JP3912862B2 - ファインダーのレンズ保持装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レンジファインダー式のカメラのファインダーのレンズ保持装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
銀塩フィルムを用いるレンジファインダー式のカメラにおいては、レンズを通してフィルムの1駒の画面に露光される画角に対し、ファインダーの画角が一致或いはやや小さい値になるようにし、かつ、フィルム露光画像とファインダー画像とに殆どずれが生じないようにする必要がある。カメラのファインダーは、カメラを構成する各部品の製造上の寸法誤差の積み重ねにより生じる設計中心からの光学的なずれを補正するための調整が必要になることがあった。この調整は主に、ファインダー像のピント調整を行う視度調整と、実際の撮影画角とファインダー像の画角を所定距離で一致させるために行う視差(パララックス)調整に大別される。
【0003】
従来、ファインダー視度は対物レンズ、または、接眼レンズの光軸方向への移動によって補正され、所定の規格値内に収めるような調整が必要になる。特に高倍率のズーム比を有するカメラのファインダーでは望遠時と広角時で視度が大幅に異なる為、カメラ製造工程中に各ズームポジションで、視度を所定の規格値に収める必要がある。
【0004】
一方視差調整は、ファインダー光学系を構成する各部品で補正することが可能である。例えば、実像式のファインダーについて考えると、(1)焦点面に存在する視野枠を光軸と直交する方向に移動する。(2)プリズムの傾きを調整する。(3)対物レンズを光軸と直行する方向に移動させる等、種々の方法が考案され、また実施されてきた。
【0005】
しかしながら、ファインダーの視度調整及び視差調整は、本来、その性質上、ファインダーのレンズ保持装置をカメラ本体に取り付けた状態で調整することが望ましいが、上記従来例では各調整が別々の箇所に分散し、また、その調整も微妙かつ複雑な為、高度な熟練を要するものであった。
【0006】
この調整の不具合の原因を列挙すれば、以下の如くである。
(i)製品を小型化するために、調整に要する十分なスペースが確保できない。
(ii)調整方法自体、複雑(ミラーの傾き調整、プリズムの傾き調整など)であり、特殊な治具によって行われなければならない。
(iii)調整後、その状態を保持するために接着を行う必要がある。この際、固着するまで調整した位置からずれないように、治具などで接着工程が完了するまで保持しておくことが必要になる。この為、次の工程へ進めず、効率が悪かった。
(iv)調整箇所が別々の位置にあるため、調整時の作業効率が悪かった。
【0007】
これらの問題点に対し、特開平7−43784号公報では、対物レンズを光軸と垂直な方向へ移動可能に仮保持する第一保持部材と、この第一保持部材に仮保持された対物レンズを光軸方向(前後方向)へ移動可能に仮保持する第二の保持部材を備えた調整装置を設け、ファインダーのレンズ保持装置の組立工程のうち、視度調整と視差の調整を対物レンズの位置調整で行うようにしている。
【0008】
一方、撮影レンズがズームレンズである場合のファインダー装置の変倍機構は、通常、変倍のために移動するレンズをレンズ保持部材で保持し、そのレンズ保持部材の一部に設けられた嵌合穴にファインダーブロックなどに固定されたガイドバーを摺動可能に嵌合させることにより、レンズはファインダーブロックに対して光軸方向に移動が可能なように保持される。そして、レンズの光軸方向への移動は、レンズホルダの一部に設けられたピンとファインダーブロックの下面あるいは上面に位置し、撮影レンズ鏡筒の変倍動作に連動して光軸周りに回動し、あるいは光軸と直交する方向に移動するカム部材のカム面が当接し、カム部材の移動に連動することにより行われる。この移動の際にレンズがガイドバーを中心とした回動を生じると、所謂、偏心を起こすことになり、像性能が劣化するばかりでなく、観察している視野が移動し、観察像が揺れるようになり、滑らかなズーミングがなされなくなってしまう。
【0009】
