JP3922216B2 - 流動状物質の充填方法および充填装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、シート材表面に設けられた孔内に流動状物質を充填する、流動状物質の充填方法および充填装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
ブラインドビアである有底孔に流動状物質であるペーストを充填する、ペースト充填方法およびペースト充填装置が、特開2001−203437号公報(特許文献1)に開示されている。
【0003】
図4(a)に、特許文献1に開示されたペースト充填装置を示す。
【0004】
図4(a)のペースト充填装置100では、ブラインドビア102を設けた基材101が、基台201の上面に載置され、吸着穴201aと真空排気口201bにより吸引されて基台201に密着固定される。また、基材101のペースト充填領域を除く外周部に当接して、版枠202が配置される。基材101の表面側には、真空ノズル205が密接して配置されると共に、ペースト207が真空ノズル205側面、基材101表面及びペースト搬送用スキージ204側面に囲まれた空間内に保持される。その後、真空ノズル205から排気した状態で、真空ノズル205とスキージ204を同時に基板表面を相対的に移動させることにより、減圧されたブラインドビア102内にペースト207を充填する。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−203437号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
図4(b),(c)は、ペースト充填装置100によるブラインドビア102へのペースト207の充填の様子を示す拡大断面図である。
【0007】
図4(a)のペースト充填装置100は、ブラインドビア102内を真空ノズル205により排気しながら、ブラインドビア102内にペースト207を充填する。このため、大気圧状態のブラインドビア102内にペースト207を充填する場合に較べて、ブラインドビア102の下部に空気が残ってしまうといった問題がなくなる。
【0008】
一方、ペースト207が充満される真空ノズル205側面、基材101表面及びスキージ204側面に囲まれた空間内は、大気圧状態にある。このため、大気にさらされているペースト207は、図4(b)に示すように、スキージ204の移動に伴って空間内の空気を巻き込みながら搬送される。従って、図4(a)のペースト充填装置100では、ペースト207中に気泡207vが存在し、このような気泡207vを含むペースト207が、図4(c)に示すように、そのままブラインドビア102内に充填されてしまう。一度ブラインドビア102内に入り込んだ気泡207vは後工程で抜き出されないため、気泡207vが入ったブラインドビア102は、ペースト207の充填不足が生じ、導通不良の原因となる。
【0009】
また、図4(a)のペースト充填装置100は構成が複雑なため、ペースト207を基材101の一部分に充填する、あるいは部分的に異なる種類のペーストを充填するといった用途には不適当である。
【0010】
本発明は上記問題点に鑑みてなされたもので、シート材表面の孔に充填された流動状物質に気泡が残らず、且つ簡便に充填することができる流動状物質の充填方法および充填装置を提供することを目的としている。
【0011】
【課題を解決するための手段】
請求項1〜5に記載の発明は、流動状物質の充填方法に関する発明である。
【0012】
請求項1に記載の発明は、シート材表面に設けられた孔内に流動状物質を充填する流動状物質の充填方法であって、前記シート材表面に前記流動状物質を塗布する流動状物質塗布工程と、前記シート材表面に塗布された流動状物質に、内部が減圧される筒状端部の先端を浸漬するようにして、鉛直上方からシート材表面に前記筒状端部の先端を当接し、前記筒状端部の先端と前記シート材表面の間にある前記流動状物質をシール物質とし、前記シート材表面に当接する前記筒状端部の先端によって取り囲まれた前記シート材表面の所定領域を一つの面として、前記所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間を形成し、当該密閉空間内を減圧する密閉空間形成工程と、前記密閉空間を、前記シート材表面に対して水平方向に移動させる密閉空間移動工程と、前記密閉空間の移動に伴って、前記シート材に塗布された流動状物質を、密閉空間内にある前記シート材表面に設けられた孔内へ充填する流動状物質充填工程とを備えることを特徴としている。
