JP3924198B2 - 燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法 - Google Patents

燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法に関し、特に、燃料電池スタックの起動にかかる時間を短縮する燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
固体高分子型の燃料電池スタックに燃料ガスと酸化ガスとを供給して発電する場合、起動時は、燃料電池スタックの温度が低い(常温)ため、十分な出力が得られない。これは、(1)電極触媒の温度が低く、触媒活性が低いこと、(2)電解質膜の温度が低いため、電解質膜(イオン交換膜)の抵抗が高いこと、(3)燃料電池スタックの温度が低いため、水蒸気を含むガス(燃料ガス及び酸化ガス)を供給しても、水蒸気が凝縮してしまい、電解質膜に達することが出来ず、電解質膜を加湿することができないため、電解質膜の抵抗が高い、等の理由による。
【0003】
燃料電池スタックの起動時の昇温方法としては、発電時に燃料電池スタックで発生する熱を逃がすために燃料電池スタック内を流通する冷却水を、起動時に所定の方法(例示:冷却水のラインに加熱装置を設ける)で加熱し、これを燃料電池スタックに通じて燃料電池スタックを加熱する方法が知られている。
また、加湿方法としては、酸化ガス及び燃料ガスを加湿して供給することにより、電解質膜を加湿する方法が知られている。
【0004】
冷却水は、燃料電池スタックのセパレータ内部に設けられた通路内を流れる。冷却水の熱は、セパレータを暖めた後、燃料電池セルを暖めることになる。従って、冷却水の熱が燃料電池セルまで伝わるのに、遅れがある。また、燃料ガスや酸化ガスも加熱して供給されるが、ガスであるため熱量が小さいので、燃料電池スタックの加熱には時間を要する。
また、加湿した燃料ガス及び酸化ガスにより電解質膜を加湿するが、燃料電池スタックの温度が低いため途中で水蒸気が凝縮し易い。また、電極部に多孔質のカーボン材が用いられ、電解質膜全面を覆っているので、水蒸気が電解質膜にまで到達するのに時間を要する。
【0005】
車両用の燃料電池スタックなどは、起動から運転までの時間が出来るだけ短いことが期待されている。
燃料電池システムの起動時間を短縮する技術が望まれている。燃料電池システムにおける燃料電池スタックの加熱時間を短縮する技術が求められている。燃料電池スタック中の燃料電池セルの加湿時間を短縮する技術が求められている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、本発明の目的は、起動にかかる時間を短縮することが可能な燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法を提供することである。
【0007】
また、本発明の他の目的は、燃料電池スタックの加熱時間を短縮することが可能な燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法を提供することである。
【0008】
本発明の更に他の目的は、燃料電池スタック中の燃料電池セルの加湿時間を短縮することが可能な燃料電池システム及び燃料電池システムの起動方法を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以下に、[発明の実施の形態]で使用される番号・符号を用いて、課題を解決するための手段を説明する。これらの番号・符号は、[特許請求の範囲]の記載と[発明の実施の形態]との対応関係を明らかにするために括弧付きで付加されたものである。ただし、それらの番号・符号を、[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
【0010】
従って、上記課題を解決するために、本発明の燃料電池システムは、制御部(18)と、燃料電池スタック(3)と、第1燃料ガス流量制御部(7)と、第2燃料ガス流量制御部(8)と、第1酸化ガス流量制御部(9)とを具備する。第1燃料ガス流量制御部(7)は、燃料電池スタック(3)のアノード側へ供給される燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)の流量を制御する。第2燃料ガス流量制御(8)部は、燃料電池スタック(3)のカソード側へ供給されるその燃料ガスとしての第2燃料ガス(Q’)の流量を制御する。第1酸化ガス流量制御部(9)は、そのカソード側へ供給される酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)の流量を制御する。そして、制御部(18)は、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのカソード側に、第2燃料ガス(Q’)と第1酸化ガス(P)とが予め設定された割合で供給されるように第2燃料ガス流量量制御部(8)と第1酸化ガス流量制御部(9)とを制御する。
【0011】
また、本発明の燃料電池システムは、制御部(18)と、燃料電池スタック(3)と、第1燃料ガス流量制御部(7)と、第1酸化ガス流量制御部(9)と、第2酸化ガス流量制御部(10)とを具備する。第1燃料ガス流量制御部(7)は、燃料電池スタック(3)のアノード側へ供給される燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)の流量を制御する。第1酸化ガス流量制御部(9)は、燃料電池スタック(3)のカソード側へ供給される酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)の流量を制御する。第2酸化ガス流量制御部(10)は、そのアノード側へ供給されるその酸化ガスとしての第2酸化ガス(P’)の流量を制御する。そして、制御部(18)は、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのアノード側へ、第1燃料ガス(Q)と第2酸化ガス(P’)とが予め設定された割合で供給されるように第1燃料ガス流量量制御部(7)と第2酸化ガス流量制御部(10)とを制御する。
【0012】
更に、本発明の燃料電池システムは、燃料電池スタック(3)内を流れる水を加熱する加熱部(5)を更に具備する。そして、制御部(18)は、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、その加熱を行うように加熱部(5)を制御する。
【0013】
上記課題を解決するための、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのカソード側へ、その燃料ガスとしての第2燃料ガス(Q’)を供給するステップとを具備する。
【0014】
また、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのアノード側へ、その酸化ガスとしての第2酸化ガス(P’)を供給するステップとを具備する。
【0015】
また、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)への供給前に、第1燃料ガス(Q)及び第1酸化ガス(P)を加湿するステップを更に具備する。
【0016】
また、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)の発電の停止中に、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、燃料電池スタック(3)の運転に用いる酸化ガス(P)と比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのカソード側へ、酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、酸化ガス(P)の圧力(A)よりも高い圧力(A)で燃料ガス(Q)を供給するステップとを具備する。
【0017】
更に、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)の発電の停止中に、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、燃料電池スタック(3)の運転に用いる酸化ガス(P)と比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガス(Q)を供給するステップと、そのカソード側へ、燃料ガス(Q)の圧力(A)よりも高い圧力(A)で酸化ガス(P)を供給するステップとを具備する。
