JP3920979B2 - 吸収式空調装置の制御装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭化リチウムなどの水溶液を吸収液とする吸収サイクルを形成するとともに再生器から蒸発器へ吸収液を供給する暖房用の吸収液流路を設けて、暖房用の吸収液流路中の弁の開閉によって暖房運転と冷房運転とを切替える吸収式空調装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収サイクルを用いた吸収式空調装置では、冷房運転時には、吸収サイクルにおいて、再生器でバーナの加熱により沸騰した低濃度吸収液から冷媒蒸気が分離され、冷媒蒸気は凝縮器で冷却されて冷媒液となり蒸発器へ供給される。再生器で冷媒蒸気が分離されて高濃度となった吸収液は、吸収器へ供給される。吸収器と蒸発器とは連通しており、冷媒液は蒸発器で蒸発して熱を奪って冷却源を形成し、蒸発器内に配した冷温水配管内を循環する冷温水を冷却して、室内機の空調用熱交換器に循環させることで、室内の冷房を行う。
吸収液は吸収器で冷媒蒸気(蒸発器で気化したもの)を吸収し、このときの発熱を外部へ排出するために、吸収器内には熱交換用配管が設けられていて、冷却水ポンプによって供給される冷却水の通過によって外部へ排熱される。
【0003】
暖房運転時には、上記構成の吸収サイクルとは別に再生器と蒸発器とを連絡する吸収液流路中の冷暖切替え弁を開弁し、バーナで加熱された吸収液を蒸発器内へ供給することにより、蒸発器内の冷温水配管を通過する冷温水を加熱して室内機へ循環させる。
【0004】
上記構成において、各運転を制御する制御装置は、吸収サイクル内で吸収液を吸収器から再生器へ戻すための吸収液ポンプを、冷房運転時には、吸収液ポンプの吐出側となる再生器内の吸収液温度に応じた回転数に制御し、暖房運転時には、吸収液ポンプを一定の回転数に制御する。冷暖切替え弁は、冷房運転時には、閉弁されている。
このように、冷房運転時には、吸収液ポンプの回転数を再生器内の吸収液温度に応じた回転数に制御するが、これは、再生器内の圧力に抗して吸収液を吐出する吸収液ポンプの吐出圧力を、適切に制御するためであり、吸収サイクルが定常状態に達したときには、再生器内の圧力が再生器内の吸収液温度に比例することに基づくものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、冷房運転と暖房運転とを切替えによって行うようにした吸収式空調装置では、冷房運転に適した吸収液濃度で暖房運転を行うと、加熱された吸収液が各所で晶析する恐れがある。このため、従来では、冷媒である水の量を多くして、装置内に投入される吸収液の濃度を冷房運転に適した濃度より低く抑え、また凝縮器で冷却されて生じた冷媒液を凝縮器内に一時的に貯留できるように、凝縮器内には容器状の冷媒液貯留部が設けられている。
【0006】
これにより、冷房運転時に吸収サイクル内を吸収液が循環する際には、凝縮器で冷却されて生じた冷媒液がそのまま蒸発器へすべて供給されるのではなく、凝縮器内で貯留されることによって、吸収サイクル内の吸収液濃度を高くして冷房能力を確保し、暖房運転時には、冷媒液貯留部と蒸発器とを連通させることによって、冷媒液貯留部内の冷媒液をすべて蒸発器内へ供給することによって、吸収液の濃度を下げて上記晶析を防止している。
【0007】
再生器内の圧力は、吸収液の濃度が一定であればその温度に比例したものであるが、同じ温度であっても、吸収液の濃度が異なると沸点が変化するため、濃度が低い場合ほど実際の圧力は高くなる。
このため、暖房運転を行った後に冷房運転を行う場合には、吸収液の濃度が冷房運転に適した濃度より低くなっていて、実際の圧力が高くなっているにも拘らず、再生器内の吸収液温度に基づいた回転数で吸収液ポンプを駆動することになるため、再生器内の圧力に対して吸収液ポンプの吐出圧が小さくなり、確実な作動をしない場合が生じる恐れがある。
【0008】
本発明は、暖房運転から冷房運転への切替え時にも、確実な作動を維持できる吸収式空調装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、請求項1は、冷媒を含む吸収液を加熱手段により加熱して吸収液から冷媒蒸気を分離させる再生器と、該再生器によって分離した前記冷媒蒸気を冷却して凝縮させるとともに、凝縮によって生じた冷媒液を貯留する冷媒液貯留部が設けられた凝縮器と、該凝縮器の前記冷媒液貯留部に貯留された冷媒液を低圧下で蒸発させて冷却源とする蒸発器と、前記再生器で前記冷媒蒸気が分離された吸収液に、前記蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を吸収させる吸収器と、前記吸収器から前記再生器へ吸収液を戻すための吸収液ポンプとから吸収サイクルを形成し、室内機に設けられた空調用熱交換器との間で冷温水を循環させるための冷温水循環回路を形成した熱交換用配管を前記蒸発器内に配するとともに、冷房運転と暖房運転とを切り替えるための冷暖切替え弁を備えた暖房用吸収液流路により前記再生器と前記蒸発器とを接続した吸収式空調装置であって、冷房運転時には前記冷暖切替え弁を閉弁制御し、暖房運転時には前記冷暖切替え弁を開弁制御することによって、冷房運転と暖房運転とを切替える運転制御手段を具備する吸収式空調装置の制御装置において、前記運転制御手段は、前記再生器の吸収液温度を検知する吸収液温度検知手段と、冷房運転の開始時に、前回終了された運転が暖房運転か否かを判別する暖房運転終了判別手段とを備え、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が冷房運転であると判別された場合には、冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される通常制御回転数に制御し、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合には、冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数より所定回転数高い増加制御回転数に制御することを技術的手段とする。
【0010】
これにより、請求項1では、冷房運転が行われると、吸収サイクル内で吸収液が循環し、また、吸収液から分離された冷媒は、凝縮器から蒸発器、吸収器へと循環する。この冷媒の循環路である凝縮器には、凝縮によって生じた冷媒液を貯留する冷媒液貯留部が設けられているため、吸収器から再生器へと戻される吸収液の濃度は、凝縮器の冷媒液貯留部に貯留された冷媒液の分だけ濃縮された状態にある。
逆に、暖房運転が行われた場合には、再生器で加熱された吸収液は、再生器から蒸発器へ直接供給されて、吸収器を経て再び再生器へと戻され、凝縮器等の吸収サイクル内を循環しない。従って、暖房運転時には、吸収器及び再生器内の吸収液の濃度は、冷房運転時と比べて薄くなっている。
【0011】
吸収液の濃度が上記の通り変化する吸収サイクルの再生器内では、加熱手段によって加熱された吸収液が沸騰するとき、吸収液の濃度に応じて沸点が変化するため、吸収液の温度が同じであっても再生器内の圧力には差が生じ、濃度が薄い場合には、再生器内の圧力は高くなり、濃度が高い場合には圧力は低くなる。
【0012】
冷房運転が開始されるとき、前回の運転が冷房運転であった場合には、吸収器および再生器内の吸収液濃度は、凝縮器内の冷媒液貯留部に冷媒液が貯留されていない場合(前回が暖房運転のとき)と比べて濃くなっていて、運転開始後も、その濃度は変化しない。
従って、この冷房運転における吸収液温度に基づいて吸収液ポンプの回転数を設定しておくことで、冷房運転が行われる場合には、吸収液ポンプの吐出圧力を常に再生器内の圧力に対抗して十分高い吐出圧力に制御することができる。
【0013】
一方、暖房運転が行われた後に、冷房運転を行う場合には、運転初期において、吸収器および再生器内の吸収液の濃度が低くなっていて、再生器内の圧力は、同じ温度における冷房運転時の圧力と比較して高くなる。
