JP3923608B2 - 田植機の感度調節機構 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、田植機における植付部を、圃場面の凹凸に合わせて昇降機構を用いて昇降させ、前記凹凸を検出する際の感度を、圃場面の硬度に合わせて調節する構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、田植機の植付部を走行車の後部に昇降機構を用いて昇降自在に吊設し、前記植付部下部に形成した複数個の均平用のフロートの後部を枢支し、各フロートの前部を上下に回動可能に配し、各フロートの内で左右中央に配したセンタフロートに傾斜を検出するセンサーを配置し、該センサーによる検出感度を硬度の硬い圃場面においては、大きい凹凸のみを検出するようにセンサーを鈍感に合わせて、硬度の軟らかい圃場面においては、小さい凹凸も検出することができるように敏感に合わせていた。また、前記センサーの感度は、オペレータによって手動で圃場面に合わせるように切り換え操作が行われていた。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、従来の手動によって感度を合わせるには、大区画化による条件(表面硬度、凹凸等)等の多様化に対応して、感度変更の頻度が増え、圃場条件に対応して、感度変更に頻度が増え、圃場条件に合わせて、常に適正な感度調節をオペレータが行うのは不可能に近いという問題があった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、走行車に昇降自在に植付部(15)を装着し、該植付部(15)の下部にフロート(34)を枢支し、該フロート(34)の傾斜角に応じて植付部(15)を昇降させる構成において、該走行車に走行速度を検出する速度センサー(113)を配置し、該フロート(34)底面に圧力センサー(84)を配置し、該フロート(34)の前部をリンク(95)を用いて上下回動可能に吊設し、該リンク(95)にフロート(34)の角度を検出する角度センサー(97)を配置し、前記圧力センサー(84)と速度センサー(113)の検出値に対して、圃場表面の硬度を認識し、コントローラ(C)に予め圃場表面の硬度に対する不感帯の範囲(θ1・θ2)をマップとして記憶し、該マップは、圃場表面の硬度が硬い場合には、不感帯の範囲(θ1・θ2)を大きくし、軟弱な場合には小さくすべく構成し、該記憶されたマップに従い感度補正モータ(80)を駆動し、前記フロート(34)の傾斜角を検知する角度センサー(97)の感度を調節するものである。
請求項2においては、請求項1記載の田植機の感度調節機構において、前記フロート(34)の前部と、該角度センサー(97)と、植付け感度調節レバー(31)と、昇降機構とを連動させるセンサーワイヤー(99)を設け、該センサーワイヤー(99)のインナーワイヤー(99b)は、角度センサー(97)と昇降バルブ86のスプールに当接させたアーム(87)とを連結し、該センサーワイヤー(99)のアウターワイヤー(99a)は、フロート(34)の先端に下端を枢支したセンサーリンク(98)の上端と、植付け感度調節レバー(31)とを連結し、前記角度センサー(97)の感度の調整は、前記感度補正モータ(80)により植付け感度調節レバー(31)を強制的に回動し、アウターワイヤー(99a)をインナーワイヤー(99b)に対して摺動させることにより、インナーワイヤー(99b)の弛みを圃場面の硬度に合わせて変更し、調整するものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態を説明する。
図1は乗用田植機の全体側面図、図2は同じく平面図、図3は本発明の圧力センサーと角度センサーを配置したセンタフロートの側面図、図4は圧力センサーを配したセンタフロートの底面図、図5は本発明の感度調節機構のブロック図、図6は昇降機構の油圧回路図、図7はセンタフロートの説明図、図8は同じく説明図、図9はセンタフロートの傾斜角度を検出する別形態を示す側面図、図10は振動センサーを配置したセンタフロートの側面図、図11は同じく正面図、図12はセンサーによる出力値と感度調節値とに関係を示す図、図13は動力伝達構成を示す側面図、図14は本発明の感度調節機構のフローチャート図である。
【0006】
