JP3919322B2 - 室間汚染防止装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、医薬品の製造施設や半導体集積回路の製造施設などに装備する室間汚染防止装置に関し、詳しくは、室圧制御手段により互いに差のある室圧に調整される高圧室と低圧室とにわたる室間連通路(例えば、コンベア等による室間物流に用いる連通路)において、それら高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を防止する室間汚染防止装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の室間汚染防止装置では、図9に示すように、高圧室1aに対する高圧室側開口19と低圧室1bに対する低圧室側開口20とを有し、これら開口19,20を連通路出入口として内部を室間連通路2とする室間チャンバ21を設け、そして、この室間チャンバ21の内部から吸引排気する吸引排気路27を設けて、その吸引排気により室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも低圧にすることで、高圧室1aと低圧室1bとの間での室内気移行による室内汚染(いわゆる交差汚染)を防止するようにしていた。
【0003】
つまり、室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも低圧にして高圧室1a及び低圧室1bの両方から室内気を室間チャンバ21へ流入させることにより、高圧室1aの室内気が室間連通路2を通じて低圧室1bに流入すること、並びに、室圧制御手段では防止し切れない室圧変動などの原因で逆に低圧室1bの室内気が室間連通路2を通じて高圧室1aに流入することの双方を防止し、これにより、高圧室1aと低圧室1bとの間での交差汚染を防止していた。
【0004】
また、図10に示すように、基本的には吸引排気路27による吸引排気で室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも低圧にする形態を採りながら、室間チャンバ21の内部において、吹出口Nからの清浄気体吹き出しにより吸引排気路27の吸引口へ向かう気流カーテンCを形成するようにし、これにより、高圧室1a及び低圧室1bの両方から室内気を室間チャンバ21に流入させることと、それら流入気に対する上記気流カーテンCの仕切り機能との相乗効果をもって、高圧室1aと低圧室1bとの間での室内気移行による室内汚染を防止するようにしたものもある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、上記いずれの従来形式にしても、通常時において常に高圧室1a及び低圧室1bの両方から室内気を室間チャンバ21へ流入させる為、室圧制御手段では防止し切れない高圧室1aや低圧室1bの過渡的な室圧変動などに原因して、瞬間的にせよ低圧室1bの室圧p2ないし高圧室1aの室圧p1が室間チャンバ21の内圧p3よりも相対的に低圧になる圧力逆転現象が生じると、高圧室1aからの流入気を含んだ室間チャンバ21の内部気体が低圧室1bに流出したり、低圧室1bからの流入気を含んだ室間チャンバ21の内部気体が高圧室1aに流出することになり、この点、高圧室1aと低圧室1bとの間での室内気移行による室内汚染をより確実に防止する上で、未だ改善の余地があった。
【0006】
この実情に鑑み、本発明の主たる課題は、室間チャンバを合理的に用いる装置構成をもって、高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を一層確実に防止する点にある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
〔1〕請求項1記載の発明では、高圧室に対する高圧室側開口と低圧室に対する低圧室側開口とを有し、これら開口を連通路出入口として内部を室間連通路にする室間チャンバを設け、そして、この室間チャンバに清浄気体を供給して、その室間チャンバの内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高圧にする加圧手段を設けることにより、その加圧手段による供給清浄気体を室間チャンバから高圧室及び低圧室の両方へ吹き出す形態とし、これにより、高圧室の室内気が室間連通路を通じて低圧室に流入すること、及び、低圧室の室内気が室間連通路を通じて高圧室に流入することの双方を防止して、高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を防止する。
