JP3919738B2 - ポンプの診断方法、コンピュータプログラム、及び、ポンプを診断するための装置 - Google Patents

ポンプの診断方法、コンピュータプログラム、及び、ポンプを診断するための装置 Download PDF

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Description

本発明は、ポンプの診断方法、コンピュータプログラム、及び、ポンプを診断するための装置に関する。
代表的な水力機械であるポンプは、既によく知られている(図1に、当該ポンプの概略構成を示す)。このポンプ2は、そのケーシング4内に設けられたインペラー6を回転させることにより、ポンプ内に吸い込まれた液体にエネルギーを与えるものである。この際に、ポンプを駆動させるためのモータが、前記インペラー6に回転力を与える。
ところで、ポンプ2の使用を継続すると、ポンプ内部においてポンプ性能の劣化が生ずることが知られている。ポンプ内部における当該性能劣化しては、例えば、ケーシング4、インペラー6、又は、これらの周辺部品の腐食、粗面化、汚れ等による内部摩擦の増加、インペラー6の変形による水力損失の増加、インペラー6とケーシング4との位置関係が変化することにより内部リークの増加等、が挙げられる。
当該性能劣化が生じた場合には、当該性能劣化を解消させるための方策、例えば、上記部品の交換や上記部品のメンテナンス(滑らかさを向上させるために、これらの部品にコーティングを施すこと等)等、を実行する必要がある。
したがって、当該方策を実行する時期を決定するために、上述したポンプ内部における性能劣化の度合いをより正確に把握することが要請される。
特許第3382240号公報 特開2002−372440号公報
ポンプ内部における性能劣化の度合いを把握する方策として、前述したモータの電流値に着目した方法が知られている。かかる方法は、ポンプ内部における性能劣化が生じて、ポンプの仕事量が減ると、モータの電流値が低下することを利用している。
しかしながら、かかる方法は、ポンプ外部の機械的損失が無視できない状況において、正確性を欠くこととなる。例えば、ポンプとモータとの接合部に生じるミスアライメントや、ポンプ又はモータの軸受けに備えられたベアリングの摩耗等、により前記機械的損失が大きくなった場合には、モータの負荷が高くなるから、モータ内の制御により前記電流値が高くなる。したがって、かかる状況においては、ポンプ内部において性能劣化が生じているのに、モータの電流値があまり低下していない(むしろ、上昇している場合もあり得る)という現象が生じ得るため、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが困難になる。
本発明は、かかる課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することを可能とするポンプの診断方法、コンピュータプログラム、及び、ポンプを診断するための装置を実現することにある。
主たる本発明は、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するステップと、取得された該振動データの乱れ度合いを求めるステップと、求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分を求めるステップと、前記モータの電流値を取得するステップと、求められた前記モータの電流値の変動分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定するステップと、を有することを特徴とするポンプの診断方法である。
本発明の他の特徴については、本明細書及び添付図面の記載により明らかにする。
本発明によれば、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することを可能とするポンプの診断方法、コンピュータプログラム、及び、ポンプを診断するための装置を実現することが可能となる。
本明細書及び添付図面の記載により、少なくとも次のことが明らかにされる。
ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するステップと、取得された該振動データの乱れ度合いを求めるステップと、求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分を求めるステップと、前記モータの電流値を取得するステップと、求められた前記モータの電流値の変動分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定するステップと、を有することを特徴とするポンプの診断方法。
かかるポンプの診断方法によれば、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
また、前記モータの電流値の変動分は、該電流値の増加分であることとしてもよい。
また、前記振動データの前記乱れ度合いは、該振動データの特徴パラメータであることとしてもよい。また、前記振動データの前記乱れ度合いは、該振動データの周波数成分のうち、その周波数が前記ポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分、の大きさであることとしてもよい。
このようにすれば、簡易に乱れ度合いを指標化することができる。
また、前記振動データを取得するステップにおいては、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得し、該三軸成分の振動データの中から、前記モータの電流値の増加分を求めるための振動データを選択するステップを有することとしてもよい。
かかる場合には、ポンプ外部の機械的損失に係る多種の発生状況に対応できる。
また、前記振動データを取得するステップにおいては、前記ポンプの振動データと前記モータの振動データの双方を取得することとしてもよい。
このようにすれば、機械的損失を生ぜしめている異常原因や発生個所等を切り分けられる。
また、前記モータの電流値の増加分を求めるステップには、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて求められた前記乱れ度合いと、予め取得された基準振動データの乱れ度合いと、の比率を求めるステップと、求められた該比率と、前記基準振動データを取得する際に取得された前記モータの基準電流値と、に基づいて、前記増加分を求めるステップと、が含まれることとしてもよい。
