JP3915119B2 - カーボンナノチューブを含むテープ状物質の回収方法 - Google Patents

カーボンナノチューブを含むテープ状物質の回収方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、合成した高純度カーボンナノチューブを含むテープ状物質を連続的に回収する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
カーボンナノチューブ(CNT)は、2つの炭素材料の間にてアーク放電を行うことにより得られるもので、炭素原子が6角形に規則正しく並んだグラフェンシートが円筒形に丸まったものがカーボンナノチューブ(CNT)であり、グラフェンシートの筒が一重のものが単層カーボンナノチューブ(SWCNT)で、その直径は1〜数nmである。また、グラフェンシートの筒が同心状に何重も重なっているものが多層カーボンナノチューブ(MWCNT)で、その直径は数nm〜数十nmである。なお、ここでいう炭素材料とは、炭素を主成分とする非晶質または黒鉛質の導電性材料である(以下同じ)。
【0003】
いずれにせよ、従来より2つの炭素材料の間にてアーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブ(CNT)を合成する技術が種々提案されている。
【0004】
例えば、密閉容器内にヘリウムまたはアルゴンを満たし、密閉容器内の圧力を200Torr以上としてカーボン直流アーク放電を行うことにより、カーボンナノチューブを製造する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0005】
また、不活性ガスで満たされた密閉容器内に水平方向に配置された対向する電極間でアーク放電を行うとともに、電極を相対的にかつ連続的または間欠的に回転または往復移動させることによってカーボンナノチューブを製造する技術が提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
さらに、カーボンナノチューブを連続的に合成する方法として、容器内に配置された炭素陽極と該陽極に対向配置された炭素陰極との間にアーク放電される工程と、前記陰極の表面における放電位置を不連続的に移動させ、生成された堆積物を採取する工程と、アーク放電開始前に前記陽極の先端部を平坦化させる陽極先端平坦化工程を有することを特徴とするカーボンナノチューブの製造技術が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【0007】
また、炭素陽極と炭素陰極の間にアーク放電を発生させ、該陰極を円盤状として、該陰極を連続的あるいは間欠的に回転させながらアーク放電を行うことを特徴とするカーボンナノチューブの製造方法が提案されている(例えば、特許文献4参照)。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−280116号公報
【特許文献2】
特開平7−216660号公報
【特許文献3】
特開2001−192205号公報
【特許文献4】
特開2002−88592号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、カーボンナノチューブは、アーク放電が行われている部分の陰極側のカーボン電極に堆積する炭素原子からなる物質内もしくはアーク周辺部に付着した煤の一部に生成される。しかしながら、前記従来例のカーボンナノチューブの製造方法によれば、生成物中にカーボンナノチューブ以外の黒鉛、非晶質カーボンなどが混在するのを避けられず、カーボンナノチューブそのものの割合は低いものであった。
【0010】
いずれにしても、従来は、アークの安定とカーボンナノチューブの合成割合を増加させるために、アーク放電装置を密閉容器内に設け、密閉容器内の雰囲気ガス種および圧力や密閉容器内の温度を適正に選定・制御する手法が取られており、密閉容器内の雰囲気ガス種および圧力や密閉容器内温度の調整のみでカーボンナノチューブを合成していたが、依然として多くの不純物とカーボンナノチューブの混合体である陰極堆積物もしくは煤状物質としてしか回収することができず、さらに、陰極堆積物(不純物が多量に混在)を削り取るような手段で回収することしかできなかった。そのため、結果的にカーボンナノチューブの収率が低下するとともに、カーボンナノチューブの純度を高めるために複雑な精製作業を行わなければならず、カーボンナノチューブの製造コストを増加させる原因となっていた。
【0011】
