JP3921393B2 - 光記録媒体への情報記録方法、情報記録装置及び光記録媒体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、光記録媒体への情報記録方法に関し、特に、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体への情報記録方法に関する。また、本発明は、光記録媒体に情報を記録するための情報記録装置に関し、特に、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体に情報を記録するための情報記録装置に関する。さらに、本発明は、光記録媒体に関し、特に、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、デジタルデータを記録するための記録媒体として、CDやDVDに代表される光記録媒体が広く利用されている。このような光記録媒体に要求される記録容量は年々増大し、これを達成するために種々の提案がなされている。かかる提案の一つとして、光記録媒体に含まれる情報記録層を2層構造とする手法が提案され、再生専用の光記録媒体であるDVD−VideoやDVD−ROMにおいて実用化されている。このような再生専用の光記録媒体においては、基板表面に形成されたプレピットが情報記録層となり、このような基板が中間層を介して積層された構造を有している。
【0003】
また、近年、ユーザによるデータの書き換えが可能な光記録媒体(書き替え型光記録媒体)についても、情報記録層が2層構造であるタイプの光記録媒体が提案されている(特開2001−273638号公報参照)。情報記録層が2層構造である書き替え型光記録媒体においては、記録膜及びこれを挟んで形成された誘電体膜(保護膜)が情報記録層となり、かかる情報記録層が中間層を介して積層された構造を有している。
【0004】
書き替え型光記録媒体の記録膜としては、一般に相変化材料が用いられ、結晶状態である場合とアモルファス状態である場合の反射率差を利用してデータの記録が行われる。すなわち、未記録状態においては記録膜の実質的に全面が結晶状態となっており、データを記録する場合、記録膜の所定の部分がアモルファス状態に変化させられ、これが記録ピットとなる。結晶状態である相変化材料をアモルファス状態に変化させるためには、融点以上の温度に加熱した後、急冷すればよい。逆に、アモルファス状態である相変化材料を結晶状態に変化させるためには、結晶化温度以上の温度に加熱した後、徐冷すればよい。
【0005】
このような加熱及び冷却は、レーザビームのパワー(出力)を調整することによって行うことができる。すなわち、レーザビームを強度変調することにより、未記録状態である記録膜にデータを記録するのみならず、既に何らかのデータが記録されている部分に異なるデータを直接上書き(ダイレクトオーバーライト)することが可能となる。一般に、記録膜を融点以上の温度に加熱するためには、レーザビームのパワーが記録パワー(Pw)から基底パワー(Pb)までの振幅を有するパルス波形で設定されたパワーとされ、記録膜を急冷するためには、レーザビームのパワーが基底パワー(Pb)に設定される。また、記録膜を結晶化温度以上の温度に加熱し、徐冷するためには、レーザビームのパワーが消去パワー(Pe)に設定される。この場合、消去パワー(Pe)は、記録膜が結晶化温度以上、融点未満の温度となるようなレベルに設定され、これによりいわゆる固相消去が行われる。
【0006】
ここで、情報記録層が2層構造である書き替え型光記録媒体においては、レーザビームのフォーカスをいずれか一方の情報記録層に合わせることによってデータの記録/再生が行われることから、光入射面から遠い側の情報記録層(以下、「L1層」という)に対してデータの記録/再生を行う場合、光入射面から近い側の情報記録層(以下、「L0層」という)を介してレーザビームが照射されることになる。このため、L0層は十分な光透過率を有している必要があり、そのため、L1層を構成する記録膜の膜厚と比べ、L0層を構成する記録膜の膜厚はかなり薄く設定されることが一般的である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
このように、情報記録層が2層構造である書き替え型光記録媒体においては、L0層を構成する記録膜の膜厚がかなり薄く設定されることから、L0層に対してダイレクトオーバーライトを行った場合、十分な消去率を確保することが困難であるという問題があった。これは、記録膜が一定以上の膜厚を有している場合であればアモルファス状態よりも結晶状態である方が安定であるため、固相消去によって十分な消去率を確保することができる一方、記録膜が非常に薄い場合には結晶状態よりもアモルファス状態である方が安定であり、固相消去を行うと結晶になりにくいためである。
【0008】
したがって、本発明の目的は、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体に対する情報記録方法であって、いずれの情報記録層に対してダイレクトオーバーライトを行った場合においても、十分な消去率を確保することが可能な情報記録方法を提供することである。
【0009】
また、本発明の他の目的は、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体に情報を記録するための情報記録装置であって、いずれの情報記録層に対してダイレクトオーバーライトを行った場合においても、十分な消去率を確保することが可能な情報記録装置を提供することである。
【0010】
また、本発明のさらに他の目的は、複数の情報記録層を有する書き替え型光記録媒体であって、いずれの情報記録層に対してダイレクトオーバーライトを行った場合においても、十分な消去率を確保することが可能な光記録媒体を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明のかかる目的は、積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録方法であって、前記第1の情報記録層に対してはオフパルス記録方式によって情報の記録を行い、前記第2の情報記録層に対してはオンパルス記録方式によって情報の記録を行うことを特徴とする情報記録方法によって達成される。
【0012】
また、本発明の好ましい実施態様においては、前記第1の情報記録層が前記第2の情報記録層よりも前記光入射面側に位置している。
【0013】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第1及び第2の情報記録層がいずれも相変化材料を含む記録膜及びこれを挟んで設けられた誘電体膜を備えており、前記第1の情報記録層の記録膜が前記第2の情報記録層の記録膜よりも薄い。
【0014】
本発明の前記目的はまた、いずれも相変化材料を含む積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録方法であって、前記第1の情報記録層に対しては溶融消去可能な記録ストラテジによって情報の記録を行い、前記第2の情報記録層に対しては固相消去可能な記録ストラテジによって情報の記録を行うことを特徴とする情報記録方法によって達成される。
【0016】
本発明の前記目的はまた、積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録装置であって、前記第1の情報記録層に対して情報を記録する場合にはオフパルス記録を行い、前記第2の情報記録層に対して情報を記録する場合にはオンパルス記録を行うことを特徴とする情報記録装置によって達成される。
【0017】
本発明の好ましい実施態様においては、前記第1の情報記録層が前記第2の情報記録層よりも前記光入射面側に位置している。
【0018】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第1及び第2の情報記録層がいずれも相変化材料を含む記録膜及びこれを挟んで設けられた誘電体膜を備えており、前記第1の情報記録層の記録膜が前記第2の情報記録層の記録膜よりも薄い。
【0022】
本発明のさらに好ましい実施態様においては、前記第1の情報記録層の記録膜が前記第2の情報記録層の記録膜の0.3〜0.8倍の膜厚を有している。
【0023】
本発明によれば、いずれの情報記録層に対してダイレクトオーバーライトを行った場合においても、十分な消去率を確保することが可能となる。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しながら、本発明の好ましい実施態様について詳細に説明する。
【0025】
図1は、本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体10の構造を概略的に示す断面図である。
【0026】
