JP3918930B2 - 側視型内視鏡の先端部 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は側視型内視鏡の先端部に係り、特に先端部本体にキャップを着脱自在に取り付けた側視型内視鏡の先端部に関する。
【0002】
【従来の技術】
側視型内視鏡は、先端部側面の観察窓から先端部側方の被観察体内を観察すると同時に、内部に配設された処置具挿通チャンネルを介して鉗子等の各種の処置具を先端部側方の被観察体内へ導出し、この処置具にて切開、生検、内容物の回収等を行うものである。
【0003】
内視鏡の先端部は、金属製の先端部本体と、先端部本体を覆うゴム製のキャップとによって構成されている。先端部本体の内部には、気密された光学系収容室が設けられ、この収容室にCCDなどの撮影光学系と、ライトガイドなどの照明光学系が収容されている。撮影光学系と照明光学系を別々の部屋に収容すると、各部屋が小さくなって作業性が悪くなる。そこで、撮影光学系と照明光学系を共通の大きな光学系収容室に収容した内視鏡が提案されている(特許文献1参照)。この内視鏡によれば、収容室の間口が広いため、撮影光学系と照明光学系を簡単に組み込むことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開平8−76028号公報(第3頁、第2図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の内視鏡は、間口を広くしたため、気密保持面が広くなり、気密の保持が難しいという問題がある。特に、収容室の蓋となる金属薄板を接着剤によって先端部本体に接着した場合、接着剤の劣化に伴って気密性が低下するという問題が発生する。さらに、金属薄板がスプリングバックによって先端部本体の気密面から剥離し、気密性が低下するおそれもある。
【0006】
これを防止するためには、金属薄板をねじによって複数カ所で固定し、気密性を確保する方法が考えられる。しかしながら、内視鏡の先端部、特に光学系収容室は構成部材の密集度が高く、複数カ所でねじ止めする十分なスペースがとれないという問題がある。
【0007】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたもので、収容室の気密性を保持できる側視型内視鏡の先端部を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は前記目的を達成するために、内視鏡挿入部の先端に設けられた先端部本体から、処置具の先端部分を側方に向けて案内する処置具起立台が、前記先端部本体に形成された起立台収容溝内に揺動自在に挟持されるとともに、前記起立台収容溝の側方に撮影光学系と照明光学系とが収容される光学系収容室が形成され、前記先端部本体を被覆するキャップが前記先端部本体に着脱自在に取り付けられた側視型内視鏡の先端部において、前記光学系収容室は、保護カバーで被覆され、前記保護カバーは前記先端部本体と係合するための係合部を有し、該係合部を介して前記保護カバーを前記先端部本体に接合し、前記先端部本体との接合面にシール剤を介して、前記保護カバーを前記先端部本体にねじ止め結合することを特徴としている。
【0009】
請求項1に記載の発明によれば、保護カバーを先端部本体に係合させて接合するようにしたので、保護カバーは先端部本体に接合された状態に確実に保持される。したがって、接合面にシール剤を塗布することによって接合面を確実にシールすることができ、光学系収容室の気密性を保持することができる。
【0010】
また、請求項1に記載の発明によれば、保護カバーと先端部本体とを係合させるようにしたので、ねじ止めの数を最小限にすることができる。したがって、ねじ止めに必要なスペースが小さくなるので、先端部を細径化することができる。
【0011】
請求項2に記載の発明によれば、保護カバーは係合動作とスライド動作で前記先端部本体に接合されることを特徴としている。したがって、保護カバーと先端部本体との接合作業が確実なものとなり、光学系収納室の気密をより確実に保持することができる。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下添付図面に従って本発明に係る側視型内視鏡の先端部の好ましい実施の形態について詳述する。
【0013】
図1は、本発明に係る側視型内視鏡の先端部10の構造を示す分解斜視図である。
【0014】
同図に示すように先端部10は、先端部本体12を覆うキャップ14を有している。キャップ14は、弾性力のある材質、例えばシリコンゴムからなり、その上面には開口14Aが形成される。また、キャップ14の基端14Bには、内径の小さい小径部14Cが設けられており、この小径部14Cが先端部本体12の溝12Cに係合される。これにより、キャップ14が先端部本体12に装着される。
【0015】
先端部本体12は、ステンレスなどの耐食性のよい金属によって構成される。先端部本体12の中央位置には、不図示の起立台が収容される起立台収容溝16が形成され、この起立台収容溝16に処置具挿通チャンネル18(図2参照)が連通される。この処置具挿通チャンネル18は、不図示の内視鏡挿入部に挿通されて手元操作部に接続される。これにより、手元操作部から処置具挿通チャンネル18に処置具を挿入すると、処置具が起立台収容溝16に案内される。案内された処置具は起立台によって起立されて上方に導出される。
