JP3916858B2 - 酵素法によるマンノースの製造方法 - Google Patents

酵素法によるマンノースの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この出願の発明はD−マンノース(以下、マンノースと記載する)とD−フラクトース(以下、 フラクトースと記載する)を相互変換する酵素、マンノースイソメラーゼを用い、フラクトースからマンノースを高い収率で製造する方法に関するものである。さらに、詳しくは、この出願の発明は、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いて、フラクトースからマンノースを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
マンノースはマンニトールの原料や、動物細胞培養の原料として広く用いられている。また、マンノースには腸内サルモネラ菌の増殖を抑制する効果があると報告されており、ニワトリなどの家禽類の飲料水や飼料に添加することが検討されている(R.H.Brown, Feedstuff, June 12,10 (1989))。さらに、マンノースは様々な食品の風味を改善することでも知られており、食品素材としての利用も考えられている。
【0003】
従来、マンノースの製造方法としては、木材やコンニャクなどの植物に含まれるグルコマンナンを酸分解する方法や、モリブデン酸塩を触媒としてグルコースを高温加熱処理する方法が知られていた。しかし、いずれの方法も、原料資源が不足していたり、高価な試薬や高温を要するために、コストが高いという問題があったのである。そのため、マンノースはこれまで非常に高価であった上、十分な量が提供されていなかったのである。
【0004】
発明者は、フラクトースを原料として、マンノースイソメラーゼを用い、マンノースを製造する技術や、マンノースイソメラーゼとグルコースイソメラーゼとを用いてグルコースから直接マンノースを製造する技術を確立することを目的として、鋭意研究を進めてきた。
【0005】
マンノースイソメラーゼは、1956年、PalleroniとDoudoroffらによりシュードモナス・サッカロフィラ(Pseudomonas saccharophila)中に初めて見い出された(Journal Biological Chemistry, Vol.218, 535 (1956))。その後、本願発明者は、キサントモナス・ルブリリネアンス(Xanthomonas rubrilineans)と同定した細菌(日本農芸化学会誌、第37卷、524 (1963)、Agricaltural Biological Chemistry, Vol.28,601(1964))や、ストレプトマイセス(Streptomyces)属菌(工業技術院発酵研究所報告、第28卷、89 (1966))が同酵素を生産することを見出し、報告した。
【0006】
さらに、発明者は、この酵素(マンノースイソメラーゼ)の工業的利用を目的として、熱安定性に優れたマンノースイソメラーゼ生産菌の探索を行い、これまでにシュードモナス属細菌やアグロバクテリウム(Agrobacterium)属細菌の生産する耐熱性マンノースイソメラーゼを確認し、報告した(特開平4−218370、特願平11−1234870他)。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来のマンノースイソメラーゼによるフラクトースからマンノースへの異性化においては、収率(異性化率)は約25%と少なく、反応後の反応液からマンノースを分離精製することが困難であった。したがって、精製にコストを要するという問題があったのである。
【0008】
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解決し、フラクトースからマンノースへの異性化率を高め、高い収率で、マンノースを製造する方法を提供することを課題としている。
【0009】
【課題を解決するための手段】
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、第1には、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化することを特徴とするマンノースの製造方法を提供する。
【0010】
また、第2には、この出願の発明は、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムのいずれかのアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化するマンノースの製造方法を提供する。
【0011】
さらに、この出願の発明は、第3には、前記のマンノースの製造方法において、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化した後、反応液を亜硫酸型または重亜硫酸型のいずれかの陰イオン交換樹脂と接触させることにより、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物を除去し、精製するマンノースの製造方法を提供する。
【0012】