【0013】
これによれば、シート材表面に塗布された流動状物質に、内部が減圧される筒状端部の先端が浸漬されるようにして、鉛直上方からシート材表面に筒状端部の先端が当接されることによって、筒状端部の先端とシート材表面の間にある流動状物質がシール物質となって、シート材表面に当接する筒状端部の先端によって取り囲まれたシート材表面の所定領域を一つの面として、所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間が形成される。この密閉空間内は減圧されるため、密閉空間内にあるシート材表面に設けられた流動状物質充填前の孔内が、排気される。また、密閉空間内にある流動状物質は、密閉空間内が減圧されているため、密閉空間の移動に伴う空気の巻き込みが抑えられて、流動状物質中に取り込まれる気泡が低減される。このようにして、気泡が低減された流動状物質が、密閉空間の移動に伴って、排気されたシート材表面の孔内へ充填される。従って、孔に充填された流動状物質についても、気泡が低減されたものとなる。
また、前記密閉空間は、例えば手動により移動させるこができるため、流動状物質の充填を手軽に行うことができる。
【0014】
上記の流動状物質の充填方法では、充填される孔の排気、充填される流動状物質の保持、および流動状物質の充填が、いずれも1つの同じ密閉空間内で行われる。従って、この流動状物質の充填方法は、簡便な流動状物質の充填方法とすることができる。尚、流動状物質の密閉空間内への補給は、密閉空間の外部の大気圧中にある流動状物質が筒状端部の先端とシート材表面の間のシール部を通って減圧された密閉空間内へ浸透する作用により行われる。このため、流動状物質の特別な補給工程は必要ない。
【0016】
さらに、筒状端部のシート材表面への当接によって形成される密閉空間の移動に伴い、筒状端部がスキージの役割を果たして、流動状物質が孔内に充填される。
【0017】
請求項2に記載の発明は、前記密閉空間移動工程において、前記密閉空間を、前記シート材表面上で螺旋を描くように移動させることを特徴としている。これによって、密閉空間の移動に伴う流動状物質の充填が孔に対して種々の方向から行われるため、流動状物質を孔内へ確実に充填することができる。
【0019】
請求項3に記載の発明は、前記シート材表面に設けられた孔が複数個あり、前記流動状物質を、前記複数個のうち一部個数の孔に充填することを特徴としている。このように上記した流動状物質の充填は、シート材表面に設けられた複数個の孔うち、その一部個数の孔に流動状物質を充填する部分充填にも適する。
【0020】
請求項4に記載の発明は、前記流動状物質が複数種類あり、当該複数種類の流動状物質を、それぞれ、前記複数個のうち一部個数の孔に充填することを特徴としている。このように上記した流動状物質の充填は、シート材表面に設けられた複数個の孔に対して、複数種類の流動状物質を部分的に充填する場合にも適している。
【0021】
請求項5に記載のように、上記流動状物質の充填方法は、前記シート材が、多層回路基板形成用のシート材であり、前記流動状物質が、回路パターン同士の接続導体となる金属ペーストである場合に好適である。
【0022】
多層回路基板には微細な回路パターン接続用の孔が多数形成されるため、充填不良あるいは充填された金属ペーストにわずかな気泡が残っても、導通不良が起きてしまう。前述のように、上記充填方法を用いれば、孔内に充填される金属ペーストについて、気泡を低減することができる。これにより、多層回路基板形成時、接続導体における導通不良が抑制される。
【0023】