この現象は、特にズーミング操作の反転したところで生じ易い。これはレンズホルダのピンに対し、前記カム部材の摺動方向が反転することにより、レンズホルダが揺動するためである。これを極力抑えるため、通常、レンズホルダの一部にキーを設けると共にファインダーブロック側にキー溝を設け、キーとキー溝を嵌合させる方法、または弾性部材などでレンズ保持部材をファインダーブロック等の固定部材へ摺動可能に押し当てるなどの方法がとられてきた。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来例では、視度調整及び視差調整の場合、視差の調整を対物レンズに対し被写体側(前側)から行い、視度の調整をカメラ上方から行うようにしているため、作業者が調整作業時にピンセットでつまむ箇所を大きく変えなければならず、非常に作業の効率が悪いものであった。
【0011】
また、視差の調整の際、レンズの一部をつまんで移動させようとすると、レンズは左右2箇所を弾性部材で押えられているため、押えられている箇所を中心にレンズは回動してしまい、所望の移動が得られないでいた。そのために移動する方向の軸上を押す、あるいは引くという作業になり、当然、移動方向によりつまむ箇所を変えていかなければならず、作業効率が非常に悪いものであった。またはレンズが回動しないようにしっかりと保持するために、専用の工具を必要としていた。
【0012】
更に、視差の調整を対物レンズの前側から行おうとすると、その調整されるレンズの前方に別のレンズが有るような構成のファインダーにあっては、作業が不可能である。仮に、作業を行うにしても、その前側に位置するレンズを組み込む前に作業を行う必要がある。この場合、前側のレンズの代わりになるダミーレンズを治工具に取り付けておく必要があり、治工具は大掛かりなものになってしまう。また、ダミーレンズと実際のレンズとの寸法誤差あるいは実際のレンズの取り付け誤差などにより、調整した結果が許容範囲に収まらない可能性があった。更に、前記提案の構成で光学系の性能を確保するためにレンズを保持する保持部材の前方、あるいは後方にマスクを配置した場合、マスクの中心軸と、レンズ光軸にずれが生じてしまい、マスクの作用が低下することがあった。
【0013】
また、ガイドバーを中心としたレンズの回動を抑える方法のうち、キーによる嵌合の方法は、キーとキー溝の嵌合ガタが生じないようにしても、量産時の製造誤差やばらつきを考慮し、或る程度のガタを許容せざるを得ない。しかし、レンズの敏感度によっては、僅かな嵌合ガタでも像の揺れが大きくなることもある。レンズホルダを弾性部材により押し付ける構造では、確実にその効果を出すためには専用の部品を必要とし、コストアップを招くばかりか、スペースの状態によっては専用の部品を設けることができない等の問題があった。
【0014】
上記の課題を解決するため、本出願に係る発明の目的は、視差調整及び視度調整を同一方向から行えると共に、熟練を要することなく寸法精度の向上及び光軸ずれを低減することのできるファインダーのレンズ保持装置を提供することにある。
【0015】
【課題を解決するための手段】
本出願に係る発明の目的を実現する構成は、請求項1に記載のように、ファインダー光学系内の特定のレンズを光軸周りに回動することにより、前記特定のレンズを光軸方向に相対移動可能となるように保持する第一の保持部材と、前記第一の保持部材を、前記第一の保持部材に形成された曲げ部によって光軸と直交する方向に相対移動可能なようにファインダー装置に保持する第二の保持部材と、を備えることを特徴とするファインダーのレンズ保持装置にある。
【0016】
この構成によれば、レンズが第一の保持部材に組み込まれた後でも両者を光軸方向へ相対的に動かすことができ、ファインダーにおける視度調整が容易に行えるようになる。また、第一の保持部材に対して第二の保持部材が光軸に直交する方向に相対移動できるため、視差調整と視度調整が可能になる。また、レンズと第一の保持部材とは、光軸周り、すなわち円周方向へ回動するように相対移動するので、視度調整が行える。
【0019】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項2に記載のように、前記第一の保持部材は、一部を前記第二の保持部材により上下方向の移動のみを許容するようにガイドされたことを特徴とするファインダーのレンズ保持装置にある。
