JP6077958B2 - 歯科用前処理材組成物 - Google Patents

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Description

本発明は、歯科用前処理材組成物に関する。より詳しくは、シリンジ型のエッチング材等に特に好適な歯科用前処理材組成物に関する。
歯科治療の分野において、生体歯牙組織の修復には、歯牙組織と修復材料との接着が重要となる。現在、一般的な歯科用修復材料としては、コンポジットレジン等に代表される直接修復材料、または金属もしくはセラミックス等に代表される間接修復材料が用いられている。しかし、これらの修復材料自体には接着性がないため、これまでに、歯牙組織と修復材料とを接着するための種々の技術が提案されてきた。
従来、歯牙組織に修復材料を接着させる際に、当該歯牙組織の修復面をリン酸、カルボン酸化合物等の水溶液(酸水溶液)によりエッチングして脱灰することによって、微細な凹凸を形成する方法が知られている。かかる方法を用いると、歯牙組織と修復材料との接着界面の面積を著しく増大させることができ、歯牙組織に修復材料を強固に接着することができる。また、動揺歯固定法や矯正治療においては、非切削歯面のエッチングによる塑造化のみならず、被着面に付着した唾液や歯垢等の汚れを除去するために酸水溶液が使用されている。しかし、エッチングや清掃に用いる酸水溶液の粘性が低いことに起因し、歯牙組織における治療部分のみに限定して酸水溶液を塗布することが困難であった。すなわち、酸水溶液を歯牙組織の修復面に塗布しても、治療部分の周辺にまで酸水溶液が広がってしまう。このため、健全な歯牙や歯髄または歯肉までも侵襲してしまい、場合によっては患者に対して不要な痛みを与えてしまうという問題がある。特に近年になって、エッチング材や清掃材等の前処理材は、シリンジ型が主流になってきており、細いニードルの先から治療部分へエッチング材を直接塗布する治療方法が一般的になりつつある。そのため、エッチング材を治療部分のみに留め置けることおよびシリンジからの吐出が容易であることの重要性は極めて高いと言える。
これに応じて、シリンジ型の形態で使用でき、治療部分の周囲に広がりにくい、すなわち難垂れ性を有する歯科用前処理材の開発が行われている。例えば、特許文献1および特許文献2には、酸水溶液に、シリカ、およびポリエチレングリコール等の水溶性高分子増粘剤を添加して粘性を高めた歯科用前処理材が報告されている。特許文献1および特許文献2には、これらの歯科用前処理材は、シリンジから吐出でき、良好な難垂れ性を有することが記載されている。
米国特許出願公開第2002/0018755号明細書 特開2008−222642号公報
しかしながら、特許文献1および2に記載された歯科用前処理材は、長時間放置するとシリカが沈降して均一性が低下し、前処理材中の粘度に分布が生じて諸特性に悪影響を及ぼすという欠点を有していた。また、歯科用前処理材は、一般に流水で洗浄除去されるものであり、塗布部の視認性を向上させるために、特許文献1に記載の歯科用前処理材には天然色素類やタール色素類等の着色剤を、特許文献2に記載の歯科用前処理材にはメチレンブルーなどの色素をそれぞれ配合してもよいことが記載されている。これらの有機色素類は前処理材に均一に溶解できる利点があるものの、酸性環境下で変色や退色しやすいという課題を有していた。一方で、歯科用前処理材の粘性を高めた場合には、水洗操作後に塗布部に色残りが見られ、歯科用前処理材が十分に洗浄除去されないという問題も生じる。
したがって、シリンジ型の歯科用前処理材には、吐出性と難垂れ性、視認性と色相安定性、水洗による除去性、長期保存後の均一性などの多くの要求特性を同時に満たすことが求められている。
そこで、本発明の目的は、吐出性と難垂れ性、視認性と色相安定性、水洗による除去性、および長期保存後の均一性に同時に優れた歯科用前処理材を提供することにある。
上記のようにシリンジ型の歯科用前処理材には多くの要求特性を同時に満たすことが求められているのに対し、歯科用前処理材の一つの成分を変化させると、一つの特性が向上するものの他の特性が低下するなど、バランスよく歯科用前処理材の多くの特性を同時に向上させるのは困難である。しかしながら本発明者は、上記課題を解決すべく鋭意研究を続けた結果、酸水溶液に、フィラー、特定の分子量を有するポリエチレングリコール、および無機顔料をそれぞれ特定の範囲内で配合することで、上記解決課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
