JP3917171B2 - 硬質組織に対する接着のための方法 - Google Patents

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Description

本発明は硬質組織に接着性を施すための方法に関する。本発明は更に、硬質組織に利用するための接着剤に関する。
背景技術
近年、硬質組織、例えばぞうげ質に対して結合する接着剤について歯科業界において感心が高まっている。歯科修復材の重合収縮によりかかる力は、インビボ臨床手順において、硬質表層に修復材を結合させるのに最少限の接着強度が所望されているであろうことを示唆する。例えば、M.Jensen, Polymerization Shrinkage and Microleakage International Symposium on Posterior Composite Resin Detal Restorative Materials, 243-44(1985)は、常用の複合材料に対する7.3MPaの収縮力を報告している。数多くの状況において、最少限の接着強度が達せられておらず、歯科修復材と腔壁との間の隙間を通じての、ぞうげ質と口腔との直接的な接合がもたらされている。このことはある程度、患者の感覚不満、並びに歯髄過敏及び炎症の原因となっている。TaoのThe relationship between dentin bond strengths and dentin permeability Dental Meterials,第5巻、133-39(1989)を参照のこと。
近年、本発明の譲受人の研究において新規の下塗り(プライミング)法が開発されており、そしてScotch Bond2(商標)光硬化歯科接着剤とScotchprep(商標)歯科プライマーとして市販されている(3Mより商業的に入手可能)。このプライミング法は20MPaを超えるインビトロでの平均剪断強度を達成せしめている。米国特許第4,719,149号(Aasenら)は、硬質組織(例えばぞうげ質)のプライミングにとって有用な酸及び水溶性フィルムフォーマーとしての発明を述べている。その酸はフェノールのpKa以下のそれを有する。その酸のカルシウム塩はフィルムフォーマーにおいて可溶性である。このフィルムフォーマーは、様々な一価及び二価のモノマーと、任意的に共溶媒(2−ヒドロキシエチルメタクリレート及び水が好適とされている)とを含んで成るものとして例示されている。
Kusumotoらの米国特許第4,535,102号は、(1)30〜700の酸性値を有し、且つ反復単位の中に、ポリマーに結合している2個のカルボキシル基又は1個の無水カルボン酸基を含んでいるポリマーと、(2)重合性ビニル化合物又は前記重合性ビニル化合物と有機チタネート化合物との混合物、とを含んで成る硬質組織用接着コーティング材を開示している。
Engelbrechtら、米国特許第4,806,381号は、重合性不飽和基及び酸性基の両者、それらの塩又はそれらの反応性誘導体基を含むオリゴマー又はプレポリマー有機化合物を開示している。それらの化合物は生体基体、例えば歯組織に付着する。
Beechら、米国特許第4,732,943号は、(a)ε−カプロラクトンとヒドロキシ基を含む1又は複数のアクリルモノマーとの縮合物、及び(b)ぞうげ質に結合することの可能な結合基を含むポリマー、を含んで成る接着剤を開示している。
従来技術におけるある主要な制約は、乾いていない硬質組織に対する付着の難しさにある。このことは、プライミング手順の際に乾いた歯表層を保つことを必要とし、これは現実には確実とすることが困難である。例えば、口腔はもとから湿っており、そして硬質組織は髄腔からの流体灌流を受け易い。歯表層のこの流体灌流の受け易さは、髄腔からの準備した表層の近さの関数であると信じられている。髄に近いほど、細管は互いに近接しており、そして深遠ぞうげ質の水含量は非常に高くなっている。Pashley, Dentin:A Dynamic Substrate Scanning Microscopy 第3巻、第1号、161-76(1989)を参照のこと。
更に、歯科材は硬化ぞうげ質及び頸部エナメル質に付着しにくい。硬化ぞうげ質は過剰鉱化ぞうげ質として特性化されており(即ち、ぞうげ質細管の中身が鉱化している)、そして透明から黄色又は黄茶色に至る着色を有する。
発明の概要
本発明は、硬質組織に直接適用する予備処置(プライマー)を供する。本発明は特に、硬化ぞうげ質又は頸部エナメルに接着性もしくはコーティングを施す、又は高湿環境の中での硬質組織に接着性もしくはコーティングを施すための用途を有している。このプライマーはぞうげ質(硬化ぞうげ質を含む)に対する非常に強力な結合の形成を可能とし、本明細書に記載の手順を利用して剪断試験したとき、30MPaほどの高い剪断強度を示す。今までの試験は、非常に耐久性な接着結合が示され、ほとんど、又は全く、検出可能な微漏出は得られていない。本発明のプライマーは、所望するならば水ベースであってよく、従って乾いたところにおいてそれらを適用しなければならない必要性が実質的に低められている。本発明のプライマーは高湿環境において、又は硬化ぞうげ質に結合せしめるときに非常によく働く。
本発明は一観点において、硬質組織に接着性又はコーティングを施すための方法を提供し、この方法は:
(a)この硬質組織に、接着に有効な量の、酸とポリマーを含んで成る水分散性フィルムフォーマーとを塗布し、そして
(b)前記フィルムフォーマーを硬化せしめる、
工程を含んで成る。尚、上記フィルムフォーマーが含むポリマーは少なくとも1,100の重量平均分子量を有するポリマーである。
本発明にとって「硬化せしめる」とは、単に予め用意したポリマーのその担体溶媒を乾かす又は単に予め溶融させておいた熱可塑性ポリマーを冷却するのではなく、共有又はイオン架橋したポリマーを形成することと定義する。
本発明はまた、かかる方法において用いるための新規のプライマー組成物も提供し、それは硬化工程前では、酸と、ポリマーを含んで成るフィルムフォーマーとを含んで成り、前記混合物は前記硬質組織上ではフィルムの形状となっている。
詳細な説明
本発明の実施において、付着されうる又はコートされうる硬質組織には、ヒト及び動物の組織、例えば歯(エナメル質、ぞうげ質及びセメント質である構成部を含む)、骨、爪及びひづめが含まれる。本発明は特に、ぞうげ質、硬化ぞうげ質、エナメル質及び頸部エナメル質に対する接着又はコーティングのための有用性を有する。
この酸及びフィルムフォーマーは同時に又は順次、硬質組織に適用できうる。もしそれらを順次適用するなら、所望するならばフィルムフォーマーの塗布前に酸を硬質組織からすすいでよく(例えば水すすぎを利用して)、又は中間のすすぎ工程抜きで酸にフィルムフォーマーを適用してよい。簡略のため、フィルムフォーマーを含んで成る配合物を、この同時又は順次塗布法を採用したか否かに関係なく「プライマー」として時折り呼ぶ。従って、酸及びフィルムフォーマーを硬質組織に同時に適用するとき、酸及びフィルムフォーマーをまとめて「プライマー」と時折り呼ぶ。酸及びフィルムフォーマーを硬質組織に順次適用するとき、酸が溶媒の中にあるなら、時折りそれを「エッチング剤」と呼び、そしてフィルムフォーマーを時折り「プライマー」と呼ぶ。