また、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合に、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量と前記基準吐出し量とに基づいて、取得された前記モータの電流値を補正するステップ、を有することとしてもよい。
このようにすれば、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合においても、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
また、前記モータの電流値を補正するステップには、ポンプの吐出し圧力と吸込み圧力とを取得するステップと、取得された前記吐出し圧力及び前記吸込み圧力に基づいて、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量を推定するステップと、が含まれることとしてもよい。
このようにすれば、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合であって、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が得られない場合においても、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
また、前記電流値に代えて、電圧値又は電力値とすることとしてもよい。
また、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するステップと、取得された該振動データの乱れ度合いを求めるステップと、求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分を求めるステップと、前記モータの電流値を取得するステップと、求められた前記モータの電流値の変動分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定するステップと、を有し、前記モータの電流値の変動分は、該電流値の増加分であり、前記振動データの前記乱れ度合いは、該振動データの特徴パラメータであり、前記振動データを取得するステップにおいては、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得し、該三軸成分の振動データの中から、前記モータの電流値の増加分を求めるための振動データを選択するステップを有し、前記振動データを取得するステップにおいては、前記ポンプの振動データと前記モータの振動データの双方を取得し、前記モータの電流値の増加分を求めるステップには、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて求められた前記乱れ度合いと、予め取得された基準振動データの乱れ度合いと、の比率を求めるステップと、求められた該比率と、前記基準振動データを取得する際に取得された前記モータの基準電流値と、に基づいて、前記増加分を求めるステップと、が含まれ、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合に、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量と前記基準吐出し量とに基づいて、取得された前記モータの電流値を補正するステップ、を有し、前記モータの電流値を補正するステップには、ポンプの吐出し圧力と吸込み圧力とを取得するステップと、取得された前記吐出し圧力及び前記吸込み圧力に基づいて、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量を推定するステップと、が含まれることを特徴とするポンプの診断方法も実現可能である。
また、上述したポンプの診断方法を実現するためのコンピュータプログラムも実現可能である。
かかるコンピュータプログラムによれば、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
また、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するためのセンサ、メイン計算機、及び、表示装置を備えた、ポンプを診断するための装置であって、上述したポンプの診断方法を実行することを特徴とするポンプを診断するための装置も実現可能である。
かかる装置によれば、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
===ポンプの診断方法に係る第一の実施形態===
先ず、図2を用いて、ポンプの診断方法に係る第一の実施形態について説明する。図2は、ポンプの診断方法に係る第一の実施形態を示すフローチャートである。
本フローチャートは、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを、センサにより取得することから始まる(ステップS2)。なお、本実施の形態においては、ポンプの振動データとモータの振動データの双方を取得することとする。また、振動データの取得は、ポンプとモータの各々に設けられた三軸加速度センサにより実施することとする。したがって、ステップS2において、6つの振動データ、すなわち、ポンプの三軸(X軸、Y軸、及び、Z軸)成分の振動データと、モータの三軸(X軸、Y軸、及び、Z軸)成分の振動データ、が得られることとなる。
取得された当該振動データの一例を、図3A乃至図4Cに示す。図3AはポンプのX軸成分の振動データを、図3Bは、ポンプのY軸成分の振動データを、図3CはポンプのZ軸成分の振動データを、図4AはモータのX軸成分の振動データを、図4Bは、モータのY軸成分の振動データを、図4CはモータのZ軸成分の振動データを、それぞれ示している。
これらの振動データを考察すると、特にY軸成分の振動データ(図3B及び図4B)において、その乱れ度合いが大きくなっていることがわかる。上記において、ポンプとモータとの接合部に生じるミスアライメントの発生等に起因 してポンプ外部の機械的損失が大きくなった場合に、モータの電流値が増加することについて説明したが、かかる場合には、振動データの乱れ度合いも増加する。すなわち、図3A乃至図4Cに示した振動データは、前記機械的損失が大きくなったときのデータである。なお、本例においては、Y軸成分の振動データの乱れ度合いが大きくなっているが、どの軸成分の乱れ度合いが大きくなるかについては、ミスアライメントの状態(例えば、当該ミスアライメントが、角度ミスアライメントか平行ミスアライメントか)等に依存する。
