しかしながら、上述した遮光技術には、以下のような問題点があった。すなわち、対向基板上やTFTアレイ基板上に遮光膜を形成する技術によれば、遮光膜とチャネル領域との間は、3次元的に見て例えば液晶層、電極、層間絶縁膜等を介してかなり離間しており、両者間へ斜めに入射する光に対する遮光が十分ではない。特に、プロジェクタのライトバルブとして用いられる小型の電気光学装置においては、入射光は光源からの光をレンズで絞った光束であり、斜めに入射する成分を無視し得ない程度(例えば、基板に垂直な方向から10度から15度程度傾いた成分を10%程度)含んでいるので、このような斜めの入射光に対する遮光が十分でないことは実践上問題となる。
特に、上述した電気光学装置の小型化という一般的要請に沿うべく、該装置の高精細化あるいは画素ピッチの微細化が進むとともに、表示画像の高品位化という一般的要請に沿って更に明るい画像を表示すべく、入射光の光強度は高まる傾向にあり、上述した従来の遮光技術によれば、十分な遮光を施すのがより困難な状況にある。
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたものであり、TFTに対する光の入射を未然に防止することで高品位な画像を表示することの可能な電気光学装置及びそのような電気光学装置を具備してなる電子機器を提供することを課題とする。
本発明の第1の電気光学装置は、基板上に、マトリクス状に配列された画素電極と、前記画素電極にスイッチング動作により画像信号を供給する画素用トランジスタと、前記画素用トランジスタに前記画像信号を供給する第1配線と、前記第1配線に交差して設けられ、前記画素用トランジスタに前記スイッチング動作を制御するための走査信号を供給する第2配線と、前記第1配線と前記画素用トランジスタとの間に配置されるとともに、平面的にみて前記第2配線に沿って延びる本線部と前記第1と交差する個所から前記第1配線に沿って上下に突出する突出部とを有して前記画素用トランジスタに重なる遮光膜と、前記画素用トランジスタのチャネル領域に対向するゲート電極としての幅狭部、及び該幅狭部よりも幅広であり、かつ、前記チャネル領域に対向しない幅広部を含むとともに、前記チャネル領域に対向しない幅広部の領域に形成されたコンタクトホールにより前記第2配線に電気的に接続された電極部とを具備し、前記チャネル領域は、前記電極部と前記第2配線の間の層、且つ前記第1配線と前記第2配線の間の層に配置されるとともに、平面的にみて前記第2配線を挟んで相隣接する画素電極間を縫って延びる長手状の第1間隙と、前記第1配線を挟んで相隣接する画素電極間を縫って延びる長手状の第2間隙とが交わる交差領域に形成され、前記トランジスタのソース領域、前記チャネル領域、及びドレイン領域が前記第2間隙に沿って延在するように形成されていることを特徴とする。
本発明の第1の電気光学装置によれば、第2配線を通じて走査信号を薄膜トランジスタに供給することでそのON・OFFを制御することが可能であり、更に、該薄膜トランジスタがONとされている場合において、第1配線を通じて画像信号を画素電極に供給することが可能であるから、いわゆるアクティブマトリクス駆動を実現することができる。
そして本発明では特に、前記第2配線は、薄膜トランジスタのチャネル領域に対向するゲート電極としての幅狭部と、該幅狭部よりも幅広であり、かつ、前記チャネル領域に対向しない幅広部とを含んでいる。すなわち、本発明に係る第2配線は、チャネル領域の周囲にいわば傘を広げたような形態をとることとなる。これにより、薄膜トランジスタのチャネル領域に入射しようとする光は、本発明に係る第2配線の幅広部によって、その進行が遮られることになる。特に、このような遮蔽効果は、チャネル領域に対して斜めに入射してくる光について、効果的に発揮される。
したがって、本発明によれば、薄膜トランジスタにおける光リーク電流の発生を極力抑制することが可能であり、もってフリッカ等のない高品質な画像を表示することが可能となるのである。
なお、本発明において、「幅広」というのは、「幅狭部」が有する幅に対して広いという意味であり、「幅狭」というのは、「幅広部」が有する幅に対して狭いという意味である。要するに、「幅広部」及び「幅狭部」というときの具体的な広狭の程度は、両者の相対的な関係で決せられる。
また、これに関連して、幅広部、あるいは幅狭部が実際に有すべき幅値は、上述した光遮蔽効果の強弱や、画素開口率の維持、あるいは基板上の他の構成要素とのレイアウト等の事情を勘案した上、理論的、経験的、実験的、あるいはシミュレーション等によって適宜決定することができる。より具体的には、電気光学物質を挟んで前記基板に対向配置される対向基板上に、典型的に形成される格子状の遮光膜が設けられる場合にあっては、幅広部の幅は、前記遮光膜の幅を越えない程度に形成する、等とすればよい。これによれば、幅広部が非開口領域内に閉じ込められることになるから、画素開口率に影響を与えることがない。
加えて、本発明にいう「電気光学物質」としては、上述したように、液晶が該当する場合が典型的であるが、その他にも、適当なバインダ内に分散された粉末EL(エレクトロ・ルミネッセンス)、あるいは無機又は有機EL等もまた該当し得る。この場合においては、ELに対して電界が印加され、それ自身が発光することで、画像が表示されるというメカニズムになるが、このような「EL表示装置」においても、上述のTFT、第2配線及び第1配線等が備えられる場合が考えられることからすると、そのような場合においても、本発明の適用は当然に可能である。
