212及び、A局の光信号制御回路(OSC)302を経由してA局の送信アンプユニット110に対し、ASE光出力要求を意味する情報ASEREQ=1をOSC信号により通知する(処理工程P6−1,6−2,6−3)。
【0045】
更に、図7に移行し、A局の送信アンプユニット110の制御部は情報信号ASEREQ=1を検出する(処理工程P7)と、シャットダウン状態とする情報信号ShutDownX=1を送信用アンプ106に送る(処理工程P8)。
【0046】
更に、送信用アンプ106へ入力される通過(Thru)光及び挿入(Add)光を遮断するようにシャッター108を制御する(処理工程P9)。
【0047】
処理工程P9におけるシャッター108の閉接制御によりシャッター108の閉接を確認し、閉接状態になっていなければ(処理工程P10、No)、A局のネットワークエレメント(NEM)301に異常を通知する(処理工程P11)。
【0048】
ネットワークエレメント(NEM)301では、送信アンプユニット110の制御部からの異常通知を受けると、アラームを出し、保守者に異常を通知する(処理工程P12)。
【0049】
一方、処理工程P10でシャッター108の閉接状態を確認すると(処理工程P10、Yes)、送信用アンプ103に前記の情報信号ASEREQ=1を送る(処理工程P13)。
【0050】
情報信号ASEREQ=1に基づき送信用アンプ106は、ASE光出力準備が完了した状態で情報信号ASE=1を生成し(処理工程P14)、これを送信アンプユニット110の制御部に通知する(処理工程P15)。
【0051】
情報信号ASE=1を受けると、送信アンプユニット110の制御部はシャットダウンを解除する情報信号ShutDownX=0を送信用アンプ106に送る(処理工程P17)。送信用アンプ106は、信号光n波分に相当するASE光の出力を開始する(処理工程P18)。
【0052】
送信用アンプ106は、信号光n波分に相当するASE光の出力が安定すると、出力安定を意味する情報信号ASE_NORMOP=1を生成し(処理工程P19)、この情報信号ASE_NORMOP=1をB局の受信用アンプユニット120に対し、光信号制御回路(OSC)302から伝送路202及び、B局の光信号制御回路(OSC)312を経由して、OSC信号により通知する(処理工程P20−1,20―2,20−3,20−4)。
【0053】
B局の受信アンプユニット120の制御部は情報信号ASE_NORMOP=1を検出すると受信用アンプ111の利得設定の開始を受信用アンプ111に対し要求する(処理工程P21)。この要求は、情報信号ShutDownX=0として通知される(処理工程P22)。
【0054】
これにより利受信用アンプ111は、利得設定を開始する(処理工程P23)。一方、A局の送信アンプユニット110の制御部は、送信用アンプ106のASE光出力レベルの安定を監視し、不安定になった場合(処理工程P24、N0)は、情報信号ASE_NORMOP=0をB局の受信用アンプユニット120に対し、光信号制御回路(OSC)302から伝送路202及び、B局の光信号制御回路(OSC)312を経由して、OSC信号により通知する(処理工程P25−1,25―2,25−3,25−4)。
【0055】
次に、図8の処理に移行し、B局の受信アンプユニット120の制御部では、情報信号ASE_NORMOP=1のままであるかを検知する(処理工程P26)。情報信号ASE_NORMOP=0に変化した場合(処理工程P26、No)は、情報信号ShutDownX=1を受信用アンプ111に送る(処理工程P27)と共に、処理工程P21(図8参照)に戻る。
【0056】
受信用アンプ111は、情報信号ShutDownX=1に変化したかを検知し(処理工程P29)し、情報信号ShutDownX=1となった場合(処理工程P29、Yes)は、利得制御を中止する(処理工程P30)。
【0057】
利得制御が完了している場合は、情報信号AGC/ALC=1を通知する(処理工程P31)。情報信号AGC/ALC=1は、受信アンプユニット120の制御部に通知され(処理工程P32)。制御部は、更にこれを受けて、A局の送信アンプユニット110の送信用アンプ106にASE光出力停止を要求する(処理工程P33)。
【0058】
この要求のために、情報信号ASEREQ=0を光信号制御回路(OSC)312から伝送路212及び、A局の光信号制御回路(OSC)302を経由して、OSC信号により送信アンプユニット110の制御部に通知する(処理工程P34−1,34―2,34−3,34−4)。
【0059】
A局の送信アンプユニット110の制御部は、情報信号ASEREQ=0を受信すると、送信用アンプ106に対し、ASE光出力を終了し信号光に切り替えるように制御する(処理工程P35)。この制御は、図9に移行し、送信アンプユニット110の制御部から情報信号ShutDownX=1及び、ASEREQ=0を送信用アンプ106に送ることにより行われる(処理工程P36、P37)。
