JP3925846B2 - 電力系統連系システム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、商用電力系統と自家用の分散型電源(ガスタービン発電設備など)とを高速遮断装置を介して連系する電力系統連系システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
自家用,コ・ジェネレーション用のガスタービン発電設備(分散型電源)を商用系統に連系して運用する電力系統連系システムにおいては、商用系統と分散型電源との間に分離遮断器を介して系統間を連系するようにしている。すなわち、電力系統内に短絡,地絡事故が発生した場合には、事故点に向けて商用電源および分散型電源の双方から短絡電流を供給することになるため、事故電流が増加する。この場合に、事故発生点の上位に位置する遮断器(フィーダ遮断器)の遮断容量不足から増加した事故電流を遮断できないと、電力系統からの事故点切り離しが正常に行えず、このために事故の影響が系統内の他の需要家にも波及するおそれがあるほか、分散型電源(ガスタービン発電設備)においても、発電機の急激な負荷増加に伴いタービンに過大なトルクが加わって発電機とタービンを連結しているシェアピンが破断するなどのトラブルを引き起こすおそれがある。
【0003】
このために、前記した電力系統連系システムでは、商用系統と分散型電源とを連系する分離遮断器として、事故点側の回路遮断器が遮断動作を開始するよりも早く遮断動作して分散型電源をいち早く商用系統から解列する高速遮断器が必要である。
【0004】
この点に関して、以前は前記高速遮断器として遮断部の開極手段に駆動コイルと短絡リングを組合せた電磁反発装置などを採用した開極速度を高速化した定格遮断時間1サイクルの高速遮断器を採用していたが、電力系統の連系運用面から市場のニーズとして定格遮断速度が1サイクル以下である高速遮断器の適用が要求されている。
【0005】
そこで、この問題に対処するために、前記の高速遮断器(1サイクル遮断器)に後記する転流回路を組合せて高速遮断(1/4サイクル遮断)を可能にした高速限流遮断装置が本発明と同一出願人より先に特願2001−247031号として提案されており、この高速限流遮断装置を電力系統連系システムの分離遮断器に適用し、電力系統内での事故発生時には1/4サイクル以内の短時間で分散型電源を商用電力系統から解列するようにした連系システムが既に実施化されており、次にその従来システムの構成,動作を図4で説明する。
【0006】
図4において、1は商用電源、2は商用系統に連系させた分散型電源(ガスタービン発電設備)、2aは分散型電源2の発電機、2bはガスタービン、2cはガスタービン2bの出力軸に取付けたシェアピン、3は商用電源1の系統と分散型電源2とを連系する連系母線、4,5は商用電源1,分散型電源2と連系母線3との間に接続した回路遮断器、6は商用電源1から給電を受ける一般負荷、7は分散型電源2から優先的に給電を受ける構内の重要負荷(電力供給を安定かつ継続して行う必要があるパワーエレクトロニクス機器など)、8は負荷6,7と連系母線3の間に接続したフィーダ遮断器である。
【0007】
また、商用系統と分散型電源2とを連系する分離遮断器として、連系母線3には前記提案になる高速限流遮断装置9、およびこれと直列に通常の遮断器(定格遮断時間:3サイクル)10を接続して介装し、高速限流遮断装置9で事故(短絡,地絡)発生時に連系母線3に流れる事故電流を遮断し、遮断器10で分散型電源2を商用電源1に同期投入するように遮断器10と11に役割分担させている。
【0008】
ここで、高速限流遮断装置9は、先記特願2001−247031号の明細書で詳しく述べられているように、主遮断部としての高速遮断器(電磁反発装置などを組合せた1サイクル遮断器(真空遮断器))11と、コンデンサ12,リアクトル13,投入スイッチ14を直列に組合せて遮断器11の極間に並列接続し、高速遮断器11の開極動作時に該遮断器を流れる事故電流に高周波電流を重畳させて電流零点を作り出す転流回路15,および前記コンデンサ12の充電装置16と、高速遮断器11の極間に発生するサージを吸収する消弧装置(非線形抵抗素子で作られたサージアブソーバ)17を主要部とし、さらに電圧検出器18,電流検出器19により連系母線3上で検出した電圧,電流値を入力して電力系統での事故発生時に高速遮断器11,投入スイッチ14,および遮断器10に動作指令を与える事故検出器20などを組合せた構成になる。
