JP3915912B2 - X線異物検査装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はX線異物検査装置に関し、更に詳しくは、被検査物を搬送装置で搬送しながらX線を照射して得られるX線透過データを用いて、被検査物内の異物の有無を検査する方式のX線異物検査装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
X線を用いて物品内部の異物の有無を検査する、X線異物検査装置が各種分野において用いられている。X線異物検査装置は、X線源から被検査物に対してX線を照射し、被検査物を透過したX線から得られるX線透過情報を用いて、被検査物中に含まれる異物の有無や異常の検査を行う装置である。特に、特に精肉、食品加工分野においては、PL法やHACCP方式の製造工程の管理対象として、X線異物検査装置が重要視されており、精肉や加工食品中に金属や骨、木材、合成樹脂等が混入している場合は異物として検知され、排除処理が行われる。これによって、食品製造・加工分野における製品の安全性、衛生性が保証される。
【0003】
このような食品製造・加工分野等において生産ライン中に組み込まれるX線異物検査装置としては、被検査物を搬送装置で搬送しながらX線を照射して得られるX線透過データから、被検査物内の異物の有無を検査する方式のものが多用されている。また、この種のX線異物検査装置は、通常、X線の外部への漏洩を遮断するために、装置全体をX線遮断材からなる防護箱によって覆った構造が採用される。そして、被検査物は、その防護箱に形成された搬入口を通じてコンベアによってX線源とX線検出器の間に搬入され、同じく防護箱に形成された搬出口を通じて外部に搬出されるようになっている(例えば特許文献1参照)。
【0004】
従来のこの種のX線異物検査装置の構成例を図4および図5にそれぞれ正面図およびそのA−A視図を示す。装置全体はステンレス等のX線遮断材からなる防護箱41によって覆われており、その防護箱41の内方の上部には、X線源42がX線照射方向を下方に向けた状態で配置されている。また、そのX線源42に対向してその下方にはX線検出器43が設けられている。X線源42とX線検出器43の間には被検査物Wを搬送するためのベルトコンベア44が配設されている。ベルトコンベア44の両端に隣接して、搬入用コンベア45および搬出用コンベア46が防護箱41の外部に設けられている。コンベア44は、防護箱41の幅寸法よりも僅かに長いライン長を有しており、防護箱41の両側面にそれぞれ形成されている搬入口41aおよび搬出口41bから僅かに外方に突出し、これによって搬入用コンベア45または搬出用コンベア46との被検査物Wの乗り継ぎを容易にしている。
【0005】
被検査物Wは、搬入用コンベア45から防護箱41内のベルトコンベア44に受け渡されて搬入口41aから防護箱41内に搬入され、このベルトコンベア44上に載ってX線源42とX線検出器43の間を通過する際に被検査物WにX線が照射され、その透過X線がX線検出器43によって検出される。そして、その検出出力は所定の画像処理に供され、例えばモニタ画面上の画像に異物がマークして示されるなどの処理が行われる。
【0006】
そして、食品製造・加工分野のラインに組み込まれるこの種の装置では、衛生面の配慮から頻繁に清掃等のメンテナンスが行われる。そのため、防護箱41にはその正面に扉47が設けられ、この扉47を開くことによって、防護箱41の内面やベルトコンベア44などが定期的に清掃される。
【0007】
従来の扉47の構造としては、上記の図4,図5の例では、扉47の下辺において支軸47aにより防護箱41に支持され、手前側に倒回することによって開く構造を有している。
【0008】
ここで、この種の装置に用いられる防護箱は、X線の漏洩防止機能を高くするために厚みのあるステンレス等によって構成され、扉も同等の厚さの金属材料で構成される。従って扉は重く、上記した手前側への倒回により開く扉47は、その開閉が困難であり、特に扉47を開く際にその自重が次第に手前倒回させる向きに作用し、ある角度以上開いたときに急激に手前倒回する可能性がある。そこで、このような構造を持つ扉には、図6に一部を省略した斜視図を示すように、扉47と防護箱41との間にダンパ47bを介在させることにより、扉47の手前倒回の速度を制限するように考慮されている。
【0009】
また、防護箱の扉の他の構造として、図7(A)に閉じた状態、同図(B)に開いた状態をそれぞれ正面図で示すように、扉77の左右いずれかの辺において鉛直の支軸77aで防護箱41に支持し、横開きするようにした構造のものも採用されている。
【0010】
【特許文献1】