図1に示されるように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、基体11と、中間層12と、光透過層13と、中間層12と光透過層13との間に設けられたL0層20と、基体11と中間層12との間に設けられたL1層30とを備える。L0層20は、光入射面13aから近い側の情報記録層を構成し、第1の誘電体膜21、L0記録膜22及び第2の誘電体膜23によって構成される。また、L1層30は、光入射面13aから遠い側の情報記録層を構成し、第3の誘電体膜31、L1記録膜32、第4の誘電体膜33及び反射膜34によって構成される。このように、本実施態様にかかる光記録媒体10は、2層の情報記録層(L0層20及びL1層30)を有している。
【0027】
基体11は、光記録媒体10の機械的強度を確保する役割を果たし、その表面にはグルーブ11a及びランド11bが設けられている。これらグルーブ11a及び/又はランド11bは、L1層30に対してデータの記録/再生を行う場合におけるレーザビームのガイドトラックとしての役割を果たす。特に限定されるものではないが、グルーブ11aの深さとしては10〜40nmに設定することが好ましく、グルーブ11aのピッチとしては0.2〜0.4μmに設定することが好ましい。基体11の厚みは約1.1mmに設定され、その材料としては、特に限定されるものではないがポリカーボネートを用いることが好ましい。但し、基体11は光入射面13aとは反対側の面を構成することから、特に光透過性を備える必要はない。
【0028】
中間層12は、L0層20とL1層30とを十分な距離をもって離間させる役割を果たし、その表面にはグルーブ12a及びランド12bが設けられている。これらグルーブ12a及び/又はランド12bは、L0層20に対してデータの記録/再生を行う場合におけるレーザビームのガイドトラックとしての役割を果たす。グルーブ12aの深さやピッチは、基体11に設けられたグルーブ11aの深さやピッチと同程度に設定すればよい。中間層12の厚みとしては、約10〜50μmに設定することが好ましい。また、中間層12の材料としては、特に限定されるものではないが、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。中間層12は、L1層30に対してデータの記録/再生を行う場合にレーザビームの光路となることから、十分に高い光透過性を有している必要がある。
【0029】
光透過層13は、レーザビームの光路となるとともに光入射面13aを構成し、その厚みとしては、約30〜200μmに設定することが好ましい。光透過層13の材料としては、特に限定されるものではないが、中間層12と同様、紫外線硬化性アクリル樹脂を用いることが好ましい。上述のとおり、光透過層13はレーザビームの光路となることから、十分に高い光透過性を有している必要がある。
【0030】
L0記録膜22及びL1記録膜32は、いずれも相変化材料によって構成され、結晶状態である場合の反射率とアモルファス状態である場合の反射率とが異なることを利用してデータの記録が行われる。L0記録膜22及びL1記録膜32の具体的な材料としては、特に限定されるものではないがSbTe系材料を用いることが好ましい。SbTe系材料としてはSbTeのみでもよいし、添加物としてIn、Te、Ge、Ag等を加えたInSbTeGeやAgInSbTe、AgSbTeGe、AgInSbTeGe等を用いることができる。
【0031】
ここで、L0記録膜22は、L1層30に対してデータの記録/再生を行う場合にレーザビームの光路となることから、十分な光透過性を有している必要があり、このためL0記録膜22の膜厚は、L1記録膜32の膜厚と比べて十分に薄く設定される。具体的には、L1記録膜32の膜厚としては、約3〜20nmに設定することが好ましく、L0記録膜22の膜厚は、L1記録膜32の膜厚に対して0.3〜0.8倍に設定することが好ましい。
【0032】
L0記録膜22を挟むように設けられた第1の誘電体膜21及び第2の誘電体膜23は、L0記録膜22に対する保護膜として機能し、L1記録膜32を挟むように設けられた第3の誘電体膜31及び第4の誘電体膜33は、L1記録膜32に対する保護膜として機能する。第1の誘電体膜21の厚みとしては2〜200nmに設定することが好ましく、第2の誘電体膜23の厚みとしては2〜200nmに設定することが好ましく、第3の誘電体膜31の厚みとしては2〜200nmに設定することが好ましく、第4の誘電体膜33の厚みとしては2〜200nmに設定することが好ましい。
【0033】
また、これら第1の誘電体膜21〜第4の誘電体膜33は、1層の誘電体膜からなる単層構造であってもよいし、2層以上の誘電体膜からなる積層構造であってもよい。これら第1の誘電体膜21〜第4の誘電体膜33の材料としては特に限定されないが、SiO2、Si3O4、Al2O3、AlN、TaO、ZnS、CeO2等、Si、Al、Ta、Znの酸化物、窒化物、硫化物、炭化物あるいはそれらの混合物を用いることが好ましい。
【0034】
反射膜34は、光入射面13aから入射されるレーザビームを反射し、再び光入射面13aから出射させる役割を果たし、その厚さとしては20〜200nmに設定することが好ましい。反射膜34の材料としては特に限定されないが、AgやAlを主成分とする合金を用いることが好ましく、AuやPt等を用いることもできる。また、反射膜34の腐食を防止するために、反射膜34と基体11との間に防湿膜を設けてもよい。かかる防湿膜としては、第1の誘電体膜21〜第4の誘電体膜33と同様の材料を用いることができる。さらに、L0層20は反射膜を備えていないが、3〜15nm程度の薄い反射膜をL0層20に設けても構わない。この場合、かかる反射膜の材料としては、反射膜34と同じ材料を用いることができる。
【0035】
このような構造を有する光記録媒体10に記録されたデータを再生する場合、光入射面13aから200〜450nmの波長を持つレーザビームが照射され、その反射光量が検出される。上述のとおり、L0記録膜22及びL1記録膜32は相変化材料によって構成され、結晶状態である場合とアモルファス状態である場合とで光反射率が異なっていることから、レーザビームを光入射面13aから照射してL0記録膜22及びL1記録膜32の一方にフォーカスを合わせ、その反射光量を検出することにより、レーザビームが照射された部分におけるL0記録膜22またはL1記録膜32が結晶状態であるかアモルファス状態であるかを判別することができる。
【0036】
光記録媒体10に対してデータの記録を行う場合も、光入射面13aから200〜450nmの波長を持つレーザビームが照射され、L0記録膜22またはL1記録膜32にフォーカスが合わせられ、記録すべきデータにしたがい、L0記録膜22またはL1記録膜32の所定の部分を融点以上の温度に加熱した後、急冷すれば、当該部分の状態がアモルファス状態となり、L0記録膜22またはL1記録膜32の所定の部分を結晶化温度以上の温度に加熱した後、徐冷すれば、当該部分の状態が結晶状態となる。アモルファス状態となった部分は「記録マーク」と呼ばれ、記録データは、記録マークの始点から終点までの長さ及び終点から次の記録マークの始点までの長さに形成される。各記録マークの長さ及び記録マーク間の長さ(エッジ間)は、特に限定されるものではないが、(1,7)RLLの変調方式が採用される場合、2T〜8T(Tは、クロックの周期)に対応する長さのいずれかに設定される。尚、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジ及びL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジについては後述する。
【0037】
L1層30に対してデータの記録/再生を行う場合、レーザビームはL0層20を介してL1記録膜32に照射されることになる。このため、L0層20は十分な光透過性を有している必要があり、上述のとおりL1記録膜32の膜厚と比べて、L0記録膜22の膜厚はかなり薄く設定されている。
【0038】
次に、本実施態様にかかる光記録媒体10の製造方法について説明する。
【0039】
図2〜図5は、光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
【0040】
まず、図2に示されるように、スタンパ40を用いて、グルーブ11a及びランド11bを有する基体11を射出成形する。次に、図3に示されるように、基体11のうちグルーブ11a及びランド11bが形成されている面のほぼ全面に、スパッタリング法によって、反射膜34、第4の誘電体膜33、L1記録膜32及び第3の誘電体膜31を順次形成する。これにより、L1層30が完成する。尚、スパッタリング直後におけるL1記録膜32の状態は通常アモルファス状態である。
【0041】
次に、図4に示されるように、L1層30上に、紫外線硬化性樹脂をスピンコートし、その表面にスタンパ41を被せた状態でスタンパ41を介して紫外線を照射することにより、グルーブ12a及びランド12bを有する中間層12を形成する。次に、図5に示されるように、グルーブ12a及びランド12bが形成された中間層12のほぼ全面に、スパッタリング法によって、第2の誘電体膜23、L0記録膜22及び第1の誘電体膜21を順次形成する。これにより、L0層20が完成する。尚、スパッタリング直後におけるL0記録膜22の状態は通常アモルファス状態である。
