JP3925157B2 - 集電用導電性フィルムおよび該フィルム製造用導電性塗料 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電気二重層コンデンサーの固形分極性電極と接触して使用される集電用導電性フィルムおよびその製造に使用される導電性塗料に関する。
【0002】
【従来の技術】
電気二重層コンデンサーは、固形分極性電極と電解質からなる電気素子であり、図1に示すように、封口枠体4の内側に多孔性セパレータ3を介して充填された一対の固形分極性電極2、2、この固形分極性電極2を集電体5で密封し、集電体5に接して設けられた金属電極板6から基本的に構成されている。
【0003】
固形分極性電極の電解質として、一般に電解質塩を溶解した電解液が用いられる(特開昭49−68254号公報など)。これは、導電性カーボンなどの電極の分極により、電解液と電極との間に形成される電気二重層に電荷を蓄える機能を有する。電気二重層コンデンサーは、半導体メモリーバックアップ用などの小型電源などとして利用されているが、それらの小型化、高性能化が要求されている。さらには、電気二重層コンデンサーは電気自動車や燃料電池自動車の補助動力源としての期待も高まってきている。
【0004】
従来用いられている電気二重層コンデンサーは、電解液として水系電解液、通常、25〜50重量%程度の硫酸水溶液を用いるもの(特開昭62−268119号公報、特開昭63−213915号公報、特開平2−174210号公報など)と有機溶媒系電解液を用いるもの(特開昭49−68254号公報、特開平7−86096号公報など)の2種類に大別される。
【0005】
一般に有機溶媒系電解液は出力電圧が高い反面、イオン伝導度が小さいために電気二重層コンデンサーの内部抵抗が大きくなり、出力電流が小さくなる欠点がある。一方、水系電解液は出力電圧が低いが、イオン伝導度が高いために内部抵抗が小さく、大きな出力電流が得られる。さらに、有機溶媒系電解液を用いるものは可燃性であり、安全面から水系電解液を用いた出力の大きな電気二重層コンデンサーの開発が望まれている。
【0006】
ところで、水系電解質を用いた電気二重層コンデンサーにおいて、固形分極性電極に直接接触して金属電極板を設けると、電極板は水系電解質の酸によって浸食され、機能低下や液漏れなどを生じることから、耐酸性の導電性ポリマーフィルム(集電用導電性フィルムと称される)を介して金属電極板は設けられている。
【0007】
導電性ポリマーフィルムとしては、一般に導電性フィラーを含有したエラストマーのフィルムが用いられている(特開平2−174210号公報、特開平4−240708号公報、特開平5−299296号公報など)。
しかし、従来用いられているこれらの導電性フィルムは、耐酸性に劣り、長時間の使用により酸性の水系電解質に浸食され、機能が低下したり、液漏れを生じることがあった。また、フィルム面に垂直な方向の体積抵抗率が8〜500Ωcm程度もあり、コンデンサーの出力を高めるのが困難であった。
【0008】
上記の問題を解決するためにベースポリマーとして種々のエラストマーの使用が提案されているが、その一つにアニオン重合で製造されたポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SBS)の水素添加物〔通常SEBSと称されている。Sはポリスチレンブロック、Eはポリエチレンブロック、Bはポリブチレンブロック(E:シス及びトランスポリブタジエン単位の水素添加物、B:1,2−ポリブタジエン単位の水素添加物。)〕の使用がある。SEBSは、耐電解液性に優れ、長時間の使用にも安定であるという特徴を有している。
【0009】
集電用導電性フィルムを製造するには、例えば、ベースポリマーを有機溶剤に溶解させ、それに導電性カーボンなどの導電性フィラーを分散させて調製した導電性塗料を、平滑な表面を有する適当な基材に流延(キャスト)し、溶剤を蒸発させてフィルムを得る方法が用いられている。
ところが、上記のSEBSのみをベースポリマーとする導電性塗料は、塗料の調製中に温度が35℃以上になると増粘して流動性が失われる現象が生じ、この増粘した塗料の流動性を回復させるためには、冷却後、強い剪断力を与えて攪拌する必要があることが分かった。特に固形分が10重量%以上の導電性塗料ではこの現象が顕著であった。
再流動化した塗料は、これを用いてフィルムを製造することが可能であるが、再流動化のための余計な工程を必要とするだけでなく、フィルムの品質の安定性の観点から導電性塗料は増粘せずに一定の粘度を維持することが重要である。
【0010】
