JP3917871B2 - ガス吸着エレメント - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、水素ガスなどを高速で吸脱着するガス吸着エレメントに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、たとえば燃料電池自動車などの開発が進むにつれて、水素ガスなどを吸脱着可能なガス吸着エレメントが望まれている。このようなガス吸着エレメントとしては、たとえば炭素材などをフェルト状などに形成して使用することが考えられている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなガス吸着エレメントでは、水素ガスなどの吸脱着に伴う熱の出入りがスムーズに行われないと、吸着不良や発火などが発生するおそれがある。
【0004】
この発明の課題は、水素ガスなどの吸蔵に最適で実用化に資することができるガス吸着エレメントを提供することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るガス吸着エレメントは、ガス吸蔵能を備える炭素材層を金属の表面に有することを特徴としている。
この発明によれば、水素ガスなどを高速で吸脱着することができ、水素ガスなどの吸蔵に最適で実用化に資することができる。
【0006】
ここで、前記炭素材層は、高熱伝導性を備えることが好ましく、前記炭素材層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維、カーボンナノホーンまたはその他の炭素材料であることが好ましい。
【0007】
この発明に係るガス吸着エレメントは、前記炭素材層を表面に有する金属板が所定のピッチで放熱板に複数取り付けられており、前記金属板が取り付けられた側の前記放熱板の表面にはガスが流通し、前記金属板が取り付けられていない側の前記放熱板の表面には熱媒体が流通するように構成することが好ましい。
このような構成とすることで、体積当たりのガス吸蔵容量を大きく取ることができるとともに、金属板を通じて放熱し易い構造になり、放熱板と組み合わせることで放熱性を向上させることができる。
【0008】
また、この発明に係るガス吸着エレメントは、前記炭素材層を表面に有する金属板が所定のピッチで金属管の外側に複数取り付けられており、前記金属管の外側にはガスが流通し、前記金属管の内側には熱媒体が流通するように構成することが好ましい。
このように構成することで、金属板と金属板との間にガスが容易に入り込み熱媒体によって発熱を除去することができる。
【0009】
さらに、この発明に係るガス吸着エレメントは、前記炭素材層を金属管の外側に有し、前記金属管の外側にはガスが流通し、前記金属管の内側には熱媒体が流通するように構成することが好ましい。
【0010】
また、この発明に係るガス吸着エレメントは、前記炭素材層を金属管の内側に有し、前記金属管の内側にはガスが流通し、前記金属管の外側には熱媒体が流通するように構成することが好ましい。
【0011】
また、この発明に係るガス吸着エレメントは、熱媒体が流入する流入口を有する熱媒体流入室と、熱媒体が流出する流出口を有する熱媒体流出室と、水素などのガスが流入する流入口とこのガスが流出する流出口とを有するガス流通室と、前記ガス流通室内に平行に並べて配置され、前記炭素材層を表面に有する金属管とを備え、前記金属管の一端は、熱媒体流入室に接続されており、前記金属管の他端は熱媒体流出室に接続されていることが好ましい。
このように構成することで、ガス吸着時に発生する熱を熱媒体によって除去することができる。
【0012】
さらに、この発明に係るガス吸着エレメントは、一端が互い違いに塞がれたハニカム構造の金属体の一方の表面に前記炭素材層を有し、前記金属体の一方の表面にはガスが流通し、前記金属体の他方の表面には熱媒体が流通するように構成ることが好ましい。
【0013】
ここで、前記ガスは、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、水分、硫化水素(H2S)、ハロゲンガスまたは有機ガスであり、前記熱媒体は、水、空気、水蒸気、窒素またはアルゴンであることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
以下、図面を参照して、この発明の第1実施形態について詳しく説明する。
図1は、この発明の第1実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント1は、ガス吸蔵能を有する炭素材層3を金属2の表面に有するエレメントであり、たとえば水素ガス等を吸脱着するガス容器内に設置して使用される。
【0015】
ガス吸着エレメント1は、図1に示すように、金属箔などからなる金属2と、この金属2の両面にコーティングされた炭素材層(たとえばCNTs+マトリックス)3とから構成されている。炭素材層3は、水素吸蔵能と高熱伝導性とを兼ね備えるカーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維、カーボンナノホーンまたはその他の炭素材料などの炭素材を含む膜である。炭素材層3としては、熱伝導率が約530〜4980(k/Wm-1-1)程度のものが好ましい。
【0016】
(第2実施形態)
