JP3912134B2 - 排気ガス浄化装置及び排気ガス浄化方法 - Google Patents

排気ガス浄化装置及び排気ガス浄化方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の排気ガスを浄化する排気ガス浄化装置及び排気ガス浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、自動車等に搭載される筒内噴射型の内燃機関、例えばディーゼル機関では、排気ガス中に含まれる煤等の排気微粒子を除去すると共に窒素酸化物(NOx)を除去することが要求されている。そしてこのような要求に対し、NOx吸蔵剤が担持されたパティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタと称する)を内燃機関の排気ガス通路に配置する方式の排気ガス浄化装置が提案されている。
このような排気ガス浄化装置としては、内蔵されたNOx吸蔵剤担持フィルタを流通する排気ガスの流量を調整できるものが公知であり、その中には排気ガスの流れの方向を反転することができるものもある(例えば特開2001−342821号公報)。
【0003】
これは、通常使用時において、フィルタを流通する排気ガスの方向を反転することにより、フィルタ内の位置による排気微粒子捕集量及びNOx吸蔵量の偏りを緩和して、フィルタ及びフィルタに担持されているNOx吸蔵剤を効率的に利用しようとするものである。また、排気ガスの流通方向を反転することにより、フィルタの詰まりを防止する効果もある。
【0004】
一方、上述したような排気ガス浄化装置に用いられるNOx吸蔵剤は、排気ガスの空燃比がリーンの時にはNOxを吸蔵し、排気ガス中の空燃比が小さくなり、且つ排気ガス中にHCやCO等の還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化する作用(NOxの吸収放出及び還元作用またはNOxの吸着及び還元作用)を有する。そしてこの作用を利用して、排気ガスの空燃比がリーンの時に排気ガス中のNOxをNOx吸蔵剤に吸蔵させ、一定期間使用してNOx吸蔵剤の吸蔵効率が低下した時または低下する前にNOx吸蔵剤の上流側において還元剤(燃料)を添加する等して、NOx吸蔵剤に吸蔵したNOxの還元浄化を行うようにしている。
【0005】
なお、本明細書において「吸蔵」という語は「吸収」及び「吸着」の両方の意味を含むものとして用いる。したがって、「NOx吸蔵剤」は、「NOx吸収剤」と「NOx吸着剤」の両方を含み、前者はNOxを硝酸塩等の形で蓄積し、後者はNO2等の形で吸着する。
ところで、内燃機関の燃料には硫黄(S)成分が含まれている場合があり、この場合には排気ガス中に硫黄酸化物(SOx)が含まれることとなる。排気ガス中にSOxが存在するとNOx吸蔵剤はNOxの吸蔵作用を行うのと全く同じメカニズムで排気ガス中のSOxの吸蔵を行う。
【0006】
ところが、NOx吸蔵剤に吸蔵されたSOxは比較的安定であり、一般にNOx吸蔵剤に蓄積されやすい傾向がある。NOx吸蔵剤のSOx蓄積量が増大すると、NOx吸蔵剤のNOx吸蔵容量が減少して排気ガス中のNOxの除去を十分に行うことができなくなるため、NOxの浄化効率が低下するいわゆる硫黄被毒(S被毒)の問題が生じる。特に、燃料として比較的硫黄成分を多く含む軽油を使用するディーゼルエンジンにおいてはこの硫黄被毒の問題が生じやすい。
【0007】
一方、NOx吸蔵剤に吸蔵されたSOxについても、NOxと同じメカニズムで放出、脱離等が可能であることが知られている。しかし、SOxは比較的安定した形でNOx吸蔵剤に吸蔵されるため、通常のNOxの還元浄化制御が行われる温度(例えば250℃程度以上)ではNOx吸蔵剤に吸蔵されたSOxを放出等させることは困難である。このため、硫黄被毒を解消するためには、NOx吸蔵剤を通常のNOx還元浄化制御時より高い温度、すなわち硫黄分放出温度(例えば600℃以上)に昇温し、且つ流入する排気ガスの空燃比を略ストイキまたはリッチ(以下、単にリッチという)にする硫黄被毒再生制御を定期的に行う必要がある。そして、硫黄被毒再生を実施するためにNOx吸蔵剤を高温且つリッチの状態にする方法としては、NOx吸蔵剤の上流側において還元剤を添加し、還元剤の反応によってNOx吸蔵剤を昇温すると共に略ストイキまたはリッチ雰囲気を作り出す方法が公知である。
【0008】
また、上記のようなNOx吸蔵剤を担持しているフィルタは排気ガス中に含まれる煤等の排気微粒子を捕集して除去するが、そのフィルタ上に蓄積された排気微粒子を着火燃焼させるために、フィルタの上流側において還元剤を添加する場合もある。
以上のように、上記のようなNOx吸蔵剤及びフィルタを利用した排気ガス浄化装置においては、そのNOx吸蔵剤及びフィルタを浄化(NOxの放出還元、硫黄被毒再生、捕集排気微粒子の燃焼等)するための制御等においてNOx吸蔵剤及びフィルタの上流側で還元剤の添加を行う場合がある。そしてこの際、少ない量の還元剤の添加で目的を達成し且つエミッション(還元剤のすり抜け)の低減を図るため、NOx吸蔵剤及びフィルタを流通する排気ガスの流量を少なくするのが一般的であるが、その結果、一部の還元剤は上記のような制御完了後においてNOx吸蔵剤及びフィルタに残存することとなる。
【0009】
そして上述したような制御を終了すると、全量の排気ガスがNOx吸蔵剤及びフィルタを通過して浄化される通常の状態に戻されるため、NOx吸蔵剤及びフィルタを流通する排気ガスの流量は増加される。この時、排気ガス中には酸素が含まれているため、NOx吸蔵剤及びフィルタを流通する排気ガスの流量の増加によって、上記制御中にNOx吸蔵剤及びフィルタに付着等して残存した還元剤(HC等)が急速に反応して発熱することとなる。そしてこのような発熱によって上記のような制御後にNOx吸蔵剤及びフィルタが昇温され、これらが熱劣化してしまう、もしくは溶損してしまうという問題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みてなされたもので、その目的は、残存された還元剤の反応による排気ガス浄化手段(NOx吸蔵剤及びフィルタ等)の過加熱を防止できる排気ガス浄化装置及び排気ガス浄化方法を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された排気ガス浄化装置及び排気ガス浄化方法を提供する。
