JP3913381B2 - 受光素子とその製造方法並びに受光素子を備える光検出器 - Google Patents

受光素子とその製造方法並びに受光素子を備える光検出器 Download PDF

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Description

【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は受光素子に関する。
【0002】
【従来の技術】
最近では、大量の情報を記憶可能な光ディスクが、情報端末や音響機器等幅広い分野で用いられている。
【0003】
前記光ディスクには、例えばCD(Compact Disc)やDVD(Digital Video Disc)がある。
【0004】
前記CDディスクの夫々のピットは、凹型又は凸型の形状に形成され、この凹凸形状の光反射率の相違により、デジタル信号1又は0の信号に対応づけられる。
【0005】
一方、前記DVDディスクの各ピットは、反射率の異なるアモルファス層と結晶層との層変化により反射率を異ならせ、これによりデジタル信号1又は0の信号に対応づけられる。
【0006】
前記光ディスクを再生する為の装置(例えば、DVDプレーヤ等)は、一定速度で回転している光ディスク表面に発光素子からの光を照射し、その反射光の強度を後述する光検出器のメインスポットで検出することにより信号を再生する。
【0007】
図3は、このような光ディスク再生装置の光検出器1の一従来例を示している。
【0008】
前記光検出器1は、通常、2つのサイドスポット検出器2と、1つのメインスポット検出器3で構成されている。
【0009】
前記サイドスポット検出器2は、トラッキングを正常に行う為に用いられ、前記メインスポット検出器3は、4つの受光素子4からなり、光ディスクに記憶されている情報を読み取る為に用いられる。
【0010】
最近では、光ディスクに記憶される情報量を多くする為に、前記ピットの寸法を小さくし、ピット間の距離を短くする傾向にある。
【0011】
又、この小さなピットを検出可能にする為には、短波長の光(例えば、青色光)を発光可能な発光素子と、この短波長光を受光可能な受光素子が必要である。現在、最も短い波長の光を発光可能な発光素子としては青色発光素子が実用化されているが、このような波長を高感度で受光可能な受光素子は未だ研究段階である。
【0012】
そこで、長波長の光(例えば、赤外光)を受光可能な受光素子表面に、樹脂に短波長の光を長波長の光に変換可能な蛍光体を含有させた波長変換層を設けて、擬似的に短波長の光を受光可能とする技術が提案されている(例えば、特開平8−227533号公報参照)。
【0013】
前記波長変換層は、厚くなるほど層に含有される蛍光体の量が多くなり、変換効率が向上する為、受光面への長波長光の入射光強度が高まる。
【0014】
このような波長変換層を設ける方法としては、ウエファーの受光面上に前記蛍光体含有樹脂を付着した後にウエファーを回転し、所定時間の回転の後に回転を停止させ、前記ウエファーを約80℃〜150℃の範囲で加熱されている熱板上で数分間加熱することにより、受光面上に樹脂を形成する方法がある(例えば、特開平9−8017号公報参照)。
【0015】
【発明が解決しようとする課題】
前記波長変換層の変換効率は、この変換層中の蛍光体含有率及びその層厚に略比例して高まる。
【0016】
しかし、蛍光体含有率を高めると、樹脂の粘性が上昇し、上述の方法では波長変換層の層厚を均一にすることができない。この為、蛍光体の含有率は、10%程度に抑えなければならなかった。
【0017】
一方、このような低含有率の材料を利用する場合には、波長変換層の層厚を少なくとも数μm以上としなければ実用上十分な変換効率が得られない。
【0018】
然るに、このような層厚の波長変換層を有する受光素子を図3に示した受光素子4として採用すると、隣接する受光素子4間でのクロストーク発生要因となる。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明の半導体素子は、蛍光体からなる波長変換層を有し、前記蛍光体は、電子線蒸着により蒸着させたことを特徴とする。
【0020】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を適用した受光素子4の一実施例の断面図を示している。
【0021】
図1の受光素子の構造を製造方法と共に以下に説明する。
【0022】
先ず、抵抗率500Ωcm以上のn型Si基板7表面上に、ボロン拡散を施すことにより不純物濃度1×1020cm-3、深さ100μm程度のp型導電性高濃度不純物層(受光部)8を形成する。
【0023】
次に、前記受光部8の表面上に、酸素を流しながら熱を加える熱酸化により、厚さ約2.0μmのSiO2膜9を形成する。
【0024】
続いて、前記受光部8の垂直上方に存在する前記SiO2 膜9をフォトリソグラフィにより厚さ0.5〜1.0μmにする。
【0025】
その後、前記SiO2膜9表面上には、蛍光体からなる波長変換層10を形成する。
【0026】
具体的には、先ず、酸化イットリウムと酸化ユーロピウムに硫化剤を加えて調合し、これを1200℃〜1500℃程度で焼成した後、洗浄、乾燥させることにより高純度(好ましくは略100%)の蛍光体(Y22S:Eu)を形成する。
【0027】
次に、このようにして形成された蛍光体を、電子線蒸着によりSiO2膜9上に蒸着させることにより、厚さ5000Åの蛍光体層を形成する。
【0028】
その後、フォトリソグラフィにより受光部8領域の直上に位置する蛍光体層以外を除去する。これにより残存した蛍光体層が、波長変換層10となる。
【0029】
更に、受光部8直上のSiO2膜9及び波長変換層10の一部をフォトリソグラフィにより除去し、受光部8表面の一部を露出する。
【0030】
その後、アルミニウムを電子線蒸着により露出された受光部8表面に蒸着し、蒸着された前記アルミニウムの不要部分をフォトリソグラフィにより除去し、オーミック性のp型電極11を形成する。
【0031】
前記n型Si基板7の素子裏面には、リンを拡散することにより、不純物濃度1×102 0cm- 3 、深さ100μm程度のn型導電性高濃度不純物層6を設け、前記n型不純物層6の裏面全体には、電子線蒸着によりAuを蒸着し、オーミック性のn型電極5を形成する。
【0032】
本実施例の前記波長変換層10は、波長365nmの短波長光の波長を626nmの波長に変換する。
【0033】
図2に、前記受光部8の受光感度分布を示す如く、受光部8の受光感度は、300nmの波長から900nmの波長まで順に高くなっているが、900nmの波長を境にして900nmから1100nmの波長までは、急激に減少している。
【0034】
従って、受光素子4の受光部8自身は、365nmの波長の青色光を受光しても0.06A/Wの受光感度しか得ることができない。
【0035】
しかし、本実施例装置では、波長365nmの光を、受光部8では実質的に626nmの光として受光する為、図2に示す受光感度特性から明らかなように、0.38A/Wの受光感度で受光できる。
【0036】
本実施例では、前述の様に電子線蒸着により蛍光体からなる波長変換層10を受光素子4に形成している。
【0037】
前記電子線蒸着により厚さ5000Åの波長変換層10を有する受光素子4を前記メインスポット3に使用すると、前記変換層10の厚さが薄い為に、受光素子4間のクロストークを抑制できる。
【0038】
本実施例の波長変換層10は、高純度の蛍光体のみで形成されており、前記波長変換層10の単位体積あたりの蛍光体含有量は蛍光体を含んだ樹脂からなる波長変換層よりも遥かに高い。
【0039】
この為、波長変換層10を5000Åの薄膜としても前記波長変換層10の変換量を十分に確保できる。
【0040】
尚、本実施例では蛍光体としてY22S:Euを使用したが、Zn2SiO4:Mn等、他の蛍光体を使用してもよく、本実施例では電子線蒸着により波長変換層10を形成したが、スパッタリングにより前記波長変換層10を形成しても同様の効果が得られる。
【0041】
又、受光部8の受光感度が十分得られない場合には、受光素子4の出力を増幅装置で増幅すればよい。
【0042】
【発明の効果】
本発明の受光素子は波長変換層が薄い為、メインスポットの受光素子として使用しても正確な信号を受信することが可能である。
【0043】
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例の受光素子の断面図である。
【図2】受光部8の受光感度特性を示す図である。
【図3】従来の光検出器の上面図である。
【符号の説明】
1 光検出器
2 サイドスポット検出器
3 メインスポット検出器
4 受光素子
5 n型電極
6 n型高濃度不純物層
7 n型Si基板
8 受光部
9 SiO2
10 波長変換層
11 p型電極

