JP3918623B2 - 電磁石装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、電磁石装置に係り、特に、磁気共鳴イメージング装置(以下、MRI装置という)に適用するのに好適な電磁石装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
MRI装置は、核磁気共鳴(以下、NMRという)現象を利用して計測した信号を演算処理することによって被検者体内中の原子核スピンの密度分布,緩和時間分布等を断層像として画像表示するものである。計測する際には観測領域内において、強い磁場(0.2 T以上)で、高い静磁場均一度(10ppm 程度)を有する磁場分布を形成する必要がある。
【0003】
MRI装置に設けられる従来の電磁石装置は、特開平11−318858号公報の図3に記載されている。すなわち、一対の磁極が被検者の観測領域を挟んで対向するように上下に配置され、これらの磁極はリターンヨークに設置される。超電導コイルを内包する真空容器がそれぞれの磁極付近に設置される。下部に位置する磁極から上部に位置する磁極に向かう方向をZ軸方向と称する。それぞれの超電導コイルはそのZ軸の周りに取囲んでいる。それぞれの磁極の対向する磁極面には、内側及び外側に環状の磁極突起部が形成され、これらの磁極突起部の間に凹凸部が形成される(特開平11−318858号公報の図3及び特開平8−172010号公報の図2)。磁極突起部及び凹凸部は、均一磁場を形成するために設けられる。
【0004】
被検者の撮像において空間位置情報を付与する目的で、磁場の空間的な変化
(傾斜磁場)を印加する傾斜磁場コイルを、MRI装置用の電磁石装置に設けることが知られている(特開平11−9572号公報及び特開平6−254065号公報)。更に、特開平11−9572号公報は、NMR現象を引起すための共鳴周波数の電磁波を印加する高周波照射コイルの設置にも言及している。
【0005】
傾斜磁場コイルへの通電(例えば10HZ〜1KHZ程度の周期の台形波状の電流を通電)によって生じる磁場の変化は、まわりの構造物に渦電流を誘起する。この渦電流の発生に対して対策を施さなければ、観測領域内に所定の傾斜磁場分布を形成できなくなる。
【0006】
そこで、磁極に流れる渦電流を低減するために、傾斜磁場コイルと逆向きで大きさが同程度の電流を流すシールドコイルの設置が提案されている。例えば、磁極突起部に流れる渦電流を低減する案が、特開平6−254065号公報に記載されている。この案は、シールドコイルを磁極突起部の傾斜磁場コイル側の側面に設置するものである。しかしながら、上記のようなシールドコイルの設置は、傾斜磁場コイルのすぐ近傍で傾斜磁場コイルと逆向きの電流を流すため、所定の傾斜磁場を印加するためには、シールドコイルを用いない場合に比べて大きな電源容量を必要とする。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記したシールドコイル設置によって発生する課題を解決するために、積層鋼板を設置することが考えられた。例えば、磁極に設けられた環状の磁極突起部に流れる渦電流を低減するために、その磁極突起部内に珪素鋼板などの積層鋼板を配置して、その積層鋼鈑を磁極突起部より内側の磁極の平らな面に対向させて設ける案(特開平6−254065号公報)、及び磁極に流れる渦電流を低減するために、傾斜磁場コイルと磁極との間に珪素鋼板などの積層鋼板を配置する案
(特許第2649436号公報及び特許第3016544号公報)がある。
【0008】
本発明の目的は、観測領域内における傾斜磁場分布の上下の非対称性を緩和でき、かつ電磁石装置の電源設備をコンパクト化できる電磁石装置を提供することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成する第1発明の特徴は、対向する一対の磁極と、それぞれの前記磁極に設けられて、前記磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置と、第1傾斜磁場コイルと、第2傾斜磁場コイルと、上部に位置する前記磁極と前記第1傾斜磁場コイルとの間に配置されて前記上部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置に対向して配置され、前記上部の磁極における渦電流の発生を抑制する第1渦電流抑制装置と、下部に位置する前記磁極と前記第2傾斜磁場コイルとの間に配置されて前記下部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置に対向して配置され、前記下部の磁極における渦電流の発生を抑制する第2渦電流抑制装置とを備えたことにある。
【0010】
各磁極に、磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置を設けているので、傾斜磁場コイルが作用しているときに第1渦電流抑制装置及び第2渦電流抑制装置上でそれぞれ磁場強度が増減される。すなわち、第1傾斜磁場コイルによる第1渦電流抑制装置上の磁場の変化量と第2傾斜磁場コイルによる第2渦電流抑制装置上の磁場の変化量との差の絶対値が小さくなる。このため、観測領域内の傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善されて得られる断層像の歪みが少なくなり、断層像の精度が向上する。
【0011】