【0042】
そして、図1に示されるように、L0層20上に、紫外線硬化性樹脂をスピンコートし、紫外線を照射することによって光透過層13を形成する。以上により、全ての成膜工程が完了する。本明細書においては、成膜工程が完了した状態の光記録媒体を「光記録媒体前駆体」と呼ぶことがある。
【0043】
次に、光記録媒体前駆体をレーザ照射装置の回転テーブル(図示せず)に載置し、回転させながらトラックに沿った方向における長さが短く、且つ、トラックに垂直な方向における長さが長い矩形状のレーザビームを連続的に照射し、光記録媒体前駆体が1回転するごとに照射位置をトラックに対して垂直な方向にずらすことによって、矩形状のレーザビームをL0記録膜22及びL1記録膜32のほぼ全面に照射する。これにより、L0記録膜22及びL1記録膜32を構成する相変化材料は結晶化温度以上の温度に加熱され、その後徐冷されることから、L0記録膜22及びL1記録膜32の実質的に全面が結晶状態、すなわち、未記録状態となる。このような工程は、一般に「初期化工程」と呼ばれる。
【0044】
かかる初期化工程が完了すると、光記録媒体10が完成する。
【0045】
このようにして製造された光記録媒体10に対しては、上述の通り、レーザビームのフォーカスをL0記録膜22及びL1記録膜32のいずれかに合わせて記録マークを形成することにより、所望のデジタルデータを記録することができる。また、光記録媒体10のL0記録膜22及び/又はL1記録膜32にデータを記録した後は、上述の通り、レーザビームのフォーカスをL0記録膜22及びL1記録膜32のいずれかに合わせてその反射光量を検出することにより、記録されたデジタルデータを再生することができる。
【0046】
次に、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジ及びL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジについて詳述する。
【0047】
上述のとおり、L0記録膜22の膜厚をL1記録膜32の膜厚と比べてかなり薄く設定する必要があること、並びに、L1記録膜32に対するデータの記録においてはL0層20を介してレーザビームを照射する必要があることから、本実施態様においては、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合と、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合とで根本的に異なる記録ストラテジを採用している。
【0048】
図6は、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は2T信号及び3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は4T信号及び5T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(c)は6T信号及び7T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(d)は8T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【0049】
図6(a)〜(d)に示すように、本実施態様では、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合、いわゆる「オフパルス記録方式」を採用している。オフパルス記録方式では、レーザビームの強度は、記録パワー(Pw0)及び基底パワー(Pb0)からなる2つの強度(2値)に変調される。記録パワー(Pw0)の強度としては、照射によってL0記録膜22が溶融するような高いレベルに設定され、基底パワー(Pb0)の強度としては、照射されても、溶融しているL0記録膜22が冷却されるような低いレベルに設定される。特に限定されるものではないが、記録パワー(Pw0)としては5.0mW程度に設定し、基底パワー(Pb0)として0.1mW程度に設定すればよい。尚、記録パワー(Pw0)及び基底パワー(Pb0)の値は、レーザビームを照射した際の盤面における値である。
【0050】
かかる記録方式においては、記録マークを形成する場合(L0記録膜22をアモルファス状態にする場合)には、レーザビームを記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)までの振幅を有するパルス波形とし、これにより融点以上に加熱されたL0記録膜22を急冷する。一方、記録マークを消去する場合(L0記録膜22を結晶状態にする場合)には、レーザビームを記録パワー(Pw0)に固定し、これにより融点以上に加熱されたL0記録膜22を徐冷する。これによって、L0記録膜22は溶融消去される。以下、具体的な記録ストラテジについて、記録マークごとに詳述する。
【0051】
まず、図6(a)に示すように、L0記録膜22に対して2T信号及び3T信号を形成する場合、オフパルス数は「1」に設定される。ここで、オフパルス数とは、レーザビームの強度が基底パワー(Pb0)まで低下させられた回数によって定義され、そのパルス幅Aは、特に限定されるものではないが、2T信号を形成する場合にあっては2.6T〜3.0Tに設定することが好ましく、3T信号を形成する場合にあっては3.4T〜3.8Tに設定することが好ましい。尚、パルス幅Aとは、図6(a)に示すように、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に変化するタイミングt11から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化するタイミングt12までの期間を示している。
【0052】
これにより、2T信号及び3T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22がオフパルスによって急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22が、レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0053】
また、図6(b)に示すように、L0記録膜22に対して4T信号及び5T信号を形成する場合、オフパルス数は「2」に設定される。ここで、2つのオフパルスのパルス幅A、Bは、特に限定されるものではないが、4T信号を形成する場合にあってはいずれも2.0T〜2.4Tに設定することが好ましく、5T信号を形成する場合にあってはいずれも2.4T〜2.8Tに設定することが好ましい。尚、図6(b)に示すように、パルス幅Aとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に1回目に変化するタイミングt21から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する1回目のタイミングt22までの期間を示し、パルス幅Bとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に2回目に変化するタイミングt23から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する2回目のタイミングt24までの期間を示している。さらに、タイミングt22からタイミングt23までの期間によって定義されるトップパルスTtopのパルス幅は、特に限定されるものではないが、0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0054】
これにより、4T信号及び5T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22がオフパルスによって急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22が、レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0055】
