JP3919943B2 - 可変舵角比操舵装置 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に搭載した可変舵角比操舵装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のパワーステアリングシステムには、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合、すなわち、舵角比を車速に応じて自動的に変化させるものがあり、例えば特開平7−257406号「車両用可変舵角比操舵装置」の技術がある。
この技術は、その公報の図1〜図3及び図8によれば、ステアリングホイール1(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に連結した入力軸11を、支持部材14にこれと偏心して回転可能に支持し、支持部材14をモータ27にて回転させることで、出力軸17に対する入力軸11の偏心量を調整するというものである。この結果、入力軸11の回転角に対する出力軸17の回転角の割合、すなわち、ステアリングハンドルの操舵角と車輪の操舵角との舵角比は、公報の図5に示すように車速に応じて変わる。
【0003】
入力軸11と出力軸17との連結構造は、その公報の図1及び図2によれば、入力軸11の下端にカプリング16を備え、カプリング16の下面に下開放台形断面の水平な溝23を形成し、溝23の斜面にスライダ21をスライド可能に嵌め(テーパによる嵌合)、スライダ21の上下貫通した孔に軸受22を介して中間軸19を嵌合し、中間軸19を出力軸17の偏心した部位に設けるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の入・出力軸11,17間の連結構造は、互いに平行な入力軸11と出力軸17とを連結するものであり、平行度を十分に高める必要がある。平行度が低いと、溝23とスライダ21の嵌合部分や、スライダ21の孔と中間軸19の嵌合部分に「こじり」が生じることによって、摩擦抵抗が大きくなるからである。さらには、摩擦抵抗を小さくするには、各部品(カプリング16、スライダ21、スライダ21の孔、軸受22並びに中間軸19)の寸法精度も十分に高める必要がある。摩擦抵抗が大きいと、円滑な作動を阻害する。
このようなことから、入・出力軸11,17を含めた各部品の寸法精度を高めるために、各部品の寸法管理を十分に行う必要があり、製造工数が増す。
【0005】
そこで、本発明の目的は、各部品の寸法精度を高めることなく摩擦抵抗の小さい入・出力軸間の連結構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1は、ステアリングハンドルから操舵トルクを受けて回転する入力軸と、操向車輪に操舵トルクを伝達する出力軸とを、互いに偏心可能に配置するとともに、出力軸に対する入力軸の偏心量を変えることにより、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合を変えるようにした可変舵角比操舵装置において、可変舵角比操舵装置が、入・出力軸とは別の第3の軸を出力軸と同心に相対回転可能に配置し、入力軸の端部と第3の軸の端部との間に回転盤を介在させ、この回転盤の一方の面と入力軸側とを、複数のボールからなる第1ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結し、また、回転盤の他方の面と第3の軸側とを、第1ボール列とは直交配列した複数のボールからなる第2ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結することにより構成した、オルダム継手構造を利用した継手によって入力軸と第3の軸とを連結し、回転盤に出力軸の偏心した部位を連結し、これら回転盤と出力軸の偏心した部位とを、第1ボール列に平行な方向にのみ相対移動可能にしたことを特徴とする。
【0007】
継手は、オルダム継手構造を利用したものであり、互いに直交する第1・第2ボール列を備えているので、入力軸と第3の軸とを互いに首振り可能に連結することができる。このため、第3の軸と入力軸との平行度が低くても、両者の連結関係は円滑である。しかも、第3の軸の端面に対して、回転盤は第2ボール列を中心にしてのみ首振り可能であり、首を振っても回転盤と出力軸の偏心した部位との連結関係は円滑である。従って、各部品の寸法精度を高めなくても、入・出力軸、第3の軸並びに回転盤の連結関係は円滑であり、摩擦抵抗は小さい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用ステアリングシステムの全体構成図である。
車両用ステアリングシステム1は、車両のステアリングハンドル2から操向車輪3,3に至るステアリング系4に、可変舵角比操舵機構10を備えた電動パワーステアリングシステムである。
詳しくは、車両用ステアリングシステム1は、ステアリングハンドル2にステアリングシャフト5、自在継手6,6を介して、操舵トルクセンサ30付き可変舵角比操舵機構10を連結したものである。
【0009】
これにより、ステアリングハンドル2で発生したステアリング系4の操舵トルクを操舵トルクセンサ30で検出し、この検出信号に基づいて制御手段7が制御信号を発生し、この制御信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを電動機12が発生し、補助トルクを可変舵角比操舵機構10のラック軸18に付加することができる。
また、車両用ステアリングシステム1は、車速センサ8で検出した車速信号と、変位センサ74で検出した可変舵角比操舵機構10の入力軸22の偏心量信号とに基づいて、制御手段7が車速に応じた舵角比制御信号を発生し、この舵角比制御信号に基づいて、舵角比制御用電動機71にて可変舵角比操舵機構10を駆動して、舵角比を制御するものである。
【0010】
図2は本発明に係る操舵トルクセンサ付き可変舵角比操舵装置の全体構成図であり、要部を断面したものである。
操舵トルクセンサ30付き可変舵角比操舵装置10は、ラックアンドピニオン機構11、電動機12、ボールねじ13を車幅方向に延びる固定ハウジング14に収納したものである。
電動機12は、固定ハウジング14の一部をなす副ハウジング14a内に収納した環状のステータ15と、ステータ15内に同心的に配置したロータ16と、ロータ16に固定した管状の出力軸17とからなる。
ラックアンドピニオン機構11のラック軸18は、出力軸17内に挿通するとともに、ボールねじ13によって出力軸17と連結したものである。
【0011】
図3は図2の3−3線断面図である。
可変舵角比操舵装置10は、固定ハウジング14内に可動ハウジング21を回転可能に支持し、可動ハウジング21内に入力軸22を回転可能に支持し、入力軸22に継手40によって出力軸23を連結し、さらに、固定ハウジング14に出力軸23を回転可能に支持したものである。可動ハウジング21の回転中心と入力軸22の回転中心とは、図表裏方向に偏心している。この偏心については、後述する。入力軸22と出力軸23とは平行であり、しかも、対向し合う端部間が所定寸法だけ離間したものである。
【0012】
