JP3917345B2 - ガス検出装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はガス検出装置に関し、特に音波を利用してガス検出を行うガス検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ガスの検出技術として、被測定ガス中の特定の成分ガスの濃度が変化すると被測定ガスにおける混合音速が変化することを利用して成分ガスを検出するものがある。かかる音速を利用するガス検出技術は、防爆構造とするのが容易で可燃性ガスの検出に有利であり、特に水素は単体での音速が空気中の窒素や水蒸気等の他の成分に比して数倍も大きいので水素の検出に適用されている。
【0003】
特開平10−306312号公報では、製鋼工程において鋼中に水素吸蔵金属を添加する際に発生する水素の濃度の測定に用いたものが提案されている。上記水素が含まれた排ガスが流通するダクトに、流通する排ガスを挟んでマイクロフォンとスピーカとを対向させて、スピーカの音量変化からマイクロフォンからの音波の到達タイミングを検出することで音速を測定し、音速を水素濃度に変換している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開平10−306312号公報記載の技術は、マイクロフォンとスピーカとの対向間隔を十分にとらないと十分な精度で音速を測定することができず、用途は大規模プラントの排ガスダクト内の水素濃度測定等に限られる。
【0005】
本発明は上記実情に鑑みなされたもので、マイクロフォンやスピーカ等の音響素子の設置形態があまり制約を受けずに高精度にガス濃度を測定することのできるガス検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明では、機械振動と電気振動との間で相互に変換自在な対をなす第1、第2の音響素子を、被測定ガスが流通する配管内に、被測定ガスを挟んで対向しかつ被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して音響素子の対向方向が傾斜角をもつように配置するとともに、マイクロフォンとして機能する一方の音響素子から出力された電気信号を増幅しスピーカとして機能する他方の音響素子に出力する増幅回路を設けて、上記他方の音響素子からの音波が上記一方の音響素子にフィードバックしハウリングを発生するフィードバック回路を形成する。かつ上記傾斜角が互いに異なる音響素子配置で上記フィードバック回路を2種類形成自在に構成して、ハウリング周波数を計測する周波数計測手段と、計測されたハウリング周波数に基づいて成分ガス濃度を演算するガス濃度演算手段と、計測されたハウリング周波数に基づいて成分ガスの流量を演算するガス流量演算手段を具備せしめる。
上記ガス濃度演算手段は、予め記憶されたハウリング周波数と音速の関係に基づいて計測されたハウリング周波数を音速に変換する周波数/音速変換手段と、一方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速と他方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速とに基づいて被測定ガスの流速が0のときの音速を算出する基準音速算出手段と、算出された音速を成分ガス濃度に変換する音速/ガス濃度変換手段とを具備しており、
上記ガス流量演算手段は、上記一方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速と上記他方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速とに基づいて被測定ガスの流速を算出する流速算出手段と、上記流速および上記成分ガス濃度から成分ガスの流量を算出する流量算出手段とを具備する。
【0007】
ハウリングは上記フィードバック回路において正帰還がかかる条件で発生するから、被測定ガス中の音速が変化するとハウリング周波数が変化する。また被測定ガス中の音速は被測定ガスの組成すなわち成分ガスの濃度により変化するから、予めハウリング周波数と上記成分ガスの濃度との関係を求めておくことで、成分ガスの濃度を測定することができる。そして、両音響素子の対向間隔がむしろ狭まる方がハウリングは良好に生じるから、例えば被測定ガスが流通する管路が細く両音響素子の対向間隔が狭まる場合であっても、高精度にガス濃度の測定を行うことができる。
