JP3924148B2 - 燃料噴射弁及びこれを備えたディーゼル機関、並びに燃料噴射弁冷却方法 - Google Patents

燃料噴射弁及びこれを備えたディーゼル機関、並びに燃料噴射弁冷却方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディーゼル機関の燃焼室へ燃料を噴射する燃料噴射弁及びこの燃料噴射弁を備えたディーゼル機関、並びに燃料噴射弁冷却方法に係り、特に、低沸点燃料を使用する場合に好適な技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
ディーゼル機関は、燃料を燃焼させることにより発生する高温,高圧のガスエネルギによってピストン等を駆動させ、これにより動力を得る機関である。
このディーゼル機関は、液状態で燃焼室(シリンダ)内に燃料を噴射する必要性から、燃料供給系及び燃料噴射系内は加圧状態にしてある。すなわち、燃料噴射ポンプから送られてくる高圧の液体燃料を液状態のまま燃焼室内に噴射するための燃料噴射弁が設けられており、この燃料噴射弁内に供給されてきた燃料は、その先端に設けられた燃料噴射ノズル(噴孔)を流過することによって霧状にされ、燃焼室内へと噴射される。
【0003】
ここで、従来例となる燃料噴射弁の一例を図5に示す。
図5において、図中の符号01は噴孔、02はノズルチップ、03は針弁、04はノズルチップ押え、05はノズルホルダ、06は針弁押えばね、07は噴射管取り付け用ホルダ、08は噴射管、09は油道、010は油溜り、011は燃料弁サック部である。
この燃料噴射弁は、ノズルチップ02及びノズルホルダ05をノズルチップ押え04によって一体化した本体内に、針弁押えばね06によって噴孔01側へ付勢された針弁03をスライド可能に収納した構成となっている。なお、針弁押えばね06の付勢を受けた針弁03は、その先端部がノズルチップ02の内壁に密着して油溜り010と噴孔01との間を遮断している。
【0004】
燃料噴射弁は、図示省略の燃料噴射ポンプから噴射管08を介して高圧で液体燃料の供給を受ける。この液体燃料は、油道09を通って針弁03とノズルチップ02との間に形成された空間の油溜り010へ導かれる。油溜り010に溜まった液体燃料の圧力は針弁03へ作用し、同圧力が針弁押えばね06の付勢力より大きくなると針弁03を押し上げる。この結果、油溜り010内の液体燃料は燃料弁サック部011へ流れ込み、同燃料弁サック部011に開口する噴孔01から図示省略の燃焼室へ液状のまま噴射される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上述した従来の燃料噴射弁は、軽油等のように沸点が高い液体燃料を使用する場合には長年の実績があり、特に問題はない。すなわち、噴孔01を設けたノズルチップ05が高温の燃焼室内に設置されるなど燃料噴射弁がエンジン本体から熱影響を受けるため、温度上昇して高温となる燃料噴射弁(特にノズルチップ05)及びその近傍(たとえば噴射管08)を通過しても気化する心配のない液体燃料を使用する場合には特に問題はない。
【0006】
一方、近年においては、上述した軽油以外に新規の燃料を使用して運転するディーゼルエンジンの開発が進めらている。このような新規の燃料の中には、たとえば合成燃料であるジメチルエーテル(以下、「DME」と略す)、液化石油ガス(以下、「LPG」と略す)、液化天然ガス(以下、「LNG」と略す)及び液体水素などのように、軽油と比較して沸点の低い燃料(以下、「低沸点燃料」と呼ぶ)がある。
【0007】
このような低沸点燃料は、貯蔵タンクから燃料噴射弁までポンプ圧送される液体燃料であり、かつ、沸点が低いため燃料噴射弁及びその近傍の熱影響によって気化する可能性がある液体燃料である。
このような低沸点燃料をディーゼル機関の燃料として使用する場合には、熱影響で気化したガス燃料が燃料供給系及び燃料噴射系に存在する可能性がある。このようにして、燃料供給系及び燃料噴射系に圧縮性流体のガス燃料が存在すると、非圧縮性流体の液体燃料のみを加圧するようにポンプで昇圧することができず、適切な燃料噴射圧力が得られないという問題が生じる。
【0008】
すなわち、ポンプによる液体燃料の昇圧がガス燃料の圧縮に吸収されてしまうため、燃料噴射時に適切な昇圧を行うことが不能となり、噴孔01における所望の吐出圧力を得られないことがある。この結果、燃料噴射量の減少、あるいは燃料噴射不能といった現象が発生し、ディーゼル機関の円滑な運転に重大な支障を来すこととなる。このような現象は燃料供給系の圧力を十分に高く保つことで回避可能ではあるが、通常大型化や重量増を招くことから、燃料供給系の構成上、強度的にもコスト的にも現実的ではない。