Claims (4)

  1. 蛍光体からなる波長変換層を有する受光素子であって、前記波長変換層は、前記受光素子の受光部領域の直上に位置する蛍光体層によって形成され、前記受光部領域の直上に位置する前記波長変換層の一部が除去されて露出した前記受光部領域にオーミック性の電極を形成したことを特徴とする受光素子。
  2. 前記波長変換層は、単位体積あたりの蛍光体含有量が蛍光体を含んだ樹脂からなる波長変換層よりも高いことを特徴とする請求項1記載の受光素子。
  3. 蛍光体からなる波長変換層を有する受光素子の製造方法であって、電子線蒸着あるいはスパッタリングによって前記受光素子の表面に蛍光体層を形成する工程と、前記受光素子の受光部領域の直上に位置する前記蛍光体層以外の蛍光体層を除去することによって前記波長変換層を形成する工程と、前記波長変換層の一部を除去して前記受光部の一部を露出する工程と、露出した前記受光部の表面にオーミック性の電極を形成する工程とを備えることを特徴とする受光素子の製造方法
  4. 複数の受光素子からなるメインスポット検出器とサイドスポット検出器で構成される光検出器において、前記メインスポット検出器を構成する受光素子として、蛍光体からなる波長変換層を有する受光素子を用い、前記波長変換層は前記受光素子の受光領域部の直上に位置する蛍光体層以外が除去されて残存した蛍光体層によって形成されていることを特徴とする光検出器
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