キャスト法による製膜では、均一な膜厚のフィルムが得られるためには、導電性塗料は温度上昇による粘度変化が少ない粘度安定性を有することが必要である。SEBSを用いた増粘した導電性塗料では、塗布ができなかったり、たとえ塗布できたとしても膜厚が不均一となったり、フィルムを剥離する際に傷が付くなどの問題を生じ、安定した品質の導電性フィルムが得られない問題があった。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、SEBSなどのブロック共重合体を用いた耐電解液性に優れ、内部抵抗の小さい電気二重層コンデンサーの集電体に好適な導電性フィルムおよびその製造に使用するSEBSなどのブロック共重合体を用いた粘度安定性に優れた導電性塗料を提供することにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、前記課題を達成すべく鋭意検討の結果、SEBSと水素化SBRとの混合物を用いたところ、温度上昇による粘度変化が少ないことを見出し、この知見に基づいて本発明を完成した。
かくして、本発明によれば、下記(i)〜(iii)が提供される。
(i)電気二重層コンデンサーに使用する集電用導電性フィルムであって、エラストマー成分と導電性フィラーからなり、エラストマー成分は、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物10〜90重量部と、(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物90〜10重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)とからなる集電用導電性フィル。
(ii)電気二重層コンデンサーに使用する集電用導電性フィルムを製造するための塗料であって、前記塗料はエラストマー成分の溶液に導電性フィラーを分散させてなり、エラストマー成分は、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物10〜90重量部と、(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物90〜10重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)とからなる集電用導電性フィルムを製造するための導電性塗料。
(iii)前記(ii)に記載の導電性塗料を用いて形成された集電用導電性フィルム。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明を詳細に説明する。
(イ)導電性フイルム
本発明の電気二重層コンデンサーの集電用導電性フィルム(以下では単に「導電性フィルム」と称することがある。)は、エラストマー成分として、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物と(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物とからなることが特徴である。
【0014】
本発明の導電性フィルムは、前記のエラストマー成分(1)と(2)と、それらの合計100重量部に対して導電性フィラー通常5〜100重量部、好ましくは10〜80重量部、より好ましくは20〜70重量部とを含有し、導電性フィルム面に垂直な方向の体積抵抗率が通常0.1〜5Ωcm、好ましくは0.1〜3Ωcm、より好ましくは0.1〜1Ωcmのものである。導電性フィラーが少なすぎると導電性フィルムの体積抵抗率が大きすぎ、逆に、導電性フィラーが多すぎると導電性フィルムの製造が困難になる。本発明の導電性フィルムの厚さは、形状に応じて適宜決定されるが、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜80μmである。薄すぎるとフィルムの強度が不足するため使用が困難であり、厚すぎると抵抗が大きくなる。本発明の導電性フィルムは、導電性カーボンのような導電性フィラーがフイルム全体に均一に分散し易いことから後述する溶剤キャスト法によって製造されたものが好ましい。溶剤キャスト法により製造されたフィルムは、導電性フィラーが面方向に配向しないため、面に垂直な方向に測定した体積抵抗率も低い値となる。
【0015】
(i)エラストマー成分
本発明に使用するエラストマー成分は、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物および(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物とからなる。
芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物(1)は、(a)芳香族ビニル化合物またはそれを主体とする少なくとも二つのブロックAと、(b)共役ジエンまたはそれを主体とする少なくとも一つのブロックBとからなるブロック共重合体(以下では単に「ブロック共重合体」と称することがある。)のブロックB中の炭素−炭素二重結合を水素添加したものが好ましい。