【0009】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたもので、比較的低加圧の燃料供給系において低沸点燃料を使用しても安定した運転を行うことができる、燃料噴射弁及びこれを備えたディーゼル機関、並びに燃料噴射弁冷却方法の提供を目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するため、以下の手段を採用した。
請求項1に記載の燃料噴射弁は、燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関の燃料噴射弁であって、
燃料噴射弁本体内に流入してきた低沸点燃料の一部を逃がして蒸発させるリーク流路を設けたことを特徴とするものである。
【0011】
このような燃料噴射弁によれば、リーク流路に逃がした低沸点燃料が蒸発する際に周囲から蒸発潜熱を奪うので、リーク流路を設けた燃料噴射弁本体を冷却することができる。
【0012】
請求項1記載の燃料噴射弁においては、前記リーク流路が吸気系に連結されていることが好ましく、これにより、リークさせた低沸点燃料を新気と共に燃焼室へ導いて燃焼させることができる。
【0013】
請求項1または2記載の燃料噴射弁においては、前記低沸点燃料を燃料噴射時期にのみ逃がすことが好ましく、これにより、リークさせる低沸点燃料の流量を最小限に抑えることができる。
【0014】
請求項2記載の燃料噴射弁においては、前記リーク流路が、油溜りの外周壁を形成しているノズルチップに設けた空間部と、前記油溜りまたは油道の少なくとも一方と前記空間部との間を連通させるリーク穴と、前記空間部と前記吸気系との間を連結するリーク管路とを具備してなるものが好ましく、これにより、油溜まりまたは油道に供給された低沸点燃料は、一部がリーク穴から空間部へ流入して蒸発し、さらに、蒸発した低沸点燃料のガスがリーク管路を通って吸気系へ導かれる。
【0015】
請求項3記載の燃料噴射弁においては、前記リーク流路が、油溜りの外周壁を形成しているノズルチップに設けた空間部と、針弁開時に燃料が流入する燃料弁サック部と前記空間部との間を連通させるリーク穴と、前記空間部と前記吸気系との間を連結するリーク管路とを具備してなるものが好ましく、これにより、針弁が開いて油溜りから燃料弁サック部に流入した低沸点燃料は、一部がリーク穴を通って空間部へ流入して蒸発し、さらに、蒸発した低沸点燃料のガスがリーク管路を通って吸気系へ導かれる。
【0016】
請求項4または5記載の燃料噴射弁においては、前記リーク穴に、所定圧力以上で開くリーク弁を設けることが好ましい。
これにより、請求項4の場合には、リーク弁が開く圧力を制御することで、燃料噴射時のみ低沸点燃料をリークさせると共に、リーク量を調整することが可能になる。
また、請求項5の場合には、リーク弁が開く圧力を適宜設定することにより、リーク穴から吸気側に戻る(逆流する)燃焼ガス量を制御することができる。
【0017】
請求項7記載のディーゼル機関は、燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関において、
該ディーゼル機関には、請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃料噴射弁が備え付けられていることを特徴とするものである。
【0018】
このようなディーゼル機関によれば、リークさせた低沸点燃料が蒸発潜熱を奪って燃料噴射弁本体を冷却するので、燃料噴射弁に供給された低沸点燃料が蒸発することを原因として燃料噴射量が減少したり、あるいは燃料噴射不能に陥ることを防止し、安定した運転が可能になる。
【0019】
請求項8記載の燃料噴射弁冷却方法は、燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関の燃料噴射弁冷却方法であって、
燃料噴射弁本体内に流入してきた低沸点燃料の一部をリーク燃料としてノズルチップに設けたリーク流路に逃がし、前記リーク燃料の蒸発潜熱で冷却することを特徴とするものである。
【0020】
このような燃料噴射弁冷却方法によれば、低沸点燃料の一部をリーク燃料としてリーク流路に逃がし、その蒸発潜熱で冷却するようにしたので、他の冷媒を使用することなく燃料噴射弁を冷却して低沸点燃料の蒸発を防止することができる。
【0021】
請求項8記載の燃料噴射弁冷却方法においては、前記リーク燃料を吸気系に供給し、新気と共に燃焼室へ吸収させることが好ましく、これにより、リークさせた低沸点燃料を燃焼させて熱効率の低下を最小限に抑えることができる。
【0022】
請求項8または9記載の燃料噴射弁冷却方法においては、前記低沸点燃料を燃料噴射時期にのみ逃がすことが好ましく、これにより、リークさせる低沸点燃料の流量を最小限に抑えることができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る燃料噴射弁の一実施形態を、図面に基づいて説明する。