次に、取得された振動データの乱れ度合いを求める(ステップS4)。すなわち、当該ステップにおいては、ステップS2で取得された6つの振動データの乱れ度合いを算出する。なお、本実施の形態においては、当該乱れ度合いとして、振動データの特徴パラメータを用いることととする。ここで、振動データの特徴パラメータとは、振動データの波形の特徴を表すパラメータであり、かかる特徴パラメータとしては、特開2002−372440号公報において、記号(1)〜(14)で示されているもの、を挙げることができる。
なお、以下においては、当該特徴パラメータのうち、前記公報において記号(3)で示されている尖度、を例にとって説明する。
尖度は、以下の数式で定義され、その値は、前記乱れ度合いが大きいほど小さくなる傾向、を示す。
Figure 0003919738
6つの振動データの尖度Pが算出されたら、当該尖度Pの値に基づいて、これらの6つの振動データの中から、後述するポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分、を求めるための振動データを選択する(ステップS6)。より具体的には、当該ステップにおいて、6つの振動データの中から、乱れ度合いの最も大きいもの(尖度Pの最も小さいもの)を一つ選択する。
ここで、図5A及び図5Bに着目する。図5A及び図5Bは、ポンプを継続的に運転した際に振動データの尖度Pが変化する様子を示す図である。これらの図においては、経過時間(月数)を横軸に、尖度Pの大きさを縦軸にとっている。図5Aは、ポンプの三軸成分振動データの尖度が変化する様子を、図5Bは、モータの三軸成分振動データの尖度が変化する様子を、それぞれ示している。
仮に、本実施の形態に係るポンプの診断方法を、経過時間16月で、実施した場合には、ポンプのY軸成分の振動データが、6つの振動データのうち最も大きな乱れ度合い(最も小さな尖度P)を有する振動データとなる。かかる場合には、ポンプのY軸成分の振動データが、本ステップで選択される。
次に、ステップS6で選択された振動データの乱れ度合い(尖度P)に基づいて、ポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分ΔFmを求める(ステップS8、S10)。上記において、ポンプとモータとの接合部に生じるミスアライメントの発生等に起因してポンプ外部の機械的損失が大きくなった場合に、モータの電流値が増加すると共に、振動データの乱れ度合いも増加する(振動データの尖度Pは減少する)ことについて説明したが、当該電流値の増加と当該乱れ度合いの増加(尖度Pの減少)との間には、一定の関係がある。ステップS10及びS12においては、当該関係を用いて、振動データの乱れ度合いからモータの電流値の増加分ΔFmを導き出す。
上記事項について、さらに詳しく説明する。先ず、ステップS6で選択された振動データの乱れ度合い(尖度P)と、予め取得された基準振動データの乱れ度合い(尖度Po)との比率Rp=P/Po(以下、当該比率を減少比とも呼ぶ)を求める(ステップS8)。なお、ここでは、ステップS6においてポンプのY軸成分振動データが選択されたものとする。したがって、本ステップにおいては、ポンプのY軸成分振動データの尖度Pと、予め取得されたポンプのY軸成分基準振動データの尖度Poとの比率Rp=P/Poが算出される。
ここで、基準振動データについて説明する。基準振動データは、前述した比率Rpを算出するために用いられる振動データである。当該基準振動データは、前記機械的損失が微小であると予測される、新品ポンプの運転開始時やポンプのメンテナンス直後等に取得される。この際に、基準振動データの尖度Poも、前述した数式に則って算出される。
なお、基準振動データ取得の際には、併せて、モータの電流値も取得される。取得された当該電流値は、基準電流値として後述するステップS10において用いられる。
次に、ステップS8において算出された比率Rpと、前述した基準電流値Foとに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分ΔFmを求める(ステップS10)。
前述したとおり、前記機械的損失が大きくなることによるモータの電流値の増加と振動データの乱れ度合いの増加(尖度Pの減少)との間には、一定の関係がある。当該関係の一例を、図6に示す。図6は、尖度の減少比Rpとモータの電流値の増加比Rfとの関係を示した図(以下、当該図を、Rp−Rfカーブとも呼ぶ)である。本図においては、尖度の減少比Rpを横軸に、モータの電流値の増加比Rfを縦軸にとっている。なお、モータの電流値の増加比Rfは、関係式Rf=(Fo+ΔFm)/Fo=Fm/Foで表される。ここで、ΔFmは前記機械的損失によるモータの電流値の増加分、Foは基準電流値、Fmは当該増加分と当該基準電流値の和である。
本ステップにおいては、先ず、Rp−Rfカーブから、ステップS8において算出された減少比Rpに対応するモータの電流値の増加比Rfを求める。そして、モータの電流値の増加分ΔFmと、増加比Rf及び基準電流値Foとの間に、関係式ΔFm=Fm−Fo=RfFo−Fo=Fo(Rf−1)が成立することを利用して、Rp−Rfカーブから得られた増加比Rfと予め取得された基準電流値Foとから、モータの電流値の増加分ΔFmを求める。
上述した手順により求められたΔFmの一例を、図7に示す。図7は、ポンプを継続的に運転した際にモータの電流値の増加分ΔFmが変化する様子を示す図である。
なお、Rp−Rfカーブは、事前に実験や生産現場でのデータ採取等を行うことにより、作成しておく。この際に、ポンプ等のタイプ毎にRp−Rfカーブが若干異なることを考慮して、当該タイプ毎に複数のRp−Rfカーブを準備しておくことが望ましい。例えば、ポンプとモータとの接合部がリジッドタイプである場合に対応したRp−Rfカーブと、フレキシブルタイプである場合に対応したRp−Rfカーブとを準備し、ポンプとモータとの接合部がリジッドタイプである場合には前者のRp−Rfカーブを適用し、フレキシブルタイプである場合には後者のRp−Rfカーブを適用することが望ましい。
次に、モータの電流値Faを、パワーメータにより取得し(ステップS12)、取得された当該電流値Faと、前述したモータの電流値の増加分ΔFmとに基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定する(ステップS14)。ここでは、取得された電流値Faと求められた電流値の増加分ΔFmとの偏差G=Fa−ΔFmを求め、当該偏差Gに基づいて前記性能劣化の度合いを判定する。
