JP3926236B2 - 符号選定装置及び方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号選定装置及び方法に関し、例えば、符号分割多元接続(CDMA:Code Division Multiple Access)方式を採用した通信装置において、相関特性の良好な新たな通信チャネルを割り当てる拡散符号(以下「符号」)を選定する符号選定装置に適用し得る。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば光アクセスネットワークにおけるアクセス方式は、主に、時分割多元接続(TDMA:Time Division Multiple ccess)方式が採用されている。しかし、TDMAシステムは、1本の光ファイバに複数の回線を多重する場合、個々のユーザが利用できる時間が固定されており、あるユーザが通信をしていないとき、その空き時間を他のユーザが使用できないため、個々のユーザがネットワークで使用できる帯域を最大限に使用できないという問題点がある。そこで、この問題を解決する方法として、符号分割多元接続(CDMA)システムが提案されている。
【0003】
この光アクセスネットワークにおいて、CDMAシステムを実現する方法として、例えば文献1:特表2001―512919で示されているように、送信側において電気領域で拡散符号系列(以下「符号」)を用いて符号化(スペクトル拡散)された光搬送波を変調し、受信側において光変調信号を直接検波した後、電気領域で復号(スペクトル逆拡散)する方法がある。
【0004】
この文献1に記載されている方法によれば、1通信チャネル当りの情報伝送速度を大きくするには限界があるものの、移動体通信システム等既存のCDMAシステムで用いられている標準的な部品を使用できるため、実現が比較的容易である。
【0005】
また、光領域で波長制御、フィルタリングが不要であることから、低コストシステムの構築が可能である。
【0006】
上記文献1のように光アクセスネットワークに限られず、CDMAシステムを採用するネットワークにおける通信チャネル割当ての方法として、主に次の2つの方法がある。
【0007】
1つ目は、各端末の送信機にネットワーク内で既知である符号シーケンス(拡散符号系列)を固定割当する方法である。2つ目は、各端末の送信機には固定符号を割り当てず、制御回線を用いたコネクション設定時に符号シーケンスを送るという手段を用いて、通信が発生する毎に符号を割り当てる方法である。使用符号として、M系列符号、Gold符号、嵩符号が例として挙げられている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、CDMAシステムを採用したネットワークでは、異なるチャネル間の位相差まで考慮した完全な直交性を有する符号系列を用いると、チャネル数が極めて少なくなることが知られている。
【0009】
そのため、一般に直交性が不完全な符号系列を用いてシステムを構築することが多い。従って、異なる通信チャネルが同時に通信路を使用した場合、使用符号の非直交性による通信チャネル間干渉が発生し、同時接続チャネル数が制限される。
【0010】
これら通信チャネル間干渉の大きさは、通信チャネル間の位相差、使用している符号の相関特性に依存する。そのため、同時接続数を増やすためには、なるべく相関特性の良好な符号を選んで割り当てていくことが望ましい。
【0011】
しかし、上記に示した2つの通信チャネル割当の方法は、相関特性が良好であるといわれている符号系列を用いているものの、ネットワーク全体で使用する何種類かの符号シーケンスの中でどの符号シーケンスを選んで割り当てるかについて述べられていない。
【0012】
そのため、ネットワークの使用状況に応じて、発生させた符号系列の中で相関特性の良好な符号シーケンスを選んでチャネル割当を行なう方法を実現することが求められている。
【0013】
【課題を解決するための手段】
かかる課題を解決するために、第1の本発明に係る符号選定装置は、既に確立されている確立通信チャネルに割り当てられている拡散符号とは異なる、1又は複数の未使用拡散符号の中から、新たな通信チャネルに割り当てる拡散符号を選定する符号選定装置であって、候補となる各未使用拡散符号を用いてダミー原データを拡散して各ダミー拡散信号を生成するダミー拡散信号生成手段と、各ダミー拡散信号と受信信号とを重畳して、候補となる各未使用拡散符号に対応する擬似重畳信号をそれぞれ形成する重畳手段と、各擬似重畳信号のそれぞれに対し、その擬似重畳信号に関係する未使用拡散符号及び確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散手段によって得られた、各擬似重畳信号についての各確立通信チャネルの再生データと、再生されたダミー原データとに基づいて、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する拡散符号選定手段とを備えることを特徴とする。
【0014】
また、第2の本発明に係る符号選定方法は、既に確立されている確立通信チャネルに割り当てられている拡散符号とは異なる、1又は複数の未使用拡散符号の中から、新たな通信チャネルに割り当てる拡散符号を選定する符号選定方法であって、ダミー拡散信号生成手段が、候補となる各未使用拡散符号を用いてダミー原データを拡散して各ダミー拡散信号を生成し、重畳手段が、各ダミー拡散信号と受信信号とを重畳して、候補となる各未使用拡散符号に対応する擬似重畳信号をそれぞれ形成し、逆拡散手段が、各擬似重畳信号のそれぞれに対し、その擬似重畳信号に関係する未使用拡散符号及び確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散し、拡散符号選定手段が、逆拡散手段によって得られた、各擬似重畳信号についての各確立通信チャネルの再生データと、再生されたダミー原データとに基づいて、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定することを特徴とする。
【0015】
【発明の実施の形態】
(A)符号割当方法の基本概念の説明
まず、以下では、本発明に係る符号選定装置及び方法についての実施形態を説明する前に、本発明に係る符号選定方法の基本概念について説明する。
【0016】
上述したように、異なる2チャネル間の干渉の大きさは、それぞれのチャネルを割り当てている符号の相関特性に影響される。