【0018】
更に、本発明の燃料電池システムの起動方法は、前処理ガスを供給するステップが、その発電の停止中に、そのカソード側の代わりにそのアノード側へ、酸化ガス(P)の代わりに燃料ガス(Q)と比較して乾燥しているその前処理ガスを供給するステップを具備する。
【0019】
更に、本発明の燃料電池システムの起動方法は、燃料電池スタック(3)内を流れる水を加熱し、燃料電池スタック(3)へ供給するステップを更に具備する。
【0020】
上記課題を解決するための本発明に関わるプログラムは、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのカソード側へ、その燃料ガスとしての第2燃料ガス(Q’)を供給するステップとを具備する方法をコンピュータに実行させる。
【0021】
また、本発明に関わるプログラムは、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガスとしての第1燃料ガス(Q)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、酸化ガスとしての第1酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのアノード側へ、その酸化ガスとしての第2酸化ガス(P’)を供給するステップとを具備する方法をコンピュータに実行させる。
【0022】
更に、本発明に関わるプログラムは、燃料電池スタック(3)の発電の停止中に、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、燃料電池スタック(3)の運転に用いる酸化ガス(P)と比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、そのカソード側へ、酸化ガス(P)を供給するステップと、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、酸化ガス(P)の圧力(A)よりも高い圧力(A)で燃料ガス(Q)を供給するステップとを具備する方法をコンピュータに実行させる。
【0023】
更に、本発明に関わるプログラムは、燃料電池スタック(3)の発電の停止中に、燃料電池スタック(3)のカソード側へ、燃料電池スタック(3)の運転に用いる酸化ガス(P)と比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、燃料電池スタック(3)を昇温する際に、燃料電池スタック(3)のアノード側へ、燃料ガス(Q)を供給するステップと、そのカソード側へ、燃料ガス(Q)の圧力(A)よりも高い圧力(A)で酸化ガス(P)を供給するステップとを具備する方法をコンピュータに実行させる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、本発明である燃料電池システムの実施の形態に関して、添付図面を参照して説明する。
なお、各実施の形態において同一又は相当部分には同一の符号を付して説明する。
【0025】
(実施例1)
先ず、本発明である燃料電池システムの第1の実施の形態における構成について説明する。
図1は、本発明である燃料電池システムの第1の実施の形態における構成を示す図である。燃料電池システムは、燃料ガス供給部1、酸化ガス供給部2、燃料電池スタック3、加熱部5、冷却部6、第1燃料ガス流量制御弁7、第2燃料ガス流量制御弁8、第1酸化ガス流量制御弁9、第2酸化ガス流量制御弁10、燃料ガス逆止弁11、酸化ガス逆止弁12、ダイオード13、出力スイッチ14、電圧センサ15、ポンプ17、制御部18を具備する。そして、負荷装置4に接続され、負荷装置4へ電力を供給している。
そして、第1燃料ガス用の配管である第1燃料ガス配管21−1〜21−3、第2燃料ガス用の配管である第2燃料ガス配管23−1〜23−3、第1酸化ガス用の配管である第1酸化ガス配管22−1〜22−3、第2酸化ガス用の配管である第2酸化ガス配管24−1〜24−3、冷却水用の配管である冷却水配管20−1〜20−4を有する。
また、電気用の配線である配線25−1〜25−2を備える。
【0026】
燃料ガス供給部1は、加湿部を有する。第1燃料ガス配管21−1−第1燃料ガス流量制御弁7−第1燃料ガス配管21−2を介して燃料電池スタック3のアノード側(燃料極)へ燃料ガスとしての第1燃料ガスの供給を行う。ここで、燃料ガスは、水素、又はメタノールやメタン等の炭化水素系材料を改質して得られる水素リッチガスに例示される水素を含むガスであり、CO濃度は所定の量未満であり、加湿されている。ただし、燃料ガスが、炭化水素系材料であれば、内部に改質部、CO変成部を含む。
また、燃料ガス供給部1は、第1燃料ガス配管21−1(の途中)−第2燃料ガス配管23−1−第2燃料ガス流量制御弁8−第2燃料ガス配管23−2−燃料ガス逆止弁11−第2燃料ガス配管23−3−第1酸化ガス配管22−2(の途中)を介して、燃料電池スタック3のカソード側(空気極)へ燃料ガスとしての第2燃料ガスの供給を行う。
【0027】
酸化ガス供給部2は、内部に加湿部を有する。第1酸化ガス配管22−1−第1酸化ガス流量制御弁9−第1酸化ガス配管22−2を介して燃料電池スタック3のカソード側(空気極)へ酸化ガスとしての第1酸化ガスを供給する。ここで、酸化ガスは、酸素、又は空気に例示される酸素を含むガスであり、加湿されている。
また、酸化ガス供給部2は、第1酸化ガス配管22−1(の途中)−第2酸化ガス配管24−1−第2酸化ガス流量制御弁10−第2酸化ガス配管24−2−酸化ガス逆止弁12−第2酸化ガス配管24−3−第1燃料ガス配管21−3(の途中)を介して、燃料電池スタック3のアノード側(燃料極)へ酸化ガスとしての第2酸化ガスの供給を行う。
【0028】
燃料電池スタック3は、第1燃料ガス中の水素と第1酸化ガス中の酸素とを用いて発電を行う燃料電池セルの集合体(燃料電池セルを一つ又は直列に複数個接続したスタック)である。詳細は後述する。
ここで、燃料電池スタック3は、単独のスタックの場合だけでなく、複数のスタックを直列に接続する場合(出力電圧を高くすることが出来る)や、並列に接続する場合(出力電流を多くすることが出来る)などが有る。また、燃料電池セルとしては、固体高分子型の他、リン酸型、溶融炭酸塩型、固体酸化物型等の燃料電池に例示される(ただし、実施例2では、固体高分子型である)。
【0029】
第1燃料ガス流量制御部としての第1燃料ガス流量制御弁7は、第1燃料ガス配管21−1と第1燃料ガス配管21−2との間にあり、燃料ガス供給部1から燃料電池スタック3のアノード側へ供給する第1燃料ガスの流量(供給量)を制御する。
第2燃料ガス流量制御部としての第2燃料ガス流量制御弁8は、第2燃料ガス配管23−1と第2燃料ガス配管23−2との間にあり、燃料ガス供給部1から燃料電池スタック3のカソード側へ供給する第2燃料ガスの流量(供給量)を制御する。
燃料ガス逆止弁11は、第2燃料ガス配管23−2と第2燃料ガス配管23−3との間にあり、第1酸化ガス配管22−2の第1酸化ガスが、第1燃料ガス配管21−1側へ逆流するのを防止する。
【0030】
第1酸化ガス流量制御部としての第1酸化ガス流量制御弁9は、第1酸化ガス配管22−1と第1酸化ガス配管22−2との間にあり、酸化ガス供給部2から燃料電池スタック3のカソード側へ供給する第1酸化ガスの流量(供給量)を制御する。
第2酸化ガス流量制御部としての第2酸化ガス流量制御弁10は、第2酸化ガス配管24−1と第2酸化ガス配管24−2との間にあり、酸化ガス供給部2から燃料電池スタック3のアノード側へ供給する第2酸化ガスの流量(供給量)を制御する。
酸化ガス逆止弁12は、第2酸化ガス配管24−2と第2酸化ガス配管24−3との間にあり、第1燃料ガス配管21−2の第1燃料ガスが、第1酸化ガス配管22−1側へ逆流するのを防止する。
【0031】
加熱部5は、起動時において、通常運転時に燃料電池スタック3を冷却するために循環させる水(冷却水)を冷却水配管20−1経由で供給され、燃料電池スタック3を加熱するために加熱する。そして、加熱された冷却水を冷却水配管20−2経由で燃料電池スタック3へ供給する。