また、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して音響素子の対向方向が傾斜角をもつようにしたので、音速が音波の媒質である被測定ガスの流速の影響を受けて被測定ガスの流速が0のときの音速よりも増減する。そしてその増減量は上記傾斜角に応じた大きさとなる。ここで、一方のフィードバック回路と他方のフィードバック回路とでは上記傾斜角が異なるので、両フィードバック回路で計測された音速から被測定ガスの流速によらず被測定ガスの流速が0のときの音速を得ることができる。
したがって、被測定ガスの流通方向と音響素子の対向方向とが直交するように音響素子を配置することができなくとも、被測定ガスの流速の影響を受けることなく高精度にガス濃度を測定することができるので、音響素子のレイアウトの自由度が広がる。
さらに、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対する音響素子の対向方向の傾斜角が異なる一方のフィードバック回路と他方のフィードバック回路により、音速の計測に与える被測定ガスの流速の影響が知られるから、被測定ガスの流速とガス濃度とに基づいて成分ガスの流量を得ることができる。
【0008】
請求項2記載の発明では、上記増幅回路には、マイクロフォンとして機能する上記一方の音響素子から伝送された電気信号を二値化するゼロクロス回路を設ける。
【0009】
二値化による波形整形で振幅が揃えられハウリングを安定的に発生させることができる。
【0013】
請求項3記載の発明では、請求項1または2の発明の構成において、第1の音響素子を上記増幅回路の入力端と出力端とのいずれかと切り換え接続するとともに第2の音響素子を上記増幅回路の出力端と入力端とのいずれかと切り換え接続して第1の音響素子がマイクロフォンとして機能し第2の音響素子がスピーカとして機能する第1の設定状態と、第1の音響素子がスピーカとして機能し第2の音響素子がマイクロフォンとして機能する第2の設定状態とのいずれかを選択自在な切り換えスイッチを具備せしめて、上記傾斜角を、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して上記音響素子の対向方向が実質的に被成分ガスの上流側方向と下流側方向とに切り換わるようにする。
【0014】
対向配置された1組の第1、第2の音響素子でも電気的な切り換えスイッチにより実質的に上記傾斜角を変えることができるので構成が簡単である。
【0017】
【発明の実施の形態】
(第1実施形態)
図1に本発明のガス検出装置を示し、図2にガス検出装置における計測制御手順を示す。本実施形態は燃料電池システムに付設されたものとして説明する。本ガス検出装置は、燃料電池システムの改質器で生成された被測定ガスである改質ガス中の水素の濃度および流量を測定するもので、水素を多量に含む改質ガスを改質器から燃料電池本体に供給するための配管1に本体部11と斜めに交叉する短い筒状部12が設けられ、配管本体部11の外周へ膨出する筒状部12の両端部12a内には対をなす第1の音響素子2a、第2の音響素子2bが嵌設されている。
【0018】
音響素子2a,2bは機械振動と電気振動との間で相互に変換可能な素子であり、例えば一般的な圧電スピーカが用いられ得る。両音響素子2a,2bはその音波受信面であり音波送信面である前面を配管1の内側に向けた状態で、配管1内を流通する改質ガスを挟んで対向位置に配置され、後述するようにスピーカとして機能する一方の音響素子2a,2bから放射された音波を、マイクロフォンとして機能する他方の音響素子2b,2aで受けるようになっている。
【0019】
音響素子2a,2bは切り換えスイッチ31,32を介して信号増幅器41の入力端または電力増幅器43の出力端と接続されており、電力増幅器43の出力端と接続される音響素子2a,2bがスピーカとして機能し、信号増幅器41の入力端と接続される音響素子2b,2aがマイクロフォンとして機能する。図の状態は第1の音響素子2aがスピーカとして機能し、第2の音響素子2bがマイクロフォンとして機能している。
【0020】
信号増幅器41の出力信号はゼロクロス回路42に入力し、ゼロクロス回路42において入力信号をその正負により二値化し、それを電力増幅器43に出力するようになっている。
【0021】