さらに、図6(c)に示すように、L0記録膜22に対して6T信号及び7T信号を形成する場合、オフパルス数は「3」に設定される。ここで、3つのオフパルスのパルス幅A、B、Cは、特に限定されるものではないが、6T信号を形成する場合にあってはいずれも1.6T〜2.0Tに設定することが好ましく、7T信号を形成する場合にあってはいずれも2.0T〜2.4Tに設定することが好ましい。尚、図6(c)に示すように、パルス幅Aとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に1回目に変化するタイミングt31から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する1回目のタイミングt32までの期間を示し、パルス幅Bとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に2回目に変化するタイミングt33から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する2回目のタイミングt34までの期間を示し、パルス幅Cとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に3回目に変化するタイミングt35から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する3回目のタイミングt36までの期間を示している。さらに、タイミングt32からタイミングt33までの期間によって定義されるトップパルスTtopのパルス幅、タイミングt34からタイミングt35までの期間によって定義されるラストパルスTlpのパルス幅は、特に限定されるものではないが、いずれも0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0056】
これにより、6T信号及び7T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22がオフパルスによって急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22が、レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0057】
そして、図6(d)に示すように、L0記録膜22に対して8T信号を形成する場合、オフパルス数は「4」に設定される。ここで、4つのオフパルスのパルス幅A、B、C、Dは、特に限定されるものではないが、いずれも1.6T〜2.0Tに設定することが好ましい。尚、図6(d)に示すように、パルス幅Aとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に1回目に変化するタイミングt41から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する1回目のタイミングt42までの期間を示し、パルス幅Bとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に2回目に変化するタイミングt43から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する2回目のタイミングt44までの期間を示し、パルス幅Cとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に3回目に変化するタイミングt45から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する3回目のタイミングt46までの期間を示し、パルス幅Dとは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw0)から基底パワー(Pb0)に4回目に変化するタイミングt47から、基底パワー(Pb0)から記録パワー(Pw0)に変化する4回目のタイミングt48までの期間を示している。
【0058】
さらに、タイミングt42からタイミングt43までの期間によって定義されるトップパルスTtopのパルス幅、タイミングt44からタイミングt45までの期間によって定義されるマルチパルスTmpのパルス幅、タイミングt46からタイミングt47までの期間によって定義されるラストパルスTlpのパルス幅は、特に限定されるものではないが、いずれも0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0059】
これにより、8T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22がオフパルスによって急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、記録パワー(Pw0)をもつレーザビームの照射によって溶融したL0記録膜22が、レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0060】
以上が、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジである。このように、本実施態様においては、光入射面13aに近いL0記録膜22に対してデータの記録を行う場合、いわゆるオフパルス記録方式を採用することによって溶融消去を行っていることから、非常に薄い相変化膜に対して固相消去を行った場合にアモルファス状態に戻ってしまうという現象を回避することができる。これにより、十分な消去率を確保することができることから、良好なオーバーライト特性を得ることが可能となる。
【0061】
次に、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジについて詳述する。
【0062】
図7は、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は2T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(c)は4T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(d)は5T信号〜8T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【0063】
図7(a)〜(d)に示すように、本実施態様では、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合、いわゆる「オンパルス記録方式」を採用している。オンパルス記録方式では、レーザビームの強度は、記録パワー(Pw1)、消去パワー(Pe1)及び基底パワー(Pb1)からなる3つの強度(3値)に変調される。記録パワー(Pw1)の強度としては、照射によってL1記録膜32が溶融するような高いレベルに設定され、消去パワー(Pe1)の強度としては、照射によってL1記録膜32が結晶化温度以上、溶融未満の温度に達するようなレベルに設定され、基底パワー(Pb1)の強度としては、照射されても、溶融しているL1記録膜32が冷却されるような低いレベルに設定される。
【0064】
この場合、レーザビームはL0層20を介してL1記録膜32に照射されることから、L1記録膜32に到達するレーザビームはかなり減衰してしまう。したがって、L1記録膜32を十分に溶融させるためには、記録パワー(Pw1)のレベルとして、L0記録膜22に対して記録を行う場合に用いる記録パワー(Pw0)よりもかなり高く設定する必要があり、約2倍程度に設定することが好ましい。したがって、L0記録膜22に対して記録を行う場合に用いる記録パワー(Pw0)を5.0mWに設定する場合、L1記録膜32に対して記録を行う場合に用いる記録パワー(Pw1)を10.0mW程度に設定することが好ましい。記録パワー(Pw1)を10.0mWに設定する場合、特に限定されるものではないが、消去パワー(Pe1)としては4.0mW程度に設定し、基底パワー(Pb1)として0.1mW程度に設定すればよい。尚、記録パワー(Pw1)、消去パワー(Pe1)及び基底パワー(Pb1)の値は、レーザビームを照射した際の盤面における値である。
【0065】
かかる記録方式においては、記録マークを形成する場合(L1記録膜32をアモルファス状態にする場合)には、レーザビームを記録パワー(Pw1)或いは記録パワー(Pw1)から基底パワー(Pb1)までの振幅を有するパルス波形とすることによりL1記録膜32を融点以上に加熱し、その後、レーザビームを基底パワー(Pb1)に設定することによりL1記録膜32を急冷する。一方、記録マークを消去する場合(L1記録膜32を結晶状態にする場合)には、レーザビームを消去パワー(Pe1)に固定し、これによりL1記録膜32を結晶化温度以上、溶融未満の温度に加熱し、徐冷する。これによって、L1記録膜32は固相消去される。以下、具体的な記録ストラテジについて、記録マークごとに詳述する。
【0066】
まず、図7(a)に示すように、L1記録膜32に対して2T信号を形成する場合、オンパルス数は「1」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。ここで、オンパルス数とは、レーザビームの強度が記録パワー(Pw1)まで高められた回数によって定義される。また、冷却期間Tclにおいては、レーザビームの強度が基底パワー(Pb1)に設定される。したがって、2T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt51以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt51からタイミングt52までの期間(Ttop)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt52からタイミングt53までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt53以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0067】