加熱は、燃料ガス供給部1から燃料ガス、酸化ガス供給部2から酸化ガスの供給を受けて、それを燃焼する方法や、電気ヒータでの加熱などの方法を用いて行う。
なお、燃料電池スタック3の起動時以外は、加熱を行わない。
【0032】
冷却部6は、通常運転時に、燃料電池スタック3を通過して加熱された冷却水を、冷却水配管20−3経由で供給され、熱交換等の手法等により冷却する。そして、冷却された冷却水を冷却水配管20−4経由でポンプ17へ送出する。燃料電池スタック3の起動時には、冷却を行わない。
【0033】
ポンプ17は、冷却された冷却水を冷却水配管20−4から供給され、冷却水配管20−1へ吐出する。ポンプ17により、冷却水は、冷却水配管20−1〜20−4を介して、ポンプ17−加熱部5−燃料電池スタック3−冷却部6−ポンプ17の順で循環する。
【0034】
ダイオード13は、燃料電池スタック3の電流としてのスタック電流Isの向きを一方向に制限する。配線25−1の途中に直列に接続している。
出力スイッチ14は、スイッチON/OFFにより、燃料電池スタック3と負荷装置4との電気的接続をON/OFFする。起動時には、OFFになっている。
【0035】
電圧センサ15は、燃料電池スタック3の電圧であるスタック電圧Vsを測定する。一方の端子を、燃料電池スタック3から電力を取り出す配線25−1に、他方の端子を配線25−2へ接続している。測定されたスタック電圧Vsは、制御部18へ出力される。
【0036】
制御部18は、燃料電池システム全体(燃料ガス供給部1、酸化ガス供給部2、燃料電池スタック3、加熱部5、冷却部6、第1燃料ガス流量制御弁7、第2燃料ガス流量制御弁8、第1酸化ガス流量制御弁9、第2酸化ガス流量制御弁10、出力スイッチ14、電圧センサ15、ポンプ17を含む)を制御する。
また、記憶部(図示せず)に、図4に示すタイムスケジュールや、温度と開放電圧との関係を示すテーブルを有する。
【0037】
負荷装置4は、車両用燃料電池システムの場合には、車両駆動用のインバータ、モータ等である。据置型の燃料電池システムの場合には、商用インバータ等である。
【0038】
次に、図2を参照して、燃料電池セルについて説明する。
図2は、燃料電池セル30及びセパレータ34を説明する断面図である。
固体高分子型燃料電池は、基本構造として2つのセパレータ34と、それらに挟まれた燃料電池セル30とを備える。
【0039】
燃料電池セル30は、燃料極32、空気極33、電解質膜31を有する。
電解質膜31は、燃料極32及び空気極33に挟まれ、これら電極経由で供給される第1燃料ガス中の水素および第1酸化ガス中の酸素を用いて、電気化学反応(電池反応)により発電を行う。電解質膜31は、パーフルオロスルホン酸膜のようなイオン交換樹脂の膜に例示される。
燃料極32及び空気極33は、それぞれ第1燃料ガス及び第1酸化ガスを流通させ、第1燃料ガス中の水素と第1酸化ガス中の酸素とによる電気化学反応を媒介する。電池反応に伴う電子の通路でもある。燃料極32及び空気極33は、発電した電力を取り出すための集電層及び、電池反応に関わる反応層(触媒層)を含む。
また、燃料電池スタック3の起動時には、燃料極32及び空気極33は、酸化ガスと燃料ガスとを同時に供給され、燃料ガスの酸化反応により発熱し、水を生成する。
【0040】
セパレータ34は、一方の面において燃料電池セル30のアノード側へ第1燃料ガスを供給する燃料ガス通路35と、他方の面において燃料電池セル30のカソード側へ酸化ガスを供給する酸化ガス通路36とを有する。また、燃料ガス通路35と酸化ガス通路36との間に設けられ、燃料電池スタック3を冷却する(起動時には加熱する)冷却水を供給する冷却水通路37を有する。また、各燃料電池セル30同士を電気的に接合する。セパレータ34の材質は、カーボン(グラファイト)コンポジット等に例示される。
また、燃料電池スタック3の起動時には、燃料ガス通路35は、第1燃料ガスと第2酸化ガスをと流通する。又は、酸化ガス通路36は、第2燃料ガスと第1酸化ガスとを流通する。
【0041】
次に、燃料電池スタックの構成について図3を参照して説明する。
図3は、燃料電池スタック3の構成を示す斜視図である。燃料電池スタック3は、セパレータ34−1〜34−n(nは2以上の自然数、以下同じ)、燃料電池セル30−1〜30−n−1、発電部39、集電プレート40、絶縁プレート41、エンドプレート42、集電プレート46、絶縁プレート47、エンドプレート48、燃料ガス導入口43、冷却水導入口44、酸化ガス導入口45、酸化ガス排出口49、冷却水排出口50、燃料ガス排出口51を具備する。
【0042】
発電部39は、燃料電池スタック3において、発電を行う部分であり、燃料電池セル30−s(s=1〜n−1、自然数、以下同じ)が、セパレータ34−r(r=s及びr=s+1)を介して直列に接続されている。セパレータ34−r(r=s及びr=s+1)は、燃料電池セル30−sの両側に配設され、隣接する燃料電池セル30同士を電気的に接続する。セパレータ34−r及び燃料電池セル30−sは、図2での説明の通りである。
【0043】
集電プレート40及び集電プレート46は、燃料電池セル30−1〜30−n−1で発電された電力を集電し、外部へ取り出すための電極である。
絶縁プレート41及び絶縁プレート47は、集電プレート40及び集電プレート46と、エンドプレート42及びエンドプレート48とを絶縁する。
エンドプレート42及びエンドプレート48は、発電部39を両側から挟みこむ。また、エンドプレート42には燃料ガス導入口43、冷却水導入口44及び酸化ガス導入口45が設けられている。燃料電池スタック3へ、それぞれ燃料ガス(燃料電池スタック3起動時は、燃料ガスと酸化ガス)、冷却水及び酸化ガス(燃料電池スタック3起動時は、燃料ガスと酸化ガス)を供給する。同様にエンドプレート48には、酸化ガス排出口49、冷却水排出口50及び燃料ガス排出口51が設けられている。燃料電池スタック3から、それぞれ酸化ガス、冷却水及び燃料ガスを排出する。
【0044】
次に、本発明である燃料電池システムの第1の実施の形態における動作(燃料電池システムの起動方法)について、図1、図4、図7を参照して説明する。
【0045】
まず、図7について説明する。
図7(a)は、本発明の燃料電池システムの起動方法の原理を示す図である。電解質膜31と燃料極32と空気極33とを有する燃料電池セル30において、アノード側(燃料極32)に第1燃料ガス(図中、H)に加えて第2酸化ガス(図中、O)を供給する。そうすることにより、燃料極32の触媒層上で第1燃料ガスの酸化反応(H+1/2・O→HO)により、生成水と反応熱が発生する。
同様に、カソード側(空気極33)に第1酸化ガス(図中、O)に加えて第2燃料ガス(図中、H)を供給する。そうすることにより、空気極33の触媒層上で第2燃料ガスの酸化反応(H+1/2・O→HO)により、生成水と反応熱が発生する。
そして、その生成水で電解質膜31が加湿される。また、反応熱で燃料電池セル30が加熱され、結果として燃料電池スタック3が加熱される。
すなわち、起動時の加熱及び加湿を行なうことが可能となる。この加熱及び加湿は、加熱及び加湿が必要な場所で行えるので、非常に効率的で短時間に昇温及び加湿を達成することが出来る。
【0046】
次に、図4について説明する。
【0047】
図4は、燃料電池システムの起動時の動作を示すタイミングチャートである。ここで、(a)燃料電池スタック3の温度Tと時間tとの関係、(b)燃料電池スタック3のアノード側に供給される第1燃料ガスQ及び第2酸化ガスP’の流量と時間tとの関係、(c)燃料電池スタック3のカソード側に供給される第1酸化ガスP及び第2燃料ガスQ’の流量と時間tとの関係、である。
縦軸は、それぞれ(a)燃料電池スタック3の温度T、(b)第1燃料ガスQと第2酸化ガスP’の流量(供給量)、(c)第1酸化ガスPと第2燃料ガスQ’の流量(供給量)、であり、横軸は、時間tである。
【0048】
この図4のような燃料電池システムの起動時の動作を示すタイミングチャートを示すデータ、及び温度と開放電圧との関係を示すデータ(テーブル)は、制御部18の記憶部(図示せず)に格納され、制御部18の制御に用いられる。
【0049】
以下に動作を説明する。
本実施例では、燃料ガスとして水素、酸化ガスとして空気を用いるものとする。
【0050】
(1)ステップS01(時間0)
燃料ガス供給部1は、水素を第1及び第2燃料ガスとして供給可能な状態である。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=0、第2燃料ガスQ’の流量(図4(c))=0、である。