可動ハウジング21は、上部可動ハウジング24と下部可動ハウジング25とを同心上に重ねてボルト結合した、複合ハウジングである。
入力軸22は、ステアリングハンドル2(図1参照)に自在継手6,6を介して連結した軸であり、直列に連結した第1入力軸部26とトーションバー27と第2入力軸部28とからなる。詳しくは、入力軸22は、管状の第1入力軸部26内にトーションバー27を挿入し、トーションバー27の上部を第1入力軸部26の上部にピン29で結合し、トーションバー27の下部を第2入力軸部28の上部にセレーション結合したものである。
トーションバー(弾性部材)27は、文字通りトルクに対して正確にねじれ角が発生するメンバーであって、操舵トルクが作用すると、第1入力軸部26と第2入力軸部28との間での相対ねじり変位を発生する。
出力軸23は、ラックアンドピニオン機構11の一部をなすピニオン23aを有し、このピニオン23aは、ラック軸18のラック18aに噛み合うものである。
【0013】
操舵トルクセンサ30は、第1入力軸部26と第2入力軸部28とに掛け渡すことで、両軸部26,28間の相対ねじれ変位に応じて軸方向へ変位可能なコア31付きスライダ32と、このスライダ32の変位量(コア31の変位量)を電気信号に変換するべく上部可動ハウジング24に取付けたコイル33とからなる、非接触式操舵トルクセンサ(可変インダクタンス式センサ)である。
更に詳しくは、円筒形状のスライダ32に傾斜溝32aと縦長のストレート溝32bとを形成し、傾斜溝32aに第1入力軸部26のピン34を嵌合し、また、ストレート溝32bに第2入力軸部28のピン35を嵌合することで、スライダ32は相対ねじり変位に応じて軸方向へ変位可能である。
【0014】
上記継手40は、入・出力軸22,23とは別の第3の軸41を、出力軸23と同心に相対回転可能に配置するとともに、オルダム継手構造を利用した継手である。以下、継手40について詳述する。
【0015】
出力軸23は上端部に、上開放の有底の支持孔23bを開け、この支持孔23bにて第3の軸41を相対回転可能に支持したものである。
第2入力軸部28(入力軸22)は、第3の軸41と対向する端部に、フランジ42を一体に形成し、このフランジ42と第3の軸41の上端面41a(端部)との間に、円盤状の回転盤43を介在させたものである。
フランジ42の面と回転盤43の一方の面43aとは、図の左右方向に延びて互いに対向し合う横1列の第1連結溝42a,43bを形成したものである。これらの第1連結溝42a,43bに嵌合する第1ボール列44を介して、入力軸22側と回転盤43の一方の面43aとは、互いに回転盤43の径方向へスライド可能に連結したものである。
また、第3の軸41の上端面41aと回転盤43の他方の面43cとは、図の表裏方向に延びて互いに対向し合う横1列の第2連結溝41b,43dを形成したものである。これらの第2連結溝41b,43dに嵌合する第2ボール列45を介して、第3の軸41側と回転盤43の他方の面43cとは、互いに回転盤43の径方向へスライド可能に連結したものである。
【0016】
第1連結溝42a,43bと第2連結溝41b,43dとは、互いに直交配列したものであり、このため、第1ボール列44と第2ボール列45とは、互いに直交配列になる。このような連結構造により、入力軸22と第3の軸41とは互いに連結関係になる。第1・第2ボール列44,45は、1列に並べた複数のボール46…(…は複数を示す。以下同じ。)からなる。
【0017】
回転盤43は他方の面43cに、第1ボール列44に平行な方向へ延びる下開放の第3連結溝43eを形成し、この第3連結溝43eに出力軸23の連結ピン23cを嵌合したものである。連結ピン23cは、出力軸23の偏心した部位から上方へ延びる円柱状のピンであり、例えば、出力軸23と一体形成やねじ込みにて設ける。このため、回転盤43と出力軸23の偏心した部位(連結ピン23c)とは、第1ボール列44に平行な方向にのみ相対移動可能に連結することになる。
【0018】
図中、36は圧縮ばね、37はコネクタ、51〜55は軸受、56はニードルベアリング、57はスラストベアリング、58,59はナット、61,62はオイルシール、63は調整ボルト、64はラックガイド、Sは後述するウォーム軸73の軸線である。
【0019】
図4は図3の4−4線断面図であり、平面視において、ウォーム軸73の軸直角方向へ且つ可動ハウジング21の回転中心Oからウォーム軸73と反対方向へ距離Lだけ偏心した位置に、入力軸22(第2入力軸部28)の回転中心Aを設けたことを示す。
可変舵角比操舵機構10は、駆動手段としての舵角比制御用電動機71にてウォームギヤ機構72を介して可動ハウジング21を回転させることで、入力軸22の回転中心Aを変位させて、操舵角の割合を変えるようにしたものである。舵角比制御用電動機71は、制御手段7(図1参照)の舵角比制御信号に応じて正・逆転する。
ウォームギヤ機構72は、舵角比制御用電動機71の出力軸71aに連結したウォーム軸73と、ウォーム軸73のウォーム73aに噛み合うホイール25aとからなる。ホイール25aは下部可動ハウジング25の外周面の一部に形成した歯である。
【0020】
固定ハウジング14は、入力軸22の変位量を検出する変位センサ74を取付けたものである。詳しくは、変位センサ74は、下部可動ハウジング25の外周面に形成したカム面25bの変化量を検出することにより、回転中心Aの変位量を間接的に検出するものであり、カム面25bに接した先端部74aが進退するポテンショメータからなる。下部可動ハウジング25の回転角と回転中心Aの変位量とは対応し、また、回転中心Aの変位量とカム面25bの変位量とは対応する関係にある。このため、変位センサ74でカム面25bの変化量を検出すれば、回転中心Aの変位量を確実に検出することができる。
図中、75は中空偏心スリーブ、76は軸受、77はニードルベアリング、78はナットである。
【0021】
図5は本発明に係るウォームギヤ機構、可動ハウジング及び入力軸の関係説明図である。
ウォーム73aは、車速に応じて舵角比制御用電動機71(図4参照)で回転されるものである。ウォーム73aが正・逆転すると、可動ハウジング21は回転角θの範囲で正・逆転する。回転中心Oと回転中心Aとが偏心しているので、可動ハウジング21の回転角θに対応して、回転中心AはA1〜A2の範囲で変化する。すなわち、回転中心Aは、角度A1の位置から回転角θだけ時計方向に角度変位すると、角度A2の位置となる。例えば、(1)高速域の車速では角度A1の位置に変位し、(2)低速域の車速では角度A2の位置に変位する。
なお、回転中心Aの変位軌跡は、正確には回転中心Oを中心とした円弧である。しかし、回転中心Aの径方向の変位量Zは、無視できる程度である。従って、以下の説明においては、回転中心Aの変位軌跡が、この図の左右方向の直線である(回転中心Aの径方向の変位量Z=0)として、説明する。
【0022】
図6は図3の6−6線断面図であり、平面視において、▲1▼第1・第2ボール列44,45並びに第3連結溝43eが、出力軸23並びに第3の軸41の回転中心Bを通って、回転盤43の径方向へ延びていること、▲2▼第1ボール列44と第2ボール列45とが互いに直交配列していること、▲3▼第3連結溝43eが第1ボール列44に平行な方向(同一方向)に延びていることを示す。
