JP3917413B2 - 食材の冷却加工装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば加熱調理などを済ませた食材を冷却加工する際に使用される温度センサを用いた食材の冷却加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
大量の食事を来客者に一度に提供する宴会場や結婚式場などにおいては、事前に加熱調理などを済ませた食材を冷却加工装置(ブラストチラー)で、例えば0℃に急速冷却加工しておき、来客者に提供する時に前記冷却加工された食材をオーブンなどで再加熱している。
【0003】
この冷却加工装置では、適正な冷却加工が行なわれるように、例えば芯温センサで食材の芯温を測定している。そして、食材の芯温が予め設定した温度になるように冷却室内の温度などが制御され、また食材の芯温が表示部に表示されて料理人が食材の冷却加工の進み具合などを確認できるようになっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前記芯温センサは、冷却加工装置の機械室内などに配置した制御部とリード線で接続される。つまり、図6に示すごとく、芯温センサ41のリード線42は冷却室1内にも配置されるため、食材3を冷却室1内に収納する際にリード線42が邪魔になったり、芯温センサ41を食材3に差し込む際などにリード線42が他の食材3などに引っ掛かったりなどして、食材3の冷却加工の作業性などが悪いところに問題がある。
【0005】
また、食材によっては食材が凍結しないように冷却加工する必要があるが、食材の芯温のみを測定するのでは、食材の表面の凍結までは防止できないことになる。この場合、あまり低温ではない冷風で食材を徐々に冷却して、食材の表面温度と芯温との差が小さくなるように冷却加工することが考えられるが、冷却加工に時間が掛かるところに問題がある。更に食材の冷却加工を管理するためには、食材を載置する容器の底部に溜まった水などが芯温センサ41内に侵入することなどを防いで、芯温センサ41を確実に動作させる必要がある。
【0006】
本発明の目的は、食材の冷却加工の作業性の向上などが図れる食材の冷却加工装置を得ることにある。また本発明の目的は、冷却加工に時間をかけずに食材の適正な冷却加工の管理を行なえるようにすることにある。本発明の他の目的はセンサの確実な動作を得るようにすることにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の温度センサは、被測定物3の温度を測定する温度検出手段16・17と、被測定物3の温度データを無線で送信する無線通信手段20とを有している。無線通信手段20は、温度検出手段16・17から独立したケース23内に収納されており、温度検出手段16・17と無線通信手段20とはリード線19で接続されている。ここでの被測定物3には食材などが該当する。被測定物3の温度には、被測定物3の芯温や被測定物3の表面温度などが該当する。
【0008】
具体的に説明すると、温度検出手段16・17が、被測定物3の芯温を測定する芯温検出手段16と、被測定物3の表面温度を測定する表面温度検出手段17とからなり、芯温検出手段16は、先端側が被測定物3に差し込まれる金属管31内に収納されている。表面温度検出手段17は、金属管31の軸方向にスライド移動可能な状態で金属管31に外嵌している。そして、金属管31を被測定物3に差し込んだ際には、表面温度検出手段17が被測定物3の表面に押し付けられるようになっている。表面温度検出手段17は、コイルスプリングなどによって被測定物3の表面に押し付けられる場合と、金属管31との摩擦によって金属管31に係止されることで被測定物3の表面に押し付けられる場合などが含まれる。
【0009】
本発明が対象とする食材の冷却加工装置は、冷却室1内に収納された食材3の温度が温度センサ7で測定されることで、この測定された温度データに基づいて管理手段11が食材3の冷却加工状態を管理する。ここでの食材3の温度は、食材3の芯温や食材3の表面温度などが該当する。食材3の冷却加工状態の管理には、食材3の温度を表示することや、食材3の温度が予め設定された温度になるように冷凍機9などを制御することなどが含まれる。
【0010】
本発明の冷却加工装置は、前述と同様に温度センサ7が、食材3の温度を測定する温度検出手段16・17と、食材3の温度データを無線で送信するセンサ側無線通信手段20とを有している。管理手段11は、温度センサ7のセンサ側無線通信手段20と無線で通信する本体側無線通信手段11bを有している。そして管理手段11が、受信した食材3の温度データに基づいて食材3の冷却加工状態を管理するようになっている。
【0011】
詳しくは、温度センサ7のセンサ側無線通信手段20が、温度検出手段16・17から独立したケース23内に収納されており、温度検出手段16・17とセンサ側無線通信手段20とがリード線19で接続されている。