好ましくは、第1傾斜磁場コイルが磁力線発生装置と重なる位置に配置され、第2傾斜磁場コイルが磁力線発生装置と重なる位置に配置される。これによって、上記した、第1渦電流抑制装置上の磁場の変化量と第2傾斜磁場コイルによる第2渦電流抑制装置上の磁場の変化量との差の絶対値を更に小さくできる。このため、得られる断層像の精度が向上する。
【0012】
上記の目的を達成する第2発明の特徴は、対向する一対の磁極と、第1傾斜磁場コイルと、第2傾斜磁場コイルと、上部に位置する前記磁極と前記第1傾斜磁場コイルとの間に配置されて、前記上部の磁極における渦電流の発生を抑制する第1渦電流抑制装置と、下部に位置する前記磁極と前記第2傾斜磁場コイルとの間に配置されて、前記下部の磁極における渦電流の発生を抑制する第2渦電流抑制装置と、前記第1渦電流抑制装置及び前記第2渦電流抑制装置のそれぞれに設けられて、前記磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置とを備えたことにある。
【0013】
第2発明においても、第1渦電流抑制装置及び前記第2渦電流抑制装置のそれぞれに設けられた磁力線発生装置によって、第1発明と同じ作用効果を得ることができる。すなわち、観測領域内の傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善されて得られる断層像の歪みが少なくなり、断層像の精度が向上する。
【0014】
第1傾斜磁場コイルの少なくとも一部が上部の磁極に設けられた磁力線発生装置に重なる位置に配置され、第2傾斜磁場コイルの少なくとも一部が下部の磁極に設けられた磁力線発生装置に重なる位置に配置されているため、第1傾斜磁場コイルによる上部の磁力線発生装置上の磁場の変化量と第2傾斜磁場コイルによる下部の磁力線発生装置上の磁場の変化量との差の絶対値が小さくなる。このため、観測領域内の傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善され、得られる断層像の歪みが少なくなる。また、電磁石装置の電源設備がコンパクトになる。
【0015】
【発明の実施の形態】
発明者らは、珪素鋼板などの積層鋼板を設置した、MRI装置用の電磁石装置の特性を詳細に検討することによって、その電磁石装置では観測領域内における傾斜磁場分布が観測領域の上下で非対称となるという新たな課題(新たな知見)が生じることを発見した。発明者らが発見した、観測領域内における傾斜磁場分布が観測領域の上下で非対称となるという新たな課題について、詳細に説明する。
【0016】
まず、発明者らは、特開平6−254065号公報に記載されたように、環状の磁極突起部の内側に積層鋼鈑を配置し、磁極突起部の内側で磁極の表面が平らになっており、しかも傾斜磁場コイルが積層鋼鈑と共に配置されている電磁石構造の特性を検討した。それらの構造は、電磁石装置の構造は、上部の磁極及び下部の磁極に対してそれぞれ構成される。発明者らが特性を検討した、MRI装置用の電磁石装置の構造を、図4を用いて説明する。リターンヨーク4の両端部に環状の磁極突起部8がそれぞれ設けられる。それぞれの磁極突起部8内でリターンヨーク4の端面にそれぞれ磁極9が設けられる。これらの磁極9は、被検者が挿入される観測領域5を間に挟んで対向する。電磁石装置は図4において上部の磁極9付近の構造と下部の磁極付近の構造が同じであるため、上部の磁極9付近の構造について説明する。非磁性高抵抗の支持部材11がボルト等の取付部材12によって磁極9に取り付けられる。支持部材11の磁極9側の面には珪素鋼板の積層鋼板14が設置される。支持部材11の観測領域5側の面には傾斜磁場コイル10が設置される。傾斜磁場コイル10及び積層鋼鈑14は磁極突起部8の内側に配置されており、積層鋼鈑14は磁極突起部8の内側における磁極9の平面35に対向している。磁極突起部8を取囲んで環状の超電導コイル7が配置される。超電導コイル7は、リターンヨーク4の端面に取り付けられて磁極突起部8を取囲む環状の真空容器3内に設置される。X,Y,Z各方向を図4に示す如く定める。被検者は、体内の検査領域が観測領域5内に位置するように観測領域5内でベット2上に横たわる。その観測領域5内には、予め均一磁場が、矢印6の方向(Z方向)、すなわち下部の磁極9から上部の磁極9に向かって形成されている。
【0017】
積層鋼板14は傾斜磁場コイル10が作る磁気回路上に配置される。発明者らの検討において、上記のような構成では、空間的な磁場分布を非対称にしてしまうという新たな問題が発生することが分かった。発明者らは、この問題の発生原因を検討した。この検討によって明らかになったその問題の発生原因を、図5(a)を用いて説明する。図5(a)は、図4における上部及び下部のそれぞれの傾斜磁場コイル10及び積層鋼板14付近の構成を示し、リターンヨーク4,磁極9,磁極突起部8及び支持部材11等を省略している。傾斜磁場コイル10への電圧印加前には、上部の積層鋼鈑14付近において、超電導コイル7,上部の磁極9及びリターンヨーク4などにより、図5(a)における点線の矢印15Aの方向(磁極9の中心側から外側に向かって)に静磁場が形成される。また、超電導コイル7,上部の磁極9及びリターンヨーク4などにより、下部の積層鋼鈑14付近において、点線の矢印15Bの方向(磁極9の外側から中心側に向かって)に静磁場が形成される。この状態で、例えば、上部の傾斜磁場コイル10によってZ方向の傾斜磁場を印加した場合には、図5(a)で実線16Aによって示す方向の磁力線が積層鋼鈑14付近に形成される。下部の傾斜磁場コイル10によってZ方向の傾斜磁場を印加した場合には、図5(a)で実線16Bによって示す方向の磁力線が積層鋼鈑14付近に形成される。