本発明の第2の電気光学装置は、基板上に、画素電極と、該画素電極にスイッチング動作により画像信号を供給する薄膜トランジスタと、該薄膜トランジスタに前記画像信号を供給する第1配線と、前記薄膜トランジスタに前記スイッチング動作を制御するための走査信号を供給する第2配線と、前記薄膜トランジスタのチャネル領域に対向するゲート電極としての幅狭部及び該幅狭部よりも幅広であり、かつ、前記チャネル領域に対向しない幅広部を含むとともに、前記第2配線に電気的に接続された電極部とを備えている。
本発明の第2の電気光学装置によれば、上述の本発明の第1の電気光学装置とほぼ同様にして、アクティブマトリクス駆動が可能である。ただし、本発明においては、薄膜トランジスタに対する走査信号の供給は、第2配線に加え、電極部を介して行われることになる。
そして、本発明では特に、幅狭部及び幅広部を含む電極部を備えるとともに、該電極部が第2配線と電気的に接続された形態となる。これにより、例えば、第2配線及び電極部を基板上の別の層に作りこむことが可能であることなどにより、薄膜トランジスタ等の配置態様のレイアウト自由度を高めることが可能である他、例えば第2配線については、これをより電気伝導性に優れた材料から構成するとともに、電極部についてはこれを遮光性に優れた材料で構成する等ということも可能である。
いずれにしても、本発明の第2の電気光学装置によれば、上述の本発明の第1の電気光学装置と略同様に、幅広部によるチャネル領域に対する遮光を実現することが可能であるから、光リーク電流の発生を抑制し、より高品質な画像を表示することが可能であることに変わりはない。
本発明の第2の電気光学装置の一態様では、前記電極部と前記第2配線との電気的な接続は、コンタクトホールを介して行われている。
この態様によれば、第2配線及び電極部との電気的な接続が、コンタクトホールを介して行われることにより、両要素を、例えば一層以上の層間絶縁膜等を挟んだ基板上の別個の層として形成することが可能であり、基板上における各種構成要素のレイアウト自由度を高めることが可能となる。
本発明の第1の電気光学装置の一態様及び本発明の第2の電気光学装置の他の態様では、前記幅広部の少なくとも一部は、平面的にみて、前記第1配線と重なり合う領域を有する。
この態様によれば、例えば、下から順に、チャネル領域、幅広部を含む第2配線又は電極部、及び第1配線という積層構造が形成されている場合には、第1配線の上方から進入してくる光は、まず第1配線の上面において遮蔽され、それを抜けてきた光は、幅広部の上面において遮蔽される、等というように、より高い光遮蔽機能が発揮されることになる。また、第1配線及び幅広部が平面的に見て重なり合うということは、チャネル領域に至る光の進入経路が限定されてくることを意味するから、これによってもより高い光遮蔽機能の発揮が実現されることとなる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記幅広部は、前記幅狭部から延設されてなる部分を含む。
この態様によれば、幅広部及び幅狭部を有する第2配線又は電極部を、比較的容易に形成することが可能となる。具体的には例えば、幅広部及び幅狭部がいわば一体的であるようなパターンを形成することを前提とした、公知のフォトリソグラフィ及びエッチングを用いることにより、本態様に係る第2配線又は電極部を容易に形成することが可能となる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記幅広部は、前記幅狭部から接続されてなる部分を含む。
この態様によれば、例えば、幅広部は、別に用意された導電部材等を幅狭部に対して接続することにより形成されている部分を含むことになる。このような場合であっても、比較的容易に幅広部を形成することが可能である。
また、この場合では特に、ゲート電極としての機能が期待される幅狭部にはそれに適した材料を、高い光遮光性能が期待される幅広部には別に適した材料を、というように、幅狭部と幅広部とを異なる材料で構成することも容易に可能となる。
このような場合として具体的には、例えば、幅狭部については、これを導電性あるポリシリコンで構成する一方、幅広部については、これを後述するようなWSi(タングステンシリサイド)等の遮光性材料で構成する、等とすることが可能である。このような構成によれば、一般にゲート電極としての機能を担わせるには適当とはいえない遮光性材料には、そのような機能を担わせず、該機能はポリシリコン膜に担わせるという利点が得られるし、これと同時に、高い遮光機能の発揮をも実現できることになる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記幅広部は、遮光性材料からなる。
この態様によれば、幅広部が遮光性材料からなるから、該幅広部による遮光機能はより確実に発揮されることになる。