【0009】
かかる構成で、通常は連系母線3に接続した遮断器10,11を投入して分散型電源2と商用系統とを連系運用して負荷6,7への給電を行っている。一方、分散型電源2を運転して電力系統に給電している状態で商用系統側(例えばA点)に短絡,地絡事故が発生すると、電圧検出器18,電流検出器19で検出した電流,電圧値の異常から事故検出器20が事故発生を判断し、遮断器10,11に開極指令、投入スイッチ14に閉極指令を出力する。これにより、図4(b) の動作タイムチャートで表すように、事故検出器20からの出力指令 (時点:T1)に基づいて高速遮断器11が開極動作を開始するとともに、その極間を流れる事故電流に転流回路15から供給した高周波電流を重畳し、事故電流が最大波高値になる前に電流の零点を形成して1/4サイクル以内の短時間(時点:T2)で遮断し、これに続いて遮断器10が開極動作して分散型電源2を商用電力系統から切り離す。
【0010】
そして、事故発生点Aの上位のフィーダ遮断器8が遮断動作し、電力系統から事故点Aが切り離されて電力系統が正常な状態に戻れば、高速遮断器11を先に閉極し、続いて転流回路15のコンデンサ12を次の遮断に備えて充電した後に、分散型電源2と商用電力系統との同期(電圧,位相)をとって遮断器10を投入する。これにより、電力系統は再び正常な連系運用の状態に復帰する(時点:T3)。なお、この場合に商用系統と分散型電源2との電圧同期がとれてないと、高速限流遮断装置9の高速遮断器11に並列接続されている消弧装置(非線形抵抗素子)17の両端に両系統間の電圧位相のずれに相応する電圧が加わり、そのために系統間の電圧位相差(最大位相差180°)によっては消弧装置17に過大な電流が流れて非線形抵抗素子が熱的破壊を引き起こすおそれがあるが、前記のように高速遮断器11と直列接続した同期投入用の遮断器10を用い、分散型電源2と商用系統との同期をとって遮断器10を投入することにより、このような問題を引き起こすことがなくて消弧装置17を保護できる。
【0011】
次に、前記した高速限流遮断装置9を収容した従来の配電盤設備を図5(a),(b) に示す。すなわち、従来では図4で述べた高速限流遮断装置9と遮断器10とは別個の盤に分けて構成し、さらに高速限流遮断装置9は図5(a) の配電盤21と図5(b) の配電盤22からなる2面の列盤に分けて収容しており、その一方の盤21には高速遮断器11とその駆動ユニット(操作制御部)11a、転流回路15を構成するコンデンサ12,リアクトル13,投入スイッチ14、事故検出器20、および図4で述べた遮断器10の駆動ユニット(制御部)10aなどを収容している。なお、23はコンデンサ12の充電回路に接続した開閉器、24は充電抵抗であり、コンデンサ12の点検時には開閉器23をONにし、コンデンサの端子間を充電抵抗24を経由して短絡し、コンデンサを放電させる。一方、図5(b) の盤22には連系母線(ケーブル)3を引き入れた上で、系統の電圧,電流を検出する電圧検出部(計器用変圧器)18,電流検出部(変流器)19、および前記コンデンサ12に対する充電装置16などの付属機器を収容している。なお、25は制御電源用の補助変圧器である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、図4に示した従来システムの構成では次に記すような問題点がある。すなわち、高速限流遮断装置9の高速遮断器11と直列に連系母線3に接続して使用する遮断器10は、先記のように分散型電源2を商用電力系統に同期投入するとともに、高速限流遮断装置9の消弧装置(非線形抵抗素子)17を保護する役割を有するが、定格面では高速遮断器11の定格と同様に電力系統の事故発生時に流れる事故電流を安全に通電できる通電容量と投入容量が要求される。このために、高速限流遮断装置9に遮断器10を組合せて構成した従来の連系システムでは、連系用の分離遮断器として遮断器10,11を使用していることから、その配電盤を含めた全体の設備費が高価となる。
【0013】
かかる点、前記の遮断器10を省略し、高速限流遮断装置9(高速遮断器11は、その定格遮断容量と同等な定格投入容量を備えることが規格で定められている)を使用して事故電流の遮断,および商用系統への同期投入を行うようにして連系システムを構築できれば、設備の小形化,ならびに設備費の大幅なコスト低減が可能となる。