【0017】
しかし、それぞれのチャネルに係るデータは必ずしも同期しているとは限らず、一方のチャネルのデータビット間で他方のチャネルのデータが反転することも考えられる。
【0018】
そこで、本発明に係る符号選定方法は、一方チャネルのデータビット間で他方のチャネルのデータが反転する場合も考慮して、下記式(1)及び(2)を用いて求めた相関値に基づいて行なう。なお、一方のチャネルのデータビット間で他方のチャネルのデータが反転しない場合の相関関係を偶相関といい、下記式(1)(これを偶関数という)を用いて求め、また、一方のチャネルのデータビット間で他方のチャネルのデータが反転する場合の相関関係を奇相関といい、下記式(2)(これを奇関数という)を用いて求める。
【0019】
【数1】
Figure 0003926236
【数2】
Figure 0003926236
ここで、Mは符号チップ数である。Rは相関関数、Cは符号である。k,lはMを法とする数(modulo M)である。i=jの場合Rは自己相関関数を表し、i≠jの場合Rは相互相関関数を表す。
【0020】
なお、lはチャネル間の相対的時間位置であり、0からM−1までの間で各チャネルの送信タイミングにより相関関数は1個の値に決まる。この値を相関値と呼ぶ。この相関値を用いると逆拡散後の受信データ信号は自己相関値となり、受信干渉信号は相互相関値となる。また、3チャネル以上の多元接続の場合、受信干渉信号は相互相関値の和となる。
【0021】
この相互相関関数について8チップWalsh符号を例にとって説明する。
【0022】
Walsh符号は下記式(3)で表される初期値W0と、下記式(4)で表される漸化式を用いて発生することができ、各行が1個の符号シーケンスとなる。
【0023】
【数3】
Figure 0003926236
【数4】
Figure 0003926236
ここで、上記式(4)の左辺において、Wkはそれぞれ「0」,「1」の2値を構成要素として有する行列であり、Wk(バー)は、Wkの構成要素「0」,「1」を反転させた構成要素をもつ行列である。
【0024】
上記式(4)より、8チップの場合、8個の符号シーケンスを発生することができる。便宜上、第1行を符号1、第i行を符号iとする。
【0025】
図2は、例えば符号7と符号8とにより割当てられたチャネル間における、相対的時間位置(位相シフト量)lと相互相関値との関係を説明する説明図である。ただし、相互相関値をチップ数で割り算している。
【0026】
図2に示すように、位相シフト値lの値や、偶相関・奇相関の違いにより相互相関値が違う。
【0027】
そこで、偶相関・奇相関のそれぞれについて、相互相関値の絶対値が最大となるlにおける相互相関値を取り、それぞれの相互相関値のうち大きい方の相互相関値を最大相互相関値と呼ぶ。
【0028】
図3は、8チップWalsh符号により割り当てられた全てのチャネル間の組合せについて最大相互相関値を示した説明図である。図3に示すように、同一のWalsh符号であっても符号の組合せにより相互相関値に違いがある。
【0029】
また、図4は、最大相互相関値の和が1より小さいという条件のもとで、チップ数と同時接続多重数との関係を示した説明図である。このとき、最大相互相関値の和が最も小さくなるように符号を選んだ。
【0030】
例えば、図4において、8チップのWalsh符号が有する同時接続多重数は3個となっている。このことから、図3を参照して、3個の符号シーケンスの最大相互相関値の和が1未満となる符号を選定する。
【0031】
例えば、図3を参照して、選定する3個の符号シーケンスとして、Walsh番号1,2,3の符号シーケンスを選定することはできるが、Walsh番号1,3,7の符号シーケンスを選定すると、最大相互相関値の和が1を超えてしまうため、これらを選定することができない。
【0032】
このように、同時接続多重させるためには、符号選定の重要性が明らかである。
【0033】
また、図4において、異種符号の比較のため、Gold符号についての計算結果も併せて示す。図4に示すように、100チップ程度のチップ数で拡散したシステムにおいては、符号選定することにより、Walsh符号を用いた場合の方が多重数を多くとることができる。
【0034】
以上のことから、干渉低減のため、相互相関値の和が小さくなるよう使用符号を選定してチャネル割当をすることが考えられる。そのためにはシステム導入時に1つの符号を用意しておき、全ての組合せの最大相互相関値を計算して符号を選定すればよい。しかし、チップ数が多いと1組の組合せを計算するのにチップ数の2乗のオーダで計算時間が増大し、組合せ数もチップ数の2乗となる。そのため、計算時間がかかり過ぎることが難点である。また、多重する全てのチャネルで最大相互相関値をとる確率は稀であり、実際はもう少し多重数を増やすことが期待できる。
【0035】
そこで、本発明に係る符号選定方法は、以下の基本概念を用いて符号選定する。
【0036】
まず、非通信時において1チャネルを追加する場合、用意してある符号系列から1個の符号をランダムに選び、その選定符号を新たなチャネルに割り当てる。
【0037】
次に、1以上のチャネルが使用されている時において1チャネルを追加する場合、用意してある符号のうち、使用されていない全ての符号について、受信信号と相関値計算用のダミー信号を用いて相互相関値を計算し、通信している各チャネル及び追加するチャネルにおける最大相互相関値を求める。
【0038】
各相互相関値に対して、あるレベル値(判定閾値)と比較、相互相関値が閾値を超える場合の符号を除外する。残った符号の中から、それぞれ各チャネル相互相関値の和を求め、最小となるような符号を選定する。最小となる符号が複数ある場合、1個の符号をランダムに選定する。
【0039】
閾値との比較の結果、全ての符号が除外された場合、チャネル割当不可とし、接続要求された端末からの接続を拒否する。
【0040】
このようにして符号選定された場合、選定符号を用いて新たなチャネルに割り当てる。
【0041】
(B)第1の実施形態
次に、本発明に係る符号選定装置及び方法の第1の実施形態について図面を参照して説明する。
【0042】
第1の実施形態は、CDMA方式を採用した通信システムにおける局側の受信装置が符号選定装置を備えた場合の適用を説明する。
【0043】
(B−1)第1の実施形態の構成