なお、本態様においては、幅広部のみを遮光性材料からなるように構成することは勿論、幅広部及び幅狭部を含めて遮光性材料からなるように構成してもよい。前者のような場合は、上述した、幅広部が幅狭部から接続されてなる部分を含む態様において、好適に実現することができることは既に述べたとおりである。
また、本態様にいう「遮光性材料」の具体例としては、Ti(チタン)、Cr(クロム)、W(タングステン)、Ta(タンタル)、Mo(モリブデン)等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等を挙げることができる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記第2配線又は前記電極部は、多層構造を有する。
この態様によれば、第2配線又は電極部を、例えば、ゲート電極として有効に機能させるための層と、遮光性能を持たせるための層とからなる二層構造(なお、前者としては例えばポリシリコン等が挙げられ、後者としては上述したようにTi、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属等を挙げることができる。)をもたせる等ということが可能となり、本発明において該第2配線又は該電極部に求められる性能をより好ましく発揮させることが可能である。これにより、薄膜トランジスタ、あるいは電気光学装置の好適な動作を確保するとともに、十分な遮光性能を発揮することが可能となる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記幅広部は、前記幅狭部の縁部から見て、前記チャネル領域の延在する方向の一方又は両方に延在している。
この態様によれば、幅広部は、チャネル領域の延在する一方又は両方に延在されていることから、薄膜トランジスタ及び第2配線又は電極部との配置態様の調整を、好適に実施しうることになる。ここで、幅広部が「一方に延在されている」場合とは、チャネル領域の延在する方向における該チャネル領域の一の端部に沿った直線上に、幅広部の一の端部はのるが、他の端部同士は前記直線と平行な直線上にはのらない場合であり、他方、「両方に延在されている」場合とは、前記チャネル領域の一の端部及び他の端部のそれぞれに沿った直線上に、前記幅広部の一の端部及び他の端部のいずれもがのらない場合である。
本態様ではこのように、幅狭部に対して、「幅広」とすべき部分を自由に決定することが可能であるから、薄膜トランジスタ及び第2配線及び電極部との配置態様の調整を好適に実施することができるとともに、これに起因して、基板上の各種構成要素のレイアウトの自由度を高めることも可能となるのである。
なお、上述において、幅広部を一方だけ延在させる場合、あるいは両方に延在させる場合のいずれにおいても、該幅広部を幅狭部に対して具体的にどれだけ突出させるかについては、既に述べたように、種々の事情を考慮して決定することができる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記画素電極はマトリクス状に配列されてなり、前記チャネル領域は、平面的にみて前記第2配線を挟んで相隣接する画素電極間を縫って延びる長手状の第1間隙と、前記第1配線を挟んで相隣接する画素電極間を縫って延びる長手状の第2間隙とが交わる交点領域内に形成されている。
この態様によれば、薄膜トランジスタのチャネル領域が、交点領域内に形成されていることにより、光の入射が最も生じにくい構成が現出されている。したがって、本発明に係る幅広部による作用効果も相俟って、本態様に係る電気光学装置によれば、より確実に光リーク電流の発生を抑制し、より高品質な画像を表示することが可能となる。
なお、本態様にいう「マトリクス状に配列された」というのは、画素電極が縦横それぞれに直線的に配列されるような単純な形態を含むのは勿論、例えば、縦横のうち少なくとも一方の方向についてのみ蛇行状又は千鳥足状に配列されるような形態等をも含む。
この態様では特に、前記チャネル領域並びにソース領域及びドレイン領域が、前記第2間隙に沿って延在するように形成されており、前記幅狭部の幅は、前記チャネル領域の第2間隙に沿った長さに一致するとともに、前記幅広部の幅は、前記長さよりも大きい値を有する。
このような構成によれば、いわゆる「チャネル長」(上述でいう「チャネル領域の第2間隙に沿った長さ」)の方向と、第2間隙の方向とが一致するように、薄膜トランジスタが形成されることになる。そして、幅狭部の幅は、前記チャネル長に一致し、幅広部の幅は、このチャネル長よりもその値が大きい幅を有することになる。
このような構造は、薄膜トランジスタないしそのチャネル領域及び第2配線又は電極部の最も好適な配置態様の一つを現出するものといえ、これを基本として、第1配線、画素電極等の配置態様をも好適に決定することができることになる。
本発明の第1又は第2の電気光学装置の他の態様では、前記薄膜トランジスタの下側に、下側遮光膜を更に備えている。
この態様によれば、薄膜トランジスタに対する光の入射の防止を、より確実に達成することが可能となる。すなわち、本発明に係る幅広部が薄膜トランジスタの上側に設けられるのであれば、上側及び下側からチャネル領域に対して進入してくる光を遮ることが可能となるし、前記幅広部が薄膜トランジスタの下側に設けられるのであれば、下側に関し、二重の遮光が可能となるのである。