1番目の発明は、排気ガス通路に配置された排気ガス浄化手段と、その排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を調整できる排気ガス流量調整手段と、上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する還元剤添加手段とを備え、必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施される排気ガス浄化装置であって、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置において、更に、上記排気ガス流量調整手段が上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向を反転でき、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通する方向を上記予め定められた制御中とは反転して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置を提供する。
【0012】
1番目の発明のようにすることによって、上記のような予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させる場合において、上記予め定められた制御中の還元剤の添加により上記排気ガス浄化手段に残存された還元剤と、流入排気ガス中の酸素とが急速に反応することが防止され、もしくは上記排気ガス浄化手段における上記反応による発熱量が減少され、上記排気ガス浄化手段の過加熱が防止される。
また、上記予め定められた制御中の還元剤の添加によって上記排気ガス浄化手段に残存する還元剤はその排気ガス浄化手段のうちのその還元剤の添加中における上流側部分に多い。したがって、1番目の発明のようにすることにより、上記排気ガス浄化手段が過加熱されることを防止することができる。すなわち、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時に、排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通する方向を上記予め定められた制御中とは反転して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を調整すると、この場合の流れの上流側部分においては残存した還元剤が少ないために発熱量が少なく、また、この場合の流れの下流側部分に多く残存している還元剤は、移動するとすぐに上記排気ガス浄化手段から吐き出されてしまうため、上記排気ガス浄化手段の過加熱が防止されるのである。
これにより、流量の微調整を伴わない流通方向の反転という比較的単純な流量調整によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されることを防止することができる。
【0013】
2番目の発明では1番目の発明において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される場合において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量が徐々に変化せしめられる
このようにすることによって、上記排気ガス浄化手段に残存していた還元剤が一度に多量に吐き出されることが防止される。
【0014】
3番目の発明は、排気ガス通路に配置された排気ガス浄化手段と、その排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を調整できる排気ガス流量調整手段と、上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する還元剤添加手段とを備え、必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施される排気ガス浄化装置であって、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置において、更に、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量を推定する残存還元剤量推定手段を有していて、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記残存還元剤量推定手段によって推定された残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置を提供する。
【0015】
これにより、残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱が確実に防止されると共に、過加熱を防止しながらできるだけ多くの排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通するようにすることができる。
【0016】
4番目の発明では3番目の発明において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される場合において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量が徐々に変化せしめられる。
このようにすることによって、上記排気ガス浄化手段に残存していた還元剤が一度に多量に吐き出されることが防止される
【0017】
5番目の発明では3番目または4番目の発明において、上記残存還元剤量推定手段が、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を推定する流量推定手段と、上記排気ガス浄化手段の下流側における排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段とを含む。
【0018】
6番目の発明では5番目の発明において、上記還元剤濃度推定手段は、HC濃度を推定するHCセンサを含む。
上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量及びその流量での上記排気ガス浄化手段の下流側における排気ガス中の還元剤濃度またはHC濃度と、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤またはHCの量とには一定の関係があるため、5番目または6番目の発明のようにすることによって、上記排気ガス浄化手段の残存還元剤量またはHC量を推定することができる。
【0019】