【0008】
また、このように室間チャンバから高圧室及び低圧室の両方へ清浄気体を吹き出す形態で高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止することにより、室圧制御手段では防止し切れない高圧室や低圧室の過渡的な室圧変動(例えばドアの開閉時の室圧変動)などに原因して、高圧室の室圧ないし低圧室の室圧が室間チャンバの内圧よりも相対的に高圧になる圧力逆転現象が瞬間的に生じても、元々、室間チャンバの内部は清浄気体の加圧充満状態にあることから、瞬間的に高圧となった高圧室の室内気が室間連通路を通じて低圧室に流入することや、瞬間的に高圧になった低圧室の室内気が室間連通路を通じて高圧室に流入することを、先述の如き従来形式に比べより確実に防止することができ、これにより、高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染をより一層確実に防止することができる。
【0009】
ちなみに、二室間での室内気移行による室内汚染(交差汚染)を防止するのに、単純な手段としては清浄気体による気流カーテンを二室間に形成することが考えられるが、対象の二室が互いに差のある室圧に調整される高圧室と低圧室である場合、単なる気流カーテンでは、チャンバの如き保圧機能が無いことから、室圧の安定した通常時においても、気流カーテンの形成気流が高圧室の室圧に押されて低圧室側に流れる状態で、高圧室の室内気が気流カーテンの形成気流とともに低圧室に流入してしまい、所期の汚染防止効果を得ることができないものとなるが、上記の如くチャンバの保圧機能を生かして、室間チャンバの内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高圧にすることにより、高圧室の室内気が室間連通路を通じて低圧室に流入すること、及び、低圧室の室内気が室間連通路を通じて高圧室に流入することの双方を効果的に防止できる。
【0010】
〔2〕請求項2記載の発明では、室間チャンバの内圧を検出する内圧センサを設け、そして、前記加圧手段を、この内圧センサによる検出内圧に基づいて室間チャンバの内圧を目標内圧に自動調整する構成にするから、例えば、請求項1記載の発明の実施にあたり、室間チャンバの内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高い圧力に手動で初期設定的に調整する形態を採るに比べ、室間チャンバそのものの内圧が高圧室や低圧室の室圧変動の影響を受けて変動することを、上記の内圧自動調整により抑止することができ、これにより、高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止して室内汚染を防止する機能を一層向上できる。
【0011】
〔3〕請求項3記載の発明では、前記加圧手段を、室間チャンバに対する供給清浄気体の一部を室間チャンバに接続の吸引排気路から吸引排気しながら、室間チャンバの内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にするから、例えば、請求項1記載の発明の実施にあたり、上記の如き吸引排気路を設けず、室間チャンバへの供給清浄気体の全量を室間チャンバから高圧室と低圧室との両方へ振り分けて吹き出させる形態を採るに比べ、高圧室や低圧室に対する室間チャンバからの清浄気体吹出風量は適当なものにしながらも、吸引排気路への吸引排気量分だけ室間チャンバへの清浄気体供給量を大きくして、室間チャンバにおける換気機能を高めることができる。
【0012】
そして、このことにより、前記の如き瞬間的な圧力逆転現象で高圧室ないし低圧室の室内気が室間チャンバに流入するのに対し、この流入気が室間連通路を通じて他方室にまで至ることを、室間チャンバにおける上記の高い換気効果もって一層確実に防止することができて、高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を防止する機能を一層向上できる。
【0013】