本発明の一方法においては、硬質組織の表層を改質せしめるため、且つ硬質組織の表層上に残留フィルムを残すため(そしてぞうげ質の場合、硬質組織との「ハイブリド層」を形成するため)、既に共溶媒の除去されている(例えば風乾により)硬質組織の上にプライマーを所望の時間にわたって放置し、その残留フィルムに追加のフィルムフォーマーの層をかぶせ(この追加のフィルムフォーマーは水溶性でも水不溶性でもよいが、しかしその残留フィルムと合わさったときに均質な溶液を好適に形成すべきである)、次いでこの追加のフィルムフォーマー及び残留フィルムを硬化せしめ、そして任意的に、複合品、修復材、ガラスイオノマーセメント、シール材又はその他の硬化性コーティング(以降、かかる複合品、修復材、ガラスイオノマーセメント、シール材及びその他の硬化性コーティングをまとめて「修復材」と呼ぶ)をかぶせる。本明細書で用いている「表層改質硬質組織」とは、本発明のプライマーに暴露せしめた硬質組織を意味する。本明細書で用いている「ハイブリド層」とは、このフィルムフォーマーのモノマー、オリゴマー及びポリマー、並びに追加のフィルムフォーマーで浸潤、且つ覆われているコラーゲンそしておそらくはヒドロキシアパタイトより成る樹脂補強ぞうげ質の層を意味する。従って、本発明は、適用されている修復材又はコーティングの結合強度又は耐久性を向上するための硬質組織のプライミングを可能にする。
本発明において利用されるための酸は無機又は有機酸であってよく、そして有機系ならば、モノマー、オリゴマー又はポリマーであってよい。所望するなら、酸の前駆体、例えば酸無水物、例えば4−メタクリルオキシエチルトリメリテート無水物(4−META)、酸ハライド(無機酸ハライド、例えばルイス酸、例えば塩化第二鉄、及び有機酸ハライド)、又はエステルを酸自体の代わりに用いて、例えばその場で所望の酸を作り上げてよい。適当な酸には鉱酸、カルボン酸、スルホン酸及びフェノールが含まれ、カルボン酸、アルキルスルホン酸、アリールスルホン酸及びホスホン酸が好適である。
この酸は、フェノールのpKa以下の水中でのそれを有する。好ましくは、この酸のpKaは約−20〜約+10、より好ましくは約−20〜約+5である。
酸は、フィルムフォーマーと同時に適用するとき、特に硬質組織及び関連の物品に対する所望の度合いの接着力を供するために、フィルムフォーマーの中に十分に可溶性であり、且つ十分な量(このフィルムフォーマーの中に存在している任意の共溶媒を含む)であるべきである。例えば、ぞうげ質上での接着力の度合いは、少なくとも7MPa、そしてより好ましくは少なくとも12MPaの平均測定剪断強度を供するのに十分であるべきである。好ましくは、ぞうげ質上での接着力の度合いは、湿った環境の中で(即ち、約90%を超える相対湿度を有する室温の高湿チャンバーの中で試験して)少なくとも5MPa、より好ましくは少なくとも7MPa、そして最も好ましくは少なくとも12MPaの平均測定剪断強度を供するのに十分である。
好ましくは、この酸のカルシウム塩はフィルムフォーマー(このフィルムフォーマーの中に存在している全ての任意の共溶媒を含む)又はエッチング溶液(例えば、酸をフィルムフォーマーと順次に適用するとき)の中でも可溶性である。不溶性カルシウム塩を有する酸も本発明のプライマーの中に用いてよい。例えば、酸及びフィルムフォーマーを順次適用するとき、この酸は、任意の共溶媒;次に適用するフィルムフォーマー(このフィルムフォーマーの中に存在している任意の共溶媒を含む);又はその両者の中で不溶性である不溶性カルシウム塩を形成しうる。しかしながら、フィルムフォーマーの塗布前にこれらの塩は硬質組織からすすいでよくこれによりその接着力に悪影響を及ぼすことがない。
ここで用いている「可溶性」酸又は酸のカルシウム塩は、所望の使用条件のもとでフィルムフォーマー(そのフィルムフォーマーの中に存在している任意の共溶媒を含む)と混ぜ合わせたときに、均質な液体混合物を形成するように溶解する酸又は塩である。かかる使用条件には、温度(例えば体温)、時間(例えば「放置時間」、即ち、フィルムフォーマーの硬化までに硬質組織の表層上にプライマーを定着させつづける時間)、及び濃度(例えば、酸の、及びカルシウム含有硬質組織、例えば歯又は骨にプライマーを適用したときにこのフィルムフォーマーの中で形成されうるカルシウム塩の濃度)が含まれる。他方、酸及びフィルムフォーマーを順次適用するとき、ここで用いる「可溶性」酸又はカルシウム塩は、所望の使用条件のもとで任意の共溶媒と混ぜ合わせたときに、均質な液体混合物を形成するように溶解する酸又は塩である。
この酸は液体でも固体でもよい。固体なら、硬質組織をその酸が濡らすことができるために適当な溶媒の中で溶けるべきである。液状の酸も、例えば濡れを助長するために適当な溶媒の中に溶けることができる。酸にとって好適な溶媒は、下記により詳しく説明するフィルムフォーマー共溶媒である。
適当な無機酸には、HBr, HCl及びHNO3が含まれる。適当な有機酸には、酢酸、α−クロロプロピオン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アクリル酸、ベンゼンスルホン酸、安息香酸、ブロモ酢酸、10−カンホルキノンスルホン酸、10−カンホルスルホン酸、クロロ酢酸、シトラコン酸、クエン酸、ジブロモ酢酸、ジクロロ酢酸、1,2,4,5ベンゼンテトラカルボン酸のジ−ヘマエステル、2,4−ジニトロフェノール、ギ酸、フマル酸、2−ヒドロキシ−4−メトキシベンゾフェノン−5−スルホン酸、マレイン酸、メタクリル酸、2−ナフタレンスルホン酸、硝酸、シュウ酸、p−ニトロフェノール、フェノール、リン酸、亜リン酸エステル(例えば2,2′−ビス(a−メタクリルオキシ−b−ヒドロキシプロポキシフェニル)プロパンジホスホネート(Bis-GMA-ジホスホネート)、ジブチルホスフィット、ジ−2−エチル−ヘキシルホスフェート、ジ−2−エチル−ヘキシルホスフィット、ヒドロキシエチルメタクリレートモノホスフェート、グリセリルジメタクリレートホスフェート、グリセリン−2−ホスフェート、グリセリルリン酸、メタクリルオキシエチルホスフェート、ペンタエリスリトールトリアクリレートモノホスフェート、ペンタエリスリトールトリメタクリレートモノホスフェート、ジペンタエリスリトールペンタアクリレートモノホスフェート及びジペンタエリスリトールペンタメタクリレートモノホスフェート)、ピバル酸、プロピオン酸、硫酸、トルエンスルホン酸、トリブロモ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、トリフルオロメタンスルホン酸及びトリヒドロキシ安息香酸が含まれる。かかる酸の混合物も所望するなら利用できうる。