【0016】
芳香族ビニル化合物の具体例としては、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、1,3−ジメチルスチレン、pービニルトルエン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセンなどが挙げられる。これらの中でもスチレン、α−メチルスチレンなどの非置換芳香族ビニル化合物が好ましい。芳香族ビニル化合物は、単独、または2種類以上を組み合わせて使用することができる。
共役ジエンの具体例としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、1,3−ヘキサジエンなどが挙げられるが、とりわけ、ブタジエンおよびイソプレンが特に好ましい。
【0017】
本発明で使用するブロック共重合体の水素添加物は、ブロック共重合体が線状構造および分岐状構造のいずれをもつものでもよいが、ブロックAは2個以上であるのが好ましく、特に両末端にポリスチレンブロックを、中間にポリブタジエンブロック、またはポリイソプレンブロックをもつブロック共重合体であることが、破断伸びおよび引張強さの点から好ましい。これらのブロック共重合体の水素添加物は、通常、それぞれSEBSおよびSEPSと称される。2個以上のブロックAを有する共重合体の構造として、一般的に、A−B−Aのトリブロック、A−B−A−Bなどの(A−B)m(ここでmは2以上の整数)で表されるマルチブロックなどの直鎖状、および〔(A−B)npM(ここで、nは1以上の整数、pは2以上の整数、Mは多官能カップリング剤の残基)で表わされる直鎖状および星型状が例示される。
【0018】
ブロック共重合体の水素添加物中の芳香族ビニル化合物の結合単位の含量(重合体中の、重合によって重合体鎖に結合した芳香族ビニル化合物の含有量を意味し、単に芳香族ビニル化合物の含有量と称されることもある)は、通常10〜40重量%、好ましくは、15〜35重量%である。芳香族ビニル化合物の結合単位の含量が少なすぎるとフィルムにしたときの強度が不十分であり、逆に多すぎるとフィルムとしたときの柔軟性がなくなるので、好ましくない。
ブロック共重合体の水素添加物の分子量は、とくに制限はないが、フィルムにしたときの伸びや柔軟性のバランスから、トルエンを用いたGPC(ゲルバーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲が好ましく、20,000〜800,000の範囲がより好ましく、50,000〜500,000の範囲が最も好ましい。
【0019】
本発明に使用する第二のエラストマー成分は、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物(2)である。芳香族ビニル化合物および共役ジエンの具体例および好ましい例は、前記のブロック共重合体の場合と同じである。さらに必要によりこれらと共重合可能な他のモノマーを共重合させたランダム共重合体も、本発明の目的が阻害されない範囲で使用することができる。このようなモノマーとしては、例えば、アクリル酸アルキルエステル類(アルキル基の炭素数は1〜8程度)、メタクリル酸のアルキルエステル類(アルキル基の炭素数は1〜8程度)などが挙げられる。これらのモノマーは、単独で、または2種以上を組み合わせて使用することができる。但し、アクリル酸、メタクリル酸などの不飽和カルボン酸の使用は、ランダム共重合体の水素添加物の耐酸性が低下するので好ましくない。
【0020】
ランダム共重合体の水素添加物中の芳香族ビニル化合物の結合単位の含量は、通常5〜30重量%、好ましくは、15〜25重量%である。芳香族ビニル化合物の結合単位の含量が少なすぎるとブロック共重合体の水素添加物との相溶性が低下し、フィルムにしたときの強度が低下し、逆に多すぎるとフィルムとしたときの柔軟性が低下するので、好ましくない。
【0021】
前記のブロック共重合体は、公知の方法により、例えば特公昭36−19286号公報、特公昭43−17979号公報、特公昭45一31951号公報、特公昭46−32415号公報などに記載されている方法に従って、炭化水素溶媒中、有機リチウム化合物を開始剤として使用し、芳香族ビニル化合物と共役ジエンとを重合させることにより製造することができる。重合に際し、芳香族ビニル化合物と共役ジエンの反応性比の調整や重合した共役ジエン部分のミクロ構造の制御、重合速度の調整などの目的で、極性化合物を使用することができる。
【0022】