7番目の発明では番目から6番目の何れかの発明において、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が上記残存還元剤量推定手段によって推定され、推定された上記残存還元剤量が予め定められた残存還元剤量を超えている場合には、上記排気ガス流量調整手段が上記予め定められた制御中の状態に戻されて、もしくは上記予め定められた制御中の状態とは上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向のみ異なるようにされた状態にされて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される。
【0020】
このようにすることによって、残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱を防止するために行う上記排気ガス流量調整手段の制御を単純化することができる。
8番目の発明では7番目の発明において、上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が上記残存還元剤量推定手段によって推定され、推定された上記残存還元剤量が予め定められた残存還元剤量を超えている場合には、上記排気ガス流量調整手段が上記予め定められた制御中の状態に戻されて、もしくは上記予め定められた制御中の状態とは上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向のみ異なるようにされた状態にされて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される上記制御が、予め定められた待ち時間をおいて繰り返される。
【0021】
こうすることによって、7番目の発明と同様の作用及び効果に加え、上記の予め定められた待ち時間を適切に設定することで、効率的且つ確実に上記排気ガス浄化手段の過加熱を防止しながら通常状態に移行することが可能となる。
9番目の発明では8番目の発明において、上記排気ガス浄化手段の温度が予め定められた温度以下に低下した時に上記の予め定められた待ち時間が経過したとする。
【0022】
このようにすることにより、上記の予め定められた温度を適切に設定することで上記排気ガス浄化手段の過加熱をより確実に防止しながら通常状態に移行することが可能となる。
10番目の発明では7番目から9番目の何れかの発明において、上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量を上記残存還元剤量推定手段によって推定する場合において、上記排気ガス流量調整手段を通常状態における状態へと制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が推定される。
【0023】
このようにすることによって、必要な上記排気ガス流量調整手段の制御をより単純化することができる。
11番目の発明では1番目から10番目の何れかの発明において、上記予め定められた制御が上記排気ガス浄化手段を浄化するための制御である。
これにより、上記排気ガス浄化手段の各種の浄化制御(NOxの放出還元、硫黄被毒再生、捕集排気微粒子の燃焼等)の完了後に通常状態に戻る際に発生する残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱が防止される。
【0024】
12番目の発明では1番目から11番目の何れかの発明において、上記排気ガス浄化手段は、流入する排気ガスの空燃比がリーンの時にNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵剤を含む。
これによって、排気ガス中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができると共に、NOx吸蔵剤についての上記のような過加熱が防止される。
13番目の発明では1番目から11番目の何れかの発明において、上記排気ガス浄化手段は、排気ガス中の排気微粒子を除去する手段を含む。
これによって、排気ガス中の排気微粒子を除去することができると共に、排気ガス中の排気微粒子を除去する手段についての上記のような過加熱が防止される。
【0025】
14番目の発明は、排気ガス浄化手段を排気ガス通路に配置して行う排気ガス浄化方法であって、必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施され、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法において、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通する方向を上記予め定められた制御中とは反転して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法を提供する。
この発明によっても1番目の発明とほぼ同様の作用及び効果が得られる。
【0027】
15番目の発明では14番目発明において、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量が推定され、その推定残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される。
この発明によっても番目の発明とほぼ同様の作用及び効果が得られる。
【0028】
16番目の発明は、排気ガス浄化手段を排気ガス通路に配置して行う排気ガス浄化方法であって、必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施され、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法において、上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量が推定され、該推定残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法を提供する。
【0029】
この発明によっても3番目の発明とほぼ同様の作用及び効果が得られる。
【0030】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、本発明はNOx吸蔵剤であるNOx吸収剤とNOx吸着剤のどちらを用いても実施可能であるが、以下ではNOx吸収剤を用いた場合について説明する。
図1は本発明をディーゼルエンジンへ適用した場合を示している。図1において、2は機関(エンジン)本体、4は吸気通路、6は排気ガス通路をそれぞれ示す。排気ガス通路6には本発明の排気ガス浄化装置10が設けられるが、この部分に設置される排気ガス浄化装置10については後に四つの異なる構成の排気ガス浄化装置20、30、40、50を挙げて詳細に説明する。
【0031】
