JP3918523B2 - 車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法 - Google Patents

車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車載装置が携帯器からの操作コマンドに応じて車両の機器を駆動させる車両用遠隔操作システムにおいて、携帯器の固有コードを車載装置に登録する固有コード登録方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えばキーレスエントリーシステムのように、携帯可能に構成された携帯器と車両に搭載された車載装置との間で無線通信を行って、車載装置が携帯器から送信される操作コマンドに応じて車両の機器を駆動させる車両用遠隔操作システムが提案されている。
【0003】
車両用遠隔操作システムの一例であるキーレスエントリーシステムでは、車載装置が、運転者が所持する携帯器である電子キーから送信されたIDコード(携帯器に固有の固有コード)と、予め登録されたIDコード(登録コード)とを照合し、携帯器から送信されたIDコードが予め登録されたIDコードと一致した場合にこの携帯器を有効な携帯器であると判断して、この携帯器から送信された操作コマンドに応じてドアロックアクチュエータを駆動し、ドアのロック或いはアンロックを行うようにしている。
【0004】
このようなキーレスエントリーシステムにおいて、車載装置に電子キーのIDコードを登録する場合、これまでは、例えば以下のような作業が行われるのが一般的であった。すなわち、先ず、車両のドアを閉扉してドアをロックした後、電子キーをイグニッションキーシリンダに所定回数抜き差しする。これにより、車載装置がIDコードを登録可能な登録モードとされる。次に、この状態で電子キーを操作して、この電子キーに固有のIDコードを車載装置に送信する。車載装置は、電子キーからIDコードが送信されると、このIDコードを登録コードとして記憶手段に記憶させると共に、ドアをアンロックする。これにより、電子キーのIDコードが車載装置に登録される。
【0005】
更に、他の電子キーのIDコードを追加して登録する場合には、再度ドアをロックした後、他の電子キーを操作して、この他の電子キーに固有のIDコードを車載装置に送信する。車載装置は、他の電子キーからIDコードが送信されると、このIDコードを登録コードとして記憶手段に記憶させる。これにより、他の電子キーのIDコードが車載装置に追加登録されることになる。なお、以上のようなIDコードの登録方法の詳細は、例えば、「平成13年6月日産自動車スカイライン新型車解説書」等に記載されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のようなIDコードの登録方法では、例えば、車両出荷時や車載装置の交換時等において、複数の電子キーのIDコードを登録する場合には、先ず、最初の電子キーのIDコードを上述したような方法で新規に登録した後、他の電子キーのIDコードを上述したような方法で追加登録する必要がある。このため、特に、多数のIDコードを1度に登録する場合には、以上のような作業を登録するIDコードの数だけ繰り返し行う必要があり、IDコードの登録作業が極めて煩雑なものとなるといった問題がある。
【0007】
本発明は、以上のような従来の実情に鑑みて創案されたものであって、複数のIDコード(固有コード)を1度に登録する際に、その登録作業を簡便に行うことができる車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法を提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1に記載の発明は、車両に搭載された車載装置が、携帯可能に構成された携帯器に固有の固有コードと当該車載装置に登録された登録コードとの照合を行って、前記固有コードが前記登録コードと一致した場合に、前記車両に備えられた所定の機器の駆動を許可する車両用遠隔操作システムにおいて、前記携帯器の固有コードを前記登録コードとして前記車載装置に登録する固有コード登録方法であって、前記車載装置に、前記登録コードが記憶される登録コード記憶手段と、前記固有コード毎に定められた識別情報と、この識別情報により識別される固有コードから他の固有コードを算出するための関係式とが記憶された関係式記憶手段とを設け、前記車載装置が、所定の条件の下で前記携帯器から前記固有コードが識別情報と共に送信されたときに、前記携帯器の固有コードを登録コードとして前記登録コード記憶手段に記憶させると共に、前記関係式記憶手段に記憶された関係式に基づいて、前記携帯器の固有コードから他の携帯器の固有コードを算出して、算出した他の携帯器の固有コードを登録コードとして前記登録コード記憶手段に記憶させることを特徴とするものである。
【0009】
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法において、前記関係式記憶手段には、登録対象として定められた複数の固有コードの識別情報毎に、これら識別情報により識別される固有コードから他の登録対象の固有コードを算出するための関係式がそれぞれ記憶されていることを特徴とするものである。
【0010】