この場合には、吸収液ポンプの回転数を、冷房運転時に通常制御回転数より所定回転数だけ高くした増加制御回転数に制御する。これによって、吸収液ポンプの吐出圧力を冷房運転時より高くなった再生器内の圧力に対抗して十分高くすることができる。
従って、確実に冷房運転を開始することができる。
【0014】
冷房運転を開始してから吸収サイクル内が安定するまでは、増加制御回転数に制御する。
あらかじめ決められた条件に達したとき、吸収液ポンプの回転数を、吸収液温度検知手段の検知に基づく通常制御回転数に切り替えることにより、過剰な吐出圧力のまま、継続して冷房運転が行われることがない。
【0015】
請求項2では、請求項1において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定回転数を加算した加算値増加回転数に制御することを技術的手段とする。
【0016】
請求項3では、請求項1において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定係数を乗じた乗算値増加回転数に制御することを技術的手段とする。
【0017】
通常制御回転数に対して、増加させる増加制御回転数の設定としては、吸収液温度検知手段によって検知される吸収液温度に基づいて決定される通常制御回転数に、一定回転数を加算した加算値制御回転数としたり、通常制御回転数に一定係数を乗じた乗算値増加回転数にしたりすることができる。
これらは、吸収サイクルの能力、吸収液量などに応じて、適宜設定することができる。
【0018】
請求項4では、請求項1から3において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において前記吸収液ポンプを前記増加制御回転数に制御する期間を、前記再生器の吸収液温度が増加回転数終了温度に上昇するまでの期間とすることを技術的手段とする。
増加制御回転数に制御する期間を、再生器内の吸収液温度に基づいて設定することによって、吸収サイクル内が安定した状態で通常制御回転数に移行させることができるため、暖房運転後の冷房運転であても、安定した冷房運転を確保できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に関わる吸収式空調装置の実施例を示す。
吸収式空調装置は、冷凍装置としての室外機100と室内機RUとからなり、室外機100は、冷凍機本体101と冷却塔(クーリングタワー)CTとから構成される。なお、空調装置は、制御装置200により制御される。
【0020】
冷凍機本体101は、主にステンレスによって成形され、冷媒及び吸収液としての臭化リチウム水溶液の吸収サイクルを形成するもので、Bは加熱手段としてのガスバーナ、1は高温再生器、2は低温再生器、3は吸収器、4は蒸発器、5は凝縮器であり、吸収液内には、ステンレスと臭化リチウムとの反応による腐食を抑制するためのインヒビターが含まれている。
【0021】
高温再生器1では、加熱タンク11の内部に供給された低濃度吸収液をガスバーナBによって加熱し、中濃度吸収液分離筒12と吸収液仕切り容器13との間に形成された筒状の吸収液上昇流路14を加熱された吸収液が上昇すると、加熱により低濃度吸収液中の冷媒としての水が蒸発して冷媒蒸気(水蒸気)として分離して、冷媒蒸気の蒸発により濃化した中濃度吸収液は、吸収液戻し板15によって内側へ方向を転換されて吸収液仕切り容器13内へ戻される。
【0022】
冷媒が分離されて高濃度化された中濃度吸収液は、吸収液仕切り容器13の側部に開口した中濃度吸収液流路L1から、低温再生器2へ供給される。
また、分離した冷媒蒸気は冷媒回収タンク10で回収されて、冷媒流路L5により凝縮器5へ供給される。
尚、吸収液仕切り容器13の底部には、暖房運転時に、加熱された吸収液を蒸発器4内へ供給するための暖房用吸収液流路L4の流入口が開口している。
【0023】
冷媒回収タンク10内の下部内側には、冷媒仕切り筒17が中濃度吸収液分離筒12に接合されていて、中濃度吸収液分離筒12との間に断熱用間隙17aを形成しているため、中濃度吸収液分離筒12内の熱が遮断され、冷媒回収タンク10内の冷媒が、吸収液上昇流路14内の高温の吸収液によって加熱されることがない。
冷媒回収タンク10は、冷媒仕切り筒17の外側が、分離された冷媒液を貯留する冷媒貯留部10aとなっており、冷媒貯留部10aに貯留された冷媒は、冷媒流路L5から凝縮器5へ供給される。
尚、高温再生器1の加熱タンク11には、内部の吸収液温度を検知するための吸収液温度サーミスタ211が備えられている。
【0024】
低温再生器2では、途中に熱交換器Hを通過する中濃度吸収液流路L1によって供給される中濃度吸収液が、低温再生器ケース20の天井から流入して冷媒回収タンク10の外壁を熱源として再加熱され、気液分離部22で冷媒蒸気と高濃度吸収液とに分離され、冷媒蒸気は、冷媒蒸気出口21および隙間5Aから凝縮器ケース50内へ、高濃度吸収液は、高濃度吸収液受け部23に貯留され、高濃度吸収液流路L2により吸収器3へ供給される。
【0025】
尚、中濃度吸収液流路L1中には、吸収液仕切り容器13から低温再生器2へ流れる中濃度吸収液の流量を制限するためのオリフィス(図示なし)が設けられていて、低温再生器ケース20内へは中濃度吸収液分離筒12との圧力差により中濃度吸収液が供給される。(低温再生器ケース20内では、約70mmHg、中濃度吸収液分離筒12内では約700mmHg)
【0026】
吸収器3は、蒸発・吸収ケース30内に銅管を縦型円筒状に巻設され内部を排熱用冷却水が流れる吸収管としてコイル状に巻かれた吸収コイル31が捲回されており、高濃度吸収液流路L2により低温再生器2の高濃度吸収液受け部23から供給される高濃度吸収液が圧力差により流入して、高濃度吸収液散布具32により吸収コイル31の上端に散布され、吸収コイル31の表面に付着して薄膜状になり、重力の作用で下方に流下し、水蒸気を吸収して低濃度吸収液となる。この水蒸気を吸収する際に吸収コイル31の表面で発熱するが、吸収コイル31を循環する排熱用冷却水により冷却される。
尚、吸収液に吸収される水蒸気は、後述する蒸発器4で冷媒蒸気として発生したものである。
【0027】
吸収器3内の低濃度吸収液は、吸収液ポンプP1の作動により、底部33から、熱交換器Hおよび吸収液ポンプP1が装着された低濃度吸収液流路L3によって加熱タンク11内へ供給される。
また吸収コイル31内には、冷房運転時に、冷却塔CTで冷却された排熱用冷却水が、凝縮器5の冷却コイル51を介して循環する。
【0028】
蒸発器4は、蒸発・吸収ケース30内の吸収コイル31の外周に設けた縦型円筒形で多数の連通口(図示なし)付きの仕切り板40の外周に、内部を冷暖房用の冷温水が流れる銅管からなる縦型円筒形の蒸発コイル41を配設し、その上方に冷媒液散布具42を取り付けてなる。尚、蒸発器4の底部43は、電磁式の冷暖切替え弁6を有する暖房用吸収液流路L4により中濃度吸収液分離筒12内の吸収液仕切り容器13の底部と連通している。
【0029】
以上の構成により、蒸発器4では、冷房運転時に冷媒液散布具42より冷媒液(水)を蒸発コイル41の上に流下させると、流下された冷媒液は、表面張力で蒸発コイル41の表面を濡らして膜状となり、重力の作用で下方へ降下しながら低圧(例えば、6.5mmHg)となっている蒸発・吸収ケース30内で蒸発コイル41から気化熱を奪って蒸発し、蒸発コイル41内を流れる空調用の冷温水を冷却する。
尚、蒸発器4内には、蒸発器4内のEVA温度を検知するための蒸発器温度サーミスタ212が備えられている。
【0030】
凝縮器5では、凝縮器ケース50内には、冷却コイル51によって冷却された冷媒蒸気が液化した冷媒液を凝縮器ケース50の底から浮かした位置で受けるための皿状の冷媒液受け部52が設けられていて、冷媒液受け部52は、蒸発器4の冷媒液散布具42の上方に設けられて、供給される冷媒液の自己冷却により冷媒液を冷却させる冷媒冷却器48と、冷媒液供給路L6によって連通して組付けられている。
【0031】
