JP3921721B2 - プッシュスイッチ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は主として自動車の車室内用機器等に使用されるプッシュスイッチに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のプッシュスイッチについて、図8及び図9を用いて説明する。
【0003】
図8(a),(b)は従来のプッシュスイッチの動作を説明する断面図、図9は同スイッチの分解斜視図であり、同図において、1は上面に複数の導電金属製の固定接点2を設けた端子板、3は端子板1の上面を覆う下面と一方の側面3Aが開放された箱形のケース、4はケース3内に摺動可能に収納されケース3の側面3Aから突出する操作部4Aを有する摺動体であり、この摺動体4の後方突部4Bとケース3の内側面突部3Bの間にはばね5がやや撓んだ状態で保持されている。
【0004】
また、6は弾性脚部先端に可動接点6Aと6Bを有する弾性金属薄板製の接触片であり、保持部6Cと6Dによって摺動体4の下面に保持され、弾性脚部がやや撓んだ状態となって可動接点6Aと6Bを端子板1の上面に弾接している。
【0005】
上記構成において、図8(a)の状態から摺動体4の操作部4Aを押圧すると、摺動体4がばね5を撓ませながらケース3内を摺動するのに伴い、図8(b)に示すように摺動体4の下面に保持された接触片6の可動接点6Aと6Bが固定接点2Aと2B上に各々弾接することによって、接触片6を介した固定接点2Aと2Bの電気的接続が行われ、押圧力を除去すると、ばね5の弾性復帰力により摺動体4が元の状態に戻るため、接触片6の可動接点6Aと6Bが固定接点2Aと2Bから離れ図8(a)のOFF状態に復帰する。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来のプッシュスイッチにおいては、接触片6の可動接点6Aと6Bを固定接点2上に弾接する必要があるため、接触片6には弾性が必要となり、このため材厚の薄い弾性金属材料が使用されており、数mA程度の低電流域でスイッチを使用する際には接触部の塵埃や異物を除去するクリーニング効果があるが、接触部の接離時にアークの発生する数Aの高電流域で使用する際には、このアークによって弾性金属薄板製である接触片6や固定接点2の損傷や摩耗が大きくなり、十分な接触信頼性が得られなくなるという課題があった。
【0007】
本発明はこのような従来の課題を解決するものであり、数mAから数Aまでの広範囲の電流域に使用が可能で、長期間の使用においても安定した接触が得られるプッシュスイッチを提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために本発明のプッシュスイッチは、ばねによって上方に付勢されて端子板に収納されたピンを、摺動体の下面に揺動可能に保持された接触片の下面に弾接させて、摺動体の摺動により接触片を揺動させて固定接点と接離させる構成としたものである。
【0009】
これにより、広範囲の電流域に使用が可能で、長期間安定した接触が得られるプッシュスイッチを得ることができる。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明の請求項1に記載の発明は、上面に複数の固定接点を設けた端子板と、この端子板の上面を覆う下面と側面開放の箱形のケースと、このケースに摺動可能に収納されケースの側面から突出する操作部を有する摺動体と、この摺動体の下面の突部または窪みに上面が揺動可能に係合し一端部に可動接点を有する導電金属製の接触片と、上記端子板の上面に収納さればねによって接触片の下面に弾接するピンからなり、上記操作部を押圧して上記摺動体を摺動させると、上記摺動体の突部または窪みが上記ピンの位置を越えることにより上記接触片が揺動して上記可動接点が上記固定接点と接触し、さらに上記操作部を押圧すると、上記摺動体の摺動に伴って係合した上記接触片がさらに移動することにより上記可動接点が上記固定接点に接触したまま上記固定接点上を摺動するプッシュスイッチとしたもので、接触片には弾性を必要としないため材厚の厚い導電金属製の接触片にすることができ、この接触片が揺動することによって固定接点との接離を行うため、アークの発生する高電流域においても使用が可能になると共に、摺動体に係合した接触片が固定接点に接触した後も固定接点上を摺動するように構成されているため、クリーニング効果によって長期間の使用においても安定した接触が得られるプッシュスイッチを得ることができるという作用を有する。