【0060】
これに基づき、送信用アンプ106は、信号光出力準備が完了したら、情報信号ASE=0を出力し(処理工程P38)、A局の送信アンプユニット110の制御部に通知する(処理工程P39)。
【0061】
送信アンプユニット110の制御部は、送信用アンプ106から情報信号ASE=0を受けると、シャッター108を開くように制御する(処理工程P40)。制御部は、シャッター108を開いていることを確認し(処理工程P41、Yes)、情報信号ShutDownX=0を送信用アンプ106に送り(処理工程P42)、信号光出力を開始させる(処理工程P43)。
【0062】
図4に戻り、第2の実施例動作を説明する。図4に示す実施例では、B局のネットワークエレメント311から受信アンプユニット120の制御部に電源投入の有無をポーリングにより問いかける(処理工程P0−1)。これに対し、受信用アンプ111に電源が投入されるまで電源非投入を示す情報信号RMVを返送される(処理工程P0−2)。
【0063】
受信用アンプ111に電源が投入されると(処理工程P0)、電源投入の有無の問いかけ(処理工程P0−1)に対し、電源投入を示す情報信号RMV_Clearが返送される(処理工程P0−3)。これによりネットワークエレメント311は、受信用アンプ111に電源が投入されたことを検知する(処理工程P0-4)。
【0064】
一方、受信用アンプ111に電源が投入された状態で、電源投入を示す情報信号RMV_Clearがネットワークエレメント311に返送されると、受信アンプユニット120の制御部からネットワークエレメント311に対し、利得設定のために、条件(プロビジョニング:provisioning)情報を要求する(処理工程P1)。
【0065】
これに対し、ネットワークエレメント(NEM)311から受信アンプユニット120の制御部にプロビジョニング情報が送られる(処理工程P2)。
【0066】
受信アンプユニット120では、これにより、制御部により受信用アンプ120に対し、プロビジョニング情報に対応する設定を指示する(処理工程P3)。
【0067】
受信用アンプ111に対し、ASE光による利得制御が要求されると、B局のWDM伝送装置の受信用アンプ111に、出力の目標値等の条件(Provisioning)が設定される。
【0068】
一方、受信用アンプ111から制御部にAMPモードが通知され(処理工程P4−1)、制御部から更にネットワークエレメント(NEM)311にAMPモードが通知される(処理工程P4−2)。
【0069】
従って、ネットワークエレメント(NEM)311において、サポート内に受信用アンプ111が設定されているか否かを判断し(処理工程P5−1)、サポート内に受信用アンプ111が設定されていれば、ネットワークエレメント(NEM)311からASE光出力要求を意味する情報信号ASEREQ=1を制御部に送る。
【0070】
制御部は、情報信号ASEREQ=1を受けると受信用アンプ111に対するASE項により利得設定要求信号XALCREQ=0を生成し(処理工程P5−3)、これを受信用アンプ111に通知する(処理工程P5−4)。
【0071】
従って、受信用アンプ111は、ASE光による利得設定の準備状態へ遷移する(処理工程P4)。
【0072】
制御部からは、更にB局のWDM伝送装置の光信号制御回路(OSC)312、伝送路212及び、A局の光信号制御回路(OSC)302を経由してA局の送信アンプユニット110に対し、ASE光出力要求を意味する情報ASEREQ=1をOSC信号により通知する(処理工程P6−1,6−2,6−3)。
【0073】
図4に続く動作フローは、先に説明した図7〜図9の処理に同じである。
【0074】
以上の図3、図4及び、図7〜図9に示す実施例の動作処理を行うことによって、受信アンプユニット120の電源投入時、自動で、光源無しに受信用アンプ111の利得設定を完了させることが可能となる。また、光源を必要としないため、全局同時に、且つ各スパン独立して受信用アンプの利得設定を行うことが可能となる。
【0075】
ここで、図2のA局とB局間において、伝送路202のファイバー断からの復旧及び、ファイバー交換が行われた場合を考える。
【0076】
図5、図6は、かかる場合の実施例であり、A局とB局を繋ぐ伝送路202が断線状態から復旧した時の受信用アンプ111の利得制御の実施例動作フローである。
【0077】
図5の実施例において、ファイバー断が生じると(処理工程P100)、B局の光信号制御回路(OSC)312でOSC信号の断に基づき、伝送路202の断状態を検知する(処理工程P101)。
【0078】
光信号制御回路(OSC)312は、 伝送路202の断状態を検知すると、断状態であることを示す情報信号APSD_OSC=1を受信アンプユニット120の制御部に通知する(処理工程P102)。
【0079】