【0018】
上部及び下部の傾斜磁場コイル10への電圧の印加による磁力線の変化について詳細に説明する。上部の積層鋼鈑14内では、上部の傾斜磁場コイル10の作用により矢印16Aの方向(磁極9の中心側から外側に向かう方向)の磁力線が形成されるために、矢印15Aの方向に向かう磁場が強められる。他方、下部の積層鋼鈑14内では、下部の傾斜磁場コイル10の作用により、矢印16Bの方向(磁極9の中心側から外側に向かう方向)の磁力線が形成されるために、矢印15Bの方向に向かう磁場が弱められる。このような現象の発生によって、被検体である被検者が検査時に挿入される観測領域5内の傾斜磁場分布が上下で非対称になる。傾斜磁場分布が上下で非対称になると、作成される、被検者の断層像に乱れが生じ、精度の高い断層像を得ることができない。
【0019】
本発明者らは、発見した上記の新たな課題を解消するために種々の検討を行った。この検討の結果、本発明者らは、各磁極9に設けられた環状の磁極突起部8の内側で、積層鋼鈑14に対向する磁極の部分に例えば凸部を形成することによって、観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善されることを発見した。この改善案において、積層鋼板14の内部に形成される磁場が、磁化特性曲線上で変化する状態を説明する。図5(b)は、その改善案(図4に示す平面35の部分に後述の凸部19Aを形成)に対する、傾斜磁場コイル10への電圧印加前後における積層鋼板14上での磁化の磁化特性曲線上の変化の様子を表しており、起磁力Hと磁場強度Bとの関係を示している。上記したような静磁場のみが形成されている状態において、上部及び下部の各積層鋼板14の内部に形成される磁場が磁化特性曲線上の例えば位置17(図5(b)参照)にあったとする。上部及び下部の傾斜磁場コイル10に電圧を印加した場合には、電磁石装置の上部の積層鋼板14上に形成される磁場は、静磁場を強めるため、磁化特性曲線上を矢印30の方向に上昇して位置18aに達する。他方、下部の積層鋼板14上に形成される磁場は、逆に静磁場を弱めるため、磁化特性曲線上を矢印31の方向に下降して位置18bに達する。積層鋼板14の磁化特性曲線は直線ではないため、上部の積層鋼板14上の磁場の変化量と下部の積層鋼板14上の磁場の変化量とは異なっている。そこで、前記磁極部分に凸部を設けると、半径方向内側と外側に向う磁力線が同時に発生し、片側(上側もしくは下側)の積層鋼板14上で、磁化特性曲線上を上昇(矢印30)する部分と下降(矢印31)する部分を生成できるため、上部の積層鋼板14上の磁場の変化量と下部の積層鋼板14上の磁場の変化量との差が、環状の磁極突起部8の内側で磁極9に凸部を形成しない図4の構造に比べて小さくなる。このため、本改善案では、観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善され、図4の構造に比べて被検者の断層像の乱れが少なくなる。
【0020】
本発明者らは、更に検討することによって、その非対称性を更に改善できる解決案を見出した。この解決案は、傾斜磁場コイル10を、磁極突起部8の内側で磁極9の面に形成される凸部に対向するように配置するものである。
【0021】
この凸部付近では、静磁場の磁力線が半径方向内側と外側に分かれるため、傾斜磁場コイル10への電圧印加中における積層鋼板14上の磁場増加領域と減少領域の境界が形成される。この凸部に対向する位置に傾斜磁場コイル10を配置すると、傾斜磁場コイル10と積層鋼板上の磁場増加領域と減少領域からのそれぞれの距離がほぼ等しくなり、積層鋼板14上の磁場の増加量と減少量をほぼ等しくできるため、その差(変化量)を小さくできる。その結果、下側積層鋼板上の磁場の変化量との差を小さく出来るため、磁場分布の非対称性を低減できる。これにより、作成される、被検者の断層像の乱れがさらに減少する。上記のように磁極に凸部を形成する替りに、積層鋼鈑14に凸部または凹部を、または磁極9の磁極突起部8の内側の磁極面に凹部を形成してもよい。これらの凸部及び凹部は、磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。
【0022】
発明者らが成した本発明に関する実施例を以下に説明する。
【0023】
(実施例1)
MRI装置に適用される本発明の好適な一実施例である実施例1の電磁石装置を、図1及び図2を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33は、図2に示すように、リターンヨーク4,真空容器3A,3B及び磁極突起部8A,8Bを有する。電磁石装置33を備えるMRI装置は、観測領域5に向かって移動するベット2を有する。リターンヨーク4は、図2に示すように、天板部4A及び床板部4Bと、それらを連結する柱部4Cを含んでいる。柱部4Cの本数は、開放性確保の観点から1本(または2本)である。環状の磁極突起部8Aは、リターンヨーク4の上部に位置する天井部4Aの下面に設置される。環状の真空容器3Aは、天井部4Aの下面に取り付けられ、磁極突起部8Aの周囲を取囲んでいる。環状の磁極突起部8Bは、リターンヨーク4の上部に位置する床板部4Bの上面に設置される。環状の真空容器3Bは、床板部4Bの上面に取り付けられ、磁極突起部8Bの周囲を取囲んでいる。
【0024】