酸及びフィルムフォーマーを同時に適用するとき、フィルムフォーマーの中に溶けるべき酸の好適な量は約0.001Mからその溶解度の限界値との間にあるであろう。その最適量は酸のpKaにある程度存在する。例えば、スルホン酸に関しては、約0.01M〜約0.5Mの濃度が好適である。酸及びフィルムフォーマーを順次適用するとき、共溶媒の中で溶けるべき酸の好適な量は約0.001Mからその溶解度の限界値との間にあるであろう。その最適量は酸のpKaにある程度依存する。
このフィルムフォーマーは水分散性物質又は水分散性物質混合物であり、かかる物質は有機モノマー、オリゴマー、ポリマー又は共溶媒であり、ここでこのフィルムフォーマーは硬化工程の前に少なくとも一ポリマーを含んでおり、そして硬質組織の表層上に硬化性(例えば重合性)連続又は半連続フィルムを形成できる。ここで用いている「水分散性」フィルムフォーマーは水分散性を有しているか、又はより好ましくは少なくとも約5重量%の水溶解度(このフィルムフォームの中に存在しうる全ての水を除く)を有する。最も好ましくは、このフィルムフォーマーは全ての比率において水と混合できうる。簡略のため、分散性と可溶性はまとめて分散性と時折り呼ぶ。本明細書で用いている「溶解度」とは、物質が溶液、即ち、真性溶液又はコロイド溶液のいづれかを形成する能力を意味する。真性溶液は、1又は複数の物質(溶媒)中で1又は複数の物質(溶質)の分子又はイオンレベルで均質に分散した混合物である。溶液のうちのこのような二つの部分を相と呼んでいる。コロイド分散体はよく溶液と呼ばれている。コロイド粒子はその分子よりも大きいため、かかる分散体を溶液と呼ぶのは厳密には不適切である。しかしながら、この用語は論文の中で広く利用されている。本明細書で用いている「分散性」とは、物質の、分散体、即ち二相系を形成できる能力を意味し、ここで一相はバルク物質にわたって分布した細く分割された粒子(通常はコロイドサイズ範囲にある)より成り、その粒子は分散又は内部相となっており、そしてバルク物質は連続又は外部相となっている。
好適なフィルムフォーマーは、それを水分散性にするのに十分な数の水分散性基、例えばヒドロキシル基、カルボキシル基、スルホン酸基、カチオン塩(例えばアンモニウム、ホスホニウム又はスルホニウム基)、アミド結合又はポリエーテル結合を有する1又は複数の物質を含む。このフィルムフォーマーは、全ての揮発成分の除去前に、好ましくは硬質組織を濡らし、そして最も好ましくは、その組織の表層に既に存在している隙間又はこの酸の作用によってその中に作り上げられた隙間の中にそれが流入できるのに十分なる低い粘度を有している。全ての揮発成分の除去後、このフィルムフォーマーは、ぞうげ質流体又はその他の外生液体により置換に耐えることのできるのに十分なる高い粘度を有することが好ましい。フィルムフォーマーの硬化を補助するのに、それは好ましくは1又は複数種の重合性物質を含む。付加重合性物質(例えばビニル化合物、例えばアクリレート及びメタクリレート)が特に好ましい。このフィルムフォーマーはフィルムフォーマーの硬化に役立つ適当な重合触媒も含みうる(例えば光開始剤)。
フィルムフォーマー中の適当なポリマー成分には、硬化工程の前に形成された線形、枝分れ又は環式ポリマーが含まれる。本発明の目的のため、ポリマーは少なくとも2個の反復単位を有する化学化合物である。それらはエチレン系不飽和モノマーのポリマーであるか、又はそれらはポリマー化合物、例えばポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメタクリレート及びジアクリレート、多糖類、セルロース、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(メチルメタクリレート)、フェノール−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド及びウレア−ホルムアルデヒドでありうる。かかるポリマーの混合物を所望するならば使用してよい。
好適なポリマーは、エチレン系不飽和モノマーのポリマーである。これらのポリマーはホモ−でもコ−ポリマーでもよく、そして親水性又は疎水性基を含みうる。このポリマーは任意的に酸性基、その塩、又はその反応性誘導基を含みうる。特に好適なポリマーは、このフィルムフォーマー、オーバーコート樹脂(即ち、追加のフィルムフォーマー)又は歯科修復材のその他の成分と更に反応する(即ち、架橋又は共重合する)反応性基を含む。付加重合性反応基(例えばビニル基、例えばアクリレート及びメタクリレート)が特に好ましい。エチレン系不飽和モノマーのポリマーはしばしば歯科ガラスイオノマーセメントに用いられている。これらのポリマーが本発明において特に有用であり、なぜならそれらは一般に良好な生体適合性を有し、水の中で分散性であり、そして適度な分子量を有するからである。特に好適なポリマーは、硬質組織に対して親和性を有する官能基を含む。例えば、かかる基にはβ−ジカルボニル基及びカルボン酸基が含まれる。イオノマーセメントのポリマー成分はしばしばアクリル酸とイタコン酸とのコポリマーであるが、その他のモノマーも組込まれていてよく、そして本明細書ではポリアルケノン酸と呼ぶ。一般的には、Prosserら、Developments in Ionic Polymers-1、第5章、Applied Science Publishers(London and New York, 1983)を参照のこと。近年、かかるポリマーは本発明の譲受人の研究室の中で、上記の追加重合性反応基の一体化により更に改質されている。その製法は欧州特許出願第0,323,120号及び米国特許第5,130,347号に記載されている。
本発明の適当なポリマー化合物は、硬化前に約500以上の重量平均分子量を有するが、しかし2,000,000を超えていないことが好ましい。より好ましくは、本発明のポリマー化合物は硬化前に、ゲル浸透クロマトグラフィーを用いてポリスチレン標準品に対して評価して、約1,000〜1,000,000の重量平均分子量を有する。最も好ましくは、本発明のポリマー化合物は、硬化前に約5,000〜200,000の重量平均分子量を有する。