〔4〕請求項4記載の発明では、室間連通路とする連通開口を形成した内部壁により室間チャンバの内部を高圧室側開口の存在する高圧側領域と低圧室側開口の存在する低圧側領域とに区画し、そして、前記加圧手段を、高圧側領域と低圧側領域とに対し個別に清浄気体を供給して、これら高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にするから、高圧室の室圧低下の影響を受けるなどの何らかの原因で室間チャンバにおける高圧側領域の内圧が低下したとしても、上記の如き内部壁による区画、及び、高圧側領域と低圧側領域とに対する清浄気体の個別供給により、低圧側領域の内圧は独立的に適切な高圧に維持することができて、その低圧側領域から高圧側領域と低圧室との両方へ清浄気体を吹き出させる形態で高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止できる。
【0014】
また逆に、低圧室の室圧低下の影響を受けるなどの何らかの原因で室間チャンバにおける低圧側領域の内圧が低下したとしても、同様に高圧側領域の内圧は独立的に適切な高圧に維持することができて、その高圧側領域から低圧側領域と高圧室との両方へ清浄気体を吹き出させる形態で高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止でき、これらのことから、高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止して室内汚染を防止する機能を一層効果的に向上できる。
【0015】
〔5〕請求項5記載の発明では、前記加圧手段を、低圧側領域の内圧よりも高圧側領域の内圧の方を高圧にする構成にするから、例えば、請求項4記載の発明の実施にあたり、高圧側領域の内圧と低圧側領域の内圧とを等しい圧力にするに比べ、高圧室と高圧側領域との間の圧力差と、低圧室と低圧側領域との間の圧力差とを均等化して、高圧室の室内気に対する室間チャンバの対抗機能と低圧室の室内気に対する室間チャンバの対抗機能とを同等化することができ、これにより、低圧室から高圧室への室内気流入を防止するに比べ高圧室から低圧室への室内気流入を防止することの方が劣る状態になることを抑止して、高圧室と低圧室との室圧差にかかわらず、それら両室に対する室内汚染防止機能を同等化することができる。
【0016】
〔6〕請求項6記載の発明では、高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を検出する内圧センサを設け、そして、前記加圧手段を、この内圧センサによる検出内圧に基づいて高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を各々の目標内圧に自動調整する構成にするから、例えば、請求項4記載の発明の実施にあたり、高圧側領域の内圧、及び、低圧側領域の内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高い圧力に手動で初期設定的に調整する形態を採るに比べ、高圧側領域や低圧側領域そのものの内圧が高圧室や低圧室の室圧変動の影響を受けて変動することを、上記の内圧自動調整により抑止することができ、これにより、高圧室と低圧室との間での室内気移行を防止して室内汚染を防止する機能を一層向上できる。
【0017】
〔7〕請求項7記載の発明では、前記加圧手段を、高圧側領域に対する供給清浄気体の一部を高圧側領域に接続の吸引排気路から吸引排気し、かつ、低圧側領域に対する供給清浄気体の一部を低圧側領域に接続の吸引排気路から吸引排気しながら、これら高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を高圧室及び低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にするから、例えば、請求項4記載の発明の実施にあたり、上記の如き吸引排気路を設けず、高圧側領域及び低圧側領域への供給清浄気体の全量を室間チャンバから高圧室と低圧室との両方へ振り分けて吹き出させる形態を採るに比べ、高圧室や低圧室に対する室間チャンバからの清浄気体吹出風量は適当なものにしながらも、各吸引排気路への吸引排気量分だけ高圧側領域及び低圧側領域への清浄気体供給量を大きくして、それら高圧側領域及び低圧側領域の夫々における換気機能を高めることができる。
【0018】
そして、このことにより、前記の如き瞬間的な圧力逆転現象で高圧室ないし低圧室の室内気が室間チャンバにおける高圧側領域や低圧側領域に流入するのに対し、この流入気が室間連通路を通じて他方室にまで至ることを、高圧側領域及び低圧側領域における上記の高い換気効果もって一層確実に防止することができて、高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を防止する機能を一層向上できる。