そして、第4には、この出願の発明は、上記のマンノースの製造方法において、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムの存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化した後、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムを気化させることにより反応液から除去し、精製するマンノースの製造方法をも提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
以下、発明の実施の形態を示し、この出願の発明について、さらに詳しく説明する。
【0014】
この出願の発明は、発明者の鋭意研究により、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースからマンノースを生成する反応を、還元性のイオウ酸素酸化合物の存在下またはアンモニウム化合物の存在下で行うことで、フラクトースからマンノースへの異性化率が顕著に高められることを見出したことによりなされたものである。
【0015】
具体的には、還元性のイオウ酸素酸化合物として、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、またはメタ重亜硫酸(ピロ亜硫酸ともいう)ナトリウムの存在下、pH5.5〜7.0で反応を行うことにより、フラクトースからマンノースへの異性化率を60〜90%まで高められることが確認された。
【0016】
アンモニウム化合物として、例えば、炭酸アンモニウムや、硫酸ヒドロキシアンモニウムの存在下で反応を行うことにより、マンノースへの異性化率を約30〜85%まで高められ、高い収率でマンノースが生産できることが確認された。さらに、これらいずれかの化合物で処理されたイオン交換樹脂の存在下で反応を行っても、マンノースへの異性化率は顕著に高められ、収率よくマンノースが生産できることが確認された。しかし、硫酸ナトリウムなどの還元性のないイオウの酸素酸を存在させてもマンノースの収率は増大しなかった。
【0017】
この出願の発明は、以上の知見に基づいてなされたものである。
【0018】
この出願の発明のマンノースの製造方法において使用されるマンノースイソメラーゼは、前述のキサントモナス属(Xanthomonas)、シュードモナス(Pseudomonas)属、アグロバクテリウム(Agrobacterium)属、ストレプトマイセス(Streptomyces)属等の菌から、例えば、日本農芸化学会誌、第37巻、524-528 (1963)、Agricultural Biological Chemistry, Vol.28, No.9, 601-604 (1964)、Journal of Fermentation and Bioengineering, Vol.76, No.3, 237-239 (1993)、工業技術院発酵研究所報告、第28巻、89頁(1965)、特開平4−218370などに記載された方法に従い、ポリペプトンなどの有機窒素源やグルコースなどの有機炭素源を含む液体培地において、30℃で1〜3日間培養することにより得られる。マンノースイソメラーゼは、培養後の菌を遠心分離した菌体として、または菌体から超音波処理法または自己消化法により抽出し、遊離酵素として得られる。さらには、マンノースイソメラーゼは、菌体または遊離酵素を公知の方法により固定化した酵素としても使用できる。
【0019】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、マンノースの収率は、選択する還元性のイオウ酸素酸化合物やアンモニア化合物の種類に大きく影響される。
【0020】
還元性のイオウ酸素酸化合物としては、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)、亜硫酸カリウム(K2SO3)、メタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)(ピロ亜硫酸ナトリウムまたは二亜硫酸ナトリウムともいう)、メタ重亜硫酸カリウム(K2S2O5)(ピロ亜硫酸カリウムまたは二亜硫酸カリウムともいう)、重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)、重亜硫酸カリウム(KHSO3)、次亜硫酸ナトリウム(Na2S2O4)、次亜硫酸カリウム(K2S2O4)などの水溶性の塩が例示されるが、中でも亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、メタ重亜硫酸ナトリウムが高い反応率でマンノースを与え、好ましい。異性化率の面では、とくに、メタ重亜硫酸ナトリウムが好ましい。
【0021】
また、この出願の発明のマンノースの製造方法においては、上記の還元性のイオウ酸素酸化合物のイオンを結合したイオン交換樹脂を用いてもよい。このような還元性のイオウ酸素陰イオンを結合させるためのイオン交換樹脂は、とくに限定されないが、アンバーライト(Amberlite)IRA-400(ローム&ハース社製)、ダウエックス(Dowex)1-X8(ダウ・ケミカル社製)などの強塩基性陰イオン交換樹脂やこれと陽イオン交換樹脂との混合樹脂(例えば、アンバーライトMB-1)などが例示される。混合樹脂は反応液のpHを望ましい領域に維持するのに効果的であり、好ましい。このように、陰イオン交換樹脂を用いる場合においても、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、およびメタ重亜硫酸ナトリウムで処理した場合が最も高い収率でマンノースが得られ、好ましい。