発明が解決しようとする課題の項で述べたとおり、ポンプ内部における性能劣化の度合いを把握する方策として、モータの電流値に着目した方法が知られており、当該方法は、ポンプ内部における性能劣化が生じて、ポンプの仕事量が減ると、モータの電流値が低下することを利用している。しかしながら、かかる方法は、ポンプ外部の機械的損失が無視できない状況において、正確性を欠くこととなる。例えば、ポンプとモータとの接合部に生じたミスアライメント等により前記機械的損失が大きくなった場合には、モータの負荷が高くなるから、モータ内の制御により前記電流値が高くなる。したがって、かかる状況においては、ポンプ内部において性能劣化が生じているのに、モータの電流値があまり低下していない(むしろ、上昇している場合もあり得る)という現象が生じ得るため、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが困難になる。
一方、本実施の形態に係るポンプの診断方法においては、パワーメータで取得された電流値Faから直接的にポンプ内部における性能劣化を判定するのではなく、ステップS2からステップS10までの手順により前記機械的損失によるモータの電流値の増加分ΔFmを求めた後に、ステップS12で取得された電流値Faから当該増加分ΔFmを減じた偏差Gに基づいて前記性能劣化を判定している(ステップS14)。このようにすることにより、前記性能劣化の度合いを把握する際に障害となる前記機械的損失の増大によるモータの電流値の増加分ΔFm、を前記電流値Faから切り離した状態で、前記性能劣化の度合いを判定することができるから、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
上記事項について、図8を用いて、さらに詳しく説明する。図8は、ポンプを継続的に運転した際に前述した電流値Fa、電流値の増加分ΔFm、及び、偏差Gが変化する様子を示す図である。以下、本図について考察する。先ず、電流値の増加分ΔFmに着目すると、経過時間12月過ぎから前記機械的損失の増大が顕著になってきていることがわかる。また、偏差Gに着目すると、ほぼ同時期にポンプ内部における性能劣化も顕著になってきていることがわかる。しかしながら、かかる例においては、前記機械的損失の増大によるモータの電流値の増加分ΔFmがポンプ内部における性能劣化によるモータの電流値の減少分(すなわち、偏差G)を上回っているため、取得された電流値Fa自体は微増するという現象が生じている。
電流値Fa、電流値の増加分ΔFm、及び、偏差Gが、このように変化する場合には、取得された電流値Faから直接的にポンプ内部における性能劣化の度合いを判定しようとしても、当該性能劣化の度合いを正確に把握することは困難である。一方、本実施の形態に係るポンプの診断方法を用いれば、偏差Gに基づいてポンプ内部における性能劣化の度合いを判定することとなるから、当該性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
===ポンプの診断方法に係る第二の実施形態===
次に、図9を用いて、ポンプの診断方法に係る第二の実施形態について説明する。図9は、ポンプの診断方法に係る第二の実施形態を示すフローチャートである。
前述した第一の実施形態において、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能なポンプの診断方法を示したが、当該第一の実施形態に示された診断方法は、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合に、若干正確性を欠くこととなる。以下に説明するポンプの診断方法に係る第二の実施形態は、かかる不都合を解消する観点から、第一の実施形態を改良したものである。以下、図9に示すフローチャートに従って、説明する。
先ず、前述した第一の実施形態に係るステップS2からステップS12と同様の手順を実施する(ステップS102〜ステップS112)。すなわち、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを、センサにより取得し(ステップS102)、取得された振動データの乱れ度合いを求め(ステップS104)、ポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分ΔFm、を求めるための振動データを選択し(ステップS106)、選択された振動データの乱れ度合い(尖度P)に基づいて、前記機械的損失によるモータの電流値の増加分ΔFmを求める(ステップS108、S110)。また、併せて、モータの電流値Faを、パワーメータにより取得する(ステップS112)。
次に、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量Q1が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量Qoと異なる場合(ステップS113:yes)には、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量Q1と前記基準吐出し量Qoとに基づいて、パワーメータにより取得されたモータの電流値Faを補正する(ステップS116)。
ここで、モータの電流値Faの補正方法について、図10を用いて説明する。図10は、ポンプの性能カーブの一例を示した図である。
先ず、前記吐出し量Q1及び基準吐出し量Qoのそれぞれに対応した軸動力L及び基準軸動力Loとを、図10に示すポンプの性能カーブから求める。そして、前記電流値FaにL/Loを乗ずることにより、電流値Faを補正する。すなわち、補正された電流値Fa2=取得された電流値Fa×(軸動力L/基準軸動力Lo)となる。
なお、複数のポンプを並列運転する場合等に、吐出し量Q1及び基準吐出し量Qoを取得できない場合がある。かかる事項を考慮して、ここでは、電流値Faを補正する際に、前述した基準吐出し量Qoとして、ポンプの定格吐出し量を用いることとするが、当該基準吐出し量Qoが取得可能な場合には、前述した基準振動データ取得の際に当該基準吐出し量を取得し、取得された基準吐出し量を用いることとしてもよい。また、吐出し量Q1として、以下に示す方法で推定された吐出し量を用いることとするが、当該吐出し量Q1が既知である場合や取得可能な場合には、既知である又は取得された吐出し量を用いることとしてもよい。