【0019】
【発明の実施の形態】
図1は医薬品の製造施設における空調設備を示し、1a,1bは医薬品製造において互いに異なる工程部分の作業を行う先工程室と後工程室であり、先工程室1aでの作業を終了した製造対象物Wは室間連通路2を通じてコンベア3により後工程室1bへ搬送する。
【0020】
4は温湿度調整を施した空調用空気Aを給気ダクト5を通じて先工程室1a及び後工程室1bの夫々に供給する給気ファン、6は先工程室1a及び後工程室1bの夫々から排気ダクト7を介して室内気を排出する排気ファンであり、8は先工程室1a及び後工程室1bの夫々に供給する空調用空気Aを浄化して各室1a,1bを所要の清浄度に保つ高性能フィルタである。
【0021】
先工程室1a及び後工程室1bの夫々には、各室1a,1bに対する給気量q1,q2を各々の目標給気量qs1,qs2に自動調整する給気量制御手段9を装備してあり、これら給気量制御手段9は、各室1a,1bに対する分岐給気ダクト5aにおいて、その通風量q1,q2(すなわち、各室1a,1bに対する給気量)を検出する風量センサ10と、分岐給気ダクト5aに介装した風量調整ダンパ11と、風量センサ10の検出風量q1,q2に基づき風量調整ダンパ11を開度調整して各室1a,1bに対する給気量q1,q2を各々の目標給気量qs1,qs2に調整する給気量制御器12とで構成される。
【0022】
また、先工程室1a及び後工程室1bの夫々には、各室1a,1bの室圧p1,p2を各々の目標室圧ps1,ps2に自動調整する室圧制御手段13を装備してあり、これら室圧制御手段13は、各室1a,1bの室圧p1,p2(具体的には各室1a,1bの室圧と基準圧との差圧)を検出する室圧センサ14と、各室1a,1bに対する分岐排気ダクト7aに介装した室圧調整用ダンパ15と、室圧センサ13の検出室圧p1,p2に基づき室圧調整用ダンパ15を開度調整して各室1a,1bからの排気量を調整することで各室1a,1bの室圧p1,p2を各々の目標室圧ps1,ps2に調整する室圧制御器16とで構成される。
【0023】
なお、本例においては、先工程室1aの方が後工程室1bよりも高い室内清浄度が要求されることに対し、先工程室1aの目標室圧ps1を後工程室1bの目標室圧ps2よりも高く設定(ps1>ps2)して、先工程室1aの室圧p1を後工程室1bの室圧p2よりも所定圧力差だけ高く保つようにしてある。以下、この意味で先工程室1aを高圧室と称し、後工程室1bを低圧室と称す。
【0024】
高圧室1aと低圧室1bとを結ぶ室間連通路2については、両室1a,1bの境界壁17における連通開口18の形成箇所に、高圧室1aに対する高圧室側開口19と低圧室1bに対する低圧室側開口20とを有し、これら開口19,20を連通路出入口とする状態で内部を室間連通路2とする室間チャンバ21を設けてあり、また、この室間チャンバ21の形成にあたっては、両室1a,1bの境界壁17における連通開口18を室間チャンバ21の内部での連通路開口とする状態で境界壁17を仕切用の内部壁に利用して、この境界壁17により室間チャンバ21の内部を高圧室側開口19の存在する高圧側領域21aと低圧室側開口20の存在する低圧側領域21bとに区画してある。
【0025】
また、高圧側領域21a及び低圧側領域21bの夫々には、給気ダクト5から空調用空気Aを分流して、その分流空気A’を高圧側領域21aと低圧側領域21bとに対し個別に供給するチャンバ用給気ダクト22a,22bを接続し、これらチャンバ用給気ダクト22a,22bの夫々には、内圧調整用ダンパ23a,23bを介装するとともに、高圧側領域21a及び低圧側領域21bの夫々に供給する空気A’を浄化して高圧側領域21a及び低圧側領域21bを高清浄度の高圧室1a(先工程室)と同等の清浄度に保つ高性能フィルタ24a,24bを介装してある。
【0026】
内圧調整用ダンパ23a,23bの制御については、高圧側領域21a及び低圧側領域21b夫々の内圧p3,p4を検出する内圧センサ25a,25bを設けるとともに、これら内圧センサ25a,25bによる検出内圧p3,p4に基づき内圧調整用ダンパ23a,23bを開度調整して高圧側領域21a及び低圧側領域21bの夫々に対する清浄空気A’の供給量を調整することで、高圧側領域21a及び低圧側領域21b夫々の内圧p3,p4を各々の目標内圧ps3,ps4に自動調整する内圧制御器26a,26bを設けてある。
