JP3924477B2 - セラミックヒータおよびそれを用いた車載暖房機点火用セラミックヒータ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃焼式車載暖房装置の点火あるいは炎検知用ヒータ、自動車用グロープラグ、石油ファンヒータ等の各種燃焼機器の点火用ヒータ、酸素センサ等の各種センサの各種センサや測定機器の加熱用ヒータなどに利用されるセラミックヒータに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
寒冷地においてエンジンの始動を短期間に可能とするための熱源または車両室内暖房の補助熱源として、液体燃料を用いる車載暖房機が使用されている。また、電気自動車においてはバッテリの容量の制限により電力消費を少なくすることが要求されており、暖房装置の熱源としてこの液体燃料を用いた車載暖房機の利用が見込まれている。
【0003】
このような車載暖房機の従来例を図4に示す。(特開平11−173511参照)液体燃料は図示していない燃料ポンプにより燃料タンクから点火栓10の周囲に供給される。支持部材11は燃焼筒12に固定されており、その中央には燃焼温度検知サーミスタ13が設置されており、上部には点火栓10を挿通させる孔が設けられている。更に支持部材11には液体燃料を保持する蒸発媒体14が嵌着されており、燃料の着火は、円筒形のステンレスで被覆された金属製の発熱部15を有する点火栓10により行われる。すなわち、点火栓10の抵抗体に一定時間通電することにより発熱部15が高温に赤熱される。その後、燃料ポンプから点火栓10の周りに液体燃料が供給され蒸発媒体14に浸透される。同時に空気供給ブロア16から空気が送られ燃焼用空気が送り込まれる。そして、点火栓10の周りに浸透した燃料が蒸発して赤熱した発熱部15で着火される。
【0004】
点火栓10で発生した炎は蒸発媒体14の全面を覆うようになる。この火炎により蒸発媒体14の表面から燃料蒸発量が増大し燃焼量が増大するがその燃焼量に見合うように供給燃料および燃焼用空気量が増やされる。
【0005】
定常燃焼状態でコントローラー17は車両からの操作信号および燃焼温度検知サーミスタ13の信号により、燃料ポンプ、空気供給ブロア16の動作を制御する。
【0006】
燃焼筒12内の燃焼室で発生したガスは熱交換部18で冷却水を加熱する。この熱交換部で加熱される水はエンジン冷却水であるがその水は図示していない熱交換器で空気を加熱する。その加熱された空気は車両室内に送られ車内の暖房が行われる。
【0007】
図1及び図2を用いて、従来の車載用暖房装置の着火または着火検知に使用されているセラミックヒータ1の構造を説明する。図1から判るように発熱抵抗体7を内蔵し、Niからなる電極金具3を取出電極10にロウ付けしたセラミックヒータ1が、前記セラミックヒータ1の外表面にロウ付けされた保持金具2で該セラミックヒータ1を外部装置に固定するための固定用金具4にネジ5により固定された状態を示している。固定用金具4の先端部にはセラミックヒータ1の位置決めのために、段部が形成されており、該段部に保持金具2を当てて位置合わせをし、ネジ5で固定するようにしている。
このようにしてガス流中の最適位置で燃焼ガスが着火するようなシステムが組まれている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
近年、車載暖房装置の小型化が望まれており、それに伴い、セラミックヒータの小型化、セラミックヒータとサーミスタとの一体化が必要となってきている。
燃焼及び燃焼温度を確認する方法としては、サーミスタの高温抵抗値を読み取り、その高温抵抗値を換算して確認する方法が採られている。
【0009】
セラミックヒータとサーミスタを一体化する場合、セラミックヒータの耐久性が良好で長期の使用に際しても抵抗値の変動が少なくなければならない。
【0010】