【0016】
起立台収容溝16の側方には、起立レバー収容室20が設けられる。この起立レバー収容室20の内部には、前記起立台を揺動させるための起立レバー(不図示)が収容される。また、起立台収容溝16を挟んで起立レバー収容室20の反対側には、光学系収容室22が設けられる。
【0017】
図2は、先端部本体12の横断面図であり、図3は、保護カバー24を取り外して光学系収容室22を露出させた先端部本体12の側面図である。また、図4及び図5はそれぞれ、保護カバー24を示している。
【0018】
保護カバー24は切削加工によって作成され、図4及び図5に示すように外面24Cが円弧状に形成されるとともに、内側に窪み24Dを備えている。したがって、保護カバー24を、図3に示す先端部本体12に取り付けることによって、中空状の光学系収容室22が形成される。
【0019】
保護カバー24の上端には、円弧形状の係合突起24A、24A′が形成される。また、先端部本体12には、係合突起24A、24A′が矢印A方向から係合する係合溝12A、12A′が形成される。係合溝12Aは、係合突起24Aよりも矢印B方向に長く形成されており、係合溝12A′は、先端面につながっている。したがって、係合突起24A、24A′を係合溝12A、12A′に係合させた状態のまま、保護カバー24を矢印B方向に若干スライドさせることができる。
【0020】
先端部本体12には係合ピン12Bが突設される。また、保護カバー24には、この係合ピン12Bが挿入されて係合される係合孔24Bが形成される。係合ピン12Bと係合孔24Bは、係合突起24Aを係合溝12Aに係合させた状態で保護カバー24を矢印B方向にスライドさせることによって係合される。
【0021】
先端部本体12に係合された保護カバー24は、図1に示すねじ25によって固定される。ねじ25は、先端部本体12に形成された孔12Dに挿通され、保護カバー24の内側に形成されたネジ孔(不図示)に締め込まれる。これによって、保護カバー24は、その縁が全周において先端部本体12に接合した状態で固定される。保護カバー24と先端部本体12の接合面(図3参照)にはシール剤が塗布される。これにより、保護カバー24と先端部本体12との隙間がシールされ、光学系収容室22の気密が保持される。
【0022】
図1に示すように光学系収容室22の上部には、観察窓26と照射窓28が、先端部10の側方に向けて配設されるとともに、観察窓26に向けて送気・送水口30が設けられる。送気・送水口30は、内視鏡挿入部に挿通された送気・送水チューブ(不図示)を介して外部装置に接続されており、手元操作部の送気・送水ボタンを操作することによって、圧縮エアまたは水が送気・送水口30から観察窓26に向けて噴射され、観察窓26が洗浄される。なお、観察窓26、照射窓28、及び送気・送水口30は、キャップ14を先端部本体12に被せた際、キャップ14の開口14Aに臨む位置に設けられる。以下、観察窓26が配設された面を上面とし、観察窓26から観察される観察方向を上方とする。
【0023】
光学系収容室22の内部には、撮影光学系と照明光学系が収容される。照明光学系は、図3に示すように、照射窓28の内側に設置された照明レンズ光学系31と、この照明レンズ光学系31に先端が臨むように配置されたライトガイド32を備える。ライトガイド32は、内視鏡挿入部に挿通され、基端部が不図示の光源装置に接続される。これにより、光源装置からの照射光がライトガイド32を介して伝達され、照射窓28から上方に向けて照射される。
【0024】
撮影光学系は、図3に示すように、観察窓26の内側に配設された対物レンズ光学系27と、この対物レンズ光学系27の後方にプリズム29を介して配設されたCCDユニット34を備え、CCDユニット34は図3のケーブル36を介して外部装置(例えばプロセッサ)に接続される。この撮影光学系によって、観察窓26から取り込まれた被写体像が電気信号に変換されて外部装置に伝達され、外部装置のモニタに被写体像が表示される。
【0025】
一方、起立レバー収容室20は、図2に示すように先端部本体12に保護板42を被せることによって閉じられる。保護板42はネジ50によって先端部本体12に複数カ所で固定され、保護板42と先端部本体12との隙間にはシール剤が充填される。これにより、起立レバー収容室20の気密性が保持される。起立レバー収容室20の内部には、不図示の起立レバーが設けられる。起立レバーは、起立台収容溝16に設けられた起立台(不図示)に連結され、起立台とともに一体に揺動する。また、起立レバーには、起立ワイヤー(不図示)が接続される。起立ワイヤーは、挿通孔41を通って内視鏡挿入部に挿通され、手元操作部に接続される。したがって、手元操作部を操作すると、起立ワイヤーが押し引きされて起立レバーが揺動され、その結果、起立台が揺動される。
【0026】