フィルムフォーマー中の適当なモノマー成分には、2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート(「HEMA」)、2−及び3−ヒドロキシプロピルアクリレート及びメタクリレート、1,3−及び2,3−ジヒドロキシプロピルアクリレート及びメタクリレート、2−ヒドロキシプロピル−1,3−ジアクリレート及びジメタクリレート、3−ヒドロキシプロピル−1,2−ジアクリレート及びジメタクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート及びジメタクリレート、アクリル酸、メタクリル酸、2−トリメチルアンモニウムエチルメタクリルクロリド、2−アクリルアミド−2−メチルプロパン−スルホン酸、アクリルアミド、メタクリルアミド、2−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びメタクリルアミド、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アクリルアミド及びメタクリルアミド、N−アルキル−N−ヒドロキシエチルアクリルアミド及びメタクリルアミド、2−及び3−ヒドロキシプロピルアクリルアミド及びメタクリルアミド、メタクリルアミドプロピルトリメチルアンモニウムクロリド、ポリエチレングリコール(400)ジアクリレート及びジメタクリレート、グリセロールジメタクリレート及びジアクリレート、グリセロールモノメタクリレート及びモノアクリレート、ペンタエリストリトールトリメタクリレート及びトリアクリレート、並びにそれらの混合物が含まれる。アクリレートモノマーが適当であると、メタクリレート類似物も同様に適当であると予測されうる。
フィルムフォーマーは好ましくは1又は数種の適当な共溶媒を含んで成る。共溶媒は硬質組織を濡らすのに、及び物質を溶解又は分散せしめるのに役立つ。適当な共溶媒には水、アルコール類、例えばメタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール及び2−メチル−2−プロパノール、ケトン、例えばアセトン及びメチルエチルケトン、アルデヒド類、例えばホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、アクロレイン、グルタルアルデヒド及び2−ヒドロキシ−アジプアルデヒド、アミド類、例えばアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミド、並びにその他の物質、例えばテトラヒドロフラン及びジメチルスルホキシドが含まれる。このフィルムフォーマーは好ましくは約95重量%未満の共溶媒、より好ましくは約15〜約85重量%の共溶媒を含む。
このプライマーは酸とフィルムフォーマーのみを含んでよい。その他の補助剤、例えば重合触媒、医薬品、フッ化化合物、指標剤、色素、湿潤剤、緩衝剤、チキソトロープ等をプライマーの中に、所望の度合いの結合性能の達成及び所望の硬質組織上での利用にとっての適切さを前提として含ませてよい。
プライマーを塗布すべき硬質組織はまず常法を利用して洗い(例えばそれをバーで磨く)、すすぎ(例えば水を用いて)、次いで乾かす(例えばエアーを利用して)。所望するなら、常用のベーシング材(例えば水酸化カルシウム又はガラスイオノマーセメント)で歯の中の深遠窩を被覆する。
酸及びフィルムフォーマーを硬質組織の表層上に、所望の度合いのプライミングが供されるのに十分な長さにわたって放置すべきである。この放置時間は採用した特定の酸及びフィルムフォーマー、酸及びフィルムフォーマーの同時又は順次塗布のいづれを採用したか、硬質組織のタイプ及びその使用目的、並びにプライミング手順を実施するのに有用な時間に依存するであろう。ぞうげ質及びエナメルのプライミングにとっては、約5分以内、そして好ましくは約5秒から1分間の放置時間が非常に有効なプライミングを供するであろうが、しかしながらより短め又は長めの時間を所望するなら利用してよい。
前述した通り、このプライマーに好ましくは追加の水分散性又は水非分散性フィルムフォーマーの任意層をかぶせ、次いで硬化せしめる。好ましくは、かかる追加のフィルムフォーマーは、プライマーからの揮発性共溶媒の除去により形成された残留フィルムと共重合性であり、そして残留フィルム及び追加のフィルムフォーマーを硬化せしめることのできる重合触媒(好ましくは光開始剤)を含む。所望するなら、この追加のフィルムフォーマーは常用の充填材を含んでよく、そして上記のタイプの補助剤も含んでよい。特に好ましい追加のフィルムフォーマーは、(1)メタクリル酸とビスフェノールAのジグリシジルエーテルとの反応に由来するジメタクリレート(「Bis-GMA」)と、(2)親水性モノマー、例えばHEMA、ヒドロキシプロピルメタクリレート又はメタクリル酸とを組合せることによって獲得できる。追加のフィルムフォーマーに利用するのに適当なモノマーには、上記のモノマー、並びにテトラヒドロフルフラルメタクリレート、グリセリル−1,3−ジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、エチルメタクリレート、n−ヘキシルメタクリレート、ポリエチレングリコールジメタクリレート(「PEGDMA」)及び1,6−ヘキサンジオールジメタクリレートが含まれる。任意的に、追加のフィルムフォーマーは上記のタイプのポリマーを含みうる。追加のフィルムフォーマーは上記のタイプの共溶媒も含みうる。
プライマー又は追加のフィルムフォーマーの中に含ませてよい重合触媒には、米国特許第4,539,382号の第28及び29欄に記載されているが如きの自己硬化もしくは光硬化触媒(即ち、化学線、例えば可視光に感受性である触媒)、米国特許第3,954,475号に示されているが如きの発色団−置換化ハロメチル−S−トリアジン、米国特許第4,212,970号に示されているが如きの発色団置換化ハロメチル−オキサジオゾール、及び欧州特許出願第0,290,133号に開示されているが如きのアリールヨードニウム塩である。
前にも述べた通り、このプライマー及び任意の追加フィルムフォーマーには常用の修復材又はコーティングがかぶせられていることが好ましい。硬質組織は常用の技術を利用して仕上げてよい。例えば、歯組織上で、プライマーに歯科接着剤、歯科イオノマーセメント及び/又は歯科修復材をかぶせてよく、従って、例えば歯の修復に、クラウン、ブリッジワークもしくはその他の補てつの装着に、矯正歯科プラケットをエナメルに結合せしめるのに、小窩及び溝をふさぐのに、又はぞうげ質、セメント質もしくはエナメルを被覆するのに利用できる。骨及びひづめ上で、プライマーは常用の充填又は未充填骨セメント(例えばメチルメタクリレートベースセメント)と一緒に利用して骨折を修復又は欠陥部を充填することができる。爪上で、プライマーは常用の重合性爪コーティングと一緒に利用して、爪を強化する、その形状、色もしくは滑らかさを変質させる、又はそれに人工爪をつなぐことができる。
本発明の接着剤は口の多湿環境の中で利用するのに特によく適している。口の中で出くわす湿度の値は、呼吸発散物、ぞうげ質細管を介する流体灌流、及び歯科医による外生流体のコントロールの無きの如きの要因に依存して幅広く変動しうる。上記の要因のいづれかがあるなら、硬質組織は高湿環境の中にあると考えられる。驚くべきことに、歯科硬質組織上の修復上の高い接着剪断強度が、組織を高い湿度への暴露から守る特別な工程をとる必要性抜きで達成されうる。インビトロ比較の目的のため、結合強度試験は、約90%以上の相対湿度を有する室温高湿チャンバーの中で比較するのが好ましい。