耐久性を良好にするためには、発熱抵抗体に高融点で熱膨張計数が母材に近いWCを用い、さらに熱膨張計数をセラミックヒータの基材に近づけるためBNや窒化珪素粉末を添加する。このとき、セラミックヒータを作製する焼成工程にて基材のSiと発熱体中のWCが反応してWの珪化物であるWSi2もしくはW5Si3を形成する。その反応度合いにばらつきがあり、W珪化物とWCの比抵抗及び抵抗温度係数が異なるため、その結果、室温抵抗がばらつく、あるいは抵抗温度係数がばらつき、燃焼及び燃焼温度の正しい検知が出来なくなってしまうという問題があった。
【0011】
ちなみに、従来のコイルを内蔵したタイプでは、40〜1000℃間の抵抗温度係数が30〜50%程度ばらついており、このように抵抗温度係数が大きくばらついているものでは、燃焼温度の検知用に使用することは出来ないという問題があった。
【0012】
本発明における抵抗温度係数とは、温度変化に対する抵抗値変化の割合を示すパラメータであって、40℃における抵抗値をR40、1000℃における抵抗値をR1000とすると、抵抗温度係数=(R1000−R40)÷(1000−40)で定義される。
【0013】
本発明は、安定した抵抗値のセラミックヒータかつ炎検知を一体化したセラミックヒータを長期に渡って使用した場合でも、抵抗温度係数が安定し、その結果、安定した着火検知が可能となるセラミックヒータを提供することを目的とする。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明のセラミックヒータの製造方法は、窒化珪素を主成分とするセラミック生成形体にWCを主成分とする発熱抵抗体用のペーストを埋設する工程と、前記ペーストを埋設した前記セラミック生成形体を加圧焼成する工程と、を備えたセラミックヒータの製造方法であって、前記加圧焼成する工程が、前記セラミック生成形体をカーボン型に入れて還元雰囲気下、1650〜1750℃の温度でホットプレスにより加圧焼成する工程であり、前記カーボン型の少なくともセラミック生成形体に直接触れる部分が、1.70〜1.95g/cm 3 の密度、30MPa以上の曲げ強度、70W/m・K以上の熱伝導率を有していることを特徴とする。
【0015】
また、本発明のセラミックヒータの他の製造方法は、WCを主成分とする発熱抵抗体の断面におけるWを含む面積に対するWの珪化物の面積の比を50%以下とするセラミックヒータの製造方法であって、窒化珪素を主成分とするセラミック生成形体にWCを主成分とする発熱抵抗体用のペーストを埋設する工程と、前記ペーストを埋設した前記セラミック生成形体をカーボン型に入れて加圧焼成する工程と、を備え、前記加圧焼成に用いるカーボン型のうち、少なくともセラミック生成形体に直接触れる部分が、1.70〜1.95g/cm 3 の密度、30MPa以上の曲げ強度、70W/m・K以上の熱伝導率を有していることを特徴とする。
【0016】
また、前記ペーストは、BNを4重量%以上含有することが好ましい。
【0017】
また、前記ペーストは、窒化珪素を10〜40重量%添加することが好ましい。
【0018】
また、前記加圧焼成する工程において、前記ペーストの周辺にダミーとなる窒化珪素成形体を配置して焼成することが好ましい。また、前記発熱抵抗体が、Wコイルタイプであることが好ましい。
【0019】
【作用】
セラミックヒータの焼成工程についてホットプレスに用いるカーボンで少なくともセラミックヒータに直接ふれるものについて密度を1.70〜1.95g/cm3、曲げ強度を30MPa以上、熱伝導率を70W/m・Kとすることにより、カーボン型のシール性を向上させると共に、ホットプレスの圧力によりカーボン型が破損することを防止し、焼成時の熱がセラミックヒータに伝わりやすくなるので、焼成したセラミックヒータの常温抵抗、抵抗温度係数が安定する。さらに、内部に埋設される発熱抵抗体について無機導電体のWCと無機絶縁体のBNを主成分とし、BNの添加量を4重量%以上にすることにより良好な耐久性を得ることができ、その結果、長期の使用に際しても抵抗値が変化せず、安定した着火及び着火検知性能が維持できる。