磁極突起部8A付近の詳細構造を、図1を用いて説明する。磁極9Aが磁極突起部8A内で天井部4Aの下面に取り付けられる。非磁性高抵抗の支持部材11Aがボルト等の取付部材12Aによって磁極9Aに取り付けられる。支持部材11Aの磁極9A側の面には珪素鋼板の積層鋼板14Aが設置される。支持部材11Aの観測領域5側の面には傾斜磁場コイル10Aが設置される。傾斜磁場コイル10Aは接着剤(もしくは固定具)を用いて支持部材11Aに取り付けられる。超電導コイル7Aが磁極9Aを取囲むように真空容器3A内に配置される。
【0025】
磁極突起部8B付近の詳細構造についても、図1を用いて説明する。磁極9Bが磁極突起部8B内で床板部4Bの上面に取り付けられる。非磁性高抵抗の支持部材11Bがボルト等の取付部材12Bによって磁極9Bに取り付けられる。支持部材11Bの磁極9B側の面には珪素鋼板の積層鋼板14Bが設置される。支持部材11Bの観測領域5側の面には傾斜磁場コイル10Bが設置される。傾斜磁場コイル10Bも接着剤(もしくは固定具)を用いて支持部材11Bに取り付けられる。超電導コイル7Bが磁極9Bを取囲むように真空容器3B内に配置される。リターンヨーク4は超電導コイル7A,7Bが生成する磁束を効率良くリターンさせる機能を有する。超電導コイル7A,7Bはそれぞれの真空容器3A,3B内で超電導状態となる極低温に維持される。積層鋼板14Bと磁極9Bとの間の距離は積層鋼板14Aと磁極9Aとの間の距離に等しい。傾斜磁場コイル10Bと磁極9Bとの間の距離は傾斜磁場コイル10Aと磁極9Aとの間の距離に等しい。
【0026】
磁極9Aの積層鋼板14A側の面に、凸部19Aが形成される。凸部19Aは、磁極9Aの軸心(Z軸)を中心に環状に形成され、内側(軸心側)の傾斜面及び外側(磁極突起部8A側)の傾斜面を有する。磁極9Bの積層鋼板14B側の面にも、凸部19Bが形成される。凸部19Bは、磁極9Bの軸心(Z軸)を中心に環状に形成され、内側(軸心側)の傾斜面及び外側(磁極突起部8B側)の傾斜面を有する。凸部19Aの半径は凸部19Bの半径と同じである。
【0027】
傾斜磁場コイル10Aは、磁極の半径方向において、凸部19A、具体的には凸部19Aの内側の傾斜面及び外側の傾斜面と重なる位置に配置される。この重なる位置とは、観測領域5から磁極9Aの方を見て傾斜磁場コイル10Aが凸部19Aに重なる位置を意味する。傾斜磁場コイル10Bは、磁極の半径方向において、凸部19B、具体的には凸部19Bの内側の傾斜面及び外側の傾斜面と重なる位置に配置される。傾斜磁場コイル10Bと凸部19Bとが重なる位置とは、観測領域5から磁極9Bの方を見て傾斜磁場コイル10Bが凸部19Bに重なる位置を意味する。
【0028】
本実施例の電磁石装置を適用したMRI装置を用いて被検者1の検査を行う場合には、予め、超電導コイル7A,7Bにそれぞれ通電し、矢印6の方向の磁場を生成させた後、被検者1をベット2に乗せて観測領域5内に移動させる。更に、傾斜磁場コイル10A,10Bに電圧を印加して傾斜磁場を発生させる。傾斜磁場コイル10Aを印加する前には、静磁場の磁力線15A,15Cが凸部19Aによって形成される。凸部19Aの内側傾斜面から積層鋼板14Aに向かう磁力線15Cは、磁極9Aの半径方向においてその内側傾斜面から磁極9Aの中心側に向かっている。また、凸部19Aの外側傾斜面から積層鋼板14Aに向かう磁力線15Aは、磁極9Aの半径方向においてその外側傾斜面から磁極9Aの外側に向かっている。傾斜磁場コイル10Bを印加する前には、静磁場の磁力線15B,15Dが凸部19Bによって形成される。積層鋼板14Bから凸部19Bの内側傾斜面に向かう磁力線15Dは、磁極9Bの半径方向において磁極9Bの中心側から凸部19Bの内側傾斜面に向かっている。また、積層鋼板14Bから凸部19Bの外側傾斜面に向かう磁力線15Bは、磁極9Bの半径方向において磁極9Bの外側から凸部19Bの外側傾斜面に向かっている。
【0029】
上部の磁極9Aに形成された凸部19Aは、磁極の半径方向において内側と外側とに向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。下部の磁極9Bに形成された凸部19Bも、磁極の半径方向において内側と外側とに向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。
【0030】
傾斜磁場コイル10Aへの電圧の印加によって、傾斜磁場コイル10Aの周りに磁力線16Aが形成される。傾斜磁場コイル10Bへの電圧の印加によって、傾斜磁場コイル10Bの周りに磁力線16Bが形成される。
【0031】
本実施例は、上部の積層鋼14が環状の磁極突起部8の内側で上部の磁極9に設けられた凸部19Aと対向して配置され、下部の積層鋼14が環状の磁極突起部8の内側で下部の磁極9に設けられた凸部19Bと対向して配置されているため、後述する様に、図4に示す電磁石装置に比べて観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善される。すなわち、積層鋼14A上で、矢印16Aの磁力線(傾斜磁場コイル10Aの作用によって発生)の影響によって矢印15Aの方向の磁力線が強められ、矢印15Cの方向の磁力線が弱められる。また、積層鋼14B上では、矢印16Bの磁力線(傾斜磁場コイル10Bの作用によって発生)の影響によって矢印15Bの方向の磁力線が弱められ、矢印15Dの方向の磁力線が強められる。このように、積層鋼14A,14B上では、それぞれ磁場強度に増減が生じるために、本実施例において、図4の構造のように積層鋼14B上での磁力線が一方的に弱められて磁場強度が減少するという現象が発生しない。従って、図4に示す電磁石装置に比べて観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善されるのである。