具体的には例えば、本態様に係る電気光学装置が、カラー表示可能な投射型表示装置におけるライトバルブとして利用される場合においては、当該投射型表示装置には、例えば赤、青及び緑の三色に対応する三組のライトバルブ(電気光学装置)が、一組のプリズムに対向して備えられることになる。このような場合、例えば赤に対応する電気光学装置に対して、それに対向する青に対応する電気光学装置を抜けてきた光が入射してくる場合があるのである。そして、この光は、いわゆる戻り光として、薄膜トランジスタの下側から入射してくる光となる。
ここで、本態様に係る下側遮光膜によれば、薄膜トランジスタの下側から入射してくる光に対する遮光が可能となるから、該薄膜トランジスタにおける光リーク電流の発生の可能性をより低減することが可能となるのである。
本発明の電子機器は、上述した本発明の第1又は第2の電気光学装置(ただし、その各種態様を含む。)を具備してなる。
本発明の電子機器によれば、薄膜トランジスタに対する光遮蔽性に優れた電気光学装置を具備してなるから、フリッカ等のない高品質な画像を表示することの可能な、投射型表示装置(液晶プロジェクタ)、液晶テレビ、携帯電話、電子手帳、ワードプロセッサ、ビューファインダ型又はモニタ直視型のビデオテープレコーダ、ワークステーション、テレビ電話、POS端末、タッチパネル等の各種電子機器を実現することができる。
本発明のこのような作用及び他の利得は次に説明する実施の形態から明らかにされる。
以下では、本発明の実施の形態について図を参照しつつ説明する。以下の実施形態は、本発明の電気光学装置を液晶装置に適用したものである。
(第1実施形態)
まず、本発明の第1実施形態における電気光学装置の画素部における構成について、図1から図3を参照して説明する。ここに、図1は、電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素における各種素子、配線等の等価回路である。また、図2は、データ線、走査線、画素電極等が形成されたTFTアレイ基板の相隣接する複数の画素群の平面図であり、図3は、図2のA−A´断面図である。なお、図3においては、各層・各部材を図面上で認識可能な程度の大きさとするため、該各層・各部材ごとに縮尺を異ならしめてある。
図1において、第1実施形態における電気光学装置の画像表示領域を構成するマトリクス状に形成された複数の画素には、それぞれ、画素電極9aと当該画素電極9aをスイッチング制御するためのTFT30とが形成されており、画像信号が供給されるデータ線6aが当該TFT30のソースに電気的に接続されている。データ線6aに書き込む画像信号S1、S2、…、Snは、この順に線順次に供給しても構わないし、相隣接する複数のデータ線6a同士に対して、グループ毎に供給するようにしてもよい。
また、TFT30のゲートに走査線3aが電気的に接続されており、所定のタイミングで、走査線3aにパルス的に走査信号G1、G2、…、Gmを、この順に線順次で印加するように構成されている。画素電極9aは、TFT30のドレインに電気的に接続されており、スイッチング素子であるTFT30を一定期間だけそのスイッチを閉じることにより、データ線6aから供給される画像信号S1、S2、…、Snを所定のタイミングで書き込む。
画素電極9aを介して電気光学物質の一例としての液晶に書き込まれた所定レベルの画像信号S1、S2、…、Snは、対向基板に形成された対向電極との間で一定期間保持される。液晶は、印加される電圧レベルにより分子集合の配向や秩序が変化することにより、光を変調し、階調表示を可能とする。ノーマリーホワイトモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が減少し、ノーマリーブラックモードであれば、各画素の単位で印加された電圧に応じて入射光に対する透過率が増加され、全体として電気光学装置からは画像信号に応じたコントラストをもつ光が出射する。
ここで保持された画像信号がリークするのを防ぐために、画素電極9aと対向電極との間に形成される液晶容量と並列に蓄積容量70を付加する。この蓄積容量70は、走査線3aに並んで設けられ定電位に固定された容量線300を含んでいる。
以下では、上記データ線6a、走査線3a、TFT30等による、上述のような回路動作が実現される電気光学装置の、より現実的な構成について、図2及び図3を参照して説明する。
まず、第1実施形態に係る電気光学装置は、図2のA−A´線断面図たる図3に示すように、透明なTFTアレイ基板10と、これに対向配置される透明な対向基板20とを備えている。TFTアレイ基板10は、例えば、石英基板、ガラス基板、シリコン基板からなり、対向基板20は、例えばガラス基板や石英基板からなる。
図3に示すように、TFTアレイ基板10には、画素電極9aが設けられており、その上側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜16が設けられている。画素電極9aは、例えばITO(Indium Tin Oxide)膜等の透明導電性膜からなる。他方、対向基板20には、その全面に渡って対向電極21が設けられており、その下側には、ラビング処理等の所定の配向処理が施された配向膜22が設けられている。このうち対向電極21もまた、上述の画素電極9aと同様に、例えばITO膜等の透明導電性膜からなる。なお、前記の配向膜16及び22は、例えば、ポリイミド膜等の透明な有機膜からなる。