【0014】
そこで、本発明は設備費の低減化を目的に、従来システムで高速限流遮断装置と組合せて使用していた同期投入用の遮断器を省略してその役割を高速限流遮断装置の高速遮断器に持たせた上で、省略した遮断器に代わる小容量の遮断器(もしくは開閉器)を高速限流遮断装置の内部に組合せて電力系統の連系運用,および高速遮断器に対応する消弧装置の保護が支障なしに行えるように改良した電力系統連系システムを提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明によれば、電力系統連系システムを次記のように構成するものとする。
【0016】
すなわち、商用系統と分散型電源とを連系する連系母線に高速遮断装置を介装し、電力系統での事故発生時に前記高速遮断装置を遮断して分散型電源を商用系統から解列させるようにした電力系統連系システムにおいて、前記高速遮断装置を、前記連系母線に接続された事故検出器の信号により開極動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対して投入スイッチを介して高周波発生回路から前記高速遮断器の開極動作時に流れる事故電流に高周波 電流を重畳させる転流回路と、前記高速遮断器の極間に発生するサージを吸収する消弧装置とを備え、前記転流回路と消弧装置の並列接続回路を補助遮断器を介して前記高速遮断器に並列に接続してなる高速限流遮断装置により構成し、高速遮断器の開極動作で事故電流を遮断した後に補助遮断器を開極して転流回路,消弧装置を連系母線から切り離すようにし(請求項1)、その実施態様として、請求項1記載の電力系統連系システムにおける高速限流遮断装置において、2台の補助遮断器を転流回路と消弧装置の並列接続回路の両端に分けて高速遮断器との間に介装するものとする(請求項2)。
【0017】
上記の構成において、電力系統を連系運用している通常の状態では補助遮断器を閉極(ON)として転流回路,および消弧装置を高速遮断器に並列接続しておく。そして電力系統の事故発生時には高速遮断器を開極動作させて事故電流を遮断した後、補助遮断器を開極(OFF)して転流回路,消弧装置を高速遮断器から切り離し、事故発生により生じた商用系統と分散型電源との間の電圧位相のずれに起因する消弧装置への過電圧印加を阻止して熱的破壊を防ぐ。また、電力系統の回復後は分散型電源の同期投入は高速遮断器で行い、補助遮断器はその直前に閉極して転流回路,消弧装置を高速遮断器に並列接続する。
【0018】
この動作から判るように、補助遮断器は高速遮断器に流す高周波の転流電流(数kHzオーダーで、大きさは事故電流の波高値程度、通電時間を数ms程度を遮断するだけで同期投入の能力も不要であることから、その通電容量,遮断能力は小さくてよく、簡単な開閉器での代用も可能である。これにより、従来システム(図4参照)のように高速限流遮断装置と直列に連系母線に介装する通電容量の大きな遮断器が必要なく、これにより連系システムの小形化,並びに設備費の低減化が図れる。また、電力系統を連系運用している状態で、高速限流遮断装置の転流回路,消弧装置に万一異常が生じた場合でも、補助遮断器を開極することで、電力系統の事故発生時には高速遮断器の開極動作により少なくとも1サイクル遮断による系統の保護機能を確保できる。
【0019】
さらに、2台の補助遮断器を使用して転流回路,消弧装置の両端と高速遮断器との間に接続した請求項2の構成によれば、高速遮断器の点検,動作確認などのメンテナンス時に各補助遮断器を開極して転流回路を電気的に完全に切り離すことで、転流回路のコンデンサに対する放電回路の省略が可能となる。
【0020】
一方、電力系統連系システムの前記構成の高速限流遮断装置を収容する配電盤設備に関して、本発明によれば高速限流遮断装置を収容する配電盤を複数の列盤(2面)に分けて構築し、かつその一方の盤には連系母線を引き入れた上で、主要機器である高速遮断器とその駆動ユニット、および事故検出器を配備し、他方の盤には転流回路を構成するコンデンサ,リアクトル,投入スイッチ、コンデンサの充電装置、消弧装置、および補助遮断器とその駆動ユニットなどの付属機器を配備するものとする(請求項3)。
【0021】