【0032】
本実施例は、傾斜磁場コイル10Aが前述したように磁力線発生装置である凸部19Aに重なる位置に配置され、傾斜磁場コイル10Bが前述したように磁力線発生装置である凸部19Bに重なる位置に配置されているため、傾斜磁場コイル10A,10Bの作用によって磁力線16A,16Bが形成された場合でも、上部の積層鋼板14A上の磁場の増加量と減少量の差(磁場の増加量と減少量の差は磁場の変化量である)が、下部の積層鋼板14B上での磁場強度の増加量と減少量の差とほぼ等しくなる。すなわち、傾斜磁場コイル10Aの作る磁気回路(図3の磁力線15A)上での、傾斜磁場コイル10Aへの電圧印加に基づいた磁場強度の増加量と減少量の差が、それぞれ、傾斜磁場コイル10Bの作用によって形成された磁気回路(図3の磁力線15B)上での、傾斜磁場コイル10Bへの電圧印加に基づいた磁場の増加量と減少量の差と同程度になる。このため、観測領域5内の傾斜磁場分布が対称面(磁極9Aと磁極9Bとの中間点を通る水平面)を挟んでその領域の上下で対称になって、被検者1に対する断層像の歪みがなくなり、精度の高い断層像を得ることができる。
【0033】
本実施例は、磁極9A,9Bに傾斜面を有する凸部19A,19Bを形成しているので、より滑らかな磁界で、Z軸に対称な磁界の不均一度を小さくできる。また、本実施例は、積層鋼板14A,14Bを設けているため、傾斜磁場コイルの設置に基づいて生じる課題である磁極9A,9Bにおける渦電流の発生を抑制できる。積層鋼板14A,14Bはそれぞれ渦電流抑制装置である。また、本実施例は、積層鋼板14A,14Bを設置するため、シールドコイルの設置が不要となってシールドコイル用の大容量の電源装置が不要となり、電磁石装置の電源を含めたシステム構成をコンパクト化する。シールドコイルの設置が不要になることは、シールドコイルで消費される電力が不要になり、本実施例の電磁石装置で消費される電力量が低減される。
【0034】
傾斜磁場コイル10Aは凸部19Aの内側傾斜面及び外側傾斜面の一方に重なる位置に配置してもよい。また、傾斜磁場コイル10Aの少なくとも一部が凸部19Aと重なる位置に配置してもよい。傾斜磁場コイル10Bも、凸部19Bに対して同様な重なる位置に配置してもよい。このように傾斜磁場コイルを磁力線発生装置に重なる位置に配置することによって、観測領域5内での傾斜磁場分布の非対称性が緩和され、被検者1に対する断層像の歪みを低減することができる。
【0035】
(実施例2)
本発明の他の実施例である実施例2の電磁石装置を、図6を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Aは、磁極9Aに凸部19Aの替りに凹部20Aを形成している。図示されていないが、下部の磁極9Bにおいても凸部19Bの替りに同様な凹部20Bを形成している。電磁石装置33Aにおける他の構成は、電磁石装置33と同じである。凹部20A,20Bも、磁極の半径方向において内側と外側とに向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。傾斜磁場コイル10Aは、凹部20Aの内側傾斜面及び外側傾斜面に重なる位置に配置される。図示されていないが、下部の傾斜磁場コイル10Bも、凹部20Bの内側傾斜面及び外側傾斜面に重なる位置に配置される。
【0036】
傾斜磁場コイル10Aを印加する前には、静磁場の磁力線15Aが凹部20Aによって形成される。凹部20Aの内側傾斜面から積層鋼板14Aに向かう磁力線15Cは、磁極9Aの半径方向においてその内側傾斜面から内側に向かっている。また、凹部20Aの外側傾斜面から積層鋼板14Aに向かう磁力線15Aは、磁極9Aの半径方向においてその外側傾斜面から外側に向かっている。図示されていないが、下部に位置する傾斜磁場コイル10Bを印加する前には、静磁場の磁力線15Bが凹部20Bによって形成される。積層鋼板14Bから凹部20Bの内側傾斜面に向かう磁力線15Bは、磁極9Bの半径方向において内側から凹部20Bの内側傾斜面に向かっている。また、積層鋼板14Bから凹部20Bの外側傾斜面に向かう磁力線15Bは、磁極9Bの半径方向において外側から凹部20Bの外側傾斜面に向かっている。
【0037】
傾斜磁場コイル10Aへの電圧の印加によって、傾斜磁場コイル10Aの周りに磁力線16Aが形成される。傾斜磁場コイル10Bへの電圧の印加によって、傾斜磁場コイル10Bの周りに磁力線16Bが形成される。
【0038】
本実施例は、傾斜磁場コイル10Aが前述したように磁力線発生装置である凹部20Aに重なる位置に配置され、傾斜磁場コイル10Bが前述したように磁力線発生装置である凹部20Aに重なる位置に配置されているため、傾斜磁場コイル10A,10Bの作用によって磁力線16A,16Bが形成された場合でも、上部の積層鋼板14A上の磁場の増加量と減少量の差が、下部の積層鋼板14B上での磁場の増加量と減少量の差とほぼ等しくなる。すなわち、傾斜磁場コイル10Aの作る磁気回路(図3の磁力線15A)上での、傾斜磁場コイル10Aへの電圧印加に基づいた磁場の増加量と減少量の差が、それぞれ、傾斜磁場コイル10Bの作用によって形成された磁気回路(図3の磁力線15B)上での、傾斜磁場コイル10Bへの電圧印加に基づいた磁場の増加量と減少量の差と同程度になる。このため、観測領域5内の傾斜磁場分布がその領域の上下で対称になって、被検者1に対する断層像の歪みがなくなり、精度の高い断層像を得ることができる。電磁石装置33Aは実施例1の電磁石装置33と同じ効果を得ることができる。