電子制御ユニット(ECU)8は、CPU(中央演算装置)、RAM(ランダムアクセスメモリ)、ROM(リードオンリメモリ)、入出力ポートを双方向バスで接続した公知の形式のディジタルコンピュータからなり、機関本体2と信号をやり取りして燃料噴射量制御等のエンジンの基本制御を行う他、以下で述べるように本発明の各実施形態においては、排気ガス浄化装置の各構成要素とも信号のやり取りを行いその制御も行う。
【0032】
図2は、図1に示されている排気ガス浄化装置10の部分に設置されて排気ガス通路6の一部を構成する、排気ガス浄化装置20の外観を模式的に示した説明図であり、図2(a)及び(b)がそれぞれ上面図及び側面図を示している。また、図3(a)及び(b)には、それぞれ、上方及び側方から見た場合の断面図が示され、排気ガス浄化装置20の内部の排気ガスの流れが示されている。
【0033】
図2に示すように排気ガス浄化装置20は、基幹通路18と、基幹通路18に接続された環状通路22とを備えており、環状通路22には排気ガス中の排気微粒子を除去する手段であるフィルタ14が配置されている。フィルタ14には後述するようにNOx吸収剤12が担持され、排気ガス浄化手段を構成している。基幹通路18と環状通路22との接続部分には、経路変更部24が設けられている。経路変更部24は、排気ガスの経路を変更すると共にNOx吸収剤12が担持されたフィルタ14(以下、NOx吸収剤12とフィルタ14を特に区別する必要がない場合にはNOx吸収剤担持フィルタを単に「フィルタ15」と称する)を流通する排気ガス流量を調整する経路切替調整弁26と、経路切替調整弁26を駆動するための駆動部28とを備えている。経路変更部24は、4つの通路が接続された二組の対向面を有している。一方の組の対向面には、基幹通路18を構成する二つの部分基幹通路18a、18bが接続されており、他方の組の対向面には、環状通路22を構成する二つの部分環状通路22a、22bが接続されている。
【0034】
第1の部分環状通路22aは、フィルタ15の第1の面S1側に通じており、第2の部分環状通路22bは、第2の面S2側に通じている。また、下流側の部分基幹通路18bには酸化触媒32が配置されている。下流側の部分基幹通路18bは、環状通路22のフィルタ15を内蔵している部分を囲むように形成されている。
【0035】
更に、排気ガス浄化装置20は、還元剤添加部を第1の部分環状通路22aに備えており、この還元剤添加部はNOx吸収剤12及びフィルタ14の浄化制御の際等に還元剤を環状通路22内に添加するために使用される。還元剤添加部は、還元剤噴射ノズル34と還元剤供給ポンプ(図示無し)とを備えており、還元剤供給ポンプから供給された還元剤は、還元剤噴射ノズル34によって第1の部分環状通路22a内に、ECU8の制御によって適切なやり方で添加される。なお、排気ガス浄化装置20を含め本明細書で説明する排気ガス浄化装置30、40、50においては、貯蔵、補給等の際の煩雑さを避けるため、還元剤としてディーゼルエンジン2の燃料である軽油を使用している。
【0036】
経路変更部24と還元剤添加部とはECU8によって制御される。具体的には、ECU8は、経路変更部24の駆動部28に接続されており、駆動部28を制御することにより、経路切替調整弁26の動作を制御する。また、ECU8は、還元剤添加部の還元剤噴射ノズル34に接続されており、還元剤噴射ノズル34を制御することにより、還元剤噴射ノズル34の還元剤添加動作を制御する。
排気ガス浄化装置20に流入した排気ガスは、以下で説明するように必ず基幹通路18を通り、選択的に環状通路22を通る。
【0037】
図3(a)、(b)は、経路切替調整弁26が第1の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している。この場合、排気ガス浄化装置20に流入した排気ガスは、上流側の部分基幹通路18aを通って経路変更部24に流入し、第1の部分環状通路22aと第2の部分環状通路22bとをこの順序で通って、経路変更部24に戻る。この時、排気ガスは、フィルタ15を第1の面S1から第2の面S2に向かって流れる。経路変更部24に戻った排気ガスは、下流側の部分基幹通路18bに流入し、酸化触媒32を通過した後に排気ガス浄化装置20から排出される。なお、酸化触媒32を通過した排気ガスは、図3(a)、(b)に示すように、部分基幹通路18bの環状通路22のフィルタ15を内蔵している部分を囲むように形成されている部分を通る。
【0038】
図4は、経路切替調整弁26が第2の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図3(a)と同様の図である。この場合、排気ガスは、図3(a)の場合とほぼ同様に流れるが、環状通路22を流れる方向が反転している。すなわち、経路変更部24に流入した排気ガスは、第2の部分環状通路22bと第1の部分環状通路22aとをこの順序で通って、経路変更部24に戻る。この時、排気ガスはフィルタ15を第2の面S2から第1の面S1に向かって流れる。このように、フィルタ15を流通する排気ガスの流れを反転することができるので、フィルタ15内の位置による排気微粒子捕集量及びNOx吸収量等の偏りを緩和してフィルタ14及びフィルタ14に担持されているNOx吸収剤12を効率良く使用することができる。また、排気ガスの流通方向を反転することにより、フィルタ14の詰まりを防止する効果もある。
【0039】
図5は、経路切替調整弁26が上記第1の位置と第2の位置との中間である第3の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図3(a)及び図4と同様の図である。なお、経路切替調整弁26を第1の位置と第2の位置とで切替える際には、経路切替調整弁26は一時的に第3の位置となる。経路切替調整弁26が第3の位置に位置している場合、経路変更部24に流入した排気ガスは、殆どがそのまま下流側の部分基幹通路18bに流入し、酸化触媒32を通過した後に、排気ガス浄化装置20から排出される。
【0040】
上記のように、経路切替調整弁26が第1または第2の位置にある場合には、排気ガスはフィルタ15を通過し、更に酸化触媒32を通過する。一方、経路切替調整弁26が第3の位置にある場合には、殆どの排気ガスは、フィルタ15を通過せずに酸化触媒32のみを通過して排気ガス浄化装置20から排出される。したがって、通常状態においては、排気ガスがフィルタ15と酸化触媒32とを通過して浄化されるように、経路切替調整弁26は第1または第2の位置にある。そして必要に応じて、例えば以下で説明するようなNOx吸収剤12やフィルタ14の浄化制御の際に還元剤を添加する場合等にその位置が駆動部28により第1の位置と第2の位置の間で調整され、フィルタ15を流通する排気ガスの流量が低下される。
【0041】