ここで用いる炭化水素溶媒としては、例えば、ブタン、へブタン、ヘキサン、イソペンタン、ヘプタン、オクタン、イソオクタンなどの脂肪族炭化水素類:シクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサンなどの脂環式炭化水素類;ベンゼン、エチルベンゼン、キシレンなどの芳香族炭化水素類などが挙げられ、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を混合して使用することができる。炭化水素溶媒の使用量は、通常、上記単量体濃度が1〜50重量%になるように用いられる。
【0023】
極性化合物としては、例えば、テトラヒドロフラン、ジエチルエーテル、アニソール、ジメトキシベンゼン、エチレングリコールジメチルエーテルなどのエーテル類;トリエチルアミン、テトラメチレンジアミン、N−ジメチルアニリン、ピリジンなどのアミン類;チオエーテル類、ホスフィン類、ホスホルアミド類、アルキルベンゼンスルホン酸類、カリウムやナトリウムなどのアルコキシド類などが挙げられ、要求特性に応じて選択することができる。極性化合物の使用量は、化合物の種類などによって適宜決めることができるが、通常有機リチウム化合物1モルに対して0.001〜1モル、好ましくは0.01〜5モルの範囲である。
【0024】
有機リチウム化合物としては、有機モノリチウム化合物、有機ジリチウム化合物などが用いられ、その具体例としては、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、n−へキジルリチウム、イソヘキシルリチウム、フェニルリチウム、ナフチルリチウム、へキサメチレンジリチウム、ブタジエニルジリチウム、イソプレニルジリチウムなどが挙げられる。一般には、有機モノリチウム化合物が使用され、これらはそれぞれ単独で、または2種以上を組み合わせて使用される。使用量は、目的とする重合体の分子量、有機リチウム化合物の種類によって適宜選択されるが、通常有機リチウム化合物1モルに対して0.001〜1モル、好ましくは0.01〜0.5モルの範囲である。重合反応は、等温反応、断熱反応のいずれでもよく、通常は0〜150℃、好ましくは20〜120℃の重合温度範囲で行われる。ブロック共重合体として上記重合反応後に、カップリング剤を添加して調製されるものを使用することもできる。
【0025】
カップリング剤としては、例えば、四塩化スズ、二塩化スズ、四臭化スズ、四塩化ケイ素、四臭化ケイ素、四ヨウ化ケイ素、四塩化ゲルマニウム、二塩化鉛、メチルトリクロロシラン、ジメチルジクロロシラン、ブチルトリクロロシラン、ジブチルジクロロスズ、ピストリクロロシリルエタン、ピストリクロロスタニルエタン、テトラメトキシケイ素、テトラメトキシスズ、テトラエトキシケイ素、テトラエトキシスズ、テトラブトキシケイ素、テトラブトキシスズなどの金属化合物;エチルアクリロニトリルなどの不飽和ニトリル類;ジブロモベンゼン、ジクロロベンゼン、ジブロモエチレンなどのジハロゲン化炭化水素類;アジピン酸ジメチル、アジピン酸ジエチル、安息香酸エチル、テレフタル酸ジメチル、テレフタル酸ジエチル、イソフタル酸ジメチルなどのカルボン酸エステル類;テレフタル酸ジクロライド、フタル酸ジクロライド、イソフタル酸ジクロライド、アジピン酸ジクロライドなどのカルボン酸ハライド類;四塩化炭素などが挙げられる。これらのカップリング剤は、それぞれ単独で、または2種以上を混合して用いられ、その使用量は、有機リチウム化合物当たり、通常、0.25〜2当量、好ましくは0.30〜1.5当量である。カップリング反応は、通常0〜150℃で0.1〜20時間行われる。また、ブロック共重合体として上記重合反応後に、変性剤を用いて調製されたものを使用することもできる。変性剤としては、例えば、特公昭62−61615号公報で開示される無水マレイン酸などの不飽和カルボン酸、特公平4−387770号公報で開示されるイミノ化合物、シアナミド化合物、アシリジニル化合物、アミド化合物などが挙げられる。
なお、上述の方法で得られるブロック共重合体の共役ジエンまたはそれを主体とするブロックB中のビニル結合量は特に制限はないが、通常は90モル%以下、好ましくは1〜60モル%、さらに好ましくは5〜30モル%である。ビニル結合量が多すぎると、フィルムの柔軟性がなくなるので好ましくない。
【0026】
ランダム共重合体は、ラジカル重合および上記のアニオン重合によって製造することができる。アニオン重合の場合は上記のブロック共重合体の場合と同様の重合溶媒、重合触媒、極性化合物などを用い、重合体鎖中に芳香族ビニル化合物がランダムに分布するように公知の手法を用いて重合することによって得ることができる。ラジカル重合による場合には、モノマーを有機溶剤中で重合させる溶液重合、モノマーを乳化(媒体は水)させた状態で重合させる乳化重合などの公知の方法で得ることができる。その際、クメンハイドロパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、イソプロピルベンゼンパーオキシドなどの有機過酸化物、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどの過硫酸塩、レドックス系触媒などの公知のラジカル重合開始剤、n−オクチルメルカプタン、tert−ドデシルメルカプタンなどのメルカプタン類、四塩化炭素などの公知の分子量調整剤、炭素数が12〜18の脂肪酸酸石けん、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムなどの公知のアニオン系界面活性剤などの公知の乳化剤などの重合薬剤を用い、0〜50℃程度の温度範囲で重合する。好ましいのは残留界面活性剤などの不純物の少ないアニオン重合で得られるランダム共重合体である。