特開2000−311699号公報(第2−第3頁,図15,図16)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、以上のようなX線異物検査装置における防護箱の扉は、特に食品関係のラインに組み込まれる場合には前記したように頻繁に開いて清掃等のメンテナンスが行われる関係上、その作業性の点から軽量であることが望ましく、一方、装置内からのX線の漏洩防止性能を向上させるためには厚いステンレス等によって構成する必要があって重くならざるを得ず、よってこの扉には二律背反の機能が要求される。
【0012】
前記した従来の扉の構造のうち、手前倒回式のものでは、ダンパ47bを用いることによって、扉47を開く際に実質的に扉47が軽くなって作業性がよく、作業者の安全も確保される反面、扉47の開放によって防護箱はその部分が手前側に全面的に開放されるもののダンパ47bが邪魔になって防護箱内のベルトコンベアの清掃をはじめとするメンテナンスが行いにくいのみならず、扉47を閉める際にはダンパ47bが負荷となってより大きな力を要するという問題がある。
【0013】
一方、横開き式の扉77は、作業者にその自重を感じさせない点で開閉作業の作業性が良好である反面、防護箱内のベルトコンベア44が前記した通り防護箱の幅寸法よりも僅かに長いライン長を有しているが故に、図7(B)に示すように、扉77の支持側の辺が開放されないために、防護箱41からベルトコンベア44を取り出しにくく、この点において清掃・メンテナンスを行いにくいという問題がある。
【0014】
本発明はこのような実情に鑑みてなされたもので、扉の開閉に大きな力を要することなく、しかも清掃・メンテナンス作業も容易なX線異物検査装置の提供を目的としている。
【0015】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、本発明のX線異物検査装置は、X線を遮蔽する防護箱内にX線源とX線検出器が互いに対向するように配置され、その防護箱内のX線源とX線検出器の間のX線照射領域に被検査物を搬入・搬出する搬送機構を備え、上記X線検出器の出力に基づく被検査物の透過X線情報から被検査物内の異物の有無を検査するとともに、上記防護箱には、当該防護箱内の保守を行うための扉が設けられてなるX線異物検査装置において、上記扉が、その下辺部において支軸を中心として回動自在に防護箱に支持され、手前側に倒回することにより開く構造を有しているとともに、その扉の内側に、当該扉とX線照射領域との間を仕切る着脱自在の防護板が更に設けられていることによって特徴づけられる(請求項1)。
【0016】
ここで、本発明においては、防護板が取り外された状態では、上記扉が閉じきらない機械的構造を有している構成(請求項2)、あるいは、上記防護箱内に、被検査物の通過の有無を検出するための投光素子と受光素子の対、もしくは投受光素子とミラーの対が対向配置されてなる光電検出手段が配置され、その光電検出手段を構成する素子またはミラーからなる対の一方が上記防護板に装着されているとともに、装置の運転開始時に、上記光電検出手段の受光出力がない状態では、X線の照射を不能とする回路手段を備えた構成(請求項3)を採用することが望ましい。
【0017】
本発明は、防護箱の扉を二重にし、外側の扉については下辺を軸支して手前倒回式とするとともに、内側の扉(防護板)は着脱自在とすることによって、所期の目的を達成しようとするものである。
【0018】
すなわち、防護箱の扉を二重にすることによって、各扉、つまり手前倒回式の扉および着脱式の防護板の各厚さ、従って重量を、それぞれ、従来の1枚でX線漏洩を防止する扉の半分としても、これらが共働して従来と同等のX線漏洩防止機能を発揮することができる。そして、手前倒回式の扉は、その重量が半分となっているが故に、従来のこの構造の扉のようにダンパを設けずともその開閉が容易であり、また、着脱式の扉(防護板)についても軽量となるが故に着脱が容易である。
【0019】
そして、ダンパを設けない手前倒回式の扉と着脱式の防護板との組み合わせにより、手前倒回式の扉を開いて防護板を取り外した状態では、防護箱は扉の配設位置において全面的に開放されて、内部のベルトコンベアを容易に取り出すことができ、清掃・メンテナンスも容易となる。
【0020】
手前倒回式の扉と着脱式の防護板とでX線の漏洩を防止する本発明の構成においては、着脱式の防護板の取り付けを忘れて扉を閉じた場合に、そのX線漏洩防止機能が低下してしまう。そこで、着脱式の防護板を取り付け忘れを防止する機能を設けることが望ましい。
【0021】
請求項2に係る発明では、防護板を取り付けない状態において手前倒回式の扉が閉じきらない機械的構造を設けることにより、オペレータに防護板の取り付けを促し、その取り付け忘れを防止することを可能としている。
【0022】