これら信号増幅器41、ゼロクロス回路42、電力増幅器43は、マイクロフォンとして機能する音響素子2b,2aからの入力信号を増幅してスピーカとして機能する音響素子2a,2bに出力する増幅回路4を構成している。そして、スピーカとして機能する音響素子2a,2bからの音波がマイクロフォンとして機能する音響素子2b,2aにフィードバックするフィードバック回路が形成されてハウリングが発生する。フィードバック回路は切り換えスイッチ31,32の設定により2種類形成されることになる。
【0022】
ゼロクロス回路42からの二値の出力信号は上記のごとく電力増幅器43に出力されるとともに、分周器51に入力する。分周器51は、後述する基準クロック発生器52、AND回路53、およびカウンタ54とともに上記フィードバック回路におけるハウリングの周波数を演算する周波数計測手段5を構成している。分周器51はゼロクロス回路42からの出力信号(a)を所定の分周率にて分周し、この分周された分周器51の出力信号(b)は基準クロック発生器52からのクロック信号(c)とともにAND回路53に入力し、AND回路53の出力信号(d)がカウンタ54に入力する。
【0023】
分周器51およびカウンタ54は、CPU6から測定開始を意味するリセット信号が入力するとリセットするように構成されており、図3に示すようにリセット信号の入力後、分周器51はゼロクロス回路42から上記分周率に対応した数のパルスが入力する間、Hレベル信号を出力し、AND回路53が、この、リセット信号の入力後、分周器51の出力がLレベルとなるまでの間、実質的にカウンタ54へのクロック信号の入力を許容することとなる。カウンタ54はこの間のクロック信号をカウントし、カウント値Cを上記ハウリング周波数の計測信号としてCPU6に出力する。このカウント値Cは、分周器51の出力の1/2周期に相当する時間に比例し、したがって分周率に対応したゼロクロス回路42の出力の数周期に相当する時間に比例する。図例ではカウント値Cはゼロクロス回路の出力の3周期に相当する時間に比例した値となる。このカウント値Cよりゼロクロス回路42の出力の周波数、すなわち上記フィードバック回路のハウリング周波数が知られることになる。
【0024】
CPU6にはまた、配管1の管壁を貫通して設けられた温度センサ71により検出された、配管1内を流通する改質ガスの温度の検出信号が入力している。
【0025】
ガス濃度演算手段、ガス流量演算手段であるCPU6はこれらカウント値および改質ガス温度に基づいて改質ガス中の水素濃度および流量を演算する。
【0026】
CPU6は、上記のごとく上記分周器51およびカウンタ54にリセット信号を出力して分周器51およびカウンタ54をリセットするとともに、上記切り換えスイッチ31,32を制御する。
【0027】
CPU6における測定手順を示す図2において、ステップS110では切り換えスイッチ31,32を、第1音響素子2aと電力増幅器43の出力端とが接続し、第2音響素子2bと信号増幅器41の入力端とが接続する設定とする。これにより、第1音響素子2aがスピーカとして機能し、第2音響素子2bがマイクロフォンとして機能する。
【0028】
ステップS120では分周器51およびカウンタ54にリセット信号を出力し、ステップS130で上記のごとくカウンタ54からカウント値Cを得る。
【0029】
ステップS140では、カウント値Cからハウリング周波数に変換する。
【0030】
ステップS150は周波数/音速変換手段としての手順で、ハウリング周波数を音速Vaへ変換する。図4はハウリング周波数と音速との関係を示すもので、水素濃度の測定レンジをカバーする範囲で配管1内を流通する改質ガス中の水素濃度を違えてハウリング周波数と音速との関係を予め実験的に求めておくことで得る。かかるハウリング周波数と音速との関係はマップあるいは計算式としてCPU6のメモリに記憶しておく。
【0031】
続くステップS160では切り換えスイッチ31,32を、第1音響素子2aと信号増幅器41の入力端とが接続し、第2音響素子2bと電力増幅器43の出力端とが接続する設定とする。これにより、第2音響素子2bがスピーカとして機能し、第1音響素子2aがマイクロフォンとして機能する。
【0032】
ステップS170〜S200は上記ステップS120〜S150と同じで、分周器51およびカウンタ54にリセット信号を出力し(ステップS170)、カウンタ54からカウント値Cを得(ステップS180)、カウント値Cに基づいてハウリング周波数を得る(ステップS190)。そして周波数/音速変換手段としての手順であるステップS200ではハウリング周波数を音速Vbへ変換する。
【0033】
