JP3917890B2 - ケーソン及びそのケーソンを用いた着底型構造物 - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼−コンクリート合成構造のケーソン及びそのケーソンを用いた防波堤等の沿岸の着底型構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
防波堤などの着底型沿岸構造物には、その基礎構造物として鋼板と鉄筋コンクリートとを合成してなる鋼−コンクリート合成構造のケーソンが用いられることが多い。
【0003】
図10は、防波堤等に用いる従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの基本構造例を示した斜視図である。
【0004】
図10に示すように、従来のケーソン21は、ケーソン21の所定形状の鋼殻を形成する鋼板22と、その外周面に打設して形成したコンクリート外壁23から構成されており、鋼板22に囲まれる中央部分には中空の中空部22aを有している。この中空部22aには、砂等を入れ、海底に着底させる際の重石としている。
【0005】
上記ケーソン21を、クレーン船などを使用して、海底に着底させ、複数組を配列して、それぞれを連結して防波堤等を構築する。
【0006】
図11は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンに使用する鋼板を示す斜視図である。
【0007】
図11に示すように、従来のケーソン21に使用する鋼板22は、その表面側には、コンクリートを保持するため、表面から突き出すように設けられた複数のスタッド24及び鉄筋25を設けている。又、鋼板22の裏面側には、鋼板自体の重量や保持するコンクリートの重量などを支持、補強するための補強リブ26を多数設けている。
【0008】
図12は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの作製方法を示す図である。
【0009】
図12に示すように、従来のケーソン21の製作方法としては、図11に示す鋼板22を工場において作製し、それを現地まで搬送して、組立てヤードにおいて鋼板22及び型枠27を所定形状に組み上げて、鋼板22の外周面と型枠27の内周面との間にコンクリート23aを打設してコンクリート外壁23を製作していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のケーソン21では、鋼板22が、ケーソン21の合成前又は合成時の死荷重即ち、鋼板22自体の重量やコンクリート外壁23自体の重量などを支持しなければならず、又、搬送時の安全性、組立て時の作業性などを考慮して、鋼板22が変形しないように、多数の補強リブ26を設けている(図11参照)。そのため、製作コストが高くなるという課題がある。又、補強リブ26の溶接のため、鋼板22自体の板厚をある程度以上大きくする必要があり、板厚の増加分を支持するため、更に補強リブ26を追加するなど、鋼板22の全重量が更に増加するという課題もある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、低コストかつ軽量で、十分な剛性強度を有する構造を備えたケーソン及びそのケーソンを用いた着底型構造物を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、一方の面に、コンクリートを保持する保持手段と、コンクリートにより形成されたコンクリート梁とを備えてなる鋼板を、所定形状を有する枠組みの外周面に前記一方の面が外側を向くように貼設し、その外周面上にコンクリートを打設して構成したことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、前記鋼板を前記枠組みの外周面にシール溶接して取付けたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、前記鋼板を前記枠組みの外周面にボルト接合して取付けたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明に係る着底型構造物は、前記ケーソンを、複数組海底上に着底させて配列し、それぞれを連結して構成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、補強リブを多数備えた従来の鋼板に替わり、後述するリブレスパネルを用いて鋼−コンクリート合成構造のケーソンを構成したことが特徴である。本発明に係る鋼−コンクリート合成構造のケーソンで構成する着底型沿岸構造物の実施例として、防波堤を例に説明するが、本発明は防波堤に限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物の設置状況を示す側面図である。