一方、図2において、前記画素電極9aは、TFTアレイ基板10上に、マトリクス状に複数設けられており(点線部9a´により輪郭が示されている)、画素電極9aの縦横の境界に各々沿ってデータ線6a及び走査線3aが設けられている。データ線6aは、図2中x方向に関して相隣接する画素電極9a間の間隙、すなわち同図中y方向に縫って延びる間隙(本発明にいう「第2間隙」に該当する。)に沿って形成されており、その材質は、例えばアルミニウム膜等の金属膜あるいは合金膜からなる。他方、走査線3aは、図2中y方向に関して相隣接する画素電極9a間の間隙、すなわち同図中x方向に縫って延びる間隙(本発明にいう「第1間隙」に該当する。)に沿って形成されている。このうち走査線3aは、半導体層1aのうち図中右上がりの斜線領域で示したチャネル領域1a´に対向するように配置されており、走査線3aの一部はゲート電極として機能する。すなわち、走査線3aとデータ線6aとの交差する箇所(本発明にいう「交点領域」に該当する。)にはそれぞれ、チャネル領域1a´に走査線3aの本線部がゲート電極として対向配置された画素スイッチング用のTFT30が設けられている。
TFT30は、図3に示すように、LDD(Lightly Doped Drain)構造を有しており、その構成要素としては、上述したようにゲート電極として機能する走査線3a、例えばポリシリコン膜からなり走査線3aからの電界によりチャネルが形成される半導体層1aのチャネル領域1a´、走査線3aと半導体層1aとを絶縁するゲート絶縁膜を含む絶縁膜2、半導体層1aにおける低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1c並びに高濃度ソース領域1d及び高濃度ドレイン領域1eを備えている。
そして、第1実施形態においては特に、走査線3aが、図2に示すように、TFT30のチャネル領域1a´に対向するゲート電極としての幅狭部3aaと、対向しない幅広部3abを含んでいる。これら幅狭部3aa及び幅広部3abは、互いに延設されてなる関係にある。これにより、幅狭部3aa及び幅広部3abを含む走査線3aは、フォトリソグラフィ法等を用いることで、一挙に、かつ一体的に形成することが可能である。
より具体的には、図2に示すように、幅狭部3aaの幅Waは、TFT30のドレイン領域1c及び1eとソース領域1b及び1dとによって挟まれる方向におけるチャネル領域1a´の長さ、すなわちチャネル長に一致するように決められており、幅広部3abの幅Wbは、Wb>Waなる関係が満たされるように、かつ、幅狭部3aaの両縁部からみて突出するように(すなわち、図2中+y方向及び−y方向のいずれについても突出するように)形成されている。
また、この走査線3aは、図2からわかるように、その幅広部3abが、平面的にみてデータ線6aと重なり合う領域を有するように、より具体的には、走査線3aにおける幅狭部3aa及び幅広部3ab間の境界領域が、平面的にみて、データ線6aの縁部と重なり合うように形成されている。図2においては、この重なり合う領域は、幅Wpを有することが示されている。
このような幅狭部3aa及び幅広部3abを含む走査線3aは、第1実施形態において、遮光性材料からなる。ここで、遮光性材料としては、例えば、Ti、Cr、W、Ta、Mo等の高融点金属のうちの少なくとも一つを含む、金属単体、合金、金属シリサイド、ポリシリサイド、これらを積層したもの等を挙げることができる。
なお、上述において、TFT30はLDD構造をもつとしたが(図3参照)、本発明はこのような形態に限定されるものではなく、例えば、低濃度ソース領域1b及び低濃度ドレイン領域1cに不純物の打ち込みを行わないオフセット構造をもってよいし、走査線3aの一部からなるゲート電極(すなわち、幅狭部3aa)をマスクとして高濃度で不純物を打ち込み、自己整合的に高濃度ソース領域及び高濃度ドレイン領域を形成するセルフアライン型のTFTであってもよい。また、TFT30を構成する半導体層1aは非単結晶層でも単結晶層でも構わない。単結晶層の形成には、貼り合わせ法等の公知の方法を用いることができる。半導体層1aを単結晶層とすることで、特に周辺回路の高性能化を図ることができる。
一方、図3においては、蓄積容量70が、TFT30の高濃度ドレイン領域1e及び画素電極9aに接続された画素電位側容量電極としての中継層71と、固定電位側容量電極としての容量線300の一部とが、誘電体膜75を介して対向配置されることにより形成されている。この蓄積容量70によれば、画素電極9aにおける電位保持特性を顕著に高めることが可能となる。
中継層71は、例えば導電性のポリシリコン膜からなり画素電位側容量電極として機能する。ただし、中継層71は、後に述べる容量線300と同様に、金属又は合金を含む単一層膜又は多層膜から構成してもよい。中継層71は、画素電位側容量電極としての機能のほか、コンタクトホール83及び85を介して、画素電極9aとTFT30の高濃度ドレイン領域1eとを中継接続する機能をもつ。