まず、電子ガバナー機構を搭載型走行車として本実施例において乗用田植機が用いられている。該乗用田植機は、図1、図2に示すように構成されている。作業者等が搭乗する走行車の機体フレーム3前部上方に、電子ガバナー機構付エンジンEを搭載し、機体フレーム3後部にミッションケース4を配している。前記ミッションケース4の前方に、フロントアクスルケース5を介して、前輪6を支持させると共に、前記ミッションケース4の後部に、リヤアクスルケース7を連設し、該リヤアクスルケース7に後輪8を支持させる。そして、前記エンジンEを覆うボンネット9の側上方に予備苗載台10・10を配設し、ステップ11を介して作業者等が搭乗する車体カバー2によって前記ミッションケース4等を覆い、前記車体カバー2上部に運転席13を取り付け、該運転席13の前方の前記ボンネット9後部に操向ハンドル14を配設している。
【0007】
また、植付部15は六条植え用の苗載台16や、複数の植付爪17等から構成されており、前高後低に配設した苗載台16を、下部レール18及びガイドレールを介して、植付ケース20に左右往復摺動自在に支持させると共に、一方向に等速回転するロータリーケース21を前記植付ケース20に回転自在にさせ、該ロータリーケース21の回転軸芯を中心にして対称位置に一対の爪ケース22・22を配設し、該爪ケース22・22の先端に植付爪17・17を固設する。
【0008】
また、前記植付ケース20の前部に支持フレーム24を設け、トップリンク25及びロワーリンク26を含むリンク機構27を介して作業車後部に連結し、前記リンク機構27を介して植付部15を昇降させる昇降シリンダ28をロワーリンク26に連結している。そして、前記前輪6・6及び後輪8・8を走行駆動して移動すると同時に、左右に往復摺動可能な苗載台16から一株分の苗を植付爪17によって取り出し、連続的に苗植え作業を行うように構成している。
【0009】
また、前記運転席13等が設置された運転部には走行変速レバー29、植付け昇降兼作業走行変速用の副変速レバー30、植付け感度調節レバー31、主クラッチペダル32、左右ブレーキペダル33・33が配設され、前記植付部15下部には均平用センタフロート34、均平用サイドフロート35が配設され、前記運転席13後方には六条用の施肥部36が配設されている。前記ボンネット9には、アクセルレバー1が配設されている。
【0010】
次に、前記作業車の動力伝達構成について説明する。
前記エンジンEの後方にベルト式無段変速装置51は配設されている。前記エンジンEの出力軸50は、プーリ、ベルト等を介して、図13に示すベルト式無段変速装置59に動力伝達している。
【0011】
該ベルト式無段変速装置59は、前記植付け昇降兼作業走行変速用の副変速レバー30に連動されており、該副変速レバー30を操作することで、無段変速が行われている。前記ベルト式無段変速装置59によて変速された動力は、図13に示すように、クラッチケース58を介してミッションケース4に動力が伝達されている。該ミッションケース4において変速後の回転が、リアアクスルケース7に伝達されている。
【0012】
また、前記副変速レバー30には、図2に示すアクチュエータとしての油圧シリンダー111が連動されている。図5に示すように、該油圧シリンダー111への圧油の送油方向を切り換える電磁弁にコントローラCが接続されている。前記油圧シリンダー111を伸縮制御することで、副変速レバー30が回動され、ベルト式無段変速装置59を変速することができる。尚、前記油圧シリンダー111は、副変速レバー30に連結しているが、ベルト式無段変速装置59の変速アームに直接に連結する構成とすることもできる。
【0013】
また、図5に示す如く、前記電子ガバナー機構付エンジンEは、コントローラCと接続されており、該コントローラCからの信号が、電子ガバナー機構Gに操作信号を送るように構成している。前記コントローラCによって、アクセル位置や、エンジンの回転数、燃料噴射量等を判断し、電子ガバナー機構付エンジンEを制御しているのである。
【0014】
そして、本実施例において、植付作業時に、旋回操作を必要とする枕地接近時に走行速度を自動によって減速させる構成としている。図1、図5に示すように、走行車の前部にトランスジューサ等より構成される超音波センサー112が配設されている。該超音波センサー112は、送波機と受波機とより構成され、送波機より前方に発信された超音波パルスが畦等によって反射され、反射された超音波パルスが受波機によって受信され、この受信するまでの時間を検出している。前記超音波センサー112は、コントローラCに接続され、検出した時間をコントローラCに送信するようにしている。また、前記後輪8の車軸には、車速を検出する速度センサー113が配設されている。該速度センサー113は、コントローラCに接続され、走行車の車速が演算されている。
【0015】