図2は、この発明の第2実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント4は、図1に示すガス吸着エレメント1が所定のピッチで放熱板5に複数取り付けられたエレメントである。この第2実施形態では、図1に示す金属2が板状に形成されている。放熱板5は、多数のガス吸着エレメント1を垂直に支持する支持板である。このガス吸着エレメント4では、ガス吸着エレメント1が取り付けられた側の放熱板5の表面5aには、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物(NOx)、硫黄酸化物(SOx)、水分、硫化水素(H2S)、ハロゲンガスまたは有機ガスなどのガスが流通し、ガス吸着エレメント1が取り付けられていない側の放熱板5の表面5bには、吸蔵や脱離時の熱の出入りに必要な水、空気、水蒸気、窒素、アルゴンなどの熱媒体が流通する。
【0017】
(第3実施形態)
図3は、この発明の第3実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図であり、図3(A)は外観図であり、図3(B)は断面図である。
このガス吸着エレメント6は、炭素材層3を表面に有する金属板7が所定のピッチで金属管8の外側に複数取り付けられているフィンチューブ型エレメントである。金属板7は、図3(A)に示すように、円環状に形成された金属箔(フィン)であり、金属管8の外周面に嵌合する。金属板7には、図3(B)に示すように、金属管8と嵌合する部分以外の表面に炭素材層3がコーティングされている。このガス吸着エレメント6では、金属管8の内側には熱媒体が通過し、金属管8の外側にはガスが通過する。
【0018】
(第4実施形態)
図4は、この発明の第4実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント9は、炭素材層3を金属管8の外側に有するエレメントである。このガス吸着エレメント9は、金属管8の外周面に炭素材層3がコーティングされ形成されている。このガス吸着エレメント9では、金属管8の内側には熱媒体が通過し、金属管8の外側にはガスが通過する。
【0019】
(第5実施形態)
図5は、この発明の第5実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント10は、炭素材層3を金属管8の内側に有するエレメントである。このガス吸着エレメント10は、金属管8の内周面に炭素材層3がコーティングされ形成されている。このガス吸着エレメント10では、金属管8の内側にはガスが通過し、金属管8の外側には熱媒体が通過する。
【0020】
(第6実施形態)
図6は、この発明の第6実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント11は、熱媒体が流入する流入口12aを有する熱媒体流入室12と、熱媒体が流出する流出口13aを有する熱媒体流出室13と、水素などのガスが流入する流入口14aとこのガスが流出する流出口14bとを有するガス流通室14と、このガス流通室14内に平行に並べて配置された複数のガス吸着エレメント9などから構成されている。金属管8の一端は、熱媒体流入室12に接続されており、金属管8の他端は熱媒体流出室13に接続されている。
【0021】
(第7実施形態)
図7は、この発明の第7実施形態に係るガス吸着エレメントの外観図である。
図8は、この発明の第7実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
このガス吸着エレメント15は、一端が互い違いに塞がれたハニカム構造の金属体16の表面16aに炭素材層3を有するエレメントである。金属体16は、塞ぎ板16cによってハニカム構造の一端が互い違いに塞がれている。このガス吸着エレメント15では、金属体16の一方の表面16aにはガスが流通し、金属体16の他方の表面16bには熱媒体が流通する。この実施形態では、図8に示すように、金属体16内に挿入されたパイプ16dによって熱媒体を金属体16内に注入するように構成することが好ましい。
【0022】
この発明は、以上説明した実施形態に限定するものではなく、種々の変形または変更が可能であり、これらもこの発明の範囲内である。たとえば、この第3実施形態では、金属管8の外周面に金属板7を溶接取付け、巻込取付け、展造成形または植込取付けなどによって固定してもよいし、フィン形状は円板以外にも星型や引き抜き加工などによって角形に形成してもよい。また、金属板7をスタッド状に形成して金属管8の外周面に溶接などによって固定してもよい。さらに、金属板7の形状を波状に形成したり、金属板7の表面に多数のピンや貫通孔を形成したり、金属板7に等間隔に多数の切れ目を形成したり、金属板7を折り曲げて表面にルーバーを形成してもよい。
【0023】
この第6実施形態では、第4実施形態のガス吸着エレメント9を使用した場合を例に挙げて説明したが、第3実施形態のガス吸着エレメント6を使用してもよい。また、ガス室14の長さ方向に沿って邪魔板を設置してもよいし、ガス室14の長さ方向と直交する方向に複数の邪魔板を設置してもよい。
【0024】
この実施形態では、ガス吸着時に放熱のために熱媒体を使用する場合を例に挙げて説明したが、これとは反対に、ガス放出時に熱を与えるために熱媒体を使用することもできる。
また、この実施形態では、水素ガス等のガス容器として適用する場合を例に挙げて説明したが、このガス容器は、たとえば燃料電池自動車の他、潜水艦、家庭用コジェネ、水素タンカー、圧力スイング法(PSA)などに採用することができる。
【0025】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の発明によると、ガス吸蔵能を備える炭素材層を金属の表面に有するので、水素ガスなどを高速で吸脱着することができ水素ガスなどの吸蔵に最適で実用化に資することができる。
【0026】
