JP2003264932A - 電力系統連系用の高速限流遮断装置 - Google Patents

電力系統連系用の高速限流遮断装置

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JP2003264932A JP2002063222A JP2002063222A JP2003264932A JP 2003264932 A JP2003264932 A JP 2003264932A JP 2002063222 A JP2002063222 A JP 2002063222A JP 2002063222 A JP2002063222 A JP 2002063222A JP 2003264932 A JP2003264932 A JP 2003264932A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】電力系統連系システムに適用する高速限流遮断
装置を改良して連系用遮断器設備の簡素化,設備費の低
減化を図る。 【解決手段】商用電力系統と分散型電源2とを連系する
連系母線3に介装し、系統内の事故発生時に分散型電源
を商用系統から解列させる分離遮断器として、事故検出
器20の信号を受けて開極動作する高速遮断器11に、
該遮断器の開極動作時に事故電流に高周波電流を重畳さ
せて零点を形成させる転流回路15,および高速遮断器
の極間に発生するサージを吸収する消弧装置(非線形抵
抗素子)17を並列接続した構成の高速限流遮断装置9
において、高速遮断器と転流回路,消弧装置との間に補
助遮断器(通常の真空遮断器,あるいは開閉器)26を
介装し、事故電流の遮断後に補助遮断器を開極し、消弧
装置を主回路から切り離して保護するとともに、系統回
復後の同期投入を高速遮断器で行うようにする。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、商用電力系統と自
家用の分散型電源(ガスタービン発電設備など)との電
力系統連系システムに適用する高速限流遮断装置に関す
る。
【0002】
【従来の技術】自家用,コ・ジェネレーション用のガス
タービン発電設備(分散型電源)を商用系統に連系して
運用する電力系統連系システムにおいては、商用系統と
分散型電源との間に分離遮断器を介して系統間を連系す
るようにしている。すなわち、電力系統内に短絡,地絡
事故が発生した場合には、事故点に向けて商用電源およ
び分散型電源の双方から短絡電流を供給することになる
ために事故電流が増加する。この場合に、事故発生点の
上位に位置する遮断器(フィーダ遮断器)の遮断容量不
足から増加した事故電流を遮断できないと、電力系統か
らの事故点切り離しが正常に行えず、このために事故の
影響が系統内の他の需要家にも波及するおそれがあるほ
か、分散型電源(ガスタービン発電設備)においても、
発電機の急激な負荷増加に伴いタービンに過大なトルク
が加わって発電機とタービンを連結しているシェアピン
が破断するなどのトラブルを引き起こすおそれがある。
【0003】このために、前記した電力系統連系システ
ムでは、商用系統と分散型電源とを連系する分離遮断器
として、事故点側の回路遮断器が遮断動作を開始するよ
りも早く遮断動作して分散型電源をいち早く商用系統か
ら解列する高速遮断器が必要である。
【0004】この点に関して、以前は前記高速遮断器と
して遮断部の開極手段に駆動コイルと短絡リングを組合
せた電磁反発装置などを採用した開極速度を高速化した
定格遮断時間1サイクルの高速遮断器を採用していた
が、電力系統の連系運用面から市場のニーズとして定格
遮断速度が1サイクル以下である高速遮断器の適用が要
求されている。
【0005】そこで、この問題に対処するために、前記
の高速遮断器(1サイクル遮断器)に後記する転流回路
を組合せて高速遮断(1/4サイクル遮断)を可能にし
た高速限流遮断装置が本発明と同一出願人より先に特願
2001−247031号として提案されており、この
高速限流遮断装置を電力系統連系システムの分離遮断器
に適用し、電力系統内での事故発生時には1/4サイク