次に、上述した吐出し量Q1の推定方法について、図11を用いて説明する。図11は、吐出し量Q1の推定方法を示すフローチャートである。
先ず、ポンプの吐出し圧力と吸込み圧力を、圧力計等により取得する(ステップS202)。次に、取得された当該吐出し圧力及び吸込み圧力に基づいて、ポンプの全揚程を求める(ステップS204)。
ポンプの全揚程Hは、一般的に、以下の数式で定義される。
Figure 0003919738
ここで、求めようとする全揚程(ポンプ診断時の全揚程)及びこれを算出するためのパラメータを添え字1を用いて、基準となる全揚程及びこれを算出するためのパラメータを添え字0を用いて、それぞれ次のように表す。
Figure 0003919738
平均流速と吐出し量との関係式Vin1/Vino=Vout1/Vouto=Q1/Qoを用いて、これらの式を変形すると、以下の式が導かれる。
Figure 0003919738
全揚程(ポンプ診断時の全揚程)H1を求めるためには、Ho、Pout1、Pin1、Pouto、Pino、Vouto、Vino、Qo、Q1、γ、gの値を得る必要がある。Pout1及びPoutoについては、ステップS202で取得されたポンプの吐出し圧力及び吸込み圧力を用いる。Ho、Pouto、Pino、Vouto、Vino、及び、Qoについては、ポンプの定格量を用いることとするが、これらの量が取得可能な場合には、前述した基準振動データ取得の際にこれらの量を取得し、取得されたこれらの量を用いることとしてもよい。γ及びgについては、所定の物理量を用いる。また、Q1には、予測される吐出し量aを用いるが、予測不可能である場合には、適当な値aを用いることとする。
ポンプの全揚程H1を求めたら、当該全揚程H1に対応した吐出し量Q1を、図10に示したポンプの性能カーブから求める(ステップS206)。そして、求められた吐出し量Q1の値をbとしたときに、bとaとの差分D(=b−a)が所定値αよりも小さいかどうかを判定する(ステップS208)。当該判定の結果、差分Dが所定値α以上であった場合には(ステップS208:No)、ステップS204に戻って、再度ポンプの全揚程を求める。この際に、Q1には、前述した予測される吐出し量a等の代わりに、ステップS206で求められた吐出し量bを用いる。そして、当該全揚程H1に対応した吐出し量Q1を、図10に示したポンプの性能カーブから求め(ステップS206)、求められた吐出し量Q1の値をcとしたときに、cとbとの差分D(=c−b)が所定値αよりも小さいかどうかを判定する(ステップS208)。このように、ステップS208の関係式を満たすまで、換言すれば、吐出し量Q1が収束するまで、ステップS204〜ステップS208の手順を繰り返す。かかる手順の繰り返しにより、差分Dが所定値αより小さくなった場合には(ステップS208:Yes)、当該判定の直前にステップS206で求められた吐出し量Q1を、推定された吐出し量Q1とする(ステップS210)。このようにして、吐出し量Q1が推定される。
図9に示すフローチャートに戻って、説明を続ける。上記において、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量Q1と前記基準吐出し量Qoとに基づいて、パワーメータにより取得されたモータの電流値Faを補正する(ステップS116)ことについて説明したが、その後、補正された電流値Fa2と、前述したモータの電流値の増加分ΔFmとに基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定する(ステップS118)。より具体的には、補正された電流値Fa2と求められた電流値の増加分ΔFmとの偏差G=Fa2−ΔFmを求め、当該偏差Gに基づいて前記性能劣化の度合いを判定する。このようにすることにより、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合においても、ポンプ内部における性能劣化の度合いを正確に把握することが可能となる。
なお、ステップS113において、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量Q1が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量Qoと一致する場合(ステップS113:yes)には、パワーメータにより取得されたモータの電流値Faを補正することなく、第一の実施形態に係るステップS14と同様の手順を実施する(ステップS114)。すなわち、取得された電流値Faと、モータの電流値の増加分ΔFmとに基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定する。
===ポンプを診断するための装置===
次に、上述したポンプの診断方法を実行するためのポンプを診断するための装置(以下、当該装置を、ポンプ診断装置102とも呼ぶ)の一例について、図12を用いて説明する。図12は、ポンプ診断装置102の一例を示す概念図である。
ポンプ診断装置102は、三軸加速度センサ104、106と、圧力計108、110と、パワーメータ112と、メイン計算機114と、表示装置116とを備えている。
本実施の形態においては、三軸加速度センサとして、モータ側三軸加速度センサ104とポンプ側三軸加速度センサ106の双方が設けられているが、どちらか一方でも構わない。また、三軸加速度センサ104、106の代わりに、二軸加速度センサや一軸加速度センサが設けられていることとしてもよい。また、加速度センサでなくても、ポンプ2及び該ポンプ2を駆動するためのモータ12のうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するためのセンサであれば、どのようなものでも構わない。
圧力計としては、前述した吸込み圧力を取得するための入力側圧力計108と、前述した吐出し圧力を取得するための出力側圧力計110とが設けられている。本実施の形態に係るポンプ診断装置102は圧力計108、110を有することとしたが、圧力を測定する機能を有するものなら圧力計に限定されずどのようなものでも構わない。また、本実施の形態に係るポンプ診断装置102はパワーメータ112を有することとしたが、前述したモータの電流値Faを取得する機能を有するものであれば、どのようなものでも構わない。
メイン計算機114は、上述したポンプの診断方法を実現するためのコンピュータプログラムを有しており、当該コンピュータプログラムをメイン計算機114に設けられたCPUが処理することにより、上述したポンプの診断方法が実行される。前記コンピュータプログラムは、上述したポンプの診断方法を実行するためのコードから構成されている。
