JP3923649B2 - 荷電粒子ビーム装置用吸着板、荷電粒子ビーム装置用偏向電極及び荷電粒子ビーム装置 - Google Patents

荷電粒子ビーム装置用吸着板、荷電粒子ビーム装置用偏向電極及び荷電粒子ビーム装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基板へのパターン描画あるいはパターン転写に用いられる電子ビーム露光装置等の荷電粒子ビーム装置における、電子光学系の部品及び試料室の構造、及びその構造を備えた装置に関わる。
【0002】
【従来の技術】
LSIデバイスの集積化が進むにつれて、LSIの製造に用いられるリソグラフィ装置の精度及びスループットに対する要求は、ますます厳しくなる。現在、リソグラフィ装置として用いられている電子ビーム露光装置には、レティクル(マスク)描画装置と、ウェハ直接描画装置との2種類がある。これらの装置では、十分なスループットを確保するために、可変成形ビーム(Variable Shaped Beam:VSB)方式、またはキャラクタプロジェクション(Character Projection:CP)方式という露光方式を採用している。
【0003】
図1と図2は、VSB方式の電子ビーム露光装置を示す断面図とその斜視図である。これについて、順を追って説明する。電子銃12から放出された電子ビーム(Electron Beam:EB)は、コンデンサレンズ13−1、2を通り、第1成形アパーチャ18−1を照明する。ここで、第1成形アパーチャは、例えば100μm□の矩形である。したがって、第1成形アパーチャを通過した電子ビームは、100μm□に成形されている。成形された電子ビームは、投影レンズ14を通って、第2成形アパーチャ18−2に投影される。ここで、第2成形アパーチャは、例えば一辺100μmの矩形に、一辺141μmの矩形を45度回転させて合わせた矢印形とする。第2成形アパーチャの上流には、成形偏向器17−2が設けられている。この成形偏向器に可変成形ビーム寸法制御回路により適当な電圧を印可することによって、電子ビームの進行方向を変え、その結果、第2成形アパーチャ上に投影される第1成形アパーチャ像の位置を変えることができる。このように投影位置を変えることによって、第1成形アパーチャ像と第2成形アパーチャの重なり方が変わり、大きさの異なる矩形ビームあるいは三角形ビームを成形することができるのである。矩形あるいは三角形に成形されたビームは、縮小レンズ15で縮小され、対物レンズ16を通り、また副偏向器17−3、及び主偏向器17−4によって位置決めされて、試料ステージ22上の試料21の所定の位置に到達する。また、電子ビーム(EB)は、コンデンサレンズ13−1、2の間に設けられ、ブランキング電極17−1によりビームのON・OFFを行うことができる。さらに前記試料ステージ22は、レーザ測長系及び試料台駆動回路により制御される。図1中の11は光学鏡筒、19は試料室である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記で説明した電子ビーム露光装置でパターンの描画を行う場合、描画の精度を劣化させる要因の一つとして、ビームドリフトがある。ビームドリフトによって描画精度の劣化がどのように引き起こされるかについて、成形偏向器の場合を例に説明する。成形偏向器の偏向板は、例えばAu、PtあるいはAu薄膜を表面に成膜したAlなどで作られている。これらの材質が用いられているのは、偏向板表面の安定性を重視するためである。成形偏向器は、第1成形アパーチャの像が第2成形アパーチャ上の所定の位置に投影されるようにコントロールしている。成形偏向器のビームドリフトは、第1成形アパーチャ像が、時間の経過につれて、所定の位置に投影されなくなることに起因する。成形偏向器におけるビームドリフトを、以後、成形ビームドリフトと呼ぶことにする。成形ビームドリフトが生じると、成形ビームの形状、大きさが時間とともに変化する。そのため、所望の形状、大きさの成形ビーム像が得られなくなり、描画パターンの精度が劣化することになる。さらに、ビームを試料上の所望の位置に位置決めするための偏向器においても、ビームドリフトが起こり得る。
【0005】
このようなビームドリフトを引き起こす主たる原因は、偏向器の偏向電極、あるいはその周辺の鏡筒内部品の表面に付着した堆積物のチャージアップである。ビーム経路の近くに非導電性物質が存在すると、ビーム照射に伴って同物質がチャージアップし、ビームの軌道が変えられる。チャージアップを引き起こすこの非導電性の堆積物は、主には炭素化合物である。この炭素化合物の堆積物は、電子ビームの照射に伴って鏡筒内部に発生する2次電子などの低エネルギ電子が、鏡筒内部の部品表面に吸着している炭素化合物の残留ガスを励起分解することによって生じる。
【0006】