ステップS210は基準音速算出手段としての手順で、第1音響素子2aがスピーカとして機能し第2音響素子がマイクロフォンとして機能するフィードバック回路のハウリング周波数(カウント値C)から得られた上記音速Va、および第2音響素子2bがスピーカとして機能し第1音響素子2aがマイクロフォンとして機能するフィードバック回路のハウリング周波数(カウント値C)から得られた上記音速Vbに基づいて、配管1内を流通する改質ガス中の流速=0としたときの音速V0 および改質ガスの流速V1 を算出する。
【0034】
ここで、筒状部12は配管本体部11と斜めに交叉するように設けられ、筒状部12の軸線方向すなわち音響素子2a,2bの対向方向が配管本体部11の軸線すなわち改質ガスの流通方向と直交する方向に対して傾斜角をもつようにしてあるから、音波の媒質である改質ガスは音波の進行方向に流れる成分を有する。そして、切り換えスイッチ31,32の第1の設定状態ではスピーカとして機能する音響素子2aが改質ガスの流通方向と直交する方向に対して改質ガス流れの上流側に位置し、第2の設定状態ではスピーカとして機能する音響素子2bが改質ガスの流通方向と直交する方向に対して改質ガス流れの下流側に位置することになる。
【0035】
したがって、かかる、第1の設定状態のときと第2の設定状態のときとの上記傾斜角の実質的な相違により、音波の進行方向に流れる改質ガスの成分の方向は、第1の設定状態では音波の進行方向と同じとなり、第2の設定状態では音波の進行方向と逆となり、これにより音速Va,Vbが増減する。また、その大きさは、配管本体部11の軸線と直交する方向と筒状部12の軸線方向とのなす角度をθとして、V1 sinθと表せる。しかして式(1−1)、(1−2)が成立し、これより、上記音速Va,Vbに基づいて改質ガス中の音速V0 、改質ガスの流速V1 を算出する式(2−1)、(2−2)が得られる。CPU6はかかる算出式にしたがい改質ガス中の音速V0 、燃料ガスの流速V1 を得る。
Va =V0 +V1 sinθ・・・(1−1)
Vb =V0 −V1 sinθ・・・(1−2)
V0 =(Va +Vb )/2・・・(2−1)
Vb =(Va −Vb )/2sinθ・・・(2−2)
【0036】
ステップS220では、温度センサ71により検出された改質ガス温度を読み込み、改質ガス温度に基づいて改質ガス中の音速V0 を温度補正し、基準温度(例えば80°C)における速度にする。図5は水素濃度が30〜50%の範囲における音速と改質ガス温度との関係を示すもので、温度が高くなると音速も直線状に速くなり、温度補正は、例えば、上記ステップS210で算出された音速V0 に対して上記ステップS220で読み込まれた改質ガス温度Tと基準温度との温度差に応じた補正値を増減すればよい。
【0037】
ステップS230では、音速V0 を水素濃度Dに変換する。図6は音速による水素濃度の検定線を示すもので、CPU6はかかる音速と水素濃度との関係をメモリに記憶しており、かかる関係に基づいて水素濃度Dを得る。あるいは、水素濃度と音速との関係については、気体の混合音速について気体を構成する成分ガスの濃度の関数で表される計算式を用いてもよい。
【0038】
続くステップS240は流量算出手段としての手順で、式(3)にしたがって配管1内を流通する改質ガス中の水素の容積流量Qv を算出する。なお、式中、Sは配管の通路断面積であり、CPU6の初期データとしてメモリに記憶されている。
Qv =D×V1 ×S・・・(3)
【0039】
このように、本ガス検出装置によれば、1対の音響素子と温度センサを配管に設けることにより水素濃度と容量流量を測定することができる。ハウリングを発生させることにより水素濃度を得る構成としたので、音響素子の対向間隔を大きくとる必要はなく細管を流れる被測定ガスの測定にも好適であり、また、配管の通路断面積によって音響素子の対向間隔が大きくなる場合には増幅回路の利得を上げればよく、幅広い用途に適用することができる。
【0040】
なお、被測定ガスの温度変動が小さい場合や要求される測定精度によっては温度センサを省略してもよい。
【0041】
(第2実施形態)
図7に第2実施形態のガス検出装置の構成を示し、図8にガス検出装置のCPUで実行される測定手順を示す。第1実施形態では水素の流量を容量流量で得ているが、本実施形態は質量流量で得るようにしたものである。図中、第1実施形態と同じ番号を付した部分は第1実施形態と実質的に同じ作動をするので、第1実施形態との相違点を中心に説明する。