【0023】
図7は本発明に係る入力軸、継手及び出力軸の関係説明図であり、第1連結溝42a,43b並びに第2連結溝41b,43dを側断面視略半円状の溝とし、これら半円状の溝にボール46…の上半部又は下半部が嵌合することを示す。
入力軸22と回転盤43とは第1ボール列44を介して、平面視でX軸方向(図の0゜−180゜の方向)へ相対的にスライド可能である。また、第3の軸41と回転盤43とは第2ボール列45を介して、Y軸方向(図の90゜−270゜の方向)へ相対的にスライド可能である。
ボール46…が、第1連結溝42a,43b内並びに第2連結溝41b,43d内を転がる構成なので、入力軸22と回転盤43とのスライドに伴う摩擦抵抗や、回転盤43と第3の軸41とのスライドに伴う摩擦抵抗は極めて小さい。
【0024】
入力軸22の回転中心(軸心)Aが角度A1の位置にあるとき、回転中心Aと、出力軸23並びに第3の軸41の回転中心(軸心)Bと、連結ピン23cの作用点(ピン中心)Cとは、X軸上に1列に配列したものである。回転中心Aは、回転中心Bと作用点Cとの間にある。
ここで、回転中心Aから回転中心Bまでの距離をv(偏位量v)とし、回転中心Bから作用点Cまでの距離をw(偏位量w)とする。回転中心AがA1〜A2の範囲で変化するのに対して、回転中心Bは固定位置にある。
47,48は板状のボール保持器である。
【0025】
図8(a)〜(g)は本発明に係る継手の作用説明図である。(a)は継手40の模式図であり、(b)〜(f)は(a)の平面視の作用図である。偏位量vが一定として説明する。
(a),(b)は各部材が上記図7と同一の配列関係にあり、出力軸23の回転中心Bと、連結ピン23cの作用点Cと、これらのB,C間にある入力軸22の回転中心AとがX軸上にあることを示す。第1連結溝42a,43b(第1ボール列)はX軸上に延び、第2連結溝41b,43d(第2ボール列)はY軸上に延び、第1連結溝42a,43bと第2連結溝41b,43dとの交点Dは、出力軸23の回転中心B位置にある。
【0026】
入力軸22が回転すると、第1連結溝42a,43bと第1ボール列の連結関係により、回転盤43が回転し、第2連結溝41b,43dと第2ボール列の連結関係により、第3の軸41が回転する。例えば、入力軸22が図時計回り方向へ45゜回転すると、(c)のように第1・第2連結溝41b,43dが同方向へ45゜回転するので、交点Dは図時計回り方向へ90゜旋回する。この結果、回転盤43が回転中心Aを基準に45゜回転して、作用点Cを旋回させる。作用点Cは、回転中心Bを中心に図時計回り方向へ旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は45゜である。
【0027】
(d)は入力軸22が図時計回り方向へ90゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ180゜旋回して、回転中心Aに重なる。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は90゜である。
(e)は入力軸22が図時計回り方向へ135゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ270゜旋回する。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は135゜である。
(f)は入力軸22が図時計回り方向へ180゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ360゜旋回して、回転中心Bに戻る。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は180゜である。すなわち、作用点Cは回転中心Bを中心に180゜回転したことになる。
【0028】
以上の説明を要約すると、(g)に示すように、入力軸22が図時計回り方向へ180゜回転したとき、交点Dは同方向へ360゜旋回する。このとき、作用点Cは回転中心Bを中心に180゜旋回する。この結果、出力軸23も図時計回り方向へ180゜回転することになる。
【0029】
次に、偏位量vの変化に伴う舵角比の変化について、図9〜図10に基づき説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る可変舵角比操舵機構の作動原理説明図であり、高速域の車速における舵角比の変化を模式的に示す。
図9(a)は上記図7の構成を模式的に表したものであり、この(a)に示すように、高速域では入力軸の回転中心Aが角度A1の位置にある。このとき、出力軸の回転中心Bと、入力軸の回転中心Aと、係合ピンの作用点Cとは、図左から右へこの順に一直線上に配列しており、この状態を模式的平面図として表したものが、図9(b)である。すなわち、図7におけるA,B,Cの並びが図9(b)のA,B,C(C0)の並びに相当する。
【0030】
なお、作用点Cは、回転中心Bを中心として旋回するものであるため、右の点Cと左の点Cとで区別がつきにくい。そこで、角度0゜又は角度180゜を添字としたC0,C180を付記することで、明瞭化した。作用点Cが、C0を起点として図時計回り(矢印方向)に旋回することで、以下の説明を行う。
【0031】
図9(b)において、入力軸の回転角がαであるときについて考える。このとき、第1連結溝(第1ボール列)が角度αの線M1上に延びるので、第1連結溝と第2連結溝との交点Dは、角度αの線M1上にある。また、第2連結溝(第2ボール列)は回転中心Bと交点Dとを通る線M2上に延びる。∠BDAは常に直角であり、回転中心Bと交点Dとの距離はuである。なお、交点Dは、偏位量vを直径とする円の軌跡Q上を変位するものである。
【0032】
作用点Cは常に線M1上にあるので、入力軸の回転角がαであるときに、作用点Cは点C0から点Caへ変位することになる。点Caを通りX軸(図の0゜−180゜に延びる線)と平行な線をM3とする。出力軸の回転角をβとすると、次の関係式が導かれる。
u=w・sin(α−β)=v・sinα ……(1)
であるから、出力軸の回転角βは
β=α−sin-1((v/w)・sinα ……(2)
で表される。
【0033】
作用点Cが点C0から点Caへ角度変位したときに、入力軸の回転角はαであり、出力軸の回転角はβである。回転中心Bと作用点Cとの間に回転中心Aがあるので、回転角βは回転角αよりも小さい(α>β)。
ところで、回転中心Aと回転中心Bとを一致させたときには、偏位量vは0(v=0)である。この結果、上記(2)式において、α=βである。
このように、偏位量vを適宜設定すれば、入力軸の回転角αに対する出力軸の回転角βを一致させたり、不一致にさせることができる。
【0034】
図10は本発明に係る可変舵角比操舵機構の舵角比特性線図である。
この図は、横軸を入力軸22の回転角(第2入力軸部28の回転角)αとし、右の縦軸を出力軸23の回転角βとし、左の縦軸をラック18aのストロークとして表したものであって、線V0,V1,V2に基づき、入力軸の回転角αに対する、出力軸の回転角βの割合並びにラック18aのストロークの割合を示す。
▲1▼線V0は、偏位量vを0にした場合の舵角比特性を示す。