図6にフィルタ15の拡大断面図を示す。図6を参照すると、フィルタ14は多孔質セラミックから成り、排気ガスは矢印で示されるように図中左から右に向かって流れる。フィルタ14内には、上流側に栓34が施された第1通路38と下流側に栓42が施された第2通路44とが交互に配置されハニカム状をなしている。排気ガスが図中左から右に向かって流れると、排気ガスは第2通路44から多孔質セラミックの隔壁を通過して第1通路38に流入し、下流側に流れる。この時、排気ガス中の排気微粒子(パティキュレート)は多孔質セラミックによって捕集されて排気ガス中から除去され、排気微粒子の大気への放出が防止される。
【0042】
また、第1通路38および第2通路44の隔壁の表面及び内部の細孔内にはNOx吸収剤12が担持されている。NOx吸収剤12は、例えばカリウムK、ナトリウムNa、リチウムLi、セシウムCsのようなアルカリ金属、バリウムBa、カルシウムCaのようなアルカリ土類、ランタンLa、イットリウムYのような希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とから成る。NOx吸収剤12は流入排気ガス(すなわち、本排気ガス浄化装置20の構成においてはフィルタ15を流通する排気ガス)の空燃比がリーンの時にはNOxを吸収し、NOx吸収剤流入排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸収したNOxを放出して還元浄化する作用(NOxの吸収放出及び還元浄化作用)を有する。
【0043】
図1に示した構成ではディーゼルエンジンが使用されているため、通常状態の時の排気ガス空燃比はリーンであり、NOx吸収剤12は通常状態の時には排気ガス中のNOxの吸収を行う。そして、一定期間使用してNOx吸収剤12のNOx吸収効率が低下する等した場合には、NOx吸収剤12からNOxを放出し還元する必要が生じる。本排気ガス浄化装置20においては、このようなNOx吸収剤12からのNOxの放出及び還元浄化が必要になった場合には、還元剤添加部の還元剤噴射ノズル34からフィルタ15上流側の排気ガス通路、すなわち第1の部分環状通路22aに還元剤を供給してNOx吸収剤流入排気ガスの空燃比を小さくし且つ還元剤が存在する状態とし、NOx吸収剤12が吸収したNOxを放出すると共に放出したNOxを還元浄化するようにする。
【0044】
この吸収放出及び還元浄化作用の詳細なメカニズムについては明らかでない部分もあるが、この吸収放出及び還元浄化作用は図7に示すようなメカニズムで行われているものと考えられる。次にこのメカニズムについて白金PtおよびバリウムBaを担持させた場合を例にとって説明するが他の貴金属、アルカリ金属、アルカリ土類、希土類を用いても同様なメカニズムとなる。
【0045】
すなわち、NOx吸収剤流入排気ガスの空燃比がかなりリーンになるとNOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が大幅に増大し、図7(A)に示されるようにこれら酸素O2がO2 -またはO2-の形で白金Ptの表面に付着する。一方、NOx吸収剤流入排気ガス中のNOは白金Ptの表面上でO2 -またはO2-と反応し、NO2となる(2NO+O2→2NO2)。次いで生成されたNO2の一部は白金Pt上で更に酸化されつつNOx吸収剤12内に吸収されて酸化バリウムBaOと結合しながら、図7(A)に示されるように硝酸イオンNO3 -の形でNOx吸収剤12内に拡散する。このようにしてNOxがNOx吸収剤12内に吸収される。
【0046】
NOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が高い限り白金Ptの表面でNO2が生成され、NOx吸収剤12のNOx吸収能力が飽和しない限りNO2がNOx吸収剤12内に吸収されて硝酸イオンNO3 -が生成される。これに対してNOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が低下してNO2の生成量が低下すると反応が逆方向(NO3 -→NO2)に進み、斯くしてNOx吸収剤12内の硝酸イオンNO3 -がNO2の形でNOx吸収剤12から放出される。すなわち、NOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が低下するとNOx吸収剤12からNOxが放出されることになる。NOx吸収剤流入排気ガスのリーンの度合いが低くなればNOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が低下し、したがってNOx吸収剤流入排気ガスのリーンの度合いを低くすればNOx吸収剤12からNOxが放出されることになる。
【0047】
一方、この時NOx吸収剤流入排気ガスの空燃比を小さくすると、HC、COは白金Pt上の酸素O2 -またはO2-と反応して酸化せしめられる。また、NOx吸収剤流入排気ガスの空燃比を小さくするとNOx吸収剤流入排気ガス中の酸素濃度が極度に低下するためにNOx吸収剤12からNO2が放出され、このNO2は図7(B)に示されるように未燃HC、COと反応して還元浄化せしめられる。このようにして白金Ptの表面上にNO2が存在しなくなるとNOx吸収剤12から次から次へとNO2が放出される。したがってNOx吸収剤流入排気ガスの空燃比を小さくすると短時間のうちにNOx吸収剤12からNOxが放出されて還元浄化されることになる。
【0048】
なお、ここでいう排気ガスの空燃比とはNOx吸収剤12上流側の排気ガス通路とエンジン燃焼室または吸気通路に供給された空気と燃料との比率をいうものとする。したがって排気ガス通路に空気や還元剤が供給されていない時には排気ガスの空燃比はエンジンの運転空燃比(エンジン燃焼室内の燃焼空燃比)に等しくなる。
【0049】
また、本発明に使用する還元剤としては、排気ガス中で炭化水素や一酸化炭素等の還元成分を発生するものであれば良く、水素、一酸化炭素等の気体、プロパン、プロピレン、ブタン等の液体または気体の炭化水素、ガソリン、軽油、灯油等の液体燃料等が使用できるが、上述のように排気ガス浄化装置20を含め本明細書で説明する排気ガス浄化装置30、40、50においては、貯蔵、補給等の際の煩雑さを避けるためディーゼルエンジン2の燃料である軽油を還元剤として使用している。
【0050】
次にNOx吸収剤12の硫黄被毒のメカニズムについて説明する。排気ガス中にSOx成分が含まれていると、NOx吸収剤12は上述のNOxの吸収と同じメカニズムで排気ガス中のSOxを吸収する。すなわち、排気ガスの空燃比がリーンの時、排気ガス中のSOx(例えばSO2)は白金Pt上で酸化されてSO3 -、SO4 -となり、酸化バリウムBaOと結合してBaSO4を形成する。BaSO4は比較的安定であり、また、結晶が粗大化しやすいため一旦生成されると分解放出されにくい。このため、NOx吸収剤12中のBaSO4の生成量が増大するとNOxの吸収に関与できるBaOの量が減少してしまいNOxの吸収能力が低下してしまう。
