JP3925714B2 - 燕麦を用いた味噌 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燕麦を用いた味噌に関し、特に米を原料として用いない味噌で、米アレルギーの発生の恐れのない味噌に関する。
【0002】
【従来の技術】
味噌は、その原料により米味噌、麦味噌、豆味噌およびその他の味噌に分けられる。これは麹にする原料の名を冠して呼ばれており、米味噌は、米を麹にして、これに蒸煮した大豆および食塩を混合して発酵させたものである。従来の味噌醸造においては蒸煮大豆と米、麦または大豆で製麹を行った麹と、食塩とを合わせて塩切りとする。これに蒸煮大豆と塩を加えて熟成させ、さらに半年間の熟成時間を与えて味噌製品とする。
燕麦は飼料用穀物として利用されてきたが、特有の匂いのために従来は食品原料としての用途は限定されていた。
今日問題となっている穀物アレルギーには、米に反応するアレルギーがある。離乳食として「重湯」を摂取すると少年期に頭痛の発生を見る、さらに喫食時に無色透明の鼻水が出る等の症状を呈する。米味噌は米を用いて製麹し、大豆を加えて発酵させ熟成した味噌であり、米の含有量は少量であっても米アレルギーの患者にとっては発症原因物質となる。米アレルギーの患者にとっては少量の米を含む食品でも喫食できなくなってしまう。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明はこのような従来技術における問題点を解決し、米を用いずに麹を作り、風味のよい味噌を作成しようとする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は以下の各発明を提供する
(1)少なくとも燕麦と、穀類および豆類からなる群から選択される少なくとも一つとを含む混合物を発酵させて得られる燕麦味噌。
(2)燕麦(カラスムギ、Oats)を含む原料を用いて麹を作成し、該麹、蒸煮した大豆および塩を混合して発酵させて得られる燕麦味噌。
(3)さらに、ジベレリンを含有する(1)または(2)に記載の燕麦味噌。
(4)コメを原料中に含まない (1) 〜(3)のいずれかに記載の燕麦味噌。
【0005】
本発明の燕麦味噌は、少なくとも燕麦と、穀類および豆類からなる群から選択される少なくとも一つとを含む混合物を発酵させて得られることができる味噌であれば限定されない。したがって、燕麦のみから麹を作って、燕麦を原料として麹と共に発酵させて得られる味噌でも、燕麦と他の原料とから麹をつくり、その麹を、他の燕麦以外の穀物および豆類から選択される少なくとも一つと混合して発酵させて得られる味噌でもよい。米麹、麦麹、豆麹のいずれかを用いて麹を作り、これに燕麦または燕麦以外の穀物および豆類から選択される少なくとも一つと混合して塩を加えて発酵させて得られる味噌であってもよい。麹原料・発酵原料のいずれかに燕麦を含むもの、またはすべてが燕麦である味噌も含まれる。
好ましくは、燕麦を含む大豆原料を麹とし、この麹に蒸煮大豆と塩とを混合して発酵して得られる、燕麦味噌が好ましい。米を原料として用いないので米アレルギーでも喫食できるからである。
【0006】
また、燕麦を原料の一部として含む味噌であれば、製麹、発酵工程を経たものでなくても、アルコール等の化学合成品から得られる味噌であってもよく、その製造方法は問わない。
本発明の燕麦味噌はさらに原料としてジベレリンを含有することができる。ジベレリンを含有すると発酵製品の味、風味がよい。
【0007】
燕麦(カラスムギ: Oats)の一般成分は、粗蛋白質17%、粗脂肪7.0%、炭水化物67%、水分8.5%であり、優れた穀物であることを窺い知ることができる。
【0008】
本発明の燕麦味噌の製造方法は、限定されないが、以下の方法で1例として製造できる。
【0009】
【表1】
【0010】
(1)製麹工程
1)燕麦を精白する。精白の程度は限定されないが、70〜80%の歩留まりとする。その後必要により水洗する。
本方法においては、燕麦(カラスムギ)を炒熬割砕(炒めながら粉砕)することを第一の特徴とする。これは燕麦の表面積を50万倍以上に拡大することと、酵素との接触面積の拡大により製麹を早める。燕麦の持つ固有の香りも散逸が可能となった。
2)一方大豆を吸水のため水に浸漬する。浸漬時間は適宜調整する。
その後水切りし、蒸し、冷却する。
3)冷却した蒸煮大豆に燕麦の炒熬割砕物を混合し、種麹好ましくは、Aspergillus Oriyzae(コウジカビ)を種付けする。混合比は、任意の割合とすることができ, 最終製品の味や風味の点で好みに応じて決定すれば良い。
【0011】
次に適温に保持して麹菌を培養する。培養中は、攪拌し、通気をよくする。麹の用途に応じて温度とpHを調節する。出麹はそのまま堆積すると麹菌の呼吸による発熱でいわゆる焼け麹となるのでこれを防止するために、仕込みに使用する一部の食塩を混合して塩切麹とする。食塩の量は麹の20〜30%程度とする。