更に、前記コントローラCには、自動スイッチ114が接続されている。該自動スイッチ114をON側に切り換えると、前記超音波センサー112による検出値によって、畦等までの距離が演算され、続いて、速度センサー113に検出値によって現在の走行速度が演算され、畦等までの到達時間が演算される。そして、畦近傍位置の枕地に到達する前に、コントローラCより電子ガバナー機構Gに送信し、エンジン回転数を一定時間で減速するように制御している。更に、前記油圧シリンダー111の電磁弁を切り換えて、ベルト式無段変速装置59を用いて減速側に副変速することもできる。よって、枕地においては、走行車は自動的に十分に減速されるので、オペレータはアクセルレバーや副変速レバー30を操作する必要がなくなり、植付部15の昇降作業等を行って、走行車を旋回させて、次条の植え付け作業に移行し、一定時間経過後にもとの速度に増速させている。従って、枕地での煩雑な操作が簡略化されている。
【0016】
また、前記自動スイッチ114をOFF側に切り換えると、自動による減速制御が行われずに、任意の位置において通常の操作をおこなうことができる。尚、畦等までの距離を演算する構成として、超音波センサー112が用いられているが、このセンサーに限定するものでなく、ドップラレーダ形のセンサーを用いることもできる。
【0017】
次に、前記植付部15を圃場面の凹凸に合わせて自動的に昇降させる構成について説明する。
前記植付部15は、圃場面の凹凸を検出し、昇降シリンダ28を伸縮させることでリンク機構27を介して植付部15を昇降させていた。
【0018】
前記植付部15を昇降する昇降シリンダ28を伸縮駆動する油圧回路は図6に示すように構成されている。エンジンEによって駆動する油圧ポンプ103の供給油圧回路を、フロートコントロールバルブ104によって高圧油路105と低圧油路106とに分岐している。前記高圧油路105には、操向油圧ユニット110と、昇降バルブユニット107とが配設されている。該昇降バルブユニット107には、昇降シリンダ28を駆動する上昇及び下降用ソレノイドバルブ108・109が配設されている。低圧油路106には、植付部15の左右傾斜姿勢を制御するシリンダーを駆動するユニットが配設されている。
【0019】
また、圃場面の凹凸を検出する傾斜検出手段をセンタフロート34に配設している。前記センタフロート34は図3に示すように構成されている。該センタフロート34は、後部上面にブラケット90を設け、前記植付ケース20に回動自在に支持する植付深さ調節支点軸91に、植付深さ調節リンク92の基端を固設し、該植付深さ調節リンク92先端に前記ブラケット90を支点軸93を介して枢支して、センタフロート34を回動自在に支持している。
【0020】
そして、前記植付ケース20側に固定支持する支軸94にリンク95の中間を回動自在に枢支し、前記植付深さ調節支点軸91に基端を固設したアーム96の先端に前記リンク95の後部を枢結している。該植付深さ調節支点軸91には植深レバー85を固設して植付深さを設定できるようにしている。また、前記リンク95前端には係合ピンを設けてセンサーリンク98の長孔内に挿入されている。該センサーリンク98の下端はセンタフロート34前部に枢支されている。
【0021】
また、前記リンク95の側面にはポテンショメーター等の角度センサー97が配置されている。該角度センサー97によって、リンク95とセンサーリンク98の相対角度を検出することによって、センタフロート34の傾斜角度が推定される。
【0022】
また、図3、図4に示すように、前記センタフロート34の下面の前後略中央の左右中央位置に突状部34aが形成されている。該突状部34aはセンタフロート34下面より下方に長く突出され、前後方向に長く形成されている。このセンタフロート34にて均平させると、圃場面である泥内に突状部34aを突入させているが、突状部34aの左右幅を短くしているので、圃場面に大きな溝が形成されることがなく、センタフロート34後部によって均平される。
【0023】
更に、前記突状部34aの前面は垂直状に形成され、前面に圧力センサー84が配設される。該圧力センサー84として、ポテンショメトリック方式や拡散形半導体方式の電気式の圧力センサー84が用いられている。該圧力センサー84が突状部34aと一体的の泥内を押し進められることで、泥による抵抗が圧力センサー84によって検出されている。尚、走行車に施肥機等を搭載した場合には、前記圧力センサー84の配設位置を、センタフロート34下面に設けた作溝器に配設することもできる。該フロート(34)の先端には、別の対地センサー100が配置されている。