【0051】
この硫黄被毒を解消するためには、NOx吸収剤12中に生成されたBaSO4を高温で分解するとともに、これにより生成されるSO3 -、SO4 -の硫酸イオンをスライトリーンを含む略ストイキまたはリッチ雰囲気(以下、単にリッチ雰囲気という)下で還元し、気体状のSO2に転換してNOx吸収剤12から放出させる必要がある。すなわち、硫黄被毒を解消するためには、NOx吸収剤12を高温且つリッチ雰囲気の状態にする必要がある。
【0052】
本排気ガス浄化装置20においては、このような硫黄被毒を解消する必要が生じた場合には、還元剤添加部の還元剤噴射ノズル34からフィルタ15上流側の排気ガス通路、すなわち第1の部分環状通路22aに還元剤を供給し、還元剤の反応によってNOx吸収剤12を昇温すると共に略ストイキまたはリッチ雰囲気を作り出すようにし、NOx吸収剤12から硫黄分を放出するようにする。
【0053】
また、上述のように排気ガス中の排気微粒子はフィルタ14によって捕集されるが、本排気ガス浄化装置20で用いるフィルタ14のように、例えばアルカリ金属、アルカリ土類、希土類から選ばれた少なくとも一つと、白金Ptのような貴金属とから成る触媒(本例ではNOx吸収剤12)が担持されたフィルタ14上においては、捕集された排気微粒子は、通常、排気ガスの熱によって着火燃焼され、フィルタ14は再生され得る。しかしながら、排気微粒子量が多くなる等、何らかの原因で捕集された排気微粒子が完全に燃焼できなくなると、フィルタ14上に排気微粒子が積層状に堆積してしまう場合が生じる。このようにフィルタ14上に排気微粒子が積層状に堆積してしまうと、排気微粒子は着火燃焼しづらくなり通常温度の排気ガスの熱では着火しなくなる。したがって、この場合に排気微粒子を着火燃焼させてフィルタを再生するためには、排気ガスの温度を更に高めることが必要となる。
【0054】
排気ガス浄化装置20においては、このような堆積した排気微粒子を着火燃焼させてフィルタを再生する必要が生じた場合に、還元剤添加部の還元剤噴射ノズル34からフィルタ15上流側の排気ガス通路、すなわち第1の部分環状通路22aに還元剤を供給し、還元剤の反応によって排気ガス温度を高め、堆積した排気微粒子を着火燃焼させてフィルタを再生する。
【0055】
以上のように、NOx吸収剤12及びフィルタ14(すなわちフィルタ15)を利用している排気ガス浄化装置20においては、そのNOx吸収剤12及びフィルタ14を浄化(上述のようなNOxの放出還元、硫黄被毒の解消、捕集排気微粒子の燃焼等)するための制御等においてフィルタ15の上流側において還元剤噴射ノズル34から排気ガス通路内に還元剤の添加が行われる。そしてこの際、少ない量の還元剤の添加で目的を達成し且つエミッション(還元剤のすり抜け)の低減を図るために、フィルタ15を流通する排気ガスの流量は減少させられる。
【0056】
より具体的には、上述したような浄化制御において還元剤の添加が行われる際には、経路切替調整弁26は、図5に示された第3の位置から僅かに第1の位置側にずれた位置(「第4の位置」とする)に調整され、一部の排気ガスのみがフィルタ15を第1の面S1から第2の面S2に向かって流通し、それ以外の殆どの排気ガスはフィルタ15をバイパスするようにされる。この時、経路切替調整弁26が、第3の位置から第2の位置側ではなく、第1の位置側にずれた位置に調整されるのは、還元剤の添加位置、すなわち還元剤噴射ノズル34がフィルタ15を流通する排気ガスの流れ方向に関してフィルタ15の上流側に位置するようにするためである。
【0057】
上述したような浄化制御において添加された還元剤は、その浄化制御の完了時点においてフィルタ15には残存していないことが好ましいが、実際には、還元剤添加時にフィルタ15を流通する排気ガス流量を低下させること等が原因で、一部の還元剤がフィルタ15に残存する場合が多い。
【0058】
一般に、上述したような浄化制御を終了すると、全量の排気ガスがフィルタ15を通過して浄化される通常の状態に戻されるため、フィルタ15を流通する排気ガスの流量は増加される。この時、排気ガス中には酸素が含まれているため、フィルタ15に還元剤が残存しているとフィルタ15を流通する排気ガスの流量の増加によって、残存していた還元剤(HC等)が急速に反応して発熱し、フィルタ15が熱劣化してしまう、もしくは溶損してしまうという問題があった。そしてこのような問題は、フィルタ15を流通する排気ガス流量を低下させて還元剤の添加を行うという同様な手法でそのNOx吸収剤12及びフィルタ14を浄化(NOxの放出還元、硫黄被毒の解消、捕集排気微粒子の燃焼等)する他の構成の排気ガス浄化装置でも生じ得るものである。
【0059】
そこで、本排気ガス浄化装置20では以下で説明する方法によって上記問題を解決し、残存された還元剤の反応によるフィルタ15の過加熱を防止する。
すなわち、本排気ガス浄化装置20では、上述のような浄化制御が完了して通常状態に戻るべくフィルタ15を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、排気ガスがフィルタ15を流通する方向を上記浄化制御中とは反転してフィルタ15を流通する排気ガス流量を調整する。以下、この方法について図8を参照しつつ詳細に説明する。
【0060】
図8は、本排気ガス浄化装置20においてフィルタ15に対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンを示しており、通常の浄化制御に、フィルタ15の過加熱を防止しながら通常状態へ移行するための移行制御が追加されている。ここでの浄化制御には、上述したようなフィルタ流通排気ガス流量を低下させて還元剤を添加することを含んでいるNOx放出還元、硫黄被毒解消、排気微粒子燃焼除去の何れかの制御、もしくは同時または連続して行える場合にはこれらの組合せ等を含んでいる。なお、本ルーチンはECU8によって一定時間毎の割り込みによって実行される。
【0061】
この制御ルーチンが実行されると、まず、ステップ100でフィルタ15についての浄化制御の実施条件が成立したか否かが判定される。浄化制御の実施条件は、実施される浄化制御の種類によって個別的に設定され得るが、各種の浄化制御に対して適用可能な浄化制御の実施条件としては、例えば車両走行距離等がある。すなわち、その浄化制御を前回実施した時点からの走行距離が予め定められた設定値よりも大きくなった時にその浄化制御の実施条件が成立したと判定する。