【0027】
そして、図2に示す如く、低圧側領域21bの目標内圧ps4には、高圧室1aの目標室圧ps1よりも所定圧力差Δpaだけ高い圧力(ps4=ps1+Δpa)を設定し、また、高圧側領域21aの目標内圧ps3には、低圧側領域21bの目標内圧ps4よりも更に高圧室1aの目標室圧ps1と低圧室1bの目標室圧ps2との差圧分Δpb(=ps1−ps2)だけ高い圧力(ps3=ps4+Δpb)を設定してある。
【0028】
つまり、本実施形態では、チャンバ用給気ダクト22a,22b、内圧調整用ダンパ23a,23b、高性能フィルタ24a,24b、内圧センサ25a,25b、及び、内圧制御器26a,26bが、室間チャンバ21に清浄空気A’を供給して、その室間チャンバ21の内圧p3,p4を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも高圧にする加圧手段Kを構成し、この加圧手段Kにより室間チャンバ21に供給する清浄空気A’を室間チャンバ21から高圧室1a及び低圧室1bの両方へ吹き出させることで、高圧室1aの室内気が室間連通路2を通じて低圧室1bに流入すること、並びに、低圧室1bの室内気が室間連通路2を通じて高圧室1aに流入することの双方を防止し、これにより、高圧室1a(先工程室)と低圧室1b(後工程室)との間での室内気移行による室内汚染(いわゆる交差汚染)を防止するようにしてある。
【0029】
また、本実施形態では、室間連通路2とする連通開口18を形成した内部壁17により室間チャンバ21の内部を高圧室側開口19の存在する高圧側領域21aと低圧室側開口20の存在する低圧側領域21bとに区画し、そして、上記の加圧手段Kを、高圧側領域21aと低圧側領域21bとに対し個別に清浄空気A’を供給して、これら高圧側領域21a及び低圧側領域21b夫々の内圧p3,p4を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも高圧にする構成にしてあり、これにより、高圧室1aの室圧低下の影響を受けるなどの何らかの原因で室間チャンバ21における高圧側領域21aの内圧p3が低下したとしても、低圧側領域21bの内圧p4は独立的に目標内圧ps4に近い適切な高圧に維持することができて、その低圧側領域21bから高圧側領域21aと低圧室1bとの両方へ清浄空気A’を吹き出させる形態で高圧室1aと低圧室1bとの間での室内気移行を防止できるようにしてある。
【0030】
また逆に、低圧室1bの室圧低下の影響を受けるなどの何らかの原因で室間チャンバ21における低圧側領域21bの内圧p4が低下したとしても、同様に高圧側領域21aの内圧p3は独立的に目標内圧ps3に近い適切な高圧に維持することができて、その高圧側領域21aから低圧側領域21bと高圧室1aとの両方へ清浄空気A’を吹き出させる形態で高圧室1aと低圧室1bとの間での室内気移行を防止できるようにしてある。
【0031】
〔別の実施形態〕
次に別の実施形態を列記する。
【0032】
図3に示すように、前述の実施形態で示した構成に加え、室間チャンバ21における高圧側領域21a及び低圧側領域21bの各々に吸引排気路27a,27bを接続し、これにより、高圧側領域21aに対する供給清浄空気A’の一部、及び、低圧側領域21bに対する供給清浄空気A’の一部を各々の領域21a,21bに接続の吸引排気路27a,27bから吸引排気しながら、内圧制御器26a,26bによる内圧調整用ダンパ23a,23bの開度調整で、高圧側領域21a及び低圧側領域21b夫々の内圧p3,p4を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも高圧に保つようにしてもよい。
【0033】
高圧側領域21aの内圧p3の方を低圧側領域21bの内圧p4よりも高圧にするに代え、両内圧p3,p4を等しい圧力にしてもよく、また場合によっては、低圧側領域21bの内圧p4の方を高圧側領域21aの内圧p3よりも高圧にしてもよい。
【0034】
高圧側領域21a及び低圧側領域21bの夫々に吸引排気路27a,27bを接続する構造を採用する場合、内圧調整用ダンパ23a,23bをチャンバ用給気ダクト22a,22bに介装するに代え、図4に示すように、内圧調整用ダンパ23a,23bを吸引排気路27a,27bに介装し、これにより、チャンバ用給気ダクト22a,22bにより高圧側領域21a及び低圧側領域21bの各々に清浄空気A’を供給するもとで、吸引排気路27a,27bに介装の内圧調整用ダンパ23a,23bを開度調整して高圧側領域21a及び低圧側領域21bの夫々からの吸引排気量を調整することにより、高圧側領域21a及び低圧側領域21b夫々の内圧p3,p4を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも高圧に保つようにしてもよい。