【0051】
酸化ガス供給部2は、空気を第1及び第2酸化ガスとして供給可能な状態である。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=0、第2酸化ガスP’の流量(図4(b))=0、である。
【0052】
冷却水の循環するライン(冷却水配管20−1〜20−4、以下、冷却水循環ライン)では、冷却水の循環は行っていない。加熱部5の温度は室温である。
【0053】
燃料電池スタック3は、温度T(図4(a))=室温(R.T.)、である。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0054】
(2)ステップS02(時間0〜t11
ユーザー等は、燃料電池システムをONにする。
制御部18は、燃料電池システムの起動を開始する。
制御部18は、第1燃料ガス流量制御弁7の制御により、燃料ガス供給部1から、第1燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にQにする。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=0〜Q、第2燃料ガスQ’の流量(図4(c))=0、である。
【0055】
制御部18は、第1酸化ガス流量制御弁9の制御により、酸化ガス供給部2から、第1酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にPにする。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=0〜P、第2酸化ガスP’の流量(図4(b))=0、である。
【0056】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。
また、制御部18は、加熱部5をONにし、冷却水を加熱する。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0057】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水の供給を受けて、徐々に加熱されている。温度Tは、室温(R.T.)から徐々に高くなっている(図4(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0058】
(3)ステップS03(時間t11〜t12
制御部18は、所定の時間t11経過後において、第1燃料ガス流量制御弁7の制御により、燃料ガス供給部1から、第1燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ流量Qで供給している。
同時に、制御部18は、第2燃料ガス流量制御弁8の制御により、燃料ガス供給部1から、第2燃料ガスQ’を燃料電池スタック3のカソード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にQ’にする。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=Q、第2燃料ガスQ’の流量(図4(c))=0〜Q’、である。
ただし、水素の空気中の爆発限界が4〜75%なので、安全のために第2燃料ガスQ’の最大流量Q’は、第1酸化ガスPの流量Pに対し,Q’/(P+Q’)<4%とする。また、第2燃料ガスQ’の割合が小さいと、加熱及び加湿の効果が少なくなる。従って、1%≦Q’/(P+Q’)<4%、が好ましい。より好ましくは、3.0%≦Q’/(P+Q’)≦3.5%、である。
【0059】
制御部18は、第1酸化ガス流量制御弁9の制御により、酸化ガス供給部2から、第1酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給している。
同時に、制御部18は、第2酸化ガス流量制御弁10の制御により、酸化ガス供給部2から、第2酸化ガスP’を燃料電池スタック3のアノード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にP’にする。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=P、第2酸化ガスP’の流量(図4(b))=0〜P’、である。
ただし、水素の空気中の爆発限界が4〜75%なので、安全のために第2酸化ガスP’の最大流量P’は、第1燃料ガスQの流量Qに対し,75%<Q/(Q+P’)とする。また、第2酸化ガスP’の割合が小さいと、加熱及び加湿の効果が少なくなる。従って、75%<Q/(Q+P’)<99%、が好ましい。より好ましくは、80%≦Q/(Q+P’)≦95%、である。
【0060】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。また、加熱部5では、冷却水の加熱を行っている。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0061】
燃料電池スタック3のアノード側には、第1燃料ガスQと第2酸化ガスP’とが供給される。そして、燃料極32の触媒層上における、第1燃料ガスQ(水素)と第2酸化ガスP’(空気)との酸化反応(発熱反応)により、反応熱と反応生成物としての水(生成水)とが生成される。すなわち、反応熱により燃料電池セル30を直接加熱することが出来る。それと同時に、生成水により、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
【0062】
同時に、燃料電池スタック3のカソード側には、第1酸化ガスPと第2燃料ガスQ’とが供給される。そして、空気極33の触媒層上における、第1酸化ガスP(空気)と第2燃料ガスQ’(水素)との酸化反応(発熱反応)により、反応熱と生成水が生成される。すなわち、反応熱により燃料電池セル30を直接加熱することが出来る。それと同時に、生成水により、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
【0063】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水の供給に加えて、反応熱により、徐々に更に加熱されている。温度Tは、室温(R.T.)から徐々に高くなっている(図4(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0064】
(4)ステップS04(時間t12〜t13
制御部18は、第1燃料ガス流量制御弁7の制御により、燃料ガス供給部1から、第1燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ流量Qで供給している。
同時に、制御部18は、第2燃料ガス流量制御弁8の制御により、燃料ガス供給部1から、第2燃料ガスQ’を燃料電池スタック3のカソード側へ流量Q’で供給している。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=Q、第2燃料ガスQ’の流量(図4(c))=Q’、である。
【0065】
制御部18は、第1酸化ガス流量制御弁9の制御により、酸化ガス供給部2から、第1酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給している。
同時に、制御部18は、第2酸化ガス流量制御弁10の制御により、酸化ガス供給部2から、第2酸化ガスP’を燃料電池スタック3のアノード側へ流量P’で供給している。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=P、第2酸化ガスP’の流量(図4(b))=P’、である。
【0066】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。また、加熱部5では、冷却水の加熱を行っている。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0067】
燃料電池スタック3のアノード側での酸化反応による反応熱と生成水とにより、燃料電池セル30を直接加熱することが出来、同時に、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
【0068】