接着強度試験法
本発明のプライマーのぞうげ質又はエナメルに対する接着力を下記の通りに評価した:
第一に、同程度の年齢及び外観の歯(何らかの記載のない限り、通常は5本の牛歯)を円形アクリルディスクの中に部分的に包埋した。各歯の露出部を、宝石細工ホイール上に載っているグレード120炭化珪素紙補強研磨材を用いて、平ら、且つアクリルディスクに平行に研磨して、ぞうげ質又はエナメルを露出させた。この並びにその後の研磨及びみがき工程の際、歯は水で常にすすいでおいた。歯の更なる研磨及びみがきを、宝石細工用ホイール上のグレード320炭化珪素紙補強研磨材、次いでグレード600炭化珪素紙補強研磨材で実施した。みがいた歯を蒸留水の中で保存し、そしてみがいてから2時間以内に試験のために用いた。みがいた歯を水から取出し、そして圧縮エアー流を用いて乾かした。
次に、この準備した歯の表層にプライマー組成物を、下記の手順のいづれかに記載の通りに塗布した:
塗布手順I−1滴のプライマー組成物(様々な量の酸及びフィルムフォーマーを含む)をみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、そして30〜60秒放置した。次にそのプライマーに圧縮エアーを吹き付け、そして「Visilux(商標)2」歯科硬化ライト(3Mより市販)での20秒間の照射を利用して硬化せしめた。
塗布手順II−1滴のプライマー組成物(様々な量の酸及びフィルムフォーマーを含む)をみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、30〜60秒放置し、そして圧縮エアーを吹き付けた。追加の水分散性又は水非分散性フィルムフォーマーのオーバーコートを塗布し、慎重にエアーで薄くし、そしてVisilux 2歯科硬化ライトでの20秒間の照射を利用して硬化せしめた。
塗布手順III−エッチング剤をみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、15秒放置し、そして圧縮エアーを吹き付けた。1滴プライマー組成物(様々な量の酸及びフィルムフォーマーを含む)をこのみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、そして直ちに圧縮エアーを吹き付けて乾かした。追加の水分散性又は水非分散性フィルムフォーマーの薄層オーバーコートをこの歯の表層それぞれの上に塗り、慎重にエアーで薄くし、そしてVisilux 2歯科硬化ライトでの10秒間の照射を利用して硬化せしめた。
塗布手順IV−エッチング剤をみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、(何らかのことわりのない限り)15秒間放置し、蒸留水ですすぎ、次いで圧縮エアーを吹き付けて乾かした。1滴のプライマー組成物(様々な量の酸及びフィルムフォーマーを含む)をこのみがいた歯の表層それぞれの上に塗り、次いで直ちに圧縮エアーで吹き付け乾燥した。追加の水分散性又は水非分散性フィルムフォーマーの薄いオーバーコートを歯の表層それぞれの上に塗り、慎重にエアーで薄くし、そしてVisilux 2歯科硬化ライトでの10秒の照射を利用して硬化させた。
塗布手順V−高湿チャンバーの中で(25℃の温度及び90%を超える相対湿度を有する)、みがいた歯の表層それぞれの上にエッチング剤をブラッシで塗り、(何らかのことわりのない限り)15秒間放置し、蒸留水ですすぎ、次いで圧縮エアーで吹き付け乾燥した。1滴のプライマー組成物(様々な量の酸及びフィルムフォーマーを含む)をみがいた歯の表層それぞれの上にブラッシで塗り、そして直ちに圧縮エアーを吹き付けた。追加の水分散性又は水非分散性フィルムフォーマーの薄いオーバーコートを歯の表層それぞれの上に塗り、慎重にエアーで薄くし、そしてVisilux 2歯科硬化ライトでの10秒間の照射を利用して硬化した。
直径4mmの穴のあいている厚さ2mmの「テフロン」シートより成る予め用意しておいたモルドを、準備しておいた歯それぞれに、このモルドにおける穴の中心軸が歯の表層に対して垂直となるようにしてクランプした。各モルドの中の穴に可視光硬化性歯科修復材(典型的には、「P−50(商標)」ブランド万能シェード修復材;3Mより入手可能)を充填し、そして20秒の照射を利用して硬化させた。修復材の選定は、一定の接着系に関して得られる結合強度値に影響しうることと信じられている。例えば本発明のある接着系は、修復材−接着剤界面又は修復材内では達し得ないが、接着剤−硬質組織界面では達し得ると信じられている、硬質組織に対する非常に強い結合を供する。より強めの強度の修復材は、これらの接着系について測定される結合強度を高めうる。従って、可能な限り類似の修復材系を用いて、種々の接着系間の比較をすべきである。歯及びモルドを室温で約5分放置し、次いで何らかのことわりのない限り37℃の蒸留水の中に24時間保存した。そのモルドを歯から慎重に取外し、各歯に付着している修復材の成形ボタンが残った。
接着強度は、このアクリルディスクを「Instron」装置のジョーにクランプされたホルダーの中に、みがいた歯の表層を引っ張り方向に対して平行に配向して装着することにより評価した。歯科矯正用ワイヤーのループ(径0.44mm)を、このみがいた歯の表層に接している修復ボタンのまわりにかけた。歯科矯正用ワイヤーの先端をInstron装置の引っ張りジョーにクランプし、これによってその結合部に剪断応力を付した。その結合部に、2mm/minのクロスヘッドスピードを利用してそれ(又はぞうげ質もしくはボタン)が外れるまで応力をかけた。
下記の例は本発明の理解を助けるうえで提供し、その範囲を限定するものではない。何らかのことわりのない限り、全ての部及びパーセンテージは重量である。
例 1
上記の接着強度試験法及び塗布手順Iを利用して、いくつかのプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。プライマーは表1に挙げている様々なポリマー、モノマー及び任意のマレイン酸の水性溶液から作った。下記の表1に示しているのは、実験番号、成分、及びエナメル又はぞうげ質上での平均剪断強度(MPa)である。本例及び下記の例における各実験についてのサンプル数(n)は何らかのことわりのない限り5とした。
Figure 0003917171
Figure 0003917171
上記のデーターは、様々なプライマーを硬質組織に対する一滴塗布で適用したときにぞうげ質又はエナメルに対する接着力が得られたことを示している。上記の実験は全てポリマー、モノマー及び水を含んでいた。実験2,3,4及び5はマレイン酸を更に含んでいた。
例 2