【0039】
(実施例3)
本発明の他の実施例である実施例3の電磁石装置を、図7を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Bは、実施例1の電磁石装置33の積層鋼板14Aに凹部21を形成したものである。この凹部21は下部の積層鋼板14Bにも設けられている。電磁石装置33Bの他の構成は電磁石装置33と同じである。凹部21は積層鋼板14Aの磁極9Aに面する面に形成され、凸部19Aと対向する。積層鋼板14Bに形成される凹部21は、図示されていないが、積層鋼板14Bの磁極9Bに面する面に形成され、凸部19Bと対向する。
【0040】
凸部19Aは、実施例1と同様に、磁極9Aの半径方向において内側に向かう静磁場の磁力線15Cと外側に向かう静磁場の磁力線15Aを形成する。積層鋼板14Aに形成された凹部21は、凸部19Aの作用によって形成される上記の磁力線15C,15Aを更に強める。凹部21の設置によって、磁力線15A,15Cが鉛直方向に進むよりも磁極9Aの半径方向において外側と内側に向かった方が磁気抵抗が小さくなるため、磁力線15A,15Cはその半径方向において外側と内側に向かいやすくなる。本実施例では、磁極9Aに形成された凸部19Aと積層鋼板14Aに形成された凹部21が、磁極の半径方向において内側と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置を構成する。傾斜磁場コイル10A,10Bは、少なくともその一部が、上記半径方向において、磁力線発生装置と重なる様に配置されている。このような傾斜磁場コイルの配置によって、傾斜磁場印加中の積層鋼板14Aの磁場の増加量と減少量の差が、積層鋼板14Bの磁場の増加量と減少量の差とほぼ同じになる。
【0041】
本実施例は実施例1で生じる効果と同じ効果を得ることができる。
【0042】
(実施例4)
本発明の他の実施例である実施例4の電磁石装置を、図8を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Cは、実施例3の電磁石装置33Bにおいてそれぞれの積層鋼板に形成され凹部21を非磁性体部22に置き換えたものである。非磁性体部22を形成するためには、積層鋼板14Aを例にとって説明すると、積層鋼板14Aを、中心側の円板部及び外側の環状部により構成し、円板部と環状部とを間に間隙を形成するように離して支持部材11Aの磁極9A側に取り付ける。図示されていないが、積層鋼板14Bも、中心側の円板部及び外側の環状部により構成し、円板部と環状部とを間に間隙を形成するように離して支持部材11Bの磁極9B側に取り付ける。それぞれの円板部と環状部との間の間隙が非磁性体部22である。非磁性体部22は凸部19A,19Bと重なる位置に配置される。非磁性体部22は凹部21と同じ機能を発揮する。本実施例は実施例3で生じる効果と同じ効果を得ることができる。
【0043】
(実施例5)
本発明の他の実施例である実施例5の電磁石装置を、図9を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Dは、実施例1の電磁石装置33に、静磁場を調整する一対の調整コイル23A1,23A2、及び調整コイル23B1,23B2を収納する容器24を付加したものである。容器24内において、調整コイル23A1 は調整コイル23A2 の外側に配置される。一対の調整コイル23A1,23A2、及び容器24は上部に位置する磁極9A(もしくは同様の構造を有する非磁性の構造材)付近に配置されるが、本実施例は、下部に位置する磁極9B付近にも調整コイル23A1,23A2に対応する調整コイル23B1,23B2を収納した容器24を配置する。
【0044】
調整コイル23A1,23A2を収納した容器24及び調整コイル23B1
23B2 を収納した容器24は、図示されていない支持部材によって、リターンヨーク4が設置された床面に設置される。上部の容器24及び下部の容器24は磁極9Aと磁極9B(もしくは9A,9Bとそれぞれ同様の構造を有する非磁性の構造材)との間に配置される。傾斜磁場コイル10A及び積層鋼板14Aが設置される支持部材11Aは、上部に位置する容器24に取付部材12Aによって取り付けられる。傾斜磁場コイル10A,支持部材11A及び積層鋼板14Aは上部の容器24の下方に位置する。図示されていないが、傾斜磁場コイル10B及び積層鋼板14Bが設置される支持部材11Bは、下部に位置する容器24に取付部材12Bによって取り付けられる。傾斜磁場コイル10B,支持部材11B及び積層鋼板14Bは下部の容器24の上方で傾斜磁場コイル10Aの下方に配置される。
【0045】
本実施例では、観測領域5に均一磁場を発生する一対の調整コイル23A1 ,23A2 が実施例1の凸部19Aの替りに設けられ、観測領域5に均一磁場を発生する一対の調整コイル23B1,23B2が実施例1の凸部19Bの替りに設けられる。このため、本実施例は凸部19A,19Bを備えていない。調整コイル23A1,23A2には、互いに逆向きの電流が流れる。そのため、静磁場の磁力線15Aが、磁極9Aの半径方向において内側と外側に向かう磁力線となる。調整コイル23B1,23B2にも、互いに逆向きの電流が流れる。そのため、静磁場の磁力線15Bが、磁極9Bの半径方向において内側と外側に向かう磁力線となる。調整コイル23A1,23A2、及び調整コイル23B1,23B2は、それぞれ、磁極の半径方向において内側と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。それぞれの傾斜磁場コイルは、該当する一対の調整コイルの間に位置する。すなわち、傾斜磁場コイルは磁力線発生装置と重なる位置に配置される。