表示装置116は、ポンプ診断装置102の操作者に各種情報を与える機能を有する。また、当該表示装置116に前述した図3A乃至図8のグラフや図10のグラフが表示されることとすれば、より好ましい。
===その他の実施の形態===
以上、上記実施の形態に基づき本発明に係るポンプの診断方法等を説明したが、上記発明の実施の形態は、本発明の理解を容易にするためのものであり、本発明を限定するものではない。本発明は、その趣旨を逸脱することなく、変更、改良され得ると共に、本発明にはその等価物が含まれることはもちろんである。
なお、上記実施の形態においては、振動データの乱れ度合いは、該振動データの特徴パラメータであることとしたが、これに限定されるものではなく、例えば、該振動データの周波数成分のうち、その周波数が前記ポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分、の大きさであることとしてもよい。
かかる場合について、図13を用いて説明する。図13は、ポンプの診断方法に係る他の実施形態を示すフローチャートである。
本フローチャートは、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを、センサにより取得することから始まる(ステップS202)。なお、本実施の形態においては、ポンプの振動データとモータの振動データの双方を取得することとする。また、振動データの取得は、ポンプとモータの各々に設けられた三軸加速度センサにより実施することとする。したがって、ステップS202において、6つの振動データ、すなわち、ポンプの三軸(X軸、Y軸、及び、Z軸)成分の振動データと、モータの三軸(X軸、Y軸、及び、Z軸)成分の振動データ、が得られることとなる。
次に、取得された振動データの乱れ度合いを求める(ステップS204)。すなわち、当該ステップにおいては、ステップS202で取得された6つの振動データの乱れ度合いを算出する。
ここでは、当該乱れ度合いとして、振動データの周波数成分のうち、その周波数が前記ポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分、の大きさを用いることととする。当該周波数成分の大きさは、前記乱れ度合いが大きいほど小さくなる傾向、を示す。なお、本実施の形態においては、前記周波数成分のうち、その周波数がポンプの回転周波数の2倍となる周波数成分、を用いることとする(以下、当該周波数成分を記号Cで、当該周波数成分の大きさを記号yで表す)が、その周波数がポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分であれば、どの周波数成分を用いても構わない。また、単一の周波数成分でなく、例えば、複数の周波数成分の平均値を用いても構わない。
6つの振動データに係る周波数成分Cの大きさyが算出されたら、当該周波数成分Cの大きさyに基づいて、これらの6つの振動データの中から、後述するポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分、を求めるための振動データを選択する(ステップS206)。より具体的には、当該ステップにおいて、6つの振動データの中から、周波数成分Cの大きさyが最も大きいものを一つ選択する。
次に、ステップS206で選択された振動データの乱れ度合い(周波数成分Cの大きさy)に基づいて、ポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分ΔFmを求める(ステップS208、S210)。ポンプとモータとの接合部に生じるミスアライメントの発生等に起因してポンプ外部の機械的損失が大きくなった場合に、モータの電流値が増加すると共に、振動データの乱れ度合い(周波数成分Cの大きさy)も増加する。そして、当該電流値の増加と当該乱れ度合い(周波数成分Cの大きさy)の増加との間には、一定の関係がある。ステップS210及びS212においては、当該関係を用いて、振動データの乱れ度合いからモータの電流値の増加分ΔFmを導き出す。
上記事項について、さらに詳しく説明する。先ず、ステップS206で選択された振動データの乱れ度合い(周波数成分Cの大きさy)と、予め取得された基準振動データの乱れ度合い(周波数成分Cの大きさyo)との比率Ry=y/yo(以下、当該比率を増加比とも呼ぶ)を求める(ステップS208)。なお、ここでは、ステップS206においてポンプのY軸成分振動データが選択されたものとする。したがって、本ステップにおいては、ポンプのY軸成分振動データに係る周波数成分Cの大きさyと、予め取得されたポンプのY軸成分基準振動データに係る周波数成分Cの大きさyoとの比率Ry=y/yoが算出される。
次に、ステップS208において算出された比率Ryと、基準電流値Foとに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、によるモータの電流値の増加分ΔFmを求める(ステップS210)。本ステップにおいては、先ず、Ry−Rfカーブから、ステップS208において算出された増加比Ryに対応するモータの電流値の増加比Rfを求める。そして、モータの電流値の増加分ΔFmと、増加比Rf及び基準電流値Foとの間に、関係式ΔFm=Fm−Fo=RfFo−Fo=Fo(Rf−1)が成立することを利用して、Ry−Rfカーブから得られた増加比Rfと予め取得された基準電流値Foとから、モータの電流値の増加分ΔFmを求める。なお、Ry−Rfカーブは、事前に実験や生産現場でのデータ採取等を行うことにより、作成しておく。
次に、モータの電流値Faを、パワーメータにより取得し(ステップS212)、取得された当該電流値Faと、前述したモータの電流値の増加分ΔFmとに基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定する(ステップS214)。ここでは、取得された電流値Faと求められた電流値の増加分ΔFmとの偏差G=Fa−ΔFmを求め、当該偏差Gに基づいて前記性能劣化の度合いを判定する。
上記においては、振動データの乱れ度合いとして振動データの特徴パラメータを用いる例に加えて、振動データの乱れ度合いとして、振動データの周波数成分のうちその周波数が前記ポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分の大きさ、を用いる例について説明した。しかしながら、振動データがどの程度乱れているかを示す指標であれば、当該乱れ度合いとして他のものを用いても構わない。