以上の構造を有する凝縮器5は、冷媒流量を制限するためのオリフィス(図示なし)が設けられた冷媒流路L5により冷媒回収タンク10の冷媒貯留部10aと連通するとともに、冷媒蒸気出口21および隙間5Aを介して低温再生器2とも連通しており、いずれも圧力差(凝縮器ケース内では約70mmHg)により冷媒が供給される。
冷房運転時において、凝縮器ケース50内に供給された冷媒蒸気は、冷却コイル51により冷却されて液化し、凝縮器5の下部に設けられた冷媒液受け部52から蒸発器4内に配置された冷媒液冷却器48へ冷媒液供給路L6を介して供給される。
冷媒液受け部52をオーバーフローした冷媒液は、凝縮器ケース50の底によって形成される冷媒液貯留部53に貯留され、冷房運転時に吸収サイクルを循環する吸収液の濃度を実質的に高く維持して、冷房性能を確保している。そして、冷媒液貯留部53と冷媒冷却器48とは、冷媒弁7を備えた冷媒液流路L7によって連通しており、冷媒液の凍結の恐れのある場合に、冷媒弁7の開弁制御によって蒸発器4に冷媒液が供給されて、蒸発器4内の蒸気圧を高くすることにより凍結を防止する。
また、暖房運転の開始時にも、冷媒弁7が開弁されて、冷房運転時に冷媒液貯留部53内に貯留された冷媒液が全て蒸発器4内へ供給され、暖房運転時に加熱されて循環する吸収液の濃度を低く維持して晶析が防止される。
【0032】
以上の構成により、冷房運転時において、吸収液は、高温再生器1→中濃度吸収液流路L1→低温再生器2→高濃度吸収液流路L2→高濃度吸収液散布具32→吸収器3→吸収液ポンプP1→低濃度吸収液流路L3→高温再生器1の順に循環する。
また、冷媒は、高温再生器1(冷媒蒸気)→冷媒流路L5(冷媒蒸気)又は低温再生器2(冷媒蒸気)→凝縮器5(冷媒液)→冷媒供給路L6(冷媒液)又は冷媒液流路L7(冷媒液)→冷媒冷却器48→冷媒液散布具42(冷媒液)→蒸発器4(冷媒蒸気)→吸収器3(吸収液)→吸収液ポンプP1→低濃度吸収液流路L3→高温再生器1の順に循環する。
【0033】
上記、吸収液と熱交換する吸収器3の吸収コイル31と凝縮器5の冷却コイル51は、接続されて連続コイルを形成しており、連続コイルは、冷却水流路34によって冷却塔CTと接続されて冷却水循環路を形成している。
この冷却水循環路において、吸収コイル31の入口と冷却塔CTとの間の冷却水流路34には、連続コイル内へ冷却水を送り込むための冷却水ポンプP2が設けられており、冷却水ポンプP2の作動により連続コイルを通過する冷却水は、吸収コイル31で吸収熱を、冷却コイル51で凝縮熱をそれぞれ吸熱して比較的高温となって、冷却塔CTに供給される。
【0034】
上記の構成により、冷房運転時には、冷却水ポンプP2の作動により冷却塔CT内の冷却水が、冷却塔CT→冷却水ポンプP2→吸収コイル31→冷却コイル51→冷却塔CTの順に循環する。
冷却塔CTでは、落下する冷却水を大気中に一部蒸発させて、残りの冷却水を冷却する自己冷却がなされており、冷却水は、大気中に放熱して低温度になる排熱サイクルを形成している。なお、送風機Sからの送風により、水の蒸発を促進させている。
【0035】
蒸発器4の蒸発コイル41には、室内機RUに設けられた空調熱交換器44が冷温水流路47で連結されていて、冷温水流路47には、冷温水ポンプP3が設けられている。
以上の構成により、蒸発コイル41で低温度となった冷温水は、蒸発コイル41→冷温水流路47→空調熱交換器44→冷温水流路47→冷温水ポンプP3→蒸発コイル41の順で循環する。
【0036】
室内機RUには、空調熱交換器44が設けられているとともに、この熱交換器44に対して、室内空気を通過させて再び室内へ吹き出すブロワ46が備えられている。
【0037】
暖房用吸収液流路L4および冷暖切替え弁6は暖房運転用に設けられたもので、暖房運転時には冷暖切替え弁6を開弁し、吸収液ポンプP1を作動させる。
これにより、中濃度吸収液分離筒12内の吸収液仕切り容器13内の高温度の中濃度吸収液が蒸発器4内へ流入し、中濃度吸収液の高温蒸気(冷媒蒸気)によって、蒸発コイル41内の冷温水が加熱され、加熱された蒸発コイル41内の冷温水は、冷温水ポンプP3の作動により冷温水流路47から空調用熱交換器44へ供給され、暖房の熱源となる。
蒸発器4内の中濃度吸収液は、仕切り板40の連通口から吸収器3側へ入り、低濃度吸収液流路L3を経て、吸収液ポンプP1により加熱タンク11へ戻される。
【0038】
以上の構成からなる本実施例の空調装置では、吸収サイクルにおいて吸収液を循環させるための吸収液ポンプP1と、蒸発器コイル41で冷却または加熱された冷温水を冷温水流路47によって室内機RUの空調用熱交換器44に循環させるための冷温水ポンプP3とが、同一のモータによって駆動されるタンデムポンプとして構成されていて、常に吸収液ポンプP1と冷温水ポンプP3とが同時に同一回転数で回転する。
【0039】
次に、空調装置を制御する制御装置200の制御動作について説明する。
制御装置200は、ガスバーナBの燃焼制御、吸収液ポンプP1及び冷温水ポンプP3を駆動するタンデムポンプの制御、冷温水ポンプP2の制御、冷却塔CTの送風機Sの回転制御、室内機RUのブロワ46の制御、吸収サイクル内に設けられた各弁6、7の制御等により、空調装置の冷房運転、暖房運転の各制御を行う。以下では、図2から図4に基づいて冷房運転についての説明のみを行い、暖房運転については説明を省略する。
【0040】
[冷房運転制御]
リモコン(図示なし)等の操作によって冷房運転が開始されると、所定の冷房始動制御(S100)を行い、その後、冷房比例運転(ステップS200)へ移行し、使用者による冷房運転終了の操作が行われると(ステップS201においてYES)、終了用希釈運転(S300)に移行する。
【0041】
冷房始動制御(図3参照)では、各弁6、7の閉弁制御を行い、ガスバーナBへのガス供給路201に設けられたガス電磁弁202、203およびガス比例弁204を開いてガスバーナBを点火用電極(図示なし)により点火し(ステップS101)、ガスバーナBの着火後は、HGE温度が80℃に達するまで待機する(ステップS102においてNO)。
【0042】
尚、ガスバーナBの着火後は、高温再生器1の吸収液温度(以下「HGE温度」という)を検知する吸収液温度サーミスタ211の検知温度に応じて、HGE温度が60℃より低い場合には、コールドスタートとしてガスバーナBのインプットを2500kcalの小インプットになるようにガス比例弁204、燃焼ファン205を制御し、HGE温度が60℃に達するまで待機し、HGE温度が60℃以上の場合には、インプットを4800kcalにするように、ガス比例弁204、燃焼ファン205を制御し、その後、HGE温度が80℃に達するまで待機する。
【0043】
HGE温度が80℃に達すると(ステップS102においてYES)、冷却水ポンプP2を駆動する(ステップS103)。
その後、HGE温度が100℃に達するまで待機する(ステップS104においてNO)。
【0044】
HGE温度が100℃に達すると(ステップS104においてYES)、記憶された運転操作信号により前回の運転が暖房運転であったか否かを判別し(ステップS105)、その判別結果に応じてタンデムポンプを駆動する。尚、冷媒液貯留部53の液位又は吸収液濃度を検出するセンサを設けて、検出値によって前回の運転を判別してもよい。
前回の運転が暖房運転であった場合には(YES)、後述するHGE温度に基づいて決定される通常制御回転数Nsよりかさ上げした増加制御回転数Nzでタンデムポンプを駆動する(ステップS106)。このステップS106においてかさ上げされた増加制御回転数Nzは、例えば、一定回転数nを加算して設定されたもの(加算値増加回転数)や、通常制御回転数Nsに所定の係数k(例えば1.00<k<1.20)を乗じた回転数(乗算値増加回転数)として設定することができる。
増加制御回転数Nzによってタンデムポンプを駆動する期間は、HGE温度が130℃に上昇するまで行い(ステップS107においてNO)、HGE温度が130℃に達したとき(ステップS107においてYES)、ステップS108へ移行する。
【0045】