【0027】
この場合、ランダム共重合体中の共役ジエン単位のビニル結合量は特に制限はないが、通常は90モル%以下、好ましくは1〜60モル%、さらに好ましくは5〜30モル%である。ビニル結合量が多すぎると、フィルムの柔軟性がなくなるので好ましくない。ランダム共重合体の水素添加物の分子量は、とくに制限はないが、フィルムにしたときの伸びや柔軟性のバランスから、トルエンを用いたGPC(ゲルバーミエーションクロマトグラフィー)により測定される標準ポリスチレン換算の重量平均分子量が10,000〜1,000,000の範囲が好ましく、20,000〜800,000の範囲がより好ましく、50,000〜500,000の範囲が最も好ましい。
【0028】
ブロック共重合体およびランダム共重合体の水素添加物は、上記のようにして得られた各共重合体を、常法、例えば、特開平4−96905号公報、特開平4−96904号公報、特公平1−53851号公報、特公昭63−5402号公報、特公昭48−3555号公報、特公昭45−20504号公報に開示された方法、具体的には、上記共重合体をシクロペンタノン、テトラヒドロフランなどの不活性溶媒に溶解し、水素化触媒存在下で水素添加する方法によって得ることができる。水素化触媒としては、例えば、炭素やケイソウ土に担持されたニッケル、白金、パラジウム、ロジウムなどの水素化金属触媒、ラネーニッケル、有機ニッケル化合物、有機コバルト化合物、またはこれらの化合物と他の有機金属化合物との複合系触媒が例示される。
ブロックおよびランダム共重合体中の共役ジエン単位の水素添加率は、強度および耐酸性の観点からできる限り高いことが望ましく、好ましくはヨウ素価が30以下、さらに好ましくは20以下のものである。
【0029】
ブロック共重合体およびランダム共重合体の水素添加物は、市場で入手可能である。水素添加ブロック共重合体は、スチレンとブタジエンのブロック共重合体の水素添加物であるクレイトンG1657(スチレ含有量13重量%)、クレイトンG1650(スチレン含有量29重量%)など(いずれもシェル化学(株)製)やタフテックH1221(スチレン含有量12重量%)、タフテックH1062(スチレン含有量18重量%)、タフテックH1041(スチレン含有量30重量%)など(いずれも旭化成工業(株)製)等がある。又、スチレンとブタジエンとのランダム共重合体の水素添加物は、ダイナロン1320P(スチレン含有量10重量%)、ダイナロン1910P(スチレン含有量30重量%)など(いずれもジェイエスアール(株)製)がある。
【0030】
本発明におけるエラストマー成分の、(1)ブロック共重合体の水素添加物と(2)ランダム共重合体の水素添加物の使用割合は、(1)が10〜90重量部、好ましくは30〜70重量部、(2)が90〜10重量部、好ましくは70〜30重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)である。ランダム共重合体の水素添加物の割合が少なすぎると本発明の導電性フィルムを作製する際のエラストマー成分と導電性フィラーを含む導電性塗料の温度上昇による増粘性が改善されず、多すぎるとフィルムの強度が低下するので好ましくない。
【0031】
(ii) 導電性フィラー
本発明の導電性フィルムを構成する導電性フィラーとしては、例えばカーボン、グラファイト、粉末または繊維状の金属または金属酸化物などが挙げられる。導電性フィラーの比表面積は、好ましくは20m2/g以上、より好ましくは500m2/g以上のものである。比表面積が小さすぎると導電性フィルムの体積抵抗率が大きくなり好ましくない。カーボンの具体例としては、コンダクティブファーネスブラック、スーパーコンダクティブファーネスブラック、エクストラコンダクティブファーネスブラックなどのファーネスブラック、コンダクティブチャンネルブラック、アセチレンブラックなどが挙げられる。市販されている導電性カーボンとしては、例えば、コンチネックスCF(コンチネタルカーボン社製コンダクティブファーネスブラック)、ケッチェンブラックEC(ケッチェンブラックインターナショナル社製コンダクティブファーネスブラック)、バルカンC(キヤボット社製コンダクティブファーネスブラック)、 BLACK PEARLS 2000(キャボット社製コンダクティブファーネスブラック)、デンカアセチレンブラック(電気化学工業社製アセチレンブラック)などが好適に用いられる。