(低速域の車速における舵角比特性)
▲2▼線V1,V2は、偏位量vを変化させた場合の舵角比特性を示す。
(高速域の車速における舵角比特性)
線V2は、偏位量vを最大にしたときの舵角比特性であり、線V1は偏位量vを0と最大の中間にしたときの舵角比特性である。
線V1,V2は、図右肩上がりの直線である線V0よりも下方に湾曲した曲線であり、この曲線は、入力軸の回転角αが概ね90°以下において勾配が緩く、90°を越えると勾配がきつい曲線である。しかも、フル操舵の状態(操向車輪3,3が最大操舵角の状態)では、回転角βは車速と無関係に一定である。
【0035】
図から明らかなように、偏位量vを0にすれば線V0のように、入力軸の回転角αに対する出力軸の回転角βの割合、すなわち、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合(舵角比)は等しい。また、偏位量vを連続的に変化させることにより、舵角比を連続的に変化させることができる。従って、偏位量vを車速に応じて制御すれば、舵角比特性を最適条件に変化させることができる。
【0036】
次に、入・出力軸22,23、第3の軸41並びに回転盤43の連結関係が常に円滑である理由を説明する。
図11(a),(b)は本発明に係る継手の模式的説明図であり、(a)は継手40廻りの模式的断面図であり、(b)は(a)の側面図である。
(a)のように、第3の軸41の上端面41aに対して、第2ボール列45を中心にしてのみ、回転盤43が首振り可能である。また、(b)のように、回転盤43に対して、第1ボール列44を中心にしてのみ、入力軸22が首振り可能である。第1ボール列44と第2ボール列45とは平面視で直交した配置である。この結果、第3の軸41の上端面41aに対して入力軸22は、平面視で全方位に首振り可能である。
このように、継手40はオルダム継手構造を利用したものであり、互いに直交する第1・第2ボール列44,45を備えているので、入力軸22と第3の軸41とを、互いに首振り可能に連結することができる。このため、入力軸22と第3の軸41との平行度が低くても、両者22,41の連結関係は円滑である。
【0037】
さらには、出力軸23と第3の軸41とは、同心に相対回転可能に配置したものである。
(a)のように、回転盤43の第3連結溝43eと連結ピン23c(出力軸23の偏心した部位)とを、第1ボール列44に平行な方向にのみ、相対移動可能に連結した。すなわち、第3連結溝43eは回転盤43の径方向に長い溝である。第3の軸41の上端面41aに対して、第2ボール列45を中心に、回転盤43が首振りした場合に、第3連結溝43eと連結ピン23cとの連結関係は変わることがなく、常に円滑である。
【0038】
また、第3の軸41の上端面41aに対して、第1ボール列44を中心に、回転盤43が首振りすることはない。(b)のように、回転盤43に対して第1ボール列44を中心に、第2入力軸部28が首振りした場合に、第3連結溝43eと連結ピン23cとの連結関係は変わることがなく、常に円滑である。
従って、各部品の寸法精度を高めなくても、入・出力軸22,23、第3の軸41並びに回転盤43の連結関係は円滑である。
【0039】
なお、上記本発明の実施の形態及び変形例において、(1)可動ハウジング21は、上部・下部可動ハウジング24,25を一体的に形成したものであってもよい。
(2)入力軸22は、第1・第2入力軸部26,28を一体的に形成したものであってもよい。
(3)連結ピン23cは、第3連結溝43eと接する先端部を球状にしたり、ベアリングを設けることで、摩擦抵抗を一層低減することができる。
(4)回転盤43と出力軸23の偏心した部位とは、第1ボール列44に平行な方向にのみ相対移動可能であればよく、例えば、出力軸23に第3連結溝43eを形成し、回転盤43に連結ピン23cを設けたものであってもよい。
(5)第1連結溝42a,43b並びに第2連結溝41b,43dは、半円状断面の他に、例えば、角断面や台形断面の溝であってもよい。
(6)第1・第2ボール列44,45のボール46…の数量は複数であればよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、可変舵角比操舵装置が、入・出力軸とは別の第3の軸を出力軸と同心に相対回転可能に配置し、入力軸の端部と第3の軸の端部との間に回転盤を介在させ、この回転盤の一方の面と入力軸側とを、複数のボールからなる第1ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結し、また、回転盤の他方の面と第3の軸側とを、第1ボール列とは直交配列した複数のボールからなる第2ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結することにより構成した、オルダム継手構造を利用した継手によって入力軸と第3の軸とを連結し、回転盤に出力軸の偏心した部位を連結し、これら回転盤と出力軸の偏心した部位とを、第1ボール列に平行な方向にのみ相対移動可能にしたので、入力軸側の軸線と出力軸側の軸線とが非平行状態であっても、入・出力軸やこれら入・出力軸を連結する継手の各連結部分に「こじれ」が発生することがない。この結果、摩擦抵抗が小さいので、入・出力軸間をより一層円滑に連結することができる。しかも、各部品の寸法精度を高める必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用ステアリングシステムの全体構成図
【図2】本発明に係る操舵トルクセンサ付き可変舵角比操舵装置の全体構成図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】本発明に係るウォームギヤ機構、可動ハウジング及び入力軸の関係説明図
【図6】図3の6−6線断面図
【図7】本発明に係る入力軸、継手及び出力軸の関係説明図
【図8】本発明に係る継手の作用説明図
【図9】本発明に係る可変舵角比操舵機構の作動原理説明図
【図10】本発明に係る可変舵角比操舵機構の舵角比特性線図
【図11】本発明に係る継手の模式的説明図
【符号の説明】
1…車両用ステアリングシステム、2…ステアリングハンドル、3…操向車輪、10…可変舵角比操舵装置、22…入力軸、26…第1入力軸部、28…第2入力軸部、23…出力軸、23c…出力軸の偏心した部位(連結ピン)、40…継手、41…第3の軸、41a…第3の軸の端部(上端面)、41b…第2連結溝、42…入力軸の端部(フランジ)、42a…第1連結溝、43…回転盤、43a…回転盤の一方の面、43b…第1連結溝、43c…回転盤の他方の面、43d…第2連結溝、43e…第3連結溝、44…第1ボール列、45…第2ボール列、46…ボール。
【発明の属する技術分野】
本発明は車両に搭載した可変舵角比操舵装置の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
車両のパワーステアリングシステムには、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合、すなわち、舵角比を車速に応じて自動的に変化させるものがあり、例えば特開平7−257406号「車両用可変舵角比操舵装置」の技術がある。