上記の接着強度試験法及び塗布手順Iを利用して、いくつかのプライマー組成物のエナメル上での平均剪断強度を評価した。これらのプライマーは、表2に示している様々なポリマー、HEMA及びマレイン酸の水性溶液から配合した。各プライマーは更に0.005部のCPQを含む。本例において用いたポリマーは、VBP, MOSTOL及びTMDIを反応させることにより調製した。69部のテトラヒドロフラン(「THF」)及び6.0部のMOSTOLの溶液を、44.4部のTHF、1.32部のTMDI及び0.5部のジブチルスズジラウレート(「DBTDL」)の溶液にゆっくり加え、そしてドライエアー雰囲気で40℃で18時間熱した。4種のポリマー配合物を、上記の溶液をVBPポリマーと反応させることにより調製した。「3%」のトリアジン官能化ポリマー(即ち、最終ポリマーの約3重量%がトリアジン成分により占められている)を、0.75部のトリアジン(即ち、TMDI成分又は溶媒に寄与する重量は考慮していない)を25部のVBPポリマーにゆっくりと加えることにより調製した。この反応を、DBTDL触媒及びドライエアー雰囲気を伴って40℃で18時間行った。得られるポリマーをエチルアセテートの中で沈殿させ、そして真空オーブンの中で乾かして溶媒を除いた。同様に、トリアジン及びVBPの理論量を変えて、6%、9%及び12%のトリアジン官能化ポリマーを作った。下記の表2に示しているのは実験番号、成分、及びエナメルに対する平均剪断強度である。
Figure 0003917171
例 3
上記の接着強度試験法及び塗布手順IIを利用して、いくつかのプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。これらのプライマーは、表3に示しているVBPポリマー、HEMA及びマレイン酸の水性溶液から配合した。追加のフィルムフォーマーは、61.9部のBis-GMA, 37.1部のHEMA, 0.25部のCPQ, 0.25部のジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート(「DPIHFP」)及び0.50部のエチル4−ジメチルアミノベンゾエート(「EDMAB」)を含んで成る。下記の表3に示しているのは、実験番号、成分、並びにエナメル及びぞうげ質上でのMPaでの平均剪断強度である。
Figure 0003917171
実験8の別の検体を調製し、そして37℃の蒸留水の中で保存した。7日、1ヶ月及び3ヶ月の時間間隔で、検体を水から取り出して上記の通りに試験した。各時でのぞうげ質及びエナメルに対する平均剪断強度を下記の表4に示す。
Figure 0003917171
上記のデーター(表3及び4)は、様々なプライマーを、硬質組織に一滴塗布し、次いで追加のフィルムフォーマーをオーバーコートすることを介して利用したときに、ぞうげ質及びエナメルに対する接着性が得られることを示している。
例 4
上記の接着強度試験法及び塗布手順IIIを利用して、プライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。エッチング剤は8部のマレイン酸及び92部の水を含んで成る;プライマー溶液は、13.3部のVBPポリマー、39.8部のHEMA及び46.9部の水を含む;そして追加のフィルムフォーマーは61.9部のBis-GMA, 37.1部のHEMA, 0.25部のCPQ, 0.25部のDPIHFP及び0.50部のEDMABを含む。エナメル及びぞうげ質上での平均剪断強度はそれぞれ27.7MPa及び16.8MPaであった。
例 5及び6
上記の接着強度試験法及び塗布手順IVを利用して、2種類のプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。例5のエッチング剤、プライマー及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。例6のプライマー及び追加のオーバーコートフィルムフォーマーは例4と同一であるが、例6のエッチング剤は、35部のリン酸、5.5部のCabosil(Degussaより入手可能)、0.1部のメチレンブルー及び59.4部の水を含むリン酸エッチングゲルとした。例3と同様に、検体を、最大1ヶ月の期間にわたり37℃の水の中で保存した後に試験した。
結果を、保存時間の関数として表5に示す。
Figure 0003917171
表5のデーターは、マレイン酸又はリン酸のいづれかを含むプライマーを用いて、非常に優れた平均剪断強度が達せられうることを示している。ぞうげ質及びエナメルの両者に対する平均剪断強度は長期間にわたって耐久、且つ安定であった。
例 7
硬化ぞうげ質に対する接着力
硬化ぞうげ質に対する結合能力は、現状の有用な接着系が欠いている重要な特徴である。本例において、硬化症として特定されている10本のヒトぞうげ質検体を、上記に概略した接着強度試験及び塗布手順IVを利用して処理した。エッチング剤、プライマー及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。硬化ぞうげ質に対する平均接着力の値は17.3MPaであり、他方、Scotchbond(商標)2のコントロール接着剤(3Mより商業的に入手可能)は3MPa未満の平均剪断強度を供した。
例 8
分子量の変動の効果
本例においては、様々な分子量の一連のポリエチレングリコールポリマー(「PEG」)をイタコン酸無水物、コハク酸無水物又は2−イソシアナトエチルメタクリレート(「IEM」)で「エンドキャップ」に付した。PEGは下記の式で表わせる:
H(−O−CH2−CH2)j−OH
(式中の、この一連のPEGポリマー(及びそのエンドキャップ誘導体)についてjの値は表6に示している)。エンドキャップポリマーの製造は、1当量のポリマーに対する2当量のエンドキャッピング剤の理論反応を包括している。イタコン酸無水物又はコハク酸無水物をPEG分子に、原液(即ち、溶媒抜き)として成分を90℃で熱することによって付加した。その反応を核磁気共鳴により、出発材料の消失までモニターし、その時間で加熱を止めた。IEMはPEG分子に、0.4%のジブチルスズジラウレート触媒を含む塩化メチレン溶液の中でその成分を90℃で30分反応させることによって付加した。溶媒はロータリーエバポレーター装置を利用するエバポレーションにより除去した。
上記の接着強度試験法及び塗布手順IVを利用して、様々なプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での剪断強度を評価した。エッチング剤、及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。プライマーは、10部の表示のポリマー(表6に記載)、40部のHEMA及び50部の水を含んで成る。表6はエナメル及びぞうげ質上での平均剪断強度を示す。
Figure 0003917171
例 9
高湿環境の中での接着