【0046】
静磁場の磁力線15Aは、調整コイル23A1と調整コイル23A2との間を通って積層鋼板14Aの方に向かいかつ磁極9Aの半径方向において外側に向かっている。静電磁場の磁力線15Cは、調整コイル23A1と調整コイル23A2との間を通って積層鋼板14Aの方に向かいかつ磁極9Aの半径方向において内側に向かっている。図示されていないが、下部に位置する調整コイル23B1 ,23B2 によっても、積層鋼板14Bからでかつ磁極9Bの半径方向における外側及び内側から調整コイル23B1 と調整コイル23B2 との間に向かう磁力線15B,15Dが、形成される。このため、傾斜磁場コイル10A,10Bの作用によって磁力線16A,16Bが形成された場合でも、上部の積層鋼板14A上の磁場の増加量と減少量との差が、下部の積層鋼板14B上での磁場の増加量と減少量との差とほぼ等しくなる。すなわち、傾斜磁場コイル10Aの作る磁気回路(図3の磁力線15A)上での、傾斜磁場コイル10Aへの電圧印加に基づいた磁場の増加量と減少量との差が、それぞれ、傾斜磁場コイル10Bの作用によって形成された磁気回路(図3の磁力線15B)上での、傾斜磁場コイル10Bへの電圧印加に基づいた磁場の増加量と減少量との差と同程度になる。このため、観測領域5内の傾斜磁場分布が対称面(磁極9Aと磁極9Bとの中間点を通る水平面)を挟んでその領域の上下で対称になって、被検者1に対する断層像の歪みがなくなり、精度の高い断層像を得ることができる。
【0047】
本実施例でも実施例1で得られる効果を得ることができる。
【0048】
(実施例6)
本発明の他の実施例である実施例6の電磁石装置を、図10を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Eは、実施例1の電磁石装置33に非磁性高抵抗の支持部材25A,25B、及びシールドコイル13A,13Bを追加したものである。支持部材25Aは積層鋼板14Aの磁極9A側に設置され、シールドコイル13Aは支持部材25Aの磁極9A側に設けられる。図示されていないが、支持部材25Bは積層鋼板14Bの磁極9B側に設置され、シールドコイル13Bは支持部材25Bの磁極9B側に設けられる。シールドコイル13A,13Bは積層鋼板14A,14Bだけでは傾斜磁場コイル10A,10Bの作る磁束のシールドが不充分な場合に補足的に用いられる。シールドコイル13A,13Bに流れる電流値は、積層鋼板を用いない場合に比べて小さな電流値でよい。シールドコイル13A,13Bの設置に必要な電源設備は、積層鋼板を用いない場合に比べて小型のものでよい。
【0049】
本実施例も、実施例1で得られる効果を生じる。シールドコイルを用いているため、磁極における渦電流の発生が防止できる。
【0050】
(実施例7)
本発明の他の実施例である実施例7の電磁石装置を、図11を用いて説明する。本実施例の電磁石装置33Fは、実施例3,4及び6において磁極9Aに設けられた凸部19A及び磁極9Bに設けられた凸部19Bの替りに、上部の積層鋼板14Aに凸部36Aを設け、下部の積層鋼板14Bに凸部36Bを設けている。凸部36A,36Bとも支持部材11と対向して形成される。凸部36Aは凸部19Aと同様に凸部36Aの内側傾斜面を通って磁極の中心側に向かう磁力線15Cを、凸部36Aの外側傾斜面を通って磁極の外側に向かう磁力線15Aを発生させる。凸部36Bは凸部19Bと同様に磁極の中心側から凸部36Bの内側傾斜面に向かう磁力線15Dを、磁極の外側から凸部36Bの外側傾斜面に向かう磁力線15Bを発生させる。これらの凸部も、磁極の半径方向において内側と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置である。
【0051】
凸部36A,36Bの形成によって発生する各磁力線により、実施例1と同様に、各傾斜磁場コイルに電圧を印加した場合における積層鋼鈑14A,14B上での磁場強度にそれぞれ増減が生じるので、図4の電磁石装置に比べて観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が改善され、得られる断層像の精度が向上する。また、上部の傾斜磁場コイル10が凸部36Aに重なる位置に配置され、下部の傾斜磁場コイル10が凸部36Bに重なる位置に配置されるため、実施例1と同様に観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が更に改善される。このため、得られる、被検者の断層像の精度が更に向上し、その断層像に基づいて、より正確な診断が可能になる。本実施例では、凸部36A,36Bが図1の電磁石装置33の凸部19A,19Bに比べて観測領域5に近い位置に配置されているため、観測領域5内における傾斜磁場分布の上下の非対称性の改善度合いを同程度にした場合、凸部36A,36Bの高さを凸部19A,19Bよりも低くすることが可能である。これは、本実施例におけるそれらの凸部の製作に要する時間(加工時間)を短縮できる。
【0052】