図1は、第1の実施形態に係る局側の受信装置の内部構成を示したものである。図1には図示しないが、当該受信装置は、符号間管理機能を備えており、端末−局間のビット同期、接続・切断用の制御チャネルが別回線であるものとする。
【0044】
図1では、8チップWalsh符号をチャネル割当符号とし、チャネル1は、Walsh番号4(以下#4)の符号が割り当てられ、チャネル2は、Walsh番号5(以下#5)の符号が割り当てられて通信しており、その他の複数のチャネルは未使用である場合を示している。
【0045】
本実施形態では、未使用チャネルのうちチャネル0に接続要求があった場合の符号選定方法を示す。
【0046】
図1に示すように、本実施形態に係る受信装置は、少なくともネットワーク内で使用する8チップWalsh符号を管理するデータベース123と、RAM124と、チャネル毎に有する復号器107〜109と、受信信号を遅延する位相調整器102と、拡散器110と、拡散器110からの出力信号を遅延する位相調整器104と、セレクタ116と、セレクタ120と、加算器105と、逆拡散器106と、引算器111と、相互相関ピーク検出器117と、比較器121と、各符号毎に符号情報を記録するRAM103と、RAM103に記録されている各符号毎の相関値の和を求める各加算器118、119と、各加算器からの相関値の和を比較する比較器122とを備える。
【0047】
データベース123は、ネットワーク内で使用する符号を管理しており、各符号シーケンス(例えば、#4では10011001)、各符号の状態(例えば、使用中、空き、比較器122で選択等である。)、使用している復号器番号の情報を保有している記憶装置である。データベース123は、接続要求があると、逐次、各符号の状態を見て、「空き」状態となっている符号をRAM124の符号x部に書込み、後述する符号選定の処理を行なう。符号選定の結果、比較器122から出力された符号を「選択」状態にすると、RAM124の符号0に書込む。RAM124の符号0に符号が書込んだ後、その符号の状態を「使用」状態とする。
【0048】
RAM124は、データベース123から符号を読込み、所定の復号器107〜109、拡散器110あるいは逆拡散器106に符号を書込む記憶装置である。
【0049】
復号器107は、受信信号101をRAM124から読み込んだ符号で相関演算した結果を「0」,「1」判定し、受信データ112として出力する手段である。
【0050】
復号器108及び復号器109は、復号器107と同様の機能をもつ手段である。復号器108は受信データを受信データ113とし、復号器109は受信データ114とする。
【0051】
拡散器110は、受信装置内部で発生させたダミーデータ115をRAM124から読み込んだ符号で拡散演算し、そのダミー拡散信号(以下「拡散信号」という。)を位相調整器104に出力する手段である。ここで、RAM124から読み込んだ符号を「符号A」とする。つまり、この「符号A」はこれから割り当てる予定の符号である。
【0052】
ここで、ダミーデータ115は、1チャネル追加した場合の干渉量を計算するために受信装置内部で発生させたものであって、データレートと同じ速度をもつものである。また、ダミーデータ115を用いて干渉量を計算するとき、偶関数・奇関数の両方の相関値を高速に計算する必要があるため、本実施形態に係るダミーデータは、「11001100…」からなる2値シーケンス(すなわち、「1100」の繰り返し)とする。
【0053】
位相調整器104は、拡散器110から拡散信号を受け取り、その拡散信号を逆拡散器106での演算タイミングに同期して遅延させる手段である。位相調整器104は、遅延させた出力信号を加算器105へ与える。位相調整器104は、拡散符号1チップの時間を1単位として遅延させることができ、0〜7チップの時間を遅延することができる。
【0054】
位相調整器102は、逆拡散器106での演算タイミングに同期して受信信号101を遅延させる手段である。位相調整器102は、遅延させた出力信号を加算器105へ与える。位相調整器102は、拡散符号1チップの時間を1単位として遅延させることができ、0〜7チップの時間を遅延することができる。
【0055】
加算器105は、位相調整器104から遅延されたダミーデータの拡散信号と、位相調整器102から遅延された受信信号とを受け取り、これらを加算して得た擬似重畳信号を逆拡散器106へ与えるものである。
【0056】
セレクタ120は、RAM124から通信に用いられている符号(本実施形態では#4,#5)及び接続要求に対して追加する予定の符号(#1,#2,#3,#6,#7,#8のいずれかの符号、以下「符号x」という。)を受け取り、比較器121の判断により閾値未満の相互相関ピーク出力がでる毎に順番に、通信に用いられている符号及び追加予定の符号(この場合#4、#5及び符号x)の中から1個の符号を選択して、逆拡散器106へ与える手段である。
【0057】
セレクタ116は、通信中のチャネルの受信データ(すなわち、受信データ113及び受信データ114)とダミーデータ115とを受け取り、比較器121の判断により閾値未満の相互相関ピーク出力がでる毎に順番にそれらの中の1個のデータを選択して、引算器111へ与える手段である。
【0058】
逆拡散器106は、加算器105から位相調整器104の拡散信号と位相調整器102の受信信号とを加算して得た擬似重畳信号を受け取り、セレクタ120により選択された符号により逆拡散演算して、その逆拡散された信号を引算器111へ与える手段である。ここで、セレクタ120により選択された符号を「符号B」とする。逆拡散器106は、上記式(1)及び(2)を用いて、擬似重畳信号についての符号Bの相関値を求める。
【0059】
引算器111は、逆拡散器106から求められた信号を受け取り、その出力からセレクタ116により選択されたデータを引き算して、逆拡散器106により求められた信号の相互相関値(干渉成分)のみを取り出し、その相互相関値(干渉成分)を相互相関ピーク検出器117へ与える手段である。
【0060】
例えば、本実施形態において「符号B」を「#1」とする場合、逆拡散器106により、加算信号(重畳信号)が「#1」で逆拡散された結果は、#1と使用されている#4との相互相関値と、#1と使用されている#5との相互相関値と、#1の自己相関値とを含んだ出力となる。引算器111は、この逆拡散器106の出力から#1の自己相関値を除去して相互相関値を抽出する。
【0061】