上記のように高速限流遮断装置を収容する配電盤を、高速遮断器とその駆動ユニットなどを収容した主要機器盤と、転流回路,消弧装置,補助遮断器などを収した付属機器盤とに分けて列盤構成とすることにより、設計,製作およびコスト面で次のような利点が得られる。
【0022】
すなわち、現在運用されている既存の電力系統連系システムにおいて、そのシステムに設備されている高速遮断器(1サイクル遮断器)を先記の高速限流遮断装置に改造して機能アップを図る場合に、従来では既存の配電盤(1サイクル遮断器を収容した盤)を新たに設計,製作した図5(a),(b) の列盤にそっくり取り替える必要があって設備改造に要する費用がコスト高となる。
【0023】
これに対して、本発明では配電盤設備を、高速遮断器,事故検出器などを収容した主要機器盤と、転流回路,消弧装置などを収容した付属機器盤とに分けた列盤構成とすることにより、高速遮断器(1サイクル遮断器)を収容した既設の盤をそのまま残して利用し、これに本発明による付属機器盤を追加設備するだけで高速限流遮断装置を構築でき、少ない費用で高速限流遮断装置への改造が可能となるほか、配電盤の設計の手間も省けて製作から製品納入,現地設置までの納期も大幅に短縮できるメリットが得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図1ないし図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実施例の図中で図4,図5に対応する機器には同じ符号を付してその説明は省略する。
【0025】
〔実施例1〕
図1(a),(b) は図4の従来装置と対比して表した本発明の実施例による電力系統連系システムの高速限流遮断装置およびその動作のタイムチャートを示すものである。この実施例においては、図4における遮断器10を省略した上で、これに代わる補助遮断器26が高速限流遮断装置9の高速遮断器11とこれに並列接続する転流回路15,および消弧装置17との間に介装接続されている。この補助遮断器26は、連系母線3に流れる事故電流を遮断する際に、高速遮断器11の開極動作に合わせて転流回路15から高速遮断器11に極短時間だけ供給される転流電流(事故電流に重畳させる高周波電流)を遮断するものであって、その定格遮断容量,通電容量は前記転流電流に対応していればよく、通常の真空遮断器,あるいはその代替品として開閉器の使用も可能である。
【0026】
そして、商用電力系統と分散型電源2との連系運用に当たって、常時は前記補助遮断器26を閉極(ON)して転流回路15,消弧装置17を連系母線3に接続した高速遮断器(1サイクル遮断器)11に並列接続している。ここで、電力系統内に短絡,地絡事故が発生すると、事故検出器20からの指令に基づき高速遮断器11,補助遮断器26を開極、転流回路15の投入スイッチ14を閉極動作させて事故電流を遮断する。また、事故電流の遮断後は補助遮断器26を開極(OFF)して転流回路,消弧装置を高速遮断器から切り離し、事故発生により生じた商用系統と分散型電源との間の電圧位相のずれに起因して消弧装置に過電圧が印加されるのを阻止してその非線形抵抗素子の熱的破壊を防ぐ。そして、事故点の切り離しにより電力系統が回復した後は、分散型電源2の同期投入を高速遮断器11で行い、補助遮断器26はその直前に閉極して転流回路,消弧装置を高速遮断器に並列接続する。
【0027】
図1(b) は電力系統内での事故発生時における前記高速限流遮断装置9の動作を表すタイムチャートで、高速遮断器11の開極動作により事故電流を1/4サイクル以内に遮断した後、補助遮断器26がこれに若干遅れて開極する。また、系統の回復後は転流回路15のコンデンサ12を充電した後、高速遮断器11による同期投入の直前に補助遮断器26を閉極するようにしている。
【0028】
また、この実施例によれば、電力系統を連系運用している状態で転流回路15,消弧装置17に万一異常が発生した場合でも、補助遮断器26を開極することで、事故発生時には高速遮断器11による1サイクル遮断機能を確保して分散型電源2を商用系統から解列することが可能である。
【0029】
〔実施例2〕
図2(a),(b) は本発明の請求項2に対応した応用実施例を示すものである。この実施例においては、実施例1で述べた補助遮断器26を2台使用し、転流回路15,消弧装置17の両端と高速遮断器11との間に介装接続されており、2台の補助遮断器26は事故検出器20からの指令で同時に開極,閉極動作するようにしている。また、電力系統内での事故発生時における高速限流遮断装置9の動作は実施例1と同様であり、その動作のタイムチャートを図2(b) に示す。