容量線300は、例えば金属又は合金を含む導電膜からなり固定電位側容量電極として機能する。この容量線300は、平面的に見ると、図2に示すように、走査線3aの形成領域に重ねて形成されている。より具体的には容量線300は、走査線3aに沿って延びる本線部300aと、図中、データ線6aと交差する各個所からデータ線6aに沿って上方に夫々突出した突出部300bと、コンタクトホール85に対応する個所が僅かに括れた括れ部300cとを備えている。このうち突出部300bは、走査線3a上の領域及びデータ線6a下の領域(図3参照)を利用して、蓄積容量70の形成領域の増大に貢献する。このような容量線300は、好ましくは高融点金属を含む導電性遮光膜からなり、蓄積容量70の固定電位側容量電極としての機能のほか、TFT30の上側において入射光からTFT30を遮光する遮光層としての機能をもつ。また、容量線300は、好ましくは、画素電極9aが配置された画像表示領域10aからその周囲に延設され、定電位源と電気的に接続されて、固定電位とされる。このような定電位源としては、データ線駆動回路101に供給される正電源や負電源の定電位源でもよいし、対向基板20の対向電極21に供給される定電位でも構わない。
誘電体膜75は、図3に示すように、例えば膜厚5〜200nm程度の比較的薄いHTO(High Temperature Oxide)膜、LTO(Low Temperature Oxide)膜等の酸化シリコン膜、あるいは窒化シリコン膜等から構成される。蓄積容量70を増大させる観点からは、膜の信頼性が十分に得られる限りにおいて、誘電体膜75は薄いほどよい。
図2及び図3においては、上記のほか、TFT30の下側に、下側遮光膜11aが設けられている。下側遮光膜11aは、格子状にパターニングされており、これにより各画素の開口領域を規定している。なお、開口領域の規定は、図2中のデータ線6aと、これに交差するよう形成された容量線300とによっても、なされている。また、下側遮光膜11aについても、前述の容量線300の場合と同様に、その電位変動がTFT30に対して悪影響を及ぼすことを避けるために、画像表示領域からその周囲に延設して定電位源に接続するとよい。
また、TFT30下には、下地絶縁膜12が設けられている。下地絶縁膜12は、下側遮光膜11aからTFT30を層間絶縁する機能のほか、TFTアレイ基板10の全面に形成されることにより、TFTアレイ基板10の表面研磨時における荒れや、洗浄後に残る汚れ等で画素スイッチング用のTFT30の特性変化を防止する機能を有する。
加えて、走査線3a上には、高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び高濃度ドレイン領域1eへ通じるコンタクトホール83がそれぞれ開孔された第1層間絶縁膜41が形成されている。
第1層間絶縁膜41上には、中継層71及び容量線300が形成されており、これらの上には高濃度ソース領域1dへ通じるコンタクトホール81及び中継層71へ通じるコンタクトホール85がそれぞれ開孔された第2層間絶縁膜42が形成されている。
なお、第1実施形態では、第1層間絶縁膜41に対しては、約1000℃の焼成を行うことにより、半導体層1aや走査線3aを構成するポリシリコン膜に注入したイオンの活性化を図ってもよい。他方、第2層間絶縁膜42に対しては、このような焼成を行わないことにより、容量線300の界面付近に生じるストレスの緩和を図るようにしてもよい。
第2層間絶縁膜42上には、データ線6aが形成されており、これらの上には中継層71へ通じるコンタクトホール85が形成された第3層間絶縁膜43が形成されている。
第3層間絶縁膜43の表面は、CMP(Chemical Mechanical Polishing)処理等により平坦化されており、その下方に存在する各種配線や素子等による段差に起因する液晶層50の配向不良を低減する。ただし、このように第3層間絶縁膜43に平坦化処理を施すのに代えて、又は加えて、TFTアレイ基板10、下地絶縁膜12、第1層間絶縁膜41及び第2層間絶縁膜42のうち少なくとも一つに溝を掘って、データ線6a等の配線やTFT30等を埋め込むことにより、平坦化処理を行ってもよい。
このような構成となる第1実施形態の電気光学装置においては、上述した幅狭部3aa及び幅広部3abを含む走査線3aの存在により、次のような作用効果が奏されることとなる。以下、この作用効果について図4及び図5を参照して説明する。ここに図4は、第1実施形態に係る幅狭部3aa及び幅広部3abを含む走査線3aをはじめ、上述した半導体層1a、データ線6a、容量線300及び中継層71、並びにコンタクトホール81及び85の立体的な配置態様を示す斜視図であり、図5は、そのような走査線3aを含まない従来の電気光学装置に関する同趣旨の斜視図である。なお、図4及び図5は、図2及び図3中に示されたすべての構成を図示するものではなく、例えば、蓄積容量70を構成する誘電体膜75等、幾つかの要素について、その図示が適宜省略されたものとなっている。
まず、図5の従来例をみると、走査線3a´は、その延在方向に沿って一様な幅を有しているため、例えば斜めの光Lが図に示すように進入してきた場合に、該光Lは、比較的容易にチャネル領域1a´に到達することがわかる。この場合、チャネル領域1a´では、この光Lの進入による励起によって光リーク電流が発生することで、TFT30がオフであるにもかかわらず、一定の電流(光リーク電流)が流れてしまうという現象が生じる。したがって、画像上にはフリッカ等が生じることになり、高品質な画像を表示することが比較的困難となるのである。