【0062】
ステップ100において浄化制御実施条件が成立していないと判定された場合には本制御ルーチンは終了し、浄化制御実施条件が成立していると判定された場合にはステップ102に進む。
ステップ102においては、実際に各浄化制御が実施される。ここでは、何れの浄化制御を実施する場合においても、経路切替調整弁26を第4の位置に調整してフィルタ15を流通する排気ガス流量を低下させ、還元剤噴射ノズル34によってフィルタ15の上流側において排気ガス通路内に還元剤を添加することが含まれる。
【0063】
次いで、制御はステップ104に進み、浄化制御の完了条件が成立したか否かが判定される。浄化制御の完了条件もまた、実施される浄化制御の種類によって個別的に設定され得るが、各種の浄化制御に対して適用可能な浄化制御の完了条件としては、例えば浄化制御の実施時間等がある。すなわち、今回の浄化制御を開始した時点からの経過時間が予め定められた設定値よりも大きくなった時に浄化制御の完了条件が成立したと判定する。
【0064】
ステップ104において浄化制御完了条件が成立していないと判定された場合にはステップ102に戻って浄化制御が継続される。一方、浄化制御完了条件が成立していると判定された場合にはステップ105に進んで還元剤の添加が停止され(もしくは既に停止されていれば停止が確認され)、更にステップ106に進む。なお、本明細書においては浄化制御完了条件が成立し、還元剤の添加が停止されるかもしくはその停止が確認された時点で浄化制御が完了したものとする。
【0065】
ステップ106においては、浄化制御の完了を受けて全量の排気ガスがフィルタ15を通過して浄化される通常状態に戻るべく、経路切替調整弁26が第4の位置(第3の位置から僅かに第1の位置側にずれた位置)から移動されてフィルタ15を流通する排気ガスの流量が増加される。この際、ステップ106においては、経路切替調整弁26は上記の第4の位置から必ず第2の位置側に向かって移動されてフィルタ15を流通する排気ガスの流量が増加される。すなわち、この時排気ガスがフィルタ15を第2の面S2から第1の面S1に向かって流通するようにされる。上記浄化制御において還元剤を添加している時には経路切替調整弁26は第4の位置にあり、排気ガスはフィルタ15を第1の面S1から第2の面S2に向かって流通しているので、ステップ106の制御を実施することにより、排気ガスのフィルタ15を流通する方向が上記浄化制御中とは反転されることとなる。
【0066】
このようにフィルタ15を流通する排気ガス流量を低下させてフィルタ15の上流側において排気ガス通路内に還元剤を添加することを含む浄化制御を完了して通常状態に戻る時に、排気ガスがフィルタ15を流通する方向を上記浄化制御中とは反転して流量を調整していくことによって、上記浄化制御中にフィルタ15に残存された還元剤の反応によるフィルタ15の過加熱を防止することができる。
【0067】
すなわち、上記浄化制御中にフィルタ15に残存される還元剤は、フィルタ15のうちの上記浄化制御中における上流側部分(本排気ガス浄化装置20では第1の面S1側部分)に多く残存する傾向がある。このため、上記浄化制御が完了して通常状態に戻る時、排気ガスがフィルタ15を流通する方向を上記浄化制御中と同じ方向にして流量を増加させていくと、還元剤の多く残存しているフィルタ15のうちの上流側部分において発熱量が多く、下流側部分(第2の面S2側部分)にその熱が伝わるのに加え、上流側部分に残存していた還元剤が下流側に流されながら発熱するため、フィルタ15の下流側部分において過加熱が生じる場合がある。
【0068】
一方、上述したように、上記浄化制御を完了して通常状態に戻るべくフィルタ15を流通する排気ガス流量を増加させるべき時に、その流量を排気ガスがフィルタ15を流通する方向を上記浄化制御中とは反転して増加させると、この場合の流れの上流側部分(第2の面S2側部分)においては残存した還元剤が少ないために発熱量が少なく、また、この場合の流れの下流側部分(第1の面S1側部分)に多く残存している還元剤は、移動するとすぐにフィルタ15から吐き出されてしまうため、フィルタ15が過加熱される可能性は極めて低くなる。
【0069】
なお、ここで過加熱とは、フィルタ15が熱劣化してしまう、もしくは溶損してしまうほどに加熱されることをいう。
更に、ステップ106における経路切替調整弁26の制御においては、経路切替調整弁26をゆっくり移動して、フィルタ15を流通する排気ガスの流量が徐々に変化するようにすることが好ましい。これによりフィルタ15に残存していた還元剤が一気に吐き出されることが防止され、エミッションの悪化を抑制することができる。特に、本排気ガス浄化装置20では、下流側に酸化触媒32が設けられており、残存還元剤が徐々に吐き出されることにより酸化触媒32における還元剤の浄化率が向上する。また、スモークの発生も抑制される。
【0070】
なお、ここでフィルタ15を流通する排気ガスの方向を反転することは、フィルタ15を第1の面S1から第2の面S2に向かって流れる排気ガスの流量を正とし、その逆を負とすると、正の流量を負の流量へ、あるいは負の流量を正の流量に調整することを意味するので、流量調整の一種であると考えられる。
以上のように、図8を参照して説明した上記方法によれば、流量の微調整を伴わない流通方向の反転という比較的単純な流量調整によってフィルタ15が過加熱されることを防止することができる。
【0071】
次に、別の構成の排気ガス浄化装置30を用いて実施し得る、残存還元剤の反応によるフィルタ15の過加熱を防止するための別の方法について説明する。図9から図12の各図は排気ガス浄化装置30を示し、これらは各々、上述した排気ガス浄化装置20についての図2から図5の各図に対応している。
【0072】
排気ガス浄化装置30の基本的な構成及び各構成要素の作用等は、上述の排気ガス浄化装置20とほぼ同様であるのでそれらの詳細な説明は省略するが、排気ガス浄化装置30には、排気ガス浄化装置20とは異なり、第2の部分環状通路22bに排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段として、HC濃度を推定するHCセンサ36が設けられている。このHCセンサ36はECU8に接続されていて、推定結果はECU8に与えられる。
【0073】
このHCセンサ36を利用することによって排気ガス浄化装置30を用いた場合には、上述した排気ガス浄化装置20の場合とは異なる以下で説明する方法により、上述したような浄化制御が完了して通常状態に戻る時にフィルタ15に残存された還元剤が反応することによってフィルタ15が過加熱するのを防止する。
【0074】
