JP3916715B2 - ジメチルエーテルの製造方法 - Google Patents

ジメチルエーテルの製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、一酸化炭素と水素及び/又は水蒸気との混合ガス、又は、上記混合ガスに更に二酸化炭素が含まれる混合ガスから、ジメチルエーテルを製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
〔ジメチルエーテルの用途について〕
ジメチルエーテルは、低毒性で安定しており、フロンに代わる噴射剤(プロペラント)、合成ガソリンの中間原料、LPGの代替燃料及びディーゼル機関の燃料等に使われる。
【0003】
〔ジメチルエーテルの合成について〕
一酸化炭素、二酸化炭素及び水素の混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法は、下記の二種の方法がある。
【0004】
メタノール脱水法:現在行なわれているジメチルエーテルの工業的製造方法は、所謂メタノール脱水法である。この方法は、原料としてメタノールを用い、このメタノールの脱水反応によりジメチルエーテルを製造するものでる。なお、メタノールは通常、COとH2 とからなる合成ガスから製造される。
【0005】
合成ガスを原料とする方法:一方、最近になって、CO及びH2 を含む合成ガスから一段でジメチルエーテルを合成する技術が開発されようとしている。
上記ジメチルエーテルの合成技術に関連して、例えば、次の技術が開示されている。
【0006】
〔特公昭54−32764号公報〕
触媒:
アルミナに亜鉛及びクロムを担持したメタノール脱水触媒を混合する。
反応器形式:
反応器に上記触媒を充填するか、又は上記触媒を交互に層状に反応器に充填し、これに一酸化炭素、二酸化炭素及び水素の混合ガスを供給してジメチルエーテルを製造する。
【0007】
〔特公昭61−4332号公報)
触媒:
銅、亜鉛、クロム及びアルミニウムの酸化物の混合物を、熱、高温水蒸気及び機械的応力に耐えうるように、テトラエチルオルトシリケート等のケイ素化合物で処理し、その後で成型した触媒を使用する。
【0008】
〔特開平3−181453号公報)
これには、CO及びH2 を含む合成ガスから一段でジメチルエーテルを合成する技術が開示されている。
反応器形式:
反応器に一酸化炭素と水素との混合ガス、又はこれに更に二酸化炭素及び/又は水蒸気を含む混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法において、触媒を溶媒に懸濁させてスラリー状態で使用する。
【0009】
〔特表平5−810069号公報〕
これには、CO及びH2 を含む合成ガスから一段でジメチルエーテルを合成する技術が開示されている。
触媒:
メタノール合成触媒、メタノール脱水触媒及び水性ガスシフト触媒を共粉砕した後、これらを加圧密着させ、次いで再粉砕した触媒を使用する。
反応器形式:
一酸化炭素と水及び/又は水蒸気とが含まれる混合ガス、又は、上記混合ガスに更に二酸化炭素が含まれる混合ガスからジメチルエーテルを製造する方法において、上記触媒を溶媒に懸濁させたスラリー状態で使用する。
【0010】
図5に、合成ガスから一段法によりジメチルエーテル(DME)を製造する従来の装置例のフローシートを示す。この製造装置は、反応器R1、メタノール・水分離器S1、未反応ガス分離器S2、及びCO2 分離器S3からなっている。反応器R1の底部には原料ガスライン2が接続され、この原料ガスライン2には、新たな原料ガスを供給するメイクアップガスライン1と未反応CO及びH2 を循環供給するリサイクルガスライン11が接続されている。メイクアップガス1’はCOガス12’とH2 ガス13とからなる。反応器R1の頂部からは、反応生成物3’を排出させる反応ガスライン3がメタノール・水分離器S1の入口に接続され、またメタノール・水分離器S1のメタノール及び水4’出口にはメタノール・水ライン4が、そして反応生成物5’出口には反応ガスライン5が接続されている。この反応ガスライン5の他端は未反応ガス分離器S2の入口に接続され、未反応ガス分離器S2のリサイクルガス7’出口には、上記リサイクルガスライン11の他端が接続されている。このリサイクルガスライン7と11との接続部から、リサイクルガス7’の一部を抜き出すパージライン10が接続されている。未反応ガス分離器S2のDME及びCO2 6’出口には、DME・CO2 ライン6が接続され、DME・CO2 ライン6の他端はCO2 分離器S3に接続され、そして、CO2 分離器S3のCO2 8’出口にはCO2 ライン8が、そしてDME9’出口にはDMEライン9がそれぞれ接続されている。上記CO2 分離器S3ではDMEからCO2 が分離され、CO2 は廃棄される。