請求項6〜11に記載の発明は、上記流動状物質の充填方法を実現するための充填装置に関する発明である。
【0024】
請求項6に記載の発明は、シート材表面に設けられた孔内に流動状物質を充填する流動状物質の充填装置であって、内部が減圧される筒状端部を有し、当該筒状端部の先端が、前記シート材表面に塗布された前記流動状物質に浸漬されるようにして、鉛直上方からシート材表面に当接され、前記筒状端部の先端と前記シート材表面の間にある前記流動状物質をシール物質として、前記シート材表面に当接する前記筒状端部の先端によって取り囲まれた前記シート材表面の所定領域を一つの面として、前記所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間が形成され、当該密閉空間内が減圧される充填ヘッドを備え、前記筒状端部を、シート材表面に対して水平方向に移動することで、シート材表面に塗布された前記流動状物質を、シート材表面に設けられた前記孔内に充填することを特徴としている。
【0025】
上記充填装置の作用効果の概要は、上記充填方法で説明した内容と同様であり、上記した作用効果の説明は省略するが、当該充填装置には以下のような特徴がある。
【0026】
請求項6に記載したように、本発明の流動状物質の充填装置では、筒状端部を有する充填ヘッドが、シート材表面に塗布された流動状物質に、内部が減圧される筒状端部の先端が浸漬されるようにして、鉛直上方からシート材表面に筒状端部の先端が当接されることによって、筒状端部の先端とシート材表面の間にある流動状物質をシール物質として、筒状端部の先端をシート材表面に当接することによって、上記シート材表面に当接する筒状端部の先端によって取り囲まれたシート材表面の所定領域を一つの面として、所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間を形成する。また、内部の密閉空間を減圧することにより、筒状端部がシート材を吸引保持するため、シート材の大きさや形状に影響されることなく、一定の状態で流動状物質を充填していくことができる。
【0027】
充填ヘッドに設けられる筒状端部は、1本であってもよいし、請求項7に記載したように複数本であってもよい。複数本の場合には、シート材表面の広い面積を同時にカバーして流動状物質を充填することができ、充填効率が高まる。
【0028】
本発明の流動状物質の充填装置では、シート材表面に当接する筒状端部の先端は、流動状物質を孔内に擦りこむスキージの役割も同時に果たしている。従って、請求項8に記載したように、シート材表面に当接する筒状端部の先端は、ラッパ状に広がっていることが好ましい。これによって、スキージの役割を果たす筒状端部の先端のシート材表面に対する当接角度が傾くため、流動状物質の滑らかな充填が可能となる。また、請求項9に記載したように、筒状端部の材質は、テフロン(登録商標)であることが好ましい。テフロン(登録商標)は、一般的に他の材料に対して摩擦係数が小さいため、先端をシート材表面に当接させながら、筒状端部をシート材表面で滑らかに移動させることができる。
【0029】
本発明の流動状物質の充填装置では、筒状端部をシート材表面に対して水平方向に移動することで、シート材表面に塗布された流動状物質を、シート材表面に設けられた孔内に充填する。この筒状端部の移動は、手動によって手軽に行うこともできるが、請求項10に記載したように、充填装置に筒状端部を移動させる移動手段を備えるようにして、機械的に行ってもよい。また上記移動手段によって、請求項12に記載したように、筒状端部を、直線移動、公転移動もしくはそれらの組み合わせで移動させることにより、均一かつ確実に、流動状物質を孔内に充填していくことができる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を図に基づいて説明する。
【0031】
図1(a)〜(c)に、流動状物質の被充填材である、表面に孔が設けられたシート材を示す。図1(a)は、シート材11,(11a)の上面図であり、図1(b)は、流動状物質充填前のシート材11の一部分を拡大して詳細構造を示した斜視図である。また、図1(c)は、流動状物質充填後のシート材11aの一部分を拡大して示した斜視図である。