請求項3に係る発明では、防護箱内の被検査物の移動を検知するための光電検出手段を利用し、その一方の素子、あるいはミラーを防護板に取り付けることによって、防護板の存在しない状態では光電検出手段の受光出力が発生しないようにし、装置の運転開始時にの運転開始時にその受光出力がない場合にX線の照射を不能な回路手段を設けることで、防護板の取り付けを忘れた状態でのX線の発生の防止を可能としている。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施の形態について説明する。
図1は本発明の実施の形態の正面図であり、図2はそのA−A視図である。
【0024】
装置の基本的構成は図4,図5に示したものと同等であり、ステンレス等のX線遮蔽材料からなる防護箱1の内部上方にX線源2が配置され、そのX線源2に対向してその下方にはX線検出器3が設けられている。また、これらのX線源2とX線検出器3の間には、被検査物Wを搬送するためのベルトコンベア4が配設されており、このベルトコンベア4の両端は、防護箱1の両側面に形成されている搬入口1aおよび搬出口1bから僅かに外部に突出しており、その突出している両端に隣接して、搬入用コンベア5および搬出用コンベア6が防護箱1の外部に設けられている。
【0025】
防護箱1には、その正面に扉7が設けられている。この扉7は、その下辺において水平の支軸7aを介して防護箱1に回動自在に支持されており、手前側に倒回させることによって開放することができる。そして、この扉7の内側に、着脱自在の防護板8が設けられている。防護板8は、防護箱1に設けられた断面略コ字形の上下のガイド8a,8bに嵌まり込むことによって防護箱1に取り付けられている。その取り付け状態において、防護板8の上縁と上側のガイド8aの天井面との間には所定の空隙が形成されており、従って、防護板8を取り外すには、防護板8を少し上方に持ち上げて下辺を手前側に引くことにより、下縁が下側のガイド8bの立ち上がり部を越えるので、その状態で防護板8を下方に移動させることによって、簡単に取り外すことができる。取り付け時はその逆の動作をすることによって、簡単に取り付けることができる。
【0026】
扉7および防護板8は、それぞれ防護箱1と同等のステンレス等のX線遮蔽材料からなっており、防護板8を取り付けて扉7を閉めた状態では、これらの双方によってX線の遮蔽することになる。従って、従来と同等のX線遮蔽能力を得るには、扉7と防護板8の合計の厚さが従来の扉の厚さと同等であれば足りる。従って、扉7および防護板8の厚さは、例えばそれぞれ従来の扉の厚さの半分でよく、重量も半分でよい。よって、扉7はダンパ等を設けることなく、簡単に開閉することができ、また、防護板8の取り付け/取り外しも容易に行うことができる。また、手前倒回式の扉7の採用により、その開放時には防護箱1の正面が全面的に開放された状態となり、ベルトコンベア4の取り出しが容易となるなど、清掃・メンテナンス作業を容易に行うことができる。
【0027】
そして、この実施の形態においては、防護板8が取り外された状態では、X線源2からのX線を照射不能としたフェールセーフ機能を備えている。
【0028】
防護箱1内には、ベルトコンベア4上を被検査物Wが通過したことを検知するための光電検出機構が設けられており、この光電検出機構は、防護箱1の奥側に設けられた投受光素子9aと、その投受光素子9aに対向して配置されたミラー9bによって構成され、通常は投受光素子9aからの光がミラー9bで反射して投受光素子9aに入射するのに対し、これらの間を被検査物Wが通過している時点では、ミラー9bからの反射光が投受光素子9aに到達せず、これによって被検査物Wの通過を検知できるようになっている。そして、この光電検出機構を利用して、防護板8の取り付け忘れを防止するためのフェールセーフ機能が構築されている。
【0029】
すなわち、光電検出機構のミラー9bは、図2に示すように防護板8に固着されている。従って、防護板8を取り付けずに扉7を閉じて装置の運転を開始しようとしたとき、内部に被検査物Wが存在しないにも係わらず、投受光素子9aにはミラー9bからの反射光が入射せず、光検出信号が出力されない。この運転開始時における光検出信号の有無を判別し、光検出信号が無い場合には、X線源2からX線の照射を行わないようにすることによって、防護板8の取り付け忘れによるX線の漏洩を確実に防止することができる。
【0030】
なお、光電検出機構は、投光素子と受光素子の対によって構成してもよく、その場合、投光素子と受光素子のいずれか一方を防護板8に固着すればよい。
【0031】
また、以上のフェールセーフ機能に代えて、以下に示すように、防護板8が取り外された状態では、扉7を閉じ切れない構造からなる機械的なフェールセーフ機構を設けることもできる。
【0032】
すなわち、扉7は、その上辺中央部にフック状の止め具が設けられており、その止め具が防護箱1側の止め孔に嵌まり込むことによって扉7が閉じられる公知の係止機構が採用されている。そして、その係止機構の止め孔が、以下に示すように防護板8が取り付けられている状態においてのみ、扉7の止め具に係合するようになっており、これによって防護板8の取り付けを忘れてX線が漏洩してしまう不具合の発生を防止するフェールセーフ機構を構成している。