<第1の実施形態>
図1に示す第1の実施形態の燃料噴射弁において、図中の符号1は噴孔、2はノズルチップ、3は針弁、4はノズルチップ押え、5はノズルホルダ、6は針弁押えばね、7は噴射管取り付け用ホルダ、8は噴射管、9は油道、10は油溜り、11は燃料弁サック部、12はリーク穴、13はリーク通路、14はリーク管である。
【0024】
この燃料噴射弁は、ディーゼル機関の燃焼室(図示省略)に霧状の低沸点燃料を噴射するもので、噴射管8の他端が図示省略の燃料噴射ポンプに接続されている。ここで使用する低沸点燃料には、たとえばDME,LPG,LNG及び液体水素などがあり、いずれも液体で燃料タンク内に貯蔵されている。この低沸点燃料は、液状のまま燃料噴射ポンプによって高圧で圧送されてくる。低沸点燃料の燃料供給圧力は、たとえばDMEの場合には2.5MPa程度の高圧となる。
【0025】
燃料噴射弁は、共に軸(上下)方向の中空円筒部を備えたノズルチップ2及びノズルホルダ5を同軸に重ねてノズルチップ押え4によって一体化して燃料噴射弁本体を形成し、該燃料噴射弁本体内の中空円筒部に針弁3及び針弁押えばね6等の可動部品を収納している。針弁3は、上端部側に位置する針弁押えばね6によって図中下向きに噴孔1側へ向けて付勢され、中空円筒部内を上下方向にスライド可能に構成されている。
【0026】
針弁3の下部外周面とノズルチップ2の中空円筒部壁面との間には、低沸点燃料が溜まる空間部として、油溜り10が形成されている。この油溜り10には、一端が図示省略の燃料噴射ポンプに接続された噴射管8及び油道9が連通している。噴射管8の他端は噴射管取り付けホルダ7を介してノズルホルダ5に連結され、同ノズルホルダ5に形成された油道9の一端と連通している。この油道9は、ノズルホルダ5及びノズルチップ2に連通するよう設けられた低沸点燃料の流路であり、該油道9の他端が油溜り10に開口している。
従って、燃料噴射ポンプから圧送されてきた低沸点燃料は、噴射管8及び油道9を通って油溜り10に供給される。
【0027】
針弁3の下端部は、針弁押えばね6の付勢を受けてシート面がノズルチップ2の内部空間を形成している壁面(内周面)に密着している。この密着により、油溜り10と噴孔1が開口している燃料サック部11との間が遮断されるので、油溜り10の低沸点燃料はノズルチップ2の下端部に形成されている噴孔1から流出しないようになっている。
【0028】
しかし、このような遮断状態でさらに燃料噴射ポンプから低沸点燃料の圧送が継続されると、燃料噴射弁は図示省略の燃料噴射ポンプから噴射管8を介して高圧状態で低沸点燃料の供給を受ける。この低沸点燃料は、油道9を通って油溜り10へ導かれる。この油溜り10に溜まった低沸点燃料の圧力は針弁3の段差部3aへ作用し、同圧力によって生じる押上力が針弁押えばね6の付勢力より大きくなると、針弁3を押し上げて油溜り10と燃料サック部11との間が連通状態となる。
【0029】
この結果、油溜り10内の低沸点燃料は燃料弁サック部11へ流れ込み、同燃料弁サック部11を形成するノズルチップ2に開口する噴孔1から図示省略の燃焼室へ液(霧)状のまま噴射される。
なお、いったん燃料噴射が行われると、油溜り10内の圧力が低下してしまうので、針弁押えばね6の付勢力が再び低沸点燃料の圧力より大きくなり、針弁3がノズルチップ2の内壁に密着して、噴孔1から燃焼室への燃料噴射は停止される。
【0030】
さて、上述した構成の燃料噴射弁には、ノズルチップ2の中空円筒部を形成している壁面部材内部に、リーク通路13となる空間部が針弁3を囲むようにして全周にわたって設けられている。このリーク通路13は、微小径のリーク穴12によって油溜り10と連通状態にあり、これらリーク穴12及びリーク通路13によってリーク流路が形成されている。なお、リーク穴12は、針弁3の外周部に適当なピッチで複数設けられている。
また、リーク通路13は、リーク管14によって、ディーゼルエンジンの吸気系(たとえば吸気管路)に接続されている。すなわち、油溜り10からリーク穴12を通ってリーク通路13に漏れ出すように流出(リーク)した低沸点燃料の一部であるリーク燃料は、リーク通路13で蒸発してガス燃料となった後、リーク管14に導かれて吸気管路に吸引される。
【0031】
以下では、上述した第1の実施形態の作用について説明する。
この場合、油溜り10に供給された低沸点燃料の一部は、すなわち微小径のリーク穴12を通過するごく少量の低沸点燃料(リーク燃料)は、エンジン本体の熱影響を受けて高温となるリーク通路13へ流れる途中及びリーク通路13内で蒸発する。この時、蒸発潜熱を奪って燃料噴射弁本体を冷却するので、燃料噴射弁及びその周辺温度の上昇が抑制され、リーク燃料を除く低沸点燃料が蒸発するような高温にならないよう燃料噴射弁本体及び近傍の噴射管8が冷却される。