ステップS105において、前回の運転が冷房運転であった場合には(NO)、HGE温度に比例して決定される通常制御回転数Nsによって制御する(ステップS108)。この通常制御回転数Nsは、凝縮器5の冷媒液貯留部53内に十分な量の冷媒液が貯留されて、吸収サイクル全体の平均吸収液濃度が高くなって吸収サイクルが安定した状態で、吸収液ポンプP1を駆動するのに最も適した特性として設定されたものである。
また、上述の増加制御回転数Nzは、通常制御回転数Nsの特性に対して、例えば、一定回転数nを加算する場合であれば、図4に示すように、実線Xで示される通常制御回転数Nsの特性を、図4の破線Yに示すように、HGE温度が130℃に上昇するまで実線Xを一定回転数n分だけ平行移動した特性として表されるものである。
【0046】
ステップS106、ステップS108においてタンデムポンプ110が駆動されることによって、吸収サイクル内を吸収液が循環し、吸収器3において吸収液が冷媒蒸気を吸収し、蒸発器4において冷媒液が蒸発すると、蒸発コイル41内を循環する冷温水の温度が次第に低下する。
【0047】
その後、室内機RUに供給される冷温水の温度を検知する冷温水温度サーミスタ(図示なし)の検知温度が、所定の制御移行温度Tp(コールドスタートの場合には10℃、ホットスタートの場合には9℃)以下に低下するまでは(ステップS109においてNO)そのままのインプット(4800kcal)を継続し、制御移行温度Tp以下に低下すると(ステップS109においてYES)、冷房比例制御に移行する(ステップS200)。
【0048】
冷房比例制御では、室内機RUに供給される冷温水の温度を検知して、この冷温水温度が7℃になるようにガス比例弁204、燃焼ファン205を制御して、ガスバーナBのインプットを制御する。他方、タンデムポンプの回転数を、高温再生器1内のHGE温度を検知する吸収液温度サーミスタ211の検知温度に基づいて、比例制御する。
さらに、冷却塔CTから吸収コイル31へ供給される冷却水の温度が、31.5℃になるように、送風機Sの回転数を制御する。
【0049】
尚、冷房比例制御中には、冷温水の温度が5℃以下になった場合に、吸収サイクルの能力を下げるために、ガスバーナBを消火して希釈運転を行い、また、室内温度が設定温度より下がった場合にも、ガスバーナBを消火して所定の希釈運転を行い、各条件が解除された場合に、再び、能力制御を再開する。
リモコンにより、冷房運転の停止が指示された場合には(ステップS201においてYES)、終了用希釈運転を行う(ステップ300)。
【0050】
終了用希釈運転では、始めにガスバーナBの消火のみを行いタンデムポンプおよび冷却水ポンプP2を継続して作動させ、以後、所定のシーケンスで冷却水ポンプP2の停止、冷暖切替え弁6の開弁、タンデムポンプの停止、冷暖切替え弁6の閉弁を行い、終了用希釈運転を終える。
【0051】
一方、冷房比例制御および各希釈運転においては、蒸発器温度サーミスタ212が検出する蒸発器4内のEVA温度を常時検知して、蒸発器4のEVA温度が3℃以下になった場合には、冷媒弁7を開弁制御して、冷媒液貯留部53内の冷媒液を蒸発器4内へ速やかに供給する。これによって、蒸発・吸収ケース30内の冷媒蒸気圧力が上昇するため、蒸発器コイル41における冷媒液の蒸発を抑制することができる。この結果、蒸発コイル41の温度低下を抑制できるため、蒸発器4内の冷媒液の凍結を防止することができる。
【0052】
以上のとおり、本発明では、冷房運転を開始したとき、前回の運転が暖房運転であった場合には、吸収液ポンプP1の回転数を、HGE温度の基づいて決定される通常制御回転数Nsより高い増加制御回転数Nzに制御するため、暖房運転後であるために高温再生器1内の吸収液の濃度が低く、高温再生器1の内圧が高い場合であっても、吸収液ポンプP1の吐出圧力を高温再生器1の内圧より高く維持することができ、冷房運転時の吸収サイクルに不具合を生じることがない。上記実施例では、増加制御回転数に制御する期間をHGE温度130℃までとしたが、冷媒液貯留部53内の液位センサの検知液位が増加制御回転数終了液位に上昇するまでの期間まで、或いは、再生器1に設けた吸収液濃度センサの検知濃度が、増加制御回転数終了濃度に上昇するまでの期間までとしてもよい。
また、タイマにより設定された時間の間としてもよい。
上記実施例では、冷房運転の開始後、タンデムポンプの駆動開始時点で、前回の運転が暖房運転であったか否かを判別する例を示したが、冷房運転の開始指示があった直後に、暖房運転であったか否かを判別してもよい。
【0053】
上記実施例では、終了希釈運転において、タンデムポンプの停止とともに冷暖切替え弁6を閉弁させるようにしたが、冷暖切替え弁6の閉弁をタンデムポンプの停止から数秒(例えば10秒程度)遅らせてもよい。
上記実施例では、室外機100に対して、単一の室内機RUのみを設けたものを示したが、複数の室内機RUを室外機100の蒸発コイル41に対して並列に接続してもよい。
室内機RUに空調熱交換器44のみを設けたものを示したが、室内温度を下げないで除湿運転を行うために、空調熱交換器44で一旦冷却した空気を加熱する加熱用熱交換器を空調熱交換器44と並設させるようにしてもよい。
上記実施例では、2重効用式で説明したが、1重効用式でもよい。また、加熱源としては、石油バーナや、電気ヒータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す空調装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例の制御装置における冷房運転の制御動作の概略を説明するための流れ図である。
【図3】本発明の実施例の制御装置における冷房運転における始動制御を説明するための流れ図である。
【図4】本発明の実施例の制御装置におけるタンデムポンプの制御特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
2 低温再生器
3 吸収器
4 蒸発器
41 蒸発コイル(熱交換用配管)
44 空調熱交換器(空調用熱交換器)
47 冷温水流路(冷温水循環回路)
5 凝縮器
52 冷媒液受け部
53 冷媒液貯留部
6 冷暖切替え弁
7 冷媒弁(冷媒蒸気電磁弁)
200 制御装置(吸収式空調装置の制御装置、運転制御手段)
211 吸収液温度サーミスタ(吸収液温度検知手段)
B ガスバーナ(加熱手段)
L4 暖房用吸収液流路
P1 吸収液ポンプ
RU 室内機
S105 ステップS105(暖房運転終了判別手段)
【発明の属する技術分野】
本発明は、臭化リチウムなどの水溶液を吸収液とする吸収サイクルを形成するとともに再生器から蒸発器へ吸収液を供給する暖房用の吸収液流路を設けて、暖房用の吸収液流路中の弁の開閉によって暖房運転と冷房運転とを切替える吸収式空調装置の制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
吸収サイクルを用いた吸収式空調装置では、冷房運転時には、吸収サイクルにおいて、再生器でバーナの加熱により沸騰した低濃度吸収液から冷媒蒸気が分離され、冷媒蒸気は凝縮器で冷却されて冷媒液となり蒸発器へ供給される。再生器で冷媒蒸気が分離されて高濃度となった吸収液は、吸収器へ供給される。吸収器と蒸発器とは連通しており、冷媒液は蒸発器で蒸発して熱を奪って冷却源を形成し、蒸発器内に配した冷温水配管内を循環する冷温水を冷却して、室内機の空調用熱交換器に循環させることで、室内の冷房を行う。
吸収液は吸収器で冷媒蒸気(蒸発器で気化したもの)を吸収し、このときの発熱を外部へ排出するために、吸収器内には熱交換用配管が設けられていて、冷却水ポンプによって供給される冷却水の通過によって外部へ排熱される。
【0003】
暖房運転時には、上記構成の吸収サイクルとは別に再生器と蒸発器とを連絡する吸収液流路中の冷暖切替え弁を開弁し、バーナで加熱された吸収液を蒸発器内へ供給することにより、蒸発器内の冷温水配管を通過する冷温水を加熱して室内機へ循環させる。
【0004】