相互相関ピーク検出器117は、引算器111から相互相関値(干渉成分)を逐次受け取り、その相互相関値(干渉成分)の絶対値の中で最大値を出力する手段である。相互相関ピーク検出器117は、各符号毎に相互相関値の最大値を保持しており、その最大値を比較器121に与えた後は、その最大値を削除するものである。
【0062】
比較器121は、相互相関ピーク検出器117の出力がある閾値未満であるか否かを判断する手段である。比較器121は、相互相関ピーク検出器117の出力が、閾値未満であると判断した場合RAM103に符号情報を書込み、閾値以上であると判断した場合RAM103に「符号A」に関する符号情報があるときにはそれらの符号情報を削除する。
【0063】
ここで、ある閾値は、求められた相関値が所定値以上のとき、それに係る符号を選定しないことを意図するための値であり、本実施形態では自己相関の最大値とする。また、符号情報とは「符号A」、「符号B」、及びそれらの「相互相関値」等少なくともこれら3個の情報をいう。
【0064】
RAM103は、比較器121の判断結果に応じて符号情報の読込み若しくは削除し、「符号A」単位でひとまとまりとなった符号情報の中の「相互相関値」を加算器118,119,…に与える記憶装置である。
【0065】
加算器118,119,…は、RAM103から「相互相関値」を読み出し、「符号A」についての「相互相関値」の和を計算して出力する手段である。なお、各加算器118、119はRAM103の「符号A」毎に対応するものであり、図1では、「符号#1」及び「符号#2」に対応するもののみを示す。
【0066】
比較器122は、各加算器118,119,…から各符号毎の相互相関値の和を受け取り、各符号毎の相互相関値の和の中から最小値を求め、その最小値に対応する符号をデータベース123に通知するものである。
【0067】
(B−2)第1の実施形態の動作
次に、本実施形態に係る符号選定装置の符号選定動作について説明する。
【0068】
チャネル1は#4の符号が割り当てられ、チャネル2は#5の符号が割り当てられて通信しており、チャネル0に接続要求が与えられる。
【0069】
データベース123で管理されている符号のうち空き符号があるか否かが検索される。空き符号が無い場合、接続不可と判断される。
【0070】
また、空き符号がある場合、以下に示す方法により、割り当てられる符号が選定される。
【0071】
なお、以下では、例として#1,#2,#3,#6,#7,#8の順番で、各符号の相互相関値が計算されるものとする。
【0072】
まず、データベース123で管理されている#1は、RAM124に書込まれ、続いて拡散器110及びセレクタ120に与えられる。なお、このとき、拡散器110に与えられる符号を特に「符号A」とする。
【0073】
拡散器110において、RAM124からの#1は、受信装置内で発生されたダミーデータと掛け合わされ、拡散演算された拡散信号は、位相調整器104に与えられる。位相調整器104に与えられた拡散信号は、まず遅延時間0のまま加算器105へ与えられる。また、受信信号は、位相調整器102に与えられ、まず遅延時間0のまま加算器105へ与えられる。加算器105において、拡散信号と受信信号とが加算された擬似重畳信号が逆拡散器106へ与えられる。
【0074】
また、セレクタ120に与えられた#1は、デフォルトで選択されるように設定されており、選択された#1は、逆拡散器106に与えられる。このとき、逆拡散器106に与えられる符号を特に「符号B」とする。
【0075】
逆拡散器106において、加算器105からの擬似重畳信号は、セレクタ120により選択された符号#1に基づいて逆拡散演算が行われる。
【0076】
引算器111において、逆拡散器106からの出力は、セレクタ116によりデフォルトで選択されたダミーデータ115と引算されて(#1の自己相関値が引き算されて)、#1の逆拡散データの相互相関値(干渉成分)のみが相互相関ピーク検出器117に与えられて、相互相関ピーク検出器117において、各相互相関値の絶対値が求められる。
【0077】
このようにして、相互相関値の計算が数回行われて、そのうちの相互相関値の最大値のみが、相互相関ピーク検出器117に保持される。
【0078】
次に、位相調整器102によって、受信信号が1チップだけ遅延され、その1チップ遅延された受信信号についても、上述した相互相関値の計算が行われて、同様に、相互相関値の最大値のみが相互相関ピーク検出器117に保持される。
【0079】
このように、位相調整器102によって、受信信号が2、3、…、7チップと順次遅延され、上記の手順により相互相関値が相互相関ピーク検出器117に保持される。
【0080】
相互相関ピーク検出器117において、保持された相互相関値の最大値が、比較器121へ与えられる。なお、比較器121に出力した後、相互相関ピーク検出器117に保持された最大値は削除される。
【0081】
比較器121において、相互相関値の最大値が閾値以上であると判定された場合、次の符号#2がRAM124に読込まれるように、データベース123に通知される。
【0082】
また、比較器121において、相互相関値の最大値が閾値未満であると判定された場合、#1についての符号情報がRAM103に追加され、セレクタ120及び116において、選択順序を1個シフトして、セレクタ120によって#4の符号が選択され、セレクタ116によって受信データ113が選択される。
【0083】
次に、新たに符号Aを選定した場合、すでに使用されている符号により割り当てられているチャネルが、符号Aにより割り当てられるチャネルに対して与え得る干渉量を求める。
【0084】
まず、#4について、#1の場合と同様に、逆拡散から相互相関値を計算する。ただし、位相調整器102は遅延時間0と固定し、位相調整器104を1チップずつ遅延させて計算する。
【0085】
比較器121において、相互相関値の最大値が閾値(#1の自己相関値の最大値)以上であると判定された場合、RAM103の「符号A」が#1であるグループの情報を全て削除し、次の符号(#2)がRAM124に読込まれるように、データベース123に通知する。
【0086】
比較器121において、相互相関値の最大値が閾値未満であると判定された場合、この符号情報がRAM103に追加され、セレクタ120及び116において、選択順序を1個シフトして、セレクタ120によって#5の符号が選択され、セレクタ116によって受信データ114が選択される。
【0087】