【0032】
さらに、鱗片状の天然黒鉛、グラファイトファイバー、カーボンウイスカーなど、一次粒子径10nm以上、好ましくは20nm以上、かつ100nm以下、好ましくは80nm以下の導電性粒子などの導電性の任意成分を併用して、導電性を改良することもできる。また、導電性の任意成分を併用する場合は、エラストマー成分100重量部に対して、好ましくは0.1〜5重量部を配合する。導電性の任意成分はフィルムの面方向に配向しやすいため、多く配合するとエラストマー成分と導電性フィラーを含む導電性塗料をキャストして得られる導電性フィルムにおいて、電気的に不均一になるという問題がある。
【0033】
(ロ)導電性塗料
本発明の集電用導電性フィルムを製造するための塗料(以下では「導電性塗料」と称することがある)は、前記のエラストマー成分(1)と(2)の合計100重量部とこれに対して前記の導電性フィラー5〜100重量部と、さらにエラストマー成分を溶解する溶媒100〜1000重量部とからなるものである。また、必要に応じて各種の添加剤、架橋剤などを含有せしめることができる。
エラストマー成分は、(1)上述のブロック共重合体の水素添加物10〜90重量%、好ましくは30〜70重量部と、(2)上述のランダム共重合体の水素添加物90〜10重量部、好ましくは70〜30重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)とからなる。ランダム共重合体の水素添加物が少なすぎると導電性塗料の温度上昇による増粘性は防止されず、多すぎると導電性フィルムの強度が低下するので好ましくない。
【0034】
(i)溶媒
本発明の導電性塗料で用いる溶媒は、エラストマー成分を溶解できる溶媒であればよく、例えば、トルエン、ベンゼン、キシレンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフランなどのエーテル系溶媒、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどのケトン系溶媒、および塩素含有系溶媒などの有機系溶媒である。
【0035】
(ii) 添加剤
本発明の導電性塗料には、必要に応じて、本発明の効果を阻害しない範囲で老化防止剤などの配合剤を添加してもよい。但し、ブリードし易い軟化剤や可塑剤、導電性フィルムの耐電解液性を低下させる粘着付与剤などの極性基を有する物質の使用は好ましくない。また、得られるフィルムの強度が不足している場合は、樹脂(プラスチック)を添加して補強することができる。用いられる樹脂は、酸性の電解液に侵食され難いものが好ましく、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレンなどのオレフィン系樹脂、ポリスチレンやポリ塩化ビニルなどであり、特に耐酸性に優れたポリ塩化ビニルが好ましい。配合の割合は、エラストマー成分100重量部に対し、好ましくは0.1〜50重量部、より好ましくは5〜20重量部である。少なすぎると補強効果が充分でなく、逆に、多すぎるとフィルムの柔軟性が不足する。
【0036】
導電性フィルムの強度を上げるため、導電性塗料中にエラストマ−成分の架橋剤を配合しておき、製膜後に架橋させてもよい。エラストマー成分は、エラストマーの一般的な架橋剤である硫黄、硫黄供与体、キノン架橋系、有機過酸化物、樹脂架橋系などで架橋可能であるが、本発明の導電性フィルムは硫酸などの酸を電解液とする電気二重層コンデンサーの集電体として使用することから、酸化亜鉛などの金属を含有しない架橋剤が好ましい。金属化合物を使用せずに架橋可能なものとして、例えば、テトラメチルチウラムジスルフィド、テトラオクチルチウラムジスルフィドなどのチウラム類単独系、またはこれらをNーシクロヘキシルベンゾチアゾールスルフェンアミドなどのスルフェンアミド類(加硫促進剤)と併用する系、トリアジンチオールとベンゾチアゾールとの併用系、ベンゾイルパーオキシド、ハイドロパーオキシド、ジアルキルパーオキシド、パーオキシケタール類などの有機過酸化物単独系およびこれらとトリメチロールプロパントリアクリレート、トリアリルシアヌレートなどの多官能性モノマー(架橋助剤)との組み合わせなどが例示される。架橋剤の配合量は、特に制限されないが、例えば、エラストマー成分100重量部に対して、通常0.1〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。
【0037】
(iii)導電性塗料の調製