同時に、燃料電池スタック3のカソード側での酸化反応による反応熱と生成水とにより、燃料電池セル30を直接加熱することが出来、同時に、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
【0069】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水と反応熱により、加熱されている。温度Tは、最終的に運転温度Tへ達する。(図4(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0070】
(5)ステップS05(時間t13〜)
制御部18は、電池スタックに取り付けた温度センサーに基づいて、運転温度Tであることを確認する。そして、第2燃料ガス流量制御弁8を閉止し、第2燃料ガスQ’を0とする。
それと同時に、燃料ガス供給部1から、加湿された第1燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ流量Qで供給する。なお、燃料電池スタック3の運転条件により、流量を変更しても良い。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=Q、第2燃料ガスQ’の流量(図4(c))=0、である。
【0071】
制御部18は、第2燃料ガスQ’を0にするのと同時に、第2酸化ガス流量制御弁10を閉止し、第2酸化ガスP’を0とする。
それと同時に、酸化ガス供給部2から、加湿された第1酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給する。なお、燃料電池スタック3の運転条件により、流量を変更しても良い。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=P、第2酸化ガスP’の流量(図4(b))=0、である。
【0072】
制御部18は、加熱部5をOFFにして、冷却水の加熱を終了する。ただし、ポンプ17による冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させる動作は継続する。そして、発電が開始された場合には、冷却部6をONにして、冷却部6での冷却水の冷却を開始する。
【0073】
燃料電池スタック3のアノード側及びカソード側での酸化反応は終了する。そして、反応熱と生成水とによる燃料電池セル30の直接加熱及び電解質膜31の直接加湿を終了する。
燃料電池スタック3は、運転温度Tであり、電解質膜31の加湿状態も十分である。
制御部18は、出力スイッチ14をONにして、負荷装置4に対して、燃料電池スタック3の電力の供給を開始する。
【0074】
燃料電池スタック3の発電で発生する熱は、冷却水により持ち去られる。発熱する熱の大きさ(燃料電池スタック3通過後の冷却水の水温で検出)により、制御部18は、ポンプ17の吐出量や、冷却部6の冷却能力の調節を行う。温度Tは、燃料電池スタック3の運転温度Tを維持される(図4(a))。
【0075】
上記のステップS01〜ステップS04により、燃料電池システムの起動(運転温度への昇温、電解質膜の加湿)が終了する。そして、ステップS05のようにして、通常の運転状態となる。
【0076】
本実施例では、アノード側及びカソード側の両方へ燃料ガス及び酸化ガスを供給して酸化反応を起こさせている。ただし、一方の側だけに酸化反応を起こさせるだけでも、本発明の燃料電池システムの起動は可能である。その場合、流量制御弁や逆止弁及びその配管が不要となり、システムがコンパクト化できる。
【0077】
本実施例では、電解質膜31の加湿を酸化反応による生成水のみで行っているが、加湿された第1燃料ガスQ及び第1酸化ガスPを燃料電池スタック3へ供給することにより、加湿を行うことも可能である。その場合、加湿にかかる時間が短縮される。
【0078】
本実施例では、加熱部5を用いた冷却水の加熱による燃料電池スタック3の加熱を同時に行っている。ただし、加熱部5を用いない場合でも、酸化反応は室温で触媒層上において起きるので、本発明による燃料電池スタック3の運転温度への加熱は可能である。その場合、加熱部5を省略することが出来る。
【0079】
また、本実施例では、燃料ガスとして水素を用いているが、炭化水素系のガスを改質した水素を含む燃料ガスを用いることも可能である。
【0080】
本発明においては、燃料電池スタックのセパレータ内部に設けられた通路内を流れる冷却水による加熱、及び、燃料ガスや酸化ガスによる加熱を用いるだけでなく、燃料電池スタック3の燃料電池セル30の燃料極32上及び空気極33上での酸化反応に伴う反応熱を用いて加熱を行っている。すなわち、燃料電池スタック3(の燃料電池セル30)自身で発生する熱により加熱するので、加熱の効率が非常に高い。そのため、非常に短時間での昇温が可能となる。
【0081】
また、酸化反応の際、反応により生成する生成水を用いて、電解質膜31を加湿している。すなわち、燃料電池スタック3(の燃料電池セル30)上に水が供給されることになり、加湿の効率が非常に高くなる。そのため、非常に短時間での加湿が可能となる。
【0082】
本発明により、燃料電池システム起動時に、燃料電池スタックの燃料極及び空気極上で酸化反応を起こし、燃料電池セルで発熱及び生成水を発生させることにより、直接燃料電池セルを暖気、加湿することが出来る。そして、燃料電池システム全体の起動時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0083】
(実施例2)
次に、本発明である燃料電池システムの第2の実施の形態における構成について説明する。
図5は、本発明である燃料電池システムの第2の実施の形態における構成を示す図である。燃料電池システムは、燃料ガス供給部1、酸化ガス供給部2、燃料電池スタック3、加熱部5、冷却部6、第1燃料ガス流量制御弁7、第1酸化ガス流量制御弁9、ダイオード13、出力スイッチ14、電圧センサ15、燃料ガス圧力計16、酸化ガス圧力計19、ポンプ17、制御部18を具備する。そして、負荷装置4に接続され、負荷装置4へ電力を供給している。
そして、第1燃料ガス用の配管である第1燃料ガス配管21−1〜21−3、第1酸化ガス用の配管である第1酸化ガス配管22−1〜22−3、冷却水用の配管である冷却水配管20−1〜20−4を有する。
また、電気用の配線である配線25−1〜25−2を備える。
【0084】
本実施例では、アノード側の燃料ガスを、乾燥した電解質膜中へ拡散(透過)させ、空気極上で酸化反応を起こさせる点が実施例1と異なる。酸化反応で生成した反応熱で燃料電池セルを加熱し、生成水で、電解質膜を加湿する。加湿により、電解質膜のガス透過率が低下し、燃料ガスの電解質中への拡散は自動停止する。
また、本実施例では、アノード側への酸化ガスの供給、カソード側への燃料ガスの供給は行わない。そのため、それに関連した構成は用いない。
【0085】
燃料ガス圧力計16は、第1燃料ガス配管21−1〜21−2を介して燃料電池スタック3のアノード側へ供給される燃料ガスの圧力を、第1燃料ガス配管21−2において測定する。測定結果は制御部18へ出力される。
酸化ガス圧力計19は、第1酸化ガス配管22−1〜22−2を介して燃料電池スタック3のカソード側へ供給される酸化ガスの圧力を、第1酸化ガス配管22−2において測定する。測定結果は制御部18へ出力される。
【0086】
その他の構成は、実施例1と同様であるので、その説明を省略する。
【0087】
次に、本発明である燃料電池システムの第2の実施の形態における動作(燃料電池システムの起動方法)について、図5、図6、図7を参照して説明する。
【0088】
まず、図7について説明する。
図7(b)は、本発明の燃料電池システムの起動方法の原理を示す図である。
電解質膜31は、起動時において乾燥し、内部の水分が減少しているためガス透過性を有する。アノード側(燃料極32)に燃料ガス(図中、H)、カソード側(空気極33)に酸化ガス(図中、O)を供給する。燃料ガスの圧力>酸化ガスの圧力とする。電解質膜31は、ガス透過性があるため、アノード側の燃料ガスは、電解質膜31を透過し、空気極33へ達する。そして、拡散してきた燃料ガスは、空気極33の触媒層上でカソード側の酸化ガスと酸化反応(H+1/2・O→HO)を起し、生成水と反応熱を発生する。
そして、その生成水で電解質膜31が加湿される。また、反応熱で燃料電池セル30が加熱され、結果として燃料電池スタック3が加熱される。