さらに、#5についても、#4の場合と同様に、逆拡散から相互相関値を計算する。このときも、位相調整器102は遅延時間0と固定し、位相調整器104を1チップずつ遅延させて計算する。
【0088】
以上のようにして、#1について、通信中の符号(#4及び#5)との全て一連の相互相関値計算を終えると、次の符号#2をRAM124に読込まれるように、データベース123に通知する。同様にして、#3,#6,#7,#8についての相互相関値も順番に計算される。
【0089】
また、比較器121による相互相関値の大きさの判定結果に基づいて、当該符号(「符号A」)の符号情報を追加・削除することにより、RAM103には選定されうる符号の符号情報を記録することができる。
【0090】
全ての符号についての相互相関値が計算された後に、RAM103に記録された符号情報を検索して、その検索結果に基づいて符号を選定する。
【0091】
RAM103において符号情報がない場合、接続不可と判断される。
【0092】
RAM103において符号情報が少なくとも1以上ある場合、加算器118,119,…によって、各符号毎に相互相関値の和(「符号A」の相互相関値の和)が計算され、比較器122によって、各符号毎の相互相関値の和が比較され最小値が判断されて、その最小値に対応する符号(「符号A」)がデータベース123に通知される。
【0093】
例えば、RAM103に複数の符号情報が検出され、それら符号情報の中から、比較器122によって最小の相互相関値の和を有する符号は、「#2」であると判断された場合、「#2」は、データベース123において「比較器122で選択」状態となる。
【0094】
データベース123は「比較器122で選択」状態の符号(#2)をRAM124に書込む。続いて復号器107に符号を書込み符号選定が終了する。
【0095】
データベース123においては復号器107に書込まれた符号を「使用中」状態とし、比較器122においては選択された符号を削除する。
【0096】
復号器107を含む受信ブロックにおいて受信が開始される。
【0097】
(B−3)第1の実施形態の効果
以上、本実施形態によれば、比較器121が、求められた最大相互相関値と閾値との比較して、所定条件を満たしている最大相互相関値が小さい符号の符号情報のみをRAM103に記録し、さらに、記録されている符号の中から相互相関値の和が最小である符号を選定することができるので、相関特性の良好な符号を選んでチャネルを割り当てることができる。
【0098】
また、本実施形態によれば、比較器121は、ある符号の最大相互相関値が閾値以上であると判断した場合、その符号についての符号情報をRAM103から削除するので、その符号についての他の組合せを考慮することなく、最大相互相関値の計算に係る時間を削減できる。
【0099】
(C)第2の実施形態
次に、本発明に係る符号選定装置及び方法の第2の実施形態について図面を参照して説明する。
【0100】
第2の実施形態も、第1の実施形態と同様に、CDMA方式を採用した局側の受信装置が符号選定装置を備えた場合の適用である。また、第2の実施形態に係る符号選定装置は、各チャネル毎に、相互相関ピーク検出器と相互相関値と閾値とを比較する比較器とを備え、パイプライン処理により符号を選定する場合を説明する。
【0101】
(C−1)第2の実施形態の構成
図5は、第2の実施形態に係る受信装置の内部構成を示したブロック図である。
【0102】
図5に示すように、第2の実施形態に係る受信装置は、データベース231と、RAM232と、キュー229.230と、RAM234と、加算器235及び236と、比較器237と、各チャネル毎(チャネル0〜2)の相互相関値計算手段とを備える、
また、各相互相関値計算手段は、復号器208、211、214と、位相調整器202、203、204と、拡散器209、212、215と、加算器205、206、207と、逆拡散器210、213、216と、引算器217、218、219と、相互相関ピーク検出器223、225、227と、比較器224、226、228とを有する。
【0103】
第2の実施形態は、第1の実施形態と同様に、8チップWalsh符号をチャネル割当符号とし、チャネル1は#4の符号が割り当てられ、チャネル2は#5の符号が割り当てられて通信しており、チャネル0に接続要求が与えられた場合を説明する。
【0104】
なお、図5に示したデータベース231と、RAM232と、RAM234と、復号器208、211、214と、加算器235、236とは、それぞれ第1の実施形態で説明したデータベース123と、RAM124、RAM103と、復号器107、108、109と、加算器118、119とに対応するものであるので、ここでの詳細な説明を省略する。
【0105】
また、各チャネルの相互相関値計算手段の構成の説明について、各チャネルの代表としてチャネル0の相互相関値計算手段について説明するが、チャネル1やチャネル2の各相互相関値計算手段の特有の機能については、その都度説明する。
【0106】
拡散器209は、受信装置内で発生されたダミーデータ233をRAM232から読み込んだ符号で拡散演算し、その拡散信号を加算器205に与える手段である。
【0107】
ダミーデータ233は、ダミーデータ115と同様、偶相互相関値及び奇相互相関値の両方を計算するため、“11001100…”からなる2値シーケンスである。拡散器212及び拡散器215は、拡散器209と同様の機能をもつ手段である。
【0108】
位相調整器202は、逆拡散器210での演算タイミングに同期して受信信号201を遅延させて、その遅延させた出力信号を加算器205へ与えるものである。また、位相調整器202は、拡散符号1チップの時間を1単位として遅延させることができ、0〜7チップの時間を遅延することができる。
【0109】
位相調整器203は、逆拡散器213での演算タイミングに同期して拡散器212の出力を遅延させて、その遅延させた拡散信号を加算器206へ与える手段である。また、位相調整器203は、拡散符号1チップの時間を1単位として遅延させることができ、0〜7チップの時間を遅延することができる。位相調整器204は、位相調整器203と同様の機能をもつ手段である。
【0110】
加算器205は、位相調整器202からの遅延された受信信号と、拡散器209からの拡散信号とを受け取り、これらを加算して逆拡散器210に与えるものである。
【0111】
加算器206は、受信信号と、位相調整器203からの遅延された拡散信号とを受け取り、これらを加算して逆拡散器213へ与えるものである。加算器207は、加算器206と同様の機能をもつ手段である