このため、燃料供給系の圧力を比較的低圧に設定しても、燃料供給系及び燃料噴射系で低沸点燃料が蒸発して非圧縮性流体のガス燃料(ベーパ)となるのを防止し、噴孔1からの吐出圧力を所望の値に維持して安定した運転を行うことができる。
【0032】
また、リーク通路13で蒸発したガス状の低沸点燃料(リーク燃料)は、リーク管14を通って吸気系に導かれる。従って、このガス燃料は外気から吸引した新気と共に燃焼室に送り込まれ、噴孔1から噴射された燃料と燃焼室内で混合されて燃焼する。このため、リーク燃料が無駄になるようなことはなく、燃焼室内での燃焼に寄与して、ディーゼル機関の熱効率低下を最小限に抑えることができる。
なお、上述した実施形態では、ディーゼル機関の熱効率を考慮して、蒸発したリーク燃料(ベーパ)を吸気系に合流させているが、燃料噴射弁本体の冷却のみを考えるのであれば、これに限定されることはない。
【0033】
<第2の実施形態>
図2に示す第2の実施形態の燃料噴射弁において、図中の符号1は噴孔、2はノズルチップ、3は針弁、4はノズルチップ押え、5はノズルホルダ、6は針弁押えばね、7は噴射管取り付け用ホルダ、8は噴射管、9は油道、10は油溜り、11は燃料弁サック部、12Aはリーク穴、13はリーク通路、14はリーク管である。
【0034】
この燃料噴射弁は、上述した第1の実施形態と基本的な構成は同じであり、従って、ここでは同一部材に同じ符号を付してある。
この燃料噴射弁は、ノズルチップ2及びノズルホルダ5を同軸に重ねた状態でノズルチップ押え4によって一体化して燃料噴射弁本体を形成し、該燃料噴射弁本体内の中空円筒部に針弁3及び針弁押えばね6等の可動部品を収納している。針弁3は、上端部側に位置する針弁押えばね6によって図中下向きに噴孔1側へ向けて付勢され、中空円筒部内を上下方向にスライド可能に構成されている。
【0035】
針弁3の下部外周面とノズルチップ2の中空円筒部壁面との間には、低沸点燃料が溜まる油溜り10が形成されている。この油溜り10には、燃料噴射ポンプに接続された噴射管8及び油道9が連通している。噴射管8の他端は噴射管取り付けホルダ7を介してノズルホルダ5に連結され、同ノズルホルダ5に形成された油道9の一端と連通している。この油道9は低沸点燃料の流路であり、該油道9の他端が油溜り10に開口している。
従って、燃料噴射ポンプから圧送されてきた低沸点燃料は、噴射管8及び油道9を通って油溜り10に供給される。
【0036】
針弁3の下端部は、針弁押えばね6の付勢を受けてシート面がノズルチップ2の内周面に密着している。この密着により、油溜り10と噴孔1が開口している燃料サック部11との間が遮断されるので、油溜り10の低沸点燃料は噴孔1から流出しないようになっている。
しかし、このような遮断状態でさらに燃料噴射ポンプから低沸点燃料の圧送が継続されると、油溜り10に溜まった低沸点燃料の圧力が上昇する。この圧力上昇により、針弁3の段差部3aへ作用する圧力によって生じる押上力が針弁押えばね6の付勢力より大きくなると、針弁3を押し上げて油溜り10と燃料サック部11との間が連通状態となる。
【0037】
この結果、油溜り10内の低沸点燃料は燃料弁サック部11へ流れ込み、同燃料弁サック部11を形成するノズルチップ2に開口する噴孔1から図示省略の燃焼室へ液(霧)状のまま噴射される。
なお、いったん燃料噴射が行われると、油溜り10内の圧力が低下して針弁押えばね6の付勢力が再び低沸点燃料の圧力より大きくなり、針弁3が押し下げられてノズルチップ2の内壁に密着するので、噴孔1から燃焼室への燃料噴射は停止される。
【0038】
さて、上述した構成の燃料噴射弁には、ノズルチップ2の中空円筒部を形成している壁面部材内部に、リーク通路13となる空間部が針弁3を囲むようにして全周にわたって設けられている。このリーク通路13は、微小径のリーク穴12Aによって燃料サック部11と連通状態にあり、リーク穴12及びリーク通路13によってリーク流路が形成されている。なお、リーク穴12Aは、適当なピッチで放射状に複数設けられている。
【0039】
また、リーク通路13は、リーク管14によって、ディーゼルエンジンの吸気系(たとえば吸気管路)に接続されている。すなわち、燃料サック部11からリーク穴12Aを通ってリーク通路13にリークした低沸点燃料の一部であるリーク燃料は、リーク通路13で蒸発してガス燃料となった後、リーク管14に導かれて吸気管路に吸引される。
【0040】
以下では、上述した第2の実施形態の作用について説明する。
この場合、針弁3が開となって燃料サック部11に供給された低沸点燃料の一部は、すなわち微小径のリーク穴12Aを通過するごく少量のリーク燃料は、エンジン本体の熱影響を受けて高温となるリーク通路13へ流れる途中及びリーク通路13内で蒸発する。この時、蒸発潜熱を奪って燃料噴射弁本体を冷却するので、燃料噴射弁及びその周辺温度の上昇が抑制され、リーク燃料を除く低沸点燃料が蒸発するような高温にならないよう燃料噴射弁本体及び近傍の噴射管8が冷却される。