また、請求項3に記載の発明は、請求項1に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法において、前記関係式記憶手段には、登録対象として定められた複数の固有コードのうちで特定の固有コードの識別情報と、この識別情報により識別される特定の固有コードから他の登録対象の固有コードを算出するための関係式とが記憶されていることを特徴とするものである。
【0011】
また、請求項4に記載の発明は、請求項1乃至3の何れかに記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法において、前記車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、且つ、前記登録コード記憶手段に何れの登録コードも記憶されていない状態が前記所定の条件とされていることを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項5に記載の発明は、請求項4に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法において、前記車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、前記登録コード記憶手段に登録コードが少なくとも1つ登録されている場合に、他の携帯器から固有コードが送信されたときは、前記他の携帯器の固有コードを登録コードとして追加して前記登録コード記憶手段に記憶させることを特徴とするものである。
【0013】
【発明の効果】
請求項1に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法によれば、所定の条件の下で携帯器から固有コードが識別情報と共に送信されたときに、車載装置が、関係式記憶手段に記憶された関係式に基づいて他の固有コードを算出して、携帯器から送信された固有コードと関係式から算出した他の固有コードとを登録コードとして登録コード記憶手段に記憶させるようになっているので、1つの携帯器を操作してこの携帯器の固有コードを送信するだけで、複数の固有コードを同時に車載装置に登録することができる。
【0014】
また、請求項2に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法によれば、車載装置の関係式記憶手段に、登録対象として定められた複数の固有コードの識別情報毎に、他の登録対象の固有コードを算出するための関係式がそれぞれ記憶されているので、登録対象の固有コードを送信する何れの携帯器を操作した場合でも、この携帯器の固有コードと他の固有コードとを同時に車載装置に登録することができる。
【0015】
また、請求項3に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法によれば、車載装置の関係式記憶手段に、登録対象として定められた複数の固有コードのうちで特定の固有コードの識別情報と、この特定の固有コードから他の登録対象の固有コードを算出するための関係式とが記憶されているので、固有コード登録時に特定の固有コードを送信する携帯器を操作するように指定しておけば、車載装置の関係式記憶手段には他の登録対象の固有コードの識別情報やこれに対応した関係式を記憶させておく必要がなく、記憶手段の記憶容量を少なくすることによって原価を低減させながら、複数の固有コードを同時に車載装置に登録することができる。
【0016】
また、請求項4に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法によれば、車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、且つ、何れの登録コードも登録されていない状態を、複数の固有コードを同時に車載装置に登録するための条件としているので、通常の使用時に不要な固有コードを誤って登録してしまうといった不都合を未然に防止することができる。
【0017】
また、請求項5に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法によれば、車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、少なくとも1つの登録コードが登録されている場合に、他の携帯器から固有コードが送信されたときは、この固有コードを車載装置に追加登録するようにしているので、通常使用時における固有コードの誤登録を防止しながら、必要な場合には固有コードの追加登録を適切に行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。なお、ここでは、電子キーからの操作コマンドに応じて車両のドアの施錠及び解錠を行うキーレスエントリーシステムに本発明を適用した例について具体的に説明するが、本発明は、車載装置が携帯器からの操作コマンドに応じて車両の機器を駆動させる車両用遠隔操作システムにおいて、携帯器の固有コードを車載装置に登録する場合に広く適用可能である。
【0019】
本発明を適用したキーレスエントリーシステムの全体構成を図1に概略的に示す。このキーレスエントリーシステム1は、車両の乗員が携帯可能な3つの電子キー(携帯器)10a,10b,10cと、車両に搭載された車載装置20とを備えて構成される。3つの電子キー10a,10b,10cは、このキーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キーとして予め定められたものである。すなわち、このキーレスエントリーシステム1では、最大3つの電子キー10a,10b,10cの使用が可能となっている。なお、このキーレスエントリーシステム1で使用される電子キーの数は、特に3つに限定されるものではなく、任意に変更可能である。