【0024】
そして、図5に示すように、前記上昇及び下降用ソレノイドバルブ108・109がコントローラCに接続され、前記昇降シリンダ28を伸縮制御することで植付部15を適正高さに昇降させるようにしている。前記コントローラCの入力側には、前記圧力センサー84や、角度センサー97、速度センサー113等からの検出値が送信されている。さらにコントローラCの入力側には自動昇降スイッチ83が接続されている。
【0025】
前記コントローラCには予め、植付部15を上昇させて、センタフロート34を空中に保持した場合の前下がり角度が記憶されている。そして、自動昇降スイッチ83をON側に切り換えて、植付部15を作業位置まで下降させると、センタフロート34前部を回動させている。前記角度センサー97の検出値がコントローラCに入力されると、図7に示すように、コントローラCによって記憶した前下がり角度を基準とした現時点でのセンタフロート34の傾斜角度a(水平)が演算される。
【0026】
更に、前記コントローラCには、図8に示すように、センタフロート34の傾斜角度の制御目標値bが記憶されている。現時点での傾斜角度aと制御目標値bとの差が演算されている。この差が正側の一定の範囲θ1、若しくは負側の一定の範囲θ2内に収まっているか否かが判断されている。この範囲θ1・θ2内においては、植付部15を昇降させることのない不感帯の幅としている。例えば、センタフロート34前部が上方に大きく回動すると角度aが大きくなり、制御目標値bとの差が範囲θ1以上になっている。この場合には、前記上昇用ソレノイドバルブ108を駆動し、角度aを制御目標値bに近づけている。また、前記センタフロート34前部が余り上昇されないと角度aが小さくなり、制御目標値bとの差が範囲θ2以下になっている。この場合には、前記下降用ソレノイドバルブ109を駆動し、角度aを制御目標値bに近づけている。
【0027】
そして、本発明において、圃場表面の硬度に応じて不感帯の幅である前記範囲θ1・θ2を変更可能に構成している。即ち、図14に示すように、前記コントローラCには、圧力センサー84の検出値と速度センサー113との検出値とによって、圃場表面の硬度が認識されている。更に、前記コントローラCには予め、この圃場表面の硬度に対する範囲θ1・θ2がマップとして記憶されている。このマップには、圃場表面の硬度が硬い場合には、範囲θ1・θ2を大きくし、圃場表面の硬度が軟弱な場合には、範囲θ1・θ2を小さくしている。従って、硬度が軟弱なときにはセンタフロート34は上下回動することなく、圃場面を均平していくが、硬度が硬い場合には植付部15を昇降させる必要のない小さな隆起によってもセンタフロート34が若干量で上下動されるが、範囲θ1・θ2を大きくしたことによって、昇降シリンダ28の不感帯の幅が広くなり、植付部15が上下動されることがない。
【0028】
また、前述した実施例においては、センタフロート34の傾斜角度aを角度センサー97を用いて検出しているが、傾斜検出手段の別形態として図9に示すように構成することもできる。
【0029】
前記センサーリンク98の上端にはセンサーワイヤー99のアウターワイヤー99aが連結され、インナーワイヤー99bはリンク95の係止ピンに連結されている。該アウターワイヤー99aの他端は前記植付感度調節レバー31と連結され、インナーワイヤー99bの他端はアーム87と連結され、該アーム87は前述した昇降バルブ86のスプールに当接させている。よって植付感度調節レバー31を後方に倒すとセンタフロート34の少しの上昇で昇降バルブ86が上昇側に切り換えられて感度が上げられ、前方に倒すと前記と逆に鈍くなるようにしている。前記植付感度調節レバー31基部には、レバー位置を検出する位置センサー31aが配設され、図5に示すように該位置センサー31aをコントローラCに接続している。
【0030】
更に、前記植付感度調節レバー31基部にセクタギヤ82が固設されている。該セクタギヤ82にはギヤ81を介して感度補正モータ80が連動されている。該感度補正モータ80を図5に示すように、リレー78を介してコントローラCに接続している。この場合には、コントローラCに、予め圃場表面の硬度に対する植付感度調節レバー31の位置を記憶させている。圃場表面の硬度は前述した圧力センサー84の検出値と速度センサー113との検出値とによって認識されている。このマップには、圃場表面の硬度が硬い場合には、感度補正モータ80を駆動してレバー31が前方傾倒され、インナーワイヤー99bの弛みが大きくなり感度を鈍感にしている。圃場表面の硬度が軟弱な場合には、感度補正モータ80を駆動してレバー31が後方傾倒され、インナーワイヤー99bの弛みが少なくなり感度を敏感にしている。