上記構成において、各運転を制御する制御装置は、吸収サイクル内で吸収液を吸収器から再生器へ戻すための吸収液ポンプを、冷房運転時には、吸収液ポンプの吐出側となる再生器内の吸収液温度に応じた回転数に制御し、暖房運転時には、吸収液ポンプを一定の回転数に制御する。冷暖切替え弁は、冷房運転時には、閉弁されている。
このように、冷房運転時には、吸収液ポンプの回転数を再生器内の吸収液温度に応じた回転数に制御するが、これは、再生器内の圧力に抗して吸収液を吐出する吸収液ポンプの吐出圧力を、適切に制御するためであり、吸収サイクルが定常状態に達したときには、再生器内の圧力が再生器内の吸収液温度に比例することに基づくものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
上記のように、冷房運転と暖房運転とを切替えによって行うようにした吸収式空調装置では、冷房運転に適した吸収液濃度で暖房運転を行うと、加熱された吸収液が各所で晶析する恐れがある。このため、従来では、冷媒である水の量を多くして、装置内に投入される吸収液の濃度を冷房運転に適した濃度より低く抑え、また凝縮器で冷却されて生じた冷媒液を凝縮器内に一時的に貯留できるように、凝縮器内には容器状の冷媒液貯留部が設けられている。
【0006】
これにより、冷房運転時に吸収サイクル内を吸収液が循環する際には、凝縮器で冷却されて生じた冷媒液がそのまま蒸発器へすべて供給されるのではなく、凝縮器内で貯留されることによって、吸収サイクル内の吸収液濃度を高くして冷房能力を確保し、暖房運転時には、冷媒液貯留部と蒸発器とを連通させることによって、冷媒液貯留部内の冷媒液をすべて蒸発器内へ供給することによって、吸収液の濃度を下げて上記晶析を防止している。
【0007】
再生器内の圧力は、吸収液の濃度が一定であればその温度に比例したものであるが、同じ温度であっても、吸収液の濃度が異なると沸点が変化するため、濃度が低い場合ほど実際の圧力は高くなる。
このため、暖房運転を行った後に冷房運転を行う場合には、吸収液の濃度が冷房運転に適した濃度より低くなっていて、実際の圧力が高くなっているにも拘らず、再生器内の吸収液温度に基づいた回転数で吸収液ポンプを駆動することになるため、再生器内の圧力に対して吸収液ポンプの吐出圧が小さくなり、確実な作動をしない場合が生じる恐れがある。
【0008】
本発明は、暖房運転から冷房運転への切替え時にも、確実な作動を維持できる吸収式空調装置の制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、請求項1は、冷媒を含む吸収液を加熱手段により加熱して吸収液から冷媒蒸気を分離させる再生器と、該再生器によって分離した前記冷媒蒸気を冷却して凝縮させるとともに、凝縮によって生じた冷媒液を貯留する冷媒液貯留部が設けられた凝縮器と、該凝縮器の前記冷媒液貯留部に貯留された冷媒液を低圧下で蒸発させて冷却源とする蒸発器と、前記再生器で前記冷媒蒸気が分離された吸収液に、前記蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を吸収させる吸収器と、前記吸収器から前記再生器へ吸収液を戻すための吸収液ポンプとから吸収サイクルを形成し、室内機に設けられた空調用熱交換器との間で冷温水を循環させるための冷温水循環回路を形成した熱交換用配管を前記蒸発器内に配するとともに、冷房運転と暖房運転とを切り替えるための冷暖切替え弁を備えた暖房用吸収液流路により前記再生器と前記蒸発器とを接続した吸収式空調装置であって、冷房運転時には前記冷暖切替え弁を閉弁制御し、暖房運転時には前記冷暖切替え弁を開弁制御することによって、冷房運転と暖房運転とを切替える運転制御手段を具備する吸収式空調装置の制御装置において、前記運転制御手段は、前記再生器の吸収液温度を検知する吸収液温度検知手段と、冷房運転の開始時に、前回終了された運転が暖房運転か否かを判別する暖房運転終了判別手段とを備え、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が冷房運転であると判別された場合には、冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される通常制御回転数に制御し、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合には、冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数より所定回転数高い増加制御回転数に制御することを技術的手段とする。
【0010】
これにより、請求項1では、冷房運転が行われると、吸収サイクル内で吸収液が循環し、また、吸収液から分離された冷媒は、凝縮器から蒸発器、吸収器へと循環する。この冷媒の循環路である凝縮器には、凝縮によって生じた冷媒液を貯留する冷媒液貯留部が設けられているため、吸収器から再生器へと戻される吸収液の濃度は、凝縮器の冷媒液貯留部に貯留された冷媒液の分だけ濃縮された状態にある。
逆に、暖房運転が行われた場合には、再生器で加熱された吸収液は、再生器から蒸発器へ直接供給されて、吸収器を経て再び再生器へと戻され、凝縮器等の吸収サイクル内を循環しない。従って、暖房運転時には、吸収器及び再生器内の吸収液の濃度は、冷房運転時と比べて薄くなっている。
【0011】
吸収液の濃度が上記の通り変化する吸収サイクルの再生器内では、加熱手段によって加熱された吸収液が沸騰するとき、吸収液の濃度に応じて沸点が変化するため、吸収液の温度が同じであっても再生器内の圧力には差が生じ、濃度が薄い場合には、再生器内の圧力は高くなり、濃度が高い場合には圧力は低くなる。
【0012】
冷房運転が開始されるとき、前回の運転が冷房運転であった場合には、吸収器および再生器内の吸収液濃度は、凝縮器内の冷媒液貯留部に冷媒液が貯留されていない場合(前回が暖房運転のとき)と比べて濃くなっていて、運転開始後も、その濃度は変化しない。
従って、この冷房運転における吸収液温度に基づいて吸収液ポンプの回転数を設定しておくことで、冷房運転が行われる場合には、吸収液ポンプの吐出圧力を常に再生器内の圧力に対抗して十分高い吐出圧力に制御することができる。
【0013】
一方、暖房運転が行われた後に、冷房運転を行う場合には、運転初期において、吸収器および再生器内の吸収液の濃度が低くなっていて、再生器内の圧力は、同じ温度における冷房運転時の圧力と比較して高くなる。
この場合には、吸収液ポンプの回転数を、冷房運転時に通常制御回転数より所定回転数だけ高くした増加制御回転数に制御する。これによって、吸収液ポンプの吐出圧力を冷房運転時より高くなった再生器内の圧力に対抗して十分高くすることができる。
従って、確実に冷房運転を開始することができる。
【0014】
冷房運転を開始してから吸収サイクル内が安定するまでは、増加制御回転数に制御する。
あらかじめ決められた条件に達したとき、吸収液ポンプの回転数を、吸収液温度検知手段の検知に基づく通常制御回転数に切り替えることにより、過剰な吐出圧力のまま、継続して冷房運転が行われることがない。
【0015】
請求項2では、請求項1において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定回転数を加算した加算値増加回転数に制御することを技術的手段とする。
【0016】
請求項3では、請求項1において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定係数を乗じた乗算値増加回転数に制御することを技術的手段とする。
【0017】
通常制御回転数に対して、増加させる増加制御回転数の設定としては、吸収液温度検知手段によって検知される吸収液温度に基づいて決定される通常制御回転数に、一定回転数を加算した加算値制御回転数としたり、通常制御回転数に一定係数を乗じた乗算値増加回転数にしたりすることができる。
これらは、吸収サイクルの能力、吸収液量などに応じて、適宜設定することができる。
【0018】
請求項4では、請求項1から3において、前記運転制御手段は、前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において前記吸収液ポンプを前記増加制御回転数に制御する期間を、前記再生器の吸収液温度が増加回転数終了温度に上昇するまでの期間とすることを技術的手段とする。