ただし、特徴パラメータや前記周波数成分の大きさを用いれば、簡易に乱れ度合いを指標化することができる点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
また、上記実施の形態において、前記振動データを取得するステップ(ステップS2、ステップS102)においては、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得し、さらに、該三軸成分の振動データの中から、モータの電流値の増加分ΔFmを求めるための振動データを選択するステップ(ステップS6、ステップS106)を有することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ステップS2、ステップS102において、一軸加速度センサにより、一軸成分のみの振動データを取得し、かつ、振動データを選択するステップS6、ステップS106を有しないこととしてもよい。
前述したとおり、三軸成分のうちどの軸成分の乱れ度合いが大きくなるかについては、ポンプ外部の機械的損失の発生状況、例えば、ミスアライメントの状態(例えば、当該ミスアライメントが、角度ミスアライメントか平行ミスアライメントか)等、に依存する。したがって、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得することとすれば、多種の前記発生状況に対応できるため、この点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
また、上記実施の形態においては、前記振動データを取得するステップ(ステップS2、ステップS102)において、ポンプの振動データとモータの振動データの双方を取得することとしたが、これに限定されるものではない。例えば、ポンプの振動データとモータの振動データのうち片方のみを取得することとしてもよい。
前述した機械的損失が発生した場合には、モータ及びポンプが互いに接合していることから、モータ及びポンプ双方の振動の乱れ度合いが増加するのが通常である。かかる事項に着目すると、ポンプの振動データとモータの振動データの双方を取得することにより、機械的損失を生ぜしめている異常原因や発生個所等を切り分けられる。
一方、ポンプの振動データとモータの振動データのうち片方のみを取得する場合には、このような異常原因や発生個所等の予測をすることは不可能である。この点で、上記実施の形態の方がより望ましい。
また、上記実施の形態において、前記モータの電流値の増加分ΔFmを求めるステップ(ステップS10,ステップS12、ステップS110、ステップS112)には、前記振動データの乱れ度合いを求めるステップ(ステップS4,ステップS104)において求められた前記乱れ度合いと、予め取得された基準振動データの乱れ度合いと、の比率Rpを求めるステップ(ステップS10,ステップS110)と、求められた該比率Rpと、前記基準振動データを取得する際に取得された前記モータの基準電流値Foと、に基づいて、前記増加分ΔFmを求めるステップ(ステップS12,ステップS112)とが含まれることとしたが、これに限定されるものではない。例えば、比率Rpを求めることなく、前述したRp−Rfカーブの代わりに乱れ度合いと増加分ΔFmとの関係を示すカーブを用いて、前記乱れ度合いから前記増加分ΔFmを求めてもよい。
また、上記において、モータの前記電流値に代えて、モータの電圧値又は電力値としてもよい。
また、上記実施の形態においては、モータの電流値Faの取得を、モータの電流値の増加分ΔFmを求めた(ステップS10、ステップS110)後に、実施する(ステップS12、ステップS112)こととしたが、これに限定されるものではない。例えば、モータの電流値Faの取得を、振動データの取得(ステップS2,102)の前に実施してもよい。
また、上記においては、ポンプ外部の機械的損失によりモータの電流値が増加し、かつ、ポンプ内部における性能劣化によりモータの電流値が減少するシステムについて説明したが、ポンプ外部の機械的損失によりモータの電流値が減少し、かつ、ポンプ内部における性能劣化によりモータの電流値が増加するシステムにも上述と同様の考え方を適用することできる。かかる場合には、ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得し、取得された該振動データの乱れ度合いを求め、求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分(すなわち、減少分)を求め、求められた前記モータの電流値の減少分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定すればよい。
ポンプの概略構成を示す断面図である。 ポンプの診断方法に係る第一の実施形態を示すフローチャートである。 図3AはポンプのX軸成分の振動データを示す図である。図3Bは、ポンプのY軸成分の振動データを示す図である。図3CはポンプのZ軸成分の振動データを示す図である。 図4AはモータのX軸成分の振動データを示す図である。図4Bは、モータのY軸成分の振動データを示す図である。図4CはモータのZ軸成分の振動データを示す図である。 図5A及び図5Bは、ポンプを継続的に運転した際に振動データの尖度Pが変化する様子を示す図である。 尖度の減少比Rpとモータの電流値の増加比Rfとの関係を示した図である。 ポンプを継続的に運転した際にモータの電流値の増加分ΔFmが変化する様子を示す図である。 ポンプを継続的に運転した際に前述した電流値Fa、電流値の増加分ΔFm、及び、偏差Gが変化する様子を示す図である。 ポンプの診断方法に係る第二の実施形態を示すフローチャートである。 ポンプの性能カーブの一例を示した図である。 吐出し量Q1の推定方法を示すフローチャートである。 ポンプ診断装置102の一例を示す概念図である。 ポンプの診断方法に係る他の実施形態を示すフローチャートである。
符号の説明
2 ポンプ
4 ケーシング
6 インペラー
12 モータ
102 ポンプ診断装置
104 モータ側三軸加速度センサ
106 ポンプ側三軸加速度センサ
108 入力側圧力計
110 出力側圧力計
112 パワーメータ
114 メイン計算機
116 表示装置

Claims (13)

  1. ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するステップと、