ル以内の短時間で分散型電源を商用電力系統から解列す
るようにした連系システムが既に実施化されており、次
にその従来システムの構成,動作を図4で説明する。
【0006】図4において、1は商用電源、2は商用系
統に連系させた分散型電源(ガスタービン発電設備)、
2aは分散型電源2の発電機、2bはガスタービン、2
cはガスタービン2bの出力軸に取付けたシェアピン、
3は商用電源1の系統と分散型電源2とを連系する連系
母線、4,5は商用電源1,分散型電源2と連系母線3
との間に接続した回路遮断器、6は商用電源1から給電
を受ける一般負荷、7は分散型電源2から優先的に給電
を受ける構内の重要負荷(電力供給を安定かつ継続して
行う必要があるパワーエレクトロニクス機器など)、8
は負荷6,7と連系母線3の間に接続したフィーダ遮断
器である。
【0007】また、商用系統と分散型電源2とを連系す
る分離遮断器として、連系母線3には前記提案になる高
速限流遮断装置9、およびこれと直列に通常の遮断器
(定格遮断時間:3サイクル)10を接続して介装し、
高速限流遮断装置9で事故(短絡,地絡)発生時に連系
母線3に流れる事故電流を遮断し、遮断器10で分散型
電源2を商用電源1に同期投入するように遮断器10と
11に役割分担させている。
【0008】ここで、高速限流遮断装置9は、先記特願
2001−247031号の明細書で詳しく述べられて
いるように、主遮断部としての高速遮断器(電磁反発装
置などを組合せた1サイクル遮断器(真空遮断器))1
1と、コンデンサ12,リアクトル13,投入スイッチ
14を直列に組合せて遮断器11の極間に並列接続し、
高速遮断器11の開極動作時に該遮断器を流れる事故電
流に高周波電流を重畳させて電流零点を作り出す転流回
路15,および前記コンデンサ12の充電装置16と、
高速遮断器11の極間に発生するサージを吸収する消弧
装置(非線形抵抗素子で作られたサージアブソーバ)1
7を主要部とし、さらに電圧検出器18,電流検出器1
9により連系母線3上で検出した電圧,電流値を入力し
て電力系統での事故発生時に高速遮断器11,投入スイ
ッチ14,および遮断器10に動作指令を与える事故検
出器20などを組合せた構成になる。
【0009】かかる構成で、通常は連系母線3に接続し
た遮断器10,11を投入して分散型電源2と商用系統
とを連系運用して負荷6,7への給電を行っている。一
方、分散型電源2を運転して電力系統に給電している状
態で商用系統側(例えばA点)に短絡,地絡事故が発生
すると、電圧検出器18,電流検出器19で検出した電
流,電圧値の異常から事故検出器20が事故発生を判断
し、遮断器10,11に開極指令、投入スイッチ14に
閉極指令を出力する。これにより、図4(b) の動作タイ
ムチャートで表すように、事故検出器20からの出力指
令 (時点:T1)に基づいて高速遮断器11が開極動作を
開始するとともに、その極間を流れる事故電流に転流回
路15から供給した高周波電流を重畳し、事故電流が最
大波高値になる前に電流の零点を形成して1/4サイク
ル以内の短時間(時点:T2)で遮断し、これに続いて遮
断器10が開極動作して分散型電源2を商用電力系統か
ら切り離す。
【0010】そして、事故発生点Aの上位のフィーダ遮
断器8が遮断動作し、電力系統から事故点Aが切り離さ
れて電力系統が正常な状態に戻れば、高速遮断器11を
先に閉極し、続いて転流回路15のコンデンサ12を次
の遮断に備えて充電した後に、分散型電源2と商用電力
系統との同期(電圧,位相)をとって遮断器10を投入
する。これにより、電力系統は再び正常な連系運用の状
態に復帰する(時点:T3)。なお、この場合に商用系統
と分散型電源2との電圧同期がとれてないと、高速限流
遮断装置9の高速遮断器11に並列接続されている消弧
装置(非線形抵抗素子)17の両端に両系統間の電圧位
相のずれに相応する電圧が加わり、そのために系統間の
電圧位相差(最大位相差180°)によっては消弧装置
17に過大な電流が流れて非線形抵抗素子が熱的破壊を
引き起こすおそれがあるが、前記のように高速遮断器1
1と直列接続した同期投入用の遮断器10を用い、分散
型電源2と商用系統との同期をとって遮断器10を投入