増加制御回転数に制御する期間を、再生器内の吸収液温度に基づいて設定することによって、吸収サイクル内が安定した状態で通常制御回転数に移行させることができるため、暖房運転後の冷房運転であても、安定した冷房運転を確保できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に関わる吸収式空調装置の実施例を示す。
吸収式空調装置は、冷凍装置としての室外機100と室内機RUとからなり、室外機100は、冷凍機本体101と冷却塔(クーリングタワー)CTとから構成される。なお、空調装置は、制御装置200により制御される。
【0020】
冷凍機本体101は、主にステンレスによって成形され、冷媒及び吸収液としての臭化リチウム水溶液の吸収サイクルを形成するもので、Bは加熱手段としてのガスバーナ、1は高温再生器、2は低温再生器、3は吸収器、4は蒸発器、5は凝縮器であり、吸収液内には、ステンレスと臭化リチウムとの反応による腐食を抑制するためのインヒビターが含まれている。
【0021】
高温再生器1では、加熱タンク11の内部に供給された低濃度吸収液をガスバーナBによって加熱し、中濃度吸収液分離筒12と吸収液仕切り容器13との間に形成された筒状の吸収液上昇流路14を加熱された吸収液が上昇すると、加熱により低濃度吸収液中の冷媒としての水が蒸発して冷媒蒸気(水蒸気)として分離して、冷媒蒸気の蒸発により濃化した中濃度吸収液は、吸収液戻し板15によって内側へ方向を転換されて吸収液仕切り容器13内へ戻される。
【0022】
冷媒が分離されて高濃度化された中濃度吸収液は、吸収液仕切り容器13の側部に開口した中濃度吸収液流路L1から、低温再生器2へ供給される。
また、分離した冷媒蒸気は冷媒回収タンク10で回収されて、冷媒流路L5により凝縮器5へ供給される。
尚、吸収液仕切り容器13の底部には、暖房運転時に、加熱された吸収液を蒸発器4内へ供給するための暖房用吸収液流路L4の流入口が開口している。
【0023】
冷媒回収タンク10内の下部内側には、冷媒仕切り筒17が中濃度吸収液分離筒12に接合されていて、中濃度吸収液分離筒12との間に断熱用間隙17aを形成しているため、中濃度吸収液分離筒12内の熱が遮断され、冷媒回収タンク10内の冷媒が、吸収液上昇流路14内の高温の吸収液によって加熱されることがない。
冷媒回収タンク10は、冷媒仕切り筒17の外側が、分離された冷媒液を貯留する冷媒貯留部10aとなっており、冷媒貯留部10aに貯留された冷媒は、冷媒流路L5から凝縮器5へ供給される。
尚、高温再生器1の加熱タンク11には、内部の吸収液温度を検知するための吸収液温度サーミスタ211が備えられている。
【0024】
低温再生器2では、途中に熱交換器Hを通過する中濃度吸収液流路L1によって供給される中濃度吸収液が、低温再生器ケース20の天井から流入して冷媒回収タンク10の外壁を熱源として再加熱され、気液分離部22で冷媒蒸気と高濃度吸収液とに分離され、冷媒蒸気は、冷媒蒸気出口21および隙間5Aから凝縮器ケース50内へ、高濃度吸収液は、高濃度吸収液受け部23に貯留され、高濃度吸収液流路L2により吸収器3へ供給される。
【0025】
尚、中濃度吸収液流路L1中には、吸収液仕切り容器13から低温再生器2へ流れる中濃度吸収液の流量を制限するためのオリフィス(図示なし)が設けられていて、低温再生器ケース20内へは中濃度吸収液分離筒12との圧力差により中濃度吸収液が供給される。(低温再生器ケース20内では、約70mmHg、中濃度吸収液分離筒12内では約700mmHg)
【0026】
吸収器3は、蒸発・吸収ケース30内に銅管を縦型円筒状に巻設され内部を排熱用冷却水が流れる吸収管としてコイル状に巻かれた吸収コイル31が捲回されており、高濃度吸収液流路L2により低温再生器2の高濃度吸収液受け部23から供給される高濃度吸収液が圧力差により流入して、高濃度吸収液散布具32により吸収コイル31の上端に散布され、吸収コイル31の表面に付着して薄膜状になり、重力の作用で下方に流下し、水蒸気を吸収して低濃度吸収液となる。この水蒸気を吸収する際に吸収コイル31の表面で発熱するが、吸収コイル31を循環する排熱用冷却水により冷却される。
尚、吸収液に吸収される水蒸気は、後述する蒸発器4で冷媒蒸気として発生したものである。
【0027】
吸収器3内の低濃度吸収液は、吸収液ポンプP1の作動により、底部33から、熱交換器Hおよび吸収液ポンプP1が装着された低濃度吸収液流路L3によって加熱タンク11内へ供給される。
また吸収コイル31内には、冷房運転時に、冷却塔CTで冷却された排熱用冷却水が、凝縮器5の冷却コイル51を介して循環する。
【0028】
蒸発器4は、蒸発・吸収ケース30内の吸収コイル31の外周に設けた縦型円筒形で多数の連通口(図示なし)付きの仕切り板40の外周に、内部を冷暖房用の冷温水が流れる銅管からなる縦型円筒形の蒸発コイル41を配設し、その上方に冷媒液散布具42を取り付けてなる。尚、蒸発器4の底部43は、電磁式の冷暖切替え弁6を有する暖房用吸収液流路L4により中濃度吸収液分離筒12内の吸収液仕切り容器13の底部と連通している。
【0029】
以上の構成により、蒸発器4では、冷房運転時に冷媒液散布具42より冷媒液(水)を蒸発コイル41の上に流下させると、流下された冷媒液は、表面張力で蒸発コイル41の表面を濡らして膜状となり、重力の作用で下方へ降下しながら低圧(例えば、6.5mmHg)となっている蒸発・吸収ケース30内で蒸発コイル41から気化熱を奪って蒸発し、蒸発コイル41内を流れる空調用の冷温水を冷却する。
尚、蒸発器4内には、蒸発器4内のEVA温度を検知するための蒸発器温度サーミスタ212が備えられている。
【0030】
凝縮器5では、凝縮器ケース50内には、冷却コイル51によって冷却された冷媒蒸気が液化した冷媒液を凝縮器ケース50の底から浮かした位置で受けるための皿状の冷媒液受け部52が設けられていて、冷媒液受け部52は、蒸発器4の冷媒液散布具42の上方に設けられて、供給される冷媒液の自己冷却により冷媒液を冷却させる冷媒冷却器48と、冷媒液供給路L6によって連通して組付けられている。
【0031】
以上の構造を有する凝縮器5は、冷媒流量を制限するためのオリフィス(図示なし)が設けられた冷媒流路L5により冷媒回収タンク10の冷媒貯留部10aと連通するとともに、冷媒蒸気出口21および隙間5Aを介して低温再生器2とも連通しており、いずれも圧力差(凝縮器ケース内では約70mmHg)により冷媒が供給される。
冷房運転時において、凝縮器ケース50内に供給された冷媒蒸気は、冷却コイル51により冷却されて液化し、凝縮器5の下部に設けられた冷媒液受け部52から蒸発器4内に配置された冷媒液冷却器48へ冷媒液供給路L6を介して供給される。
冷媒液受け部52をオーバーフローした冷媒液は、凝縮器ケース50の底によって形成される冷媒液貯留部53に貯留され、冷房運転時に吸収サイクルを循環する吸収液の濃度を実質的に高く維持して、冷房性能を確保している。そして、冷媒液貯留部53と冷媒冷却器48とは、冷媒弁7を備えた冷媒液流路L7によって連通しており、冷媒液の凍結の恐れのある場合に、冷媒弁7の開弁制御によって蒸発器4に冷媒液が供給されて、蒸発器4内の蒸気圧を高くすることにより凍結を防止する。
また、暖房運転の開始時にも、冷媒弁7が開弁されて、冷房運転時に冷媒液貯留部53内に貯留された冷媒液が全て蒸発器4内へ供給され、暖房運転時に加熱されて循環する吸収液の濃度を低く維持して晶析が防止される。
【0032】
以上の構成により、冷房運転時において、吸収液は、高温再生器1→中濃度吸収液流路L1→低温再生器2→高濃度吸収液流路L2→高濃度吸収液散布具32→吸収器3→吸収液ポンプP1→低濃度吸収液流路L3→高温再生器1の順に循環する。