このような炭素化合物の残留ガスの一部分は、真空排気後に鏡筒内部に残留しているものである。さらに、これに加えて、レジストの描画中にレジストから蒸発し、鏡筒内部へと拡散してくる炭素化合物(主にレジストの溶剤)が、残留ガスの発生源の大部分を占める。しかも、これは描画を行う度に発生する。そのため、偏向器の偏向電極などの鏡筒内部品に炭素化合物の堆積物が大量に堆積する。これがビームドリフトの要因となって、深刻な描画精度の劣化をもたらすのである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
ところで、白金、あるいは白金族の貴金属は、炭素化合物のガスの酸化分解を促進させる触媒として知られている。例えば、白金黒と呼ばれる白金微粒子の集合体、あるいは白金海綿と呼ばれる多孔質の白金は、実効的な表面積が大きいので、炭素化合物のガスを大量に吸着することができる。そして、吸着した炭素化合物の酸化分解に触媒として作用して、炭素化合物を速やかに水と二酸化炭素などに変える。
【0008】
従って、第1の発明は、荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する吸着板であって、吸着板に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、白金海綿、白金黒、多孔質状白金、多孔質状パラジウム、パラジウム黒、多孔質イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用吸着板である。
【0009】
第2の発明は、荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する吸着板であって、吸着板に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、酸素吸蔵能力を有する物質を介して設けられていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用吸着板である。
【0010】
第3の発明は、荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する偏向電極であって、偏向電極に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、白金海綿、白金黒、多孔質状白金、多孔質状パラジウム、パラジウム黒、多孔質イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用偏向電極である。
【0022】
このような手段による本発明の作用について以下に説明を行う。
微粒子状、あるいは多孔質の貴金属触媒(例えば、白金)を電子ビーム露光装置、例えば、試料室内に設置することによって、描画中にレジストから発生する炭素化合物ガスを効率的に吸着し、その後、貴金属触媒の触媒作用を利用して、炭素化合物の酸化物質(酸素、オゾンなど)による酸化分解を促進させ、炭素化合物を速やかに酸化分解し、これを真空ポンプによって、装置外に除去することによって、炭素化合物の光学鏡筒内への流入量を著しく減少させることができる。
【0023】
あるいは、微粒子状、あるいは多孔質の貴金属触媒(例えば、白金)を材料として偏向電極を製作することによって、描画中にレジストから発生して偏向電極表面に吸着し、偏向電極表面にコンタミネーションを生じさせる原因となる炭素化合物ガスを、貴金属触媒の触媒作用を利用して、酸化分解作用を促進させ、炭素化合物を速やかに酸化分解し、これを真空ポンプによって、電子ビーム露光装置外へ排出することができる。
【0024】
これらによって、偏向器の偏向電極上への炭素化合物の堆積を防ぎ、炭素化合物の堆積物のチャージアップによって引き起こされるビームドリフトを抑制し、その結果、高精度の描画を行うことが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の第1の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図3は、本発明による触媒吸着板30を試料室19内の壁に取り付けた電子ビーム露光装置の試料室近傍の断面図を示しており、その他の装置構成は先に示した図1及び図2と同様の構成であるので、説明を省略する。触媒吸着板30には、図4に示すように、電気ヒータ40を取り付けてあり、触媒吸着板30を加熱することができる。電気ヒータ40には、ある一定の温度(例えば、100℃)を保持する温度関知センサー(図示せず)が内蔵されており、電源のON・OFFが自動的に行われる。これによって、電子ビーム露光装置が高温になりすぎることが防ぐことができ、熱膨張による電子ビーム露光装置の機能低下を防ぐことができる。試料室19には酸素ガスボンベ34aから供給ゲートバルブ35aを介してガス導入用ポート31aを取り付けてある。このガス導入用ポート31aから、酸素ガスなどを供給することができる。さらに、試料室19と光学鏡筒11との間には、遮断ゲートバルブ32aを設けている。この遮断ゲートバルブ32aは、試料室19に酸素ガスを供給している間は閉じられ、光学鏡筒11、特に電子銃室に酸素が流入するのを防いでいる。試料室19には、真空ポンプ23aから排気ゲートバルブ36aを介してガス排気用ポート33aを取り付けてある。尚、真空ポンプ23a、排気ゲートバルブ36a、ガス排気用ポート33aは、試料室を真空にするために標準装備されているものを代用してもよい。