することにより、このような問題を引き起こすことがな
くて消弧装置17を保護できる。
【0011】次に、前記した高速限流遮断装置9を収容
した従来の配電盤設備を図5(a),(b) に示す。すなわ
ち、従来では図4で述べた高速限流遮断装置9と遮断器
10とは別個の盤に分けて構成し、さらに高速限流遮断
装置9は図5(a) の配電盤21と図5(b) の配電盤22
からなる2面の列盤に分けて収容しており、その一方の
盤21には高速遮断器11とその駆動ユニット(操作制
御部)11a、転流回路15を構成するコンデンサ1
2,リアクトル13,投入スイッチ14、事故検出器2
0、および図4で述べた遮断器10の駆動ユニット(制
御部)10aなどを収容している。なお、23はコンデ
ンサ12の充電回路に接続した開閉器、24は充電抵抗
であり、コンデンサ12の点検時には開閉器23をON
にし、コンデンサの端子間を充電抵抗24を経由して短
絡し、コンデンサを放電させる。一方、図5(b) の盤2
2には連系母線(ケーブル)3を引き入れた上で、系統
の電圧,電流を検出する電圧検出部(計器用変圧器)1
8,電流検出部(変流器)19、および前記コンデンサ
12に対する充電装置16などの付属機器を収容してい
る。なお、25は制御電源用の補助変圧器である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】ところで、図4に示し
た従来システムの構成では次に記すような問題点があ
る。すなわち、高速限流遮断装置9の高速遮断器11と
直列に連系母線3に接続して使用する遮断器10は、先
記のように分散型電源2を商用電力系統に同期投入する
とともに、高速限流遮断装置9の消弧装置(非線形抵抗
素子)17を保護する役割を有するが、定格面では高速
遮断器11の定格と同様に電力系統の事故発生時に流れ
る事故電流を安全に通電できる通電容量と投入容量が要
求される。このために、高速限流遮断装置9に遮断器1
0を組合せて構成した従来の連系システムでは、連系用
の分離遮断器として遮断器10,11を使用しているこ
とから、その配電盤を含めた全体の設備費が高価とな
る。
【0013】かかる点、前記の遮断器10を省略し、高
速限流遮断装置9(高速遮断器11は、その定格遮断容
量と同等な定格投入容量を備えることが規格で定められ
ている)を使用して事故電流の遮断,および商用系統へ
の同期投入を行うようにして連系システムを構築できれ
ば、設備の小形化,ならびに設備費の大幅なコスト低減
が可能となる。
【0014】そこで、本発明は設備費の低減化を目的
に、従来システムで高速限流遮断装置と組合せて使用し
ていた同期投入用の遮断器を省略してその役割を高速限
流遮断装置の高速遮断器に持たせた上で、省略した遮断
器に代わる小容量の遮断器(もしくは開閉器)を高速限
流遮断装置の内部に組合せて電力系統の連系運用,およ
び高速遮断器に対応する消弧装置の保護が支障なく行え
るように改良した電力系統連系システム用の高速限流遮
断装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明によれば、高速限流遮断装置を次記のように
構成するものとする。
【0016】すなわち、商用系統と分散型電源とを連系
する連系母線に介装し、電力系統での事故発生時に分散
型電源を商用系統から解列させる高速限流遮断装置であ
り、該装置が前記連系母線に接続して事故検出器の信号
により開極動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対し
て高周波発生回路に投入スイッチを組合せて前記高速遮
断器の開極動作時に流れる事故電流に高周波電流を重畳
させる転流回路,および高速遮断器の極間に発生するサ
ージを吸収する消弧装置を並列接続したものにおいて、
前記高速遮断器とこれに並列接続する転流回路,消弧装
置との間に低遮断容量の補助遮断器を介装し、高速遮断
器の開極動作で事故電流を遮断した後に補助遮断器を開
極して転流回路,消弧装置を連系母線から切り離すよう
にし(請求項1)、その実施態様として、2台の補助遮
断器を転流回路,消弧装置の両端に分けて高速遮断器と