この技術は、その公報の図1〜図3及び図8によれば、ステアリングホイール1(番号は公報に記載されたものを引用した。以下同じ。)に連結した入力軸11を、支持部材14にこれと偏心して回転可能に支持し、支持部材14をモータ27にて回転させることで、出力軸17に対する入力軸11の偏心量を調整するというものである。この結果、入力軸11の回転角に対する出力軸17の回転角の割合、すなわち、ステアリングハンドルの操舵角と車輪の操舵角との舵角比は、公報の図5に示すように車速に応じて変わる。
【0003】
入力軸11と出力軸17との連結構造は、その公報の図1及び図2によれば、入力軸11の下端にカプリング16を備え、カプリング16の下面に下開放台形断面の水平な溝23を形成し、溝23の斜面にスライダ21をスライド可能に嵌め(テーパによる嵌合)、スライダ21の上下貫通した孔に軸受22を介して中間軸19を嵌合し、中間軸19を出力軸17の偏心した部位に設けるようにしたものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来の入・出力軸11,17間の連結構造は、互いに平行な入力軸11と出力軸17とを連結するものであり、平行度を十分に高める必要がある。平行度が低いと、溝23とスライダ21の嵌合部分や、スライダ21の孔と中間軸19の嵌合部分に「こじり」が生じることによって、摩擦抵抗が大きくなるからである。さらには、摩擦抵抗を小さくするには、各部品(カプリング16、スライダ21、スライダ21の孔、軸受22並びに中間軸19)の寸法精度も十分に高める必要がある。摩擦抵抗が大きいと、円滑な作動を阻害する。
このようなことから、入・出力軸11,17を含めた各部品の寸法精度を高めるために、各部品の寸法管理を十分に行う必要があり、製造工数が増す。
【0005】
そこで、本発明の目的は、各部品の寸法精度を高めることなく摩擦抵抗の小さい入・出力軸間の連結構造を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、請求項1は、ステアリングハンドルから操舵トルクを受けて回転する入力軸と、操向車輪に操舵トルクを伝達する出力軸とを、互いに偏心可能に配置するとともに、出力軸に対する入力軸の偏心量を変えることにより、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合を変えるようにした可変舵角比操舵装置において、可変舵角比操舵装置が、入・出力軸とは別の第3の軸を出力軸と同心に相対回転可能に配置し、入力軸の端部と第3の軸の端部との間に回転盤を介在させ、この回転盤の一方の面と入力軸側とを、複数のボールからなる第1ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結し、また、回転盤の他方の面と第3の軸側とを、第1ボール列とは直交配列した複数のボールからなる第2ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結することにより構成した、オルダム継手構造を利用した継手によって入力軸と第3の軸とを連結し、回転盤に出力軸の偏心した部位を連結し、これら回転盤と出力軸の偏心した部位とを、第1ボール列に平行な方向にのみ相対移動可能にしたことを特徴とする。
【0007】
継手は、オルダム継手構造を利用したものであり、互いに直交する第1・第2ボール列を備えているので、入力軸と第3の軸とを互いに首振り可能に連結することができる。このため、第3の軸と入力軸との平行度が低くても、両者の連結関係は円滑である。しかも、第3の軸の端面に対して、回転盤は第2ボール列を中心にしてのみ首振り可能であり、首を振っても回転盤と出力軸の偏心した部位との連結関係は円滑である。従って、各部品の寸法精度を高めなくても、入・出力軸、第3の軸並びに回転盤の連結関係は円滑であり、摩擦抵抗は小さい。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図面に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る車両用ステアリングシステムの全体構成図である。
車両用ステアリングシステム1は、車両のステアリングハンドル2から操向車輪3,3に至るステアリング系4に、可変舵角比操舵機構10を備えた電動パワーステアリングシステムである。
詳しくは、車両用ステアリングシステム1は、ステアリングハンドル2にステアリングシャフト5、自在継手6,6を介して、操舵トルクセンサ30付き可変舵角比操舵機構10を連結したものである。
【0009】
これにより、ステアリングハンドル2で発生したステアリング系4の操舵トルクを操舵トルクセンサ30で検出し、この検出信号に基づいて制御手段7が制御信号を発生し、この制御信号に基づいて操舵トルクに応じた補助トルクを電動機12が発生し、補助トルクを可変舵角比操舵機構10のラック軸18に付加することができる。
また、車両用ステアリングシステム1は、車速センサ8で検出した車速信号と、変位センサ74で検出した可変舵角比操舵機構10の入力軸22の偏心量信号とに基づいて、制御手段7が車速に応じた舵角比制御信号を発生し、この舵角比制御信号に基づいて、舵角比制御用電動機71にて可変舵角比操舵機構10を駆動して、舵角比を制御するものである。
【0010】
図2は本発明に係る操舵トルクセンサ付き可変舵角比操舵装置の全体構成図であり、要部を断面したものである。
操舵トルクセンサ30付き可変舵角比操舵装置10は、ラックアンドピニオン機構11、電動機12、ボールねじ13を車幅方向に延びる固定ハウジング14に収納したものである。
電動機12は、固定ハウジング14の一部をなす副ハウジング14a内に収納した環状のステータ15と、ステータ15内に同心的に配置したロータ16と、ロータ16に固定した管状の出力軸17とからなる。
ラックアンドピニオン機構11のラック軸18は、出力軸17内に挿通するとともに、ボールねじ13によって出力軸17と連結したものである。
【0011】
図3は図2の3−3線断面図である。
可変舵角比操舵装置10は、固定ハウジング14内に可動ハウジング21を回転可能に支持し、可動ハウジング21内に入力軸22を回転可能に支持し、入力軸22に継手40によって出力軸23を連結し、さらに、固定ハウジング14に出力軸23を回転可能に支持したものである。可動ハウジング21の回転中心と入力軸22の回転中心とは、図表裏方向に偏心している。この偏心については、後述する。入力軸22と出力軸23とは平行であり、しかも、対向し合う端部間が所定寸法だけ離間したものである。
【0012】
可動ハウジング21は、上部可動ハウジング24と下部可動ハウジング25とを同心上に重ねてボルト結合した、複合ハウジングである。
入力軸22は、ステアリングハンドル2(図1参照)に自在継手6,6を介して連結した軸であり、直列に連結した第1入力軸部26とトーションバー27と第2入力軸部28とからなる。詳しくは、入力軸22は、管状の第1入力軸部26内にトーションバー27を挿入し、トーションバー27の上部を第1入力軸部26の上部にピン29で結合し、トーションバー27の下部を第2入力軸部28の上部にセレーション結合したものである。