【0020】
このキーレスエントリーシステム1で使用される3つの電子キー10a,10b,10cは、それぞれ施錠ボタン11及び解錠ボタン12を操作可能に備えていると共に、車載装置20との間で無線通信を行うための送信部13と、各電子キー10a,10b,10cにおける動作を司るCPU(Central Processing Unit)14と、不揮発性メモリ等よりなる記憶部15とを内蔵している。
【0021】
各電子キー10a,10b,10cの記憶部15には、例えば図2に示すように、各電子キー10a,10b,10cに固有のIDコード(固有コード)と、各IDコード毎に定められた識別情報とが記憶されている。具体的には、電子キー10aの記憶部15には、この電子キー10aに割り当てられたIDコードID1と、このIDコードID1に対応した識別情報D1とが記憶されている。また、電子キー10bの記憶部15には、この電子キー10bに割り当てられたIDコードID2と、このIDコードID2に対応した識別情報D2とが記憶されている。更に、電子キー10cの記憶部15には、この電子キー10cに割り当てられたIDコードID3と、このIDコードID3に対応した識別情報D3とが記憶されている。
【0022】
なお、キーレスエントリーシステム1で使用される3つの電子キー10a,10b,10cは、記憶部15に記憶されているIDコード及び識別情報のみが異なるものであるので、以下、これら各電子キー10a,10b,10cに共通の説明においては、これら各電子キー10a,10b,10cを電子キー10と総称する。
【0023】
これらの電子キー10では、車両の乗員により施錠ボタン11が押圧操作されると、CPU14が、車両のドアの施錠を指示する操作コマンドを生成すると共に、記憶部15に記憶されたIDコード及び識別情報を読み出して、生成した操作コマンドをIDコード及び識別情報と共に、送信部13から車載装置20へと送信するようになっている。また、これらの電子キー10では、車両の乗員により解錠ボタン12が押圧操作されると、CPU14が、車両のドアの解錠を指示する操作コマンドを生成すると共に、記憶部15に記憶されたIDコード及び識別情報を読み出して、生成した操作コマンドをIDコード及び識別情報と共に、送信部13から車載装置20へと送信するようになっている。
【0024】
具体的には、これらの電子キー10は、施錠ボタン11或いは解錠ボタン12が押圧操作されると、例えば図3に示すように、8ビットのIDコードと4ビットの識別情報に、4ビットの操作コマンドを付加して合計16ビットの連続した信号を生成し、この信号を送信部13から車載装置20へと送信する。なお、電子キー10から車載装置20へと送信される信号は、以上のような連続した信号に限らず、IDコード、識別情報、操作コマンドがそれぞれ別々の信号として送信されるようにしてもよい。また、IDコード、識別情報、操作コマンドのビット数や信号形態は、以上の例に限定されるものではなく、例えばIDコードの一部を識別情報とする等、適宜変更可能である。
【0025】
車両に搭載された車載装置20は、受信部21と、コントロールユニット22と、施解錠コントローラ23とを備えている。
【0026】
受信部21は、電子キー10との間で無線通信を行うためのものである。この受信部21は、例えば車両のリアガラス表面に設置され、車両外部の電子キー10から送信されるIDコードや識別情報、操作コマンドをアンテナ24を介して受信する。この受信部21により受信されたIDコードや識別情報、操作コマンドは、コントロールユニット22に供給される。
【0027】
コントロールユニット22は、車載装置20全体の動作を制御するものであり、CPU25と、記憶部26と、タイマ27とを備えている。
【0028】
CPU25は、コントロールユニット22に組み込まれた動作プログラムを実行することで、車載装置20全体の動作を制御する。特に、このコントロールユニット22のCPU25は、車両の状態等に応じて車載装置20の動作モードを切り換える機能を有している。そして、このCPU25は、電子キー10から送信された操作コマンドに応じて車両のドアの施錠や解錠を行う操作モードを選択したときは、電子キー10のIDコードの照合を行った上でこの電子キー10からの操作コマンドを解析してこれに応じた処理を実行し、また、キーレスエントリーシステム1において使用可能な電子キー10(10a,10b,10c)の何れかのIDコードを登録する登録モードを選択したときは、電子キー10から送信されたIDコードを登録コードとして記憶部26に記憶させる処理を実行するようになっている。
【0029】
記憶部26は、例えば不揮発性メモリからなり、登録コード記憶エリア26aと、関係式記憶エリア26bとを有している。
【0030】
登録コード記憶エリア26aは、車載装置20で操作コマンドを受け付ける電子キー10のIDコードを、登録コードとして記憶しておくためのエリアである。すなわち、車載装置20では、キーレスエントリーシステム1において使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cのうちで、IDコードがこの記憶部26の登録コード記録エリア26aに登録コードとして登録されている電子キーからの操作コマンドのみを受け付けるようになっている。