【0012】
具体的に説明すると、温度センサ7のセンサ側無線通信手段20が、断熱体24で覆われた状態でケース23内に収納されている。リード線19は、防水手段26を介してケース23内からケース23外へ導出されている。ケース23は、食材3が載置される容器4の縁部4aに係止される係止部27を有しており、係止部27を容器4の縁部4aに係止した際には、ケース23が容器4の底面4bより上方に位置する。
【0013】
また、温度センサ7は、食材3の芯温を測定する芯温検出手段16と、食材3の表面温度を測定する表面温度検出手段17とからなるものとすることができる。
【0014】
詳しくは、芯温検出手段16は、先端側が食材3に差し込まれる金属管31内に収納されている。表面温度検出手段17は、金属管31の軸方向にスライド移動可能な状態で金属管31に外嵌している。そして、金属管31を食材3に差し込んだ際には、表面温度検出手段17が食材3の表面に押し付けられるようになっている。表面温度検出手段17は、コイルスプリングなどによって食材3の表面に押し付けられる場合と、金属管31との摩擦によって金属管31に係止されることで食材3の表面に押し付けられる場合などが含まれる。
【0015】
【発明の作用効果】
本発明の食材の冷却加工装置は、温度センサ7が、例えば食材(被測定物)3の温度データを測定して、その温度データを無線で管理手段11などへ送信することにより、温度センサ7と管理手段11とを接続するためのリード線を冷却室1内などに配置しなくても済む。従って、例えば、食材3を冷却室1内に収納する際にリード線が邪魔になったり、リード線が他の食材3などに引っ掛かったりなどすることを防止できて、食材3などの冷却加工の作業性の向上などを図ることができる。また、温度センサ7の食材3などへの取り付けを冷却加工装置の外部で行なえるため、この点でも食材3などの冷却加工の作業性の向上などを図ることができる。更に温度センサ7を洗浄する場合、リード線に妨げられることがないために容易に洗浄することができる。
【0016】
温度センサ7の無線通信手段20を、温度検出手段16・17から独立したケース23内に収納すると、温度検出手段16・17は、無線通信手段20と一体にした場合よりもコンパクトになって、温度検出手段16・17を食材3などに取り付ける際などの取扱いが容易になる。また、無線通信手段20を収納したケース23と温度検出手段16・17とは短いリード線19で接続できるため、食材3を冷却室1内に収納する際などにリード線19が邪魔になったり、リード線19が他の食材3などに引っ掛かったりなどすることがない。
【0017】
温度センサ7の無線通信手段20が、断熱体24で覆われた状態でケース23内に収納されると、無線通信手段20を構成するICなどの電子部品が過度に低温になって動作不良になることが防止される。しかも、冷却室1内に配置されたリード線19が、防水手段26を介してケース23内からケース23外へ導出されるとともに、係止部27によってケース23が容器4の底面4bより上方に位置するように係止されると、容器4の底部に溜まった水などがケース23内に侵入することを確実に防止できて、無線通信手段20の確実な動作を保証することができる。
【0018】
温度センサ7が芯温検出手段16と表面温度検出手段17とからなると、1個の温度センサ7で食材3などの芯温と表面温度とが同時に測定できて、芯温と表面温度とから食材3などの冷却の進み具合を適正、且つ、迅速に判断できる。例えば、時間をかけずに冷却加工するために食材3などを急速に冷却しても、芯温と表面温度との測定に基づいて食材3などが凍結しないように冷却加工を制御することができる。
【0019】
芯温検出手段16を収納した金属管31を食材3などに差し込むと、表面温度検出手段17が食材3などの表面に押し付けられると、金属管31を食材3などに差し込むといった1つの作業で、食材3などの芯温と食材3の表面温度との測定準備ができて、この点でも食材3などの冷却加工の作業性の向上などを図ることができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
図面は、本発明に係る温度センサを用いた食材の冷却加工装置を示しており、図2に示すごとく、冷却室1と機械室2とを有している。冷却加工装置は、図1に示すごとく、加熱調理などを済ませて冷却室1内に収納された食材(被測定物)3を冷却加工するようになっている。
【0021】
冷却室1内には、皿状のパン(容器)4を載置する棚14が上下複数段に配置されており、各パン4内に食材3が載置される。また、冷却室1内には、モータ5によって駆動される庫内ファン6と、食材3に差し込まれて当該食材3の芯温や表面温度を測定する複数の温度センサ7と、後述する管理手段11が各温度センサ7と無線通信を行なうためのアンテナ8と、冷凍機9の冷却器9aなどが配置される。