【0022】
これらの陰イオン交換樹脂の処理方法はとくに限定されないが、例えば、陰イオン交換樹脂を水酸化ナトリウムでOH型とした後、亜硫酸ナトリウム、重亜硫酸ナトリウム、あるいはメタ重亜硫酸ナトリウムなどの還元性のイオウ酸素酸化合物で処理し、水洗する方法があげられる。また、陰イオン交換樹脂の大きさ等は、とくに限定されないが、メッシュが小さいほど樹脂あたりの基質量を多くすることができ、効率よくにマンノースを製造することが可能となる。
【0023】
このようにして得られた還元性のイオウ酸素酸化合物結合陰イオン交換樹脂をフラクトースとマンノースイソメラーゼを含む反応液と接触させる方法としては、種々のものが考慮される。例えば、還元性のイオウ酸素酸化合物結合陰イオン交換樹脂をカラムに充填し、反応液を通過させてもよいし、反応液中に還元性のイオウ酸素酸化合物結合陰イオン交換樹脂を浸漬させてもよい。
【0024】
さらに、この出願の発明のマンノースの製造方法では、還元性のイオウ酸素酸化合物の代わりに、アンモニウム化合物を用いてもよい。このようなアンモニウム化合物としては、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、燐酸二アンモニウム((NH4)2HPO4)、燐酸二水素アンモニウム(NH4H2PO4)、炭酸水素アンモニウム(NH4HCO3)、炭酸アンモニウム((NH4)2CO3)、ヒドロキシルアンモニウム(ヒドロキシアミンともいう、(NH2OH))、塩化ヒドロキシアンモニウム、硫酸ヒドロキシアンモニウムなどの化合物が例示される。さらに、これらの化合物のいずれかによって処理された陽イオン交換樹脂を用いてもよい。
【0025】
アンモニウム化合物イオンを結合させるイオン交換樹脂としては、特に限定されないが、例えば、アンバーライト(Amberlite)IR-120、アンバーライトIRC-50(以上、ローム&ハース社製)、ダウエックス(Dowex)50-X8(ダウ・ケミカル社製)などの陽イオン交換樹脂や陽イオン交換樹脂と陰イオン交換樹脂との混合樹脂などが適用される。
【0026】
これらの陽イオン交換樹脂の処理方法はとくに限定されないが、陽イオン交換樹脂を水酸化ナトリウムでNa型または塩酸でH型とした後、前記のアンモニウム塩またはヒドロキシアンモニウム塩で処理し、水洗する方法が例示される。また、陽イオン交換樹脂の大きさ等は、とくに限定されないが、メッシュが小さいほど樹脂あたりの基質量を多くすることができ、効率的にマンノースを製造することが可能となるため好ましい。
【0027】
このようにして得られたアンモニウム化合物結合陽イオン交換樹脂を、フラクトースとマンノースイソメラーゼを含む反応液に接触させる方法としては、種々の方法が考えられる。例えば、アンモニウム化合物結合陽イオン交換樹脂をカラムに充填し、反応液を通過させてもよいし、反応液中にアンモニウム化合物結合陽イオン交換樹脂を浸漬させてもよい。
【0028】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、還元性のイオウ酸素酸化物やアンモニウム化合物以外にも、ヒドラジンまたはこれにより処理された陽イオン交換樹脂を使用してもマンノースの収率を高めることができる。しかし、前記の還元性のイオウの酸素酸化合物やアンモニウム化合物は、食品添加物として使用されており、安全性において優れているためより好ましい。
【0029】
これらの化合物の添加量は、その種類、反応時の原料基質の濃度、あるいは目的とするマンノースへの異性化率により異なる。すなわち、原料基質に対する化合物の添加量が多くなるにつれて、マンノースへの異性化率が増加するのである。例えば、原料基質濃度10%以上では、当該化合物を基質モル濃度の約1〜2倍モル濃度添加することにより、反応液中のマンノース含量を、これまでの約25%程度から40〜90%まで増加することができる。
【0030】
この出願の発明のマンノースの製造方法においては、以上のとおりの化合物を添加するタイミングは、反応開始時であっても、反応開始後、マンノースがある程度(10〜25%)生成した時点であってもよい。この出願の発明のマンノースの製造方法では、添加される化合物によるマンノースイソメラーゼ反応の阻害はあまり大きくないため、化合物を反応の最初から添加しても高い収率でマンノースを得ることができるのである。
【0031】
さらに、反応のpHは、とくに限定されないが、還元性のイオウの酸素酸化合物を使用する場合には、pHがマンノースの収率に著しく影響する。マンノースイソメラーゼの最適pHは、pH8付近であるが、種々の還元性のイオウの酸素酸化合物を使用する場合には、最適pHは、生成する複塩の安定性と関連していると考えられ、添加する化合物によって異なるため、基質濃度や目標とするマンノースの収率に応じて適宜設定できる。好ましくは、pH5〜8付近とする。