ここで、タイミングt51からタイミングt52までの期間によって定義されるトップパルスのパルス幅Ttopは、特に限定されるものではないが、0.3T〜0.5Tに設定することが好ましい。また、タイミングt52からタイミングt53までの期間によって定義される冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0068】
これにより、2T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw1)をもつレーザビームの照射によって溶融したL1記録膜32が冷却期間Tclにおいて急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、消去パワー(Pe1)をもつレーザビームの照射によってL1記録膜32が結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱され、その後レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0069】
また、図7(b)に示すように、L1記録膜32に対して3T信号を形成する場合、オンパルス数は「2」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。したがって、3T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt61以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt61からタイミングt62までの期間(Ttop)及びタイミングt63からタイミングt64までの期間(Tlp)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt62からタイミングt63までの期間(Toff)及びタイミングt64からタイミングt65までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt65以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0070】
ここで、タイミングt61からタイミングt62までの期間によって定義されるトップパルスのパルス幅Ttopは、特に限定されるものではないが、0.3T〜0.5Tに設定することが好ましく、タイミングt63からタイミングt64までの期間によって定義されるラストパルスのパルス幅Tlpは、特に限定されるものではないが、0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。また、タイミングt62からタイミングt63までの期間によって定義されるオフ期間Toffは、特に限定されるものではないが、0.5T〜0.7Tに設定することが好ましく、タイミングt64からタイミングt65までの期間によって定義される冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0071】
これにより、3T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw1)をもつレーザビームの照射によって溶融したL1記録膜32が冷却期間Tclにおいて急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、消去パワー(Pe1)をもつレーザビームの照射によってL1記録膜32が結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱され、その後レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0072】
さらに、図7(c)に示すように、L1記録膜32に対して4T信号を形成する場合、オンパルス数は「3」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。したがって、4T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt71以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt71からタイミングt72までの期間(Ttop)、タイミングt73からタイミングt74までの期間(Tmp)及びタイミングt75からタイミングt76までの期間(Tlp)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt72からタイミングt73までの期間(Toff)、タイミングt74からタイミングt75までの期間(Toff)及びタイミングt76からタイミングt77までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt77以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0073】
ここで、タイミングt71からタイミングt72までの期間によって定義されるトップパルスのパルス幅Ttopは、特に限定されるものではないが、0.3T〜0.5Tに設定することが好ましく、タイミングt73からタイミングt74までの期間によって定義されるマルチパルスのパルス幅Tmpは、特に限定されるものではないが、0.3T〜0.5Tに設定することが好ましく、タイミングt75からタイミングt76までの期間によって定義されるラストパルスのパルス幅Tlpは、特に限定されるものではないが、0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0074】
また、タイミングt72からタイミングt73までの期間、並びに、タイミングt74からタイミングt75までの期間によって定義されるオフ期間Toffは、特に限定されるものではないが、0.5T〜0.7Tに設定することが好ましく、タイミングt76からタイミングt77までの期間によって定義される冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0075】
これにより、4T信号を形成すべき領域においては、記録パワー(Pw1)をもつレーザビームの照射によって溶融したL1記録膜32が冷却期間Tclにおいて急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、消去パワー(Pe1)をもつレーザビームの照射によってL1記録膜32が結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱され、その後レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0076】
そして、図7(d)に示すように、L1記録膜32に対して5T信号〜8T信号を形成する場合、オンパルス数はそれぞれ「4」〜「7」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。マルチパルスの数は、5T信号〜8T信号を形成する場合それぞれ「2」〜「5」に設定される。この場合も、Ttop(タイミングt81からタイミングt82までの期間)、Tmp(タイミングt83からタイミングt84までの期間、タイミングt85からタイミングt86までの期間等)及びTlpの期間(タイミングt87からタイミングt88までの期間)においては記録パワー(Pw1)に設定され、オフ期間Toff(タイミングt82からタイミングt83までの期間、タイミングt86からタイミングt87までの期間等)及び冷却期間Tcl(タイミングt88からタイミングt89までの期間)においては基底パワー(Pb1)に設定され、その他の期間においては消去パワー(Pe1)に設定される。また、特に限定されるものではないが、トップパルスのパルス幅Ttop、マルチパルスのパルス幅Tmp及びラストパルスのパルス幅Tlpとしては、それぞれ0.3T〜0.5T、0.3T〜0.5T及び0.4T〜0.6Tに設定することが好ましく、オフ期間Toff及び冷却期間Tclとしては、それぞれ0.5T〜0.7T及び0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0077】
これにより、5T信号〜8Tを形成すべき領域においては、記録パワー(Pw1)をもつレーザビームの照射によって溶融したL1記録膜32が冷却期間Tclにおいて急冷され、アモルファス状態となる。一方、その他の領域においては、消去パワー(Pe1)をもつレーザビームの照射によってL1記録膜32が結晶化温度以上、融点未満の温度に加熱され、その後レーザビームが遠ざかるにことによって徐冷され、結晶状態となる。
【0078】