本発明は、(A)酸、(B)水、(C)フィラー、(D)重量平均分子量1500〜15000のポリエチレングリコール、および(E)無機顔料を含む歯科用前処理材組成物であって、
前記(A)酸と前記(B)水の合計100重量部に対する、前記(C)フィラーの含有量が5〜13重量部であり、前記(D)ポリエチレングリコールの含有量が13〜28重量部であり、かつ前記(E)無機顔料の含有量が0.010〜5.0重量部である歯科用前処理材組成物である。
前記(A)酸は、リン酸、クエン酸、および乳酸からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。
歯科用前処理材組成物は、歯科用エッチング材に好適である。
本発明の好ましい一実施態様においては、歯科用前処理材組成物が、ニードルを装着可能なシリンジ容器に収容される。
本発明によれば、吐出性と難垂れ性、視認性と色相安定性、水洗による除去性、および長期保存後の均一性に同時に優れた歯科用前処理材が提供される。
本発明の歯科用前処理材は(A)酸と、(B)水と、(C)フィラーと、(D)重量平均分子量1500〜15000のポリエチレングリコールと、(E)無機顔料とを必須成分として含む。まず、これらの必須成分について説明する。
(A)酸および(B)水
(A)酸および(B)水は、酸水溶液を形成し、当該酸水溶液は、歯質の脱灰に必要な成分である。(A)酸としては、従来から歯科用酸処理材に用いられているものを使用することができ、例えば、カルボン酸化合物等の有機酸、および、リン酸、硝酸、硫酸、フッ酸等の無機酸を使用することができる。カルボン酸化合物の例としては、クエン酸、乳酸、リンゴ酸、マロン酸、マレイン酸、シュウ酸、酒石酸、酢酸、モノクロロ酢酸、ジクロロ酢酸、トリクロロ酢酸、トリフルオロ酢酸、ギ酸等が挙げられる。これらの酸は、単独でまたは2種以上を組み合わせて使用することができる。(A)酸としては、リン酸、クエン酸、および乳酸からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましく、リン酸および/またはクエン酸がより好ましく、リン酸が最も好ましい。
(B)水としては、蒸留水、濾過水、イオン交換水等の有害な不純物を含まないものを用いることが好ましい。
酸水溶液中の酸(A)の濃度は、特に限定されない。高い清掃効果またはエッチング効果が得られることから、(A)酸の好ましい濃度範囲は、(A)酸と(B)水との合計を100重量%として、10重量%以上80重量%以下の範囲であることが好ましく、15重量%以上60重量%以下の範囲であることがより好ましい。
(C)フィラー
(C)フィラーは、組成物の粘度を調整し、諸特性を向上させるための成分である。(C)フィラーとしては、歯科用組成物に使用される公知のフィラーが何ら制限なく使用される。好ましくは、シリカ、アルミナ、チタニア、ジルコニア等の無機酸化物粒子、またはこれらからなる複合酸化物粒子、燐酸カルシウム、ハイドロキシアパタイト、フッ化イットリウム、フッ化イッテルビウムが用いられる。さらに好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ、アルミナ、チタニアの粒子が用いられ、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジル、アエロキサイドAluC、アエロキサイドTiO2P25、アエロキサイドTiO2P25S、VP Zirconium Oxide 3−YSZ、VP Zirconium Oxide 3−YSZ PHが用いられる。最も好ましくは、火炎熱分解法で作製されるシリカ粒子が用いられ、例えば、日本アエロジル(株)製、商品名:アエロジルが用いられる。
(C)フィラーの平均粒子径としては、組成物中での均一分散性の観点から1〜50nmが好ましく、5〜40nmがより好ましい。なお、(C)フィラーの平均粒子径は、フィラー粒子の電子顕微鏡写真を撮影し、無作為に選択した100個のフィラー粒子の粒子径の平均値として測定できる。なお、フィラー粒子が非球状である場合には、粒子径は、フィラー粒子の最長と最短の長さの算術平均をもって粒子径とし、凝集粒子である場合には、一次粒子の粒子径とする。