【0032】
一方、アンモニウム化合物を使用する反応においては、pHによる顕著な影響は認められておらず、その値はとくに限定されないが、好ましくはpH5.5〜9とする。
【0033】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、反応温度もマンノースの収率に影響する。したがって、高い収率を与える40〜60℃で反応が行うことが好ましい。もちろん、これ以外の温度範囲で行なってもよい。
【0034】
さらに、この出願の発明のマンノースの製造方法においては、還元性イオウ酸素酸雰囲気では酸素の存在によってマンノースの収率が低下する場合があるため、できるだけ不活性雰囲気下で反応を行うことが好ましい。例えば窒素ガスやヘリウムガス雰囲気下で反応を行うこともできる。
【0035】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、添加した還元性のイオウ酸素酸化合物やアンモニウム化合物などの化合物を除去し、精製することにより、より純度を高めることができる。
【0036】
これまでに、マンノースが重亜硫酸ナトリウム(NaHSO3)と複合体を形成する性質を利用したマンノースの分離精製法が報告されている(特公昭63−21678)。これは、重亜硫酸ナトリウムが示す強い酸性(pH3.5以下)条件下で、安定な結晶性複合体が形成される性質を利用したもので、遠心分離により結晶を分離し、過酸化水素により重亜硫酸を硫酸に酸化することにより、遊離マンノースを与える。
【0037】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、従来のような強酸条件を用いることなく、高い収率でマンノースを得ることが可能となる。具体的には、pH6付近で認められる還元性のイオウ酸素酸化合物とマンノースとの弱い親和性を利用し、マンノースイソメラーゼの存在下で、フラクトースをマンノースに変換しながら、マンノースの収率を高めることができるのである。
【0038】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、生成されたマンノースと添加した還元性のイオウ酸素酸化合物やアンモニウム化合物等の塩を分離精製する方法としては、例えば、塩化カルシウムを添加して塩をカルシウム塩として沈殿させ、不溶性の塩として除去する方法、陽イオン交換樹脂や陰イオン交換樹脂、またはイオン交換膜を用いた電気透析法によって除去する方法、カルシウムなどの金属イオンを結合した陽イオン交換樹脂や、亜硫酸(SO3 -)型または重亜硫酸(HSO3 -)型の陰イオン交換樹脂を用いたカラムクロマトグラフィーによる方法などが例示される。また、一般に、イオウ酸素酸化合物の塩(亜硫酸塩)はアルコールに溶け難いことから、イオウ酸素酸化合物の塩を含む反応液にアルコールを添加して塩を分離除去することもできる。以上例示された種々の精製方法の中でも、とくに亜硫酸型、または重亜硫酸型の陰イオン交換樹脂を用いる方法が分離効率が高く、好ましい。
【0039】
亜硫酸型、または重亜硫酸型の陰イオン交換樹脂と反応液を接触させる方法としては、反応液に添加した化合物と同じ化合物で処理した陰イオン交換樹脂を充填したカラムに反応液を通してもよいし、該イオン交換樹脂を反応液に浸漬させてもよい。さらには、該イオン交換樹脂と固定化マンノースイソメラーゼをカラムに充填し、pHを調整し、連続的にフラクトースまたはフラクトース含有液を流してもよく、このような方法を用いることにより、フラクトースからのマンノースへの転換を高めることも可能となる。
【0040】
さらに、この出願の発明のマンノースの製造方法では、反応において、アンモニウム化合物として揮発性の高い炭酸アンモニウムや重炭酸アンモニウムが使用される場合には、反応液を加熱することにより、反応液からアンモニウム化合物のみを除去、回収することができる。しかし、フラクトースなどの糖は、加熱により分解、着色しやすいため、処理は減圧下で行うことが好ましい。減圧することにより、40℃のような比較的低温下においても、短時間で、完全にアンモニウム化合物を気化させ、除去することが可能となる。このとき、アンモニウム化合物の除去効率は減圧の程度によっても異なるが、必ずしも高度の減圧は必要でなく、30mmHg程度の減圧でも十分目的を達成することができる。
【0041】
この出願の発明のマンノースの製造方法では、以上とおりの方法によって分離された亜硫酸塩、アンモニウム塩、および残存した原料のフラクトースは再利用することができる。また、反応液は、そのままマンニトール製造の原料として使用することができる。
【0042】
さらに、この出願の発明のマンノースの製造方法では、原料基質としては、フラクトースのみならず、フラクトースとマンノースの混合糖液(フラクトース75〜100%、マンノース0〜25%)や異性化糖や転化糖などのフラクトース含有液も使用できる。
【0043】
また、この出願の発明のマンノースの製造方法では、酵素としてマンノースイソメラーゼだけでなく、グルコースイソメラーゼを組み合わせて反応を行うことも可能である。つまり、原料基質として、グルコースや、異性化糖、転化糖のようなグルコース含有液を使用し、直接マンノースを得ることもできるのである。以下、実施例を示し、この出願の発明をより詳しく説明する。なお、この出願の発明は以下の実施例に限定されるものではないことはいうまでもない。