【0031】
また、関係式記憶エリア26bは、キーレスエントリーシステム1において使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cのIDコード毎に定められた識別情報と、この識別情報により識別されるIDコードから他のIDコードを算出するための関係式とが記憶されたエリアである。具体的には、この関係式記録エリア26bには、例えば図4に示すように、電子キー10aのIDコードID1に対応した識別情報D1と、電子キー10aのIDコードID1から電子キー10bのIDコードID2を算出するための関係式、及び、電子キー10aのIDコードID1から電子キー10cのIDコードID3を算出するための関係式とが対応付けられて記憶されている。また、この関係式記録エリア26bには、電子キー10bのIDコードID2に対応した識別情報D2と、電子キー10bのIDコードID2から電子キー10aのIDコードID1を算出するための関係式、及び、電子キー10bのIDコードID2から電子キー10cのIDコードID3を算出するための関係式とが対応付けられて記憶されている。更に、この関係式記録エリア26bには、電子キー10cのIDコードID3に対応した識別情報D3と、電子キー10cのIDコードID3から電子キー10aのIDコードID1を算出するための関係式、及び、電子キー10cのIDコードID2から電子キー10bのIDコードID2を算出するための関係式とが対応付けられて記憶されている。
【0032】
タイマ27は、CPU25による制御のもとで時間を計数するものであり、CPU25から計時開始信号が供給されると、計時を開始するようになっている。
【0033】
以上のような車載装置20のコントロールユニット22には、キースイッチ2、イグニッションスイッチ3、ACCスイッチ4、スタートスイッチ5、運転席ドアスイッチ6a、助手席ドアスイッチ6b、運転席ドアロックスイッチ7a、助手席ドアロックスイッチ7bがそれぞれ接続されている。
【0034】
キースイッチ2は、図5に示すイグニッションキーシリンダ8の内部に設けられ、電子キー10がイグニッションキーシリンダ8に差し込まれるとオンする。また、電子キー10がイグニッションキーシリンダ8に差し込まれた後、ACC位置に回動されるとACCスイッチ4がオンし、オン位置に回動されるとイグニッションスイッチ3がオンし、更にST位置に回動されるとスタートスイッチ5がオンして、エンジンが始動するようになっている。
【0035】
運転席ドアスイッチ6a及び助手席ドアスイッチ6bは、それぞれ運転席ドア及び助手席ドアが開扉されるとオンし、閉扉されるとオフする。運転席ドアロックスイッチ7a及び助手席ドアロックスイッチ7bは、それぞれ運転席ドア及び助手席ドアが施錠されるとオフし、解錠されるとオンする。
【0036】
コントロールユニット22のCPU25は、以上の各スイッチからのオン/オフ信号に基づいて、車両の状態を判断できるようになっている。そして、これらの各スイッチからのオン/オフ信号に基づいて判断した車両の状態に応じて、上述した操作モードと登録モードとの切り換えを行うようになっている。
【0037】
施解錠コントローラ23は、コントロールユニット22のCPU25により操作モードが選択されたときに、電子キー10からの操作コマンドに応じてドアロックアクチュエータ9を駆動制御して、車両のドアの施錠或いは解錠を行うものである。
【0038】
ここで、以上のように構成されるキーレスエントリーシステム1において、電子キー10のIDコードの車載装置20への登録を含む一連の処理の流れについて、図6乃至図8を参照して具体的に説明する。なお、このキーレスエントリーシステム1における一連の処理は、車載装置20のコントロールユニット22の主導により、例えば100msec毎に繰り返し行われるものである。
【0039】
先ず、図6のステップS1−1において、コントロールユニット22のCPU25により、キーレスエントリーシステム1で使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cのうちの少なくとも1つの電子キー10のIDコードが、記憶部26の登録コード記録エリア26aに登録コードとして記憶されているかどうかが判断される。そして、記憶部26の登録コード記録エリア26aに何れの電子キー10のIDコードも記憶されていないと判断された場合には、次に、ステップS1−2において、コントロールユニット22のCPU25により、新規登録モード移行条件が成立しているかどうかが判断される。
【0040】
ここで、新規登録モードとは、車載装置20に電子キー10のIDコードが全く登録されていない状態で、新規に電子キー10のIDコードを登録するモードをいい、例えば、車両の工場出荷時や車載装置20の交換時等に選択されるモードである。そして、例えば、車両のドアが閉扉(運転席ドアスイッチ6a及び助手席ドアスイッチ6bがオフ)されており、運転席ドアが施錠状態(運転席ドアロックスイッチ7aがオフ)であり、且つ、イグニッションキーシリンダ8がACC位置(ACCスイッチ4がオン)となっている状態を、この新規登録モードの移行条件とする。このように、所定の条件が整った場合にのみ新規登録モードに移行するようにしたのは、不用意にIDコードが登録されるといった不都合を防止するためである。なお、新規登録モード移行条件は、上述した例に限らず適宜変更が可能である。例えば、車載装置に登録スイッチを設け、この登録スイッチがオンである場合を新規登録モード移行条件としてもよい。