すなわち、起動時の加熱及び加湿を行なうことが可能となる。この加熱及び加湿は、加熱及び加湿が必要な場所で行えるので、非常に効率的で短時間に昇温及び加湿を達成することが出来る。
【0089】
また、燃料ガスの圧力<酸化ガスの圧力とすることで、カソード側の酸化ガスは、電解質膜31を透過し、燃料極32へ達する。そして、拡散してきた酸化ガスは、燃料極32の触媒層上でアノード側の酸化ガスと酸化反応(H+1/2・O→HO)を起し、生成水と反応熱を発生する。その生成熱及び反応熱で電解質膜31が加湿され、燃料電池セル30が加熱され、結果として燃料電池スタック3が加熱される。
【0090】
次に、図6について説明する。
【0091】
図6は、燃料電池システムの起動時の動作を示すタイミングチャートである。ここで、(a)燃料電池スタック3の温度Tと時間tとの関係、(b)燃料電池スタック3のアノード側に供給される燃料ガスQの流量と時間tとの関係、(c)燃料電池スタック3のカソード側に供給される酸化ガスPの流量と時間tとの関係、(d)燃料ガスQの圧力及び酸化ガスPの圧力と時間tとの関係、である。
縦軸は、それぞれ(a)燃料電池スタック3の温度T、(b)燃料ガスQの流量(供給量)、(c)酸化ガスPの流量(供給量)、(d)燃料ガスQの圧力及び酸化ガスPの圧力、であり、横軸は時間tである。
【0092】
この図4のような燃料電池システムの起動時の動作を示すタイミングチャートを示すデータは、予め実験的に決定される。そして、制御部18の記憶部(図示せず)に格納され、制御部18の制御に用いられる。
【0093】
本実施例では、燃料ガスの原料となる原燃料ガスとして水素、酸化ガスとして空気を用いるものとする。
(1)ステップS11(時間t20〜t21
燃料ガス供給部1は、燃料電池スタック3のアノード側へ水素を燃料ガスとして供給している。
このとき、燃料ガスQの流量(図6(b))=Q、燃料ガスQの圧力A(Q)=A、である。
【0094】
酸化ガス供給部2は、燃料電池スタック3のカソード側へ空気を酸化ガスとして供給している。
このとき、酸化ガスPの流量(図6(c))=P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0095】
冷却水の循環するライン(冷却水配管20−1〜20−4、以下、冷却水循環ライン)では、冷却部6及びポンプ17はONであり、冷却水の循環を行っている。加熱部5はOFFである。
【0096】
燃料電池スタック3は、温度T(図6(a))=T(運転温度)である。
出力スイッチ14は、ON状態である。
【0097】
(2)ステップS12(時間t21〜t22
ユーザー等は、燃料電池システムをOFFにする。
制御部18は、燃料電池システムの停止動作を開始する。
制御部18の制御により、燃料ガス供給部1は、燃料電池スタック3のアノード側への燃料ガスの供給を停止する。
このとき、燃料ガスQの流量(図6(b))=0、燃料ガスQの圧力A(Q)=A(燃料ガスの供給は行わないが、内部に燃料ガスが存在)、である。
【0098】
制御部18の制御により、酸化ガス供給部2は、燃料電池スタック3のカソード側へ空気を酸化ガスとして供給している。ただし、このときの酸化ガスPは、加湿を行っていない酸化ガスを供給する。加湿を行っていない酸化ガスとは、燃料電池スタック3の運転時に使用する際に行う加湿を行っていない(ボンベや大気中から取りこまれたままの)酸化ガスである。すなわち、燃料電池スタック3の運転時に使用する酸化ガス(加湿済み)に比較して乾燥している。
この乾燥した酸化ガスの供給により、電解質膜31中の水分が乾燥した酸化ガスに奪われて、乾燥して行く。ガス透過性が全く無かった電解質膜31は、乾燥によりクロスオーバーと呼ばれるガス透過性を有するようになる。
なお、乾燥した酸化ガスの流量や供給時間、供給時の燃料電池セルの温度は、実験により決定される。
このとき、酸化ガスPの流量(図6(c))=P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0099】
冷却水の循環するライン(冷却水配管20−1〜20−4、以下、冷却水循環ライン)では、冷却部6及びポンプ17はONであり、冷却水の循環を行っている。加熱部5はOFFである。
【0100】
制御部18の制御により、燃料電池スタック3は、発電を停止される。それにより、温度Tは徐々に低下する。温度T(図6(a))=T〜T’である。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0101】
(3)ステップS13(時間t22〜t23
燃料ガス供給部1は、燃料電池スタック3のアノード側への燃料ガスの供給を停止している。
このとき、燃料ガスQの流量(図6(b))=0、燃料ガスQの圧力A(Q)=A(燃料ガスの供給は行わないが、内部に燃料ガスが存在)、である。
なお、内部のガスは、不活性ガスに置換しても良い。その場合、安全性が向上する。
【0102】
制御部18の制御により、酸化ガス供給部2は、燃料電池スタック3のカソード側への燃料ガスの供給を停止する。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=0、酸化ガスPの圧力A(P)=A(酸化ガスの供給は行わないが、内部に酸化ガスが存在)、である。
【0103】
冷却水の循環するライン(冷却水配管20−1〜20−4、以下、冷却水循環ライン)では、冷却部6及びポンプ17は、燃料電池スタック3の温度が室温になった後、OFFとなる。加熱部5はOFFである。
【0104】
燃料電池スタック3は、発電を停止している。温度Tは徐々に低下し、温度T(図6(a))=T’〜0(又は、室温でも可)である。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0105】
(4)ステップS14(時間t23〜t24
ユーザー等は、燃料電池システムをONにする。
制御部18は、燃料電池システムの起動を開始する。
制御部18は、第1燃料ガス流量制御弁7の制御により、燃料ガス供給部1から加湿を行っていない燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にQにする。また、制御部18は、その圧力を所定の値Aになるように燃料ガス供給部1を制御する。その圧力Aは、カソード側の圧力(A(P)=A)以上の値とすることが好ましい。それにより、燃料ガス中の水素が、乾燥した電解質膜31中をカソード側へ透過し易くなる。
ここで、圧力Aの上限は、アノード側の圧力とカソード側の圧力との差により、電解質膜31が破損しない最大の圧力であり、圧力Aの下限は、カソード側の水素がアノード側へ拡散可能な最小の圧力である。ただし、水素の拡散により生成される(後述)水によりガス透過性が低下するため、十分な加湿及び加熱を行うためには、ある程度高目の圧力Aが要求される。その値は、実験的に決定される。
水素のカソード側への拡散により、空気極33の触媒層上で酸化反応が発生する。その反応熱により燃料電池セル30を加熱することが出来る。また、酸化反応の際に生成する水により、電解質膜31を加湿することが出来る。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図6(b))=0〜Q、燃料ガスQの圧力A(Q)=A〜A、である。
【0106】
制御部18は、第1酸化ガス流量制御弁9の制御により、酸化ガス供給部2から、加湿を行っていない酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ供給する。その際、流量は、徐々に増加させ、最終的にPにする。
このとき、酸化ガスPの流量(図6(c))=0〜P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0107】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。
また、制御部18は、加熱部5をONにし、冷却水を加熱する。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0108】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水の供給、及び、電解質膜31中をカソード側へ拡散した水素の空気極33上での酸化反応を受けて、徐々に加熱されている。温度Tは、室温(R.T.)から徐々に高くなっている(図6(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0109】