しかるに、第1実施形態に係る走査線3aによれば、図4に示すように、図5と同様な斜めの光Lが進入してきたとしても、幅広部3abによってその進行が遮られ、該光Lはチャネル領域1a´にまでは到達しない。したがって、第1実施形態によれば、上述したような不都合を被る可能性を低減することが可能となるのである。
また、第1実施形態においては、図2及び図4に示すように、幅広部3abとデータ線6aとが、幅Wpをもって互いに重なり合う領域を有していることから、光がチャネル領域1a´に至るための進入経路はより限られてくるため、光リーク電流発生抑止、高品質画像の表示という作用効果は、より確実に奏されることとなる。具体的に言えば、例えば、図4中、データ線6aの上面から進入してくる光のうちの一部は、データ線6aの上面によって反射ないし吸収され、その残部がデータ線6aの下面側に至ったとしても、それは幅広部3abによってその進行が遮られる、というようなこととなるのである。
さらに、第1実施形態によれば、上述に加えて、下側遮光膜11aが備えられていたから、TFT30に対する光入射は、上側及び下側の双方において遮られることとなり、より確実な光遮蔽機能の発揮を実現することができる。
なお、上記第1実施形態では、幅狭部3aa及び幅広部3abは、延設されてなる関係にあるものとされていたが、本発明は、このような形態に限定されるものではない。例えば、幅狭部3abのみを導電性あるポリシリコン膜として形成した後、該ポリシリコン膜と電気的な導通が図れるように、遮光性材料からなる幅広部3abを形成するというような形態、すなわち幅狭部3aa及び幅広部3ab間が電気的に接続されてなるような形態としてもよい。この場合においては、半導体層1aと相性のよい材料でもってゲート電極としての幅狭部3aaを形成することができるから、動作の安定した電気光学装置を提供することができるとともに、遮光性材料からなる幅広部3abを備えることから、高い光遮蔽機能をも併せもつ電気光学装置を提供することが可能となる。
これに関連して、場合によっては、走査線3aを、その下層がポリシリコン膜からなり、上層が遮光性材料からなる、というように、二層構造を有する形態としてもよい。これによれば、絶縁膜2を介して半導体層1aと対向する、ゲート電極としての機能を求められる部分は、上述と同様に相性のよいポリシリコン膜となるから、上述と略同様な作用効果を得ることが可能となる。
また、上記第1実施形態では、幅広部3abが、幅狭部3aaの縁部から見て、チャネル領域1a´の延在する方向の両方に延在するように形成されていたが、場合によっては、該縁部から一方にのみ延在するように幅広部3abを形成するような形態としてもよい。
(第2実施形態)
以下では、本発明の第2の実施形態について、図6及び図7を参照しながら説明する。ここに、図6及び図7は、それぞれ図2及び図4と同趣旨の図であって、同図とは走査線等の形態が異なるものを示す平面図及び斜視図である。なお、この第2実施形態に係る電気光学装置の構成は、後の説明で特に断りがない限り、上述の第1実施形態と全く同様であるので、図面上同一の符号が示されているものについては、その説明を省略することとする。
第2実施形態では、第1実施形態において幅狭部3aa及び幅広部3abを含む走査線3aが備えられていたのとは異なり、図6及び図7に示すように、幅狭部301a及び幅広部301bを含む電極部301が備えられている。電極部301は、図6に示すように、TFT30の形成領域に応じて、TFTアレイ基板10上において島状に形成されており、その各々が、チャネル領域1a´に対向する幅狭部301aと、該チャネル領域1a´に対向しない幅広部301bとを含んでいる。なお、これら幅狭部301a及び幅広部301bのみに着目すれば、その概ねの構造は、上記第1実施形態と略同様であることがわかる。すなわち、幅狭部301aの幅は、チャネル長に一致するように決められており、幅広部301bは、幅狭部301aの両縁部からみて突出するように(すなわち、図6中+y方向及び−y方向のいずれについても突出するように)、などとして形成されている。他方、電極部301は、TFT30下に層間絶縁膜を挟んで形成された走査線3と、コンタクトホール88を介して電気的に接続されている。
このような形態であっても、幅広部301bによる光遮蔽効果が、上述の幅広部3abと略同様に達成されることは明白である。
また、このような形態によれば、電極部301及び走査線3を含め、それに密接に関連するTFT30等の配置態様のレイアウトの自由度が高まる他、両者をそれぞれ別の材料で構成する、等ということも可能となる。
(電気光学装置の全体構成)
以下では、以上のように構成された各種実施形態における電気光学装置の全体構成を図8及び図9を参照して説明する。なお、図8は、TFTアレイ基板をその上に形成された各構成要素とともに対向基板20の側からみた平面図であり、図9は図8のH−H´断面図である。