本発明は、このような問題に対処するようになされたもので、合成された高純度のカーボンナノチューブからなるテープ状物質を、連続的に回収する方法を提供するものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するべくなされたものであり、陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹き付けながら行うアーク放電法で陰極上に生成された、カーボンナノチューブの綿状集合体を有するテープ状物質の陰極への付着端部にガスを吹き付けて該テープ状物質を陰極から剥離していくことを特徴とする、カーボンナノチューブの綿状集合体を有するテープ状物質の回収方法によってかかる目的を達成したものである。
【0013】
本発明において、カーボンナノチューブを含むテープ状物質が生成後の冷却過程で剥離するメカニズムは、主としてカーボンナノチューブの集合体からなる綿状物質の収縮率と、その表裏面に付着している多結晶黒鉛および非晶質炭素の薄皮や粒子の収縮率が異なるため、熱応力が生じ分離するものと考えられる。また、生成および冷却過程での大気による酸化作用により、テープ状物質表裏面に付着している多結晶黒鉛および非晶質炭素の薄皮や粒子が燃焼するために、陰極とテープ状物質の付着力が弱まることも考えられる。
【0014】
合成後のテープ状物質は上記の理由により陰極とテープ状物質の付着力が弱まり、自然剥離してくるので、合成終了後に、人手により簡単に回収可能である。しかしながら、合成されたテープ状物質は非常に軽いために、合成中に自然剥離したテープ状物質は、放電により加熱された陰極の熱による上昇気流により、一部飛散してしまったり、あるいは放電中のアークフレームに接触し、一部燃焼してしまったりする場合もある。また、合成に供した陰極表面状態によっては、剥がれにくい場合も生じる。従って、歩留まり良く確実にテープ状物質を回収するためには、合成直後から連続的に回収する必要がある。つまりは、合成直後から確実に剥離を促す手段が必要となる。
【0015】
そのため、本発明法においては、テープ状物質生成後に生成物にガスを吹き付ける。テープ状物質生成後に生成物にガスを吹き付け、生成物を冷却することにより、より熱応力による分離作用が進行し、テープ状物質の剥離を促進させることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明においては、カーボンナノチューブを含む物質はアーク放電によって炭素材料よりなる陰極上に形成され、アーク放電させる陰極と陽極の間を相対的に移動させることによってこれをテープ状にする。
【0017】
陽極は中空電極であるが、陰極はカーボンナノチューブを含む物質を表面に形成しうる形状にする。陰極形状の具体例としては円柱あるいは円筒形、円盤形、4角形、長尺状等を挙げることができるがこれらに限定されるものではない。陰極の大きさは円柱あるいは円筒形の場合は直径(外径)が10〜100mm程度、特に20〜40mm程度である。
【0018】
電極の典型的な動作としては、陰極が円柱あるいは円筒形の場合には陰極の軸を中心に回転させる動作と軸方向に移動させる動作を組み合わせてテープ状物質を陰極の周面に螺旋状に形成させる。円盤形の場合には、陰極の中心を軸として回転させる動作と陽極を半径方向に移動させる動作を組み合わせてテープ状物質を渦巻状に形成させる。4角形の場合は、陽極を辺に沿って移動させる動作と中心と外縁の間を移動させる動作を組み合わせてテープ状物質を渦巻状に形成させ、あるいは一辺方向に往復動させるとともに陰極を該辺と直角方向に移動させてテープ状物質をつづら折り状に形成させる。長尺状の場合には、陰極あるいは陽極を長尺方向に移動させる。上記の陰極あるいは陽極の動作は相対的に実施されればよく、従って、陰極の代わりに陽極をあるいは陽極の代わりに陰極を動かすものであってもよく、両電極を同時に動かしてもよい。
【0019】
上記において陽極は1基の外、複数を並設してテープ状物質を平行線状に形成してもよい。
【0020】
電極の移動は原則として一定速度で行う。
【0021】
この陰極は、通常は着脱可能にしておく。
【0022】
陰極に用いる炭素材料は炭素だけでなく、炭素を90%以上含んでいれば樹脂もしくは金属との混合物でも良い。樹脂の例としては、フェノール樹脂、ユリア樹脂に代表される熱硬化性樹脂、ポリプロピレン、フッ素樹脂に代表される熱可塑性樹脂、ポリカーボネイト、ポリスルホン、ポリアミドイミドに代表されるエンジニアリングプラスチックを、金属の例としては、鉄、コバルト、ニッケル、タングステン、ニオブを挙げることができる。さらに、炭素の結晶構造がランダムである炭素質材料、グラファイト化された黒鉛質材料等のいずれも使用可能である。
【0023】
高い純度と収量のカーボンナノチューブを合成するためには、陰極材料のアーク陰極点の温度をある程度高くすることが有利である。通常、電極として使用されている炭素電極の電気抵抗率(=固有抵抗)は500〜2000μΩ・cm程度の範囲であるが、2500μΩ・cm以上、好ましくは3000μΩ・cm以上、より好ましくは4000μΩ・cm以上、特に好ましくは5000μΩ・cm以上の電気抵抗率を有する炭素材料を陰極材料として使用すると、陰極材料の陰極点近傍では、アーク放電時に高い電流密度となるので、電気抵抗発熱のため陰極点近傍が高温度となる。そのため、陰極を加熱したのと同様な効果が得られ、収量ならびに純度の高いカーボンナノチューブを含むテープ状物質を生成することができる。好ましい電気抵抗率の上限は実用的観点から20000μΩ・cm程度、好ましくは12000μΩ・cm程度である。