【0026】
触媒吸着板30の構造は、図4に示すように、担体30aに貴金属触媒、例えば、白金海綿、白金黒のような多孔質状白金層30bを担持させてある。このような触媒吸着板30は、例えば、チタン製の担体上に白金を真空蒸着して作成することができる。ただし、蒸着を行う際に、蒸着槽内にアルゴンガスを導入し、同槽を例えば、1.3×10-1〜1.3Paにする。これによって、ポーラス状の白金薄膜を成膜することができる。
【0027】
電子ビーム露光装置をしばらくの間運転すると、通常使用されている高分子有機化合物及び有機溶剤から成るレジストなどから飛散する炭素化合物のガスが、触媒吸着板30に吸着される。そこで、遮断ゲートバルブ32を閉じ、試料室19内に酸素ガスを供給し、触媒吸着板30に吸着されている炭素化合物ガスを酸化分解する。電気ヒータ40を用いて、触媒吸着板30を加熱することによって、酸化分解をさらに促進することができる。炭素化合物が酸化分解されて生じたCO2 、H2 Oなどの物質は、試料室19に取り付けた真空ポンプ23によって試料室19の外へ排除される。本実施例では、触媒吸着板30を、炭素化合物の発生場所に近い遮断ゲートバルブ32aの周辺に配置することによって、効果的に炭素化合物を吸着している。
【0028】
尚、図4の触媒吸着板30は、以下の3種類を用いることが考えられる。第1の触媒吸着板30として考えられるのは、多孔質の白金のみを使用した場合である。白金自体が多孔質のため、白金層の表面積が増え、白金層による炭素化合物を吸着する吸着効果と酸化分解効果が上がる。第2の触媒吸着板30として考えられるのは、触媒物質を担持する担体30aがゼオライト、活性炭、ポーラス状カーボン、ポーラス状炭化珪素などの多孔質体であり、その上に、白金が付着している場合である。担体30aが多孔質のため、その上に付着している白金層の表面積が増え、白金層による吸着効果と酸化分解効果が上がる。第3の触媒吸着板30として考えられるのは、担体30aがゼオライト、活性炭、ポーラス状カーボン、ポーラス状炭化珪素などの多孔質体であり、その上に、白金が粒状に付着している場合である。担体30aが多孔質のため、その上に付着している白金層の表面積が増え、白金層による吸着効果と酸化分解効果が上がる。さらに、この第3の触媒吸着板30の場合は、担体30aにも、吸着作用がある。
【0029】
担体30aに触媒物質を担持させる方法として、触媒物質の塩化物あるいは硝酸塩などを用いた、含浸法、噴霧法、混合法がある。例えば、含浸法では、担体30aを塩化白金の溶液に浸し、エアーブローによって担体上の余分な溶液を吹き飛ばした後、これを焼成することによって、担体上に白金/酸化白金の微粒子を担持させることができる。
【0030】
前記第1の実施形態の触媒吸着板30において、図5に示すように、酸素吸蔵能力がある酸素吸蔵物質30cを助触媒として用いると、酸素を導入しなくても、炭素化合物の酸化分解を行うことができる。このような助触媒として、例えば酸化セリウムを用いることができる。酸化セリウムを担体30a上に担持させるには、担体を硝酸セリウム溶液に浸し、乾燥させて水分を蒸発させた後、焼成すればよい。この酸化セリウムが担持された担体を、塩化白金(または硝酸白金)の溶液に浸し、余分な溶液をエアーブローで取り去った後に焼成すれば、担体30a上に酸化セリウムと白金とが担持されたものを得ることができる。酸化セリウムと白金とは、図5に示すように、担体上に多層状に担持されてもよいし、同じ層内に担持されてもよい。酸化セリウムは、吸蔵された酸素を放出することによって、炭素化合物の酸化に必要な酸素を供給する。この方法では、酸化セリウムが酸素を供給し続けている間は、炭素化合物の酸化分解が行われる。そのため、その間は、酸素ガスを導入する必要がないので、前記第一の実施形態の場合と比較して、電子ビーム露光装置をさらに長時間連続することができる。
【0031】
次に、本発明の第2の実施形態について図面を参照して詳細に説明する。
図6は、本発明の第2の実施形態による偏向電極210を備えた電子ビーム露光装置の断面の模式図を示している。この偏向電極210には、図7に示すように、偏向電極の内側に触媒作用のある貴金属触媒層211を担持させ、外側には第1の実施形態で説明した電気ヒータ212を取り付けてあり、偏向電極の内側を加熱することができる。また、第1成形アパーチャ18−1のすぐ下に、ガス導入用ポート31bを取り付けてある。このガス導入用ポート31bから、酸素ガス、オゾンガス、ハロゲンガスなどの酸化性ガスを供給することができる。さらに、電子銃室202と光学鏡筒11の他の部分との間には、遮断ゲートバルブ32bを設けている。この遮断ゲートバルブ32bは、光学鏡筒11にガスを供給している間は閉じられ、電子銃室202に酸化性ガスが流入するのを防いでいる。また、第2成形アパーチャ18−2のすぐ上に、ガス排気用ポート33bを取り付けてある。