又、図2は、本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物を構成する鋼−コンクリート合成構造のケーソンの斜視図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明に係る鋼−コンクリート合成構造のケーソン(以下ケーソンと呼ぶ。)で構成する着底型沿岸構造物である防波堤1Aは、海底gに予め構築したマウンド20上に、複数組のケーソン1を着底させて配列し、それぞれを連結した構成である。海水面sより上方に位置する防波堤1Aの上部には、上部コンクリート1aが敷設されている。
【0019】
図3は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの構造断面図である。
ケーソン内部の構造の要部がわかるように、その一部の断面を示した。
【0020】
図3に示すケーソン1の基本構成は、ケーソンの骨格部分を形成し、枠組みとなる鉄骨フレーム12と、ケーソンの骨格部分を形成し、鉄骨フレーム12の外周面に貼設された複数のリブレスパネル11と、リブレスパネル11、即ちケーソン構造の外周面に打設されたコンクリート外壁3よりなる。リブレスパネル11は、平板状の鋼板の一方の面に、コンクリート外壁3を保持する保持手段となるスタッド4と鉄筋5を多数備えており、更に剛性保持のためのコンクリート梁13を複数備えている。この一方の面が外側を向くように鉄骨フレーム12の外周面に貼設されている。ケーソン1の中央部、つまり鉄骨フレーム12の内側は中空となる中空部12eが形成されている。この中空部12eには、砂等の重石を入れ、ケーソン1を海底に着底して設置するようにする。各構成部材の更に詳細な構造及び作製手順については後述する図4〜図9において説明をする。
【0021】
図4は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの枠組み部分の組立図である。
【0022】
図4に示すように、ケーソン1の枠組み部分は、構造部材12a〜12dを縦・横・斜めに張り巡らせるように組み上げた鉄骨フレーム12により構成されている。又、図4は、鉄骨フレーム12に対するリブレスパネル11の貼設状況も示しており、構造部材12a、12b、12c、12dを用いて鉄骨フレーム12を製作した後、その外周面に所定寸法のリブレスパネル11を順次貼設することでケーソン1の骨格部分を形成する。
【0023】
図5は、図4のリブレスパネルの貼設状況を示す要部詳細図である。
【0024】
図5は、鉄骨フレーム12に対する1つのリブレスパネル11の貼設状況を示すものであり、リブレスパネル11と鉄骨フレーム12の接触部分においてシール溶接を用いて、シール溶接部分16を形成し、水密性を有する構成としている。つまり、ケーソン1の枠組み部分を形成する鉄骨フレーム12の構造部材12a〜12cが作り出す空間部分は、リブレスパネル11と構造部材12a〜12c、更には隣接するリブレスパネル11同士をそれぞれシール溶接することで、空間部を閉塞して、水密性を有するようにしている。又は、リブレスパネル11と鉄骨フレーム12の接触部分をボルト接合により接合し、接合部分にシール手段を設けることで、空間部を閉塞して、水密性を有するようにしてもよい。
【0025】
図6は、本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの構成図である。
【0026】
図6に示すように、リブレスパネル11は、所定寸法の鋼板2の一方の面に、コンクリートを保持する保持手段となる多数のスタッド4及び鉄筋5を備え、更に、この一方の面の一部に、コンクリートを先行打設して一条又は複数(図6では二条)のコンクリート梁13を形成して備えており、コンクリート梁13により、リブレスパネル11全体の剛性を強くした構成とする。即ち、本発明に係るリブレスパネル11は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンを構成する鋼板22の補強リブ26を廃してリブレス構造とし、その替わりにコンクリート梁13を形成することで、リブレスパネル11自体の重量及びリブレスパネル11の外周面に形成する前記コンクリート外壁3自体を支持、補強する剛性強度を持つ構造とした。従って、コンクリート梁13は、リブレスパネル13自体の剛性強度保持の役割を果たし、ケーソンの骨格部分の組立時には、骨格部分の剛性強度保持の役割を果たし、更に、前記コンクリート外壁3の形成時には、前記鉄骨フレーム12の外周面側に設置されているため、コンクリート外壁3と一体となり、ケーソン自体の剛性強度保持の役割を果たしている。そのため、従来のケーソンの補強リブ26のように、コンクリート外壁3の形成後に無駄な構造物として残ることはない。又、従来の鋼鉄製の補強リブ26に比べて重量が軽いため、十分な剛性強度を保持しつつ軽量な構造とすることができ、コストの面でも十分に利点が出てくる。