【0030】
この実施例によれば、2台の補助遮断器26を開極することにより、転流回路15,および消弧装置17が高速遮断器11から電気的に完全に切り離されることになる。したがって、高速遮断器11の点検,動作確認のメンテナンス時に補助遮断器26を開極すれば、事前にコンデンサ12を放電しておく必要がなく、これによりコンデンサ11に対する放電回路を省略できる。
【0031】
〔実施例3〕
次に、本発明の請求項3に対応する高速限流遮断装置の配電盤設備の構成を図3(a),(b) に示す。すなわち、高速限流遮断装置は配電盤21と22からなる2面の列盤に分けて構築されており、その一方の盤21を主要機器盤として、この盤には連系母線(ケーブル,あるいはブスバー)3を引き入れた上で、主要機器である高速遮断器11とその駆動ユニット11a,および事故検出器20を配備している。また、他方の盤22は付属機器盤として、盤内には転流回路15(図1,図2参照)のコンデンサ12,リアクトル13,投入スイッチ14、コンデンサ12の充電装置16、消弧装置17、および補助遮断器26とその駆動ユニット26aなどの付属機器を配備する。
【0032】
上記のように高速限流遮断装置9を収容する配電盤を、高速遮断器11とその駆動ユニット11aなどを収容した主要機器盤と、転流回路15,消弧装置17,および補助遮断器26などを収容した付属機器盤とに分けて標準化しておくことで、次記のような利点が得られる。
【0033】
すなわち、現在実際に運用されている電力系統連系システムでその連系用の分離遮断器として設備されている高速遮断器(1サイクル遮断器)を高速限流遮断装置に改造する場合に、従来では既存の配電盤(1サイクル遮断器を収容した盤)を廃棄処分にし、新たに設計,製作した図5(a),(b) の列盤21,22とそっくり取り替える必要があることから、設備改造に要する費用が嵩む。
【0034】
かかる点、図示実施例の構成では高速遮断器(1サイクル遮断器)を収容した既設の盤を残してそのまま利用し、これに付属機器盤を追加設備するだけで高速限流遮断装置を構築でき、少ない費用で高速限流遮断装置への改造が可能となるほか、配電盤の設計の手間も省けて、製作から製品納入,現地設置までの納期も大幅に短縮できる。
【0035】
なお、高速限流遮断装置9を適用する電力系統の系統電圧は、系統によって3kVあるいは6kVと異なる場合があるが、付属機器盤(配電盤22)に装備する各種機器の絶縁強度をあらかじめ3kV/6kVに対応できるような仕様にしておけば、機器の変更を要さずに同一品の共用が可能である。また、転流回路のコンデンサ12に対する充電装置16についても、コンデンサの充電電圧は系統電圧によって変わるが、その操作電圧を変更するだけで簡単に対応できる。
【0036】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の構成によれば次記の効果を奏する。
【0037】
(1) 商用系統と分散型電源とを連系する連系母線に高速遮断装置を介装し、電力系統での事故発生時に前記高速遮断装置を遮断して分散型電源を商用系統から解列させるようにした電力系統連系システムにおいて、前記高速遮断装置を、前記連系母線に接続された事故検出器の信号により開極動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対して投入スイッチを介して高周波発生回路から前記高速遮断器の開極動作時に流れる事故電流に高周波電流を重畳させる転流回路と、前記高速遮断器の極間に発生するサージを吸収する消弧装置とを 備え、前記転流回路と消弧装置の並列接続回路を補助遮断器を介して前記高速遮断器に並列に接続してなる高速限流遮断装置により構成したことにより、従来システムのように高速限流遮断装置と直列に連系母線に介装する通電容量の大きな遮断器が必要なく、これにより連系システムの小形化,並びに設備費の低減化が図れる。また、電力系統を連系運用している状態で、高速限流遮断装置の転流回路,消弧装置に万一異常が生じた場合でも、補助遮断器を開極することで、電力系統の事故発生時には高速遮断器の開極動作により少なくとも1サイクル遮断による系統の保護機能を確保できる。