以上が、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジである。このように、本実施態様においては、光入射面13aから遠いL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合、いわゆるオンパルス記録方式を採用し、記録パワー(Pw1)よりも強度の低い消去パワー(Pe1)を用いて記録マークの消去を行っていることから、L1記録膜32に対しオフパルス記録を行った場合に生じるレーザ発生装置(半導体レーザ等)への負荷を低減することが可能となる。
【0079】
以上説明したL0層20及びL1層30にそれぞれ対応する記録ストラテジを特定するための情報は、「記録条件設定情報」として当該光記録媒体10内に保存しておくことが好ましい。このような記録条件設定情報を光記録媒体10内に保存しておけば、ユーザが実際にデータの記録を行う際に、情報記録装置によりかかる記録条件設定情報が読み出され、これに基づいて記録ストラテジを決定することが可能となる。したがって、例えば、ユーザがL0層20に対するデータの記録を指示した場合には、情報記録装置は図6に示した記録ストラテジを用いてデータの記録を行い、ユーザがL1層30に対するデータの記録を指示した場合には、情報記録装置は図7に示した記録ストラテジを用いてデータの記録を行う。
【0080】
記録条件設定情報としては、L0層20及びL1層30にそれぞれ対応する記録ストラテジのみならず、光記録媒体10に対してデータの記録を行う場合に必要な各種条件(記録線速度等)を特定するために必要な情報を含んでいることがより好ましい。記録条件設定情報は、ウォブルやプレピットとして記録されたものでもよく、L0記録膜22及び/又はL1記録膜32にデータとして記録されたものでもよい。また、データの記録に必要な各条件を直接的に示すもののみならず、情報記録装置内にあらかじめ格納されている各種条件のいずれかを指定することにより記録ストラテジの特定を間接的に行うものであっても構わない。
【0081】
図8は、光記録媒体10に対してデータの記録を行うための情報記録装置50の主要部を概略的に示す図である。
【0082】
情報記録装置50は、図8に示すように光記録媒体10を回転させるためのスピンドルモータ52と、光記録媒体10にレーザビームを照射するとともにその反射光を受光するヘッド53と、スピンドルモータ52及びヘッド53の動作を制御するコントローラ54と、ヘッド53にレーザ駆動信号を供給するレーザ駆動回路55と、ヘッド53にレンズ駆動信号を供給するレンズ駆動回路56とを備えている。
【0083】
さらに、図8に示すように、コントローラ54にはフォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58及びレーザコントロール回路59が含まれている。フォーカスサーボ追従回路57が活性化すると、回転している光記録媒体10の記録面にフォーカスがかかった状態となり、トラッキングサーボ追従回路58が活性化すると、光記録媒体10の偏芯している信号トラックに対して、レーザビームのスポットが自動追従状態となる。フォーカスサーボ追従回路57及びトラッキングサーボ追従回路58には、フォーカスゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能及びトラッキングゲインを自動調整するためのオートゲインコントロール機能がそれぞれ備えられている。また、レーザコントロール回路59は、レーザ駆動回路55により供給されるレーザ駆動信号を生成する回路であり、光記録媒体10に記録されている記録条件設定情報に基づいて、適切なレーザ駆動信号の生成を行う。
【0084】
尚、これらフォーカスサーボ追従回路57、トラッキングサーボ追従回路58及びレーザコントロール回路59については、コントローラ54内に組み込まれた回路である必要はなく、コントローラ54と別個の部品であっても構わない。さらに、これらは物理的な回路である必要はなく、コントローラ54内で実行されるソフトウェアであっても構わない。
【0085】
このような構成からなる情報記録装置50を用いて本実施態様にかかる光記録媒体10に対するデータの記録を行う場合、上述のとおり、光記録媒体10に記録されている記録条件設定情報が読み出され、これに基づいて記録ストラテジが決定される。したがって、情報記録装置50は、L0層20に対してデータの記録を行う場合、読み出された記録条件設定情報に基づき、図6に示した記録ストラテジを用いてデータの記録を行い、L1層30に対してデータの記録を行う場合、読み出された記録条件設定情報に基づき、図7に示した記録ストラテジを用いてデータの記録を行う。
【0086】
以上説明したように、本実施態様においては、光入射面13aに近いL0層20に対してデータの記録を行う場合にあってはオフパルス記録方式を用い、光入射面13aから遠いL1層30に対してデータの記録を行う場合にあってはオンパルス記録方式を用いていることから、L0層20に対してダイレクトオーバーライトを行った場合にも十分な消去率を確保することが可能となるとともに、レーザ発生装置(半導体レーザ等)への負荷を低減することが可能となる。
【0087】
尚、上記実施態様においては、200〜450nmの波長を持つレーザビームを用いてデータの記録/再生を行う次世代型の光記録媒体に本発明を適用した例について説明したが、本発明の適用対象がこれに限定されるものではなく、DVDのように波長が約650nmのレーザビームを用いてデータの記録/再生を行うタイプの光記録媒体に対して本発明を適用することも可能である。以下、この種の光記録媒体(以下、「DVD型光記録媒体」と呼ぶ)に対して本発明を適用した場合の好ましい実施態様について説明する。
【0088】
DVD型光記録媒体の構造は、基本的に図1に示した光記録媒体10の構造と同じであるが、主に、基体11、中間層12及び光透過層13の厚みやグルーブ形状において上記光記録媒体10と相違する。具体的には、基体11、中間層12及び光透過層13の厚みがそれぞれ400〜800μm、10〜100μm及び30〜700μmに設定され、グルーブ11a(グルーブ12a)の深さ及びピッチがそれぞれ40〜100nm及び0.4〜0.9μmに設定される。
【0089】
このようなDVD型光記録媒体に対してデータの記録を行う場合には、光入射面13aから約650nmの波長を持つレーザビームのフォーカスがL0記録膜22またはL1記録膜32にフォーカスが合わせられ、その強度を変調することによって所望の部分を結晶状態またはアモルファス状態とすることができる。この場合、変調方式としては8/16の変調方式(3T〜14Tに変調)を用いることが好ましい。
【0090】
DVD型光記録媒体においても、上述した光記録媒体10と同様、L0記録膜22の膜厚をL1記録膜32の膜厚と比べてかなり薄く設定する(約0.3〜0.8倍)必要があること、並びに、L1記録膜32に対するデータの記録においてはL0層20を介してレーザビームを照射する必要があることから、本実施態様においても、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合にはオフパルス記録方式を採用し、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合にはオンパルス記録方式を採用している。
【0091】
図9は、本実施態様においてL0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、図9(a)は10T信号及び11T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、図9(b)は12T信号乃至14T信号を形成する場合の記録ストラテジである。3T信号〜8T信号を形成する場合の記録ストラテジは、図6(a)〜(d)に示したこれら信号を形成する場合の記録ストラテジと同様である。また、9T信号を形成する場合には、図6(d)に示した記録ストラテジにおいて、パルス幅A〜Dが1.8T〜2.2Tに設定される他は、8T信号を形成する場合の記録ストラテジと同様である。
【0092】
図9(及び図6)に示すように、本実施態様においても、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合にはオフパルス記録方式が採用され、レーザビームの強度は、記録パワー(Pw0)及び基底パワー(Pb0)からなる2つの強度(2値)に変調される。特に限定されるものではないが、本実施態様においては、記録パワー(Pw0)としては10.0mW程度に設定し、基底パワー(Pb0)として0.1mW程度に設定すればよい。
【0093】
まず、図9(a)に示すように、L0記録膜22に対して10T信号及び11T信号を形成する場合、オフパルス数は「5」に設定される。ここで、5つのオフパルスのパルス幅A、B、C、D、Eは、特に限定されるものではないが、10T信号を形成する場合にあってはいずれも2.0T〜2.4Tに設定することが好ましく、11T信号を形成する場合にあってはいずれも2.4T〜2.8Tに設定することが好ましい。尚、図9(a)に示すように、パルス幅Aとはタイミングt91からタイミングt92までの期間を示し、パルス幅Bとはタイミングt93からタイミングt94までの期間を示し、パルス幅Cとはタイミングt95からタイミングt96までの期間を示し、パルス幅Dとはタイミングt97からタイミングt98までの期間を示し、パルス幅Eとはタイミングt99からタイミングt910までの期間を示す。