【0027】
図7(a)、(b)、(c)は、本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの製作手順を時系列に示す図である。
【0028】
図7(a)に示すように、最初に、鋼板2の一方の面にスタッド4を立設し、更に鉄筋5を鋼板2の表面上から所定距離を離して縦横に取付ける。
【0029】
その後、図7(b)に示すように、コンクリート梁13用の型枠14を鋼板2の表面上にセットする。この時、型枠14内にスタッド4及び鉄筋5を内包するように配置する。
【0030】
最後に、図7(c)に示すように、コンクリート3aを型枠14内に打設してコンクリート梁13を形成して、コンクリート梁付きのリブレスパネル11が完成する。
【0031】
コンクリート梁13は、その内部に鋼板2に取付けられているスタッド4及び鉄筋5を内包して形成されているため、鋼板2に強固に固定されることとなり、鋼板2の剛性強化、即ちリブレスパネル11全体の剛性強化につながる。
【0032】
なお、リブレスパネル11のコンクリート梁13の大きさ、数、形成方向等については、設計条件に応じて適宜設定する。
【0033】
図8は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの施工図である。
又、図9は、図8の領域Aの要部詳細図である。
【0034】
図8、図9は、ケーソン外周部に打設するコンクリート外壁3の施工方法を示したものであり、鉄骨フレーム12の外周全面にリブレスパネル11を貼設(シール溶接又はボルト接合)した後、コンクリート外壁用の型枠17をセットしてコンクリート3aを打設して、コンクリート外壁3を形成し、その後、型枠17を取外すことでリブレスパネル11を用いたケーソン1を完成させる。
【0035】
上述してきた一連の作製工程をまとめて説明すると、最初に、コンクリート梁13を有するリブレスパネル11を工場で製作し、次に、予め製作されている鉄骨フレーム12の外周面にリブレスパネル11をシール溶接(又はボルト接合)し、又は、トラック等で現地まで搬送した後、現地組立てヤードで予め製作されている鉄骨フレーム12の外周面にシーム溶接(又はボルト接合)し、最後に、リブレスパネル11の外周面にコンクリートを打設してケーソン構造として、本発明に係るケーソン1が製作されることとなる。
【0036】
この後、本発明に係るケーソン1は、台船などに搭載されて設置場所まで搬送され、クレーン船などを使用して、海底に予め構築されたマウンド上に着底・配列された後、それぞれを連結し、又、上部コンクリートを敷設して着底型構造物となる防波堤が完成する。
【0037】
上述してきたように、本発明に係るケーソン1は、リブレスパネル11にコンクリートを先行打設したコンクリート梁13が形成されているため、剛性が大きくなり、自重や外力を受けた時、又はコンクリート打設の時に変形が非常に小さくなる。そのため、リブレスパネル11を工場から現地まで搬送する際の荷役、運搬作業を安全に行うことができる。又、コンクリート梁13を有しているので、従来のように補強リブを溶接する必要がなくなり、鋼板板厚を薄くすることができるため、製作コストが安くなり、又、鋼材重量も低減する。更に、リブレスパネル11は鉄骨フレーム12とシール溶接されているため、万一、コンクリート外壁に亀裂などの損傷が発生しても、海水がケーソン1内部に浸入することはなく、防波堤の安全性が維持される。従って、本発明に係るケーソン1を使用することにより、建設費が安く、安全性の高い防波堤を提供できる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、一方の面に、コンクリートを保持する保持手段と、コンクリートにより形成されたコンクリート梁とを備えてなる鋼板を、所定形状を有する枠組みの外周面に前記一方の面が外側を向くように貼設し、その外周面上にコンクリートを打設して構成したので、剛性強度の高い鋼−コンクリート合成構造のケーソンとすることができ、作業時の安全性が確保でき、又、余分な補強が不要となり、軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0039】
請求項2に係る発明によれば、前記鋼板を前記枠組みの外周面にシール溶接して取付けたので、鋼−コンクリート合成構造のケーソンの内部への水蜜性を保つことができる。
【0040】
請求項3に係る発明によれば、前記鋼板を前記枠組みの外周面にボルト接合して取付けたので、鋼−コンクリート合成構造のケーソンの内部への水蜜性を保つことができる。