逆拡散器210は、加算器205からの出力を入力し、拡散器209で使用された符号と同じ符号により相関演算して、その相関演算された結果を引算器217に与える手段である。
【0112】
逆拡散器213は、加算器206からの出力を入力し、復号器211で使用された符号と同じ符号により相関演算して、その相関演算された結果を引算器217に与える手段である。逆拡散器216は、逆拡散器213と同様の機能をもつ手段である。
【0113】
相互相関ピーク検出器223は、引算器217から、逆拡散器210の演算結果の出力からダミーデータ233を引き算した引き算結果を逐次入力し、入力された値の絶対値の中で最大値を比較器224へ与える手段である。
【0114】
相互相関ピーク検出器225は、引算器218から、逆拡散器213の演算結果の出力から受信データ221を引き算した引き算結果を逐次入力し、入力された値の絶対値の中で最大値を比較器226へ与える手段である。相互相関ピーク検出器227は、相互相関ピーク検出器225と同様の機能をもつ手段である。
【0115】
比較器224は、相互相関ピーク検出器223から最大相互相関値を受け取り、その最大相互相関値がある閾値未満であるかを判断する手段である。比較器224は、最大相互相関値が、閾値未満であると判定した場合、RAM234に符号情報を書込み、次の空き符号を読出すようにデータベース231に通知し、また、閾値以上であると判定した場合、RAM234に「符号A」に関する符号情報があるとき、それらの符号情報を削除し、次の空き符号を読出すようにデータベース231に通知する。
【0116】
比較器226は、相互相関ピーク検出器225から最大相互相関値を受け取り、その最大相互相関値がある閾値未満であるかを判断する手段である。ここで、ある閾値とは自己相関の最大値である。比較器226は、最大相互相関値が、閾値未満であると判定した場合、RAM234に符号情報を書込み、次の空き符号を読出すようにキュー229に通知し、また、閾値以上であると判定した場合、RAM234に「符号A」に関する符号情報があるとき、それらの符号情報を削除し、次の空き符号を読出すようにキュー229に通知する。比較器228は、比較器226と同様の機能をもつ手段である。
【0117】
キュー229は、比較器226の判定タイミングに同期して、逆拡散器210の符号を読込んで逐次記憶し、記憶した符号の内一番最初に読み込んだ符号を拡散器212に出力する手段である。キュー230は、キュー229と同様の機能をもつ手段である。
【0118】
(C−2)第2の実施形態の動作
次に、本実施形態に係る符号選定装置の符号選定動作について説明する。
【0119】
チャネル1は#4の符号が割り当てられ、チャネル2は#5の符号が割り当てられて通信しており、チャネル0に接続要求が与えられる。なお、以下では、例として#1,#2,#3,#6,#7,#8の順番で、各符号の相互相関値が計算されるものとする。
【0120】
まず、データベース231で管理されている#1は、RAM232に書込まれ、続いて拡散器209および逆拡散器210に書込まれる。また、受信信号201は、位相調整器202に与えられ遅延時間0として加算器205へ与えられる。
【0121】
この#1についての相互相関値の計算は、上述した第1の実施形態と同様であり、計算された相互相関値の絶対値は、相互相関ピーク検出器223に保持される。相互相関ピーク検出器223では、同様の計算が数回行われ、それらのうち最大値のみが保持される。
【0122】
次に、位相調整器202において、受信信号は、1チップ、2チップ、…、7チップ分遅延されて、同様に最大値が、相互相関ピーク検出器223に保持される。
【0123】
相互相関ピーク検出器223に保持されている相互相関値の中で最大値が、比較器224に与えられ、比較器224によって閾値と比較される。また、最大の相互相関値が比較器224に出力されると、相互相関ピーク検出器223に保持された値は削除される。
【0124】
比較器224において、最大の相互相関値が閾値以上であると判定された場合、次の符号#2がRAM232に読込まれるように、データベース231に通知される。
【0125】
また、比較器224において、最大の相互相関値が閾値未満であると判定された場合、#1の符号情報がRAM234に追加され、次の符号#2がRAM232に読込まれるように、データベース231に通知される。
【0126】
このとき、同時に逆拡散器210に書込まれている符号(#1)が、キュー229に追加される。
【0127】
#1がRAM232から読込まれてから、ここまでの計算過程を計算ステップ1とする。
【0128】
次に、チャネル0において、#2がRAM232から読込まれ、キュー229に符号が書込まれている場合、チャネル1において、キュー229に書込まれている符号(#1)が、拡散器212に読込まれる。
【0129】
これ以後は、チャネル0及びチャネル1において、それぞれ相互相関値の計算が行われる。なお、このとき、チャネル0とチャネル1とは同時に計算される。
【0130】
チャネル0の比較器224における閾値判定が終わると、次の符号#3がRAM232に読込まれるようにデータベース231に通知される。
【0131】
また、比較器224において、最大値が閾値未満であると判定された場合、#2が同時にキュー229に追加される。
【0132】
また、比較器226において、最大値が閾値未満であると判定された場合、#1が同時にキュー230に追加される。
【0133】
#2がRAM232から読込まれてから、ここまでの計算過程を計算ステップ2とする。
【0134】
次に、チャネル0において、#3がRAM232から読込まれ、上記同様に相互相関値が計算されて閾値判定される。
【0135】
また、キュー229に符号が書込まれている場合、チャネル1において、#2がキュー229から読込まれ、同様に相互相関値が計算されて閾値判定される。
【0136】
さらに、キュー230に符号が書込まれている場合、チャネル2において、#1がキュー230から読込まれ、同様に相互相関値が計算されて閾値判定される。
【0137】
このとき、チャネル0と、チャネル1と、チャネル2とにおいて同時に相互相関値の計算が行なわれる。
【0138】
#3がRAM232から読込まれてから、ここまでの計算過程を計算ステップ3とする。
【0139】
