JP3925358B2 - 演奏情報編集装置および演奏情報編集方法を実現するためのプログラム - Google Patents

演奏情報編集装置および演奏情報編集方法を実現するためのプログラム Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、演奏情報を構成する複数の音符データのうち、少なくとも一部にビブラートデータを付加する演奏情報編集装置および演奏情報編集方法を実現するためのプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
演奏情報を構成する複数の音符データのそれぞれにビブラートデータを付加する演奏情報編集装置は、従来から知られている。
【0003】
このような従来の演奏情報編集装置では、各音符データに付加したいビブラートの態様、具体的には、変動幅と変動速度を設定できるようになっており、ユーザがその変動幅と変動速度を選択設定すると、設定された変動幅および変動速度でビブラート演奏されるようなビブラートデータが、各音符データに一様に付加されるようになっている。
【0004】
ここで、ビブラートの付加は、通常、その付加対象となる音符データによって生成される楽音の音高を、所定の周期波形で振動(変調)させることによってなされる。このため、周期波形の形状を一意に決定するためのパラメータを設定することと、ビブラートの態様を設定することとは、同値である。したがって、ビブラートの態様を設定するために、周期波形の形状を一意に決定するためのパラメータである、変動幅(振幅)と変動速度(周期)を設定するようにしている。なお、変動速度は、振動の速さともいう。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記従来の演奏情報編集装置では、設定されたビブラート態様のビブラートデータが各音符データに一様に付加されるので、このようなビブラートデータの付加された各音符データを、実際に自動演奏すると、各音符データによって生成される各楽音の音高の変動速度は同一であり、この結果、不自然な演奏に聞こえてしまう。これは、実楽器を用いたビブラート演奏では、演奏音の発音長に応じて、ビブラートの変動速度が異なっているからである。
【0006】
本発明は、この点に着目してなされたものであり、より自然な演奏に聞こえるようなビブラートデータを付加することができる演奏情報編集装置および演奏情報編集方法を実現するためのプログラムを提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、請求項1に記載の演奏情報編集装置は、音符データおよびその発生タイミングを示すタイミングデータを一組とする複数組からなる演奏情報を記憶する記憶手段と、該記憶手段に記憶された演奏情報に含まれる、少なくとも一部の音符データのそれぞれに対して、当該音符データの音符長に応じた振動の速さのビブラートデータを生成し付加するように編集する編集手段とを有することを特徴とする。
好ましくは、基準音符長における振動の速さを規定するパラメータを含むビブラートデータを設定する設定手段をさらに有し、前記編集手段は、当該音符データの音符長と前記基準音符長との比率を求め、当該比率を前記設定手段で設定した振動の速さを規定するパラメータの値に乗算することにより、当該音符データのビブラートデータを生成することを特徴とする。
【0008】
また、請求項2に記載のプログラムは、請求項1と同様の技術的思想によって実現できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本発明の一実施の形態に係る演奏情報編集装置の概略構成を示すブロック図である。
【0011】
同図に示すように、本実施の形態の演奏情報編集装置は、文字入力用キーボード、マウス等のポインティングデバイスおよび各種スイッチ等の複数の操作子からなる操作子群1と、該操作子群1の各操作子の操作状態を検出する検出回路2と、装置全体の制御を司るCPU3と、該CPU3が実行する制御プログラムや、各種テーブルデータ等を記憶するROM4と、演奏情報、各種入力情報および演算結果等を一時的に記憶するRAM5と、前記制御プログラムを含む各種アプリケーションプログラムや各種データ等を記憶する外部記憶装置6と、各種情報等を表示する、たとえば液晶ディスプレイ(LCD)および発光ダイオード(LED)等を備えた表示装置7と、外部MIDI(Musical Instrument Digital Interface)機器100等の外部機器を接続し、この外部機器とデータの送受信を行う通信インターフェース(I/F)8と、上記記憶された演奏情報等を楽音信号に変換する音源回路9と、該音源回路9からの楽音信号に各種効果を付与するための効果回路10と、該効果回路10からの楽音信号を音響に変換する、たとえば、DAC(Digital-to-Analog Converter)やアンプ、スピーカ等のサウンドシステム11とにより構成されている。
【0012】
上記構成要素2〜10は、バス12を介して相互に接続され、通信I/F8には外部MIDI機器100が接続され、音源回路9には効果回路10が接続され、効果回路10にはサウンドシステム11が接続されている。