【0032】
図7に示す偏向電極210の内側に、貴金属触媒、例えば白金海綿、白金黒のような多孔質の白金を担持させてある。このような偏向電極210は、例えば、チタン製の担体上に白金を真空蒸着して作成することができる。ただし、蒸着を行う際に、蒸着槽内にアルゴンガスを導入し、同槽を1.3×10-1〜1.3Paにする。これによって、ポーラス状の白金薄膜を成膜することができる。
【0033】
電子ビーム露光装置をしばらくの間運転すると、通常使用されている高分子有機溶剤のレジストなどから飛散する炭素化合物のガスが、偏向電極210に吸着される。そこで、遮断ゲートバルブ32bを閉じ、光学鏡筒11内に酸素ガスを供給し、偏向電極210に吸着されている炭素化合物ガスを酸化分解する。電気ヒータ212を用いて、偏向電極210を加熱することによって、酸化分解をさらに促進することができる。炭素化合物が酸化分解されて生じたCO2 、H2 Oなどの物質は、ガス排気用ポート33bによって光学鏡筒11外へ排除される。
【0034】
図8は、本発明の第2の実施形態の変形例の概略を示す図である。この変形例では、第2の実施形態で述べた電気ヒータ212の代わりに、光学鏡筒11内であって、偏向電極210と第2成形アパーチャ18−2の間に、紫外線ランプなどの発光装置220を備えている。発光装置220は、通常はビーム照射の邪魔にならないように光学鏡筒11内の隅に置いてある。光学鏡筒11内に酸化性のガスを導入する際に、発光装置移動手段221、例えば、光学鏡筒11外に設置してある駆動モータ(図示せず)によって矢印のように伸縮し、この発光装置220を光学鏡筒11中央へ移動させて、偏向電極210表面に光を照射する。この光のエネルギによって、触媒物質の触媒効果による炭素化合物の酸化分解がさらに促進される。
【0035】
次に、本発明の第3の実施形態について図9を参照して詳細に説明する。
図9は、本発明による偏向電極210及び触媒吸着板30を備えた電子ビーム露光装置の断面の模式図を示している。この偏向電極210には、図7に示すように、偏向電極の内側に触媒作用のある貴金属触媒層211を担持させ、外側には電気ヒータ212を取り付けてあり、偏向電極の内側を加熱することができる。また、試料室19内の壁には本発明による触媒吸着板30を取り付けてある。触媒吸着板30には、図4に示すように、電気ヒータ40を取り付けてあり、触媒吸着板30を加熱することができる。さらに、光学鏡筒11と試料室19にはガス導入用ポート31を取り付けてある。このガス導入用ポートから、酸素ガス、オゾンガスなどの酸化性ガスを供給することができる。さらに、電子銃室と光学鏡筒の他の部分との間には、遮断ゲートバルブ32bを設けている。この遮断ゲートバルブ32bは、光学鏡筒11にガスを供給している間は閉じられ、電子銃室202に酸化性ガスが流入するのを防いでいる。光学鏡筒11と試料室19には、真空ポンプ23を取り付けてある。
【0036】
偏向電極210の内側に、貴金属触媒、例えば白金海綿、白金黒のような多孔質の白金を担持させてある。このような偏向電極210は、例えば、チタン製の担体上に白金を真空蒸着して作成することができる。ただし、蒸着を行う際に、蒸着槽内にアルゴンガスを導入し、同槽を例えば、1.3×10-1〜1.3Paにする。これによって、ポーラス状の白金薄膜を成膜することができる。
【0037】
電子ビーム露光装置をしばらくの間運転すると、レジストから飛散する炭素化合物のガスが、偏向電極210に吸着される。そこで、遮断ゲートバルブ32bを閉じ、光学鏡筒11と試料室19内に酸素ガスを供給し、偏向電極210に吸着されている炭素化合物ガスを酸化分解する。電気ヒータ40、212を用いて、触媒吸着板30や偏向電極210を加熱することによって、酸化分解をさらに促進することができる。炭素化合物が酸化分解されて生じたCO2 、H2 Oなどの物質は、光学鏡筒11と試料室19に取り付けた真空ポンプ23によって光学鏡筒11外へ排除される。
【0038】
本実施形態では、前述した第1、第2の実施形態の変形例を用いることができる。
本実施形態のように、触媒作用のある吸着板を試料室内と光学鏡筒内の両方に設けることによって、長期間電子ビーム露光装置を分解せずに使用することができる。また、光学鏡筒11と試料室19が個別にクリーニングが可能になる。
【0039】
以上、具体例を参照しつつ、本発明の実施の形態について、説明した。しかし、本発明は、これらの具体例に限定されるものではない。例えば、貴金属触媒は、白金の代わりに、白金、パラジウム、イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であればよいし、また、多孔質状白金の代わりに、白金海綿、白金黒、多孔質状白金、多孔質状パラジウム、パラジウム黒、多孔質イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であればよい。