(C)フィラーの形状としては特に制限されることなく、不定形または球形の粒子の粉末として用いることができる。
(C)フィラーの配合量は、(A)酸と(B)水の合計100重量部に対して、5〜13重量部である。配合量が5重量部未満の場合、増粘効果が小さく易垂れ性となり、組成物が口腔内の塗布部の周囲に広がっていくという不具合を生じる。また、組成物の粘度が不十分となり、長期保存中に(C)フィラーまたは(E)無機顔料が沈降して組成物が不均一となる。配合量が13重量部より多い場合、組成物の粘度が高くなりすぎて、良好な吐出性が得られなくなる。好ましい(C)フィラーの配合量は、5〜10重量部である。
(D)ポリエチレングリコール
(D)ポリエチレングリコールは、組成物の粘度を調整し、諸特性を向上させるための成分であり、且つ水分の蒸発を抑える役割も果たす。
(D)ポリエチレングリコールの重量平均分子量は1500〜15000である。重量平均分子量が1500未満だと増粘効果が小さく組成物の粘度が不十分となり、長期保存中に(C)フィラーまたは(E)無機顔料が沈降して組成物が不均一となる。また、難垂れ性が不十分となる場合がある。一方、重量平均分子量が15000より大きいと、製造時に酸水溶液中への溶解が不完全になる、あるいは溶解に時間が掛かり、さらに、歯牙部分に塗布した後流水で洗浄する際の除去性が悪くなる。なお、(D)ポリエチレングリコールの重量平均分子量は、例えば、ゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)測定により求めることができる。
(D)ポリエチレングリコールの配合量は、(A)酸と(B)水の合計100重量部に対して、13〜28重量部である。配合量が13重量部未満の場合、組成物の粘度が不十分となり、長期保存中に(C)フィラーまたは(E)無機顔料が沈降して組成物が不均一となる。一方、配合量が28重量部より多い場合、易垂れ性となり、組成物が口腔内の塗布部の周囲に広がっていくという不具合を生じる。好ましい(D)ポリエチレングリコールの配合量は、15〜25重量部である。
(E)無機顔料
(E)無機顔料は歯科用前処理材組成物の視認性を向上させる成分である。有機顔料が酸化−還元状態の変化によってしばしば変色、退色を起こすのに対し、無機顔料は色相安定性が高い点で有利である。
(E)無機顔料としては工業的に用いられる無機顔料が使用でき、視認性の観点から、赤色、青色、または緑色の無機顔料が好ましい。その具体例としては、ウルトラマリン青、コバルト青(例、ピグメントブルー28,36,36:1,72)、バナジウムジルコニウム青、Co−Zn−Si系顔料、Co−Si系顔料、ピーコック、Al−Cr系顔料、Cr系顔料、Co−Cr系顔料、鉄顔料などが挙げられる。より好ましくは、ウルトラマリン青、コバルト青、バナジウムジルコニウム青、Co−Zn−Si系顔料、Co−Si系顔料が用いられる。
(E)無機顔料の配合量は、(A)酸と(B)水の合計100重量部に対して、0.010〜5.0重量部である。配合量が0.010重量部未満の場合、視認性が不十分となり、5.0重量部より多い場合、組成物中に均一に分散しなくなる。
この他、本発明の組成物には、本発明の効果を阻害しない範囲で、界面活性剤、pH調整剤、イオン放出性物質、増粘剤、抗菌剤、香料等を配合してもよい。
本発明の組成物は、歯科用途において酸の作用を利用する前処理操作に制限なく適用でき、例えば、金属やセラミックス製の補綴物の表面清掃材、殺菌材等としても使用可能であるが、好適には、歯科用エッチング材として使用される。歯科用エッチング材は、次のような方法で好適に使用できる。すなわち、研削エナメル質、象牙質または事前に機械的に清掃した未研削エナメル質に歯科用エッチング材を直接塗布し、所定時間後すぐに水洗し、エアーブローで乾燥した後、症例に適した歯牙組織の修復操作を行えばよい。
本発明の歯科用前処理材組成物の製品形態としては、ニードルを装着可能なシリンジ容器に収容された形態が好適であり、通常、当該容器にはニードルチップが付属される。