【0013】
外部記憶装置6としては、たとえば、フレキシブルディスクドライブ(FDD)、ハードディスクドライブ(HDD)、CD−ROMドライブおよび光磁気ディスク(MO)ドライブ等を挙げることができる。そして、外部記憶装置6には、前述のように、CPU3が実行する制御プログラムも記憶でき、ROM4に制御プログラムが記憶されていない場合には、この外部記憶装置6に制御プログラムを記憶させておき、それをRAM5に読み込むことにより、ROM4に制御プログラムを記憶している場合と同様の動作をCPU3にさせることができる。このようにすると、制御プログラムの追加やバージョンアップ等が容易に行える。
【0014】
通信I/F8には、図示例では、外部MIDI機器100が接続されているが、これに限られず、たとえばLAN(Local Area Network)やインターネット、電話回線等の通信ネットワークを介して、サーバコンピュータが接続されるようにしてもよい。この場合、外部記憶装置6に上記各プログラムや各種パラメータが記憶されていなければ、通信I/F8は、サーバコンピュータからプログラムやパラメータをダウンロードするために用いられる。クライアントとなるコンピュータ(本実施の形態では、演奏情報編集装置)は、通信I/F8および通信ネットワークを介してサーバコンピュータへとプログラムやパラメータのダウンロードを要求するコマンドを送信する。サーバコンピュータは、このコマンドを受け、要求されたプログラムやパラメータを、通信ネットワークを介してコンピュータへと配信し、コンピュータが通信I/F8を介して、これらプログラムやパラメータを受信して外部記憶装置6に蓄積することにより、ダウンロードが完了する。
【0015】
なお、本実施の形態の演奏情報編集装置は、上述の構成から分かるように、汎用的なパーソナルコンピュータ上に構築されたものであるが、これに限らず、本発明を実施できる最小限要素のみから構成した専用装置上に構築してもよい。
【0016】
図2は、演奏情報およびこの演奏情報に付加するビブラートデータの各データフォーマットの一例を示す図である。
【0017】
なお、演奏情報は、所定の方法によって取得され、RAM5の所定位置に確保された演奏情報格納領域に格納されているものとする。所定の方法としては、たとえば、外部記憶装置6に記憶されているものを指定してロードする方法や、通信I/F8を介して、外部MIDI機器100またはサーバコンピュータに記憶されているものを指定してダウンロードする方法等が考えられる。その他、ユーザがステップ入力やリアルタイム入力によって入力(作曲)したものであってもよい。
【0018】
図2(a)に示すように、演奏情報は、基本的には、音高および発音/消音を示す各データ(図示せず)からなる音符イベントデータ22n(n=1,2,…)と、そのイベントの生成(発音/消音)タイミングを示すタイミングデータ21n(n=1,2,…)とを一組とする複数組のシーケンスによって構成される。
【0019】
この各音符イベントデータ毎に、同図(b)に示すように、ピッチ変更イベントデータ32k(k=1,2,…)と、そのイベントの生成タイミングを示すタイミングデータ31k(k=1,2,…)とを一組とする複数組のシーケンスからなるビブラートデータを生成して付加する。
【0020】
このようなビブラートデータの付加された演奏情報を自動演奏すると、たとえば、音符イベントデータ22aが再生されて、音符イベントデータ22aが示す音高の楽音が生成された後、タイミングデータ31aが示す時間経過すると、生成中の楽音の音高が、ピッチ変更イベントデータ32aが示す音高だけ増減され、さらに、タイミングデータ31bが示す時間経過すると、この音高が、ピッチ変更イベントデータ32bが示す音高だけ増減されるというように、音符イベントデータ22aに付加されたビブラートデータに含まれるピッチ変更イベントデータ32kの個数に相当する回数、生成中の楽音の音高が変更され、すなわち、生成中の楽音の音高が振動して、ビブラート演奏がシミュレートされる。
【0021】
そして、本発明の特徴は、音符イベントデータ22n毎に、当該音符イベントデータ22nに相応しいビブラートデータを付加するようにしたことにある。ここで、相応しいとは、実楽器を用いてビブラート演奏をしたときのように、自然な演奏に聞こえるという意味であり、本実施の形態では、音符イベントデータ22nに相応しいビブラートデータとして、その発音長に応じた(音高の)振動の速さのビブラートデータを付加するようにしている。
【0022】
以下、以上のように構成された演奏情報編集装置が実行する制御処理を、図3および図4を参照して詳細に説明する。
【0023】
図3は、本実施の形態の演奏情報編集装置、特にCPU3が実行する編集処理の手順を示すフローチャートであり、本編集処理は、ユーザによって、たとえばビブラート編集モードが選択指示されたときに、起動される。
【0024】