【0041】
請求項4に係る発明によれば、前記ケーソンを、複数組海底上に着底させて配列し、それぞれを連結して構成したので、建設費が安く、安全性の高い防波堤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物の設置状況を示す側面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物を構成する鋼−コンクリート合成構造のケーソンの斜視図である。
【図3】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの構造断面図である。
【図4】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの枠組み部分の組立図である。
【図5】図4のリブレスパネルの貼設状況を示す要部詳細図である。
【図6】本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの構成図である。
【図7】本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの製作手順を(a)、(b)、(c)にて、時系列に示す図である。
【図8】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの施工図である。
【図9】図8の領域Aの要部詳細図である。
【図10】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの基本構造例を示した斜視図である。
【図11】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンに使用する鋼板を示す斜視図である。
【図12】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの作製方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ケーソン
2 鋼板
3 コンクリート外壁
4 スタッド
5 鉄筋
11 リブレスパネル
12 鉄骨フレーム
13 コンクリート梁
【発明の属する技術分野】
本発明は、鋼−コンクリート合成構造のケーソン及びそのケーソンを用いた防波堤等の沿岸の着底型構造物に関する。
【0002】
【従来の技術】
防波堤などの着底型沿岸構造物には、その基礎構造物として鋼板と鉄筋コンクリートとを合成してなる鋼−コンクリート合成構造のケーソンが用いられることが多い。
【0003】
図10は、防波堤等に用いる従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの基本構造例を示した斜視図である。
【0004】
図10に示すように、従来のケーソン21は、ケーソン21の所定形状の鋼殻を形成する鋼板22と、その外周面に打設して形成したコンクリート外壁23から構成されており、鋼板22に囲まれる中央部分には中空の中空部22aを有している。この中空部22aには、砂等を入れ、海底に着底させる際の重石としている。
【0005】
上記ケーソン21を、クレーン船などを使用して、海底に着底させ、複数組を配列して、それぞれを連結して防波堤等を構築する。
【0006】
図11は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンに使用する鋼板を示す斜視図である。
【0007】
図11に示すように、従来のケーソン21に使用する鋼板22は、その表面側には、コンクリートを保持するため、表面から突き出すように設けられた複数のスタッド24及び鉄筋25を設けている。又、鋼板22の裏面側には、鋼板自体の重量や保持するコンクリートの重量などを支持、補強するための補強リブ26を多数設けている。
【0008】
図12は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの作製方法を示す図である。
【0009】
図12に示すように、従来のケーソン21の製作方法としては、図11に示す鋼板22を工場において作製し、それを現地まで搬送して、組立てヤードにおいて鋼板22及び型枠27を所定形状に組み上げて、鋼板22の外周面と型枠27の内周面との間にコンクリート23aを打設してコンクリート外壁23を製作していた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