【0024】
また、通常電極として使用されている炭素電極の熱伝導率は、50〜200W/m・Kの範囲であり、炭素材料における電気抵抗率と熱伝導率はほぼ負の相関関係が有る。つまり、電気抵抗率が大きいものは、熱伝導率が低く熱を伝えにくいので、より陰極点近傍が高温度となる。電気抵抗値4000μΩ・cm以上の炭素材料の熱伝導率は、ほぼ40W/m・K以下に相当する。
【0025】
また、本発明に係るカーボンナノチューブを含むテープ状物質の製造においては、このテープ状物質の剥離容易性の観点から陰極電極表面の算術平均粗さ(Ra)が4μm未満、好ましくは3.6μm以下、特に好ましくは3.2μm以下の炭素材料を用いることが望ましい。
【0026】
カーボンナノチューブを含むテープ状物質が生成後の冷却過程で剥離するメカニズムは、主としてカーボンナノチューブの集合体からなる綿状物質の収縮率と、その表裏面に付着している多結晶黒鉛および非晶質炭素の薄皮や粒子の収縮率が異なるため、熱応力が生じ分離するものと考えられる。また、生成および冷却過程での大気による酸化作用により、テープ状物質表裏面に付着している多結晶黒鉛および非晶質炭素の薄皮や粒子が燃焼するために、陰極とテープ状物質の付着力が弱まることも考えられる。
【0027】
しかしながら、陰極材料の表面粗さが粗い場合(算術平均粗さ(Ra)が4.0μm以上の場合)、陰極とテープ状物質の付着力が高まり、容易には剥離を起こさなくなる。厚さ10〜500μmのテープ状物質を機械的に削り落とし、回収することは容易ではない。そこで、陰極炭素材料の表面の算術平均粗さ(Ra)を4.0μm未満とすることで、陰極とテープ状物質の付着力を弱め、熱応力により自然剥離させることにより、テープ状物質の回収をいたって容易にすることができる。
【0028】
陽極は、陰極との間を相対的に移動させながらアーク放電させて陰極上にカーボンナノチューブを含むテープ状物質を生成させるものである。そして、アーク放電を誘導させてその方向を安定させるために該陽極部から陰極に向けて不活性ガスを流すことが好ましい。この不活性ガスの吹き出しは、陽極を筒状に形成して中空電極とし、不活性ガスを内部から吹き出させる構造のものである。
【0029】
このように、陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から陰極電極に向けてアルゴンガス等の不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹き付けると、ガスの電離度が高くなってガス噴出経路にアークが発生しやすい条件が形成される。また、不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスと接している中空電極内部表面が安定した陽極点を形成せしめるものと考えられる。このため、アーク発生経路が拘束され、陰極電極上のアークの陰極点の不規則な移動が防止される。その結果、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブを優先的に合成することができ、この固定された陰極点の発生位置(アークの中心部)でカーボンナノチューブの合成物を製造することができる。
【0030】
この中空孔の内径は、1mm2当り10〜400ml程度のガス流量となるようにするのが好ましい。中空孔は1個に限らず、複数設けることもできる。
【0031】
アーク放電用陽極に関しては、陰極と同じ炭素材料を用いてもよいが、金属電極も使用可能である。金属電極の例としてはタングステン電極、銅電極、白金、モリブデン、ハフニウム等を挙げることができる。
【0032】
陰極と陽極間の間隙はアーク放電が安定に持続できる限り特に限定はないが、好ましくは0.5mm〜5mmにてアークがより安定である。
【0033】
本発明でアーク放電が行われる雰囲気は、N2、CO2、不活性ガス雰囲気など如何なる雰囲気でもよいが、大気中で行うのが簡便で好ましい。
【0034】