【0020】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態を詳細に説明する。
図1に本発明のセラミックヒータの断面図を示した。図1のセラミックヒータ1は車載用暖房装置に使用される着火または着火検出に使用されている。
まず、セラミックヒータ1の製法について図2を用いて説明する。この図は、2層の発熱抵抗体7を有するセラミックヒータ1の例である。まず、セラミック生成形体6の上に発熱抵抗体7と取出電極9をプリント法により形成する。その後、タングステンピン8を前記発熱抵抗体7、取出電極9が導通するように設置し、前記セラミック生成形体6の2層とこれらの蓋となるセラミック生成形体6を重ねて密着させ、ホットプレスにより焼成した後焼結体を円柱状に加工し、表面に露出した取出電極9に電極金具3をロウ付けしてセラミックヒータ1を得る。その後、セラミックヒータ1の外周に保持金具2をロウ付けする。こうして得られたセラミックヒータ1を、図1に示すように、車載暖房機の燃焼筒12のホルダ4にネジ5により固定する。3は、セラミックヒータ1の電極金具である。
【0021】
また、セラミクヒータ1を車載暖房機の点火用ヒータとして使用する場合、前記発熱抵抗体7を温度センサとして使用し、燃焼時の温度を発熱抵抗体7の抵抗値から判断することができる。
【0022】
本発明のセラミックヒータ1は、前記発熱抵抗体7の抵抗温度係数のばらつきが25%以下であることを特徴とする。この抵抗温度係数が25%を越えて大きいと、燃焼温度を正確に検知することができなくなり、燃料を加給し過ぎて、正確な暖房ができなくなるので好ましくない。さらに好ましくは18%以下、理想的には16%以下とすることが好ましい。
【0023】
また、発熱抵抗体7としては、W、Mo、Tiの炭化物、窒化物、珪化物を主成分とするものを使用することが可能であるが、中でもWCが熱膨張率、耐熱性、比抵抗の面から発熱抵抗体7の材料として優れている。そして、発熱抵抗体7の主成分をWCとし、図3に示すような発熱抵抗体7の断面部において、該発熱抵抗体7の表面に形成される珪化層の面積比が50%以下となるようにすることが好ましい。これにより、抵抗温度係数のバラツキを25%以下に安定して制御することができる。さらに好ましくは、前記珪化層の比率を15%以下にすれば良い。
【0024】
抵抗温度係数がばらつく理由は、発熱抵抗体7の珪化にある。珪化が進みすぎると、珪化部は強度が弱く非常に脆い性質を持っているので、発熱抵抗体7の耐久性が低下する。発熱抵抗体の耐久性の面からみても、抵抗温度係数のバラツキが25%を越えるものは、耐久性が悪くなるので好ましくない。
【0025】
また、前記珪化層の割合を50%以下にするためには、前記セラミックヒータ1の焼成工程である加圧焼成に用いるカーボン型のうち、少なくともセラミックヒータ1に直接触れる部分を、その密度が1.70〜1.95g/cm3、曲げ強度が30MPa以上、熱伝導率が70W/m・K以上の特性を有するカーボンを用いることが有効である。
【0026】
カーボン型の密度が1.70g/cm3未満になると、カーボン型による雰囲気のシール性が低下するため、窒化珪素の分解が進み、発熱抵抗体7の珪化が進みやすくなるので好ましくない。特に、外周部の発熱抵抗体の珪化が進む。発熱抵抗体7が珪化すると抵抗温度係数が小さくなるので、珪化の度合いが進むにつれて抵抗温度係数のバラツキが大きくなる。
【0027】
曲げ強度については、カーボン型の曲げ強度が30MPa未満では、ホットプレス焼成時にカーボン型にクラックが発生して発熱抵抗体7が断線したり、抵抗値が高くなり耐久性が低下したりするので好ましくない。また、波及効果としてシール性が低下するので、発熱抵抗体7の珪化が進み抵抗温度係数のバラツキが大きくなってしまう。
【0028】
カーボン型の熱伝導率が70W/m・K未満では、カーボン型の中のセラミックヒータへの熱伝達が悪くなるので発熱抵抗体7の焼結が不充分となり、抵抗値が狙いより大きくなってしまうので、好ましくない。