【0031】
次に、圃場面の硬度を検出する別形態について説明する。
図10、図11に示すように、センタフロート34の下面に振動センサー79を配設している。該振動センサー79が図5に示すようにコントローラCに接続され、振動センサー79による検出値がコントローラCに出力されている。検出値が小さい場合には、圃場面の硬度が軟らかいと判断され、検出値が大きい場合には、圃場面の硬度が硬いと判断され、図12に示すた表のマップによって感度調節が決定されている。図12の表は横座標にセンサー出力値Sを示し、縦座標に感度調節値Kが示され、センサー出力値Sが大きくなると、感度調節値Kも同様に大きくなっている。そして、該マップによって決定された感度調節値Kに一致するようにリレー78を介して感度補正モータ80が駆動され、植付感度調節レバー31が傾倒制御されている。また、前記感度調節値Kによって、前述した不感帯の幅である範囲θ1・θ2を変更可能な構成にすることもできる。
【0032】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1に記載するように、走行車に昇降自在に植付部(15)を装着し、該植付部(15)の下部にフロート(34)を枢支し、該フロート(34)の傾斜角に応じて植付部(15)を昇降させる構成において、該走行車に走行速度を検出する速度センサー(113)を配置し、該フロート(34)底面に圧力センサー(84)を配置し、該フロート(34)の前部をリンク(95)を用いて上下回動可能に吊設し、該リンク(95)にフロート(34)の角度を検出する角度センサー(97)を配置し、前記圧力センサー(84)と速度センサー(113)の検出値に対して、圃場表面の硬度を認識し、コントローラ(C)に予め圃場表面の硬度に対する不感帯の範囲(θ1・θ2)をマップとして記憶し、該マップは、圃場表面の硬度が硬い場合には、不感帯の範囲(θ1・θ2)を大きくし、軟弱な場合には小さくすべく構成し、該記憶されたマップに従い感度補正モータ(80)を駆動し、前記フロート(34)の傾斜角を検知する角度センサー(97)の感度を調節するので、フロート底面に突起部を設け、該突起部に圧力センサーを配設し、圃場内に圧力センサーを突入させた状態で圃場面の均平作業を行うことで、圧力センサーによって圃場面の硬度が検出することができ、該圧力センサーの検出値によって、フロートの傾斜を検知する感度を調節可能に制御するようにしているので、オペレータは、圃場の条件を把握する必要がなくなり、大区画化した圃場においても常に適正な感度調節が行うことができる。
そして、該感度の検出値によって、自動で感度調節を可能にすることによって、オペレータは手動により感度調節を行うことなく、植付部を圃場の状態に合わせて適切に昇降させることができ、正確な植付け作業を行うことができる。
【0033】
また、植付部を昇降させるフロートの傾斜角度の不感帯の範囲θ1・θ2を、走行車に走行速度を検出する速度センサーと、フロート底面に圃場の硬度を検出するセンサーとの、両方のセンサーの検出値に合わせて調節可能としており、圃場の硬度を検出するセンサーの値を走行速度に合わせて補正することができ、圃場の硬度の検出値に信頼性を増すことができる。この信頼性のおける検出値によって、植付部を昇降させるフロートの傾斜角度を調節することができ、植付部を圃場の状態に合わせて適切に昇降させることができ、正確な植付け作業を行うことができる。
【0034】
また、フロート底面に設けた圧力センサーによって圃場面の硬度を検出し、フロート前部に配した角度センサーによって圃場の凹凸を検出し、角度センサーによって検出した値によって昇降機構を駆動させており、昇降機構を駆動させる角度センサーによって検出する不感帯の範囲θ1・θ2を、圃場面の硬度に合わせて調節することができるようにしている。角度センサーによってフロートの角度を検出する構成にしたことによって、凹凸の検出が精密であり、また設定値を変更することによって昇降機構を駆動させる角度センサーの感度を容易に変更することができる。従って、圃場面の硬度に合わせて昇降機構を駆動させる感度を自動的に調節可能に構成されており、オペレータによって圃場の硬度の状態を把握する必要がなくなり、オペレータの負担を低減すると同時に、オペレータは手動により感度調節を行うことなく、植付部を圃場の状態に合わせて最適な位置に昇降させることができ、正確な植付け作業を行うことができる。
【0036】
請求項2の如く、請求項1記載の田植機の感度調節機構において、