本例は、厳しい高湿条件(即ち、相対湿度(「RH」)>90%)のもとでのぞうげ質に対する本発明の組成物の結合能力を実証する。上記の接着強度試験法及び塗布手順Vを利用して、様々なプライマー組成物のぞうげ質上での平均剪断強度を評価した。エッチング剤及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。実験2−9についてのプライマーは10部の表示のポリマー(表7に記載)、40部のHEMA及び50部の水を含む。実験10−12についてのプライマーは13.3部のポリマー、39.8部のHEMA及び46.9部の水を含む。コントロールとして含ませている実験1のプライマーは、2.5部のマレイン酸、58.5部のHEMA及び39.0部の水より成り、そしてポリマーを含まない。
Figure 0003917171
例 10
プライマー中のポリマー組成物の効果
本例は、厳しい高湿条件(「RH」)>90%)のもとでのぞうげ質に対する本発明の組成物の結合能力を実証する。上記の接着強度試験法及び塗布手順Vを利用して、様々なプライマー組成物のぞうげ質に対する平均剪断強度を評価した。エッチング剤、及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。このプライマーの組成を表8に示し、そして0%(実験#1)〜50%(実験#9)にポリマーの量を変える効果を示している。表8に報告されている接着値から明らかな通り、微量のポリマーでさえも高湿環境の中での性能を劇的に向上せしめる。
Figure 0003917171
例 11
上記の接着強度試験法及び塗布手順IVを利用して、プライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を放置時間及び酸のタイプの関数として評価した。エッチング剤は、表9に示す通りに水中のマレイン酸又はリン酸のいづれかを含む。このプライマー及び追加のフィルムフォーマーは例4に用いたものと同じである。表9は各実験についての水性エッチング剤中の酸の濃度、並びにエナメル及びぞうげ質に対する得られた平均剪断強度を示している。
Figure 0003917171
例 12
競合のぞうげ質接着剤の比較
本例は、厳しい高湿条件(「RH」)>90%)のもとでの、ぞうげ質に対する本発明の組成物及びいくつかの市販のぞうげ質接着剤の結合能力を比較する。上記の接着強度試験法及び塗布手順Vを利用して、例9の実験2の組成物のぞうげ質上での平均剪断強度を、5つの市販のぞうげ質接着系と比較した。商品は、それぞれの製造者の推奨に従い、準備しておいたぞうげ質に塗布した。
Figure 0003917171
上記の市販の歯科接着系を、それぞれのプライマー成分に10,20又は30%のVBPを加えることによって改質もさせた。この改質商品を次に上記の接着強度試験法及び塗布手順Vを利用して高湿条件のもとで試験した。表10(b)は得られたぞうげ質に対する接着力及びプライマーに加えたVBPの%を示している。この改質製品をそれぞれの製造者による推奨に従い、準備しておいたぞうげ質に塗布した。
Figure 0003917171
例 13
上記の接着強度試験法及び塗布手順Iを利用して、いくつかのプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。「トリキュア(tricure)」イオノマー組成物をP−50(商標)修復材の代わりにプライマーの上に載せた。このトリキュアイオノマーは、下記の粉末と液体とを2.2:1の比で混合することにより調製した。液体は下記の表11に示す成分を混合することにより調製した。
Figure 0003917171
この粉末はガラス及び2種類の異なる顆粒マイクロカプセルを含む。このガラスは、下記の表12に示す成分をまず混合することにより調製される。その成分を次にアーク炉の中で約1350−1450℃で融解させ、炉から薄いストリームの中に注ぎ入れ、そして低温ローラーを用いて冷やし、アモルファスな単相フルオロアルミノシリケートガラスを供した。
Figure 0003917171
ガラスをボールミルに付して、Brunauer, Emmet及びTeller(「BET」)法を用いて測定して3.0m2/gの表面積を有する微粉砕フリットを供した。4部の「A−174」ガンマーメタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン(Union Carbide Corp.)、0.44部の氷酢酸、25部のメタノール及び25部の水を室温で15分混合し、シラノール含有溶液を作った。100部の上記の調製ガラスをこのシラノール処理用溶液と合わせ、室温で1.5時間かけてスラリー化し、45℃で一夜乾かし、そして74μmのメッシュスクリーンで篩った。
顆粒アスコルビン酸含有球状マイクロカプセルを、47.62部の水の中の2.38部のアスコルビン酸を、エチルアセテート中の1%のセルロースアセテートブチレート溶液366部と混ぜることによって作った。その混合物を、氷水浴の中に槽を浸し、そして700rpmで攪拌することにより4℃に維持した。267部の氷冷n−ヘキサンを30分かけて溶液に加えた。顆粒沈殿物を濾過し、氷冷n−ヘキサンで洗い、真空で乾かし、次いで電気ミルで解離させた。同様に、過硫酸カリウム含有球状マイクロカプセルを、アスコルビン酸をK2S2O8に置換することにより調製した。
トリキュア粉末は、100部のシラノール処理ガラス、0.55部のアスコルビン酸マイクロカプセル及び0.1部のK2S2O8マイクロカプセルを1時間一緒に混練することにより調製した。
プライマーを、表13に示している様々なポリマー、HEMA及び任意のマレイン酸の水性溶液から作った。下記の表13に示しているのは、実験番号、成分、及びエナメル又はぞうげ質上での平均剪断強度値(MPa)である。
Figure 0003917171
コントロール実験として、イオノマーセメントを硬質組織に直接塗布した(即ち、プライマー溶液は使用しなかった)。エナメル又はぞうげ質上での平均剪断強度は、これらの検体それぞれについて6.22及び4.49MPaしかなかった。実験5−7は比較例として提供した。
例 14
上記の接着強度試験及び塗布手順Iを利用して、いくつかのプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度を評価した。これらのプライマーは、10部のVBP, 54部の水及び表14に記載の36部のモノマーを含む。例13に記載のイオノマー組成物をP−50修復材の代りにプライマーの上に載せた。
Figure 0003917171
実験1の5つの更なるサンプルを、その検体を8℃と57℃との600サイクルにわたる熱サイクルに付した後に試験した。これらの検体に関する平均剪断強度は12.7MPaであった。
上記のデーターは、プライマーの中に様々なモノマーを用いたときにぞうげ質に対する接着が得られることを示した。結合強度は優れ、そして熱サイクルストレスに暴露しても安定であった。
例 15