【0041】
ステップS1−2において新規登録モード移行条件が成立していると判断されると、次に、ステップS1−3において、コントロールユニット22のCPU25により新規登録モードが選択される。このとき、コントロールユニット22のCPU25からタイマ27に計時開始信号が供給され、タイマ27により計時が開始される。
【0042】
次に、ステップS1−4において、キーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キー10から送信された信号を車載装置20の受信部21が受信したかどうかが、コントロールユニット22のCPU25により判断される。ここで、車載装置20の受信部21が電子キー10からの信号を受信していないときは、ステップS1−5において、タイマ27により計時した時間が読み込まれ、この計時した時間が所定時間(例えば10秒)以上かどうかが判断される。そして、計時した時間が所定時間となるまで、電子キー10からの信号の受信待ちの状態が継続される。
【0043】
ステップS1−4において車載装置20の受信部21が電子キー10からの信号を受信すると、次に、ステップS1−6において、コントロールユニット22のCPU25により、電子キー10から送信された信号に識別情報D1が含まれているかどうか、すなわち、受信部21により受信した信号が、キーレスエントリーシステム1で使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cのうちの1つである電子キー10aからの信号であるかどうかが判断される。
【0044】
そして、電子キー10から送信された信号に識別情報D1が含まれていると判断された場合には、ステップS1−7において、コントロールユニット22のCPU25により、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて、キーレスエントリーシステム1で使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cのうちで、電子キー10a以外の他の電子キー10b,10cのIDコードID2,ID3が算出される。具体的には、コントロールユニット22のCPU25は、受信部21で受信された信号に含まれる識別情報D1をもとに信号の送信元が電子キー10aであることを認識し、記憶部26の関係式記憶エリア26bに識別情報D1と対応付けられて記憶されている関係式ID2=f1(X)と、関係式ID3=f2(X)とを読み込んで、これらの関係式に、識別情報D1と共に受信された電子キー10aのIDコードID1を代入して、電子キー10bのIDコードID2及び電子キー10cのIDコードID3を算出する。
【0045】
そして、電子キー10bのIDコードID2及び電子キー10cのIDコードID3が算出されると、次に、ステップS1−8において、コントロールユニット22のCPU25により、識別情報D1と共に受信された電子キー10aのIDコードID1と、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて算出された電子キー10bのIDコードID2及び電子キー10cのIDコードID3とが、登録コードとして記憶部26の登録コード記憶エリア26aに同時に記憶され、新規登録モードにおける処理が終了する。
【0046】
一方、ステップS1−6において、電子キー10から送信された信号に識別情報D1が含まれていないと判断された場合には、次に、ステップS1−9において、電子キー10から送信された信号に識別情報D2が含まれているかどうか、すなわち、受信部21により受信した信号が電子キー10bからの信号であるかどうかが判断される。
【0047】
そして、電子キー10から送信された信号に識別情報D2が含まれていると判断された場合には、ステップS1−10において、コントロールユニット22のCPU25により、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて、電子キー10b以外の他の電子キー10a,10cのIDコードID1,ID3が算出される。具体的には、コントロールユニット22のCPU25は、受信部21で受信された信号に含まれる識別情報D2をもとに信号の送信元が電子キー10bであることを認識し、記憶部26の関係式記憶エリア26bに識別情報D2と対応付けられて記憶されている関係式ID1=f3(X)と、関係式ID3=f4(X)とを読み込んで、これらの関係式に、識別情報D2と共に受信された電子キー10bのIDコードID2を代入して、電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10cのIDコードID3を算出する。
【0048】
そして、電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10cのIDコードID3が算出されると、次に、ステップS1−11において、コントロールユニット22のCPU25により、識別情報D2と共に受信された電子キー10bのIDコードID2と、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて算出された電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10cのIDコードID3とが、登録コードとして記憶部26の登録コード記憶エリア26aに同時に記憶され、新規登録モードにおける処理が終了する。