ところが、上記従来のケーソン21では、鋼板22が、ケーソン21の合成前又は合成時の死荷重即ち、鋼板22自体の重量やコンクリート外壁23自体の重量などを支持しなければならず、又、搬送時の安全性、組立て時の作業性などを考慮して、鋼板22が変形しないように、多数の補強リブ26を設けている(図11参照)。そのため、製作コストが高くなるという課題がある。又、補強リブ26の溶接のため、鋼板22自体の板厚をある程度以上大きくする必要があり、板厚の増加分を支持するため、更に補強リブ26を追加するなど、鋼板22の全重量が更に増加するという課題もある。
【0011】
本発明は、上記課題に鑑み、低コストかつ軽量で、十分な剛性強度を有する構造を備えたケーソン及びそのケーソンを用いた着底型構造物を提供する。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、一方の面に、コンクリートを保持する保持手段と、コンクリートにより形成されたコンクリート梁とを備えてなる鋼板を、所定形状を有する枠組みの外周面に前記一方の面が外側を向くように貼設し、その外周面上にコンクリートを打設して構成したことを特徴とする。
【0013】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、前記鋼板を前記枠組みの外周面にシール溶接して取付けたことを特徴とする。
【0014】
上記課題を解決する本発明に係るケーソンは、前記鋼板を前記枠組みの外周面にボルト接合して取付けたことを特徴とする。
【0015】
上記課題を解決する本発明に係る着底型構造物は、前記ケーソンを、複数組海底上に着底させて配列し、それぞれを連結して構成したことを特徴とする。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明は、補強リブを多数備えた従来の鋼板に替わり、後述するリブレスパネルを用いて鋼−コンクリート合成構造のケーソンを構成したことが特徴である。本発明に係る鋼−コンクリート合成構造のケーソンで構成する着底型沿岸構造物の実施例として、防波堤を例に説明するが、本発明は防波堤に限定するものではない。
【0017】
図1は、本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物の設置状況を示す側面図である。
又、図2は、本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物を構成する鋼−コンクリート合成構造のケーソンの斜視図である。
【0018】
図1及び図2に示すように、本発明に係る鋼−コンクリート合成構造のケーソン(以下ケーソンと呼ぶ。)で構成する着底型沿岸構造物である防波堤1Aは、海底gに予め構築したマウンド20上に、複数組のケーソン1を着底させて配列し、それぞれを連結した構成である。海水面sより上方に位置する防波堤1Aの上部には、上部コンクリート1aが敷設されている。
【0019】
図3は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの構造断面図である。
ケーソン内部の構造の要部がわかるように、その一部の断面を示した。
【0020】
図3に示すケーソン1の基本構成は、ケーソンの骨格部分を形成し、枠組みとなる鉄骨フレーム12と、ケーソンの骨格部分を形成し、鉄骨フレーム12の外周面に貼設された複数のリブレスパネル11と、リブレスパネル11、即ちケーソン構造の外周面に打設されたコンクリート外壁3よりなる。リブレスパネル11は、平板状の鋼板の一方の面に、コンクリート外壁3を保持する保持手段となるスタッド4と鉄筋5を多数備えており、更に剛性保持のためのコンクリート梁13を複数備えている。この一方の面が外側を向くように鉄骨フレーム12の外周面に貼設されている。ケーソン1の中央部、つまり鉄骨フレーム12の内側は中空となる中空部12eが形成されている。この中空部12eには、砂等の重石を入れ、ケーソン1を海底に着底して設置するようにする。各構成部材の更に詳細な構造及び作製手順については後述する図4〜図9において説明をする。
【0021】
図4は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの枠組み部分の組立図である。
【0022】
図4に示すように、ケーソン1の枠組み部分は、構造部材12a〜12dを縦・横・斜めに張り巡らせるように組み上げた鉄骨フレーム12により構成されている。又、図4は、鉄骨フレーム12に対するリブレスパネル11の貼設状況も示しており、構造部材12a、12b、12c、12dを用いて鉄骨フレーム12を製作した後、その外周面に所定寸法のリブレスパネル11を順次貼設することでケーソン1の骨格部分を形成する。
【0023】
図5は、図4のリブレスパネルの貼設状況を示す要部詳細図である。
【0024】