燕麦を飼料としている家畜にはアレルギー発症の報告はない。他方大豆には、麹、乳酸菌、酵母の増殖後にはアレルギーの発症は見られないのはすでに公知の事実である。
【0012】
2)大豆の処理
生大豆は、不要な酵素や、特有の、豆臭があるので湿熱加熱によって変性、失活させる。蒸す方法と煮る方法があり、それぞれを目的に応じて選択する。
3)混合、仕込み
湿熱加熱処理大豆を冷却してから、塩切麹、食塩、種水(水分調整のために加える殺菌水)を加える。混合物は部分的にすりつぶし、発酵容器に入れ、所望の温度で所望の時間発酵させる。
種水中には、好ましくは、スタータ、ビタミン等を入れる。
スタータは味噌の発酵を促進する微生物で、酵母には、Saccharmyces rouxii,Toruopsis versatiis 等が例示でき、乳酸スタータとしては、Pediococcus halophilus, Streptococcus faecalis等がある。乳酸菌と酵母とは拮抗作用をするので、それを考慮して混合量を調整する。
【0013】
4)発酵管理
温度管理、攪拌を行う。必要により加熱処理する。
5)製品は、必要によりブレンドして品質調整し、粒のまま(粒味噌)出荷するか、漉して(漉し味噌)出荷する。必要により保存料(ソルビン酸、アルコール)を加えるか加熱処理する。
6)ジベレリンは上記の製造工程のどこで加えてもよいが、好ましくは塩切りの工程または種水に加えて含有させる。ジベレリンが含有されると発酵工程によい影響が出て、最終製品の燕麦味噌の味、または風味がよくなると考えられるからである。混合量は、全塩切麹に対して、0.01〜0.1wt%、好ましくは0.01〜0.05wt%である。
【0014】
ジベレリン(Gibberlla Fujikuroi)は、植物の伸長を促進することはその発見以来よく知られている。さらに現在では、発芽から結実まで、植物の成長や分化の過程で影響を及ぼしていることが明らかにされてきた。α−アミラーゼ,プロテアーゼ、リボヌクレアーゼは、ジベレリンに誘導され、de novo に合成される。ジベレリンが発酵微生物に影響を及ぼすという報告は従来まったくない。
【0015】
燕麦は炒熬と割砕により麦類のもの固有の有臭成分は散逸する。さらに乳酸菌、酵母による増殖と発酵による香気への変換が進み良好な味噌風味を得ることができる。
【0016】
本発明の燕麦味噌は、必要に応じて、カルシウム、ビタミンA、B1,B2,メチオニン, 各種だし類等の栄養素や添加物を混合して栄養強化燕麦味噌またはだし入り燕麦味噌としてもよいし、味噌中のナトリウム量を減らして低ナトリウム燕麦味噌としてもよい。
【0017】
【実施例】
(実施例1)
1)製麹と仕込み
燕麦1.2kgを炒熬割砕したものと原料大豆1.2kgで蒸煮豆を作り、すりつぶしたものを、Aspergillus Oryzaeを用い麹を作り、72時間で完成麹とし、塩切り工程で、食塩を192g(約10%)混合して仕込みとした。ここで、ジベレリンをジベレリン協和液剤(40mL中にジベレリン200mgその他湿展剤・有機溶剤)を用いて正味1g加えたものと、加えないものを作った。
2)乳酸種作り
10%豆乳200gに、Pediococcus Falophilusを接種、30℃で20時間培養して種菌とする。培地食塩濃度は3%で十分で味噌香を作った。
3)酵母種作り
イーストエキス10g、MgCO3 、0.5gを、水1.0Lに溶解したものにSchizosaccharomyces rouxiiを接種、30℃で15時間培養して種菌とする、培地食塩濃度は3%で充分で発酵熟成味を醸すものとして用いた。
【0018】
4)混合、仕込み
湿熱加熱処理大豆を冷却してから、上記の1)で得られた塩切麹に、3)で得られた酵母種、2)で得られた乳酸種、食塩、種水(水分調整のために加える殺菌水)、および蒸煮大豆を加えた。混合物は部分的にすりつぶし、発酵容器に入れ、所望の温度で所望の時間発酵させ、燕麦味噌を製造した。ジベレリンを加えなくても従来の味噌と遜色ない味噌ができたが、ジベレリンを加えたものは、さらに味、風味のよい味噌が得られた。
【0019】
【発明の効果】
本発明は燕麦を用いても、味、風味のよい燕麦臭のない味噌を得た。また、米を用いずに麹を作り、風味のよい味噌が得られ、米アレルギー患者に有用な燕麦味噌が得られる。
Claims (3)
- 炒熬割砕した燕麦、または、炒熬割砕した燕麦と大豆に種麹を接種して麹をつくり、前記麹に温熱加熱処理大豆と塩とを混合し発酵させて得られる燕麦味噌。
- 前記炒熬割砕が燕麦、または、燕麦と大豆の表面積を50万倍以上とし、燕麦固有の香りをなくすものである請求項1に記載の燕麦味噌。
- さらに、ジベレリンを含有する請求項1または2に記載の燕麦味噌。
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