トーションバー(弾性部材)27は、文字通りトルクに対して正確にねじれ角が発生するメンバーであって、操舵トルクが作用すると、第1入力軸部26と第2入力軸部28との間での相対ねじり変位を発生する。
出力軸23は、ラックアンドピニオン機構11の一部をなすピニオン23aを有し、このピニオン23aは、ラック軸18のラック18aに噛み合うものである。
【0013】
操舵トルクセンサ30は、第1入力軸部26と第2入力軸部28とに掛け渡すことで、両軸部26,28間の相対ねじれ変位に応じて軸方向へ変位可能なコア31付きスライダ32と、このスライダ32の変位量(コア31の変位量)を電気信号に変換するべく上部可動ハウジング24に取付けたコイル33とからなる、非接触式操舵トルクセンサ(可変インダクタンス式センサ)である。
更に詳しくは、円筒形状のスライダ32に傾斜溝32aと縦長のストレート溝32bとを形成し、傾斜溝32aに第1入力軸部26のピン34を嵌合し、また、ストレート溝32bに第2入力軸部28のピン35を嵌合することで、スライダ32は相対ねじり変位に応じて軸方向へ変位可能である。
【0014】
上記継手40は、入・出力軸22,23とは別の第3の軸41を、出力軸23と同心に相対回転可能に配置するとともに、オルダム継手構造を利用した継手である。以下、継手40について詳述する。
【0015】
出力軸23は上端部に、上開放の有底の支持孔23bを開け、この支持孔23bにて第3の軸41を相対回転可能に支持したものである。
第2入力軸部28(入力軸22)は、第3の軸41と対向する端部に、フランジ42を一体に形成し、このフランジ42と第3の軸41の上端面41a(端部)との間に、円盤状の回転盤43を介在させたものである。
フランジ42の面と回転盤43の一方の面43aとは、図の左右方向に延びて互いに対向し合う横1列の第1連結溝42a,43bを形成したものである。これらの第1連結溝42a,43bに嵌合する第1ボール列44を介して、入力軸22側と回転盤43の一方の面43aとは、互いに回転盤43の径方向へスライド可能に連結したものである。
また、第3の軸41の上端面41aと回転盤43の他方の面43cとは、図の表裏方向に延びて互いに対向し合う横1列の第2連結溝41b,43dを形成したものである。これらの第2連結溝41b,43dに嵌合する第2ボール列45を介して、第3の軸41側と回転盤43の他方の面43cとは、互いに回転盤43の径方向へスライド可能に連結したものである。
【0016】
第1連結溝42a,43bと第2連結溝41b,43dとは、互いに直交配列したものであり、このため、第1ボール列44と第2ボール列45とは、互いに直交配列になる。このような連結構造により、入力軸22と第3の軸41とは互いに連結関係になる。第1・第2ボール列44,45は、1列に並べた複数のボール46…(…は複数を示す。以下同じ。)からなる。
【0017】
回転盤43は他方の面43cに、第1ボール列44に平行な方向へ延びる下開放の第3連結溝43eを形成し、この第3連結溝43eに出力軸23の連結ピン23cを嵌合したものである。連結ピン23cは、出力軸23の偏心した部位から上方へ延びる円柱状のピンであり、例えば、出力軸23と一体形成やねじ込みにて設ける。このため、回転盤43と出力軸23の偏心した部位(連結ピン23c)とは、第1ボール列44に平行な方向にのみ相対移動可能に連結することになる。
【0018】
図中、36は圧縮ばね、37はコネクタ、51〜55は軸受、56はニードルベアリング、57はスラストベアリング、58,59はナット、61,62はオイルシール、63は調整ボルト、64はラックガイド、Sは後述するウォーム軸73の軸線である。
【0019】
図4は図3の4−4線断面図であり、平面視において、ウォーム軸73の軸直角方向へ且つ可動ハウジング21の回転中心Oからウォーム軸73と反対方向へ距離Lだけ偏心した位置に、入力軸22(第2入力軸部28)の回転中心Aを設けたことを示す。
可変舵角比操舵機構10は、駆動手段としての舵角比制御用電動機71にてウォームギヤ機構72を介して可動ハウジング21を回転させることで、入力軸22の回転中心Aを変位させて、操舵角の割合を変えるようにしたものである。舵角比制御用電動機71は、制御手段7(図1参照)の舵角比制御信号に応じて正・逆転する。
ウォームギヤ機構72は、舵角比制御用電動機71の出力軸71aに連結したウォーム軸73と、ウォーム軸73のウォーム73aに噛み合うホイール25aとからなる。ホイール25aは下部可動ハウジング25の外周面の一部に形成した歯である。
【0020】
固定ハウジング14は、入力軸22の変位量を検出する変位センサ74を取付けたものである。詳しくは、変位センサ74は、下部可動ハウジング25の外周面に形成したカム面25bの変化量を検出することにより、回転中心Aの変位量を間接的に検出するものであり、カム面25bに接した先端部74aが進退するポテンショメータからなる。下部可動ハウジング25の回転角と回転中心Aの変位量とは対応し、また、回転中心Aの変位量とカム面25bの変位量とは対応する関係にある。このため、変位センサ74でカム面25bの変化量を検出すれば、回転中心Aの変位量を確実に検出することができる。
図中、75は中空偏心スリーブ、76は軸受、77はニードルベアリング、78はナットである。
【0021】
図5は本発明に係るウォームギヤ機構、可動ハウジング及び入力軸の関係説明図である。
ウォーム73aは、車速に応じて舵角比制御用電動機71(図4参照)で回転されるものである。ウォーム73aが正・逆転すると、可動ハウジング21は回転角θの範囲で正・逆転する。回転中心Oと回転中心Aとが偏心しているので、可動ハウジング21の回転角θに対応して、回転中心AはA1〜A2の範囲で変化する。すなわち、回転中心Aは、角度A1の位置から回転角θだけ時計方向に角度変位すると、角度A2の位置となる。例えば、(1)高速域の車速では角度A1の位置に変位し、(2)低速域の車速では角度A2の位置に変位する。
なお、回転中心Aの変位軌跡は、正確には回転中心Oを中心とした円弧である。しかし、回転中心Aの径方向の変位量Zは、無視できる程度である。従って、以下の説明においては、回転中心Aの変位軌跡が、この図の左右方向の直線である(回転中心Aの径方向の変位量Z=0)として、説明する。
【0022】
図6は図3の6−6線断面図であり、平面視において、▲1▼第1・第2ボール列44,45並びに第3連結溝43eが、出力軸23並びに第3の軸41の回転中心Bを通って、回転盤43の径方向へ延びていること、▲2▼第1ボール列44と第2ボール列45とが互いに直交配列していること、▲3▼第3連結溝43eが第1ボール列44に平行な方向(同一方向)に延びていることを示す。
【0023】
図7は本発明に係る入力軸、継手及び出力軸の関係説明図であり、第1連結溝42a,43b並びに第2連結溝41b,43dを側断面視略半円状の溝とし、これら半円状の溝にボール46…の上半部又は下半部が嵌合することを示す。
入力軸22と回転盤43とは第1ボール列44を介して、平面視でX軸方向(図の0゜−180゜の方向)へ相対的にスライド可能である。また、第3の軸41と回転盤43とは第2ボール列45を介して、Y軸方向(図の90゜−270゜の方向)へ相対的にスライド可能である。