【0042】
配管1の管壁を貫通して圧力センサ72が設けてあり、配管1内を流通する改質ガスの圧力を検出するようになっている。圧力センサ72の出力信号は、圧力回路82で信号処理され、アナログスイッチ83を介してCPU6AのA/D変換回路に入力しており、また、上記測温回路81から出力された温度検出信号もアナログスイッチ83を介してCPU6AのA/D変換回路に入力している。アナログスイッチ83はCPU6Aで切り換え制御するようになっており、CPU6Aでは,改質ガスの圧力、温度のそれぞれが知られるようになっている。
【0043】
CPU6Aは基本的に第1実施形態のCPU6と同じもので、相違点は上記のごとく水素の流量を質量流量で得る点であり、図8に示すように、基準音速V0 、流速V1 の算出(ステップS210)の後、ステップS211でアナログスイッチ83を測温回路82側に切り換え温度Tの読み込みを可能とする。
【0044】
また、水素濃度Dへの変換(ステップS240)後、ステップS241でアナログスイッチ83を圧力回路82側に切り換え、ステップS242で改質ガスの圧力Pを読み込む。
【0045】
続くステップS251は流量算出手段としての手順で、質量流量Qm を次式(4)により算出する。
Qm =RT/PMr ×D×V1 ×S・・・(4)
【0046】
ここで、Rは気体定数、Tは改質ガス温度、Pは改質ガス圧力である。また、Mr は改質ガスの分子量であり、水素濃度Dを用いて式(5)により表される。式は改質ガスの代表的な組成比であるH2 O:CO2 :N2 =13:10:6を用いている。
【0047】
このように本実施形態では水素の流量を質量流量で得ることができる。
【0048】
なお、上記各実施形態において、水素濃度のみが必要であれば、流速V1 の算出に関する手順は省略することもできる。この場合、図9のように切り換えスイッチを省略した構成として第1の音響素子2aをマイクロフォン機能専用とし、第2の音響素子2bをスピーカ機能専用とすることもできる。この場合、音速はカウント値Cから得られた値で代表されることになるが、式(1−1)や式(1−2)より明らかなように流速成分の項V1 sinθが誤差となり得る。この誤差をなくすには、音響素子2a,2bの対向方向と配管の軸線方向とが直交するように配管筒状部を作り、音速に対する改質ガスの流れの影響をなくせばよい。なお、かかる構成とする場合には、CPU6BIおいて、カウント値と水素濃度との関係を示すマップ等にしたがって、カウント値から直接水素濃度に変換が可能である。勿論、かかるカウント値または水素濃度について温度補正を行うのもよい。
【0049】
なお、音響素子設置場所によっては音響素子の対向方向と配管の方向とが直交するように筒状部を構成することができないこともあり得るので、その場合は、上記各実施形態のごとく音響素子をスピーカ機能とマイクロフォン機能との間で切り換え可能に構成し、上記式(2−1)にしたがって音速V0 を高精度に測定するのがよい。流速成分の項V1 sinθを含まない正確な音速V0 を得ることができるからである。
【0050】
また、上記各実施形態では、音響素子は切り換えスイッチによりスピーカとして機能する場合とマイクロフォンとして機能する場合とを切り換えることで実質的に傾斜角θが改質ガスの上流側と下流側とに切り換わるようにし、2元連立方程式(1−1)、(1−2)が成立するようになっているが、配管内に、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して音響素子の対向方向が第1の傾斜角をもつように第1の組の音響素子を配置して第1の上記フィードバック回路を形成するとともに、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して音響素子の対向方向が第2の傾斜角をもつように、上記第1の組の音響素子とは別の第2の組の音響素子を配置して第2の上記フィードバック回路を形成するのもよい。この場合は音響素子の数が増えることになるが、音響素子に指向性のよいものを用いて組間の干渉を抑制すれば2組同時にハウリングを発生させて改質ガスの流れの影響度が異なる2つの音速を同時に得ることができ、測定時間を短縮することができる。
【0051】
なお、上記各実施形態は、水素濃度を数値で得る構成としているが、上記ゼロクロス回路の出力信号が可聴域となるように設定して、あるいはゼロクロス回路の出力信号の高調波等が可聴域となるように設定して音色で水素濃度の高低を知る構成とするのもよい。