【0011】
このように、従来のDME合成の一段法においては、反応生成物3’から先ず、メタノール・水分離器S1でメタノール及び水4’を分離し、次いで未反応ガス分離器S2で未反応COとH2 とを主成分とするリサイクルガス7’を分離し、これを反応器Rにリサイクルして原料の利用効率の向上を図っている。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
ジメチルエーテルの製造において、原料転化率を大きくすることにより、効率的にジメチルエーテルを製造することは、原料資源の有効利用、設備コスト及び運転コストの低減、並びに、生産性向上等の観点から重要であり、その実現が要請されていた。このような状況下において、メタノール脱水法に対して、上述した一段法によるジメチルエーテルの合成技術の進歩により、原料転化率が向上した。
【0013】
ジメチルエーテルの合成反応は、下記に示す三つの化学平衡反応によって進行する。
メタノール合成反応:CO+2H2 →CH3 OH --------------(1)
メタノール脱水反応:2CH3 OH→CH3 OCH3 +H2 O----(2)
水性ガスシフト反応:H2 O+CO→H2 +CO2 --------------(3)
反応(1)を単独で行なう場合、これは所謂メタノール合成反応である。このメタノール合成反応には化学平衡的な制約があり、転化率を高めるためには反応圧力を80〜120Kg/cm2 G程度の高圧条件を必要とする。ところが、合成ガスを用いる一段法によれば、幸いにも、化学平衡的に極めて有利な反応である反応(2)が同一反応容器内で引き続き起きることにより、反応(1)のメタノールが消費される。従って、反応(1)に不利な反応平衡が補われる。
【0014】
上記理由により、従来の、メタノールの合成とメタノールの脱水反応とを異なる反応器で行なわせてジメチルエーテルを製造する方法に比べると、一段法によるジメチルエーテルの合成は、はるかに容易に、CO及びH2 の転化率を向上させることができることを意味する。
【0015】
図3に、一段法における反応(1)、(2)及び(3)の化学反応平衡に基づく、H2 、CO、メタノール、CO2 、水及びジメチルエーテルの化学反応平衡組成図の例を示す。例えば、反応温度:300℃、反応圧力:50気圧、初期CO:H2 のモル濃度比が1:1であるとした反応条件の場合では、化学反応平衡到達時のCO転化率は、74.5%となる。この転化率は、この反応条件と同一条件におけるメタノール合成反応時の化学反応平衡到達時のCO転化率11.3%と比べるとかなり大きな値である。しかしながら、一段法によるジメチルエーテルの製造では、仮にこの化学反応平衡が達成されたとしても、未反応のCO及びH2 がまだかなり残存することがわかる(COの未反応残存率:25.5%)。実際の一段法によるDME合成の反応器内では、化学反応平衡に達してはいない。例えば、上記特表平5−810069号公報によれば、COの転化率は45〜60%程度であることが記載されている。
【0016】
前記図5において説明したとおり、従来の一段法によるDME合成ラインにおいては、反応器R1内で未反応のまま残存したCO及びH2 を有効利用するために、リサイクルガス11’を反応器R1に再循環させる。このリサイクルガス11’は量が多いほど、リサイクルコンプレサー(図示せず)動力や、生成物分離装置(S1、S2及びS3等)の容量を大きくしなければならない。従って、製造プロセス全体の経済性を悪化させる要因になる。
【0017】