の間に介装するものとする(請求項2)。
【0017】上記の構成において、電力系統を連系運用
している通常の状態では補助遮断器を閉極(ON)とし
て転流回路,および消弧装置を高速遮断器に並列接続し
ておく。そして電力系統の事故発生時には高速遮断器を
開極動作させて事故電流を遮断した後、補助遮断器を開
極(OFF)して転流回路,消弧装置を高速遮断器から
切り離し、事故発生により生じた商用系統と分散型電源
との間の電圧位相のずれに起因する消弧装置への過電圧
印加を阻止して熱的破壊を防ぐ。また、電力系統の回復
後は分散型電源の同期投入は高速遮断器で行い、補助遮
断器はその直前に閉極して転流回路,消弧装置を高速遮
断器に並列接続する。
【0018】この動作から判るように、補助遮断器は高
速遮断器に流す高周波の転流電流(数kHzオーダー
で、大きさは事故電流の波高値程度、通電時間を数ms
程度)を遮断するだけで同期投入の能力も不要であるこ
とから、その通電容量,遮断能力は小さくてよく、簡単
な開閉器での代用も可能である。これにより、従来シス
テム(図4参照)のように高速限流遮断装置と直列に連
系母線に介装する通電容量の大きな遮断器が必要なく、
これにより連系システムの小形化,並びに設備費の低減
化が図れる。また、電力系統を連系運用している状態
で、高速限流遮断装置の転流回路,消弧装置に万一異常
が生じた場合でも、補助遮断器を開極することで、電力
系統の事故発生時には高速遮断器の開極動作により少な
くとも1サイクル遮断による系統の保護機能を確保でき
る。
【0019】さらに、2台の補助遮断器を使用して転流
回路,消弧装置の両端と高速遮断器との間に接続した請
求項2の構成によれば、高速遮断器の点検,動作確認な
どのメンテナンス時に各補助遮断器を開極して転流回路
を電気的に完全に切り離すことで、転流回路のコンデン
サに対する放電回路の省略が可能となる。
【0020】一方、前記構成の高速限流遮断装置を収容
する配電盤設備に関して、本発明によれば高速限流遮断
装置を収容する配電盤を複数の列盤(2面)に分けて構
築し、かつその一方の盤には連系母線を引き入れた上
で、主要機器である高速遮断器とその駆動ユニット、お
よび事故検出器を配備し、他方の盤には転流回路を構成
するコンデンサ,リアクトル,投入スイッチ、コンデン
サの充電装置、消弧装置、および補助遮断器とその駆動
ユニットなどの付属機器を配備するものとする(請求項
3)。
【0021】上記のように高速限流遮断装置を収容する
配電盤を、高速遮断器とその駆動ユニットなどを収容し
た主要機器盤と、転流回路,消弧装置,補助遮断器など
を収容した付属機器盤とに分けて列盤構成とすることに
より、設計,製作およびコスト面で次のような利点が得
られる。
【0022】すなわち、現在運用されている既存の電力
系統の連系システムにおいて、そのシステムに設備され
ている高速遮断器(1サイクル遮断器)を先記の高速限
流遮断装置に改造して機能アップを図る場合に、従来で
は既存の配電盤(1サイクル遮断器を収容した盤)を新
たに設計,製作した図5(a),(b) の列盤にそっくり取り
替える必要があって設備改造に要する費用がコスト高と
なる。
【0023】これに対して、本発明では配電盤設備を、
高速遮断器,事故検出器などを収容した主要機器盤と、
転流回路,消弧装置などを収容した付属機器盤とに分け
た列盤構成とすることにより、高速遮断器(1サイクル
遮断器)を収容した既設の盤をそのまま残して利用し、
これに本発明による付属機器盤を追加設備するだけで高
速限流遮断装置を構築でき、少ない費用で高速限流遮断
装置への改造が可能となるほか、配電盤の設計の手間も
省けて製作から製品納入,現地設置までの納期も大幅に
短縮できるメリットが得られる。
【0024】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図1
ないし図3に示す実施例に基づいて説明する。なお、実
施例の図中で図4,図5に対応する機器には同じ符号を
付してその説明は省略する。
【0025】〔実施例1〕図1(a),(b) は図4の従来装