【0052】
また、上記各実施形態は燃料電池システムに付設したものを示したが、他の用途にも適用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のガス検出装置の構成図である。
【図2】上記ガス検出装置のCPUにおける制御内容を示すフローチャートである。
【図3】上記ガス検出装置の各部の作動状態を示すタイミングチャートである。
【図4】上記ガス検出装置におけるハウリング周波数と音速との関係を示すグラフである。
【図5】上記ガス検出装置における音速と改質ガス温度の関係を示すグラフである。
【図6】上記ガス検出装置における水素濃度と音速の関係を示すグラフである。
【図7】本発明の別のガス検出装置の構成図である。
【図8】上記ガス検出装置のCPUにおける制御内容を示すフローチャートである。
【図9】本発明のさらに別のガス検出装置の構成図である。
【符号の説明】
1 配管
2a,2b 音響素子
31,32 切り換えスイッチ
4 増幅回路
41 信号増幅器
42 ゼロクロス回路
43 電力増幅器
5 周波数計測手段
51 分周器
52 基準クロック発生器
53 AND回路
54 カウンタ
6,6A CPU(ガス濃度演算手段、周波数/音速変換手段、基準音速算出手段、流量算出手段)
6B CPU(ガス濃度演算手段)
Claims (3)
- 被測定ガス中の成分ガスの濃度を検出するガス検出装置であって、機械振動と電気振動との間で相互に変換自在な対をなす第1、第2の音響素子を、被測定ガスが流通する配管内に、被測定ガスを挟んで対向しかつ被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して音響素子の対向方向が傾斜角をもつように配置するとともに、マイクロフォンとして機能する一方の音響素子から出力された電気信号を増幅しスピーカとして機能する他方の音響素子に出力する増幅回路を設けて、上記他方の音響素子からの音波が上記一方の音響素子にフィードバックしハウリングを発生するフィードバック回路を形成し、かつ上記傾斜角が互いに異なる音響素子配置で上記フィードバック回路を2種類形成自在に構成して、ハウリング周波数を計測する周波数計測手段と、計測されたハウリング周波数に基づいて成分ガス濃度を演算するガス濃度演算手段と、計測されたハウリング周波数に基づいて成分ガスの流量を演算するガス流量演算手段を具備せしめ、
上記ガス濃度演算手段は、予め記憶されたハウリング周波数と音速の関係に基づいて計測されたハウリング周波数を音速に変換する周波数/音速変換手段と、一方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速と他方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速とに基づいて被測定ガスの流速が0のときの音速を算出する基準音速算出手段と、算出された音速を成分ガス濃度に変換する音速/ガス濃度変換手段とを具備し、
上記ガス流量演算手段は、上記一方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速と上記他方のフィードバック回路で計測されたハウリング周波数から変換された音速とに基づいて被測定ガスの流速を算出する流速算出手段と、上記流速および上記成分ガス濃度から成分ガスの流量を算出する流量算出手段とを具備することを特徴とするガス検出装置。 - 請求項1記載のガス検出装置において、上記増幅回路には、マイクロフォンとして機能する上記一方の音響素子から伝送された電気信号を二値化するゼロクロス回路を設けたガス検出装置。
- 請求項1または2いずれか記載のガス検出装置において、第1の音響素子を上記増幅回路の入力端と出力端とのいずれかと切り換え接続するとともに第2の音響素子を上記増幅回路の出力端と入力端とのいずれかと切り換え接続して第1の音響素子がマイクロフォンとして機能し第2の音響素子がスピーカとして機能する第1の設定状態と、第1の音響素子がスピーカとして機能し第2の音響素子がマイクロフォンとして機能する第2の設定状態とのいずれかを選択自在な切り換えスイッチを具備せしめて、上記傾斜角を、被測定ガスの流通方向と直交する方向に対して上記音響素子の対向方向が実質的に被成分ガスの上流側方向と下流側方向とに切り換わるようにしたガス検出装置。
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