【0032】
図1(a)〜(c)に示すシート材11,11aは、多層回路基板の製造に用いられるシート材で、回路パターン同士の接続導体となる金属ペースト(流動状物質)20が、ブラインドビアである孔11h内に充填される。
【0033】
図1(b)において、符号12は、熱可塑性樹脂からなる樹脂フィルムである。樹脂フィルム12としては、例えば、ポリエーテルエーテルケトン樹脂65〜35重量%とポリエーテルイミド樹脂35〜65重量%とからなる厚さ25〜75μmの樹脂フィルムが用いられる。樹脂フィルム12の一方の面には、導体パターン13が形成されている。この導体パターン13は、樹脂フィルム12の一方の面に、銅箔やアルミニウム箔等の導体箔を貼り付けて、この導体箔をパターニングしたものである。
【0034】
また、樹脂フィルム12と導体パターン13を挟んで、ポリエチレンテレフタレートからなる保護フィルム14,15が貼り付けられている。この保護フィルム14,15は、後述する金属ペーストの充填工程において、樹脂フィルム12と導体パターン13が傷つくのを防止すると共に、樹脂フィルム12と導体パターン13が金属ペースト20によって汚れるのを防止する。シート材11は、全体の厚さが150〜250μmで、柔軟性に富んでいる。
【0035】
シート材11の表面には、多層回路基板の層間接続を行うべき位置に、保護フィルム14と樹脂フィルム12を貫通して、導体パターン13を底面とする直径100μm程度の微細孔(ブラインドビア)11hが設けられている。このブラインドビア11hは、図1(b)の上側より、炭酸ガスレーザを照射して形成する。
【0036】
図1(b)に示すシート材11の孔11h内に、後述する流動状物質の充填方法および充填装置を用いて、流動状物質である金属ペースト20を充填する。金属ペースト20は、銀−錫からなる金属粒子にバインダ樹脂や有機溶剤を加え、これを混練してペースト化したものである。金属ペースト20は、一般的に、導電性の良い金属ペーストほど金属フィラの含有量が多く、高粘度となる。図1(b)のシート材11の孔11h内に充填される金属ペースト20は、粘度が200Pa・sであり、20Pa・s程度の粘度を持つ通常の金属ペーストに較べて、かなり高粘度である。銀-錫からなる金属ペースト20は焼結圧力を必要とし、100μm程度の孔11h内への充填に際しては、数10μmの目に見えない気泡でも致命的な充填不足を生じる。このため、気泡のない充填が不可欠である。
【0037】
図1(c)は、後述する流動状物質の充填方法および充填装置を用いて、金属ペースト20を孔11hに充填した後、保護フィルム14,15を剥がした状態のシート材11aを示している。この導体パターン13を底面とする孔11h内に金属ペースト20が充填されたシート材11aを複数枚積層し、加熱・加圧して相互に貼り付けることで、多層回路基板が製造される。
【0038】
尚、図1(a)に示すように、一枚の大きなシート材11には、同じ導体パターン(図示省略)と孔11hパターンからなる回路パターン11pが繰り返し形成されており、上記の積層・貼り付け後に各回路パターン11pを切り出して、個々の多層回路基板とする。
【0039】
図2(a),(b)は、本発明の流動状物質の充填方法に用いられる充填装置30である。図2(a)は、充填装置30の全体を示す斜視図であり、図2(b)は、充填装置30の充填ヘッド32の周りを拡大して示した断面模式図である。
【0040】
図2(a),(b)に示す充填装置30では、図1(b)に示すシート材11が、孔11hを鉛直上方になるようにして、可動自在のクランプ31により保持される。尚、図2(b)では、簡単化のために、導体パターン13と保護フィルム15を一つの層にまとめて記載している。
【0041】