受信アンプユニット120の制御部では、情報信号APSD_OSC=1を受けると、ファイバー断又は交換と看做し、受信用アンプ111に対し、ASE光による利得設定要求XALCREQ=0を生成し(処理工程P103)、これを通知する(処理工程P5−4)。従って、受信用アンプ111は、ASE光による利得設定の順部状態に遷移する(処理工程P4)。
【0080】
一方、ファイバー断が復旧すると(処理工程P104)、これを光信号制御回路(OSC)312で検知し(処理工程P105)、ファイバーが正しく接続されたことを意味する情報信号APSD_OSC=0を受信アンプユニット120の制御部に通知する(処理工程P107)。
【0081】
これにより、制御部からB局のWDM伝送装置の光信号制御回路(OSC)312、伝送路212及び、A局の光信号制御回路(OSC)302を経由してA局の送信アンプユニット110に対し、ASE光出力要求を意味する情報ASEREQ=1をOSC信号により通知する(処理工程P6−1,6−2,6−3)。
【0082】
以降の図5に続く動作フローは、先に説明した図7〜図9の処理に同じである。
【0083】
図6に示す実施例動作は、光信号制御回路(OSC)312でファイバー断及びファイバー断復旧を検知した時、受信アンプユニット120の制御部ではなく、ネットワークエレメント311に通知される(処理工程P1−2−1、P106−1)点が、図5に示す実施例動作と異なる。
【0084】
これに対応して、ASE光出力要求を意味する情報ASEREQ=1がネットワークエレメント311から発せられ(処理工程P6−0)、受信アンプユニット120の制御部、B局のWDM伝送装置の光信号制御回路(OSC)312、伝送路212及び、A局の光信号制御回路(OSC)302を経由してA局の送信アンプユニット110に対し、OSC信号により通知される(処理工程P6−1,6−2,6−3)。
【0085】
以降の処理は、先の例と同様で、先に説明した図7〜図9の処理に同じである。
【0086】
ここで、上記各実施の形態例におけるシャッター102の開閉制御について更に説明する。A局の送信用アンプユニット110において、B局の受信用アンプユニット120から光信号制御回路(OSC)312、伝送路212及び光信号制御回路(OSC)302経由でASE光出力要求である情報ASEREQ=1を受けると、送信用アンプ106の前段にあるシャッター105を閉じる。
【0087】
また、B局の受信用アンプユニット120から利得設定完了を意味する情報ASEREQ=0をOSC信号により受けると、送信用アンプユニット106の前段のシャッター108を開き、送信用アンプ106へ信号光を入力する。
【0088】
即ち、送信用アンプ106のASE光を出力中はシャッター108を閉じておくことで、送信用アンプ106への洩れ光を完全に遮断し、送信用アンプ106がASE光のみで安定した光を出力することが出来る。これにより、B局の受信用アンプ111は安定した光レベルで利得設定を行うことが可能となる。
【0089】
ここで、A局の送信アンプユニット110において、送信用アンプ106の前段にあるシャッター108の状態を監視し、シャッター108の状態(開/閉)が要求と異なっている場合は、受信用アンプ106のASE光出力を行わず、シャッター108の異常をネットワークエレメント301に通知する。
【0090】
これにより、B局の受信用アンプ111の利得が不正な値に設定されることを防ぐことが可能である。
【0091】
またネットワークエレメント301は、シャッター108の異常を図示しない表示装置により保守者に通知することにより、保守者はシャッター108の異常を認識することが可能となる。
【0092】
(付記1)
前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと、後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって、
自局装置の受信用アンプの電源投入時に、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検知し、
前局の波長分割多重伝送装置にASE光出力を要求し、
前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置で、通過光及び挿入光を遮断し、信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し、
前記自局装置の受信用アンプは、前記ASE光により利得設定を行い、
前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信及び、前記前局の波長分割多重伝送装置で光信号の出力に切り替える
ことを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0093】
(付記2)