【0049】
また、ステップS1−9において、電子キー10から送信された信号に識別情報D2が含まれていないと判断された場合には、次に、ステップS1−12において、電子キー10から送信された信号に識別情報D3が含まれているかどうか、すなわち、受信部21により受信した信号が電子キー10cからの信号であるかどうかが判断される。
【0050】
そして、電子キー10から送信された信号に識別情報D3が含まれていると判断された場合には、ステップS1−13において、コントロールユニット22のCPU25により、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて、電子キー10c以外の他の電子キー10a,10bのIDコードID1,ID2が算出される。具体的には、コントロールユニット22のCPU25は、受信部21で受信された信号に含まれる識別情報D3をもとに信号の送信元が電子キー10cであることを認識し、記憶部26の関係式記憶エリア26bに識別情報D3と対応付けられて記憶されている関係式ID1=f5(X)と、関係式ID2=f6(X)とを読み込んで、これらの関係式に、識別情報D3と共に受信された電子キー10cのIDコードID3を代入して、電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10bのIDコードID2を算出する。
【0051】
そして、電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10bのIDコードID2が算出されると、次に、ステップS1−14において、コントロールユニット22のCPU25により、識別情報D3と共に受信された電子キー10cのIDコードID3と、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて算出された電子キー10aのIDコードID1及び電子キー10bのIDコードID2とが、登録コードとして記憶部26の登録コード記憶エリア26aに同時に記憶され、新規登録モードにおける処理が終了する。
【0052】
なお、ステップS1−2において新規登録モード移行条件が成立していないと判断されたとき、或いは、ステップS1−4において電子キー10からの信号が車載装置20の受信部21により受信されることなく所定時間経過したとき、更には、ステップS1−12において電子キー10から送信された信号に識別情報D3が含まれていないと判断されたとき(信号の送信元がキーレスエントリーシステム1で使用可能な複数の電子キー10a,10b,10cの何れでもない場合)には、電子キー10のIDコードが登録されることなく新規登録モードにおける処理が終了する。
【0053】
一方、ステップS1−1において、コントロールユニット22のCPU25により、記憶部26の登録コード記録エリア26aに、キーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キー10のうちの何れかのIDコードが記憶されていると判断された場合には、次に、図7のステップS2−1において、コントロールユニット22のCPU25により、追加登録モード移行条件が成立しているかどうかが判断される。
【0054】
ここで、追加登録モードとは、車載装置20に登録されているIDコードとは別のIDコードを追加登録するモードをいい、例えば、車両のディーラー等が新たに別の電子キー10のIDコードを登録する場合等に選択されるモードである。そして、例えば、車両のドアが閉扉(運転席ドアスイッチ6a及び助手席ドアスイッチ6bがオフ)されており、運転席ドアが施錠状態(運転席ドアロックスイッチ7aがオフ)である場合に、イグニッションキーシリンダ8に電子キー10が所定回数(例えば6回)抜き差しされた後、イグニッションキーシリンダ8がACC位置(ACCスイッチ4がオン)とされた状態を、この追加登録モードの移行条件とする。なお、この追加登録モード移行条件についても、上述した例に限らず適宜変更が可能である。
【0055】
ステップS2−1において追加登録モード移行条件が成立していると判断されると、次に、ステップS2−2において、コントロールユニット22のCPU25により追加登録モードが選択される。このとき、コントロールユニット22のCPU25からタイマ27に計時開始信号が供給され、タイマ27により計時が開始される。
【0056】
次に、ステップS2−3において、キーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キー10から送信された信号を車載装置20の受信部21が受信したかどうかが、コントロールユニット22のCPU25により判断される。ここで、車載装置20の受信部21が電子キー10からの信号を受信していないときは、ステップS2−4において、タイマ27により計時した時間が読み込まれ、この計時した時間が所定時間(例えば10秒)以上かどうかが判断される。そして、計時した時間が所定時間となるまで、電子キー10からの信号の受信待ちの状態が継続される。
【0057】
ステップS2−3において車載装置20の受信部21が電子キー10からの信号を受信すると、次に、ステップS2−5において、コントロールユニット22のCPU25により、受信された信号に含まれる電子キー10のIDコードが、登録コードとして記憶部26の登録コード記憶エリア26aに追加して記憶され、追加登録モードにおける処理が終了する。