図2(a),(b)において、符号32は、筒状端部33を有する充填ヘッドである。図2(a)に示す充填ヘッド32は9本の筒状端部33を有するが、図2(b)では簡単化のために、1本の筒状端部33のみを図示してある。図2(b)に示すように、筒状端部33の先端は、シート材11表面に塗布された金属ペースト20に浸漬するようにして、鉛直上方からシート材11表面に当接する。図2(a),(b)に示す充填装置30では、シート材11表面に当接する筒状端部33の先端は、金属ペースト20を孔11h内に擦りこむスキージの役割を果たす。このため、シート材11表面に当接する筒状端部33の先端は、フレア加工によって、ラッパ状に広げられている。これによって、スキージの役割を果たす筒状端部33の先端のシート材11表面に対する当接角度が傾くため、金属ペースト20の孔11h内への滑らかな擦りこみが可能となる。筒状端部33の寸法は、外径φ8mm、内径φ6mmである。また、ラッパ状に広がった先端フレア内径φ10mmで、60度前後の角度を持ってシート材11表面に当接する。
【0042】
充填ヘッド32に設ける筒状端部33の本数は任意であり、1本であっても複数本であってもよい。複数本の場合には、シート材11表面の広い面積を同時にカバーして金属ペースト20を充填することができ、充填効率が高まる。また、筒状端部33の材質も任意であってよいが、前述のように、筒状端部33は金属ペースト20を孔11hに充填するスキージの役割を果たすため、一般的に他の材料に対して摩擦係数が小さいテフロン(登録商標)が好ましい。これによって、先端をシート材11表面に当接させながら、筒状端部33をシート材11表面で、滑らかに移動させることができる。
【0043】
図2(b)に示すように、充填ヘッド32に設けられた筒状端部33は、シート材11表面に塗布された流動状物質である金属ペースト20をシール物質として、密閉空間csを形成し、密閉空間cs内が真空ポンプ40により減圧される。従って、シート材11は、充填ヘッド32に形成された減圧状態の密閉空間csによって、吸引保持された状態となる。従って、シート材11の大きさや形状に影響されることなく、一定の状態で、金属ペースト20の充填が可能となる。尚、図中の符号34は、筒状端部を真空シールするためのOリングである。
【0044】
図2(a)に示す充填装置30では、筒状端部33を有する充填ヘッド32が移動手段であるロボットに取り付けられており、レール35,36に沿って直線移動する。また、充填ヘッド32は回転軸37の回りで回転し、これによって9本の筒状端部33が回転軸37の回りで公転移動する。上記のように直線移動と公転移動が組み合わされて、筒状端部33は、シート材11表面に対して水平方向に自在に移動することができる。この筒状端部33の移動に伴って、シート材11表面に塗布した金属ペースト20を、シート材11表面に設けられた孔11h内に充填する。筒状端部33の移動速度は、30〜50mm/secである。上記のように直線移動と公転移動を組み合わせ、筒状端部33(密閉空間cs)をシート材11表面上で螺旋を描くように移動させることにより、金属ペースト20の充填が孔11hに対して種々の方向から行われる。これによって、金属ペースト20を、孔11h内へ均一かつ確実に充填することができる。
【0045】
図3は、図2(a),(b)に示す充填装置30を用いて、シート材11の孔11h内に金属ペースト20を充填している様子を示した、拡大断面図である。以下、図3の拡大断面図を用いて、本発明の流動状物質の充填方法を説明する。
【0046】
本発明の流動状物質の充填方法では、ペースト塗布機を用いて、最初にシート材11表面に金属ペースト20を数ミリ厚さに塗布しておく。この金属ペースト20の塗布は、ペースト塗布機を用いずに、手塗りで行ってもよい。また、金属ペースト20の塗布は、シート材11の全面ではなく、表面の一部分であってもよい。
【0047】
次に、シート材11表面に塗布された金属ペースト20がシール物質となるように、鉛直上方より筒状端部33の先端を金属ペースト20に押し付けて、シート材11表面の所定領域を一面とする密閉空間csを形成する。この密閉空間cs内は、図2(b)の真空ポンプ40によって、高真空(例えば−0.1Mpa程度の圧力)となるように減圧する。
【0048】