【0044】
【実施例】
以下の実施例において、酵素活性は、次の方法により測定した。
<酵素活性の測定方法> 0.1Mのリン酸緩衝液(pH7.0)に溶解した0.2Mのマンノース液0.5mlに、適当量の酵素を加え、水で全量を1.0mlとし、50℃で反応した。0.5M過塩素酸溶液を加えて反応を止め、生成したフラクトースをシステインーカルバゾール法で定量した。この条件で、1分間に1μMのフラクトースを生成する酵素量を1単位とした。
<実施例1>
ポリペプトン2%、グルコース1%、酵母エキス 0.2%、K2HPO4 0.3%、 MgSO4・7H2O 0.03%からなる培地(pH6)200mlを1Lの三角フラスコに入れ、121℃で15分間加圧殺菌後、アグロバクテリウム・ツメファシエンス(Agrobacterium tumefaciens) IFO12664(ATCC-4718)を接種し、30℃で3日間振盪培養した。
【0045】
培養後、菌体を遠心分離により回収し、水洗後、蒸溜水に懸濁した。その一部について20KC超音波細胞破砕機で細胞を破砕し、抽出されたマンノースイソメラーゼ活性を測定したところ、懸濁液1ml当たり0.7単位の該酵素が含まれていた。
【0046】
以下、この菌体懸濁液を用いて実験を行った。
試験例1
調製したマンノースイソメラーゼを用い、亜硫酸ナトリウム存在下の反応における、マンノースの収率と反応pHの関係について調べた。
【0047】
40%フラクトース溶液0.45ml(160mg、0.9M)に亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)100mg(0.8M)と上記のマンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を加え、蒸留水で全量約1mlとし、50℃で20時間反応を行った。反応液中のマンノース含量は高速液体クロマトグラフィーにより定量した。結果を表1と図1に示す。
【0048】
【表1】
Figure 0003916858
【0049】
表1と図1から明らかなように、マンノースの収率は反応時のpHに著しく影響を受け、マンノースの収率が最大となる最適pHは6付近であることが確認された。
【0050】
なお、亜硫酸ナトリウムを存在させなかった反応(pH7.0、50℃)のマンノース収率は25.4%であった。
試験例2
試験例1と同様に、亜硫酸ナトリウムを存在させ、マンノースイソメラーゼによるフラクトースからのマンノースの異性化反応を行ない、マンノースの収率と反応温度の関係について調べた。
【0051】
試験例1で使用した40%基質溶液0.40ml(160mg、0.9M)に亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)100mg(0.8M量)とマンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を加え、蒸留水で全量約1ml(pH約6.0)とし、各温度で20時間反応を行った。
【0052】
生成したマンノースを高速液体クロマトグラフィーにより定量した。結果を表2と図2に示す。
【0053】
【表2】
Figure 0003916858
【0054】
実施例において使用したマンノースイソメラーゼの活性については、最適温度が約60℃であったものの、表2および図2から、マンノースの収率は反応温度にも影響を受け、この反応においては、45〜55℃の温度が最適であることが示された。
試験例3
前記試験例1および2と同条件で、亜硫酸ナトリウムを存在させたマンノースの生成反応を行ない、原料基質(フラクトース)濃度の影響を試験した。
【0055】
フラクトースと亜硫酸ナトリウムを、表3に示した各濃度になるように加え、これにマンノースイソメラーゼ0.2ml(0.14単位)を加えた後、pHを約6.0に調整し、蒸留水で全量約1mlとして50℃で20時間異性化反応を行った。
【0056】
反応液中のマンノース量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した。結果を表3に示す。
【0057】
【表3】
Figure 0003916858
【0058】
いずれも原料基質(フラクトース)と亜硫酸ナトリウムが等モル濃度存在する反応であるが、反応液中のマンノース含量は、基質濃度が高くなるにしたがい増加する傾向にあった。すなわち、高基質濃度下で反応を行う方が、亜硫酸ナトリウム当たりのマンノース収率を高めることができることが示された。
<実施例2>
実施例1と同様の方法で、亜硫酸ナトリウムの代わりに、メタ重亜硫酸ナトリウム(ピロ亜硫酸ナトリウムまたは二亜硫酸ナトリウムともいう:Na2S2O5)を使用して、pH5.6から8.2で異性化反応を行った。
【0059】
実施例1で使用した基質溶液0.45ml(180mg)に、メタ重亜硫酸ナトリウム270mg、マンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を添加し、50℃で45時間反応を行った。
【0060】
得られた結果を表4と図1に示す。
【0061】
【表4】