従って、この発明の目的は、上述した問題を解決して、COとH2 とを主原料としてDMEを合成する場合に、従来のDME合成におけるよりも原料転化率を一層向上させることができるジメチルエーテルの製造方法を提供することにある。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、上述した観点から、原料転化率を一層向上させるために、鋭意研究を重ねた。従来、原料のCO転化率を向上させる研究は、DME合成反応器内の反応を進行させるために、反応器の形式や反応触媒について行なわれてきた。これに対して、本発明者は、従来とは異なった着想のもとに研究を重ねた。
【0019】
本発明者は、COとH2 とからなる合成ガスからDMEを一段法で製造する場合に、反応器内で化学反応平衡に到達したと仮定した場合の、COの転化率(平衡転化率)を、種々の反応温度について求めた。
【0020】
図4に、反応温度と合成ガスのCOの平衡転化率との関係を例示した。但し、反応圧力を、50Kg/cm2 G、そして合成ガスの初期H2 :COのモル濃度比を1:1とした。これによれば、反応平衡上では、低温域の方がCOの平衡転化率が大きく、DME合成に有利であることがわかる。
【0021】
そこで、本発明者は、合成ガスを原料としてジメチルエーテルを製造する方法において、高温域における反応により、反応速度を優先させ、次いで、この反応の進行度合いに応じて、反応平衡的に有利な低温域において反応させることに着眼した。そのために、DMEの合成反応を二段階に分けた。一段目の反応では、メタノール合成触媒、メタノール脱水触媒及びシフト触媒を装填した反応器を用い、そして二段目の反応では、上記と同じ触媒を装填した反応器を用い、一段目よりも低温で反応を行なわせることにより、高いCOの平衡転化率が達成されることを見い出し、この発明を完成した。
【0022】
COとH2 とからのジメチルエーテル合成は、平衡論的には低温域が有利である。しかし、低温域では反応速度が小さく、実際の反応器内滞留時間では、到底反応平衡には到達しない。そこで、先ず、一段目の反応で、反応速度の大きい高温域で反応させ、この温度での平衡転化率にほぼ近づけ、次に、二段目の反応を、一段目より低温で行なう。この低温条件では、反応速度は一段目より小さいが、反応平衡上はこの低温条件の方が有利であるから、更に反応が進行し、最終的には大きな反応転化率が得られるのである。
【0023】
この発明は、上記知見に基づきなされたものであって、この発明のジメチルエーテルの製造方法は、原料ガスとして、一酸化炭素と水素及び/又は水蒸気とが含まれる混合ガス、又は、前記混合ガスに更に二酸化炭素が含まれる混合ガスを用いてジメチルエーテルを合成するジメチルエーテルの製造方法において、ジメチルエーテル合成用の反応器を直列に2段に設け、上記混合ガスを1段目の反応器において、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒と水性ガスシフト触媒とを含む触媒に接触させ、次いで、2段目の反応器において、1段目の反応器における反応温度よりも低い温度で、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒と水性ガスシフト触媒とを含む触媒に接触させることに特徴を有するものである。
【0024】
【発明の実施の形態】
次に、この発明を、図面を参照しながら説明する。
図1に、この発明の方法を実施するジメチルエーテル製造装置の一例のフローシートを示す。この製造装置は、前記図5に示した従来の、合成ガスから一段法によりジメチルエーテルを製造する装置例のDME合成用の反応器R1に相当するものとして、一段目の反応器R2と二段目の反応器R3との2基に変更したものである。反応器R2は、触媒を装填した反応器、反応器3は、R2と同じ触媒を装填した反応器である。この装置のその他の構成は、図5に示した従来例に準じる。この発明における著しい特徴は、上記反応(1)、(2)及び(3)からなる同じ化学反応を、反応器R2及びR3の2段にわたって行なわせ、1段目の反応器R2においては、高温域で、且つ2段目の反応器R3においては、1段目よりも低温域で行なわせることである。
【0025】
以下に、触媒及び反応条件について詳細に述べる。
〔触媒〕