【0020】
この構成によれば、第一の保持部材の突片と第二の保持部材の貫通穴を軸部として、第一の保持部材と第二の保持部材の全体的な係合がなされ、前記突片は前記貫通穴に遊嵌していることから第一の保持部材すなわちレンズは上下、左右の調整に要求される程度の範囲で動くことができる。
【0021】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項3に記載のように、前記第一の保持部材は、有害光をカットするためのマスク部を有することを特徴とするファインダーのレンズ保持装置にある。
【0022】
この構成によれば、マスク部がレンズ周囲から有害光がレンズに侵入するのを防止することができ、ファインダー画像が劣化しない様にすることができる。
【0023】
本出願に係る発明の目的を実現する具体的な構成は、請求項4に記載のように、前記特定のレンズ及び前記第一の保持部材を前記第二の保持部材へ附勢する弾性部材を備えたことを特徴とするファインダーのレンズ保持装置にある。
【0024】
この構成によれば、前記レンズ及び前記第一の保持部材が前記弾性部材によって押圧されるため、各部材はねじ等で固定しなくとも1つのレンズ保持装置として一体化され、かつ視度調整及び視差調整を可能にする。
【0027】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を基に説明する。
【0028】
図1は本発明によるファインダーのレンズ保持装置を示す分解斜視図である。また、図2は本発明におけるファインダー光学系を示す配置図である。
【0029】
図2における(a)はファインダー光学系の広角側における配置図を示し、(b)はファインダー光学系の同望遠側における配置図を示す。なお、カメラの撮影レンズ(フィルム面に被写体像を結像させるためのレンズ)はファインダーから離れた位置に配置されているため、ここでは図示を省略している。
【0030】
まず、図2について説明する。図中、1は第一群の第一対物レンズ、2は第一対物レンズ1の後方に同軸に配置された第二群の第二対物レンズである。この第一対物レンズ1及び第二の対物レンズ2は夫々カム板(不図示)により撮影レンズ(不図示)のズーム動作に連動して移動し、所定のズーム倍率が得られるように位置が変動する構成になっている。3は第二対物レンズ2の後段に配置された第三群の第三対物レンズ、4は第三対物レンズ3の後段に配置されたプリズムであり、5はプリズム4の出力画像を反転させるためのダハプリズムである。更に、6はダハプリズム5の後段に配置されて、像を観察するための接眼レンズである。
【0031】
被写体像は第一対物レンズ1→第二対物レンズ2→プリズム4→ダハプリズム5を順次通過して接眼レンズ6に到達し、ユーザの瞳に入射される。第一対物レンズ1と第二対物レンズ2は撮影レンズの画角(ズーム倍率)に応じて図2の(a)から(b)の範囲を移動する。すなわち、撮影レンズの画角に応じてファインダーの画角が変化する。プリズム4では、第三対物レンズ3からの入射光が内部で2回内面反射し、ダハプリズム5ではプリズム4からの入射光が内部で3回内面反射する。これにより、ユーザの瞳には正立正像の被写体像が入射する。
【0032】
次に、図1,図3,図4及び図5を用いて、本発明によるレンズ保持装置の詳細構成について説明する。
【0033】
図3は図1のレンズ保持装置の正面図、図4は図3のレンズ保持装置のa−a断面図である。図5は第一の対物レンズ1の斜視図である。
【0034】
図1及び図5において、1は図2に示した第一対物レンズに相当し、図5に示すようにレンズ周囲にはフランジ部1aが設けられている。このフランジ部1aには120度間隔で高さを同一とし、0.1mmずつ段差を持つ突き当て面1bが形成されている。このうち、最も高い3箇所の突き当て面1bは、周辺のフランジ部1aと同一高さ(同一平面)に形成されている。この突き当て面1bの段差は、後述する視度の調整を行うためにレンズの光軸方向位置を調整するための段差である。
【0035】