【0033】
図3はそのフェールセーフ機構の要部拡大図であり、図3(A)は防護板8を取り付けていない状態、同図(B)は取り付けた状態をそれぞれ示している。
【0034】
上側のガイド8aに、上下方向に移動自在の移動部材10が支持されている。この移動部材10は、その両側面上端に形成された突起10a,10bがガイド8aの内側に突出するピン10c,10dに当接することによって、その下降端が制約され、ガイド8a内に防護板8が挿入されていない状態では、図3(A)に示すようにその下降端に位置している。ガイド8a内に防護板8が挿入されると、移動部材10は防護板8の上縁部によって上方に持ち上げられ、図3(B)に示す状態となる。
【0035】
ガイド8aには前記した扉7の止め具が嵌まり込む孔81が形成されており、また、移動部材10にも同等の孔10eが形成されている。移動部材10が防護板8を取り付けることによって押し上げられている図3(B)に示す状態では、ガイド8aの孔81と移動部材10の孔10eが重畳した状態となり、この状態においては扉7の止め具が嵌まり込み、扉7は完全に閉じられた状態となる。一方、移動部材10がその下降端に位置している状態では、図3(A)に示すように、ガイド8aの孔81と移動部材10の孔10eが重畳せず、この状態で扉7を閉じても止め具が嵌まり込まず、閉じることができない。従って、防護板8を取り付けなければ、扉7は閉じることができず、これによってオペレータは防護板8の取り付け忘れに気付くことになり、防護板8の取り付け忘れを確実に防止することができる。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、X線の漏洩を防止すべくX線源からのX線照射領域を覆う防護箱の内部を清掃・メンテナンスするための扉を、手前倒回式の扉と、その更に内側で当該扉とX線照射領域とを仕切る着脱式の防護板によって構成し、X線をこれらの扉と防護板によって遮蔽するように構成しているので、扉および防護板それぞれの厚さを薄くしてもX線の漏洩を防止することができ、ダンパを用いずとも手前倒回式の扉の開閉が容易で、また、防護板も容易に着脱することができる。そして、手前倒回式の扉と着脱式の防護板を用いることによって、防護箱の正面を全面的に開放することができるので、内部のベルトコンベアの取り外しをはじめとして、清掃・メンテナンス作業も容易となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の正面図である。
【図2】図1のA−A視図である。
【図3】本発明の他の実施の形態の防護板の取り付けに関する機械的なフェールセーフ機構の説明図である。
【図4】従来のX線異物検査装置の構成例を示す正面図である。
【図5】図5のA−A視図である。
【図6】図4,図5の従来装置における扉を開いた状態を一部を除いて示す斜視図である。
【図7】従来のX線異物検査装置の扉の他の構成例の説明図で、(A)は扉を閉じた状態、(B)は扉を開いた状態をそれぞれ示す正面図である。
【符号の説明】
1 防護箱
2 X線源
3 X線検出器
4 ベルトコンベア
7 扉
7a 支軸
8 防護板
8a,8b ガイド
Claims (3)
- X線を遮蔽する防護箱内にX線源とX線検出器が互いに対向するように配置され、その防護箱内のX線源とX線検出器の間のX線照射領域に被検査物を搬入・搬出する搬送機構を備え、上記X線検出器の出力に基づく被検査物の透過X線情報から被検査物内の異物の有無を検査するとともに、上記防護箱には、当該防護箱内の保守を行うための扉が設けられてなるX線異物検査装置において、
上記扉が、その下辺部において支軸を中心として回動自在に防護箱に支持され、手前側に倒回することにより開く構造を有しているとともに、その扉の内側に、当該扉とX線照射領域との間を仕切る着脱自在の防護板が更に設けられていることを特徴とするX線異物検査装置。 - 上記防護板が取り外された状態では、上記扉が閉じきらない機械的構造を有していることを特徴とする請求項1に記載のX線異物検査装置。
- 上記防護箱内に、被検査物の通過の有無を検出するための投光素子と受光素子の対、もしくは投受光素子とミラーの対が対向配置されてなる光電検出手段が配置され、その光電検出手段を構成する素子またはミラーからなる対の一方が上記防護板に装着されているとともに、装置の運転開始時に、上記光電検出手段の受光出力がない状態では、X線の照射を不能とする回路手段を備えていることを特徴とする請求項1に記載のX線異物検査装置。
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