本発明の導電性塗料は、エラストマー成分が溶解した溶液に導電性フィラーやその他の添加剤が均一に分散および溶解してなるものであり、塗料の調製方法は特に限定されるものではない。例えば、溶媒にエラストマー成分、導電性フィラーや必要に応じて用いるその他の添加剤を加え、これをボールミルなどの公知の分散機で均一に分散及び溶解させる方法、予めエラストマー成分と導電性フィラーおよび必要に応じて加えるその他の添加剤剤を混練し、混練物と溶媒とをボールミルなどの公知の分散機を用いて溶解および分散させる方法などが挙げられる。
【0038】
本発明の導電性塗料は、塗料中の固形分は特に限定されないが、通常10〜50重量%、好ましくは20〜40重量%に調整して使用する。濃度が薄すぎると導電性フィルムを作製する際に、十分に厚みのあるフィルムが得られず、逆に濃度が濃すぎると溶液の粘度が高くなりすぎ、フィルムの厚みが均一にならない。
【0039】
(ハ)導電性フィルムの製造方法
本発明の導電性フィルムは、上述の本発明の導電性塗料を離型性基材上に塗工および乾燥し、次いで、生成フィルムを離型性基材から剥離することによって製造する、いわゆる溶液流延法(キャスト法)により製造することができる。具体的な製造方法を以下に説明する。
まず、必要に応じて、本発明の導電性塗料中の塊状物や未分散物をフィルターなどにより除去する。使用するフィルターとしては、糸状の繊維、金属などを網目伏に織ったもの、または微細な細孔を面状物に穿設加工したものなどが用いられるが、必ずしもこれらに限定されることはない。さらに、必要に応じて塗料に含まれる気泡を除去するために脱泡を行う。脱泡の方法としては、真空法、超音波法などがで例示されるが、必ずしもこれらに限定されるものではない。
【0040】
導電性塗料は、ポリエチレンテレフタレート、フッ素系樹脂、紙、金属、ガラス板、ポリエステルフィルム、ポリ塩化ビニルフィルムなどの平滑な離型性基材の平面上にバーコーター、Tダイ、バー付きTダイ、ドクターナイフ、メイア・バー、ロール・コーター、ダイ・コーターなどを用いて、またはスプレー、刷毛刷り、ロール、スピンコート、ディッピングなどにより厚さが均一になるように塗工される。また、1回の塗工で所望の膜厚が得られない場合は、繰り返し塗工することもできる。その後、通常30〜150℃程度で乾燥して溶媒を除去し、必要に応じて130〜180℃で5〜180分間程度で架橋して、フィルムを形成し、離型性基材からフィルムを剥離する。溶媒の除去により、残留溶媒濃度は通常5重量%以下、好ましくは2重量%以下、より好ましくは1重量%以下、とりわけ好ましくは0.5重量%以下にする。
【0041】
ここで乾燥温度が溶媒の沸点以上、または沸点近傍だと、発泡し、表面に凹凸を生じることがあるので、乾燥温度は溶媒の特性に応じて決めるのがよく、溶媒の沸点より5℃以上、好ましくは10℃以上低い温度を目安とすればよく、通常30〜100℃の範囲で乾燥する。また、フィルム剥離後に再度乾燥することも可能である。架橋剤を配合して架橋する場合は、溶媒を十分に除去した後、通常130〜180℃で5〜180分、好ましくは10〜120分程度加熱して架橋させる。架橋温度が高すぎると十分に架橋される前に架橋剤が分解することがあるので、架橋温度も架橋剤の特性に応じて決める。なお、架橋する時期については、溶媒を除去した直後である必要は必ずしもない。
【0042】
以上説明した本発明の導電性フイルムを用いた水系電解液を使用する電気二重層コンデンサーを、以下の要領にて作製することができる。なお、電気二重層コンデンサーは、最小構成単位である基本セルだけでなく、基本セルを複数直列に接続して出力電圧を上げたものや、並列に接続して出力電流を上げたもの、さらにこれらを組み合わせた電源をも含める場合がある。
電気二重層コンデンサーの基本セルは、一方の底部を集電用導電性フィルムとして上述の導電性フィルムを共架橋や絶縁性接着剤などで封じた非導電性ブチルゴム製などの封口枠体内にセパレーターを介して、固形分極性電極を充填し、一方の固形分極性電極と密接するように導電性フィルムで封口枠体の開放部を封じ、各導電性フィルムに金属電極板を熱圧着あるいは導電性接着剤などで固着させることで製造することができる。セパレーターは、両固形分極性電極の接触による電気的短絡を防ぐためのもので、例えば、ガラス繊維、ポリプロピレン繊維、ポリエチレン繊維などの不織布、および多孔質膜などが用いられる。
【0043】
固形分極性電極には、導電率が高く、電解液と電気化学反応を起こさない固定活性炭と電解液とを混合して得られるペースト状電極が通常用いられる。固定活性炭としては、例えば、粉末活性炭にフェノール系やフッ素系の樹脂などを加えて固定化した活性炭が用いられる。活性炭は形状を維持するため機械的、物理的な方法で固定化するのが好ましい。また、電解液は、酸性溶液であり、揮発性がないことから、通常、濃度25〜50重量%程度の硫酸水溶液が用いられる。
【0044】
【実施例】
以下に、実施例および比較例を挙げて本発明を具体的に説明する。なお、導電性フィルムの体積抵抗率は、20mm×20mmのフィルム面に垂直な方向の体積抵抗率を日置電気社製の3220低抵抗計を用いて測定した。また、以下の文中の部および%は重量基準である。