本発明の歯科用前処理材組成物は、吐出性に優れるため、シリンジ型の製品形態において、塗布が容易である。また、難垂れ性にも優れるため、組成物が口腔内の治療部分の周囲に広がりにくい。また、塗布部の視認性と、色相安定性にも優れる。また、水洗による除去性にも優れる。また、長期保存後の組成物の均一性に優れるため、フィラーまたは顔料の沈降によって、易垂れ性の低粘度の液状成分のみがシリンジから吐出されたり、フィラーまたは顔料を多く含む高粘度部分により吐出性が低下して、正確な吐出が困難になるという問題も起こらない。
以下、実施例および比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は、これら実施例に限定されるものではない。なお、以下で用いる略称及び略号については次の通りである。
Ar−130:AEROSIL130(日本アエロジル社製親水性フュームドシリカ)
Ar−200:AEROSIL200(日本アエロジル社製親水性フュームドシリカ)
Ar−380:AEROSIL380(日本アエロジル社製親水性フュームドシリカ)
ST−PSM:スノーテックスPS−M(日産化学社製コロイダルシリカ)
PEG:ポリエチレングリコール(三洋化成工業社製)
(M.W.=400):マクロゴール400(重量平均分子量400)
(M.W.=1800):マクロゴール2000(重量平均分子量1,800)
(M.W.=3200):マクロゴール4000(重量平均分子量3,200)
(M.W.=8300):マクロゴール6000(重量平均分子量8,300)
(M.W.=20000):マクロゴール20000(重量平均分子量20,000)
歯科用前処理材組成物の調製
表1および2に記載の各成分(組成の数値の単位:重量部)を常温下で混合して歯科用前処理材組成物を調製した。これらの組成物を用い、後述の方法に従って、吐出力試験、48時間後吐出力試験、除去性試験、垂れ性試験、沈降性試験、色相安定性試験、および視認性確認試験を行った。組成および評価結果を表1および2に示す。
吐出力試験
歯科用前処理材組成物をシリンジ容器に収容して25℃雰囲気下にて1時間放置した後、シリンジ容器の先端に25Gaugeのニードルチップ(外径φ0.5mm)を装着し、吐出力を万能試験機(島津製作所社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定した。
48時間後吐出力試験
上記吐出力試験を行った後、25Gaugeのニードルチップ(外径φ0.5mm)を装着したまま25℃雰囲気下にて48時間さらに放置してから、吐出力を万能試験機(島津製作所社製)にてクロスヘッドスピードを2mm/分に設定して測定した。
除去性試験
ウシ下顎前歯の唇面を流水下にて#80シリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)で研磨して、エナメル質の平坦面を露出させたサンプルを得た。得られたサンプルを流水下にて#1000のシリコン・カーバイド紙(日本研紙社製)でさらに研磨した。研磨終了後、表面の水をエアーブローすることで乾燥した。乾燥後の平滑面に歯科用前処理材組成物を塗布し、1分後流水で洗い流した後、色残りの有無を目視にて確認した。色残りがなかった場合は○、色残りがあった場合は×とした。
垂れ性試験
ガラス板上に歯科用前処理材組成物を0.1ml滴下し、37℃雰囲気下でガラス板を垂直に立て、1分後の移動距離を測定した。
沈降性試験
2mlポリプロピレン製遠心分離用チューブバイアルに歯科用前処理材組成物を1ml充填し、遠心分離機(MCX−150:トミー精工社製)を用いて5000rpmで5分間遠心分離した後の組成分離の有無を目視にて確認した。分離が見られなかった場合は○、分離が見られた場合は×とした。
色相安定性試験(1)
70℃4週保存した後の歯科用前処理材組成物の変色または退色の有無を目視にて確認した。変色または退色が見られなかった場合は○、見られた場合は×とした。
色相安定性試験(2)
トリエタノールアミンを添加し、pHを2.0まで変化させたときの歯科用前処理材組成物の変色または退色の有無を目視にて確認した。変色または退色が見られなかった場合は○、見られた場合は×とした。
視認性確認試験
ヒト抜去歯上に歯科用前処理材組成物を塗布し、処理部/未処理部の視認性を目視にて確認した。処理部/未処理部が明確に確認できた場合は○、明確に確認できなかった場合は×とした。