次に、密閉空間csを構成する筒状端部33を、シート材11表面に対して水平方向に移動させる。この筒状端部33(密閉空間cs)の移動に伴って、シート材11に塗布された金属ペースト20を、密閉空間cs内にあるシート材11表面に設けられた孔11h内へ充填していく。
【0049】
金属ペースト20の密閉空間cs内への補給は、外部の大気圧中にある金属ペースト20が、図中の一点差線で囲ったシール部33cを通って、減圧された密閉空間cs内へ浸透する作用により行われる。このため、金属ペースト20の特別な補給工程は必要ない。尚、筒状端部33を持ち上げて一度大気解放し、再度別の位置に塗布されている金属ペースト20内に浸漬し、金属ペースト20を密閉空間cs内へ補給をすることも可能である。
【0050】
上記の充填方法においては、密閉空間cs内が高真空に減圧されることによって、密閉空間cs内に位置するペースト充填前の孔11h内が排気される。また、密閉空間cs内にある金属ペースト20は、密閉空間cs内が減圧されているため、密閉空間csの移動に伴う空気の巻き込みが抑えられて、金属ペースト20中に取り込まれる気泡20vが低減される。また、一度金属ペースト20内に取り込まれた気泡20vも、密閉空間csの移動に伴い金属ペースト20の表面に流動して、密閉空間cs内で図の矢印記号20eで示したように脱泡される。このようにして、気泡20vが低減された金属ペースト20が、密閉空間csの移動に伴って、排気されたシート材11表面の孔11h内へ充填される。従って、孔11hに充填された金属ペースト20についても、気泡20vが低減されたものとなる。
【0051】
特に、多層回路基板には微細な回路パターン接続用の孔11hが多数形成されるため、充填不良あるいは充填された金属ペースト20にわずかな気泡20vが残っても、導通不良が起きてしまう。前述のように、上記充填方法を用いれば、孔11h内に充填される金属ペースト20について、気泡20vを低減することができる。これにより、多層回路基板形成時、金属ペースト20によって形成される接続導体における導通不良が抑制される。
【0052】
上記の充填方法においては、充填される孔11hの排気、充填される金属ペースト20の保持、および金属ペースト20の充填が、いずれも1つの同じ密閉空間cs内で行われる。従って、この充填方法は、効率的で簡便な金属ペースト20の充填方法とすることができる。例えば、図2(a)に示す充填装置30では、筒状端部33の移動を上記した移動手段によって機械的に行っているが、筒状端部33の移動を手動によって手軽に行うことも可能である。シート材11表面の一部分に金属ペースト20を塗布しておき、図2(b)に示す1本の筒状端部33を、シート材11表面に対して水平方向に手で移動させるだけで、シート材11表面に部分的に充填することができる。従って、本発明の図2(b)に示す充填装置30は、図4(a)に示す従来のペースト充填装置100では困難であった部分充填、あるいは異なる種類のペーストを部分的に充填するといった用途に対しても、適している。
【0053】
また、本発明の充填方法は、金属ペースト20をシート材11表面に塗布して一般大気圧下で保持する。従って、真空室内で金属ペースト20を保持する場合に較べて、装置の構造が簡略化されると共に、金属ペースト20の溶剤の蒸発が抑制されて、金属ペーストの寿命も延びる。
【0054】
以上のようにして、上記流動状物質の充填方法および充填装置30は、シート材11表面の孔11hに充填された流動状物質20に気泡20vが残らず、且つ簡便に充填することができる流動状物質の充填方法および充填装置とすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】(a)は、本発明の流動状物質の被充填材であるシート材の上面図であり、(b)と(c)は、其々、流動状物質充填前と後のシート材の一部分を拡大して示した斜視図である。
【図2】(a)は、本発明の流動状物質の充填方法に用いられる充填装置の全体を示す斜視図であり、(b)は、充填ヘッドの周りを拡大して示した断面模式図である。
【図3】本発明の流動状物質の充填方法を説明する図で、図2(a),(b)の充填装置を用いて、シート材の孔内に金属ペーストを充填している様子を示した拡大断面図である。