図1及び図4に示す7はレンズを直接保持する第一の保持部材であり、後方から第一対物レンズ1を内嵌し、レンズを回動可能に保持する。第一の保持部材7の周囲にはフランジ部が設けられ、120度間隔で球状の凸部7aを3箇所に備えており、第一対物レンズ1のレンズ突き当て面1bに対し、同じ高さの面が同時に3箇所当接するように配置されている。この構成により、第一対物レンズ1と、第一保持部材7を相対的に回動させることにより、当接するレンズ突き当て面1bを変えることができ、結果的に、第一対物レンズ1と第一保持部材7の相対的な光軸方向の位置を変えることができる。7bはマスクであり、レンズ周囲から侵入する有害光をカットするためのものである。
【0036】
8は第一対物レンズ1をファインダー装置に変倍のための光軸方向移動が可能に保持するための第二の保持部材である。8aは本体の一部に設けられたスリーブであり、レンズを光軸方向に移動可能にファインダー装置に保持するため、後記するファインダー装置に取り付けられたガイドバーを嵌入させるためのものである。本体の大部分を貫通するように設けられた8bは開口であり、第一の保持部材7が挿入される。この開口8bの大きさは、第一の保持部材7に対し、上下左右に寸法的な余裕を持つように形成されている。この余裕は視差調整に必要な量だけ確保されている。本実施の形態では、カメラ撮影レンズ光軸とファインダーレンズ光軸とのずれは、上下方向よりも左右方向が小さい。そのため、視差は上下方向よりも左右方向が小さい。よって、左右方向の余裕は上下方向よりも小さく設定してある。スリーブ8aに隣接して角穴8cが設けられており、第一の保持部材7を組み込んだ際、立ち曲げ部7cが挿入される。この角穴8cの穴寸法は、上下方向は調整に必要な量だけ確保されるように設定され、左右方向は立ち曲げ部7cの幅寸法とほぼ同一に設定してあるので、立ち曲げ部7cを上下方向にのみ移動可能なように保持する。第二の保持部材8の本体側面には一対のカムフォロフー8dが設けられている。このカムフォロフー8dは、撮影レンズ鏡筒と連動してズーミングされた際、撮影レンズ光軸を中心に回動するカム板のカム溝に係合し、第一対物レンズ1を光軸方向へ移動させる。
【0037】
9は第一対物レンズ1と第一保持部材7を第二の保持部材8へ弾性的に押し付け、保持するためのバネ部材である。このバネ部材9は、第一の保持部材7に第二の保持部材8及び第一対物レンズ1を組み込んだ後、その後方から第一の保持部材7に組み込まれる。バネ部材9の側端の対照位置に設けられた2箇所の立ち曲げ部9aには穴(不図示)が設けられている。この穴には第二の保持部材8の外周に設けられた爪8dが係合し、この状態のまま連結部9bのほぼ中央にある半球状の凸部9cが第一対物レンズ1のフランジ部に後方から当接するようになっている。この時、第一対物レンズ1は前後方向へ移動するため、最も前方に位置したときでも、連結部9bは十分な押し付け力をもって撓んでいる必要がある。立ち曲げ部9aの一方には、ファインダーレンズ光軸に直交する方向にバネ部9dが延伸している。このバネ部9dは、ファインダー装置に組み込まれた状態でファインダー装置の固定部分に弾性的に接触する。バネ部9dの先端部分はファインダーレンズ光軸と平行な方向に延長され、更に、その先端にはファインダー装置の固定部分と摺動する際に滑らかに接触できるように、曲面加工が施されている。
【0038】
次に、上記レンズ保持装置をファインダー装置に組み込んだ状態を図6,図7を用いて説明する。
【0039】
図6は図1の各部材を組み付け後のレンズ保持装置の縦断面図を示し、図7は図6のレンズ保持装置の正面図を示している。図6及び図7において、10はガイドバーである。このガイドバー10は第二の保持部材8のスリーブ8aに嵌入し、レンズ保持装置を光軸方向へ移動可能にファインダー装置に保持する。11はファインダーの変倍を行うためのカム板であり、11aはカム溝で第二の保持部材8のカムフォロワー8dが係合している。12はレンズ保持装置をカム溝11aの前側の面に確実に押し付けるためのコイルスプリングである。13はファインダー装置である。
【0040】
レンズ保持装置は、カム板11が撮影レンズ鏡筒のズーミングと連動し、図7の矢印方向に回動することにより、ガイドバー10にガイドされながらカム溝11aとカムフォロワー8dが係合することによって光軸方向の移動がなされ、ファインダーの変倍が可能になる。
【0041】