同図において、まず、表示装置7上に、付与すべきビブラートの態様を規定するパラメータの設定画面が表示され、ユーザが、たとえば、マウスを使って、パラメータの種類とその値を選択して設定すると、設定されたパラメータの種類と値が、前記RAM5の所定領域に確保されたパラメータ格納領域に記憶される(ステップS1)。ここで設定されるパラメータの種類は、ビブラートの変動幅と変動速度を規定する各パラメータであり、その値は、変動幅を規定するパラメータの場合には、変動幅が「小」から「大」までを所定個のレベルに分割したときのいずれかのレベルであり、変動速度を規定するパラメータの場合には、変動速度が「遅い」から「速い」までを所定個のレベルに分割したときのいずれかのレベルである。なお、ステップS1で設定される、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値は、所定の基準発音長(たとえば、4分音符長)の音符イベントに付加されるビブラートデータを生成するためのものであり、この基準発音長以外の音符イベントに対しては、後述するように、ステップ1で設定された、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値が変更されて設定される。
【0025】
次に、演奏情報から音符イベントを1つ読み出し(ステップS2)、読み出した音符イベントの発音長を算出する(ステップS3)。この音符イベントの発音長の算出方法は、具体的には、次のようにして行う。すなわち、音符イベントは、前述したように、音高および発音/消音を示す情報から構成されているので、その発音長は、発音が指示されている音符イベントと、その音符イベントの音高と同じ音高であって消音が指示されているものとの発生タイミングの差を算出することによって求められる。
【0026】
このようにして算出された発音長に応じて、新たな振動の速さ(変動速度)を設定する(ステップS4)。具体的には、ステップS3で算出された発音長と、前記基準発音長(本実施の形態では、4分音符長)との比率を求め、この比率を、ステップS1で設定された、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値に乗算することにより、新たなパラメータの値、すなわち、新たなビブラートの変動速度を規定するパラメータの値を設定する。たとえば、発音長が8分音符長であれば、ステップS1で設定された、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値の2倍の値が、新たなパラメータ値として設定され(すなわち、ビブラートの変動速度は速くなる)、発音長が2分音符長であれば、ステップS1で設定された、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値の1/2倍の値が、新たなパラメータ値として設定される(すなわち、ビブラートの変動速度は遅くなる)。
【0027】
そして、新たに設定された態様に沿ったビブラートデータを作成して演奏情報に付加する(ステップS5)。
【0028】
図4は、新たに設定された態様に沿って作成された振動波形の一例を示す図であり、縦軸はピッチの変更量(ビブラートの変動幅)を表し、中心より上に行くほどピッチの変更量がプラス側(音高を上げる側)に増加し、中心より下に行くほどマイナス側(音高を下げる側)に増加することを示している。そして、(a)は、ステップS1で設定された、ビブラートの変動速度を規定するパラメータの値に応じて作成された振動波形を示し、(b)は、基準発音長の倍の発音長の音符イベントに付加すべきパラメータ値に応じて作成された振動波形を示し、(c)は、基準発音長の半分の発音長の音符イベントに付加すべきパラメータ値に応じて作成された振動波形を示している。つまり、基準発音長より長い発音長の音符イベントには、振動の速さ(周期)を、設定されたものより遅く(長く)なるように修正し、他方、基準発音長より短い発音長の音符イベントには、設定されたものより速く(短く)なるように修正する。
【0029】
図2(b)は、このようにして作成された振動波形に基づいて生成したビブラートデータの一例を示す図であり、同図に示すように、タイミングデータとピッチ変更イベントデータを1組とするシーケンスを、対応する音符イベントの直後に付加するようにしている。
【0030】
作成された振動波形が、たとえば図4(b)に示す形状のものである場合には、図4(b)の波形において、タイミングデータによって示される時間毎のデータがサンプリングされ、このデータに基づいて、ピッチ変更イベントデータが生成される。ピッチ変更イベントデータを生成する間隔、すなわち、タイミングデータによって示される時間としては、たとえば、MIDIの基本クロックに相当する時間の倍数(たとえば、64分音符長)を設定すればよいが、これに限らず、任意のものを設定することができる。
【0031】
図3に戻り、上記ステップS2〜S5の各処理、つまり、対象となる音符イベントに対して、その発音長に応じた変動速度のビブラートデータを生成して付加する処理を、演奏データに含まれるすべての音符イベントについて行った(ステップS6)後、本編集処理を終了する。
【0032】
このように、本実施の形態では、各音符イベント毎に、その発音長に応じた変動速度のビブラートデータを生成して付加するようにしてので、実楽器を用いた演奏と同様のビブラートを付加することができ、これにより、より自然なビブラート演奏を再現することができる。