    取得された該振動データの乱れ度合いを求めるステップと、
    求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分を求めるステップと、
    前記モータの電流値を取得するステップと、
    求められた前記モータの電流値の変動分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定するステップと、
    を有することを特徴とするポンプの診断方法。
  2. 請求項1に記載のポンプの診断方法において、
    前記モータの電流値の変動分は、該電流値の増加分であることを特徴とするポンプの診断方法。
  3. 請求項2に記載のポンプの診断方法において、
    前記振動データの前記乱れ度合いは、該振動データの特徴パラメータであることを特徴とするポンプの診断方法。
  4. 請求項2に記載のポンプの診断方法において、
    前記振動データの前記乱れ度合いは、
    該振動データの周波数成分のうち、その周波数が前記ポンプの回転周波数の整数倍となる周波数成分、
    の大きさであることを特徴とするポンプの診断方法。
  5. 請求項2乃至請求項4のいずれかに記載のポンプの診断方法において、
    前記振動データを取得するステップにおいては、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得し、
    該三軸成分の振動データの中から、前記モータの電流値の増加分を求めるための振動データを選択するステップを有することを特徴とするポンプの診断方法。
  6. 請求項2乃至請求項5のいずれかに記載のポンプの診断方法において、
    前記振動データを取得するステップにおいては、前記ポンプの振動データと前記モータの振動データの双方を取得することを特徴とするポンプの診断方法。
  7. 請求項2乃至請求項6のいずれかに記載のポンプの診断方法において、
    前記モータの電流値の増加分を求めるステップには、
    前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて求められた前記乱れ度合いと、予め取得された基準振動データの乱れ度合いと、の比率を求めるステップと、
    求められた該比率と、前記基準振動データを取得する際に取得された前記モータの基準電流値と、に基づいて、前記増加分を求めるステップと、
    が含まれることを特徴とするポンプの診断方法。
  8. 請求項7に記載のポンプの診断方法において、
    ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合に、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量と前記基準吐出し量とに基づいて、取得された前記モータの電流値を補正するステップ、
    を有することを特徴とするポンプの診断方法。
  9. 請求項8に記載のポンプの診断方法において、
    前記モータの電流値を補正するステップには、
    ポンプの吐出し圧力と吸込み圧力とを取得するステップと、
    取得された前記吐出し圧力及び前記吸込み圧力に基づいて、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量を推定するステップと、
    が含まれることを特徴とするポンプの診断方法。
  10. 請求項1乃至請求項9のいずれかに記載のポンプの診断方法において、
    前記電流値に代えて、電圧値又は電力値とすることを特徴とするポンプの診断方法。
  11. ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するステップと、
    取得された該振動データの乱れ度合いを求めるステップと、
    求められた該乱れ度合いに基づいて、ポンプ外部の機械的損失、による前記モータの電流値の変動分を求めるステップと、
    前記モータの電流値を取得するステップと、
    求められた前記モータの電流値の変動分と取得された前記モータの電流値に基づいて、ポンプ内部における性能劣化の度合いを判定するステップと、
    を有し、
    前記モータの電流値の変動分は、該電流値の増加分であり、
    前記振動データの前記乱れ度合いは、該振動データの特徴パラメータであり、
    前記振動データを取得するステップにおいては、三軸加速度センサにより、三軸成分の振動データを取得し、
    該三軸成分の振動データの中から、前記モータの電流値の増加分を求めるための振動データを選択するステップを有し、
    前記振動データを取得するステップにおいては、前記ポンプの振動データと前記モータの振動データの双方を取得し、
    前記モータの電流値の増加分を求めるステップには、
    前記振動データの乱れ度合いを求めるステップにおいて求められた前記乱れ度合いと、予め取得された基準振動データの乱れ度合いと、の比率を求めるステップと、
    求められた該比率と、前記基準振動データを取得する際に取得された前記モータの基準電流値と、に基づいて、前記増加分を求めるステップと、
    が含まれ、
    ポンプを診断する際のポンプの吐出し量が前記基準振動データを取得したときのポンプの基準吐出し量と異なる場合に、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量と前記基準吐出し量とに基づいて、取得された前記モータの電流値を補正するステップ、
    を有し、
    前記モータの電流値を補正するステップには、
    ポンプの吐出し圧力と吸込み圧力とを取得するステップと、
    取得された前記吐出し圧力及び前記吸込み圧力に基づいて、ポンプを診断する際のポンプの吐出し量を推定するステップと、
    が含まれることを特徴とするポンプの診断方法。
  12. 請求項1に記載のポンプの診断方法を実現するためのコンピュータプログラム。
  13. ポンプ及び該ポンプを駆動するためのモータのうち少なくともどちらか一方の振動データを取得するためのセンサ、メイン計算機、及び、表示装置を備えた、ポンプを診断するための装置であって、
    請求項1に記載のポンプの診断方法を実行することを特徴とするポンプを診断するための装置。
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