この発明で使用する触媒は、メタノール合成触媒、メタノール脱水触媒、及び水性ガスシフト触媒を組み合わせたものである。メタノール合成触媒としては、工業的にメタノール合成に用いられる酸化銅−酸化亜鉛/酸化クロム、及び酸化銅−酸化亜鉛/アルミナ等を用いる。メタノール脱水触媒としては、酸触媒であるγ−アルミナ、シリカ、シリカ・アルミナ、及びゼオライト等を用いる。ここで、ゼオライトの金属酸化物成分としては、ナトリウム及びカリウム等のアルカリ金属の酸化物、並びにカルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属の酸化物等を用いる。水性ガスシフト触媒としては、酸化銅−酸化亜鉛、酸化銅−酸化クロム−酸化亜鉛及び酸化鉄−酸化クロム等を用いる。メタノール合成触媒は、強いシフト触媒活性を有するので、水性ガスシフト触媒を兼ねることができる。このようにメタノール脱水触媒と水性ガスシフト触媒とを兼ねるものとして、アルミナ担持酸化銅触媒を用いることができる。
【0026】
上記三触媒の混合割合は、特に限定する必要はなく、各成分の種類あるいは反応条件等に応じて適宜選定すればよい。但し、通常は重量比で、メタノール合成触媒1に対してメタノール脱水触媒を0.1〜5程度、望ましくは0.2〜2程度と、水性ガス触媒を0.2〜5程度、望ましくは0.5〜3程度とを混合する。メタノール合成触媒と水性ガスシフト触媒とを同一物質とし、メタノール合成触媒に水性ガスシフト触媒を兼ねさせる場合には、両触媒を合算した量のメタノール合成触媒を用いるものとする。
【0027】
触媒の形態について、平均粒径:300μm 以下、望ましくは1〜200μm、一層望ましくは10〜150μm程度に粉砕しのものがよい。更に効果的に使用するために、適宜、上記混合粉体を圧密・成型し、再度粉砕し、上記粒度に調製したものを使用する。
【0028】
触媒反応器の形式は、1段目は、固定床、懸濁スラリー床のいずれでもよい。一方、2段目は、懸濁スラリー床を用いてもよいが、特に固定床が望ましい。この理由は、固定床では単位体積当たりの触媒充填量を大きくすることができること、及び、2段目は既にかなり反応が進行した後であるので、大量の反応熱の除去は必要としないからである。
【0029】
固定床を用いる場合には、触媒は公知の方法により適宜造粒して用いる。一方、スラリー床を用いる場合には溶媒としては、反応条件下において液体状態を安定して維持するものでなければならない。例えば、脂肪族、芳香族及び脂環族の炭化水素、アルコール、エーテル、エステル、ケトン及びハロゲン化物、並びにこれらの化合物の混合物等を使用する。溶媒中に存在させる触媒量は、溶媒の種類及び反応条件等によって適宜きめるが、通常、溶媒に対して1〜50重量%の範囲内でなければならず、望ましくは2〜30重量%の範囲内がよい。
【0030】
〔反応条件〕
メイクアップガスのH2 とCOとの混合割合は、H2 /COのモル濃度比で、20〜0.1の範囲内、望ましくは10から0.2の範囲内がよい。また、CO2 は原料ガス組成として、50モル濃度%以下が望ましい。
【0031】
1段目の反応条件としては、反応温度:150〜400℃の範囲内が望ましく、特に、250〜350℃の範囲内が望ましい。反応温度が150℃より低いと反応速度が遅ので望ましくなく、一方、400℃より高いと触媒が失活するので望ましくない。反応温度は、特に望ましくは、200〜350℃の範囲内がよい。反応圧力は、10〜300Kg/cm2 Gの範囲内、特に望ましくは15〜150Kg/cm2 Gの範囲内がよい。反応圧力が10Kg/cm2 Gよりも低いと反応速度が小さくなり望ましくなく、一方、300Kg/cm2 Gよりも高いと、装置の動力が大きくなり過ぎるので望ましくない。空間速度(触媒1kg当たりの標準状態における原料ガスの供給速度)は、100〜50000Nl/kg・hが望ましく、特に500〜3000Nl/kg・hが望ましい。空間速度が50000Nl/kg・hよりも大きいと、反応時間が短すぎて望ましくなく、一方、100Nl/kg・hよりも小さいと、反応器が極端に大きくなり経済的でない。
【0032】
2段目の反応条件としては、反応温度を1段目の反応温度よりも低くしなければならない。有利な反応条件を得るために、望ましくは1段目の反応温度よりも1〜30℃低い温度にするのがよい。反応温度が低すぎると、反応速度が大きくならない。また、1段目の温度との温度差が小さ過ぎると、2段目における反応の効果が上がらない。