【0011】
請求項2に記載の発明は、請求項1記載の発明において、接触片の両側部を摺動体の両側面に上下方向の遊びを持たせて係合したもので、接触片の摺動体への係合を2ヵ所で行って仮保持できるため、スイッチの組立て時に摺動体から接触片が脱落することを防止でき取扱いが容易になるという作用を有する。
【0012】
請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、接触片の下面のピン弾接部にピンのガイド用の凹部を摺動方向に設けたもので、このガイド溝にピンの先端を弾接させることによって接触片の中央位置にピンが確実に弾接するため、接触片の揺動動作が確実なものとなるという作用を有する。
【0013】
以下本発明の実施の形態について、図1〜図7を用いて説明する。
なお、従来の技術の項で説明した構成と同一構成の部分には同一符号を付して詳細な説明を省略する。
【0014】
(実施の形態1)
図1は本発明の第1の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図、図2は同分解斜視図、図3は同摺動体と接触片の分解斜視図、図4は同スイッチの動作を説明する断面図であり、同図において、11は上面に複数の導電金属製の固定接点2を設けた端子板、3は端子板11の上面を覆う下面と一方の側面3Aが開放された箱形のケース、14はケース3内に摺動可能に収納されケース3の側面3Aから突出する操作部14Aを有する摺動体であり、この摺動体14の後方突部14Bとケース3の内側面突部3Bの間にはばね5がやや撓んだ状態で保持されている。
【0015】
また、16は一端部に可動接点16Aと16Bを有する導電金属製の接触片であり、可動接点16A,16Bを固定接点2と平行に当接させ面接触させるための折曲部16Iが中間部に設けられ、摺動体14の下面の窪み14Cに収納され、端子板11の窪み11Aにばね17と共に収納されたピン18が中央部下面に弾接することによって、中央部上面の切起部16Cが摺動体14の突部14Dに揺動可能に当接している。
【0016】
上記構成において、図1の状態から摺動体14の操作部14Aを押圧すると、摺動体14がばね5を撓ませながらケース3内を摺動し、接触片16の切起部16Cを保持した摺動体14の突部14Dがピン18の位置を超えると、ばね17によるピン18の接触片16への弾接荷重の加わる位置が変化するため、図4(a)に示すように、接触片16が突部14Dに係合した切起部16Cを支点として揺動し、接触片16の端部の可動接点16Aと16Bが固定接点2Aと2Bに接触することによって、接触片16を介した固定接点2Aと2Bの電気的接続が行われる。
【0017】
また、図4(a)の状態からさらに操作部14Aを押圧すると、図4(b)に示すように摺動体14の摺動に伴って突部14Dに切起部16Cが係合した接触片16がさらに移動するため、可動接点16Aと16Bは固定接点2Aと2Bに接触したまま固定接点2Aと2B上を摺動し、押圧力を除去するとばね5の弾性復帰力により摺動体14が元の状態に戻るため、接触片16が揺動して可動接点16Aと16Bが固定接点2Aと2Bから離れ、図1のOFF状態に復帰する。
【0018】
このように本実施の形態によれば、接触片16には弾性を必要としないため材厚の厚い導電金属材料が使用でき、また、可動接点16Aと16Bを備えた接触片16が揺動することによって固定接点2A及び2Bとの接離を行うため、数mAから数Aまでの広範囲の電流域に使用が可能になると共に、摺動体14の突部14Dに切起部16Cが係合した接触片16が固定接点2Aと2Bに接触した後も固定接点2上を摺動するように構成されているため、長期間の使用においても安定した接触が得られるプッシュスイッチを得ることができるものである。
【0019】
(実施の形態2)
図5は本発明の第2の実施の形態による摺動体と接触片の分解斜視図、図6は同接触片の断面図であり、同図において、接触片16の中央両側部の上方への立上げ部16J,16Kには長孔16Dと16Eが設けられ、この長孔16Dと16Eが摺動体14の両側面に設けた突出軸14Eと14Fに挿入され、上下方向に遊びを持って揺動可能に摺動体14の下面の窪み14Cに収納されている。