(5)ステップS15(時間t24〜t25
制御部18は、燃料ガス供給部1から、安定的に燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ流量Qで供給している。
このとき、燃料ガスQの流量(図6(b))=Q、燃料ガスQの圧力A(Q)=A、である。
【0110】
制御部18は、酸化ガス供給部2から、安定的に酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給している。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0111】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。また、加熱部5では、冷却水の加熱を行っている。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0112】
燃料電池スタック3のアノード側には、燃料ガスQが供給される。燃料ガスQの一部は、電解質膜31中を拡散し、空気極33の触媒層へ達する。一方、カソード側には、酸化ガスPが供給される。酸化ガスPは、空気極33の触媒層へ達する。そして、空気極33の触媒層上において、燃料ガスQ(水素)と酸化ガスP(空気)とが酸化反応(発熱反応)を行い、反応熱と反応生成物としての水(生成水)とが生成される。すなわち、反応熱により燃料電池セル30を直接加熱することが出来る。それと同時に、生成水により、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
時間t24〜t25は、実験的に決定されている。
【0113】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水の供給に加えて、反応熱により、徐々に更に加熱されている。温度Tは、室温(R.T.)から徐々に高くなり、運転温度Tに近付く(図6(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0114】
(6)ステップS16(時間t25〜t26
制御部18は、電池スタックに取り付けた温度センサーに基づいて、運転温度Tに近づいたことを検出する。そして、燃料ガス供給部1を制御して、アノード側の燃料ガスQの圧力をAに戻す。
このとき、燃料ガスQの流量(図6(b))=Q、燃料ガスQの圧力A(Q)=A〜A、である。
【0115】
制御部18は、第1酸化ガス流量制御弁9の制御により、酸化ガス供給部2から、酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給している。
このとき、酸化ガスPの流量(図6(c))=P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0116】
制御部18は、ポンプ17を定常運転させ、冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させている。また、加熱部5では、冷却水の加熱を行っている。加熱された冷却水は、冷却水循環ラインを循環している。
【0117】
燃料電池スタック3のカソード側での酸化反応による反応熱と生成水とにより、燃料電池セル30を直接加熱することが出来、同時に、電解質膜31を直接加湿することが出来る。
加湿が進むと、電解質膜31のガス透過性能が低下して、燃料ガスが通り難くなる。そして、最終的にガスが通らなくなった時点で加湿が終了となる。燃料ガスQの流量Q及び圧力Aは、加湿の終了が、t25〜t26の間に来るように実験的に決定される。
【0118】
燃料電池スタック3は、加熱された冷却水と反応熱により、加熱されている。温度Tは、最終的に運転温度Tへ達する。(図4(a))。
出力スイッチ14は、OFF状態である。
【0119】
(7)ステップS17(時間t 6〜)
温度Tは、運転温度Tとなる。制御部18は、電池スタックに取り付けた温度センサーで確認する。
制御部18は、燃料ガス供給部1から、加湿された第1燃料ガスQを燃料電池スタック3のアノード側へ流量Qで供給する。なお、燃料電池スタック3の運転条件により、流量を変更しても良い。
このとき、第1燃料ガスQの流量(図4(b))=Q、燃料ガスQの圧力A(Q)=A、である。
【0120】
制御部18は、酸化ガス供給部2から、加湿された第1酸化ガスPを燃料電池スタック3のカソード側へ流量Pで供給する。なお、燃料電池スタック3の運転条件により、流量を変更しても良い。
このとき、第1酸化ガスPの流量(図4(c))=P、酸化ガスPの圧力A(P)=A、である。
【0121】
制御部18は、加熱部5をOFFにして、冷却水の加熱を終了する。ただし、ポンプ17による冷却水循環ラインに冷却水を定常的に循環させる動作は継続する。そして、発電が開始された場合には、冷却部6をONにして、冷却部6での冷却水の冷却を開始する。
【0122】
燃料電池スタック3のアノード側及びカソード側での酸化反応は終了する。そして、反応熱と生成水とによる燃料電池セル30の直接加熱及び電解質膜31の直接加湿が終了する。
燃料電池スタック3は、運転温度Tであり、電解質膜31の加湿状態も十分である。
制御部18は、出力スイッチ14をONにして、負荷装置4に対して、燃料電池スタック3の電力の供給を開始する。
【0123】
燃料電池スタック3の発電で発生する熱は、冷却水により持ち去られる。発熱する熱の大きさ(燃料電池スタック3通過後の冷却水の水温で検出)により、制御部18は、ポンプ17の吐出量や、冷却部6の冷却能力の調節を行う。温度Tは、燃料電池スタック3の運転温度Tを維持される(図6(a))。
【0124】
上記のステップS11〜ステップS16により、燃料電池システムの起動(運転温度への昇温、電解質膜の加湿)が終了する。そして、ステップS17のようにして、通常の運転状態となる。
【0125】
本実施例では、アノード側の燃料ガスをカソード側へ透過させて酸化反応を起こさせている。ただし、カソード側の酸化ガスをアノード側へ透過させて酸化反応を起こさせ、その反応熱及び生成水を用いることも可能である。その場合、ステップS14〜S15(時間t23〜t25)において、燃料ガスQの圧力ではなく、酸化ガスPの圧力を高くすることにより実施することが出来る。
【0126】
また、本実施例において、ステップS12では、乾燥した酸化ガスを流しているが、乾燥した燃料ガスを流しても良い。また、乾燥した燃料ガスと酸化ガスとを同時に流すことも可能である。
【0127】
本実施例では、電解質膜31の加湿を酸化反応による生成水のみで行っているが、加湿された燃料ガスQ及び酸化ガスPを燃料電池スタック3へ供給することにより、加湿を行うことも可能である。その場合、加湿にかかる時間が短縮される。
【0128】
本実施例では、加熱部5を用いた冷却水の加熱による燃料電池スタック3の加熱を同時に行っている。ただし、加熱部5を用いない場合でも、酸化反応は室温で触媒層上において起きるので、本発明による燃料電池スタック3の運転温度への加熱は可能である。その場合、加熱部5を省略することが出来る。
【0129】
また、本実施例では、燃料ガスとして水素を用いているが、炭化水素系のガスを改質した水素を含む燃料ガスを用いることも可能である。
【0130】
本発明においては、燃料電池スタックのセパレータ内部に設けられた通路内を流れる冷却水による加熱、及び、燃料ガスや酸化ガスによる加熱を用いるだけでなく、燃料電池スタック3の燃料電池セル30空気極33上(又は、燃料極32)での酸化反応に伴う反応熱を用いて加熱を行っている。すなわち、燃料電池スタック3(の燃料電池セル30)自身で発生する熱により加熱するので、加熱の効率が非常に高い。そのため、非常に短時間での昇温が可能となる。
【0131】
また、酸化反応の際、反応により生成する生成水を用いて、電解質膜31を加湿している。すなわち、燃料電池スタック3(の燃料電池セル30)上に水が供給されることになり、加湿の効率が非常に高くなる。そのため、非常に短時間での加湿が可能となる。
【0132】
本発明により、燃料電池システム起動時に、燃料電池スタックの燃料極及び空気極上で酸化反応を起こし、燃料電池セルで発熱及び生成水を発生させることにより、直接燃料電池セルを暖気、加湿することが出来る。そして、燃料電池システム全体の起動時間を大幅に短縮することが可能となる。