置と対比して表した本発明の実施例による高速限流遮断
装置およびその動作のタイムチャートを示すものであ
る。この実施例においては、図4における遮断器10を
省略した上で、これに代わる補助遮断器26が高速限流
遮断装置9の高速遮断器11とこれに並列接続する転流
回路15,および消弧装置17との間に介装接続されて
いる。この補助遮断器26は、連系母線3に流れる事故
電流を遮断する際に、高速遮断器11の開極動作に合わ
せて転流回路15から高速遮断器11に極短時間だけ供
給される転流電流(事故電流に重畳させる高周波電流)
を遮断するものであって、その定格遮断容量,通電容量
は前記転流電流に対応していればよく、通常の真空遮断
器,あるいはその代替品として開閉器の使用も可能であ
る。
【0026】そして、商用電力系統と分散型電源2との
連系運用に当たって、常時は前記補助遮断器26を閉極
(ON)して転流回路15,消弧装置17を連系母線3
に接続した高速遮断器(1サイクル遮断器)11に並列
接続している。ここで、電力系統内に短絡,地絡事故が
発生すると、事故検出器20からの指令に基づき高速遮
断器11,補助遮断器26を開極、転流回路15の投入
スイッチ14を閉極動作させて事故電流を遮断する。ま
た、事故電流の遮断後は補助遮断器26を開極(OF
F)して転流回路,消弧装置を高速遮断器から切り離
し、事故発生により生じた商用系統と分散型電源との間
の電圧位相のずれに起因して消弧装置に過電圧が印加さ
れるのを阻止してその非線形抵抗素子の熱的破壊を防
ぐ。そして、事故点の切り離しにより電力系統が回復し
た後は、分散型電源2の同期投入を高速遮断器11で行
い、補助遮断器26はその直前に閉極して転流回路,消
弧装置を高速遮断器に並列接続する。
【0027】図1(b) は電力系統内での事故発生時にお
ける前記高速限流遮断装置9の動作を表すタイムチャー
トで、高速遮断器11の開極動作により事故電流を1/
4サイクル以内に遮断した後、補助遮断器26がこれに
若干遅れて開極する。また、系統の回復後は転流回路1
5のコンデンサ12を充電した後、高速遮断器11によ
る同期投入の直前に補助遮断器26を閉極するようにし
ている。
【0028】また、この実施例によれば、電力系統を連
系運用している状態で転流回路15,消弧装置17に万
一異常が発生した場合でも、補助遮断器26を開極する
ことで、事故発生時には高速遮断器11による1サイク
ル遮断機能を確保して分散型電源2を商用系統から解列
することが可能である。
【0029】〔実施例2〕図2(a),(b) は本発明の請求
項2に対応した応用実施例を示すものである。この実施
例においては、実施例1で述べた補助遮断器26を2台
使用し、転流回路15,消弧装置17の両端と高速遮断
器11との間に介装接続されており、2台の補助遮断器
26は事故検出器20からの指令で同時に開極,閉極動
作するようにしている。また、電力系統内での事故発生
時における高速限流遮断装置9の動作は実施例1と同様
であり、その動作のタイムチャートを図2(b) に示す。
【0030】この実施例によれば、2台の補助遮断器2
6を開極することにより、転流回路15,および消弧装
置17が高速遮断器11から電気的に完全に切り離され
ることになる。したがって、高速遮断器11の点検,動
作確認のメンテナンス時に補助遮断器26を開極すれ
ば、事前にコンデンサ12を放電しておく必要がなく、
これによりコンデンサ11に対する放電回路を省略でき
る。
【0031】〔実施例3〕次に、本発明の請求項3に対
応する高速限流遮断装置の配電盤設備の構成を図3(a),
(b) に示す。すなわち、高速限流遮断装置は配電盤21
と22からなる2面の列盤に分けて構築されており、そ
の一方の盤21を主要機器盤として、この盤には連系母
線(ケーブル,あるいはブスバー)3を引き入れた上
で、主要機器である高速遮断器11とその駆動ユニット
11a,および事故検出器20を配備している。また、
他方の盤22は付属機器盤として、盤内には転流回路1
5(図1,図2参照)のコンデンサ12,リアクトル1
3,投入スイッチ14、コンデンサ12の充電装置1
6、消弧装置17、および補助遮断器26とその駆動ユ