前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと、後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって、
前記波長分割多重伝送装置間を繋ぐファイバー断からの復旧時又は、ファイバー交換時に、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検知し、
前局の波長分割多重伝送装置にASE光出力を要求し、
前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置で、通過光及び挿入光を遮断し、信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し、
前記自局装置の受信用アンプは、前記ASE光により利得設定を行い、
前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信及び、前記前局の波長分割多重伝送装置で光信号の出力に切り替える
ことを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0094】
(付記3) 付記1又は2において、
前記信号光の所定波長数分に相当するASE光は、信号光の一波長分相当のASE光であることを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0095】
(付記4)付記1又は2において、
前記複数の波長分割多重伝送装置は、装置全体を制御するネットワークエレメントを備え、前記自局の受信用アンプの電源投入時に、自局のネットワークエレメントにより、前記受信用アンプの利得設定の必要性を検出することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0096】
(付記5)付記1又は2において、
前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターを閉じることにより前記通過光及び挿入光を遮断することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0097】
(付記6)付記5において、
前記前局の送信用アンプがASE光を出力する際、前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターの状態を監視し、異常が生じた場合、保守者に異常を通知することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0098】
(付記7)付記1または2において、
前記自局装置で前局の送信用アンプのASE光出力の安定状態を監視し、前記自局の受信用アンプの利得設定中に前記前局の送信用アンプの非安定状態を検出した場合には、前記自局の受信用アンプの利得設定を中止し、再度前局の送信用アンプのASE光出力の安定状態を検出後に、前記自局の受信用アンプの利得を再設定することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
【0099】
【発明の効果】
以上図面に従い、発明の実施の形態例を説明したように本発明により以下のような効果が得られる。
【0100】
送信用アンプのASE光により受信用アンプの利得設定を行うため、受信用アンプ利得設定用の光源を必要としない。これにより全局に光源を用意するためのコストを削減することが可能となる。
【0101】
送信用アンプのASE光により受信用アンプの利得設定を行うため、各スパンが独立して、同時に受信用アンプの利得設定が可能となる。よって、全スパンの受信用アンプ 利得設定時間がスパン数に依存せず、設定時間の短縮が可能となる。また、各スパンが、他のスパンに依存せず独立して受信用アンプ利得の設定が出来るため、他のスパンがサービス状態であっても、サービスに影響を与えることなく、受信用アンプ利得設定が可能となる。
【0102】
送信用アンプの前段にシャッターを設けることで、送信用アンプへの洩れ光を完全に遮断することが出来るため、受信用アンプが安定した入力レベルで利得設定を行い、正しい利得を設定することが可能となる。
【0103】
受信用アンプの利得設定に関し、利得設定の必要性を検出し、利得設定完了後に信号光を通過させるまでを全て自動で行うため、保守者の負担が軽減するとともに、信頼性が向上する。
【0104】
更に、送信用アンプのASE光を用いて受信用アンプの利得設定を行うため、既存の信号光の設定を変えることなく利得の設定が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】隣接する2つの中継装置としてのWDM伝送装置の構成例を示す図である。
【図2】波長分割多重(WDM)光伝送システムにおける中継装置としてのWDM伝送装置の、本発明に従う実施の形態例を示す図である。
【図3】図2の構成を用いる第1の実施例動作フロー(その1)である。