図8及び図9において、本実施形態に係る電気光学装置では、TFTアレイ基板10と対向基板20とが対向配置されている。TFTアレイ基板10と対向基板20との間には、液晶層50が封入されており、TFTアレイ基板10と対向基板20とは、画像表示領域10aの周囲に位置するシール領域に設けられたシール材52により相互に接着されている。
シール材52は、両基板を貼り合わせるため、例えば紫外線硬化樹脂、熱硬化樹脂等からなり、紫外線、加熱等により硬化させられたものである。また、このシール材52中には、本実施形態における電気光学装置を、液晶装置がプロジェクタ用途のように小型で拡大表示を行う液晶装置に適用するのであれば、両基板間の距離(基板間ギャップ)を所定値とするためのグラスファイバ、あるいはガラスビーズ等のギャップ材(スペーサ)が散布されている。あるいは、当該電気光学装置を液晶ディスプレイや液晶テレビのように大型で等倍表示を行う液晶装置に適用するのであれば、このようなギャップ材は、液晶層50中に含まれてよい。
シール材52の外側の領域には、データ線6aに画像信号を所定のタイミングで供給することにより該データ線6aを駆動するデータ線駆動回路101及び外部回路接続端子102がTFTアレイ基板10の一辺に沿って設けられており、走査線3aに走査信号を所定のタイミングで供給することにより、走査線3aを駆動する走査線駆動回路104が、この一辺に隣接する二辺に沿って設けられている。
なお、走査線3aに供給される走査信号遅延が問題にならないのならば、走査線駆動回路104は片側だけでもよいことは言うまでもない。また、データ線駆動回路101を画像表示領域10aの辺に沿って両側に配列してもよい。
TFTアレイ基板10の残る一辺には、画像表示領域10aの両側に設けられた走査線駆動回路104間をつなぐための複数の配線105が設けられている。また、対向基板20のコーナ部の少なくとも一箇所においては、TFTアレイ基板10と対向基板20との間で電気的に導通をとるための導通材106が設けられている。
図9において、TFTアレイ基板10上には、画素スイッチング用のTFTや走査線、データ線等の配線が形成された後の画素電極9a上に、配向膜が形成されている。他方、対向基板20上には、対向電極21のほか、最上層部分に配向膜が形成されている。また、液晶層50は、例えば一種又は数種類のネマテッィク液晶を混合した液晶からなり、これら一対の配向膜間で、所定の配向状態をとる。
なお、TFTアレイ基板10上には、これらのデータ線駆動回路101、走査線駆動回路104等に加えて、複数のデータ線6aに画像信号を所定のタイミングで印加するサンプリング回路、複数のデータ線6aに所定電圧レベルのプリチャージ信号を画像信号に先行して各々供給するプリチャージ回路、製造途中や出荷時の当該電気光学装置の品質、欠陥等を検査するための検査回路等を形成してもよい。
また、データ線駆動回路101及び走査線駆動回路104をTFTアレイ基板10上に設ける代わりに、例えばTAB(Tape Automated Bonding)基板上に実装された駆動用LSIに、TFTアレイ基板10の周辺部に設けられた異方性導電フィルムを介して電気的及び機械的に接続するようにしてもよい。また、対向基板20の投射光が入射する側及びTFTアレイ基板10の出射光が出射する側には、それぞれ、例えばTN(Twisted Nematic)モード、VA(Vertically Aligned)モード、PDLC(Polymer Dispersed Liquid Crystal)モード等の動作モードや、ノーマリーホワイトモード・ノーマリーブラックモードの別に応じて、偏光フィルム、位相差フィルム、偏光板等が所定の方向で配置される。
(電子機器)
次に、以上詳細に説明した電気光学装置をライトバルブとして用いた電子機器の一例たる投射型カラー表示装置の実施形態について、その全体構成、特に光学的な構成について説明する。ここに、図10は、投射型カラー表示装置の図式的断面図である。
図10において、本実施形態における投射型カラー表示装置の一例たる液晶プロジェクタ1100は、駆動回路がTFTアレイ基板上に搭載された液晶装置を含む液晶モジュールを3個用意し、それぞれRGB用のライトバルブ100R、100G及び100Bとして用いたプロジェクタとして構成されている。液晶プロジェクタ1100では、メタルハライドランプ等の白色光源のランプユニット1102から投射光が発せられると、3枚のミラー1106及び2枚のダイクロックミラー1108によって、RGBの三原色に対応する光成分R、G及びBに分けられ、各色に対応するライトバルブ100R、100G及び100Bにそれぞれ導かれる。この際特に、B光は、長い光路による光損失を防ぐために、入射レンズ1122、リレーレンズ1123及び出射レンズ1124からなるリレーレンズ系1121を介して導かれる。そして、ライトバルブ100R、100G及び100Bによりそれぞれ変調された三原色に対応する光成分は、ダイクロックプリズム1112により再度合成された後、投射レンズ1114を介してスクリーン1120にカラー画像として投射される。
本発明は、上述した実施形態に限られるものではなく、請求の範囲及び明細書全体から読み取れる発明の要旨、あるいは思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う電気光学装置及び電子機器もまた、本発明の技術的範囲に含まれるものである。