【0058】
なお、ステップS2−1において追加登録モード移行条件が成立していないと判断されたとき、或いは、ステップS2−3において電子キー10からの信号が車載装置20の受信部21により受信されることなく所定時間経過したときには、電子キー10のIDコードが追加登録されることなく追加登録モードにおける処理が終了する。
【0059】
新規登録モードにおける処理或いは追加登録モードにおける処理が終了すると、次に、コントロールユニット22のCPU25により、電子キー10から送信された操作コマンドに応じて車両のドアの施錠や解錠を行う操作モードが選択される。この操作モードにおける処理は、一般的なキーレスエントリーシステムと同様である。
【0060】
操作モードにおいては、先ず、図8のステップS3−1において、キーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キー10から送信された信号を車載装置20の受信部21が受信したかどうかが、コントロールユニット22のCPU25により判断される。そして、電子キー10から送信された信号を車載装置20の受信部21が受信したと判断されると、次に、ステップS3−2において、コントロールユニット22のCPU25により、この電子キー10からの信号に含まれるIDコードと、記憶部26の登録コード記録エリア26aに登録コードとして記憶されたIDコードとの照合が行われ、信号の送信元である電子キー10のIDコードが登録コードと一致するかどうかが判断される。
【0061】
ここで、信号の送信元である電子キー10のIDコードが登録コードと一致する場合には、次に、ステップS3−3において、コントロールユニット22のCPU25により、電子キー10からの信号に含まれる操作コマンドが解析され、この操作コマンドが車両のドアの施錠を指示するものであるかどうかが判断される。そして、この操作コマンドが車両のドアの施錠を指示するものであると判断された場合には、ステップS3−4において、施解錠コントローラ23によりドアロックアクチュエータ9が駆動制御されて車両のドアの施錠が行われ、操作モードにおける処理が終了する。
【0062】
一方、電子キー10からの信号に含まれる操作コマンドが車両のドアの施錠を指示するものではない場合、すなわち、この操作コマンドが車両のドアの解錠を指示するものと判断された場合には、ステップS3−5において、施解錠コントローラ23によりドアロックアクチュエータ9が駆動制御されて車両のドアの解錠が行われ、操作モードにおける処理が終了する。
【0063】
なお、ステップS3−1において電子キー10からの信号が車載装置20の受信部21により受信されないとき、或いは、ステップS3−2において信号の送信元である電子キー10のIDコードが登録コードと一致しないと判断されたときは、車両のドアの施錠や解錠が行われることなく、操作モードにおける処理が終了する。
【0064】
以上説明したように、本発明を適用したキーレスエントリーシステム1においては、例えば、車両の工場出荷時や車載装置20の交換時等において、車載装置20に電子キー10のIDコードが全く登録されていない状態で新規に電子キー10のIDコードを登録する場合(新規登録モード)に、車載装置20が備えるコントロールユニット22のCPU25が、記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶されている関係式に基づいて、操作された電子キー10以外の他の電子キー10のIDコードを算出し、操作された電子キー10のIDコードに加えて、算出した他の電子キー10のIDコードも記憶部26の登録コード記憶エリア26aに記憶させるようになっているので、1つの電子キー10を操作するだけで、複数の電子キー10のIDコードを登録コードとして車載装置20に同時に登録することができる。したがって、このキーレスエントリーシステム1では、複数のIDコードを登録する際に同様の操作を繰り返し行う必要がなく、IDコードの登録作業を極めて簡便なものとすることができる。
【0065】
また、このキーレスエントリーシステム1においては、コントロールユニット22の記憶部26の関係式記憶エリア26bに、当該キーレスエントリーシステム1において使用可能な各電子キー10a,10b,10cの全てについて、他の電子キーのIDコードを算出するための関係式がそれぞれ記憶されているので、何れの電子キーを操作しても、この電子キーのIDコードと他の電子キーのIDコードとを登録コードとして車載装置20に同時に登録することができる。
【0066】
また、このキーレスエントリーシステム1においては、コントロールユニット22の記憶部26の関係式記憶エリア26bに登録コードが全く記憶されていない状態で、且つ、車両が所定の状態である場合(新規登録モード移行条件が成立した場合)にのみ、1つの電子キー10の操作により複数のIDコードを同時に車載装置20に登録するようにしているので、通常の使用時に不要な電子キー10のIDコードを誤って登録してしまうといった不都合を未然に防止することができる。
【0067】