【0033】
【実施例】
次に、実施例によりこの発明を更に詳しく説明する。触媒を次の要領で調製した。
【0034】
〔触媒A〕:CuO−ZnO−Al2 3
硝酸銅(Cu(NO3 2 ・3H2 O):185g、硝酸亜鉛(Zn(NO3 2 ・6H2 O):117g、及び硝酸アルミニウム(Al(NO3 2 ・9H2 O):52gをイオン交換水約1リットル(l)に溶解した水溶液と、炭酸ナトリウム(NaCO3 ):約1.4kgをイオン交換水約1リットル(l)に溶解した水溶液とを、約60℃に保温したイオン交換水約3リットル(l)の入ったステンレス製容器中に、pHが7.0±0.5に保持されるように調節しながら、約2時間かけて滴下した。滴下終了ご、そのまま約1時間保持して熟成を行なった。なお、この間にpHが7.0±0.5から外れるようであれば約1mol/lの炭酸ナトリウム水溶液を滴下して、pHを7.0±0.5にあわせた。次に、生成した沈殿を濾過した後、洗浄液に硝酸イオンが検出されなくなるまで、イオン交換水を用いて洗浄した。こうして得られたケーキを120℃で24時間乾燥した後、更に、350℃の空気中で5時間焼成して目的の触媒を得た。こうして得られた触媒の成分組成は、CuO:ZnO:Al2 3 =61:32:7(重量比)であった。
【0035】
〔触媒B〕:Cu−Al2 3
イオン交換水約200mlに酢酸銅(Cu(CH3 COO)2 ・H2 O):15.7gを溶解し、これにγ−アルミナ(日揮化学製、N612):95gを投入した後、蒸発乾固した。次いで、こうして得られたものを450℃の空気中で4時間焼成した。更に、400℃の水蒸気流中で3時間処理して触媒を得た。こうして得られた触媒の成分組成は、Cu:Al2 3 =5:95(重量比)であった。
【0036】
上記触媒A及び触媒Bを、それぞれボールミルで120μm以下に粉砕した。
〔ジメチルエーテル製造装置〕
図2に示した装置のフローシートに準じたジメチルエーテル製造装置を用いて試験した。この装置は、懸濁スラリー床型の1段目の反応器R2と、固定床型の2段目の反応器R3とが直列に接続されたものである。1段目の反応器R2の底部には、マスフローコントローラー15a及び15bで流量制御されたCOガス12’及びH2 ガス13’の配管12及び13が、自動圧力制御弁16a及び16bを介して接続されている。1段目の反応器R2の頂部からは2段目の反応器R3の底部に配管で接続され、2段目の反応器R3の頂部からは冷却器17を介して気液分離器18に接続されている。この気液分離器18の気体出口側はガスメーター19を介して排気側に接続され、一方、気液分離器18の液体出口側は、製品貯留槽20へ接続されている。なお、2段目の反応器R3の出口と冷却器17との間には、ガスクロマトグラフィーA4に接続する分岐管が設けられ、この出口の成分組成を適宜分析できるようになっている。
【0037】
1段目の懸濁スラリー床型の反応器R2に、熱媒体油としてn−ヘキサデカン:5584ml、触媒A:430g、触媒B:215g(触媒A/触媒B=2/1、触媒/熱媒体油=15/100)を仕込んだ。2段目の固定床型の反応器R3には、触媒A及び触媒Bを、表1に示す重量で仕込んだ。
【0038】
〔予備還元活性化処理〕
次いで、触媒の予備還元活性化処理を行なった。処理条件は、反応器圧力:10Kg/cm2 G、反応器温度:220℃にて、H2 /N2 モル濃度比=1/4のガスを、反応器R2及びR3に50リットル(l)/minの流量で12時間供給し、予備還元を行なった。
【0039】
〔ジメチルエーテルの合成〕
次いで、上記装置の反応系に、H2 /COモル濃度比を1.5/1、メイクアップガス1’を66.7リットル(l)/minの流量で流通させた。本発明の範囲内の方法である実施例1〜3、及び本発明の範囲外の方法である比施例1の試験を行なった。実施例1〜3では、反応器R2とR3とを用いた2段反応でジメチルエーテルを製造した。これに対して、比較例1では、反応器R2のみを用いた1段反応でジメチルエーテルを製造した。
【0040】