このため、燃料供給系の設定圧力を比較的低くしても、燃料供給系及び燃料噴射系で低沸点燃料が蒸発して非圧縮性流体のガス燃料(ベーパ)となるのを防止し、噴孔1からの吐出圧力を所望の値に維持して安定した運転を行うことができる。
【0041】
また、リーク通路13で蒸発したガス状のリーク燃料は、リーク管14を通って吸気系に導かれる。従って、このガス燃料は外気から吸引した新気と共に燃焼室に送り込まれ、噴孔1から噴射された燃料と燃焼室内で混合されて燃焼する。このため、リーク燃料が無駄になるようなことはなく、燃焼室内での燃焼に寄与してディーゼル機関の熱効率低下を最小限に抑えることができる。
【0042】
そして、この実施形態では、リーク穴12Aの一端を燃料サック部11に連通させたので、特に針弁3が開となる燃料噴射時期にのみリーク燃料が生じることになる。従って、リーク燃料は比較的少量となるので、冷却効果の面では上述した第1の実施形態より劣る傾向にある。
【0043】
しかし、燃焼室内から高温高圧の燃焼ガスが一部流入してくるので、この燃焼ガスがリーク管14を通ってガス燃料と共に吸入系へ戻されるため、排気中の窒素酸化物低減に有効であることが知られている排気再循環(EGR)の効果を自動的に持たせることができる。
なお、上述した実施形態では、ディーゼル機関の熱効率及びEGR効果を考慮して、蒸発したリーク燃料(ベーパ)を吸気系に合流させているが、燃料噴射弁本体の冷却のみを考えるのであれば、これに限定されることはない。
【0044】
<第3の実施形態>
図3に示す第3の実施形態の燃料噴射弁において、図中の符号1は噴孔、2はノズルチップ、3は針弁、4はノズルチップ押え、5はノズルホルダ、6は針弁押えばね、7は噴射管取り付け用ホルダ、8は噴射管、9は油道、10は油溜り、11は燃料弁サック部、12はリーク穴、13はリーク通路、14はリーク管、15はリーク弁である。
【0045】
この燃料噴射弁は、上述した第1の実施形態と基本的な構成は同じであり、従って、ここでは同一部材に同じ符号を付してある。
この燃料噴射弁は、ノズルチップ2及びノズルホルダ5を同軸に重ねた状態でノズルチップ押え4によって一体化して燃料噴射弁本体を形成し、該燃料噴射弁本体内の中空円筒部に針弁3及び針弁押えばね6等の可動部品を収納している。針弁3は、上端部側に位置する針弁押えばね6によって図中下向きに噴孔1側へ向けて付勢され、中空円筒部内を上下方向にスライド可能に構成されている。
【0046】
針弁3の下部外周面とノズルチップ2の中空円筒部壁面との間には、低沸点燃料が溜まる油溜り10が形成されている。この油溜り10には、燃料噴射ポンプに接続された噴射管8及び油道9が連通している。噴射管8の他端は噴射管取り付けホルダ7を介してノズルホルダ5に連結され、同ノズルホルダ5に形成された油道9の一端と連通している。この油道9は低沸点燃料の流路であり、該油道9の他端が油溜り10に開口している。
従って、燃料噴射ポンプから圧送されてきた低沸点燃料は、噴射管8及び油道9を通って油溜り10に供給される。
【0047】
針弁3の下端部は、針弁押えばね6の付勢を受けて外周角部がノズルチップ2の内周面に密着している。この密着により、油溜り10と噴孔1が開口している燃料サック部11との間が遮断されるので、油溜り10の低沸点燃料は噴孔1から流出しないようになっている。
しかし、このような遮断状態でさらに燃料噴射ポンプから低沸点燃料の圧送が継続されると、油溜り10に溜まった低沸点燃料の圧力が上昇する。この圧力上昇により、針弁3の段差部3aへ作用する圧力によって生じる押上力が針弁押えばね6の付勢力より大きくなると、針弁3を押し上げて油溜り10と燃料サック部11との間が連通状態となる。
【0048】
この結果、油溜り10内の低沸点燃料は燃料弁サック部11へ流れ込み、同燃料弁サック部11を形成するノズルチップ2に開口する噴孔1から図示省略の燃焼室へ液(霧)状のまま噴射される。
なお、いったん燃料噴射が行われると、油溜り10内の圧力が低下して針弁押えばね6の付勢力が再び低沸点燃料の圧力より大きくなり、針弁3が押し下げられてノズルチップ2の内壁に密着するので、噴孔1から燃焼室への燃料噴射は停止される。
【0049】
さて、上述した構成の燃料噴射弁には、ノズルチップ2の中空円筒部を形成している壁面部材内部に、リーク通路13となる空間部が針弁3を囲むようにして全周にわたって設けられている。このリーク通路13は、リーク弁15を備えた微小径のリーク穴12によって油溜り10と連通状態にあり、これらリーク穴12及びリーク通路13によってリーク流路が形成されている。リーク穴12に設けたリーク弁15は、油溜り10内が所定の圧力以上となった時に開き、油溜り10とリーク通路13との間を連通状態とするものである。なお、リーク穴12は、針弁3の外周部に開口するように、適当なピッチで放射状に複数設けられている。