図5は、鉄骨フレーム12に対する1つのリブレスパネル11の貼設状況を示すものであり、リブレスパネル11と鉄骨フレーム12の接触部分においてシール溶接を用いて、シール溶接部分16を形成し、水密性を有する構成としている。つまり、ケーソン1の枠組み部分を形成する鉄骨フレーム12の構造部材12a〜12cが作り出す空間部分は、リブレスパネル11と構造部材12a〜12c、更には隣接するリブレスパネル11同士をそれぞれシール溶接することで、空間部を閉塞して、水密性を有するようにしている。又は、リブレスパネル11と鉄骨フレーム12の接触部分をボルト接合により接合し、接合部分にシール手段を設けることで、空間部を閉塞して、水密性を有するようにしてもよい。
【0025】
図6は、本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの構成図である。
【0026】
図6に示すように、リブレスパネル11は、所定寸法の鋼板2の一方の面に、コンクリートを保持する保持手段となる多数のスタッド4及び鉄筋5を備え、更に、この一方の面の一部に、コンクリートを先行打設して一条又は複数(図6では二条)のコンクリート梁13を形成して備えており、コンクリート梁13により、リブレスパネル11全体の剛性を強くした構成とする。即ち、本発明に係るリブレスパネル11は、従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンを構成する鋼板22の補強リブ26を廃してリブレス構造とし、その替わりにコンクリート梁13を形成することで、リブレスパネル11自体の重量及びリブレスパネル11の外周面に形成する前記コンクリート外壁3自体を支持、補強する剛性強度を持つ構造とした。従って、コンクリート梁13は、リブレスパネル13自体の剛性強度保持の役割を果たし、ケーソンの骨格部分の組立時には、骨格部分の剛性強度保持の役割を果たし、更に、前記コンクリート外壁3の形成時には、前記鉄骨フレーム12の外周面側に設置されているため、コンクリート外壁3と一体となり、ケーソン自体の剛性強度保持の役割を果たしている。そのため、従来のケーソンの補強リブ26のように、コンクリート外壁3の形成後に無駄な構造物として残ることはない。又、従来の鋼鉄製の補強リブ26に比べて重量が軽いため、十分な剛性強度を保持しつつ軽量な構造とすることができ、コストの面でも十分に利点が出てくる。
【0027】
図7(a)、(b)、(c)は、本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの製作手順を時系列に示す図である。
【0028】
図7(a)に示すように、最初に、鋼板2の一方の面にスタッド4を立設し、更に鉄筋5を鋼板2の表面上から所定距離を離して縦横に取付ける。
【0029】
その後、図7(b)に示すように、コンクリート梁13用の型枠14を鋼板2の表面上にセットする。この時、型枠14内にスタッド4及び鉄筋5を内包するように配置する。
【0030】
最後に、図7(c)に示すように、コンクリート3aを型枠14内に打設してコンクリート梁13を形成して、コンクリート梁付きのリブレスパネル11が完成する。
【0031】
コンクリート梁13は、その内部に鋼板2に取付けられているスタッド4及び鉄筋5を内包して形成されているため、鋼板2に強固に固定されることとなり、鋼板2の剛性強化、即ちリブレスパネル11全体の剛性強化につながる。
【0032】
なお、リブレスパネル11のコンクリート梁13の大きさ、数、形成方向等については、設計条件に応じて適宜設定する。
【0033】
図8は、本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの施工図である。
又、図9は、図8の領域Aの要部詳細図である。
【0034】
図8、図9は、ケーソン外周部に打設するコンクリート外壁3の施工方法を示したものであり、鉄骨フレーム12の外周全面にリブレスパネル11を貼設(シール溶接又はボルト接合)した後、コンクリート外壁用の型枠17をセットしてコンクリート3aを打設して、コンクリート外壁3を形成し、その後、型枠17を取外すことでリブレスパネル11を用いたケーソン1を完成させる。
【0035】
上述してきた一連の作製工程をまとめて説明すると、最初に、コンクリート梁13を有するリブレスパネル11を工場で製作し、次に、予め製作されている鉄骨フレーム12の外周面にリブレスパネル11をシール溶接(又はボルト接合)し、又は、トラック等で現地まで搬送した後、現地組立てヤードで予め製作されている鉄骨フレーム12の外周面にシーム溶接(又はボルト接合)し、最後に、リブレスパネル11の外周面にコンクリートを打設してケーソン構造として、本発明に係るケーソン1が製作されることとなる。
【0036】