【0022】
冷却室1の前面(図1では左側)には、ドア10が開閉自在に設けられる。アンテナ8は、例えば冷却器9aと冷却室1の内壁との隙間に位置するように冷却室1の内壁に取り付けられる。これにより、アンテナ8がパン4などと干渉することが防がれる。
【0023】
機械室2内には、圧縮機などを備えて冷却室1内を冷却する冷凍機9と、マイクロコンピュータなどからなる管理手段11などが配置される(図5参照)。機械室2の前面には、図2に示すごとく、食材3の芯温や庫内温度などを設定するための操作スイッチと、食材3の現在の芯温などを表示する表示部12などを有する操作パネル13が設けられる。
【0024】
各温度センサ7は、図3に示すごとく、食材3の芯温を検出する芯温検出手段16および食材3の表面温度を測定する表面温度検出手段17などからなる温度検出手段18と、芯温検出手段16および表面温度検出手段17とリード線19で接続されるセンサ側無線通信手段20などを有している。芯温検出手段16および表面温度検出手段17はサーミスタなどからなる。センサ側無線通信手段20にはアンテナ21が接続されており、センサ側無線通信手段20は、アンテナ21を介して管理手段11と食材3の芯温や表面温度のデータなどを無線通信するようになっている。
【0025】
センサ側無線通信手段20は、温度検出手段18とは独立して設けたケース23内に密封状態で収納されており、図4に示すごとく、ケース23の内面とセンサ側無線通信手段20との間に、保温材などからなる断熱壁(断熱体)24が設けられる。リード線19およびアンテナ21は、防水用のパッキン(防水手段)26を介してケース23外へ導出される。ケース23の外面には、図3に示すごとく、パン4の隅などの上縁4aに係止するためのフック状の係止部27が設けられる。係止部27をパン4の上縁4aに係止した場合には、ケース23がパン4の底面4bより上方に位置してパン4内の食材3に接触しにくくなっている。なお、センサ側無線通信手段20が良好な低温特性を有する場合には、センサ側無線通信手段20をグリップ30に内蔵するとともに、アンテナ21をグリップ30に設けてもよい。
【0026】
温度検出手段18は、芯温検出手段16を内部に収納して保護する金属管31などを有しており、この金属管31の基端側(図3では左側)がグリップ30に固定される。表面温度検出手段17は、金属管31の外周面に対して金属管31の軸方向にスライド移動可能な状態で外嵌している。
【0027】
金属管31の外周面には、コイルスプリング32が外嵌しており、コイルスプリング32によって表面温度検出手段17が金属管31の先端側(図3では右側)へ付勢される。そして、金属管31を食材3に差し込んだ際には、コイルスプリング32の付勢力で、表面温度検出手段17が食材3の表面に押し付けられ(図1の状態)、この状態で食材3の表面温度が測定される。コイルスプリング32は、温度センサ7に対して着脱自在になっており、温度センサ7から取り外して容易に洗浄できるようになっている。また、コイルスプリング32を設けることに代えて、表面温度検出手段17が、金属管31との摩擦によって金属管31に係止されるように外嵌してもよい。この場合、食材に差し込む前に表面温度検出手段17を金属管31の任意の位置にスライド移動させて係止することで、表面温度検出手段17を金属管31の食材3への差し込み深さの目安にすることができる。
【0028】
管理手段11は、図5に示すごとく、冷却制御の手順などのプログラムや設定温度などのデータを記憶する記憶手段11aと、アンテナ8に接続されて各温度センサ7と無線通信する本体側無線通信手段11bと、各温度センサ7で測定された食材3の芯温や表面温度および操作パネル13などで設定された芯温などに基づいて冷凍機9や庫内ファン6のモータ5などを制御する制御手段11cなどを備えている。また制御手段11cは、操作パネル13の各種の操作スイッチ15や表示部12、ブザー33および庫内温度センサ34などが接続される。
【0029】
次に、管理手段11および各温度センサ7の動作について説明する。管理手段11は、各温度センサ7に対して順に食材3の芯温あるいは表面温度の現在の測定データを要求し、各温度センサ7から送られてきた測定データに基づいて食材3の冷却加工の制御などを行なう。
【0030】
つまり、管理手段11は、前記測定データを要求する旨のデータ、当該測定データを要求する温度センサ7を特定するデータおよび要求するのが食材3の芯温か表面温度かを示すデータなどを送信する。各温度センサ7は、前記管理手段11からのデータを受信し、測定データを要求されているのが自己であると判断した場合には、当該要求された測定データを送信する。
【0031】