【0038】
(2) また、前記の補助遮断器を2台使用し、これを転流回路,消弧装置の両端に分けて高速遮断器との間に介装した本発明の請求項2の構成によれば、高速遮断器の点検,動作確認などのメンテナンス時に各補助遮断器を開極して転流回路を電気的に完全に切り離すことで、転流回路のコンデンサに対する放電回路の省略が可能となる。
【0039】
(3) さらに、前記の高速限流遮断装置を収容する配電盤を複数の列盤に分けて構築し、かつその一方の盤には連系母線を引き入れた上で、主要機器である高速遮断器とその駆動ユニット、および事故検出器を配備し、他方の盤には転流回路を構成するコンデンサ,リアクトル,投入スイッチ、コンデンサの充電装置、消弧装置、および補助遮断器とその駆動ユニットなどの付属機器を配備した本発明の請求項3の構成を採用することにより、
現在運用されている電力系統の連系システムに設備されている既設の高速遮断器(1サイクル遮断器)を高速限流遮断装置に改造して機能アップを図る場合に、高速遮断器(1サイクル遮断器)を収容した既設の盤をそのまま残して利用し、これに本発明による付属機器盤を追加設備するだけで高速限流遮断装置を構築でき、少ない費用で高速限流遮断装置への改造が可能となるほか、配電盤の設計の手間も省けて製作から製品納入,現地設置までの納期も大幅に短縮できるメリットが得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施例1に対応する系統連系用の高速限流遮断装置の説明図であり、(a) は構成回路図、(b) は事故電流遮断時の動作を表すタイムチャート
【図2】 本発明の実施例2に対応する系統連系用の高速限流遮断装置の説明図であり、(a) は構成回路図、(b) は事故電流遮断時の動作を表すタイムチャート
【図3】 本発明の実施例3に対応する高速限流遮断装置を収容する配電盤設備の列盤構成図であり、(a),(b) はそれぞれ主要機器盤,および付属機器盤の盤内構成図
【図4】 従来における系統連系用の高速限流遮断装置の説明図であり、(a) はその構成回路図、(b) は事故電流遮断時の動作を表すタイムチャート
【図5】 従来における高速限流遮断装置を収容する配電盤設備の列盤構成図であり、(a),(b) はそれぞれ各列盤の盤内構成図
【符号の説明】
1 商用電源
2 分散型電源
3 連系母線
6,7 負荷
9 高速限流遮断装置
11 高速遮断器
12 コンデンサ
13 リアクトル
14 投入スイッチ
15 転流回路
16 充電装置
17 消弧装置
20 事故検出器
21,22 配電盤の列盤
Claims (3)
- 商用系統と分散型電源とを連系する連系母線に高速遮断装置を介装し、電力系統での事故発生時に前記高速遮断装置を遮断して分散型電源を商用系統から解列させるようにした電力系統連系システムにおいて、前記高速遮断装置を、前記連系母線に接続された事故検出器の信号により開極動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対して投入スイッチを介して高周波発生回路から前記高速遮断器の開極動作時に流れる事故電流に高周波電流を重畳させる転流回路と、前記高速遮断器の極間に発生するサージを吸収する消弧装置とを備え、前記転流回路と消弧装置の並列接続回路を補助遮断器を介して前記高速遮断器に並列に接続してなる高速限流遮断装置により構成したことを特徴とする電力系統連系システム。
- 請求項1記載の電力系統連系システムにおける高速限流遮断装置において、2台の補助遮断器を転流回路と消弧装置の並列接続回路の両端に分けて高速遮断器との間に介装したことを特徴とする電力系統連系システム。
- 請求項1記載の電力系統連系システムにおいて、このシステムにおける前記高速限流遮断装置を収容する配電盤を複数列盤に分けて構築し、かつその一方の盤には連系母線を引き入れた上で、主要機器である高速遮断器とその駆動ユニット、および事故検出器を配備し、他方の盤には転流回路を構成するコンデンサ,リアクトル,投入スイッチ、コンデンサの充電装置、消弧装置、および補助遮断器とその駆動ユニットなどの付属機器を配備したことを特徴とする電力系統連系システム。
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