ボール46…が、第1連結溝42a,43b内並びに第2連結溝41b,43d内を転がる構成なので、入力軸22と回転盤43とのスライドに伴う摩擦抵抗や、回転盤43と第3の軸41とのスライドに伴う摩擦抵抗は極めて小さい。
【0024】
入力軸22の回転中心(軸心)Aが角度A1の位置にあるとき、回転中心Aと、出力軸23並びに第3の軸41の回転中心(軸心)Bと、連結ピン23cの作用点(ピン中心)Cとは、X軸上に1列に配列したものである。回転中心Aは、回転中心Bと作用点Cとの間にある。
ここで、回転中心Aから回転中心Bまでの距離をv(偏位量v)とし、回転中心Bから作用点Cまでの距離をw(偏位量w)とする。回転中心AがA1〜A2の範囲で変化するのに対して、回転中心Bは固定位置にある。
47,48は板状のボール保持器である。
【0025】
図8(a)〜(g)は本発明に係る継手の作用説明図である。(a)は継手40の模式図であり、(b)〜(f)は(a)の平面視の作用図である。偏位量vが一定として説明する。
(a),(b)は各部材が上記図7と同一の配列関係にあり、出力軸23の回転中心Bと、連結ピン23cの作用点Cと、これらのB,C間にある入力軸22の回転中心AとがX軸上にあることを示す。第1連結溝42a,43b(第1ボール列)はX軸上に延び、第2連結溝41b,43d(第2ボール列)はY軸上に延び、第1連結溝42a,43bと第2連結溝41b,43dとの交点Dは、出力軸23の回転中心B位置にある。
【0026】
入力軸22が回転すると、第1連結溝42a,43bと第1ボール列の連結関係により、回転盤43が回転し、第2連結溝41b,43dと第2ボール列の連結関係により、第3の軸41が回転する。例えば、入力軸22が図時計回り方向へ45゜回転すると、(c)のように第1・第2連結溝41b,43dが同方向へ45゜回転するので、交点Dは図時計回り方向へ90゜旋回する。この結果、回転盤43が回転中心Aを基準に45゜回転して、作用点Cを旋回させる。作用点Cは、回転中心Bを中心に図時計回り方向へ旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は45゜である。
【0027】
(d)は入力軸22が図時計回り方向へ90゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ180゜旋回して、回転中心Aに重なる。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は90゜である。
(e)は入力軸22が図時計回り方向へ135゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ270゜旋回する。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は135゜である。
(f)は入力軸22が図時計回り方向へ180゜回転したことを示す。このとき、交点Dは図時計回り方向へ360゜旋回して、回転中心Bに戻る。作用点Cは、回転中心Bを中心に更に旋回する。回転中心Aを基準とした作用点Cの回転角は180゜である。すなわち、作用点Cは回転中心Bを中心に180゜回転したことになる。
【0028】
以上の説明を要約すると、(g)に示すように、入力軸22が図時計回り方向へ180゜回転したとき、交点Dは同方向へ360゜旋回する。このとき、作用点Cは回転中心Bを中心に180゜旋回する。この結果、出力軸23も図時計回り方向へ180゜回転することになる。
【0029】
次に、偏位量vの変化に伴う舵角比の変化について、図9〜図10に基づき説明する。
図9(a),(b)は本発明に係る可変舵角比操舵機構の作動原理説明図であり、高速域の車速における舵角比の変化を模式的に示す。
図9(a)は上記図7の構成を模式的に表したものであり、この(a)に示すように、高速域では入力軸の回転中心Aが角度A1の位置にある。このとき、出力軸の回転中心Bと、入力軸の回転中心Aと、係合ピンの作用点Cとは、図左から右へこの順に一直線上に配列しており、この状態を模式的平面図として表したものが、図9(b)である。すなわち、図7におけるA,B,Cの並びが図9(b)のA,B,C(C0)の並びに相当する。
【0030】
なお、作用点Cは、回転中心Bを中心として旋回するものであるため、右の点Cと左の点Cとで区別がつきにくい。そこで、角度0゜又は角度180゜を添字としたC0,C180を付記することで、明瞭化した。作用点Cが、C0を起点として図時計回り(矢印方向)に旋回することで、以下の説明を行う。
【0031】
図9(b)において、入力軸の回転角がαであるときについて考える。このとき、第1連結溝(第1ボール列)が角度αの線M1上に延びるので、第1連結溝と第2連結溝との交点Dは、角度αの線M1上にある。また、第2連結溝(第2ボール列)は回転中心Bと交点Dとを通る線M2上に延びる。∠BDAは常に直角であり、回転中心Bと交点Dとの距離はuである。なお、交点Dは、偏位量vを直径とする円の軌跡Q上を変位するものである。
【0032】
作用点Cは常に線M1上にあるので、入力軸の回転角がαであるときに、作用点Cは点C0から点Caへ変位することになる。点Caを通りX軸(図の0゜−180゜に延びる線)と平行な線をM3とする。出力軸の回転角をβとすると、次の関係式が導かれる。
u=w・sin(α−β)=v・sinα ……(1)
であるから、出力軸の回転角βは
β=α−sin-1((v/w)・sinα ……(2)
で表される。
【0033】
作用点Cが点C0から点Caへ角度変位したときに、入力軸の回転角はαであり、出力軸の回転角はβである。回転中心Bと作用点Cとの間に回転中心Aがあるので、回転角βは回転角αよりも小さい(α>β)。
ところで、回転中心Aと回転中心Bとを一致させたときには、偏位量vは0(v=0)である。この結果、上記(2)式において、α=βである。
このように、偏位量vを適宜設定すれば、入力軸の回転角αに対する出力軸の回転角βを一致させたり、不一致にさせることができる。
【0034】
図10は本発明に係る可変舵角比操舵機構の舵角比特性線図である。
この図は、横軸を入力軸22の回転角(第2入力軸部28の回転角)αとし、右の縦軸を出力軸23の回転角βとし、左の縦軸をラック18aのストロークとして表したものであって、線V0,V1,V2に基づき、入力軸の回転角αに対する、出力軸の回転角βの割合並びにラック18aのストロークの割合を示す。
▲1▼線V0は、偏位量vを0にした場合の舵角比特性を示す。
(低速域の車速における舵角比特性)
▲2▼線V1,V2は、偏位量vを変化させた場合の舵角比特性を示す。
(高速域の車速における舵角比特性)
線V2は、偏位量vを最大にしたときの舵角比特性であり、線V1は偏位量vを0と最大の中間にしたときの舵角比特性である。
線V1,V2は、図右肩上がりの直線である線V0よりも下方に湾曲した曲線であり、この曲線は、入力軸の回転角αが概ね90°以下において勾配が緩く、90°を越えると勾配がきつい曲線である。しかも、フル操舵の状態(操向車輪3,3が最大操舵角の状態)では、回転角βは車速と無関係に一定である。
【0035】