また、冷媒は、高温再生器1(冷媒蒸気)→冷媒流路L5(冷媒蒸気)又は低温再生器2(冷媒蒸気)→凝縮器5(冷媒液)→冷媒供給路L6(冷媒液)又は冷媒液流路L7(冷媒液)→冷媒冷却器48→冷媒液散布具42(冷媒液)→蒸発器4(冷媒蒸気)→吸収器3(吸収液)→吸収液ポンプP1→低濃度吸収液流路L3→高温再生器1の順に循環する。
【0033】
上記、吸収液と熱交換する吸収器3の吸収コイル31と凝縮器5の冷却コイル51は、接続されて連続コイルを形成しており、連続コイルは、冷却水流路34によって冷却塔CTと接続されて冷却水循環路を形成している。
この冷却水循環路において、吸収コイル31の入口と冷却塔CTとの間の冷却水流路34には、連続コイル内へ冷却水を送り込むための冷却水ポンプP2が設けられており、冷却水ポンプP2の作動により連続コイルを通過する冷却水は、吸収コイル31で吸収熱を、冷却コイル51で凝縮熱をそれぞれ吸熱して比較的高温となって、冷却塔CTに供給される。
【0034】
上記の構成により、冷房運転時には、冷却水ポンプP2の作動により冷却塔CT内の冷却水が、冷却塔CT→冷却水ポンプP2→吸収コイル31→冷却コイル51→冷却塔CTの順に循環する。
冷却塔CTでは、落下する冷却水を大気中に一部蒸発させて、残りの冷却水を冷却する自己冷却がなされており、冷却水は、大気中に放熱して低温度になる排熱サイクルを形成している。なお、送風機Sからの送風により、水の蒸発を促進させている。
【0035】
蒸発器4の蒸発コイル41には、室内機RUに設けられた空調熱交換器44が冷温水流路47で連結されていて、冷温水流路47には、冷温水ポンプP3が設けられている。
以上の構成により、蒸発コイル41で低温度となった冷温水は、蒸発コイル41→冷温水流路47→空調熱交換器44→冷温水流路47→冷温水ポンプP3→蒸発コイル41の順で循環する。
【0036】
室内機RUには、空調熱交換器44が設けられているとともに、この熱交換器44に対して、室内空気を通過させて再び室内へ吹き出すブロワ46が備えられている。
【0037】
暖房用吸収液流路L4および冷暖切替え弁6は暖房運転用に設けられたもので、暖房運転時には冷暖切替え弁6を開弁し、吸収液ポンプP1を作動させる。
これにより、中濃度吸収液分離筒12内の吸収液仕切り容器13内の高温度の中濃度吸収液が蒸発器4内へ流入し、中濃度吸収液の高温蒸気(冷媒蒸気)によって、蒸発コイル41内の冷温水が加熱され、加熱された蒸発コイル41内の冷温水は、冷温水ポンプP3の作動により冷温水流路47から空調用熱交換器44へ供給され、暖房の熱源となる。
蒸発器4内の中濃度吸収液は、仕切り板40の連通口から吸収器3側へ入り、低濃度吸収液流路L3を経て、吸収液ポンプP1により加熱タンク11へ戻される。
【0038】
以上の構成からなる本実施例の空調装置では、吸収サイクルにおいて吸収液を循環させるための吸収液ポンプP1と、蒸発器コイル41で冷却または加熱された冷温水を冷温水流路47によって室内機RUの空調用熱交換器44に循環させるための冷温水ポンプP3とが、同一のモータによって駆動されるタンデムポンプとして構成されていて、常に吸収液ポンプP1と冷温水ポンプP3とが同時に同一回転数で回転する。
【0039】
次に、空調装置を制御する制御装置200の制御動作について説明する。
制御装置200は、ガスバーナBの燃焼制御、吸収液ポンプP1及び冷温水ポンプP3を駆動するタンデムポンプの制御、冷温水ポンプP2の制御、冷却塔CTの送風機Sの回転制御、室内機RUのブロワ46の制御、吸収サイクル内に設けられた各弁6、7の制御等により、空調装置の冷房運転、暖房運転の各制御を行う。以下では、図2から図4に基づいて冷房運転についての説明のみを行い、暖房運転については説明を省略する。
【0040】
[冷房運転制御]
リモコン(図示なし)等の操作によって冷房運転が開始されると、所定の冷房始動制御(S100)を行い、その後、冷房比例運転(ステップS200)へ移行し、使用者による冷房運転終了の操作が行われると(ステップS201においてYES)、終了用希釈運転(S300)に移行する。
【0041】
冷房始動制御(図3参照)では、各弁6、7の閉弁制御を行い、ガスバーナBへのガス供給路201に設けられたガス電磁弁202、203およびガス比例弁204を開いてガスバーナBを点火用電極(図示なし)により点火し(ステップS101)、ガスバーナBの着火後は、HGE温度が80℃に達するまで待機する(ステップS102においてNO)。
【0042】
尚、ガスバーナBの着火後は、高温再生器1の吸収液温度(以下「HGE温度」という)を検知する吸収液温度サーミスタ211の検知温度に応じて、HGE温度が60℃より低い場合には、コールドスタートとしてガスバーナBのインプットを2500kcalの小インプットになるようにガス比例弁204、燃焼ファン205を制御し、HGE温度が60℃に達するまで待機し、HGE温度が60℃以上の場合には、インプットを4800kcalにするように、ガス比例弁204、燃焼ファン205を制御し、その後、HGE温度が80℃に達するまで待機する。
【0043】
HGE温度が80℃に達すると(ステップS102においてYES)、冷却水ポンプP2を駆動する(ステップS103)。
その後、HGE温度が100℃に達するまで待機する(ステップS104においてNO)。
【0044】
HGE温度が100℃に達すると(ステップS104においてYES)、記憶された運転操作信号により前回の運転が暖房運転であったか否かを判別し(ステップS105)、その判別結果に応じてタンデムポンプを駆動する。尚、冷媒液貯留部53の液位又は吸収液濃度を検出するセンサを設けて、検出値によって前回の運転を判別してもよい。
前回の運転が暖房運転であった場合には(YES)、後述するHGE温度に基づいて決定される通常制御回転数Nsよりかさ上げした増加制御回転数Nzでタンデムポンプを駆動する(ステップS106)。このステップS106においてかさ上げされた増加制御回転数Nzは、例えば、一定回転数nを加算して設定されたもの(加算値増加回転数)や、通常制御回転数Nsに所定の係数k(例えば1.00<k<1.20)を乗じた回転数(乗算値増加回転数)として設定することができる。
増加制御回転数Nzによってタンデムポンプを駆動する期間は、HGE温度が130℃に上昇するまで行い(ステップS107においてNO)、HGE温度が130℃に達したとき(ステップS107においてYES)、ステップS108へ移行する。
【0045】
ステップS105において、前回の運転が冷房運転であった場合には(NO)、HGE温度に比例して決定される通常制御回転数Nsによって制御する(ステップS108)。この通常制御回転数Nsは、凝縮器5の冷媒液貯留部53内に十分な量の冷媒液が貯留されて、吸収サイクル全体の平均吸収液濃度が高くなって吸収サイクルが安定した状態で、吸収液ポンプP1を駆動するのに最も適した特性として設定されたものである。
また、上述の増加制御回転数Nzは、通常制御回転数Nsの特性に対して、例えば、一定回転数nを加算する場合であれば、図4に示すように、実線Xで示される通常制御回転数Nsの特性を、図4の破線Yに示すように、HGE温度が130℃に上昇するまで実線Xを一定回転数n分だけ平行移動した特性として表されるものである。
【0046】
ステップS106、ステップS108においてタンデムポンプ110が駆動されることによって、吸収サイクル内を吸収液が循環し、吸収器3において吸収液が冷媒蒸気を吸収し、蒸発器4において冷媒液が蒸発すると、蒸発コイル41内を循環する冷温水の温度が次第に低下する。
【0047】
その後、室内機RUに供給される冷温水の温度を検知する冷温水温度サーミスタ(図示なし)の検知温度が、所定の制御移行温度Tp(コールドスタートの場合には10℃、ホットスタートの場合には9℃)以下に低下するまでは(ステップS109においてNO)そのままのインプット(4800kcal)を継続し、制御移行温度Tp以下に低下すると(ステップS109においてYES)、冷房比例制御に移行する(ステップS200)。
【0048】
冷房比例制御では、室内機RUに供給される冷温水の温度を検知して、この冷温水温度が7℃になるようにガス比例弁204、燃焼ファン205を制御して、ガスバーナBのインプットを制御する。他方、タンデムポンプの回転数を、高温再生器1内のHGE温度を検知する吸収液温度サーミスタ211の検知温度に基づいて、比例制御する。