アーク放電を起こすためには、電極間空間を電離する必要がある。原子の電離には、種々の過程があるが、アーク放電においては、電子との衝突による電離過程が支配的である。一般に、原子番号の小さいHe、Neは除き、Ar、Kr、Xeなどの不活性ガスは、電子との衝突による電離能率が高く、アークを発生しやすい空間を提供する。Ar、Kr、Xeなどの不活性ガスは、酸素、窒素等に比べ電離能率が高いので、大気雰囲気中にて陽極電極から陰極電極に向けて、これらの不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを供給しながらアーク放電を行うと、アークをガス流路に沿って集中して発生させることができる。つまり、陽極電極から陰極電極に向けて供給する不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスをプラズマガスとして用いることにより、アークを集中させ、陰極点を安定化させることができる。
【0035】
なお、中空電極内部の孔から送給するガスは、純アルゴンもしくは5%程度の水素ガスやヘリウムガスを混入したアルゴンガスを用いてもアーク形態に大きな変化は見られなかった。特に、アルゴン等の不活性ガスに水素ガスを数%〜数十%混ぜると、アークの安定性を損なうことなく、カーボンナノチューブの収量を増加することができた。これは、水素ガスに陽極電極上で昇華した炭素がクラスタとして成長するのを防止する効果があり、陰極電極上でカーボンナノチューブが合成されやすい条件となるためであると考えられる。
【0036】
また、大気雰囲気中では、アーク放電部に酸素を巻き込むため、炭素の酸化・燃焼が起こる。この際、生成されたカーボンナノチューブもいくぶん酸化するが、より燃焼温度の低い非晶質炭素や多結晶黒鉛粉などの不純物が優先的に酸化・燃焼し、結果として生成物中のカーボンナノチューブ純度を向上させる効果がある。
【0037】
本発明に係るカーボンナノチューブを含むテープ状物質は、厚さ10〜500μm、特に20〜100μm、幅1〜10mm、特に1〜6mm、かつ任意の長さを有し、主としてカーボンナノチューブの綿状集合体を有してなるものである。
【0038】
本発明では、こうして陰極上に形成されたカーボンナノチューブを含むテープ状物質の該陰極の付着端部にガスを吹き付けて該テープ状物質を陰極から剥離していくのである。
【0039】
吹き付けるガスは、可燃性のもの以外の冷却効果があるものなら空気、窒素等、何でもよい。つまり、テープ状物質は陰極電極表面に薄い膜状に生成されているので、ガスを吹き付けることにより、生成基板の陰極電極より温度低下が急速に進み、テープ状物質と陰極電極との間に熱応力が働いて、剥離が著しく促進されるものと考えられる。
【0040】
さらに、吹き付けるガスが酸素を含んでいる場合や、または酸素を含んでいなくても大気雰囲気中で合成が行われている場合では、ガスを吹き付けることによって大気を多少巻き込むため、テープ状物質表裏面に付着している多結晶黒鉛および非晶質炭素の薄皮や粒子の酸化・燃焼を促進する作用があり、その結果、テープ状物質のカーボンナノチューブ純度が上がるとともに、陰極とテープ状物質の付着力が弱まり、テープ状物質の剥離を促進する効果もあると考えられる。
【0041】
吹き付けはノズルを用いて行うことが好ましく、吹付方向はテープ状物質の長手方向±90°の間である。
【0042】
剥離を進行させるため、ノズルをテープ状物質に対して相対的に移動させていくが、テープ状物質形成のために陰極を移動させている場合にはノズルを固定させておくことも可能である。
【0043】
ガスの吹き付けは上記のテープ状物質の陰極への付着端部(これは、剥離に従って移動していく。)の外、その上流側のテープ状物質に対しても行って剥離を促進してもよい。
【0044】
以上のように、テープ状物質合成直後のテープ状生成物の端部(合成開始部)にガスを吹き付けることにより、テープ状物質合成開始部からテープ状物質を確実に剥離させることができ、歩留まり良く回収することが可能となる。テープ状物質は適度な強度を有しているので、端部から確実に剥離を始めれば容易に回収できることになる。
【0045】
回収は、ガス吹付により剥離させたテープ状物質端部を回収容器内に導いてしまえば、後はテープ状物質合成とともに随時回収されていくこととなる。
【0046】
また、剥離したテープは適当な強度を有しており、また、テープ重量は非常に軽いので、剥離さえ確実にしていれば、吸引装置(ポンプ)にて吸引しても破壊されることもなく回収可能である。
【0047】
【実施例】
参考例1
図1は、カーボンナノチューブを含むテープ状物質の回収方法を示す構成図である。
【0048】
カーボンナノチューブを含むテープ状物質の合成は、陽極電極を10mmφの炭素電極を用い、陰極として直径35mmの円柱状炭素電極(電気抵抗率4600μΩ・cm,熱伝導率31W/m・K,表面の算術平均粗さ(Ra)3.2μm)を用いた。陰極電極を回転させるとともに、陽極電極を陰極電極の軸方向に直線的に移動させて、陰極電極上に螺旋を描く形で陰極点を移動させて行った。陰極の回転速度は1.5回転/分であり、陽極の移動速度は35mm/分であった。また、アーク放電は開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)で行い、図示しないガス供給装置により、アーク放電用の作動ガス(アルゴンガス)を10リットル/分で送給した。放電条件は、100A−20Vであった。この条件で合成すると、幅2〜3mm程度、厚さ100μm程度のカーボンナノチューブを含むテープ状物質が合成できた。