また、このキーレスエントリーシステム1においては、コントロールユニット22の記憶部26の関係式記憶エリア26bに登録コードが記憶されている状態で、且つ、車両が所定の状態である場合(追加登録モード移行条件が成立した場合)には、電子キー10のIDコードの追加登録ができるようにしているので、通常使用時におけるIDコードの誤登録を防止しながら、必要な場合にはIDコードの追加登録を適切に行うことができる。
【0068】
なお、以上説明したキーレスエントリーシステム1においては、当該キーレスエントリーシステム1で使用可能な電子キー10a,10b,10cの何れを操作した場合でも複数のIDコードを登録コードとして車載装置20に同時に登録できるようにしているが、IDコードの登録に使用する電子キーを予め定めておき、この電子キーを操作した場合にのみ複数のIDコードが同時に登録コードとして車載装置20に登録されるようにしてもよい。この場合には、コントロールユニット22の記憶部26の関係式記憶エリア26bに記憶する情報量を少なくでき、記憶部26として容量の少ないメモリを使用することができるので、コストの低減を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用したキーレスエントリーシステムの全体構成を概略的に示すシステム構成図である。
【図2】電子キーの記憶部に記憶されているIDコードと識別情報とを説明する図である。
【図3】電子キーから送信される信号の一形態を示す図である。
【図4】車載装置が備えるコントロールユニットの記憶部の関係式記憶エリアに記憶された識別情報と関係式とを説明する図である。
【図5】電子キーが差し込まれるイグニッションキーシリンダを示す図である。
【図6】本発明を適用したキーレスエントリーシステムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートであり、新規登録モードにおける処理の流れを示している。
【図7】本発明を適用したキーレスエントリーシステムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートであり、追加登録モードにおける処理の流れを示している。
【図8】本発明を適用したキーレスエントリーシステムにおける一連の処理の流れを示すフローチャートであり、操作モードにおける処理の流れを示している。
【符号の説明】
1 キーレスエントリーシステム
10(10a,10b,10c) 電子キー
20 車載装置
22 コントロールユニット
25 CPU
26 記憶部
26a 登録コード記憶エリア
26b 関係式記憶エリア

Claims (5)

  1. 車両に搭載された車載装置が、携帯可能に構成された携帯器に固有の固有コードと当該車載装置に登録された登録コードとの照合を行って、前記固有コードが前記登録コードと一致した場合に、前記車両に備えられた所定の機器の駆動を許可する車両用遠隔操作システムにおいて、前記携帯器の固有コードを前記登録コードとして前記車載装置に登録する固有コード登録方法であって、
    前記車載装置に、前記登録コードが記憶される登録コード記憶手段と、前記固有コード毎に定められた識別情報と、この識別情報により識別される固有コードから他の固有コードを算出するための関係式とが記憶された関係式記憶手段とを設け、
    前記車載装置が、所定の条件の下で前記携帯器から前記固有コードが識別情報と共に送信されたときに、前記携帯器の固有コードを登録コードとして前記登録コード記憶手段に記憶させると共に、前記関係式記憶手段に記憶された関係式に基づいて、前記携帯器の固有コードから他の携帯器の固有コードを算出して、算出した他の携帯器の固有コードを登録コードとして前記登録コード記憶手段に記憶させること
    を特徴とする車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法。
  2. 前記関係式記憶手段には、登録対象として定められた複数の固有コードの識別情報毎に、これら識別情報により識別される固有コードから他の登録対象の固有コードを算出するための関係式がそれぞれ記憶されていることを特徴とする請求項1に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法。
  3. 前記関係式記憶手段には、登録対象として定められた複数の固有コードのうちで特定の固有コードの識別情報と、この識別情報により識別される特定の固有コードから他の登録対象の固有コードを算出するための関係式とが記憶されていること
    を特徴とする請求項1に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法。
  4. 前記車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、且つ、前記登録コード記憶手段に何れの登録コードも記憶されていない状態が、前記所定の条件とされていること
    を特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法。
  5. 前記車載装置が固有コードの登録を可能とする登録モードに移行した状態で、前記登録コード記憶手段に登録コードが少なくとも1つ登録されている場合に、他の携帯器から固有コードが送信されたときは、前記他の携帯器の固有コードを登録コードとして追加して前記登録コード記憶手段に記憶させること
    を特徴とする請求項4に記載の車両用遠隔操作システムにおける固有コード登録方法。
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