【0050】
また、リーク通路13は、リーク管14によって、ディーゼルエンジンの吸気系(たとえば吸気管路)に接続されている。すなわち、油溜り10からリーク穴12及びリーク弁15を通ってリーク通路13にリークした低沸点燃料の一部であるリーク燃料は、リーク通路13で蒸発してガス燃料となった後、リーク管14に導かれて吸気管路に吸引される。
【0051】
以下では、上述した第3の実施形態の作用について説明する。
この場合、油溜り10内の圧力が上昇してリーク弁15が開くと、油溜り10に供給された低沸点燃料の一部が微小径のリーク穴12を通過し、ごく少量のリーク燃料となる。このリーク燃料は、エンジン本体の熱影響を受けて高温となるリーク通路13へ流れる途中及びリーク通路13内で蒸発する。この時、蒸発潜熱を奪って燃料噴射弁本体を冷却するので、燃料噴射弁及びその周辺温度の上昇が抑制され、リーク燃料を除く低沸点燃料が蒸発するような高温にならないよう燃料噴射弁本体及び近傍の噴射管8が冷却される。
このため、燃料供給系の設定圧力が比較的低い場合でも、燃料供給系及び燃料噴射系で低沸点燃料が蒸発して非圧縮性流体のガス燃料(ベーパ)となるのを防止し、噴孔1からの吐出圧力を所望の値に維持して安定した運転を行うことができる。
【0052】
特に、リーク弁15を設けたことで、同弁が開となる圧力設定値に応じてリーク量を任意に制御できるようになり、たとえば燃料噴射時期にのみリーク燃料が生じるように制御したり、あるいは最小限のリーク燃料で効率よく冷却するよう制御するなど、リーク燃料の流量制御が可能になる。
この場合、リーク穴12が噴孔1から遠い油溜り10に開口するため、上述した第2の実施形態とは異なり、燃焼室から高温高圧の燃焼ガスが流入することはほとんどない。
【0053】
また、リーク通路13で蒸発したガス状のリーク燃料は、リーク管14を通って吸気系に導かれる。従って、このガス燃料は外気から吸引した新気と共に燃焼室に送り込まれ、噴孔1から噴射された燃料と燃焼室内で混合されて燃焼する。このため、リーク燃料が無駄になるようなことはなく、燃焼室内での燃焼に寄与してディーゼル機関の熱効率低下が抑制される。
なお、上述した実施形態では、ディーゼル機関の熱効率を考慮して蒸発したリーク燃料(ベーパ)を吸気系に合流させているが、燃料噴射弁本体の冷却のみを考えるのであれば、これに限定されることはない。
【0054】
<第4の実施形態>
図4に示す第4の実施形態の燃料噴射弁において、図中の符号1は噴孔、2はノズルチップ、3は針弁、4はノズルチップ押え、5はノズルホルダ、6は針弁押えばね、7は噴射管取り付け用ホルダ、8は噴射管、9は油道、10は油溜り、11は燃料弁サック部、12Aはリーク穴、13はリーク通路、14はリーク管、15はリーク弁である。
【0055】
この燃料噴射弁は、上述した第2の実施形態の構成に第3の実施形態で使用したのと同様のリーク弁15を加えたものであり、従って、ここでは同一部材に同じ符号を付してある。
この燃料噴射弁は、ノズルチップ2及びノズルホルダ5を同軸に重ねた状態でノズルチップ押え4によって一体化して燃料噴射弁本体を形成し、該燃料噴射弁本体内の中空円筒部に針弁3及び針弁押えばね6等の可動部品を収納している。針弁3は、上端部側に位置する針弁押えばね6によって図中下向きに噴孔1側へ向けて付勢され、中空円筒部内を上下方向にスライド可能に構成されている。
【0056】
針弁3の下部外周面とノズルチップ2の中空円筒部壁面との間には、低沸点燃料が溜まる油溜り10が形成されている。この油溜り10には、燃料噴射ポンプに接続された噴射管8及び油道9が連通している。噴射管8の他端は噴射管取り付けホルダ7を介してノズルホルダ5に連結され、同ノズルホルダ5に形成された油道9の一端と連通している。この油道9は低沸点燃料の流路であり、該油道9の他端が油溜り10に開口している。
従って、燃料噴射ポンプから圧送されてきた低沸点燃料は、噴射管8及び油道9を通って油溜り10に供給される。
【0057】
針弁3の下端部は、針弁押えばね6の付勢を受けて外周角部がノズルチップ2の内周面に密着している。この密着により、油溜り10と噴孔1が開口している燃料サック部11との間が遮断されるので、油溜り10の低沸点燃料は噴孔1から流出しないようになっている。
しかし、このような遮断状態でさらに燃料噴射ポンプから低沸点燃料の圧送が継続されると、油溜り10に溜まった低沸点燃料の圧力が上昇する。この圧力上昇により、針弁3の段差部3aへ作用する圧力によって生じる押上力が針弁押えばね6の付勢力より大きくなると、針弁3を押し上げて油溜り10と燃料サック部11との間が連通状態となる。