【0040】
さらに、本発明は、電子ビーム露光装置に限らずSEM( Scanning Electron Microscope) 等の他の電子ビーム装置やFIB(Focused Ion Beam)等のイオンビーム装置等にも本発明の主旨を逸脱しない範囲で適用可能であり、SEMでは、解像度及びその安定性が向上し、FIBでは、照射の位置精度及びその安定性が向上する。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、荷電粒子ビーム装置において、炭素化合物などの量を減らすことができるため、炭素化合物が偏向電極の表面に付着し、これがチャージアップすることによって、引き起こされるビームドリフトを抑制することができる。したがって、ビームドリフトに起因する描画精度の劣化を小さくすることが可能になり、描画精度を向上させることができる。さらに、貴金属触媒に吸着した炭素化合物は、荷電粒子ビーム装置内に酸素を導入することによって、酸化分解、除去することができる。荷電粒子ビーム装置内の炭素化合物の堆積物を除去するために荷電粒子ビーム装置を分解しないですむので、荷電粒子ビーム装置を効率的に運転することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 可変成形ビーム方式の電子ビーム露光装置を示す断面図。
【図2】 可変成形ビーム方式の電子ビーム露光装置を示す斜視図。
【図3】 本発明の電子ビーム露光装置の第1の実施形態を示す断面図。
【図4】 本発明による貴金属触媒を用いた吸着板の説明図。
【図5】 本発明による酸素吸蔵物質を助触媒として用いた貴金属触媒吸着板の構造の説明図。
【図6】 本発明の電子ビーム露光装置の第2の実施形態を示す断面図。
【図7】 本発明による貴金属触媒層を用いた偏向電極の説明図。
【図8】 本発明による貴金属触媒層を用いた偏向電極と、これを照射する発光手段を備えた電子ビーム露光装置。
【図9】 本発明の電子ビーム露光装置の第3の実施形態を示す断面図。
【符号の説明】
11 光学鏡筒
12 電子銃
13−1 コンデンサレンズ
13−2 コンデンサレンズ
14 投影レンズ
15 縮小レンズ
16 対物レンズ
17−1 ブランキング電極
17−2 成形偏向器
17−3 副偏向器
17−4 主偏向器
18−1 第一成形アパーチャ
18−2 第二成形アパーチャ
19 試料室
21 試料
22 試料ステージ
23 真空ポンプ
30 触媒吸着板
30a 担体
30b 多孔質状白金層
30c 酸素吸蔵物質
31a、31b ガス導入用ポート
32a、32b 遮断ゲートバルブ
33a、33b ガス排気用ポート
34a、34b 酸素ガスボンベ
35a、35b 供給ゲートバルブ
36a、36b 排気ゲートバルブ
40 電気ヒータ
202 電子銃室
210 偏向電極
211 貴金属触媒層
212 電気ヒータ
220 発光装置
221 発光装置移動手段
EB 電子ビーム

Claims (3)

  1. 荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する吸着板であって、吸着板に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、白金海綿、白金黒、多孔質状白金、多孔質状パラジウム、パラジウム黒、多孔質イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用吸着板。
  2. 荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する吸着板であって、吸着板に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、酸素吸蔵能力を有する物質を介して設けられていることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用吸着板。
  3. 荷電粒子ビーム装置内部に存在する炭素化合物を吸着する偏向電極であって、偏向電極に貴金属触媒を担持させており、前記貴金属触媒が、白金海綿、白金黒、多孔質状白金、多孔質状パラジウム、パラジウム黒、多孔質イリジウムのうち少なくとも一つ若しくはこれらを含む合金であることを特徴とする荷電粒子ビーム装置用偏向電極。
JP07893198A 1997-09-18 1998-03-26 荷電粒子ビーム装置用吸着板、荷電粒子ビーム装置用偏向電極及び荷電粒子ビーム装置 Expired - Fee Related JP3923649B2 (ja)

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