Figure 0003916858
【0062】
表4と図1から明らかなように、メタ重亜硫酸塩存在下での反応においても、亜硫酸ナトリウムと同様に、最適pHは6付近に認められた。
<実施例3>
原料基質(フラクトース)に対する亜硫酸ナトリウム量を変化させ、実施例1および2と同様の方法で反応を行った。
【0063】
実施例1で使用した40%フラクトース溶液0.45ml(180mg)に、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)を表に示した各量添加し、マンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を加えて全量約1mlとして、pH約6.0、50℃で20時間反応を行った。
【0064】
反応液中のマンノース量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した結果を、表5および図3に示した。
【0065】
【表5】
Figure 0003916858
【0066】
表5、および図3より、原料基質に対する亜硫酸ナトリウム量が多くなるに従い、マンノース量が増加することが示された。基質に対し亜硫酸ナトリウムを1.5倍量(モル濃度)添加したときには、フラクトースの約55%がマンノースに異性化され、2.0倍量添加したときには、フラクトースの約59%がマンノースに異性化された。
<実施例4>
実施例3と同様の反応を、亜硫酸ナトリウムの代わりに、メタ重亜硫酸ナトリウムを用いて行った。
【0067】
実施例1で使用した40%フラクトース溶液0.45ml(180mg)にメタ重亜硫酸ナトリウム(Na2S2O5)を表に示した量添加し、実施例1で調製したマンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を加え、pH約6.0に調整して、50℃で20時間反応を行った。
【0068】
反応液中のマンノース含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した結果を表6と図3に示した。
【0069】
【表6】
Figure 0003916858
【0070】
原料基質に対するメタ重亜硫酸ナトリウム添加量が多くなるに従い、反応液中のマンノース含量は次第に増加し、1モル量の基質に対し、メタ重亜硫酸ナトリウムを、それぞれ1.5倍、1.75倍、および2.0倍モル量添加したとき、反応液中のマンノース含量は、それぞれ、約75%、約80%、約83%となった。
【0071】
以上の結果より、メタ重亜硫酸ナトリウムは亜硫酸ナトリウムよりも高い異性化率でフラクトースをマンノースに異性化できることが示された。
<実施例5>
実施例1で使用した40%フラクトース溶液 0.2ml(80mg)、0.4ml(160mg)、あるいは0.8ml(320mg)に、マンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)と蒸留水を加え、全量約1mlとした後、それぞれに、亜硫酸ナトリウム(Na2SO3)で処理した亜硫酸型ダウエックス(Dowex)1-X8を各1g(湿量)添加し、pH約6.0、40℃で20時間反応を行った。
【0072】
反応後、反応液中のマンノース量を高速液体クロマトグラフィーにより定量し、結果を表7に示した。
【0073】
【表7】
Figure 0003916858
【0074】
亜硫酸型陰イオン交換樹脂存在下での反応においても、マンノースの増加が認められた。
<実施例6>
強酸性陽イオン交換樹脂と強塩基性陰イオン交換樹脂の等量混合物であるアンバーライトMB-1イオン交換樹脂(ローム&ハース社製造、オルガノ株式会社販売)をメタ重亜硫酸ナトリウムで処理し、カラムに充填(径2.0cm×長さ2.5cm)し、これに、実施例1で使用した40%フラクトース溶液2.5mlとマンノースイソメラーゼ0.5ml(0.35単位)を加え、pHを6.0〜6.2に調整しながら、50℃で反応を行なった。
【0075】
5時間反応後、反応液中のマンノース含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した結果、フラクトースの38.5%がマンノースに異性化されていた。
【0076】
なお、該イオン交換樹脂は再生せぬまま再利用することができた。
<実施例7>
グルコースを原料基質とし、マンノースイソメラーゼとグルコースイソメラーゼの存在下で、マンノースの生産を行った。
【0077】
グルコース180mg(1M量)、亜硫酸ナトリウム189mg(1.5M量)、0.1M MgSO40.05ml(0.005M量)、市販の固定化グルコースイソメラーゼ剤(ナガセ生化学工業株式会社製造)20mg、実施例1で調製したマンノースイソメラーゼ0.1ml(0.07単位)を加え、蒸留水で全量約1mlとし、pH6.0〜6.2、50℃で20時間反応を行った。
【0078】
反応液中のマンノース、フラクトース、およびグルコースの含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した結果、それぞれ、29.5%、26.7%、43.8%であった。すなわち、亜硫酸ナトリウム無添加の場合のマンノースの収率12.0%に比べ、2倍以上(29.5%)のマンノースを含む糖液が得られた。