【0058】
この結果、油溜り10内の低沸点燃料は燃料弁サック部11へ流れ込み、同燃料弁サック部11を形成するノズルチップ2に開口する噴孔1から図示省略の燃焼室へ液(霧)状のまま噴射される。
なお、いったん燃料噴射が行われると、油溜り10内の圧力が低下して針弁押えばね6の付勢力が再び低沸点燃料の圧力より大きくなり、針弁3が押し下げられてノズルチップ2の内壁に密着するので、噴孔1から燃焼室への燃料噴射は停止される。
【0059】
さて、上述した構成の燃料噴射弁には、ノズルチップ2の中空円筒部を形成している壁面部材内部に、リーク通路13となる空間部が針弁3を囲むようにして全周にわたって設けられている。このリーク通路13は、リーク弁15を備えた微小径のリーク穴12Aによって燃料サック部11と連通状態にあり、リーク穴12及びリーク通路13によってリーク流路が形成されている。リーク通路12Aに設けたリーク弁15は、燃料サック部11内が所定の圧力以上となった時に開き、燃料サック部11とリーク通路13との間を連通状態とするものである。なお、リーク穴12Aは、適当なピッチで放射状に複数設けられている。
【0060】
また、リーク通路13は、リーク管14によって、ディーゼルエンジンの吸気系(たとえば吸気管路)に接続されている。すなわち、燃料サック部11からリーク穴12Aを通ってリーク通路13にリークした低沸点燃料の一部であるリーク燃料は、リーク通路13で蒸発してガス燃料となった後、リーク管14に導かれて吸気管路に吸引される。
【0061】
以下では、上述した第4の実施形態の作用について説明する。
この場合、針弁3が開となって燃料サック部11に供給された低沸点燃料の一部は、すなわち微小径のリーク穴12Aを通過するごく少量のリーク燃料は、エンジン本体の熱影響を受けて高温となるリーク通路13へ流れる途中及びリーク通路13内で蒸発する。この時、蒸発潜熱を奪って燃料噴射弁本体を冷却するので、燃料噴射弁及びその周辺温度の上昇が抑制され、リーク燃料を除く低沸点燃料が蒸発するような高温にならないよう燃料噴射弁本体及び近傍の噴射管8が冷却される。
このため、燃料供給系の設定圧力が比較的低い場合であっても、燃料供給系及び燃料噴射系で低沸点燃料が蒸発して非圧縮性流体のガス燃料(ベーパ)となるのを防止し、噴孔1からの吐出圧力を所望の値に維持して安定した運転を行うことができる。
【0062】
また、リーク通路13で蒸発したガス状のリーク燃料は、リーク管14を通って吸気系に導かれる。従って、このガス燃料は外気から吸引した新気と共に燃焼室に送り込まれ、噴孔1から噴射された燃料と燃焼室内で混合されて燃焼する。このため、リーク燃料が無駄になるようなことはなく、燃焼室内での燃焼に寄与してディーゼル機関の熱効率低下が抑制される。
【0063】
そして、この実施形態では、リーク穴12Aの一端を燃料サック部11に連通させたので、特に針弁3が開となる燃料噴射時期にのみリーク燃料が生じることになる。しかも、リーク穴12Aの途中にはリーク弁15が設けられており、この開弁圧力を適宜設定することにより、リーク燃料の流量及び吸気側に戻る燃焼ガス量を制御することが可能になる。
【0064】
従って、リーク燃料の制御によって冷却効果を調整できるだけでなく、吸気側へ戻る燃焼ガス量の制御によって、排気中の窒素酸化物低減に有効な排気再循環(EGR)の効果を調整することも可能になる。
なお、上述した実施形態では、ディーゼル機関の熱効率及びEGR効果を考慮して、蒸発したリーク燃料(ベーパ)を吸気系に合流させているが、燃料噴射弁本体の冷却のみを考えるのであれば、これに限定されることはない。
【0065】
上述した各実施形態に説明した構成の燃料噴射弁をディーゼル機関に採用すれば、燃料噴射弁をリーク燃料によって冷却して低沸点燃料の蒸発を防止することができる。このため、低沸点燃料が蒸発して高圧の燃料供給圧力を維持できないといった問題が解消されるので、低沸点燃料を燃焼させて生じる高温高圧の燃焼ガスが有するガスエネルギを利用し、安定した運転を継続して動力を発生させるディーゼル機関とすることができる。
【0066】
そして、上述した燃料噴射弁の構造を採用することで、燃料噴射弁本体内に流入してきた低沸点燃料の一部をリーク燃料としてノズルチップ2に設けたリーク穴12,12Aから空間部のリーク通路13に逃がし、このリーク燃料がリーク流路内において蒸発する際の蒸発潜熱で燃料噴射弁本体を冷却するという燃料噴射弁冷却方法が可能になる。すなわち、低沸点燃料の一部をリーク燃料としてリーク流路のリーク穴12,12A及びリーク通路13に逃がし、その蒸発潜熱で冷却するようにしたので、比較的低い燃料供給系の圧力設定としても、他の冷媒を使用することなく燃料噴射弁を冷却して、低沸点燃料の蒸発を効果的に防止することができる。