【図4】図2の構成を用いる第2の実施例動作フロー(その1)である。
【図5】図2の構成を用いる第3の実施例動作フロー(その1)である。
【図6】図2の構成を用いる第4の実施例動作フロー(その1)である。
【図7】第1〜第4に共通の実施例動作フロー (その2)である。
【図8】第1〜第4に共通の実施例動作フロー (その3)である。
【図9】第1〜第4に共通の実施例動作フロー (その4)である。
【図10】図3〜図9の関係を示す図である。
【図11】AGCモード時及び、ASEモード実施の形態のLD電流比較図である。
【符号の説明】
110 送信アンプユニット
120 受信アンプユニット
106 送信用アンプ
111 受信用アンプ
105 シャッター
311、301 ネットワークエレメント
302、312 光信号制御回路(OSC)

Claims (5)

  1. 前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと,後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって,
    自局装置の受信用アンプの電源投入されるときに,前局の波長分割多重伝送装置の送信アンプユニットに対してOSC信号によるASE光出力を要求する情報信号を送り,
    前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置の送信アンプユニットで,送信用アンプへの通過光及び挿入光を遮断し,前記送信用アンプは信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し,
    前記自局装置の受信用アンプは,前記ASE光により利得設定を行い,
    前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信に切替え,
    前記前局の波長分割多重伝送装置の送信アンプユニットは,前記OSC信号によるASE光出力を要求する情報信号の反転を受信すると,前記送信用アンプに対してASE光出力を終了し,光信号の出力に切り替える
    ことを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
  2. 前局側からの波長分割多重光信号を受信増幅する受信用アンプと,後局側に波長分割多重光信号を出力する送信用アンプを有する複数の波長分割多重伝送装置を多段に接続したネットワークにおける前記受信用アンプの利得設定方法であって,
    前記波長分割多重伝送装置間を繋ぐファイバー断からの復旧されるとき又は,ファイバー交換されるときに,前局の波長分割多重伝送装置の送信アンプユニットに対してOSC信号によるASE光出力を要求する情報信号を送り,
    前記ASE光出力の要求に基づき前記前局の波長分割多重伝送装置で,通過光及び挿入光を遮断し,前記送信アンプは信号光の所定波長数分に相当するASE光を出力し,
    前記自局装置の受信用アンプは,前記ASE光により利得設定を行い,
    前記利得設定の完了後に前記自局装置で光信号受信に切替え,
    前記前局の波長分割多重伝送装置の送信アンプユニットは,前記OSC信号によるASE光出力を要求する情報信号の反転を受信すると,前記送信用アンプに対してASE光出力を終了し,光信号の出力に切り替える
    ことを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
  3. 請求項1又は2において,
    前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターを閉じることにより前記通過光及び挿入光を遮断することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
  4. 請求項3において,
    前記前局の送信用アンプがASE光を出力する際,前記送信ユニットにより前記送信用アンプの入力側に配置されるシャッターの状態を監視し,前記シャッターが閉接状態でない異常が生じた場合,保守者に異常を通知することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
  5. 請求項1または2において,
    前記前局の送信アンプユニットで前記送信用アンプのASE光出力の安定状態を監視し,前記前局からOSC信号で通知される情報信号により前記自局装置で前記受信用アンプの利得設定中に前記前局の送信用アンプの非安定状態を検出した場合には,前記自局の受信用アンプの利得設定を中止し,再度前局の送信用アンプのASE光出力の安定状態を検出後に,前記自局の受信用アンプの利得を再設定することを特徴とする波長分割多重化伝送装置における受信用アンプの利得設定方法。
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