この後、本発明に係るケーソン1は、台船などに搭載されて設置場所まで搬送され、クレーン船などを使用して、海底に予め構築されたマウンド上に着底・配列された後、それぞれを連結し、又、上部コンクリートを敷設して着底型構造物となる防波堤が完成する。
【0037】
上述してきたように、本発明に係るケーソン1は、リブレスパネル11にコンクリートを先行打設したコンクリート梁13が形成されているため、剛性が大きくなり、自重や外力を受けた時、又はコンクリート打設の時に変形が非常に小さくなる。そのため、リブレスパネル11を工場から現地まで搬送する際の荷役、運搬作業を安全に行うことができる。又、コンクリート梁13を有しているので、従来のように補強リブを溶接する必要がなくなり、鋼板板厚を薄くすることができるため、製作コストが安くなり、又、鋼材重量も低減する。更に、リブレスパネル11は鉄骨フレーム12とシール溶接されているため、万一、コンクリート外壁に亀裂などの損傷が発生しても、海水がケーソン1内部に浸入することはなく、防波堤の安全性が維持される。従って、本発明に係るケーソン1を使用することにより、建設費が安く、安全性の高い防波堤を提供できる。
【0038】
【発明の効果】
請求項1に係る発明によれば、一方の面に、コンクリートを保持する保持手段と、コンクリートにより形成されたコンクリート梁とを備えてなる鋼板を、所定形状を有する枠組みの外周面に前記一方の面が外側を向くように貼設し、その外周面上にコンクリートを打設して構成したので、剛性強度の高い鋼−コンクリート合成構造のケーソンとすることができ、作業時の安全性が確保でき、又、余分な補強が不要となり、軽量化及び低コスト化を実現できる。
【0039】
請求項2に係る発明によれば、前記鋼板を前記枠組みの外周面にシール溶接して取付けたので、鋼−コンクリート合成構造のケーソンの内部への水蜜性を保つことができる。
【0040】
請求項3に係る発明によれば、前記鋼板を前記枠組みの外周面にボルト接合して取付けたので、鋼−コンクリート合成構造のケーソンの内部への水蜜性を保つことができる。
【0041】
請求項4に係る発明によれば、前記ケーソンを、複数組海底上に着底させて配列し、それぞれを連結して構成したので、建設費が安く、安全性の高い防波堤を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物の設置状況を示す側面図である。
【図2】本発明に係る実施形態の一例を示す着底型沿岸構造物を構成する鋼−コンクリート合成構造のケーソンの斜視図である。
【図3】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの構造断面図である。
【図4】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの枠組み部分の組立図である。
【図5】図4のリブレスパネルの貼設状況を示す要部詳細図である。
【図6】本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの構成図である。
【図7】本発明に係る実施形態の一例を示すリブレスパネルの製作手順を(a)、(b)、(c)にて、時系列に示す図である。
【図8】本発明に係る実施形態の一例を示すケーソンの施工図である。
【図9】図8の領域Aの要部詳細図である。
【図10】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの基本構造例を示した斜視図である。
【図11】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンに使用する鋼板を示す斜視図である。
【図12】従来の鋼−コンクリート合成構造のケーソンの作製方法を示す図である。
【符号の説明】
1 ケーソン
2 鋼板
3 コンクリート外壁
4 スタッド
5 鉄筋
11 リブレスパネル
12 鉄骨フレーム
13 コンクリート梁
Claims (4)
- 一方の面に、コンクリートを保持する保持手段と、コンクリートにより形成されたコンクリート梁とを備えてなる鋼板を、所定形状を有する枠組みの外周面に前記一方の面が外側を向くように貼設し、その外周面上にコンクリートを打設して構成したことを特徴とする鋼−コンクリート合成構造のケーソン。
- 請求項1記載のケーソンにおいて、
前記鋼板を前記枠組みの外周面にシール溶接して取付けたことを特徴とする鋼−コンクリート合成構造のケーソン。 - 請求項1記載のケーソンにおいて、
前記鋼板を前記枠組みの外周面にボルト接合して取付けたことを特徴とする鋼−コンクリート合成構造のケーソン。 - 請求項1乃至請求項3のいずれかに記載のケーソンを、複数組海底上に着底させて配列し、それぞれを連結して構成したことを特徴とする着底型構造物。
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