【0029】
また、カーボン型の特性が上記範囲を超えて大きくなると、原因は良く判らないが、発熱抵抗体7の焼結が不充分となり、抵抗値を所望の範囲に調整することが難しくなるので好ましくない。
【0030】
また、焼成時に発熱抵抗体7の周辺にダミーとなる窒化珪素成形体を配置して焼成することにより、発熱抵抗体7の周囲の窒化珪素の分解を抑制することも、抵抗温度係数のバラツキを低減するために有効である。
【0031】
また、前記発熱抵抗体7は無機導電体のWCを主成分とし、これに添加するBNの比率が4重量%以上となるように調整することが好ましい。窒化珪素セラミックス中で、発熱抵抗体7となる導体成分は窒化珪素に較べて熱膨張率が大きいため、通常は引張応力が掛かった状態にある。これに対して、BNは、窒化珪素に較べて熱膨張率が小さく、また発熱抵抗体7の導体成分とは不活性であり、セラミックヒータ1の昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和するのに適している。また、BNの添加量が20重量%を越えると抵抗値が安定しなくなるので、20重量%が上限である。さらに好ましくは、BNの添加量は、4〜10重量%とすることが良い。
【0032】
また、発熱抵抗体7への添加物として、BNの代わりに窒化珪素を10〜40重量%添加することも可能である。窒化珪素の添加量を増すにつれ、発熱抵抗体7の熱膨張率を母材の窒化珪素に近づけることができる。
【0033】
また、従来のようにWコイルタイプの発熱抵抗体7を用いたセラミックヒータを用いることも可能である。Wコイルの珪化を低減することにより、抵抗温度係数のバラツキを低減することが可能となる。
【0034】
このようにして作製したセラミックヒータ1は、図4に示したような車載暖房機点火用のセラミックヒータ1として使用することができる。
【0035】
セラミックヒータ1のセラミック基材の材質は、窒化珪素、窒化アルミニウム等の材質を用いることが可能である。中でも、窒化珪素が高強度、高靱性、高絶縁性、耐熱性の観点で一番優れている。
窒化珪素質焼結体としては、主成分の窒化珪素に対し、焼結助剤として3〜12重量%の希土類元素酸化物と0.5〜3重量%のAl2O3、さらに焼結体に含まれるSiO2量として1.5〜5重量%となるようにSiO2を混合し、1650〜1750℃でホットプレス焼成することにより、焼結体を得ることができる。ここで示すSiO2量とは、窒化珪素原料中に含まれる不純物酸素から生成するSiO2と、他の添加物に含まれる不純物としてのSiO2と、意図的に添加したSiO2の総和である。
【0036】
また、母材の窒化珪素にMoSi2やWSi2を分散させることにより、母材の熱膨張率を発熱抵抗体7の熱膨張率に近づけることにより、発熱抵抗体7の耐久性を向上させることが可能である。
また、セラミックヒータの母材の材質として窒化アルミニウムを用いる場合は、窒化アルミニウムに対して、焼結助剤としてY2O3等の希土類元素酸化物やCaOを2〜8重量%添加したものを使用する。
【0037】
タングステンピン8については、耐熱性のある材質であれば他の材質を用いることも可能であるが、特にセラミック基材が窒化珪素の場合、Wを用いるのが望ましい。
保持金具2の材質としては、ステンレス鋼、耐熱鋼、Fe−Ni−Cr合金、インコネル等の耐熱性に優れたものが好適である。
【0038】
【実施例】
本発明の有効性を確認するために、テスト品を作って、下記試験を実施して、従来の構造のものと比較した。
実施例 1
ここでは、セラミックヒータ1のホットプレス焼成時に使用するカーボン型の密度、強度、熱伝導率を変化させて、各々の場合の発熱抵抗体7の導体成分であるWCの珪化の度合いを調べるとともに、このようにして準備したセラミックヒータ1の室温における抵抗値バラツキと、抵抗温度係数を調査した。
【0039】