【0094】
さらに、タイミングt92からタイミングt93までの期間によって定義されるトップパルスTtopのパルス幅、タイミングt94からタイミングt95までの期間及びタイミングt96からタイミングt97までの期間によって定義されるマルチパルスTmpのパルス幅、タイミングt98からタイミングt99までの期間によって定義されるラストパルスTlpのパルス幅は、特に限定されるものではないが、いずれも0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0095】
また、図9(b)に示すように、L0記録膜22に対して12T信号乃至14T信号を形成する場合、オフパルス数は「6」に設定される。ここで、6つのオフパルスのパルス幅A、B、C、D、E、Fは、特に限定されるものではないが、12T信号を形成する場合にあってはいずれも1.6T〜2.0Tに設定することが好ましく、13T信号を形成する場合にあってはいずれも1.8T〜2.2Tに設定することが好ましく、14T信号を形成する場合にあってはいずれも2.0T〜2.4Tに設定することが好ましい。尚、図9(b)に示すように、パルス幅Aとはタイミングt101からタイミングt102までの期間を示し、パルス幅Bとはタイミングt103からタイミングt104までの期間を示し、パルス幅Cとはタイミングt105からタイミングt106までの期間を示し、パルス幅Dとはタイミングt107からタイミングt108までの期間を示し、パルス幅Eとはタイミングt109からタイミングt1010までの期間を示し、パルス幅Fとはタイミングt1011からタイミングt1012までの期間を示す。
【0096】
さらに、タイミングt102からタイミングt103までの期間によって定義されるトップパルスTtopのパルス幅、タイミングt104からタイミングt105までの期間、タイミングt106からタイミングt107までの期間及びタイミングt108からタイミングt109までの期間によって定義されるマルチパルスTmpのパルス幅、タイミングt1010からタイミングt1011までの期間によって定義されるラストパルスTlpのパルス幅は、特に限定されるものではないが、いずれも0.4T〜0.6Tに設定することが好ましい。
【0097】
以上が、L0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジである。このように、本実施態様においても、光入射面13aに近いL0記録膜22に対してデータの記録を行う場合、いわゆるオフパルス記録方式を採用することによって溶融消去を行っていることから、非常に薄い相変化膜に対して固相消去を行った場合にアモルファス状態に戻ってしまうという現象を回避することができる。これにより、十分な消去率を確保することができることから、良好なオーバーライト特性を得ることが可能となる。
【0098】
次に、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジについて詳述する。
【0099】
図10は、本実施態様においてL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は4T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(c)は5T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(d)は6T信号〜14T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【0100】
図10(a)〜(d)に示すように、本実施態様においても、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合にはオンパルス記録方式が採用され、レーザビームの強度は、記録パワー(Pw1)、消去パワー(Pe1)及び基底パワー(Pb1)からなる3つの強度(3値)に変調される。特に限定されるものではないが、本実施態様においては、記録パワー(Pw1)としては14.0mWに設定し、消去パワー(Pe1)としては7.0mW程度に設定し、基底パワー(Pb1)として0.1mW程度に設定すればよい。
【0101】
まず、図10(a)に示すように、L1記録膜32に対して3T信号を形成する場合、上述した光記録媒体10のL1記録膜32に対して2T信号を形成する場合と同様、オンパルス数は「1」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。したがって、3T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt111以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt111からタイミングt112までの期間(Ttop)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt112からタイミングt113までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt113以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0102】
ここで、トップパルスのパルス幅Ttop及び冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、それぞれ0.5T〜0.7T及び0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0103】
また、図10(b)に示すように、L1記録膜32に対して4T信号を形成する場合、上述した光記録媒体10のL1記録膜32に対して3T信号を形成する場合と同様、オンパルス数は「2」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。したがって、4T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt121以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt121からタイミングt122までの期間(Ttop)及びタイミングt123からタイミングt124までの期間(Tlp)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt122からタイミングt123までの期間(Toff)及びタイミングt124からタイミングt125までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt125以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0104】
ここで、トップパルスのパルス幅Ttop、ラストパルスのパルス幅Tlp、オフ期間Toff及び冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、それぞれ0.3T〜0.5T、0.4T〜0.6T、0.5T〜0.7T及び0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0105】
さらに、図10(c)に示すように、L1記録膜32に対して5T信号を形成する場合、上述した光記録媒体10のL1記録膜32に対して4T信号を形成する場合と同様、オンパルス数は「3」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。したがって、5T信号を形成する場合、レーザビームの強度は、タイミングt131以前においては消去パワー(Pe1)に設定され、タイミングt131からタイミングt132までの期間(Ttop)、タイミングt133からタイミングt134までの期間(Tmp)及びタイミングt135からタイミングt136までの期間(Tlp)においては記録パワー(Pw1)に設定され、タイミングt132からタイミングt133までの期間(Toff)、タイミングt134からタイミングt135までの期間(Toff)及びタイミングt136からタイミングt137までの期間(Tcl)においては基底パワー(Pb1)に設定され、タイミングt137以降においては消去パワー(Pe1)に設定される。
【0106】
ここで、トップパルスのパルス幅Ttop、マルチパルスのパルス幅Tmp、ラストパルスのパルス幅Tlp、オフ期間Toff及び冷却期間Tclは、特に限定されるものではないが、それぞれ0.3T〜0.5T、0.3T〜0.5T、0.4T〜0.6T、0.5T〜0.7T及び0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0107】