表1に、実施例1〜3及び比較例1の反応条件を示す。1段目反応器R2においては、実施例及び比較例共に、反応圧力:50Kg/cm2 G、反応温度:280℃とし、実施例においては2段目反応器R3の反応条件を種々変化させ、ジメチルエーテル合成反応を行なった。ガス組成の分析には、ガスクロマトグラフィA4を用いて、反応系の出口のガス流量はガスメーターを用いて測定し、これによりCO転化率及び各生成物の選択率(炭素モル基準、CO2 を除外した数値として算出)を計算した。その結果を、表1に併記する。
【0041】
【表1】
Figure 0003916715
【0042】
比較例1では、2段目の反応を有しないので、CO転化率が小さい。
これに対して、実施例1〜3は、2段目の反応を設け、1段目より低温で反応を行なっているので、CO転化率が大きい。
【0043】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば、一酸化炭素と水素及び/又は水蒸気、あるいは更に二酸化炭素とから、高い転化率でジメチルエーテルを得ることができる。その結果、下記事項を達成し得るジメチルエーテルの製造方法を提供することができ、工業上有用な効果がもたらされる。
【0044】
1.リサイクルガス量が減少するので、リサイクルコンプレッサー動力原単位が低減し、そして生成物分離装置の容量が低減するので、プロセスの経済性を大幅に向上させることができる。
【0045】
2.原料ガス資源が有効に利用されるので、ジメチルエーテルを安価に、生産性よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明のジメチルエーテル製造装置の一例を示すフローシートである。
【図2】この発明の実施例に用いたジメチルエーテル製造装置を示すフローシートである。
【図3】化学反応平衡に基づく、H2 、CO、メタノール、CO2 、水及びジメチルエーテルの平衡組成の反応温度依存性の例を示す図である。
【図4】反応温度と合成ガスのCOの平衡転化率との関係を示すグラフである。
【図5】従来のジメチルエーテル製造装置の一例を示すフローシートである。
【符号の説明】
1 メイクアップガスライン
1’メイクアップガス
2 原料ガスライン
2’原料ガス
3 反応ガスライン
3’反応生成物
4 メタノール・水ライン
4’メタノール・水
5 反応ガス(含DME、CO2 )ライン
5’反応生成物(含DME、CO2
6 DME、CO2 ライン
6’DME・CO2
7 リサイクルガスライン
7 リサイクルガス
8 CO2 ライン
8’CO2
9 DMEライン
9’DME
10 パージライン
10’パージガス
11 リサイクルガスライン(パージ後)
11’リサイクルガス(パージ後)
12 COガスライン
12’COガス
13 水素ガスライン
13’水素ガス
14 1段目反応ガスライン
14’1段目反応生成物
15a、15b マスフローコントローラー
16a、16b 自動圧力制御弁
17 冷却器
18 気液分離器
19 ガスメーター
20 貯留槽
21 気体ライン
22 液体ライン
23 圧力制御弁
24 レベル制御弁
R1 反応器(DME合成)
R2 反応器(DME合成、1段目)
R3 反応器(DME合成、2段目)
S1 メタノール、水分離器
S2 未反応ガス分離器
S3 CO2 分離器
F1、F2 ガス流量調節器
F1 ガス流量計
A4 ガスクロマトグラフィ

Claims (1)

  1. 原料ガスとして、一酸化炭素と水素及び/又は水蒸気とが含まれる混合ガス、又は、前記混合ガスに更に二酸化炭素が含まれる混合ガスを用いてジメチルエーテルを合成するジメチルエーテルの製造方法において、
    前記ジメチルエーテル合成用の反応器を直列に2段に設け、前記混合ガスを1段目の前記反応器において、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒と水性ガスシフト触媒とを含む触媒に接触させ、次いで、2段目の前記反応器において、前記1段目の反応器における反応温度よりも低い温度で、メタノール合成触媒とメタノール脱水触媒と水性ガスシフト触媒とを含む触媒に接触させることを特徴とする、ジメチルエーテルの製造方法。
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