【図4】(a)は、従来のペースト充填装置であり、(b)と(c)は、(a)のペースト充填装置によるブラインドビアへのペースト充填の様子を示す拡大断面図である。
【符号の説明】
11,11a シート材
11h 孔(ブラインドビア)
20 金属ペースト(流動状物質)
20v 気泡
20e 脱泡
30 充填装置
31 クランプ
32 充填ヘッド
33 筒状端部
33c シール部
cs 密閉空間
34 Oリング
35,36 レール
37 回転軸
Claims (11)
- シート材表面に設けられた孔内に流動状物質を充填する流動状物質の充填方法であって、
前記シート材表面に前記流動状物質を塗布する流動状物質塗布工程と、
前記シート材表面に塗布された流動状物質に、内部が減圧される筒状端部の先端を浸漬するようにして、鉛直上方からシート材表面に前記筒状端部の先端を当接し、
前記筒状端部の先端と前記シート材表面の間にある前記流動状物質をシール物質とし、
前記シート材表面に当接する前記筒状端部の先端によって取り囲まれた前記シート材表面の所定領域を一つの面として、前記所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間を形成し、当該密閉空間内を減圧する密閉空間形成工程と、
前記密閉空間を、前記シート材表面に対して水平方向に移動させる密閉空間移動工程と、
前記密閉空間の移動に伴って、前記シート材に塗布された流動状物質を、密閉空間内にある前記シート材表面に設けられた孔内へ充填する流動状物質充填工程とを備えることを特徴とする流動状物質の充填方法。 - 前記密閉空間移動工程において、前記密閉空間を、前記シート材表面上で螺旋を描くように移動させることを特徴とする請求項1に記載の流動状物質の充填方法。
- 前記シート材表面に設けられた孔が複数個あり、前記流動状物質を、前記複数個のうち一部個数の孔に充填することを特徴とする請求項1または2に記載の流動状物質の充填方法。
- 前記流動状物質が複数種類あり、当該複数種類の流動状物質を、それぞれ、前記複数個のうち一部個数の孔に充填することを特徴とする請求項3に記載の流動状物質の充填方法。
- 前記シート材が、多層回路基板形成用のシート材であり、前記流動状物質が、回路パターン同士の接続導体となる金属ペーストであることを特徴とする請求項1乃至4のいずれか1項に記載の流動状物質の充填方法。
- シート材表面に設けられた孔内に流動状物質を充填する流動状物質の充填装置であって、
内部が減圧される筒状端部を有し、
当該筒状端部の先端が、前記シート材表面に塗布された前記流動状物質に浸漬されるようにして、鉛直上方からシート材表面に当接され、
前記筒状端部の先端と前記シート材表面の間にある前記流動状物質をシール物質として、前記シート材表面に当接する前記筒状端部の先端によって取り囲まれた前記シート材表面の所定領域を一つの面として、前記所定領域の鉛直上方に当該所定領域と前記筒状端部とで構成される密閉空間が形成され、当該密閉空間内が減圧される充填ヘッドを備え、
前記筒状端部を、シート材表面に対して水平方向に移動することで、シート材表面に塗布された前記流動状物質を、シート材表面に設けられた前記孔内に充填することを特徴とする流動状物質の充填装置。 - 前記充填ヘッドが、複数本の筒状端部を有することを特徴とする請求項6に記載の流動状物質の充填装置。
- 前記シート材表面に当接する筒状端部の先端が、ラッパ状に広がっていることを特徴とする請求項6または7に記載の流動状物質の充填装置。
- 前記筒状端部の材質が、テフロン(商品名)であることを特徴とする請求項6乃至8のいずれか1項に記載の流動状物質の充填装置。
- 前記流動状物質の充填装置が、前記筒状端部を移動させる移動手段を備えることを特徴とする請求項6乃至9のいずれか1項に記載の流動状物質の充填装置。
- 前記移動手段が、前記筒状端部を、直線移動、公転移動もしくはそれらの組み合わせで移動させることを特徴とする請求項6乃至10のいずれか1項に記載の流動状物質の充填装置。
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