図から明らかなように、偏位量vを0にすれば線V0のように、入力軸の回転角αに対する出力軸の回転角βの割合、すなわち、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合(舵角比)は等しい。また、偏位量vを連続的に変化させることにより、舵角比を連続的に変化させることができる。従って、偏位量vを車速に応じて制御すれば、舵角比特性を最適条件に変化させることができる。
【0036】
次に、入・出力軸22,23、第3の軸41並びに回転盤43の連結関係が常に円滑である理由を説明する。
図11(a),(b)は本発明に係る継手の模式的説明図であり、(a)は継手40廻りの模式的断面図であり、(b)は(a)の側面図である。
(a)のように、第3の軸41の上端面41aに対して、第2ボール列45を中心にしてのみ、回転盤43が首振り可能である。また、(b)のように、回転盤43に対して、第1ボール列44を中心にしてのみ、入力軸22が首振り可能である。第1ボール列44と第2ボール列45とは平面視で直交した配置である。この結果、第3の軸41の上端面41aに対して入力軸22は、平面視で全方位に首振り可能である。
このように、継手40はオルダム継手構造を利用したものであり、互いに直交する第1・第2ボール列44,45を備えているので、入力軸22と第3の軸41とを、互いに首振り可能に連結することができる。このため、入力軸22と第3の軸41との平行度が低くても、両者22,41の連結関係は円滑である。
【0037】
さらには、出力軸23と第3の軸41とは、同心に相対回転可能に配置したものである。
(a)のように、回転盤43の第3連結溝43eと連結ピン23c(出力軸23の偏心した部位)とを、第1ボール列44に平行な方向にのみ、相対移動可能に連結した。すなわち、第3連結溝43eは回転盤43の径方向に長い溝である。第3の軸41の上端面41aに対して、第2ボール列45を中心に、回転盤43が首振りした場合に、第3連結溝43eと連結ピン23cとの連結関係は変わることがなく、常に円滑である。
【0038】
また、第3の軸41の上端面41aに対して、第1ボール列44を中心に、回転盤43が首振りすることはない。(b)のように、回転盤43に対して第1ボール列44を中心に、第2入力軸部28が首振りした場合に、第3連結溝43eと連結ピン23cとの連結関係は変わることがなく、常に円滑である。
従って、各部品の寸法精度を高めなくても、入・出力軸22,23、第3の軸41並びに回転盤43の連結関係は円滑である。
【0039】
なお、上記本発明の実施の形態及び変形例において、(1)可動ハウジング21は、上部・下部可動ハウジング24,25を一体的に形成したものであってもよい。
(2)入力軸22は、第1・第2入力軸部26,28を一体的に形成したものであってもよい。
(3)連結ピン23cは、第3連結溝43eと接する先端部を球状にしたり、ベアリングを設けることで、摩擦抵抗を一層低減することができる。
(4)回転盤43と出力軸23の偏心した部位とは、第1ボール列44に平行な方向にのみ相対移動可能であればよく、例えば、出力軸23に第3連結溝43eを形成し、回転盤43に連結ピン23cを設けたものであってもよい。
(5)第1連結溝42a,43b並びに第2連結溝41b,43dは、半円状断面の他に、例えば、角断面や台形断面の溝であってもよい。
(6)第1・第2ボール列44,45のボール46…の数量は複数であればよい。
【0040】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1は、可変舵角比操舵装置が、入・出力軸とは別の第3の軸を出力軸と同心に相対回転可能に配置し、入力軸の端部と第3の軸の端部との間に回転盤を介在させ、この回転盤の一方の面と入力軸側とを、複数のボールからなる第1ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結し、また、回転盤の他方の面と第3の軸側とを、第1ボール列とは直交配列した複数のボールからなる第2ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結することにより構成した、オルダム継手構造を利用した継手によって入力軸と第3の軸とを連結し、回転盤に出力軸の偏心した部位を連結し、これら回転盤と出力軸の偏心した部位とを、第1ボール列に平行な方向にのみ相対移動可能にしたので、入力軸側の軸線と出力軸側の軸線とが非平行状態であっても、入・出力軸やこれら入・出力軸を連結する継手の各連結部分に「こじれ」が発生することがない。この結果、摩擦抵抗が小さいので、入・出力軸間をより一層円滑に連結することができる。しかも、各部品の寸法精度を高める必要はない。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る車両用ステアリングシステムの全体構成図
【図2】本発明に係る操舵トルクセンサ付き可変舵角比操舵装置の全体構成図
【図3】図2の3−3線断面図
【図4】図3の4−4線断面図
【図5】本発明に係るウォームギヤ機構、可動ハウジング及び入力軸の関係説明図
【図6】図3の6−6線断面図
【図7】本発明に係る入力軸、継手及び出力軸の関係説明図
【図8】本発明に係る継手の作用説明図
【図9】本発明に係る可変舵角比操舵機構の作動原理説明図
【図10】本発明に係る可変舵角比操舵機構の舵角比特性線図
【図11】本発明に係る継手の模式的説明図
【符号の説明】
1…車両用ステアリングシステム、2…ステアリングハンドル、3…操向車輪、10…可変舵角比操舵装置、22…入力軸、26…第1入力軸部、28…第2入力軸部、23…出力軸、23c…出力軸の偏心した部位(連結ピン)、40…継手、41…第3の軸、41a…第3の軸の端部(上端面)、41b…第2連結溝、42…入力軸の端部(フランジ)、42a…第1連結溝、43…回転盤、43a…回転盤の一方の面、43b…第1連結溝、43c…回転盤の他方の面、43d…第2連結溝、43e…第3連結溝、44…第1ボール列、45…第2ボール列、46…ボール。
Claims (1)
- ステアリングハンドルから操舵トルクを受けて回転する入力軸と、操向車輪に操舵トルクを伝達する出力軸とを、互いに偏心可能に配置するとともに、出力軸に対する入力軸の偏心量を変えることにより、ステアリングハンドルの操舵角に対する操向車輪の操舵角の割合を変えるようにした可変舵角比操舵装置において、前記可変舵角比操舵装置は、前記入・出力軸とは別の第3の軸を出力軸と同心に相対回転可能に配置し、入力軸の端部と第3の軸の端部との間に回転盤を介在させ、この回転盤の一方の面と入力軸側とを、複数のボールからなる第1ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結し、また、回転盤の他方の面と第3の軸側とを、第1ボール列とは直交配列した複数のボールからなる第2ボール列を介して、互いに回転盤の径方向へスライド可能に連結することにより構成した、オルダム継手構造を利用した継手によって入力軸と第3の軸とを連結し、前記回転盤に前記出力軸の偏心した部位を連結し、これら回転盤と出力軸の偏心した部位とを、第1ボール列に平行な方向にのみ相対移動可能にしたことを特徴とする可変舵角比操舵装置。
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