さらに、冷却塔CTから吸収コイル31へ供給される冷却水の温度が、31.5℃になるように、送風機Sの回転数を制御する。
【0049】
尚、冷房比例制御中には、冷温水の温度が5℃以下になった場合に、吸収サイクルの能力を下げるために、ガスバーナBを消火して希釈運転を行い、また、室内温度が設定温度より下がった場合にも、ガスバーナBを消火して所定の希釈運転を行い、各条件が解除された場合に、再び、能力制御を再開する。
リモコンにより、冷房運転の停止が指示された場合には(ステップS201においてYES)、終了用希釈運転を行う(ステップ300)。
【0050】
終了用希釈運転では、始めにガスバーナBの消火のみを行いタンデムポンプおよび冷却水ポンプP2を継続して作動させ、以後、所定のシーケンスで冷却水ポンプP2の停止、冷暖切替え弁6の開弁、タンデムポンプの停止、冷暖切替え弁6の閉弁を行い、終了用希釈運転を終える。
【0051】
一方、冷房比例制御および各希釈運転においては、蒸発器温度サーミスタ212が検出する蒸発器4内のEVA温度を常時検知して、蒸発器4のEVA温度が3℃以下になった場合には、冷媒弁7を開弁制御して、冷媒液貯留部53内の冷媒液を蒸発器4内へ速やかに供給する。これによって、蒸発・吸収ケース30内の冷媒蒸気圧力が上昇するため、蒸発器コイル41における冷媒液の蒸発を抑制することができる。この結果、蒸発コイル41の温度低下を抑制できるため、蒸発器4内の冷媒液の凍結を防止することができる。
【0052】
以上のとおり、本発明では、冷房運転を開始したとき、前回の運転が暖房運転であった場合には、吸収液ポンプP1の回転数を、HGE温度の基づいて決定される通常制御回転数Nsより高い増加制御回転数Nzに制御するため、暖房運転後であるために高温再生器1内の吸収液の濃度が低く、高温再生器1の内圧が高い場合であっても、吸収液ポンプP1の吐出圧力を高温再生器1の内圧より高く維持することができ、冷房運転時の吸収サイクルに不具合を生じることがない。上記実施例では、増加制御回転数に制御する期間をHGE温度130℃までとしたが、冷媒液貯留部53内の液位センサの検知液位が増加制御回転数終了液位に上昇するまでの期間まで、或いは、再生器1に設けた吸収液濃度センサの検知濃度が、増加制御回転数終了濃度に上昇するまでの期間までとしてもよい。
また、タイマにより設定された時間の間としてもよい。
上記実施例では、冷房運転の開始後、タンデムポンプの駆動開始時点で、前回の運転が暖房運転であったか否かを判別する例を示したが、冷房運転の開始指示があった直後に、暖房運転であったか否かを判別してもよい。
【0053】
上記実施例では、終了希釈運転において、タンデムポンプの停止とともに冷暖切替え弁6を閉弁させるようにしたが、冷暖切替え弁6の閉弁をタンデムポンプの停止から数秒(例えば10秒程度)遅らせてもよい。
上記実施例では、室外機100に対して、単一の室内機RUのみを設けたものを示したが、複数の室内機RUを室外機100の蒸発コイル41に対して並列に接続してもよい。
室内機RUに空調熱交換器44のみを設けたものを示したが、室内温度を下げないで除湿運転を行うために、空調熱交換器44で一旦冷却した空気を加熱する加熱用熱交換器を空調熱交換器44と並設させるようにしてもよい。
上記実施例では、2重効用式で説明したが、1重効用式でもよい。また、加熱源としては、石油バーナや、電気ヒータを用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例を示す空調装置の概略構成図である。
【図2】本発明の実施例の制御装置における冷房運転の制御動作の概略を説明するための流れ図である。
【図3】本発明の実施例の制御装置における冷房運転における始動制御を説明するための流れ図である。
【図4】本発明の実施例の制御装置におけるタンデムポンプの制御特性を示す特性図である。
【符号の説明】
1 高温再生器
2 低温再生器
3 吸収器
4 蒸発器
41 蒸発コイル(熱交換用配管)
44 空調熱交換器(空調用熱交換器)
47 冷温水流路(冷温水循環回路)
5 凝縮器
52 冷媒液受け部
53 冷媒液貯留部
6 冷暖切替え弁
7 冷媒弁(冷媒蒸気電磁弁)
200 制御装置(吸収式空調装置の制御装置、運転制御手段)
211 吸収液温度サーミスタ(吸収液温度検知手段)
B ガスバーナ(加熱手段)
L4 暖房用吸収液流路
P1 吸収液ポンプ
RU 室内機
S105 ステップS105(暖房運転終了判別手段)
Claims (4)
- 冷媒を含む吸収液を加熱手段により加熱して吸収液から冷媒蒸気を分離させる再生器と、
該再生器によって分離した前記冷媒蒸気を冷却して凝縮させるとともに、凝縮によって生じた冷媒液を貯留する冷媒液貯留部が設けられた凝縮器と、
該凝縮器の前記冷媒液貯留部に貯留された冷媒液を低圧下で蒸発させて冷却源とする蒸発器と、
前記再生器で前記冷媒蒸気が分離された吸収液に、前記蒸発器で蒸発した冷媒蒸気を吸収させる吸収器と、
前記吸収器から前記再生器へ吸収液を戻すための吸収液ポンプとから吸収サイクルを形成し、
室内機に設けられた空調用熱交換器との間で冷温水を循環させるための冷温水循環回路を形成した熱交換用配管を前記蒸発器内に配するとともに、
冷房運転と暖房運転とを切り替えるための冷暖切替え弁を備えた暖房用吸収液流路により前記再生器と前記蒸発器とを接続した吸収式空調装置であって、
冷房運転時には前記冷暖切替え弁を閉弁制御し、暖房運転時には前記冷暖切替え弁を開弁制御することによって、冷房運転と暖房運転とを切替える運転制御手段を具備する吸収式空調装置の制御装置において、
前記運転制御手段は、
前記再生器の吸収液温度を検知する吸収液温度検知手段と、
冷房運転の開始時に、前回終了された運転が暖房運転か否かを判別する暖房運転終了判別手段とを備え、
前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が冷房運転であると判別された場合には、
冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される通常制御回転数に制御し、
前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合には、
冷房運転の初期制御において、前記吸収液ポンプの回転数を、前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数より所定回転数高い増加制御回転数に制御することを特徴とする吸収式空調装置の制御装置。 - 前記運転制御手段は、
前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、
前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定回転数を加算した加算値増加回転数とすることを特徴とする請求項1記載の吸収式空調装置の制御装置。 - 前記運転制御手段は、
前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において高くする前記吸収液ポンプの前記増加制御回転数を、
前記吸収液温度検知手段に検知される吸収液温度に基づいて決定される前記通常制御回転数に一定係数を乗じた乗算値増加回転数とすることを特徴とする請求項1記載の吸収式空調装置の制御装置。 - 前記運転制御手段は、
前記暖房運転終了判別手段により前回終了された運転が暖房運転であると判別された場合に、冷房運転の初期制御において前記吸収液ポンプを前記増加制御回転数に制御する期間を、
前記再生器の吸収液温度が増加回転数終了温度に上昇するまでの期間とすることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載の吸収式空調装置の制御装置。
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