【0033】
なお、本実施の形態では、演奏情報に含まれるすべての音符イベントに対して、ビブラートデータを作成して付加するようにしたが、これに限らず、演奏情報の一部を指定し、その範囲内の音符イベントに対して、ビブラートデータを作成して付加するようにしてもよい。
【0034】
また、本実施の形態では、音符イベントの発音長(正確には、音符イベントの発音長と基準発音長との比率)とビブラートの変動速度とは線形関係としたが、これに限らず、非線形関係としてもよい。つまり、発音長に応じて相応しい変動速度を決定できる方法であればよい。
【0035】
なお、上述した実施の形態の機能を実現するソフトウェアのプログラムコードを記録した記憶媒体を、システムまたは装置に供給し、そのシステムまたは装置のコンピュータ(またはCPU3やMPU)が記憶媒体に格納されたプログラムコードを読出し実行することによっても、本発明の目的が達成されることは言うまでもない。
【0036】
この場合、記憶媒体から読出されたプログラムコード自体が本発明の新規な機能を実現することになり、そのプログラムコードを記憶した記憶媒体は本発明を構成することになる。
【0037】
プログラムコードを供給するための記憶媒体としては、たとえば、フレキシブルディスク、ハードディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、CD−R、CD−RW、DVD−ROM、DVD−RAM、DVD−RW、DVD+RW、磁気テープ、不揮発性のメモリカード、ROMなどを用いることができる。また、通信ネットワークを介してサーバコンピュータからプログラムコードが供給されるようにしてもよい。
【0038】
また、コンピュータが読出したプログラムコードを実行することにより、上述した実施の形態の機能が実現されるだけでなく、そのプログラムコードの指示に基づき、コンピュータ上で稼働しているOSなどが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0039】
さらに、記憶媒体から読出されたプログラムコードが、コンピュータに挿入された機能拡張ボードやコンピュータに接続された機能拡張ユニットに備わるメモリに書込まれた後、そのプログラムコードの指示に基づき、その機能拡張ボードや機能拡張ユニットに備わるCPU3などが実際の処理の一部または全部を行い、その処理によって上述した実施の形態の機能が実現される場合も含まれることは言うまでもない。
【0040】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、演奏情報に含まれる、少なくとも一部の音符データのそれぞれに対して、当該音符データの音符長に応じた振動の速さのビブラートデータが生成されて付加されるので、より自然な演奏に聞こえるようなビブラートデータを演奏情報に付加することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施の形態に係る演奏情報編集装置の概略構成を示すブロック図である。
【図2】 演奏情報およびこの演奏情報に付加するビブラートデータの各データフォーマットの一例を示す図である。
【図3】 図1の演奏情報編集装置、特にCPUが実行する編集処理の手順を示すフローチャートである。
【図4】 新たに設定された態様に沿って作成された振動波形の一例を示す図である。
【符号の説明】
1 操作子群,3 CPU,4 ROM,5 RAM,6 外部記憶装置,7 表示装置,8 通信インターフェース,9 音源回路,10 効果回路,11 サウンドシステム

Claims (3)

  1. 音符データおよびその発生タイミングを示すタイミングデータを一組とする複数組からなる演奏情報を記憶する記憶手段と、
    該記憶手段に記憶された演奏情報に含まれる、少なくとも一部の音符データのそれぞれに対して、当該音符データの音符長に応じた振動の速さのビブラートデータを生成し付加するように編集する編集手段と
    を有することを特徴とする演奏情報編集装置。
  2. 音符データおよびその発生タイミングを示すタイミングデータを一組とする複数組からなる演奏情報を記憶する記憶手段に記憶された演奏情報に含まれる、少なくとも一部の音符データのそれぞれに対して、当該音符データの音符長に応じた振動の速さのビブラートデータを生成し付加するように編集する編集手順をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  3. 基準音符長における振動の速さを規定するパラメータを含むビブラートデータを設定する設定手段をさらに有し、
    前記編集手段は、当該音符データの音符長と前記基準音符長との比率を求め、当該比率を前記設定手段で設定した振動の速さを規定するパラメータの値に乗算することにより、当該音符データのビブラートデータを生成することを特徴とする請求項1に記載の演奏情報編集装置。
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