コポリマーを、欧州公開特許出願第0,323,120号のEXAMPLE 3に記載の通りに28.8部のアクリル酸と13.0部のイタコン酸とを共重合させることによって調製した。別のフラスコの中に、22.2部のイソホロンジイソシアネート、22.15部のTHF, 0.05部のBHT及び0.2部のDBTDLを加えた。このフラスコに還流コンデンサー、スターラー及び添加ろう斗を付けた。22.15部のTHFに溶かした13.0部のHEMAの溶液を滴下した。反応が完了したら、この溶液を予め調製しておいたコポリマー溶液に加え、そして反応させた。得られる誘導化コポリマーをエチルアセテートの中で沈殿させ、そして真空で乾かした。核磁気共鳴(「NMR」)及び赤外線(「IR」)分析は、カルボキシル及びメタクリロイル官能基の存在を示した。プライマー溶液を、3.5部のHEMAと5.1部の水との混合物の中に1.4部の上記のポリマーを溶かすことにより作った。上記の接着強度試験法及び塗布手順Iを利用して、このプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での剪断強度を評価した。例13に記載のイオノマー組成物を、P−50修復材の代りにプライマーの上に載せた。このプライマーを用いてのエナメル及びぞうげ質上での平均剪断強度はそれぞれ17.9及び10.4MPaであり、一方、エナメル及びぞうげ質上の直接のイオノマーの平均剪断強度(プライマー抜き)はそれぞれ4.7及び3.8MPaしかなかった。
例 16
上記の接着強度試験法及び塗布手順Iを利用して、いくつかのプライマー組成物のぞうげ質及びエナメル上での平均剪断強度で評価した。例13に記載のイオノマー組成物を、P−50修復材の代りにプライマーの上に載せた。本例のプライマーは、48部の水、40部のHEMA、及び表15に示す12部のポリマーを含む。実験2−4のポリマーは本質的にはVBPと同じであるが、アクリル酸とイタコン酸とのモル比が変えてある。例えば、実験2のポリマー(「VBP7:3」)は7当量のアクリル酸を3当量のイタコン酸に対して含む。このポリマーはVBPより多いIEM官能基をも含む。
Figure 0003917171
本発明の様々な改良及び変更は本発明の範囲を逸脱することなくなされることが明らかであり、そして本発明は本明細書に記載の具体例に限定されないことが理解されるべきである。

Claims (13)

  1. 表層改質ぞうげ質と層を形成することのできる硬化性プライマーフィルムのための歯科組成物であって、フェノールのpKa以下のpKaを有する酸、少なくとも1,100の重量平均分子量を有するポリマー及び重合性モノマーを含んで成る接着に有効な量の水分散性フィルムフォーマーを含んで成り、ここで前記ポリマーは1又は複数個の付加重合性基を含み、当該ポリマーはポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメタクリレート及びジアクリレート、多糖類、セルロース、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(メチルメタクリレート)、フェノール−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド及びウレア−ホルムアルデヒドから成る群から選ばれ、そして前記フィルムはぞうげ質に少なくとも7MPaの接着剪断強度を供することができる歯科組成物。
  2. 前記フィルムフォーマーが水を更に含んで成る、請求項1記載の歯科組成物。
  3. 前記ポリマーが5,000〜200,000の範囲における重量平均分子量を有する、請求項1又2記載の歯科組成物。
  4. 前記ポリマーが付加重合性反応基を更に含むポリアルケン酸である、請求項1〜3のいずれか1項記載の歯科組成物。
  5. 前記フィルムフォーマーが、当該フィルムフォーマーを、その中に存在しうる任意の水を除き少なくとも5重量%まで水に分散性又は可溶性にするのに十分な数の水分散性基を有する1又は数種の物質を含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の歯科組成物。
  6. 前記フィルムフォーマーが共溶媒を更に含んで成る、請求項1〜5のいずれか1項記載の歯科組成物。
  7. 前記重合性モノマーが、アクリレート基、メタクリレート基及びそれらの組合せから成る群から選ばれる1又は数種の重合性基を含む、請求項1〜6のいずれか1項記載の歯科組成物。
  8. 前記ぞうげ質が硬化ぞうげ質である、請求項1〜7のいずれか1項記載の歯科組成物。
  9. 前記ポリマーが1,100〜200,000の範囲における重量平均分子量を有し、そして前記酸が約−10〜約+5のpKaを有し、そしてスルホン酸、カルボン酸、ジカルボン酸、ホスホン酸、リン酸、鉱酸及びそれらの組合せから成る群から選ばれる、請求項1〜8のいずれか1項記載の歯科組成物。
  10. 前記ポリマーが、アミド結合、カルボキシル基、塩、ヒドロキシル基、ポリエーテル結合、スルホン酸基及びそれらの組合せから成る群から選ばれる親水基を含む、請求項1〜9のいずれか1項記載の歯科組成物。
  11. 前記ポリマーが、カルボン酸、鉱酸、フェノール、アルキルスルホン酸及びアリールスルホン酸から成る群から選ばれる酸性基;酸性基の塩;並びに酸無水物、酸ハライド及びエステルから成る群から選ばれる酸性基反応性誘導体;の少なくとも一つを含む、請求項1〜10のいずれか1項記載の歯科組成物。
  12. 前記フィルムフォーマーが、アクリレート基、メタクリレート基及びそれらの組合せから選ばれる1又は数種の重合性基を含む重合性モノマー又はオリゴマーを更に含んで成る、請求項1〜11のいずれか1項記載の歯科組成物。
  13. 表層改質ぞうげ質と層を形成することのできる硬化性プライマーフィルムを形成するためのキットであって、
    フェノールのpKa以下のpKaを有する酸、並びに
    少なくとも1,100の重量平均分子量を有するポリマー及び重合性モノマーを含んで成る接着に有効な量の水分散性フィルムフォーマー;
    を含んで成り、ここで前記ポリマーは1又は複数個の付加重合性基を含み、当該ポリマーはポリエステル、ポリアミド、ポリエーテル、ポリエチレングリコール、ポリエチレングリコールジメタクリレート及びジアクリレート、多糖類、セルロース、ポリプロピレン、ポリアクリロニトリル、ポリウレタン、ポリ(ビニルクロリド)、ポリ(メチルメタクリレート)、フェノール−ホルムアルデヒド、メラミンホルムアルデヒド及びウレア−ホルムアルデヒドから成る群から選ばれ、そして前記フィルムはぞうげ質に少なくとも7MPaの接着剪断強度を供することができる、キット。
JP51194493A 1991-12-31 1992-12-30 硬質組織に対する接着のための方法 Expired - Lifetime JP3917171B2 (ja)

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