次に、以上のように構成されたレンズ保持装置による具体的な視度調整及び視差調整の方法について説明する。調整に当たっては、撮影常用距離で視度および視差の調整を行う必要があるが、ここでは便宜上、この常用距離を3mとする。
【0042】
まず、視度調整は敏感度の高い望遠側の状態、図1の(A)の状態で行い、第一対物レンズ1を第一の保持部材2に対して回動させ、凸部7aが当接する突き当て面1bを選択し、第一対物レンズの光軸方向位置を移動することで行う。実際の作業は、第一対物レンズ1のフランジ1aの上部にある切り込み部1cをピンセットなどの先端で回動させたい方向に押すことで行い、所定距離(ここでは3m)での像を接眼レンズを通して観察したとき、被写体像が最も鮮明になるように調整する。また、このとき中央の段差部から+0.1mm、あるいは−0.1mmへ回動させたときに、回動し過ぎないよう第一保持部材7の曲げ部7dが第一対物レンズ1のフランジ1aに設けられた切り込み部1cに当接するようになっている。第一物レンズ1はバネ部材9により常に後方から第一の保持部材7に押し付けられているため、第一対物レンズ1と第一の保持部材7の相対的な回動方向の位置を変えるだけで、第一対物レンズ1の光軸方向位置を移動させることが可能である。
【0043】
次に、視差調整は、所定距離の物体に対して撮影光学系とファインダー光学系の画角を一致させるための調整であるが、以下の方法で行う。まず、所定距離(ここでは3m)、所定焦点距離(望遠側が望ましい)上での撮影光学系の画角範囲を被写体距離上のチャートで示しておき、この画角とファインダーの接眼レンズから観察される像範囲が一致するように、第一の保持部材7の曲げ部7dをピンセットなどでつまんで上下、左右方向に移動させる。当然、第一対物レンズ1は第一の保持部材7に嵌入してあるため、第一の保持部材7と一体に移動する。このとき、立ち曲げ部7cと角穴8cの係合部分は、上下のみの移動が可能になっている。このため、第一の保持部材7は曲げ部7dを左右方向に移動しようとした場合、この係合部分を略回動中心にして回動し、結果的に左右方向位置が移動することになる。逆に、この係合部分が無い場合、第一の保持部材7を上下、左右方向に移動させようとすると、バネ部材9の凸部9bで押し付けられている部分を中心に回動してしまい、思うように移動ができない。その為、移動させたい方向の軸上を押したり、引いたりしなければならず、作業効率が非常に悪い。あるいは、スペースによっては、作業に用いるピンセットなどが入らないこともあり得る。
【0044】
しかし、本実施の形態によれば、曲げ部7dの一箇所のみをつまんで移動させることで、上下、左右、いずれの方向に対してもスムーズな移動が可能であるため、作業効率が良いばかりでなく、狭いスペース、あるいは調整されるべきレンズの前方に他のレンズがある場合でも、調整が容易に行える。また、本実施の形態における第一の保持部材7にマスク7bを一体的に形成しているため、以上のような視度調整および視差調整を行っても、第一対物レンズ1と第一の相対的な位置関係は保持部材7が光軸方向に移動するのみで、マスク7bの中心軸とレンズ光軸にずれは生じない。マスク7bの作用にほとんど変化はない。そのため、第一対物レンズ1の周縁部から不必要な光線を入射させることがなく、像性能を悪化させることがない。
【0045】
次に、バネ部材9のバネ部9dについて説明する。図7に示すようにレンズ保持装置がファインダー装置に組み込まれた状態では、バネ部9dがファインダー装置13の固定部分の壁13aに常に弾性的に接触している。よって、レンズ保持装置全体はガイドバー10を中心に時計方向に回動附勢され、第二の保持部材8の凸部8eがファインダー装置の壁13bに当接している。この凸部8eと壁13bは夫々表面が滑らかに仕上げられ、レンズ保持装置がガイドバー10にガイドされながら光軸方向に移動する際、引っかかりなくスムーズに摺動するようになっている。この時、バネ部9dによる弾性力は、カム溝11aとカムフォロワー8dの摩擦により発生するガイドバー10を中心とした回動モーメントに十分打ち勝つだけの荷重を発生し、かつ、凸部8eと壁13bの摺動が滑らかに行われる程度の荷重に抑えられている。このことから、レンズ保持装置はズーミングによりカム板11の移動方向が反転しても、常に時計方向に押し付けられており、レンズの光軸ずれが生じることは無く、接眼レンズを通して観察される像は揺れることのない良好な像を得ることができる。