<実施例8>
実施例4で調製したマンノース約75%とフラクトース約25%の割合で含む約1Mの糖液1mlを40℃に保温した亜硫酸(SO3)型ダウエックス1−X8カラム(径1.5cm×長さ25cm)に供給し、水で溶出した(流速約8ml/時、分画容量、約2ml)。得られた結果を図4に示した。
【0079】
図4から明らかなように、塩と糖をほぼ完全に分離することができた。
【0080】
図5は、前記亜硫酸型ダウエックス1−X8の代わりに重亜硫酸(HSO3) 型ダウエックス1−X8カラム(径1.5cm×長さ25cm)を用いて、塩と糖の分離を行った(流速約8ml/時、分画容量約2ml)結果を示した図である。
【0081】
図5から明らかなように、マンノースをフラクトースと塩からほぼ完全に分離することができた。
【0082】
亜硫酸(SO3)型の陰イオン交換樹脂カラムを用いた場合よりも、重亜硫酸(HSO3)型の陰イオン交換樹脂を用いた場合の方が、より完全な分離が達成できることが確認された。
【0083】
また、亜硫酸塩や重亜硫酸塩以外のイオウの酸素酸塩やアンモニウム塩を含む糖液からも同様にそれぞれを分離することができた。
<実施例9>
64%フラクトースと16%マンノースからなる80%の糖液(マンノース含量20%、フラクトース含量80%)0.2ml(160mg)に、塩化アンモニウム、燐酸アンモニウム、または炭酸アンモニウムを各々50mg、および酵素液を0.15ml(0.11単位)加え、蒸留水で全量約1mlとした後、45℃で20時間反応を行った。
【0084】
反応液中のマンノース含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量し、結果を表8に示した。
【0085】
【表8】
Figure 0003916858
【0086】
表8から明らかなように、アンモニウム化合物無添加の場合のマンノースの収率が25.5%であるのに対し、いずれのアンモニウム化合物を添加した場合も、マンノースの収率が顕著に増加した。
<実施例10>
実施例9で使用した基質溶液0.22ml(180mg、1.0M量)に、硫酸アンモニウム、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムを、無添加、0.25M、0.5Mまたは1M量と、酵素液(0.15ml、0.11単位)を添加し、蒸溜水で全量約1ml(pH約7.0)とし、50℃で20時間反応を行った。反応後、生成したマンノースを高速液体クロマトグラフィーにより定量し、結果を表9に示した。
【0087】
【表9】
Figure 0003916858
【0088】
表9から明らかなように、試験したいずれのアンモニウム化合物も添加量が増加するにつれて、マンノース収率が増加し、基質濃度の1.5倍量の炭酸アンモニウムを添加した場合のマンノースの収率は約55%であった。
<実施例11>
本実施例においては、アンモニア化合物として、ヒドロキシアンモニウム塩を使用した場合について記す。
【0089】
実施例9で使用した基質溶液0.2ml(160mg)に、塩化ヒドロキシアンモニウムまたは硫酸ヒドロキシアンモニウムを0.5Mまたは1.0M量と、該マンノースイソメラーゼ液0.15ml(0.11単位)加え、蒸留水で全量約1mlとし、45℃で20時間反応を行った。
【0090】
反応液中のマンノース含量を高速液体クロマトグラフィーにより定量した結果を表10に示した。
【0091】
【表10】
Figure 0003916858
【0092】
表10から明らかなように、ヒドロキシアンモニウム塩添加によりマンノース収率は顕著に増加し、マンノース含量60〜75%の糖液が得られた。
<実施例12>
アンモニウム化合物として、塩化アンモニウム、ヒドロキシアンモニウムまたはヒドラジンで処理した陽イオン交換樹脂を用いて反応を行なった。
【0093】
アンバーライトIR-120(ロームアンドハース社製造、約30メッシュ)を1N塩酸でH型とし、塩化アンモニウム、ヒドロキシアンモニウムまたはヒドラジンで処理した後、蒸留水で洗浄した樹脂、それぞれ1g(湿量)を試験管に採り、実施例9で使用した原料基質溶液0.2ml(160mg)とマンノースイソメラーゼ液0.15ml(0.11単位)加え、全量約1mlとし、45℃で20時間反応を行った。結果を表11に示した。
【0094】
【表11】
Figure 0003916858
【0095】
表11から明らかなように、アンモニウム型、ヒドロキシアンモニウム型、ヒドラジン型陽イオン交換樹脂のいずれにおいても、反応液との接触により、マンノース収率の顕著な増加が見られた。
<実施例13>
実施例12で使用したヒドロキシアンモニウム処理アンバーライトIR-120各1g(湿量)、原料基質溶液0.1ml(80mg)、0.2ml(160mg)、0.3ml(240mg)、0.4ml(320mg)または0.5ml(400mg)、および酵素液0.15ml(0.11単位)を加えて、全量約1mlとし、45℃で20時間反応を行った。
【0096】
得られた結果を表12に示した。
【0097】
【表12】
Figure 0003916858
【0098】