【0035】
連通開口18を形成した内部壁17により室間チャンバ21の内部を高圧側領域21aと低圧側領域21bとに区画するに代え、図5〜図7に示すように、室間チャンバ21を高圧側領域21aと低圧側領域21bとに内部区画しない構造にしてもよい。
【0036】
なお、図5に示すものは、室間チャンバ21からの吸引排気は行わず、内圧センサ25により検出される室間チャンバ21の内圧p3に基づき内圧制御器26により内圧調整用ダンパ23を開度調整して室間チャンバ21に対するチャンバ用給気ダクト22からの清浄空気供給量を調整することで、室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の内圧p1,p2よりも高圧に自動調整する構成にしてある。
【0037】
また、図6に示すものは、チャンバ用給気ダクト22により室間チャンバ21に供給する清浄空気A’の一部を室間チャンバ21に接続の吸引排気路27から吸引排気しながら、内圧調整用ダンパ23を開度調整して室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の内圧p1,p2よりも高圧に自動調整する構成にしてある。
【0038】
さらにまた、図7に示すものは、チャンバ用給気ダクト22により室間チャンバ21に供給する清浄空気A’の一部を室間チャンバ21に接続の吸引排気路27から吸引排気しながら、その吸引排気路27の側に介装の内圧調整用ダンパ23を内圧制御器26により開度調整して室間チャンバ21の内圧p3を高圧室1a及び低圧室1b夫々の内圧p1,p2よりも高圧に自動調整する構成にしてある。
【0039】
図8に示すように、連通開口18a,18bを形成した内部壁17a,17bにより室間チャンバ21の内部を、高圧室側開口19の存在する高圧側領域21aと、低圧側開口20の存在する低圧側領域21bと、これら領域21a,21bの間に位置する中間部領域21cとに区画し、そして、これら高圧側領域21a、中間部領域21c、低圧側領域21bに対し個別に清浄空気A’を供給して、各領域21a,21c,21bの内圧p3,p5,p4を高圧室1a及び低圧室1b夫々の室圧p1,p2よりも高圧にするようにしてもよい。
【0040】
図8において、22a〜22cは高圧側領域21a,低圧側領域21b,中間部領域21cに対し個別に清浄空気A’を供給するチャンバ用給気ダクト、23a〜23cは内圧調整用ダンパ、24a〜24cは供給空気A’を浄化する高性能フィルタ、25a〜25cは各領域21a,21b,21cの内圧p3,p4,p5を検出する内圧センサ、26a〜26cは内圧センサ25a〜25cの検出圧力p3,p4,p5に基づき内圧調整用ダンパ23a〜23cを開度調整して各領域21a,21b,21cの内圧p3,p4,p5を各々の目標内圧ps3,ps4,ps5に自動調整する内圧制御器、27a〜27cは各領域21a,21b,21cから供給空気A’の一部を吸引排気する吸引排気路であるが、内圧調整用ダンパ23a〜23cは、チャンバ用給気ダクト22a〜22cに介装するに代え吸引排気路27a〜27cに介装してもよく、また、吸引排気路27a〜27cは省略してもよい。
【0041】
また、各領域21a,21b,21cの目標内圧ps3,ps4,ps5は、高圧室1aの側ほど高い圧力にしたり、あるいは、中間部領域21cの目標内圧ps5を最も高い圧力にしたり、あるいはまた、全てを等しい圧力にするなど、高圧室1a及び低圧室1b夫々の内圧p1,p2よりも高い圧力であれば、どのように設定してもよい。
【0042】
前述の実施形態や別実施形態の如く、内圧検出に基づく内圧調整用ダンパ23,23a〜23cの自動開度調整で室間チャンバ21の内圧p3,p4,p5を目標内圧ps3,ps4,ps5に自動調整するに代え、手動により内圧調整用ダンパ23,23a〜23cを開度調整して室間チャンバ21の内圧p3,p4,p5を所要の内圧ps3,ps4,ps5に初期設定的に調整するようにしてもよく、また、圧力調整にはダンパを用いるに代え、オリフィスなどの他の適当な圧力調整手段を採用してもよい。
【0043】