まず、セラミックヒータ1の製法について図2を用いて説明する。まず、窒化珪素(Si3N4)粉末にイッテリビウム(Yb)やイットリウム(Y)等の希土類元素の酸化物からなる焼結助剤を添加したセラミック原料粉末を周知のプレス成型法等でセラミック生成形体6を得た。セラミック生成形体6の上にWCとBNを主成分とするペーストを用いて発熱抵抗体7と取出電極9をプリント法により形成した。その後、タングステンピン8を前記発熱抵抗体7と取出電極9が導通するように設置し、前記セラミック生成形体6を2層とこれらの蓋となるセラミック生成形体6を重ねて密着させ、密着させた生成形体数十本とカーボン板を交互に段重ねした。これを円筒のカーボン型に入れた後、還元雰囲気下、1650℃〜1750℃の温度でホットプレスにより焼成する。前記カーボン板については、密度、曲げ強度、熱伝導率の特性について3水準振った。焼成後焼結体を円柱状に加工し、表面に露出した取出電極9にNiからなる電極金具3をロウ付けしてセラミックヒータ1を得た。その後、セラミックヒータ1の外周に保持金具2をロウ付けした。
【0040】
テスト品の寸法とし、セラミック部分の外径を4.2mm、全長を40mmとしたセラミックヒータ1を作製し、それぞれの発熱抵抗体7厚みについて発熱抵抗体7の珪化層が占める割合、抵抗値及び抵抗温度係数のばらつきを評価した。これらの結果を表に示した。
なお、珪化層についてはセラミックヒータ1を、発熱抵抗体7に垂直な断面で切断して4本見える発熱抵抗体7の断面をEPMA(JXA8600M)にて観察した。装置の測定条件としてD.Tim:30msec、Acc.V:15kV、P.Cur:5×10-8Aで測定。Siのカウント値を0〜75、Wのカウント値を0〜125までとった。Siについてはカウント値を25以上、Wについてはカウント値を50以上というしきい値を設定してこの数値で多元素複合マップをとる。このとき、マップ上でSiとWの重なる部分をSiとWの珪化層とする。マップ中のWのしめる面積と珪化層の占める面積を出し、珪化層の面積/(Wの面積+反応層の面積)×100 という式で発熱抵抗体7中の珪化層の占める割合をだした。測定数は抵抗値、抵抗温度係数については500本、反応層の割合については20本評価して、その中の最大値をデータとした。結果を表1に示した。
【0041】
【表1】
【0042】
表1に示す通り、カーボンの密度を1.60〜1.64g/cm3とし、曲げ強度を25〜29MPaとし、熱伝導率を58〜68W/m・KとしたNo.1は、抵抗温度係数が34%バラツキ、室温の抵抗値バラツキも32%と大きく、好ましくなかった。
【0043】
これに対し、カーボンの密度を1.70〜1.90g/cm3、曲げ強度を30MPa以上、熱伝導率を70W/m・K以上としたNo.2〜5、発熱抵抗体7中のWの反応層の占める割合が少なく、抵抗値、抵抗温度係数とも安定することが確認できた。 なお、表中の値は平均値である。
【0044】
実施例 2
発熱抵抗体7の主成分であるWCに対し、BNの添加量を1〜15重量%の範囲で6水準振って、実施例1に記載の方法でセラミックヒータ1を作製し、セラミックヒータ1の通電耐久性を評価した。
セラミックヒータ1に通電し、1300℃昇温保持3分後、通電を止めて外部冷却ファンにより1分冷却。これを1サイクルとして30000サイクルの耐久試験を実施した。各条件10本のサンプルを作製し、その平均値をデータとした。これらの結果を、表2に示した。
【0045】
【表2】
【0046】
表2に示す通り、BNの添加量を1〜2重量%添加したNo.1、2は、耐久テスト後の抵抗変化率が10%を越えてしまい好ましくなかった。これに対し、BNの添加量を4〜15重量%にしたNo.3〜6は、安定した耐久性を得ることができた。
【0047】
本発明によれば、前記加圧焼成する工程が、前記セラミック生成形体をカーボン型に入れて還元雰囲気下、1650〜1750℃の温度でホットプレスにより加圧焼成する工程であり、前記カーボン型の少なくともセラミック生成形体に直接触れる部分が、1.70〜1.95g/cm 3 の密度、30MPa以上の曲げ強度、70W/m・K以上の熱伝導率を有していることから、常温抵抗、抵抗温度係数を安定させることができる。