表12から、樹脂当たりの基質量を適量(樹脂湿量1g当たり基質約80mg)とすることにより、マンノース含量約59%の糖液が得られることが確認された。
<実施例14>
アンバーライトIRC-50(約30メッシュ、ローム&ハース社製造)を1N塩酸でH型とし、塩化アンモニウムまたはヒドロキシアンモニウム塩酸塩でそれぞれ処理した後、蒸留水で洗浄したもの各1g(湿量)を試験管に採り、実施例1で使用した原料基質溶液0.2ml(160mg)と該酵素液0.1ml(0.11単位)を加えて、全量約1mlとし、45℃で20時間反応を行った。
【0099】
結果を表13に示した。
【0100】
【表13】
Figure 0003916858
【0101】
表13から、アンモニウム型またはヒドロキシアンモニウム型弱酸性陽イオン交換樹脂を使用した場合もマンノースの収率を顕著に増加できることが確認された。
<実施例15>
マンノース6.8%、フラクトース2.2%と炭酸アンモニウム10.0%を含む反応液2mlを試験管(径14mm×長さ100mm)に採り、50、55、60、65、70、80または100℃の各温度で加熱した。経時的に、一定量を採り、密度計により残存している炭酸アンモニウム量を求めた。得られた結果を表14と図6に示す。
【0102】
【表14】
Figure 0003916858
【0103】
表14と図6から、60℃以上の温度で加熱することにより、炭酸アンモニウムを気化させ、生成物(マンノース)溶液から分離、除去できることが確認された。
<実施例16>
実施例15で使用したマンノース6.8%、フラクトース2.2%と炭酸アンモニウム10.0%からなる反応液5mlを100ml容の濃縮フラスコに入れ、40、50、60、70、および80℃の各温度のもと、30mmHgの減圧下で濃縮処理した。
【0104】
水分が蒸発したところで、同容量の蒸留水を加え、濃縮を繰り返した。各処理時(3〜5分)に、採取した試料について、密度計により残存している炭酸アンモニウム量を求めた。
【0105】
得られた結果を表15に示した。
【0106】
【表15】
Figure 0003916858
【0107】
表15から、この方法により、炭酸アンモニウムを、比較的低温で、短時間に、かつ効果的に気化させ、反応液から完全に分離除去できることが明らかになった。
【0108】
【発明の効果】
以上、詳しく説明したとおり、この出願の発明のマンノースの製造方法によって、従来のマンノースイソメラーゼを用いた反応においては、約25%という低い収率でのみ製造可能であったマンノースの収率を、90%以上まで高めることができる。
【0109】
したがって、この出願の発明のマンノースの製造方法を用いることにより、フラクトースからマンノースやマンニトールを大量に、安価に、製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この出願の発明の実施例1(試験例1)において、反応pHとマンノース収率の関係を示した図である。
【図2】この出願の発明の実施例1(試験例2)において、反応温度とマンノース収率の関係を示した図である。
【図3】この出願の発明の実施例3および実施例4において、基質濃度に対する亜硫酸塩の添加量(モル濃度比)とマンノースの収率の関係を示した図である。
【図4】この出願の発明の実施例において、亜硫酸型陰イオン交換樹脂カラムを用いたマンノースとフラクトースをそれぞれ含む糖液からの亜硫酸塩と各糖の分離を示した図である。
【図5】重亜硫酸型陰イオン交換樹脂カラムによる、マンノースとフラクトースをそれぞれ含む糖液からの亜硫酸塩と各糖の分離を示す図である。
【図6】この出願の発明の実施例15において、炭酸アンモニウムを含む反応液からの炭酸アンモニウムの気化除去における処理温度の影響を示した図である。

Claims (4)

  1. 還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化することを特徴とするマンノースの製造方法。
  2. 炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムのいずれかのアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化する請求項1のマンノースの製造方法。
  3. 請求項1のマンノースの製造方法において、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物の存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化した後、反応液を亜硫酸型または重亜硫酸型のいずれかの陰イオン交換樹脂と接触させることにより、還元性のイオウ酸素酸化合物またはアンモニウム化合物を除去し、精製するマンノースの製造方法。
  4. 請求項2のマンノースの製造方法において、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムの存在下で、マンノースイソメラーゼを用いてフラクトースをマンノースに異性化した後、炭酸アンモニウムまたは重炭酸アンモニウムを気化させることにより反応液から除去し、精製するマンノースの製造方法。
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