【0045】
実施例1〜4、比較例1
水素添加ポリスチレン−ポリブタジエン−ポリスチレンブロック共重合体(SEBS)(シェル化学社製 クレイトン G1650:スチレン含有量29%)80部、水素添加スチレン−ブタジエンランダム共重合体(H−SBR)(ジェイエスアール社製 ダイナロン1320P:スチレン含有量10%)20部および導電性カーボン(ケッチェンブラックインタ−ナショナル社製 ケッチェンブラックEC:比表面積約800m2/g)50部をトルエン500部に加え、これをボールミル中で20℃以下に冷却しながら24時間分散混合して均一なスラリーとした。
【0046】
このスラリーをボールミルから100メッシュの金網に自然落下させながら濾過をおこない、塊状物および未分散物を除去した後に、真空脱泡機を用いて脱泡し、固形分31.1%の導電性塗料を得た。この導電性塗料を離型処理されたポリエチレンテレフタレートフィルム(38μm厚さ)上にドクターブレードを用いて塗工し、80℃で1時間乾燥後に剥離し、厚さ50μmの均一な導電性フィルムを得た。同様にしてSEBS(部)/HSBR(部)が、それぞれ70/30、60/40、100/0および20/80で、表1記載量の導電性カーボンを含む導電性塗料を作製し、これらを用いて導電性フィルムを作製した。
得られた各フィルムの体積抵抗率、JIS K6301の方法で破断時の伸びおよび引張強さを測定した。また、導電性塗料の増粘性はB型粘度計(ロータNo.3、回転数2rpm、温度23℃、30秒後の測定値)で、前記調製直後の導電性塗料の粘度(η0)と、調製した導電性塗料を40℃で30分間加温した後、再び20℃以下に冷却した時の粘度(η)とをそれぞれ測定し、
(η−η0)/η0を求めて増粘性の指標とした(数値が大きい程増粘性が大きいことを示す。)。これらの測定結果を表1に示す。
【0047】
Figure 0003925157
【0048】
表1に示した結果によれば、エラストマー成分としてスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物とスチレン−ブタジエンランダム共重合体の水素添加物との混合物を、導電性ブラックとともにトルエン中に混合して調製した塗料は、温度上昇による粘度の増大が少ないことが分かる。また、この塗料を用いて形成した導電性フィルムは、引張強さと伸びのバランスが良好である(実施例1〜4)。
これに対して、エラストマー成分としてスチレン−ブタジエンブロック共重合体の水素添加物のみを用いた塗料は、温度上昇によって粘度が著しく増大し、均一な膜厚のフィルムができないことが分かる(比較例1)。
【0049】
【発明の効果】
以上の本発明によれば、キャスト法による製膜が容易で、体積抵抗率が低く、耐酸性に優れ、固形分極性電極および金属電極板との密着性に優れた電気二重層コンデンサーの集電用導電性フィルムが提供される。また、本発明によれば、導電性フィラーの分散性に優れ、粘度安定性を有する電気二重層コンデンサーの集電用導電性フィルム製造用の導電性塗料が提供される。
【図面の簡単な説明】
【図1】 電気二重層コンデンサーの基本的構成を説明する概略断面図。
【符号の説明】
1:基本セル
2:分極性電極
3:多孔性セパレーター
4:封口枠体
5:集電体(集電用導電性フィルム)
6:金属電極板

Claims (3)

  1. 電気二重層コンデンサーに使用する集電用導電性フィルムであって、エラストマー成分と導電性フィラーとからなり、エラストマー成分は、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物10〜90重量部と、(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物90〜10重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)とからなる集電用導電性フィルム。
  2. 電気二重層コンデンサーに使用する集電用導電性フィルムを製造するための塗料であって、前記塗料はエラストマー成分の溶液に導電性フィラーを分散させてなり、エラストマー成分は、(1)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのブロック共重合体の水素添加物10〜90重量部と、(2)芳香族ビニル化合物と共役ジエンとのランダム共重合体の水素添加物90〜10重量部(但し、(1)と(2)の合計は100重量部である。)とからなる集電用導電性フィルムを製造するための導電性塗料。
  3. 請求項2に記載の導電性塗料を用いて形成された集電用導電性フィルム。
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