管理手段11は、例えば、各温度センサ7から食材3の芯温データを受信することで、前記芯温データと、操作パネル13などで設定された設定芯温データとを比較し、食材3の芯温が設定芯温になるように冷凍機9や庫内ファン6のモータ5などを制御する。そして、管理手段11は、食材3の芯温が前記設定された芯温になると、例えばブザー33を鳴らして料理人などに食材3の冷却加工が完了した旨を報知するとともに、冷凍機9や庫内ファン6のモータ5などを制御して現在の食材3の冷却状態を保持する。
【0032】
管理手段11は、前記処理の他に、例えば食材3の表面温度が設定温度になるように冷凍機9などを制御したり、あるいは冷却室1内の温度が所定温度になるように冷凍機9などを制御したりする。管理手段11は、一の温度センサ7との通信処理が完了しなければ、次の温度センサ7との通信処理に移らないが、各温度センサ7との通信処理に要する時間に関係なく、例えば1秒毎の一定間隔で各温度センサ7と順に通信を行なってもよい。
【0033】
なお、食材3の表面の凍結を防ぐ表面凍結禁止モードや、食材3の表面のわずかの凍結は許容する表面微凍結容認モードなどを予め選択できるようにし、食材3の分量や厚みなどに関係なく目標とする設定温度を入力するだけで、管理手段11が、食材3の芯温と表面温度、および庫内温度を常に測定して、前記選択されたモードに応じた最適な冷却方法を選択し、その冷却方法で食材3を冷却加工するようにしてもよい。
【0034】
また、管理手段11が、前記選択した冷却方法や、その際の食材3の芯温や表面温度などの温度推移データなどを外部の温度監視装置に送信するようにし、これによってHACCP管理などを行なうようにしてもよい。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る食材の冷却加工装置の縦断面図である。
【図2】冷却加工装置の正面図である。
【図3】温度センサを示す側面図である。
【図4】温度センサのセンサ側無線通信部を収納したケースの横断面図である。
【図5】制御手段のブロック構成図である。
【図6】従来の冷却加工装置の縦断面図である。
【符号の説明】
1 冷却室
3 食材(被測定物)
4 パン
4a 縁部
4b 底面
7 温度センサ
11 管理手段
11b 本体側無線通信手段
16 芯温検出手段
17 表面温度検出手段
19 リード線
20 センサ側無線通信手段
23 ケース
24 断熱壁
26 パッキン
31 金属管
32 コイルスプリング

Claims (4)

  1. 冷却室(1)内に収納された食材(3)の温度が温度センサ(7)で測定されることで、この測定された温度データに基づいて管理手段(11)が食材(3)の冷却加工状態を管理する食材の冷却加工装置において、
    温度センサ(7)は、食材(3)の温度を測定する温度検出手段(16・17)と、食材(3)の温度データを無線で送信するセンサ側無線通信手段(20)とを有しており、
    センサ側無線通信手段(20)が、温度検出手段(16・17)から独立したケース(23)内に断熱体(24)で覆われた状態で収納されていて、温度検出手段(16・17)とセンサ側無線通信手段(20)とがリード線(19)で接続されており、
    リード線(19)が、防水手段(26)を介してケース(23)内からケース(23)外へ導出されており、
    ケース(23)は、食材(3)が載置される容器(4)の縁部(4a)に係止される係止部(27)を有していて、係止部(27)を容器(4)の縁部(4a)に係止した際には、ケース(23)が容器(4)の底面(4b)より上方に位置しており、
    管理手段(11)は、温度センサ(7)のセンサ側無線通信手段(20)と無線で通信する本体側無線通信手段(11b)を有していて、受信した食材(3)の温度データに基づいて食材(3)の冷却加工状態を管理することを特徴とする食材の冷却加工装置。
  2. 温度センサ(7)の温度検出手段(16・17)が、食材(3)の芯温を測定する芯温検出手段(16)と、食材(3)の表面温度を測定する表面温度検出手段(17)とからなる請求項1記載の食材の冷却加工装置。
  3. 温度センサ(7)の芯温検出手段(16)は、先端側が食材(3)に差し込まれる金属管(31)内に収納されており、
    表面温度検出手段(17)は、金属管(31)の軸方向にスライド移動可能な状態で金属管(31)に外嵌しており、
    金属管(31)を食材(3)に差し込んだ際には、表面温度検出手段(17)が食材(3)の表面に押し付けられるようになっている請求項2記載の食材の冷却加工装置。
  4. 金属管(31)の外周面には、コイルスプリング(32)が外嵌しており、
    コイルスプリング(32)によって表面温度検出手段(17)が金属管(31)の先端側へ付勢される請求項3記載の食材の冷却加工装置。
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