電磁石装置33Fにおいて、凸部36A,36Bを積層鋼鈑14A,14Bの磁極に対向する面に設けてもよい。また、電磁石装置33Fにおいて、凸部の替りに、図7に示す凹部21を積層鋼鈑14A,14Bの傾斜磁場コイルまたは磁極に対向する面に設けてもよい。さらに電磁石装置33Fにおいて凸部の替りに図8に示す非磁性体部分22を、積層鋼板14A,14Bの傾斜磁場コイルまたは磁極に対する面に設けてもよい。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、観測領域内における傾斜磁場分布の上下の非対称性が緩和され、被検者の断層像の歪みを低減できる。更に、電磁石装置の電源設備をコンパクト化できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図2のI−I断面図である。
【図2】本発明の好適な一実施例である実施例1の電磁石装置の構成図である。
【図3】図1の積層鋼板付近での磁力線の状態を示す説明図である。
【図4】発明者らが検討の対象として想定した電磁石装置の上部及び下部の磁極付近の縦断面図である。
【図5】図4の電磁石装置における課題を示す説明図であり、(a)は図4の電磁石装置の上部及び下部の積層鋼板付近における磁力線の発生状態を示す説明図、(b)は図4に対する改善案における上部の積層鋼板における磁場強度及び下部の積層鋼板における磁場強度の変化を示す特性図である。
【図6】本発明の他の実施例である実施例2の電磁石装置の上部の磁極付近の縦断面図である。
【図7】本発明の他の実施例である実施例3の電磁石装置の上部の磁極付近の縦断面図である。
【図8】本発明の他の実施例である実施例4の電磁石装置の上部の磁極付近の縦断面図である。
【図9】本発明の他の実施例である実施例5の電磁石装置の上部の磁極付近の縦断面図である。
【図10】本発明の他の実施例である実施例6の電磁石装置の上部の磁極付近の縦断面図である。
【図11】本発明の他の実施例である実施例7の電磁石装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1…被検者、2…ベット、3,3A,3B…真空容器、4…リターンヨーク、7,7A,7B…超電導コイル、8,8A,8B…磁極突起部、9,9A,9B…磁極、10,10A,10B…傾斜磁場コイル、13,13A,13B…シールドコイル、14,14A,14B…積層鋼板、19A,19B…凸部、20,21…凹部、22…非磁性体部、23A,23B…調整コイル。

Claims (7)

  1. 対向する一対の磁極と、
    それぞれの前記磁極に設けられて、前記磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置と、
    第1傾斜磁場コイルと、
    第2傾斜磁場コイルと、
    上部に位置する前記磁極と前記第1傾斜磁場コイルとの間に配置されて前記上部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置に対向して配置され、前記上部の磁極における渦電流の発生を抑制する第1渦電流抑制装置と、
    下部に位置する前記磁極と前記第2傾斜磁場コイルとの間に配置されて前記下部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置に対向して配置され、前記下部の磁極における渦電流の発生を抑制する第2渦電流抑制装置とを備え
    前記第1及び第2渦電流抑制装置は前記磁力線発生装置と重なる位置に凹部を形成していることを特徴とする電磁石装置。
  2. 対向する一対の磁極と、
    第1傾斜磁場コイルと、
    第2傾斜磁場コイルと、
    上部に位置する前記磁極と前記第1傾斜磁場コイルとの間に配置されて、前記上部の磁極における渦電流の発生を抑制する第1渦電流抑制装置と、
    下部に位置する前記磁極と前記第2傾斜磁場コイルとの間に配置されて、前記下部の磁極における渦電流の発生を抑制する第2渦電流抑制装置と、
    前記第1渦電流抑制装置及び前記第2渦電流抑制装置のそれぞれに設けられて、前記磁極の半径方向において内側に向かう磁力線と外側に向かう磁力線を発生させる磁力線発生装置と
    を備えたことを特徴とする電磁石装置。
  3. 前記第1傾斜磁場コイルは少なくとも一部が前記上部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置と重なる位置に配置されており、前記第2傾斜磁場コイルは少なくとも一部が前記下部の磁極に設けられた前記磁力線発生装置と重なる位置に配置されている請求項1記載の電磁石装置。
  4. 前記磁力線発生装置は前記磁極に形成された凸部または凹部である請求項1または請求項3に記載の電磁石装置。
  5. 前記第1傾斜磁場コイルは少なくとも一部が前記第1渦電流抑制装置に設けられた前記磁力線発生装置と重なる位置に配置されており、前記第2傾斜磁場コイルは少なくとも一部が前記第2渦電流抑制装置に設けられた前記磁力線発生装置と重なる位置に配置されている請求項1記載の電磁石装置。
  6. 前記磁力線発生装置は前記第1渦電流抑制装置及び前記第2渦電流抑制装置のそれぞれに形成された凸部または凹部である請求項2または請求項5記載の電磁石装置。
  7. 前記第1及び第2渦電流抑制装置は積層鋼板である請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の電磁石装置。
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