Figure 0006077958
Figure 0006077958
表1および2に示すように、実施例1〜15の本発明の歯科用前処理材組成物は、吐出性と難垂れ性、視認性と色相安定性、水洗による除去性、および長期保存後の均一性の全てに優れていた。一方、比較例1の歯科用前処理材組成物では、フィラーの沈降性の評価結果が悪く、また実際にシリンジに充填して保存しているとフィラーと液成分の分離が観察された。これは(D)ポリエチレングリコールの配合量が少な過ぎるため、十分な増粘効果が得られなかったためである。比較例2の歯科用前処理材組成物は易垂れ性を示したが、これは(D)ポリエチレングリコールの配合量が多過ぎるため、組成全体での液成分が過剰になり、十分な粘度が得られなかったためである。口腔内での使用を想定すると、治療部分以外にまで拡散するおそれがある。比較例3の歯科用前処理材組成物は無機粒子成分の沈降性の評価結果が悪く、また比較例1と同様にシリンジ内に保存中に組成分離が観察された。これは(D)ポリエチレングリコールの重量平均分子量が小さ過ぎるため、増粘効果が不十分であったためである。比較例4の歯科用前処理材組成物は難除去性を示した。これは(D)ポリエチレングリコールの重量平均分子量が大き過ぎるため、歯質への沈着効果が高まったためである。比較例5の歯科用前処理材組成物は、無機粒子成分の沈降性の評価結果が悪く、また比較例1および3と同様にシリンジ内に保存中に組成分離が観察された。また、易垂れ性を示した。これは(C)フィラーの配合量が少なすぎたため、十分な増粘効果が得られなかったためである。比較例6の歯科用前処理材組成物は難吐出性を示した。これは(C)フィラーの配合量が多過ぎたため、吐出をするには粘度が高まり過ぎたためである。吐出が困難な場合、無理に力がかかるためニードルの先端が震え、限定した場所に塗布することが困難となる。比較例7の歯科用前処理材組成物は、無機粒子成分の沈降性の評価結果が悪く、また比較例1、3および5と同様にシリンジ内に保存中に組成分離が観察された。これは高い均一分散性を有するコロイダルシリカを(C)フィラーとして用いたものの、(D)ポリエチレングリコールの配合量が少な過ぎたため、十分な増粘効果を得られなかったためである。比較例8の歯科用前処理材組成物では、pHが1.3前後において緑色から青色への変化が見られた。これは酸化/還元に伴い、青色1号の電子状態が変化してしまったためである。比較例9の歯科用前処理材組成物では、70℃4週保存後に退色が見られた。これは青色2号アルミニウムレーキが酸性条件下において劣化してしまったためである。色が退色すると処理部/未処理部の判別が困難となってしまう。比較例10の歯科用前処理材組成物では着色料の配合量が少なすぎるため、ヒト抜去歯上において処理部/未処理部の境界が曖昧となってしまった。比較例11の歯科用前処理材組成物では、無機顔料が過剰であり、均一な組成物を得ることができなかった。
本発明の歯科用前処理材は、歯科用途において酸の作用を利用する前処理操作に制限なく適用でき、特に歯科用エッチング材として好適に使用でき、金属やセラミックス製の補綴物の表面清掃材、殺菌材等としても使用することができる。

Claims (4)

  1. (A)酸、(B)水、(C)フィラー、(D)重量平均分子量1500〜15000のポリエチレングリコール、および(E)無機顔料を含む歯科用前処理材組成物であって、
    前記(A)酸と前記(B)水の合計100重量部に対する、前記(C)フィラーの含有量が5〜13重量部であり、前記(D)ポリエチレングリコールの含有量が13〜28重量部であり、かつ前記(E)無機顔料の含有量が0.010〜5.0重量部である歯科用前処理材組成物。
  2. 前記(A)酸が、リン酸、クエン酸、および乳酸からなる群より選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の歯科用前処理材組成物。
  3. 歯科用エッチング材である請求項1または2に記載の歯科用前処理材組成物。
  4. ニードルを装着可能なシリンジ容器に収容された請求項1〜3のいずれかに記載の歯科用前処理材組成物。
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