請求項2記載の発明によれば、炭素材層が高熱伝導性を備えるので、高温度の吸着熱の発生や発火を抑えることができる。
【0027】
請求項3記載の発明によれば、炭素材層がカーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維、カーボンナノホーンまたはその他の炭素材料であるので、熱伝導性を向上させることができる。
【0028】
請求項4記載の発明によれば、炭素材層を表面に有する金属板が所定のピッチで放熱板に複数取り付けられており、金属板が取り付けられた側の放熱板の表面にはガスが流通し、金属板が取り付けられていない側の放熱板の表面には熱媒体が流通するので、体積当たりのガス吸蔵容量を大きく取ることができるとともに、金属板を通じて放熱し易い構造になり、放熱板と組み合わせることで放熱性を向上させることができる。
【0029】
請求項5記載の発明によれば、炭素材層を表面に有する金属板が所定のピッチで金属管の外側に複数取り付けられており、金属管の外側にはガスが流通し、金属管の内側には熱媒体が流通するので、金属板と金属板との間にガスが容易に入り込み熱媒体によって発熱を除去することができる。
【0030】
請求項6記載の発明によれば、炭素材層を金属管の外側に有し、金属管の外側にはガスが流通し、金属管の内側には熱媒体が流通するので、簡単な構造により水素ガスなどを高速で吸脱着することができる。
【0031】
請求項7記載の発明によれば、炭素材層を金属管の内側に有し、金属管の内側にはガスが流通し、金属管の外側には熱媒体が流通するので、簡単な構造により水素ガスなどを高速で吸脱着することができる。
【0032】
請求項8記載の発明によれば、熱媒体が流入する流入口を有する熱媒体流入室と、熱媒体が流出する流出口を有する熱媒体流出室と、水素などのガスが流入する流入口とこのガスが流出する流出口とを有するガス流通室と、前記ガス流通室内に平行に並べて配置され、前記炭素材層を表面に有する金属管とを備え、前記金属管の一端は、熱媒体流入室に接続されており、前記金属管の他端は熱媒体流出室に接続されているので、ガス吸着時に発生する熱を熱媒体によって除去することができる。
【0033】
請求項9記載の発明によれば、一端が互い違いに塞がれたハニカム構造の金属体の一方の表面に炭素材層を有し、金属体の一方の表面にはガスが流通し、金属体の他方の表面には熱媒体が流通するので、簡単な構造により水素ガスなどを高速で吸脱着することができる。
【0034】
請求項10記載の発明によれば、ガスは、水素、窒素、または有機ガスであり、熱媒体は、水、空気、水蒸気、窒素またはアルゴンであるので、ガス吸蔵能を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の第1実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【図2】 この発明の第2実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【図3】 この発明の第3実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図であり、(A)は外観図であり、(B)は断面図である。
【図4】 この発明の第4実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【図5】 この発明の第5実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【図6】 この発明の第6実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【図7】 この発明の第7実施形態に係るガス吸着エレメントの外観図である。
【図8】 この発明の第7実施形態に係るガス吸着エレメントの構成図である。
【符号の説明】
1,4,6,9,10,11,15 ガス吸着エレメント
2 金属
3 炭素材層
5 放熱板
5a,5b 表面
7 金属板
8 金属管
12 熱媒体流入室
12a 流入口
13 熱媒体流出室
13a 流出口
14 ガス流通室
14a 流入口
14b 流出口
16 金属体
16a,16b 表面
16c 塞ぎ板
16d パイプ

Claims (5)

  1. ガス吸蔵能を備える炭素材層を金属の表面に有するガス吸着エレメントであって、一端が互い違いに塞がれたハニカム構造の金属体の一方の表面に前記炭素材層を有し、前記金属体の一方の表面にはガスが流通し、前記金属体の他方の表面には熱媒体が流通することを特徴とするガス吸着エレメント。
  2. 請求項に記載のガス吸着エレメントにおいて、前記金属体の前記他方の表面側に前記熱媒体を注入するためのパイプを挿入したことを特徴とするガス吸着エレメント。
  3. 請求項1又は請求項2に記載のガス吸着エレメントにおいて、前記炭素材層は、高熱伝導性を備えることを特徴とするガス吸着エレメント。
  4. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のガス吸着エレメントにおいて、前記炭素材層は、カーボンナノチューブ、カーボンナノ繊維、カーボンナノホーンまたはその他の炭素材料であることを特徴とするガス吸着エレメント。
  5. 請求項1から請求項までのいずれか1項に記載のガス吸着エレメントにおいて、前記ガスは、水素、窒素、酸素、一酸化炭素、二酸化炭素、窒素酸化物、硫黄酸化物、水分、硫化水素、ハロゲンガスまたは有機ガスであり、前記熱媒体は、水、空気、水蒸気、窒素またはアルゴンであることを特徴とするガス吸着エレメント。
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