前記フロート(34)の前部と、該角度センサー(97)と、植付け感度調節レバー(31)と、昇降機構とを連動させるセンサーワイヤー(99)を設け、該センサーワイヤー(99)のインナーワイヤー(99b)は、角度センサー(97)と昇降バルブ86のスプールに当接させたアーム(87)とを連結し、該センサーワイヤー(99)のアウターワイヤー(99a)は、フロート(34)の先端に下端を枢支したセンサーリンク(98)の上端と、植付け感度調節レバー(31)とを連結し、前記角度センサー(97)の感度の調整は、前記感度補正モータ(80)により植付け感度調節レバー(31)を強制的に回動し、アウターワイヤー(99a)をインナーワイヤー(99b)に対して摺動させることにより、インナーワイヤー(99b)の弛みを圃場面の硬度に合わせて変更し、調整するので、圃場の硬度が軟弱な場合には、アウターワイヤーを摺動してインナーワイヤーの弛みを少なくし、圃場面の小さい凹凸にも敏感に反応して植付部を昇降するようにしている。
そして、圃場の硬度が硬い場合には、アウターワイヤーを摺動してインナーワイヤーの弛みを多くし、植付部を昇降させる必要のない小さな隆起によってもフロートが若干量で上下動されても、反応することがない不感帯の幅を大きくすることができる。よって、オペレータは手動により感度調節を行う必要がなくなり、オペレータの負担が低減されている。
【図面の簡単な説明】
【図1】 乗用田植機の全体側面図である。
【図2】 同じく平面図である。
【図3】 本発明の圧力センサーと角度センサーを配置したセンタフロートの側面図である。
【図4】 圧力センサーを配したセンタフロートの底面図である。
【図5】 本発明の感度調節機構のブロック図である。
【図6】 昇降機構の油圧回路図である。
【図7】 センタフロートの説明図である。
【図8】 同じく説明図である。
【図9】 センタフロートの傾斜角度を検出する別形態を示す側面図である。
【図10】 振動センサーを配置したセンタフロートの側面図である。
【図11】 同じく正面図である。
【図12】 センサーによる出力値と感度調節値とに関係を示す図である。
【図13】 動力伝達構成を示す側面図である。
【図14】 本発明の感度調節機構のフローチャート図である。
【符号の説明】
15 植付部
34 センタフロート(フロート)
84 圧力センサー(センサー)
95 リンク
97 角度センサー
99a アウターワイヤー
99b インナーワイヤー
113 速度センサー
Claims (2)
- 走行車に昇降自在に植付部(15)を装着し、該植付部(15)の下部にフロート(34)を枢支し、該フロート(34)の傾斜角に応じて植付部(15)を昇降させる構成において、該走行車に走行速度を検出する速度センサー(113)を配置し、該フロート(34)底面に圧力センサー(84)を配置し、該フロート(34)の前部をリンク(95)を用いて上下回動可能に吊設し、該リンク(95)にフロート(34)の角度を検出する角度センサー(97)を配置し、前記圧力センサー(84)と速度センサー(113)の検出値に対して、圃場表面の硬度を認識し、コントローラ(C)に予め圃場表面の硬度に対する不感帯の範囲(θ1・θ2)をマップとして記憶し、該マップは、圃場表面の硬度が硬い場合には、不感帯の範囲(θ1・θ2)を大きくし、軟弱な場合には小さくすべく構成し、該記憶されたマップに従い感度補正モータ(80)を駆動し、前記フロート(34)の傾斜角を検知する角度センサー(97)の感度を調節することを特徴とする田植機の感度調節機構。
- 請求項1記載の田植機の感度調節機構において、前記フロート(34)の前部と、該角度センサー(97)と、植付け感度調節レバー(31)と、昇降機構とを連動させるセンサーワイヤー(99)を設け、該センサーワイヤー(99)のインナーワイヤー(99b)は、角度センサー(97)と昇降バルブ86のスプールに当接させたアーム(87)とを連結し、該センサーワイヤー(99)のアウターワイヤー(99a)は、フロート(34)の先端に下端を枢支したセンサーリンク(98)の上端と、植付け感度調節レバー(31)とを連結し、前記角度センサー(97)の感度の調整は、前記感度補正モータ(80)により植付け感度調節レバー(31)を強制的に回動し、アウターワイヤー(99a)をインナーワイヤー(99b)に対して摺動させることにより、インナーワイヤー(99b)の弛みを圃場面の硬度に合わせて変更し、調整することを特徴とする田植機の感度調節機構。
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