チャネル0の比較器224における閾値判定が終わると、次の符号#6がRAM232に読込まれるようにデータベース231に通知される。
【0140】
また、比較器224において、最大値が閾値未満であると判定された場合、#3が、同時にキュー229に追加される。
【0141】
また、比較器226において、最大値が閾値未満であると判定された場合、#2が、同時にキュー230に追加される。
【0142】
上記で示したように、各チャネルにおいて、パイプライン処理で逐次符号を読み込み、同様に相互相関値の計算、閾値判定をする。
【0143】
なお、上記例では全ての符号が閾値未満と判定され、キュー229、キュー230に符号を追加するように説明した。しかし、チャネル1、チャネル2で閾値以上と判定された場合、キューへの符号追加はなく、キューから符号が読出せない場合、その計算ステップでは相関計算、閾値判定をせず待機しておく。
【0144】
全ての計算ステップが終了した後、RAM234に符号情報があるか検索し、ない場合、接続不可と判断する。ある場合、「符号A」が同じもの同士でそれぞれ相互相関値の和を計算する。比較器237で最も小さい値となった「符号A」をデータベース231に通知する。
【0145】
この符号を#2とする。#2はデータベース231で「比較器237で選択」状態となる。
【0146】
データベース231は「比較器237で選択」状態の符号(#2)をRAM232に書込む。続いて復号器208に符号を書込み符号選定が終了する。
【0147】
データベース231においては復号器208に書込まれた符号を「使用中」状態とし、比較器237においては選択された符号を削除する。
【0148】
復号器208を含む受信ブロックにおいて受信が開始される。
【0149】
(C−3)第2の実施形態の効果
以上、本実施形態によれば、第1の実施形態と同様の効果を奏する。
【0150】
また、本実施形態によれば、パイプライン処理により、各符号間についての相互相関値の計算をすることができるので、計算に係る処理時間を短縮することができる。
【0151】
(D)他の実施形態
上述した実施形態は、アクセス方式としてCDMA方式を採用したシステムにおける局側の受信装置に適用した場合について説明した。従って、本発明に係る符号選定装置及び方法は、例えば、CDMA方式を採用した光アクセスシステムや、CDMA方式を採用した無線通信システム等に適用できる。
【0152】
上述した実施形態では、割り当てる符号としてWalsh符号を例として用いた場合を説明した。しかし、M系列符号や、Gold符号、嵩符号等にも適用することができる。
【0153】
また、上述した実施形態において、比較器122及び237が、各符号毎の相互相関値の和の中から最小値を求めて、データベース123及び231が、その最小値に対応する符号を選定することとして説明したが、符号の選定はこれに限られることはない。
【0154】
例えば、時系列的に符号を選定する場合、各符号毎の相互相関値の和が、所定条件より充分小さいと判断されたものであれば、時系列的にその符号を選定するようにしてもよい。このようにすれば、RAM103及び234に記録された全ての符号の相互相関値の和を求める必要がないので、符号の割当時間を短縮できる。
【0155】
また、上述した実施形態では、データベース123において予め設定管理されている全ての未使用符号の中から、新たな通信チャネル用の符号を選定することを説明したが、符号選定をする際に、全ての未使用符号の中から、まず所定数の符号を選出して、その選出した所定数の各符号について、本発明の符号選定方法を行なうようにしてもよい。このように、全ての未使用符号の中から、まず所定数の符号を選出することで、当該符号選定処理を容易にすることができ、処理に係る時間を短縮することができる。
【0156】
この所定数の符号を選出するしかたの例として、例えば、データベース123に格納されている順に先頭から所定数の符号を選出する方法や、全ての各符号について、相互相関値を予測したグループを予め設定し、そのグループに基づいて所定数の符号を選出する方法等により選出してもよい。
【0157】
また、上述した符号選定装置では、比較器122による相互相関値の和の比較によって、RAM103に記憶されている符号を必ず1つ選出することとしたが、例えば、全ての符号についての相互相関値の和が予め設定した閾値よりも大きい場合には、符号を選出しないようにしてもよい。すなわち、新たな通信チャネルを割り当てることを拒否することもできる。
【0158】
また、第1及び第2の実施形態において、1段階のスペクトル拡散をする装置に適用した場合について説明したが、例えば、1段階目にWalsh符号を使用し、2段階目にGold符号を使用した2段階のスペクトル拡散する装置に適用してもよい。
【0159】
【発明の効果】
本発明によれば、既に確立されている確立通信チャネルに割り当てられている拡散符号とは異なる、1又は複数の未使用拡散符号の中から、新たな通信チャネルに割り当てる拡散符号を選定する符号選定装置であって、候補となる各未使用拡散符号を用いてダミー原データを拡散して各ダミー拡散信号を生成するダミー拡散信号生成手段と、各ダミー拡散信号と受信信号とを重畳して、候補となる各未使用拡散符号に対応する擬似重畳信号をそれぞれ形成する重畳手段と、各擬似重畳信号のそれぞれに対し、その擬似重畳信号に関係する未使用拡散符号及び確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散する逆拡散手段と、逆拡散手段によって得られた、各擬似重畳信号についての各確立通信チャネルの再生データと、再生されたダミー原データとに基づいて、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する拡散符号選定手段とを備えることから、CDMA方式を用いたシステムにおいて同時接続多重数を増加することができ、アクセス系のようなバースト的に同時接続が増えるシステムにおいても、使用効率の良いシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態に係る受信装置の内部構成を示したブロック図である。
【図2】あるチャネル間を例とした場合の相対的時間位置と相互相関値との関係を説明する説明図である。
【図3】8チップWalsh符号により割り当てられた全てのチャネル間の組合せについて最大相互相関値を示した説明図である。
【図4】最大相互相関値の和が1より小さいという条件のもとで、チップ数と同時接続多重数との関係を示した説明図である。