そして、図10(d)に示すように、L1記録膜32に対して6T信号〜14T信号を形成する場合、オンパルス数はそれぞれ「4」〜「12」に設定され、その後、冷却期間Tclが挿入される。マルチパルスの数は、6T信号〜14T信号を形成する場合それぞれ「2」〜「10」に設定される。この場合も、Ttop(タイミングt141からタイミングt142までの期間)、Tmp(タイミングt143からタイミングt144までの期間、タイミングt145からタイミングt146までの期間等)及びTlpの期間(タイミングt147からタイミングt148までの期間)においては記録パワー(Pw1)に設定され、オフ期間Toff(タイミングt142からタイミングt143までの期間、タイミングt146からタイミングt147までの期間等)及び冷却期間Tcl(タイミングt148からタイミングt149までの期間)においては基底パワー(Pb1)に設定され、その他の期間においては消去パワー(Pe1)に設定される。また、特に限定されるものではないが、トップパルスのパルス幅Ttop、マルチパルスのパルス幅Tmp及びラストパルスのパルス幅Tlpとしては、それぞれ0.3T〜0.5T、0.3T〜0.5T及び0.4T〜0.6Tに設定することが好ましく、オフ期間Toff及び冷却期間Tclとしては、それぞれ0.5T〜0.7T及び0.7T〜1.0Tに設定することが好ましい。
【0108】
以上が、L1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジである。このように、本実施態様においては、光入射面13aから遠いL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合、いわゆるオンパルス記録方式を採用し、記録パワー(Pw1)よりも強度の低い消去パワー(Pe1)を用いて記録マークの消去を行っていることから、L1記録膜32に対しオフパルス記録を行った場合に生じるレーザ発生装置(半導体レーザ等)への負荷を低減することが可能となる。
【0109】
本発明は、以上の実施態様に限定されることなく、特許請求の範囲に記載された発明の範囲内で種々の変更が可能であり、それらも本発明の範囲内に包含されるものであることはいうまでもない。
【0110】
例えば、上記実施態様においては、光記録媒体10が2つの記録層(L0層20、L1層30)を備えている場合を例に説明したが、本発明の対象が記録層を2層のみ有する光記録媒体に限定されるものではなく、3層以上の記録層を有する光記録媒体に適用することも可能である。この場合、少なくとも光入射面13aに最も近い記録層に対するデータの記録に際してはオフパルス記録方式を用い、少なくとも光入射面13aから最も遠い記録層に対するデータの記録に際してはオンパルス記録方式を用いればよい。
【0111】
また、上記実施態様においては、L1層30に対して情報の記録を行う場合、オンパルス記録方式を採用し、レーザビームの強度を記録パワー(Pw1)、消去パワー(Pe1)及び基底パワー(Pb1)からなる3つの強度(3値)に変調しているが、レーザビームの強度を4値以上の強度に変調することによって情報の記録を行っても構わない。
【0112】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、複数の情報記録層を有する光記録媒体に対してダイレクトオーバーライトを行った場合に、十分な消去率を確保することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の好ましい実施態様にかかる光記録媒体10の構造を概略的に示す断面図である。
【図2】光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
【図3】光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
【図4】光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
【図5】光記録媒体10の製造方法を示す工程図である。
【図6】光記録媒体10のL0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は2T信号及び3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は4T信号及び5T信号を形成する場合の記録ストラテジであり(c)は6T信号及び7T信号を形成する場合の記録ストラテジであり(d)は8T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【図7】光記録媒体10のL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は2T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(c)は4T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(d)は5T信号〜8T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【図8】光記録媒体10に対してデータの記録を行うための情報記録装置50の主要部を概略的に示す図である。
【図9】DVD型光記録媒体のL0記録膜22に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は10T信号及び11T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は12T信号乃至14T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【図10】DVD型光記録媒体のL1記録膜32に対してデータの記録を行う場合の記録ストラテジを示す図であり、(a)は3T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(b)は4T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(c)は5T信号を形成する場合の記録ストラテジであり、(d)は6T信号〜14T信号を形成する場合の記録ストラテジである。
【符号の説明】
10 光記録媒体
11 基体
12 中間層
11a,12a グルーブ
11b,12b ランド
13 光透過層
13a 光入射面
20 L0層
21 第1の誘電体膜
22 L0記録膜
23 第2の誘電体膜
30 L1層
31 第3の誘電体膜
32 L1記録膜
33 第4の誘電体膜
34 反射膜
40,41 スタンパ
50 情報記録装置
52 スピンドルモータ
53 ヘッド
54 コントローラ
55 レーザ駆動回路
56 レンズ駆動回路
57 フォーカスサーボ追従回路
58 トラッキングサーボ追従回路
59 レーザコントロール回路
Claims (7)
- 積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録方法であって、前記第1の情報記録層に対してはオフパルス記録方式によって情報の記録を行い、前記第2の情報記録層に対してはオンパルス記録方式によって情報の記録を行うことを特徴とする情報記録方法。
- 前記第1の情報記録層が前記第2の情報記録層よりも前記光入射面側に位置していることを特徴とする請求項1に記載の情報記録方法。
- 前記第1及び第2の情報記録層がいずれも相変化材料を含む記録膜及びこれを挟んで設けられた誘電体膜を備えており、前記第1の情報記録層の記録膜が前記第2の情報記録層の記録膜よりも薄いことを特徴とする請求項1または2に記載の情報記録方法。
- いずれも相変化材料を含む積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録方法であって、前記第1の情報記録層に対しては溶融消去可能な記録ストラテジによって情報の記録を行い、前記第2の情報記録層に対しては固相消去可能な記録ストラテジによって情報の記録を行うことを特徴とする情報記録方法。
- 積層された少なくとも第1及び第2の情報記録層を備える光記録媒体に対し、光入射面からレーザビームを照射することによって情報を記録する情報記録装置であって、前記第1の情報記録層に対して情報を記録する場合にはオフパルス記録を行い、前記第2の情報記録層に対して情報を記録する場合にはオンパルス記録を行うことを特徴とする情報記録装置。
- 前記第1の情報記録層が前記第2の情報記録層よりも前記光入射面側に位置していることを特徴とする請求項5に記載の情報記録装置。
- 前記第1及び第2の情報記録層がいずれも相変化材料を含む記録膜及びこれを挟んで設けられた誘電体膜を備えており、前記第1の情報記録層の記録膜が前記第2の情報記録層の記録膜よりも薄いことを特徴とする請求項5または6に記載の情報記録装置。
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