【0020】
また、接触片16の中央部下面にはピン18の摺動方向にガイド溝16Fが設けられ、端子板11(図示せず)の窪み11Aにばね17と共に収納されたピン18の先端がこのガイド溝16Fの下面に弾接することによって、ガイド溝16Fの上面が摺動体14の突部14Dに当接している。
【0021】
上記構成において、摺動体14の操作部14A(図示せず)を押圧すると、摺動体14の摺動に伴って接触片16が揺動し、接触片16端部の可動接点16Aと16Bが固定接点に接触することや、さらに操作部14Aを押圧すると、接触片16の可動接点16Aと16Bが固定接点上を摺動することは、実施の形態1と同様である。
【0022】
このように本実施の形態によれば、接触片16が両側部の長孔16Dと16Eによって摺動体14に上下方向に遊びを持ち揺動可能に係合されているため、摺動体14に接触片16を2ヵ所で仮保持することができ、スイッチ組立て時の接触片16の摺動体14からの脱落が防止でき取扱いが容易になると共に、接触片16端部の可動接点16Aと16Bや固定接点の高さにバラツキがあった場合でも、摺動体14との間の遊びによって接触片16が傾いて可動接点16A,16Bを固定接点に均等に接触させるため、接触片16と固定接点との安定した接触を得ることができる。
【0023】
また、接触片16の中央部下面の摺動方向にピン18のガイド溝16Fを設け、このガイド溝16Fの下面にピン18の先端を弾接させることによって、ばね17の荷重がピン18を介して接触片16の中央位置に確実に作用するため、接触片16の揺動動作及び固定接点との接触を確実なものとすることができる。
【0024】
なお、接触片16の摺動体14への保持は、図7に示すように接触片16の中央両側部に切欠き16Gと16Hを設け、これを摺動体14の両側面に設けた爪部14Gと14Hに上下方向に遊びを持ち揺動可能に係合する構成としても、同様の効果を得ることができる。
【0025】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、広範囲の電流域に使用が可能で長期間安定した接触が得られるプッシュスイッチを得ることができるという有利な効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態によるプッシュスイッチの断面図
【図2】同分解斜視図
【図3】同摺動体と接触片の分解斜視図
【図4】同スイッチ動作を説明する断面図
【図5】本発明の第2の実施の形態による摺動体と接触片の分解斜視図
【図6】同接触片の断面図
【図7】同摺動体と接触片の分解斜視図
【図8】従来のプッシュスイッチの動作を説明する断面図
【図9】同スイッチの分解斜視図
【符号の説明】
2,2A,2B 固定接点
3 ケース
3A 側面
3B 突部
5 ばね
11 端子板
11A 窪み
14 摺動体
14A 操作部
14B 突部
14C 窪み
14D 突部
14E,14F 突出軸
14G,14H 爪部
16 接触片
16A,16B 可動接点
16C 切起部
16D,16E 長孔
16F ガイド溝
16G,16H 切欠き
17 ばね
18 ピン

Claims (3)

  1. 上面に複数の固定接点を設けた端子板と、この端子板の上面を覆う下面と側面開放の箱形のケースと、このケースに摺動可能に収納されケースの側面から突出する操作部を有する摺動体と、この摺動体の下面の突部または窪みに上面が揺動可能に係合し一端部に可動接点を有する導電金属製の接触片と、上記端子板の上面に収納さればねによって接触片の下面に弾接するピンからなり、上記操作部を押圧して上記摺動体を摺動させると、上記摺動体の突部または窪みが上記ピンの位置を越えることにより上記接触片が揺動して上記可動接点が上記固定接点と接触し、さらに上記操作部を押圧すると、上記摺動体の摺動に伴って係合した上記接触片がさらに移動することにより上記可動接点が上記固定接点に接触したまま上記固定接点上を摺動するプッシュスイッチ。
  2. 接触片の両側部を摺動体の両側面に上下方向の遊びを持たせて係合した請求項1に記載のプッシュスイッチ。
  3. 接触片の下面のピン弾接部にピンのガイド溝を摺動方向に設けた請求項1に記載のプッシュスイッチ。
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