【図5】第2の実施形態に係る受信装置の内部構成を示したブロック図である。
【符号の説明】
102…位相調整器、115…ダミーデータ、110…拡散器、
104…位相調整器、123…RAM、105…加算器、106…逆拡散器、
117…相互相関ピーク検出器、121…比較器、103…RAM、
122…比較器。

Claims (12)

  1. 既に確立されている確立通信チャネルに割り当てられている拡散符号とは異なる、1又は複数の未使用拡散符号の中から、新たな通信チャネルに割り当てる拡散符号を選定する符号選定装置であって、
    候補となる上記各未使用拡散符号を用いてダミー原データを拡散して各ダミー拡散信号を生成するダミー拡散信号生成手段と、
    上記各ダミー拡散信号と受信信号とを重畳して、候補となる上記各未使用拡散符号に対応する擬似重畳信号をそれぞれ形成する重畳手段と、
    上記各擬似重畳信号のそれぞれに対し、その擬似重畳信号に関係する上記未使用拡散符号及び上記確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散する逆拡散手段と、
    上記逆拡散手段によって得られた、上記各擬似重畳信号についての上記各確立通信チャネルの再生データと、再生されたダミー原データとに基づいて、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する拡散符号選定手段と
    を備えることを特徴とする符号選定装置。
  2. 上記拡散符号選定手段は、
    上記受信信号に対し、上記確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散して受信データを復号する復号部と、
    上記各擬似重畳信号のそれぞれについて、上記各確立通信チャネルの再生データと対応する受信データとの差分である第1の差分データと、上記逆拡散手段によって得られた、上記各擬似重畳信号のそれぞれについての再生された上記ダミー原データと、拡散処理に供した当初の上記ダミー原データとの差分である第2の差分データとを得る差分抽出部と、
    上記第1の差分データ及び上記第2の差分データの出力に基づき、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する拡散符号選定部と
    を有することを特徴とする請求項1に記載の符号選定装置。
  3. 上記拡散符号選定部は、同一の擬似重畳信号について、上記第1の差分データである差分データと上記第2の差分データである差分データの相互相関値を、他の擬似重畳信号についての相互相関値と較べ、上記確立通信チャネルへの影響が小さい未使用拡散符号を選定することを特徴とする請求項2に記載の符号選定装置。
  4. 上記拡散符号選定部は、相互相関値として、偶相互相関値及び奇相互相関値を求めていることを特徴とする請求項3に記載の符号選定装置。
  5. 上記第1の差分データ及び上記第2の差分データは、同一の差分構成を時分割に適用したものであることを特徴とする請求項2〜4のいずれかに記載の符号選定装置。
  6. 各通信チャネル毎に、上記逆拡散手段と上記拡散符号選定手段とを備え、各通信チャネル毎の拡散符号を用いた並行処理により、拡散符号を選定することを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の符号選定装置。
  7. 既に確立されている確立通信チャネルに割り当てられている拡散符号とは異なる、1又は複数の未使用拡散符号の中から、新たな通信チャネルに割り当てる拡散符号を選定する符号選定方法であって、
    ダミー拡散信号生成手段が、候補となる上記各未使用拡散符号を用いてダミー原データを拡散して各ダミー拡散信号を生成し、
    重畳手段が、上記各ダミー拡散信号と受信信号とを重畳して、候補となる上記各未使用拡散符号に対応する擬似重畳信号をそれぞれ形成し、
    逆拡散手段が、上記各擬似重畳信号のそれぞれに対し、その擬似重畳信号に関係する上記未使用拡散符号及び上記確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散し、
    拡散符号選定手段が、上記逆拡散手段によって得られた、上記各擬似重畳信号についての上記各確立通信チャネルの再生データと、再生されたダミー原データとに基づいて、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する
    ことを特徴とする符号選定方法。
  8. 上記拡散符号選定手段は、
    復号部が、上記受信信号に対し、上記確立通信チャネルに使用されている既使用拡散符号を用いて逆拡散して受信データを復号し、
    差分抽出部が、上記各擬似重畳信号のそれぞれについて、上記各確立通信チャネルの再生データと対応する受信データとの差分である第1の差分データと、上記逆拡散手段によって得られた、上記各擬似重畳信号のそれぞれについての再生された上記ダミー原データと、拡散処理に供した当初の上記ダミー原データとの差分である第2の差分データとを得、
    拡散符号選定部が、上記第1の差分データ及び上記第2の差分データの出力に基づき、新たな通信チャネルに割り当てる未使用拡散符号を選定する
    ことを特徴とする請求項7に記載の符号選定方法。
  9. 上記拡散符号選定部は、同一の擬似重畳信号について、上記第1の差分データである差分データと上記第2の差分データである差分データの相互相関値を、他の擬似重畳信号についての相互相関値と較べ、上記確立通信チャネルへの影響が小さい未使用拡散符号を選定することを特徴とする請求項8に記載の符号選定方法。
  10. 上記拡散符号選定部は、相互相関値として、偶相互相関値及び奇相互相関値を求めていることを特徴とする請求項9に記載の符号選定方法。
  11. 上記第1の差分データ及び上記第2の差分データは、同一の差分構成を時分割に適用したものであることを特徴とする請求項8〜10のいずれかに記載の符号選定方法。
  12. 各通信チャネル毎に、上記逆拡散手段と上記拡散符号選定手段とを備え、各通信チャネル毎の拡散符号を用いた並行処理により、拡散符号を選定することを特徴とする請求項7〜11のいずれかに記載の符号選定方法。
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