起立レバー収容室20の上面には、凸条部38が形成される。凸条部38は図1に示す如く先端部10の長手方向に形成される。また、キャップ14の内側には、凸条部38に対応する位置に凹条溝40(図1参照)が形成される。凸条部38と凹条溝40は、キャップ14を先端部本体12に取り付けた際に係合される。その際、先端部本体12の処置具収容溝16の側壁16Eと、キャップ14の側壁14Eとが同一面になるように構成される。これにより、キャップ14の側壁14Eが処置具用の誘導壁として作用し、起立台で起立させた処置具が起立レバー収容室20側に倒れ込むことを防止できる。
【0027】
次に上記の如く構成された先端部10の作用について説明する。
【0028】
保護カバー24の取付作業は以下のようにして行われる。
【0029】
まず、保護カバー24の先端部本体12との接合面にシール剤を塗布する。次いで保護カバー24を図1の矢印A方向に動かし、係合突起24A、24A′を先端部本体12の係合溝12A、12A′に差し込んで係合させる。その際、係合突起24A、24A′を先端側に若干ずらして係合させる。
【0030】
次に、保護カバー24を矢印B方向にスライドさせて、係合孔24Bに係合ピン12Bを挿入させる。これにより、保護カバー24が先端部本体12に接合されるとともに、保護カバー24と先端部本体12との接合面がシール剤によってシールされ、光学系収納室22の気密性が保持される。
【0031】
先端部本体12に係合された保護カバー24は、ねじ25を先端部本体12の孔12Dに起立台収容溝16側から挿入し、保護カバー24のネジ孔(不図示)に締め込むことによって、先端部本体12に固定される。
【0032】
こうして固定された保護カバー24は、先端部本体12に係合した状態でねじ止めしているため、先端部本体12に確実に接合される。特に、本実施の形態によれば、保護カバー24を矢印A方向に動かした後、矢印B方向にスライドさせて先端部本体12に係合させるので、接合作業が確実なものとなる。したがって、本実施の形態によれば、接合面にシール剤を塗布するだけで、光学系収容室22の気密性を保持することができる。
【0033】
また、本実施の形態によれば、係合溝12Aが係合突起24Aよりも長く形成されるとともに、係合溝12A′が先端面につなげて形成されるので、係合突起24A、24A′と係合溝12A、12A′との係合作業、及び矢印B方向へのスライド作業を容易に行うことができる。
【0034】
また、本実施の形態によれば、保護カバー24を先端部本体12に係合させるようにしたので、ねじ止め箇所を減少させることができる。具体的には、一カ所のねじ止めによって保護カバー24を先端部本体12に固定することができる。したがって、ねじ止め箇所を複数設けた場合に比べてスペースを有効利用することができ、先端部を細くすることができる。
【0035】
さらに、本実施の形態によれば、撮影光学系と照明光学系を、共通の光学系収容室22に収容しているため、光学系収容室22の間口を広くとることができる。したがって、撮像光学系や照明光学系の組付作業を容易に行うことができる。
【0036】
なお、本発明は、先端部10の内部に設けられる気密性の収容室であれば適用することができ、例えば起立レバー収容室20に適用することができる。
【0037】
【発明の効果】
以上説明したように本発明に係る側視型内視鏡の先端部によれば、保護カバーを先端部本体に係合し、ねじ止めするようにしたので、保護カバーと先端部本体との接合状態が常に保たれ、光学系収容室の気密性を確実に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る側視型内視鏡の先端部の構造を示す組立図
【図2】先端部本体の正面断面図
【図3】保護カバーを取り外した光学系収納室を示す側面図
【図4】保護カバーの側面図
【図5】図4の保護カバーの右側面図
【符号の説明】
10…先端部、12…先端部本体、14…キャップ、16…起立台収容溝、18…処置具挿通チャンネル、20…起立レバー収容室、22…光学系収容室、24…保護カバー、26…観察窓、28…照射窓、30…送気・送水口、32…ライトガイド、34…CCDユニット、36…ケーブル、38…凸条部、40…凹条溝、42…保護板

Claims (2)

  1. 内視鏡挿入部の先端に設けられた先端部本体から、処置具の先端部分を側方に向けて案内する処置具起立台が、前記先端部本体に形成された起立台収容溝内に揺動自在に挟持されるとともに、前記起立台収容溝の側方に撮影光学系と照明光学系とが収容される光学系収容室が形成され、前記先端部本体を被覆するキャップが前記先端部本体に着脱自在に取り付けられた側視型内視鏡の先端部において、
    前記光学系収容室は、保護カバーで被覆され、前記保護カバーは前記先端部本体と係合するための係合部を有し、該係合部を介して前記保護カバーを前記先端部本体に接合し、前記先端部本体との接合面にシール剤を介して、前記保護カバーを前記先端部本体にねじ止め結合することを特徴とする側視型内視鏡の先端部。
  2. 前記保護カバーは係合動作とスライド動作で前記先端部本体に接合されることを特徴とする請求項1に記載の側視型内視鏡の先端部。
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