ニット26aなどの付属機器を配備する。
【0032】上記のように高速限流遮断装置9を収容す
る配電盤を、高速遮断器11とその駆動ユニット11a
などを収容した主要機器盤と、転流回路15,消弧装置
17,および補助遮断器26などを収容した付属機器盤
とに分けて標準化しておくことで、次記のような利点が
得られる。
【0033】すなわち、現在実際に運用されている電力
系統の連系システムでその連系用の分離遮断器として設
備されている高速遮断器(1サイクル遮断器)を高速限
流遮断装置に改造する場合に、従来では既存の配電盤
(1サイクル遮断器を収容した盤)を廃棄処分にし、新
たに設計,製作した図5(a),(b) の列盤21,22とそ
っくり取り替える必要があることから、設備改造に要す
る費用が嵩む。
【0034】かかる点、図示実施例の構成では高速遮断
器(1サイクル遮断器)を収容した既設の盤を残してそ
のまま利用し、これに付属機器盤を追加設備するだけで
高速限流遮断装置を構築でき、少ない費用で高速限流遮
断装置への改造が可能となるほか、配電盤の設計の手間
も省けて、製作から製品納入,現地設置までの納期も大
幅に短縮できる。
【0035】なお、高速限流遮断装置9を適用する電力
系統の系統電圧は、系統によって3kVあるいは6kV
と異なる場合があるが、付属機器盤(配電盤22)に装
備する各種機器の絶縁強度をあらかじめ3kV/6kV
に対応できるような仕様にしておけば、機器の変更を要
さずに同一品の共用が可能である。また、転流回路のコ
ンデンサ12に対する充電装置16についても、コンデ
ンサの充電電圧は系統電圧によって変わるが、その操作
電圧を変更するだけで簡単に対応できる。
【0036】
【発明の効果】以上述べたように、本発明の構成によれ
ば次記の効果を奏する。
【0037】(1) 商用系統と分散型電源とを連系する連
系母線に介装し、電力系統での事故発生時に分散型電源
を商用系統から解列させる高速限流遮断装置であり、該
装置が前記連系母線に接続して事故検出器の信号により
開極動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対して高周
波発生回路に投入スイッチを組合せて前記高速遮断器の
開極動作時に流れる事故電流に高周波電流を重畳させる
転流回路,および高速遮断器の極間に発生するサージを
吸収する消弧装置を並列接続したものにおいて、前記高
速遮断器とこれに並列接続する転流回路,消弧装置との
間に補助遮断器を介装したことにより、従来システムの
ように高速限流遮断装置と直列に連系母線に介装する通
電容量の大きな遮断器が必要なく、これにより連系シス
テムの小形化,並びに設備費の低減化が図れる。また、
電力系統を連系運用している状態で、高速限流遮断装置
の転流回路,消弧装置に万一異常が生じた場合でも、補
助遮断器を開極することで、電力系統の事故発生時には
高速遮断器の開極動作により少なくとも1サイクル遮断
による系統の保護機能を確保できる。
【0038】(2) また、前記の補助遮断器を2台使用
し、これを転流回路,消弧装置の両端に分けて高速遮断
器との間に介装した本発明の請求項2の構成によれば、
高速遮断器の点検,動作確認などのメンテナンス時に各
補助遮断器を開極して転流回路を電気的に完全に切り離
すことで、転流回路のコンデンサに対する放電回路の省
略が可能となる。
【0039】(3) さらに、前記の高速限流遮断装置を収
容する配電盤を複数の列盤に分けて構築し、かつその一
方の盤には連系母線を引き入れた上で、主要機器である
高速遮断器とその駆動ユニット、および事故検出器を配
備し、他方の盤には転流回路を構成するコンデンサ,リ
アクトル,投入スイッチ、コンデンサの充電装置、消弧
装置、および補助遮断器とその駆動ユニットなどの付属
機器を配備した本発明の請求項3の構成を採用すること
により、現在運用されている電力系統の連系システムに
設備されている既設の高速遮断器(1サイクル遮断器)
を高速限流遮断装置に改造して機能アップを図る場合
に、高速遮断器(1サイクル遮断器)を収容した既設の
盤をそのまま残して利用し、これに本発明による付属機