【0049】
同時に、テープ剥離用ガス送給装置を、合成されて回転してきたテープ状物質の端部が陰極のほぼ真下にきたときにガスを吹き付けることのできる位置に設置し、ガスをテープ状物質端部に吹き付けた。この時のガスは空気とした。ガスは5リットル/分で吹き付けた。このガス供給装置も陽極と同じ速度で移動させ、常に合成された後のテープ状物質に吹き付けるようにした。すると、元々少し時間が経過すれば、前記記載の理由により、テープ状物質は自然剥離を始めるが、ガス吹付により剥離が促進され、合成開始部分よりスムーズな剥離が確認できた。
【0050】
さらに、テープが剥離を開始した真下にテープ状物質回収瓶を配置した。この回収瓶も、陽極と同じ速度で移動することとした。図2に示すように、端部から剥離したテープ状物質は、陰極の回転により、下方向に剥がれていき、テープ状物質が途中で切れることなく、回収瓶の中に良好に回収されて行くことが確認できた。
【0051】
参考例2
図3は、カーボンナノチューブを含むテープ状物質の回収方法を示す構成図である。カーボンナノチューブの含むテープ状物質の合成条件およびテープ状物質にガスを吹き付ける装置(図示しない)は参考例1と同様である。テープ状物質が剥離を開始した真下にテープ状物質回収装置を設置した。この回収装置、陽極と同じ速度で移動することとした。回収装置の底には、目の細かい金網上の仕切りを配置し、吸引ポンプにより吸引した。時々、テープ状物質が切れて短いものになる場合もあったが、確実に回収することができた。
【0052】
実施例
図1において陽極に中空電極を用いた例を示す。陽極電極として、外径10mm、内径4mmの中空炭素電極を用い、陰極電極として直径35mmの円柱状炭素電極(電気抵抗率5900μΩ・cm,熱伝導率23W/m・K,表面の算術平均粗さ4.0μm)を用いた。陰極電極を回転させるとともに、中空炭素電極を陰極電極の軸方向に直線的に移動させて、陰極電極上に螺旋を描く形で陰極点を移動させた。陰極電極の回転速度は1.5回転/分であり、中空炭素電極(陽極電極)の移動速度は、35mm/分であった。また、アーク放電は、開放空間(大気圧下・大気雰囲気中)で行い、中空電極内から送給するガスには純アルゴンガスを用い、流量は1リットル/分とした。放電条件は、電流100A,電圧20V(アーク長約1mm)であった。アーク放電後、陰極電極上で陰極点が移動した螺旋状の位置に、幅2〜3mm程度、厚さ100ミクロン程度のテープ状の高純度CNTが合成された。
【0053】
これを参考例1と同様に、ガスをテープ状物質端部に吹き付けてテープ状物質を剥離回収した。剥離回収は、参考例1と同様スムーズに行うことができた。
【0054】
実施例
陽極に実施例の中空電極を用い、陰極には長尺炭素板を用いた。この陰極を直線状に移動させてカーボンナノチューブを含むテープ状物質を形成させ、参考例1と同様にしてガスを吹き付けてテープ状物質を剥離回収した。
【0055】
【発明の効果】
以上のように、この発明によれば、カーボンナノチューブを含むテープ状物質を回収するために、合成後のテープ状物質にガスを吹き付ける手段により、テープ状物質を確実に剥離するように構成したので、合成した高純度カーボンナノチューブを含むテープ状物質を歩留まり良く回収できる効果を得た。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一参考例であるカーボンナノチューブを含むテープ状物質を製造している状態を示す図である。
【図2】 図1と直角方向から見た、カーボンナノチューブを含むテープ状物質を回収する工程を示す図である。
【図3】 本発明の別の参考例であるカーボンナノチューブを含むテープ状物質を製造している状態を示す図である。
【図4】 本発明の実施例であるカーボンナノチューブを含むテープ状物質を製造している状態を示す図である。
【図5】 本発明のさらに別の実施例であるカーボンナノチューブを含むテープ状物質を製造している状態を示す図である。
【図6】 図5においてカーボンナノチューブを含むテープ状物質を回収している状態を示す図である。

Claims (1)

  1. 陽極電極に中空電極を用い、中空電極の内部から炭素材料からなる陰極電極に向けて不活性ガスもしくは不活性ガスを含む混合ガスを吹き付けながら行うアーク放電法で陰極上に生成された、カーボンナノチューブの綿状集合体を有するテープ状物質の陰極への付着端部にガスを吹き付けて該テープ状物質を陰極から剥離していくことを特徴とする、カーボンナノチューブの綿状集合体を有するテープ状物質の回収方法
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