【0067】
また、リーク燃料を吸気系に供給し、新気と共に燃焼室へ吸収させるようにした燃料噴射弁冷却方法を採用すれば、リークさせた低沸点燃料を無駄にすることなく燃焼させて、熱効率の低下を最小限に抑えることができる。
なお、低沸点燃料を燃料噴射時期にのみ逃がす燃料噴射弁冷却方法を採用すれば、リークさせる低沸点燃料の流量を最小限に抑えて効率のよい冷却を行うことができる。
【0068】
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
【0069】
【発明の効果】
上述した本発明によれば、以下の効果を奏する。
(1)上述した燃料噴射弁及び燃料噴射弁冷却方法によれば、リーク流路に逃がした低沸点燃料が蒸発する際に周囲から蒸発潜熱を奪うようにしたので、リーク流路を設けた燃料噴射弁本体を効果的に冷却することができる。このため、低沸点燃料が蒸発してなる圧縮性流体のガス燃料が燃料供給系または燃料噴射系に溜まり、燃料噴射ポンプによる昇圧の妨げとなる現象を防止できるようになり、低沸点燃料を燃焼させるディーゼル機関の運転時に所望の燃料噴射圧力を維持し、比較的低圧に加圧した燃料供給系としても安定した運転が可能になる。
従って、低沸点燃料を燃料とするディーゼル機関を設計する上で強度やコストの制約が小さくなり、しかも、安定性や信頼性の高いディーゼル機関を提供することが可能になる。
(2)上述したリーク燃料を吸気系に導き、新気と共に燃焼室へ吸入させて燃焼させるようにしたので、冷却に利用したリーク燃料を無駄なく燃焼させ、熱効率の低下を最小限に抑えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る燃料噴射弁の第1の実施形態を示す断面図である。
【図2】 本発明に係る燃料噴射弁の第2の実施形態を示す断面図である。
【図3】 本発明に係る燃料噴射弁の第3の実施形態を示す断面図である。
【図4】 本発明に係る燃料噴射弁の第4の実施形態を示す断面図である。
【図5】 従来の燃料噴射弁の構成例を示す断面図である。
【符号の説明】
1 噴孔
2 ノズルチップ
3 針弁
4 ノズルチップ押え
5 ノズルホルダ
6 針弁押えばね
7 噴射管取り付け用ホルダ
8 噴射管
9 油道
10 油溜まり
11 燃料サック部
12,12A リーク穴(リーク流路)
13 リーク通路(リーク流路)
14 リーク管
15 リーク弁

Claims (10)

  1. 燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関の燃料噴射弁であって、
    燃料噴射弁本体内に流入してきた低沸点燃料の一部を逃がして蒸発させるリーク流路を設けたことを特徴とする燃料噴射弁。
  2. 前記リーク流路が吸気系に連結されていることを特徴とする請求項1記載の燃料噴射弁。
  3. 前記低沸点燃料を燃料噴射時期にのみ逃がすことを特徴とする請求項1または2記載の燃料噴射弁。
  4. 前記リーク流路が、油溜りの外周壁を形成しているノズルチップに設けた空間部と、前記油溜りまたは油道の少なくとも一方と前記空間部との間を連通させるリーク穴と、前記空間部と前記吸気系との間を連結するリーク管路とを具備してなることを特徴とする請求項2記載の燃料噴射弁。
  5. 前記リーク流路が、油溜りの外周壁を形成しているノズルチップに設けた空間部と、針弁開時に燃料が流入する燃料弁サック部と前記空間部との間を連通させるリーク穴と、前記空間部と前記吸気系との間を連結するリーク管路とを具備してなることを特徴とする請求項3記載の燃料噴射弁。
  6. 前記リーク穴に、所定圧力以上で開くリーク弁を設けたことを特徴とする請求項4または5記載の燃料噴射弁。
  7. 燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関において、
    該ディーゼル機関には、請求項1から請求項6のいずれかに記載の燃料噴射弁が備え付けられていることを特徴とするディーゼル機関。
  8. 燃焼室内に供給された低沸点燃料を燃焼させることによって生じた高温,高圧のガスエネルギを利用して動力を発生させるディーゼル機関の燃料噴射弁冷却方法であって、
    燃料噴射弁本体内に流入してきた低沸点燃料の一部をリーク燃料としてノズルチップに設けたリーク流路に逃がし、前記リーク燃料の蒸発潜熱で冷却することを特徴とする燃料噴射弁冷却方法。
  9. 前記リーク燃料を吸気系に供給し、新気と共に燃焼室へ吸収させることを特徴とする請求項8記載の燃料噴射弁冷却方法。
  10. 前記低沸点燃料を燃料噴射時期にのみ逃がすことを特徴とする請求項8または9記載の燃料噴射弁冷却方法。
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