【0048】
また、前記ペーストは、BNを4重量%以上含有するときには、熱膨張率、耐熱性、比抵抗の面から優れ、さらに、前記セラミックヒータの昇温降温時の熱膨張差による応力を緩和することができる。また、前記ペーストは、窒化珪素を10〜40重量%添加するときには、熱膨張率、耐熱性、比抵抗の面から優れ、さらに、熱膨張率を母材の窒化珪素に近づけることができる。
【0049】
また、前記加圧焼成する工程において、前記ペーストの周辺にダミーとなる窒化珪素成形体を配置して焼成するときには、前記ペーストの周囲の窒化珪素の分解を抑制することができる。これにより、抵抗温度係数のばらつきを低減させることができる。また、前記発熱抵抗体が、Wコイルタイプであるときには、Wコイルの珪化を低減することにより、抵抗温度係数のばらつきを低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のセラミックヒータの層構成図である。
【図2】本発明のセラミックヒータの断面図である。
【図3】本発明のセラミックヒータの発熱抵抗体組織の模式図である。
【図4】本発明の車載暖房機の断面図である。
【符号の説明】
1:セラミックヒータ
2:保持金具
3:電極金具
4:固定用金具
5:ネジ
6:セラミック生成形体
7:発熱抵抗体
8:タングステンピン
9:取出電極
10:点火栓
11:支持部材
12:燃焼筒
13:温度検知サーミスタ
14:蒸発媒体
15:発熱部
16:空気供給ブロア
17:コントローラー
18:熱交換部
Claims (6)
- 窒化珪素を主成分とするセラミック生成形体にWCを主成分とする発熱抵抗体用のペーストを埋設する工程と、前記ペーストを埋設した前記セラミック生成形体を加圧焼成する工程と、を備えたセラミックヒータの製造方法であって、
前記加圧焼成する工程が、前記セラミック生成形体をカーボン型に入れて還元雰囲気下、1650〜1750℃の温度でホットプレスにより加圧焼成する工程であり、前記カーボン型の少なくともセラミック生成形体に直接触れる部分が、1.70〜1.95g/cm 3 の密度、30MPa以上の曲げ強度、70W/m・K以上の熱伝導率を有していることを特徴とするセラミックヒータの製造方法。 - WCを主成分とする発熱抵抗体の断面におけるWを含む面積に対するWの珪化物の面積の比を50%以下とするセラミックヒータの製造方法であって、
窒化珪素を主成分とするセラミック生成形体にWCを主成分とする発熱抵抗体用のペーストを埋設する工程と、前記ペーストを埋設した前記セラミック生成形体をカーボン型に入れて加圧焼成する工程と、を備え、
前記加圧焼成に用いるカーボン型のうち、少なくともセラミック生成形体に直接触れる部分が、1.70〜1.95g/cm 3 の密度、30MPa以上の曲げ強度、70W/m・K以上の熱伝導率を有していることを特徴とするセラミックヒータの製造方法。 - 前記ペーストは、BNを4重量%以上含有することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックヒータの製造方法。
- 前記ペーストは、窒化珪素を10〜40重量%添加することを特徴とする請求項1又は2に記載のセラミックヒータの製造方法。
- 前記加圧焼成する工程において、前記ペーストの周辺にダミーとなる窒化珪素成形体を配置して焼成することを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法。
- 前記発熱抵抗体が、Wコイルタイプであること特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載のセラミックヒータの製造方法。
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