【0046】
この構成によれば、夫々の部品の精度をそれほど厳しく抑える必要が無く、また、専用のバネ部品を設ける必要も無いため、コストダウン、スペースの効率的な使用が可能になる。
【0047】
〔発明と実施の形態の対応〕
以上の実施の形態において、バネ部材9が弾性部材に相当し、バネ部材9のバネ部9dが突出片に相当する。
【0048】
【発明の効果】
以上説明したように、本出願に係る請求項1記載の発明によれば、レンズを光軸方向に相対移動可能に保持する第一の保持部材、及び光軸と直交する方向に相対移動が可能なように前記第一の保持部材をファインダー装置に保持する第二の保持部材を備えるようにしたので、視差と視度の両方の調整を同一方向から作業することが可能になると共に、調整を必要とするレンズの前方に他のレンズが有ったり、スペース的に工具やピンセット等を挿入する余裕が無い場合でも調整作業が可能になる。更に、専用の工具が無くとも、視度調整及び視差調整に熟練作業が要求されないため、各調整が極めて容易であり、効率的に実施することができる。また、レンズを第一の保持部材に対し光軸周りに回動させてレンズと第一の保持部材との相対移動を行わせるようにしたので、視度調整が簡単に行える。
【0050】
本出願に係る請求項2に記載の発明によれば、前記第一の保持部材は、周辺の1ヵ所に設けられた突片が前記第二の保持部材に設けられた貫通穴に係合する構成にしたので、レンズは上下、左右の調整に要求される程度の範囲で動けるようになり、視度調整に支障を及ぼすことがない。
【0051】
本出願に係る請求項3に記載の発明によれば、有害光をカットするためのマスク部を第一の保持部材に設けるようにしたので、レンズ周囲から有害光がレンズに侵入するのを防止することができ、ファインダー画像が劣化しない様にすることができる。
【0052】
本出願に係る請求項4に記載の発明によれば、特定のレンズと第一の保持部材を第二の保持部材へ附勢する弾性部材を第一の保持部材に設けるようにしたので、ねじ等で固定しなくとも各部材は1つのレンズ保持装置として一体化され、かつ視度調整及び視差調整を可能にする。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるファインダーのレンズ保持装置を示す分解斜視図である。
【図2】本発明によるファインダー光学系を示す配置図である。
【図3】本発明に係る第一対物レンズの構成を示す正面図である。
【図4】図3の保持装置のa−a断面図である。
【図5】本発明に係る第一対物レンズの構成を示す斜視図である。
【図6】第一対物レンズを組み込んだレンズ保持装置を示す断面図である。
【図7】図6のレンズ保持装置の正面図である。
【符号の説明】
1 第一対物レンズ
7 第一の保持部材
7a,8e,9c 凸部
7b マスク
7c,9a 立ち曲げ部
7d 曲げ部
8 第二の保持部材
8a スリーブ
8d カムフォロワー
9 バネ部材
9d バネ部
10 ガイドバー
11 カム板
13 ファインダー装置
Claims (4)
- ファインダー光学系内の特定のレンズを光軸周りに回動することにより、前記特定のレンズを光軸方向に相対移動可能となるように保持する第一の保持部材と、前記第一の保持部材を、前記第一の保持部材に形成された曲げ部によって光軸と直交する方向に相対移動可能なようにファインダー装置に保持する第二の保持部材と、を備えることを特徴とするファインダーのレンズ保持装置。
- 前記第一の保持部材は、一部を前記第二の保持部材により上下方向の移動のみを許容するようにガイドされたことを特徴とする請求項1記載のファインダーのレンズ保持装置。
- 前記第一の保持部材は、有害光をカットするためのマスク部を有することを特徴とする請求項1記載のファインダーのレンズ保持装置。
- 前記特定のレンズ及び前記第一の保持部材を前記第二の保持部材へ附勢する弾性部材を備えたことを特徴とする請求項1記載のファインダーのレンズ保持装置。
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