室間チャンバ21に供給する清浄気体A’は空気に限定されるものではなく、高圧室1a及び低圧室1pの室内気に応じ種々の気体を採用できる。また、高圧室1aや低圧室1bへの給気ダクト5から分流した気体A’を室間チャンバ21に供給するに代え、専用給気源から室間チャンバ21に清浄気体A’を供給するようにしてもよい。
【0044】
高圧室1a及び低圧室1bは医薬品製造室に限定されるものではなく、半導体集積回路の製造室など、どのような用途のものであってもよく、また、本発明による室間汚染防止装置の装備対象とする室間連通路は物品搬送に用いる連通路に限定されるものではなく、人員や動物などの室間移動に用いる連通路であってもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施形態を示す装置構成図
【図2】対象室の室圧と室間チャンバの内圧との圧力関係を示すグラフ
【図3】別実施形態を示す装置構成図
【図4】他の別実施形態を示す装置構成図
【図5】他の別実施形態を示す装置構成図
【図6】他の別実施形態を示す装置構成図
【図7】他の別実施形態を示す装置構成図
【図8】他の別実施形態を示す装置構成図
【図9】従来例を示す装置構成図
【図10】他の従来例を示す装置構成図
【符号の説明】
1a 高圧室
1b 低圧室
2 室間連通路
13 室圧制御手段
17 内部壁
18 連通開口
19 高圧室側開口
20 低圧室側開口
21 室間チャンバ
21a 高圧側領域
21b 低圧側領域
25a,25b 内圧センサ
27a,27b 吸引排気路
A’ 清浄気体
K 加圧手段
p1,p2 室圧
p3,p4 内圧
ps3,ps4 目標内圧

Claims (7)

  1. 室圧制御手段により互いに差のある室圧に調整される高圧室と低圧室とにわたる室間連通路において、それら高圧室と低圧室との間での室内気移行による室内汚染を防止する室間汚染防止装置であって、
    前記高圧室に対する高圧室側開口と前記低圧室に対する低圧室側開口とを有し、これら開口を連通路出入口として内部を前記の室間連通路とする室間チャンバを設け、
    この室間チャンバに清浄気体を供給して、その室間チャンバの内圧を前記高圧室及び前記低圧室夫々の室圧よりも高圧にする加圧手段を設けてある室間汚染防止装置。
  2. 前記室間チャンバの内圧を検出する内圧センサを設け、
    前記加圧手段を、この内圧センサによる検出内圧に基づいて前記室間チャンバの内圧を目標内圧に自動調整する構成にしてある請求項1記載の室間汚染防止装置。
  3. 前記加圧手段を、前記室間チャンバに対する供給清浄気体の一部を前記室間チャンバに接続の吸引排気路から吸引排気しながら、前記室間チャンバの内圧を前記高圧室及び前記低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にしてある請求項1又は2記載の室間汚染防止装置。
  4. 前記室間連通路とする連通開口を形成した内部壁により前記室間チャンバの内部を前記高圧室側開口の存在する高圧側領域と前記低圧室側開口の存在する低圧側領域とに区画し、
    前記加圧手段を、前記高圧側領域と前記低圧側領域とに対し個別に清浄気体を供給して、これら高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を前記高圧室及び前記低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にしてある請求項1記載の室間汚染防止装置。
  5. 前記加圧手段を、前記低圧側領域の内圧よりも前記高圧側領域の内圧の方を高圧にする構成にしてある請求項4記載の室間汚染防止装置。
  6. 前記高圧側領域及び前記低圧側領域夫々の内圧を検出する内圧センサを設け、
    前記加圧手段を、この内圧センサによる検出内圧に基づいて前記高圧側領域及び前記低圧側領域夫々の内圧を各々の目標内圧に自動調整する構成にしてある請求項4又は5記載の室間汚染防止装置。
  7. 前記加圧手段を、前記高圧側領域に対する供給清浄気体の一部を前記高圧側領域に接続の吸引排気路から吸引排気し、かつ、前記低圧側領域に対する供給清浄気体の一部を前記低圧側領域に接続の吸引排気路から吸引排気しながら、これら高圧側領域及び低圧側領域夫々の内圧を前記高圧室及び前記低圧室夫々の室圧よりも高圧にする構成にしてある請求項4〜6のいずれか1項に記載の室間汚染防止装置。
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