器盤を追加設備するだけで高速限流遮断装置を構築で
き、少ない費用で高速限流遮断装置への改造が可能とな
るほか、配電盤の設計の手間も省けて製作から製品納
入,現地設置までの納期も大幅に短縮できるメリットが
得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例1に対応する系統連系用の高速
限流遮断装置の説明図であり、(a) は構成回路図、(b)
は事故電流遮断時の動作を表すタイムチャート
【図2】本発明の実施例2に対応する系統連系用の高速
限流遮断装置の説明図であり、(a) は構成回路図、(b)
は事故電流遮断時の動作を表すタイムチャート
【図3】本発明の実施例3に対応する高速限流遮断装置
を収容する配電盤設備の列盤構成図であり、(a),(b) は
それぞれ主要機器盤,および付属機器盤の盤内構成図
【図4】従来における系統連系用の高速限流遮断装置の
説明図であり、(a) はその構成回路図、(b) は事故電流
遮断時の動作を表すタイムチャート
【図5】従来における高速限流遮断装置を収容する配電
盤設備の列盤構成図であり、(a),(b) はそれぞれ各列盤
の盤内構成図
【符号の説明】
1 商用電源 2 分散型電源 3 連系母線 6,7 負荷 9 高速限流遮断装置 11 高速遮断器 12 コンデンサ 13 リアクトル 14 投入スイッチ 15 転流回路 16 充電装置 17 消弧装置 20 事故検出器 21,22 配電盤の列盤
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 中井 裕二 大阪府大阪市中央区平野町四丁目1番2号 大阪瓦斯株式会社内 (72)発明者 岩井 弘美 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 岡村 毅 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 昆野 康二 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 (72)発明者 鈴木 伸夫 神奈川県川崎市川崎区田辺新田1番1号 富士電機株式会社内 Fターム(参考) 5G028 FB01 FC01 5G066 AB01

Claims (3)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】商用系統と分散型電源とを連系する連系母
    線に介装し、電力系統での事故発生時に分散型電源を商
    用系統から解列させる高速限流遮断装置であり、該装置
    が前記連系母線に接続して事故検出器の信号により開極
    動作する高速遮断器と、該高速遮断器に対して高周波発
    生回路に投入スイッチを組合せて前記高速遮断器の開極
    動作時に流れる事故電流に高周波電流を重畳させる転流
    回路,および高速遮断器の極間に発生するサージを吸収
    する消弧装置を並列接続したものにおいて、 前記高速遮断器とこれに並列接続する転流回路,消弧装
    置との間に補助遮断器を介装したことを特徴とする電力
    系統連系システムの高速限流遮断装置。
  2. 【請求項2】請求項1記載の高速限流遮断装置におい
    て、2台の補助遮断器を転流回路,消弧装置の両端に分
    けて高速遮断器との間に介装したことを特徴とする電力
    系統連系用の高速限流遮断装置。
  3. 【請求項3】請求項1記載の高速限流遮断装置におい
    て、当該装置を収容する配電盤を複数列盤に分けて構築
    し、かつその一方の盤には連系母線を引き入れた上で、
    主要機器である高速遮断器とその駆動ユニット、および
    事故検出器を配備し、他方の盤には転流回路を構成する
    コンデンサ,リアクトル,投入スイッチ、コンデンサの
    充電装置、消弧装置、および補助遮断器とその駆動ユニ
    ットなどの付属機器を配備したことを特徴とする電力系
    統連系用の高速限流遮断装置。
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