【0133】
【発明の効果】
本発明により、燃料電池システムの起動の際、燃料電池スタックの暖気及び加湿を効率的に行うことが出来、燃料電池システムの起動時間を短縮することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明である燃料電池システムの第1の実施の形態における構成を示す図である。
【図2】燃料電池セル及びセパレータを説明する断面図である。
【図3】燃料電池スタックの構成を示す斜視図である。
【図4】燃料電池システムの起動時の動作を示すタイミングチャートである。
【図5】本発明である燃料電池システムの第2の実施の形態における構成を示す図である。
【図6】燃料電池システムの起動時の他の動作を示すタイミングチャートである。
【図7】(a)(b)本発明の燃料電池システムの起動方法の原理を示す図である。
【符号の説明】
1 燃料ガス供給部
2 酸化ガス供給部
3 燃料電池スタック
4 負荷装置
5 加熱部
6 冷却部
7 第1燃料ガス流量制御弁
8 第2燃料ガス流量制御弁
9 第1酸化ガス流量制御弁
10 第2酸化ガス流量制御弁
11 燃料ガス逆止弁
12 酸化ガス逆止弁
13 ダイオード
14 出力スイッチ
15 電圧センサ
16 燃料ガス圧力計
17 ポンプ
18 制御部
19 酸化ガス圧力計
20−1〜20−4 冷却水配管
21−1〜21−3 第1燃料ガス配管
22−1〜22−3 第1酸化ガス配管
23−1〜23−3 第2燃料ガス配管
24−1〜24−3 第2酸化ガス配管
25−1〜25−2 配線
30(−1〜n−1) 燃料電池セル
31 電解質膜
32 燃料極
33 空気極
34(−1〜n) セパレータ
35 燃料ガス通路
36 酸化ガス通路
39 発電部
40 集電プレート
41 絶縁プレート
42 エンドプレート
43 燃料ガス導入口
44 冷却水導入口
45 酸化ガス導入口
46 集電プレート
47 絶縁プレート
48 エンドプレート
49 酸化ガス排出口
50 冷却水排出口
51 燃料ガス排出口

Claims (10)

  1. 制御部と、
    燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックのアノード側へ供給される燃料ガスとしての第1燃料ガスの流量を制御する第1燃料ガス流量制御部と
    記カソード側へ供給される酸化ガスとしての第1酸化ガスの流量を制御する第1酸化ガス流量制御部と、
    を具備し、
    前記制御部は、
    前記燃料電池スタックを昇温する前に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように前記カソード側へ前記燃料電池スタックの運転に用いる場合よりも乾燥している前記第1酸化ガスが供給され、前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記カソード側へ前記第1酸化ガスが供給され、前記アノード側へ前記第1酸化ガスの圧力よりも高い圧力で前記第1燃料ガスが供給されるように前記第1燃料ガス流量量制御部と前記第1酸化ガス流量制御部とを制御する、
    燃料電池システム。
  2. 制御部と、
    燃料電池スタックと、
    前記燃料電池スタックのアノード側へ供給される燃料ガスとしての第1燃料ガスの流量を制御する第1燃料ガス流量制御部と、
    前記燃料電池スタックのカソード側へ供給される酸化ガスとしての第1酸化ガスの流量を制御する第1酸化ガス流量制御部と
    具備し、
    前記制御部は、
    前記燃料電池スタックを昇温する前に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように前記カソード側へ前記燃料電池スタックの運転に用いる場合よりも乾燥している前記第1酸化ガスが供給され、前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記アノード側へ前記第1燃料ガスが供給され、前記カソード側へ前記第1燃料ガスの圧力よりも高い圧力で前記第1酸化剤ガスが供給されるように前記第1燃料ガス流量量制御部と前記第1酸化ガス流量制御部とを制御する、
    燃料電池システム。
  3. 前記制御部は、
    前記燃料電池スタックを昇温する前に、前記カソード側の代わりに前記アノード側へ、前記第1酸化ガスの代わりに前記燃料電池スタックの運転に用いる場合よりも乾燥している前記第1燃料ガスが供給されるように前記第1燃料ガス流量制御部と前記第1酸化ガス流量制御部とを制御する、
    請求項1又は2に記載の燃料電池システムの起動方法。
  4. 前記燃料電池スタック内を流れる水を加熱する加熱部を更に具備し、
    前記制御部は、前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記加熱を行うように前記加熱部を制御する、
    請求項1乃至3のいずれか一項に記載の燃料電池システム。
  5. 燃料電池スタックの発電の停止中に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように、前記燃料電池スタックのカソード側へ、前記燃料電池スタックの運転に用いる酸化ガスと比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記カソード側へ、前記酸化ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックのアノード側へ、前記酸化ガスの圧力よりも高い圧力で燃料ガスを供給するステップと、
    を具備する、
    燃料電池システムの起動方法。
  6. 燃料電池スタックの発電の停止中に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように、前記燃料電池スタックのカソード側へ、前記燃料電池スタックの運転に用いる酸化ガスと比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記燃料電池スタックのアノード側へ、燃料ガスを供給するステップと、
    前記カソード側へ、前記燃料ガスの圧力よりも高い圧力で酸化ガスを供給するステップと、
    を具備する、
    燃料電池システムの起動方法。
  7. 前処理ガスを供給するステップは、
    前記発電の停止中に、前記カソード側の代わりに前記アノード側へ、前記酸化ガスの代わりに前記燃料ガスと比較して乾燥している前記前処理ガスを供給するステップを具備する、
    請求項又はに記載の燃料電池システムの起動方法。
  8. 前記燃料電池スタック内を流れる水を加熱し、前記燃料電池スタックへ供給するステップと、
    を更に具備する、
    請求項乃至のいずれか一項に記載の燃料電池システムの起動方法。
  9. 燃料電池スタックの発電の停止中に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように、前記燃料電池スタックのカソード側へ、前記燃料電池スタックの運転に用いる酸化ガスと比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記カソード側へ、前記酸化ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックのアノード側へ、前記酸化ガスの圧力よりも高い圧力で燃料ガスを供給するステップと、
    を具備する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
  10. 燃料電池スタックの発電の停止中に、前記燃料電池スタックの電解質膜が乾燥するように、前記燃料電池スタックのカソード側へ、前記燃料電池スタックの運転に用いる酸化ガスと比較して乾燥しているガスとしての前処理ガスを供給するステップと、
    前記燃料電池スタックを昇温する際に、前記燃料電池スタックのアノード側へ、燃料ガスを供給するステップと、
    前記カソード側へ、前記燃料ガスの圧力よりも高い圧力で酸化ガスを供給するステップと、
    を具備する方法をコンピュータに実行させるためのプログラム。
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