すなわち、この方法では、上述のような浄化制御が完了して通常状態に戻るベくフィルタ15を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記HCセンサ36を利用してフィルタ15に残存している還元剤量を推定し、その推定残存還元剤量に基づいてフィルタ15が過加熱されないようにフィルタ15を流通する排気ガスの流量が調整される。以下、この方法の一例について図13及び図14を参照しつつ詳細に説明する。
【0075】
図13と図14とを組合せて得られる制御ルーチンは、排気ガス浄化装置30においてフィルタ15に対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンの一例を示しており、図8に示された制御ルーチンと同様、通常の浄化制御にフィルタ15の過加熱を防止しながら通常状態へ移行するための移行制御が追加されている。図8に示された制御ルーチンの場合と同様、ここでの浄化制御にはフィルタ流通排気ガス流量を低下させて還元剤を添加することを含んでいる各種の浄化制御、もしくは同時または連続して行える場合にはこれらの組合せ等を含んでいる。なお、本ルーチンもECU8によって一定時間毎の割り込みによって実行される。
【0076】
この制御ルーチンが実行されると、まず、ステップ200、202、204及び205において、図8の制御ルーチンのステップ100、102、104及び105と同様な浄化制御が実施される。この際、ステップ200において浄化制御実施条件が成立していないと判定された場合には本制御ルーチンは終了する。ステップ205において浄化制御が完了すると、次いでステップ206から通常状態に戻るべくフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpを増加する移行制御がなされる。
【0077】
まずステップ206において操作カウンタnが1だけインクリメントされる。操作カウンタnの初期値は本制御ルーチンの開始時点では0にされているので、各回の本制御ルーチンの実行において最初にステップ206が実行される時にはn=1とされる。次いでステップ208に進み、経路切替調整弁26が第1の位置に調整されると共にこの時のフィルタ15を流通する排気ガスの流量QpであるQnが推定される。
【0078】
このフィルタ流通排気ガス流量Qpの推定は、ここでは以下のようにして実施される。すなわち、エンジンから排出される全排気ガス流量は、エンジン負荷Q/N(吸入空気量Q/エンジン回転数N)が高くなればなるほど多くなり、エンジン回転数Nが高くなればなるほど多くなる。そこで、全排気ガス流量をエンジン負荷Q/N及びエンジン回転数Nの関数として予め実験により求め、これをECU8のROMに記憶させておけば、エンジン負荷Q/N及びエンジン回転数Nで定まる各エンジン運転状態での全排気ガス流量は求めることができる。そして、経路切替調整弁26が第1の位置にある場合には、エンジンから排出される殆ど全ての排気ガスがフィルタ15を流通することになるので、エンジンから排出される全排気ガス流量がそのままフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpとなる。
【0079】
なお、ここでは上記のようなフィルタ流通排気ガス流量推定手段を用いたが、フィルタ15の流入端に流量センサを取り付けることによってフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpを推定する等、他の手段を用いても良い。
【0080】
ステップ208において経路切替調整弁26の調整及びその時のフィルタ流通排気ガス流量Qnの推定が行われると、次いでステップ210においてHC濃度C(すなわち、この時のHC濃度Cn)が推定される。HC濃度Cnは、経路切替調整弁26が第1の位置に位置された状態においてフィルタ15に対して排気ガスの流れの下流側に位置することになるHCセンサ36を用いて推定される。つまり、フィルタ15から流出して来る排気ガス中のHC濃度が推定される。
【0081】
ステップ210におけるHC濃度Cnの推定に続いては、ステップ212において、ステップ208で得られたフィルタ流通排気ガス流量Qnとステップ210で得られたHC濃度Cnとからフィルタ15に残存しているHC量LF(すなわち、この時の残存HC量LFn)が推定される。この残存HC量LFnの推定には、図15に示されたマップが使用される。
【0082】
一般に、フィルタ流通排気ガス流量Qpが一定の場合には、フィルタ15に残存しているHC量LFが多いほどフィルタ15から流出してくる排気ガス中のHC濃度Cの値は大きくなる。また、フィルタ15に残存しているHC量LFが一定の場合には、排気ガス流量Qpが多いほどフィルタ15から流出してくる排気ガス中のHC濃度Cの値は大きくなる。そしてこのような関係から実験により図15に示すようなマップを得ることができる。
【0083】
図15に示されたマップはフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpと、フィルタ15から流出してくる排気ガス中のHC濃度Cと、フィルタ15に残存しているHC量LFとの関係を示すものであり、予めECU8のROMに記憶させておく。図15に示されたマップ中、CI、CII、CIII で示された曲線は、各フィルタ流通排気ガス流量QpにおいてそれぞれHC濃度CがCI、CII、CIII となる場合に表す残存HC量LFの点を結んだもので、各HC濃度CはCI<CII<CIII の関係にある。
【0084】
したがって、例えば、排気ガス流量QpがQnであって、HC濃度CがCnである場合には、このマップ上において排気ガス流量Qn、HC濃度Cnに対応する点を定め、その点に対応する縦軸の値を求めれば、それがその場合の残存HC量LFnということになる。
このようにしてステップ212において残存HC量LFnを推定すると、次いでステップ214において、推定された残存HC量LFnがその時のフィルタ流通流量Qnにおいてフィルタ15が過加熱される、すなわち熱劣化もしくは溶損を引き起こす量であるか否かが判定される。そしてこの判定には、図16に示されたマップが使用される。
【0085】
図16はフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpとフィルタ15に残存しているHC量LFとの関係において、フィルタ15が熱劣化もしくは溶損を引き起こす危険域Iと、それらを引き起こす危険性の無い安全域IIとを示したものである。これら二つの領域の境界は、フィルタ流通排気ガス流量Qpの関数として表されるLFm(Qp)で表され、この曲線上の値は各フィルタ流通排気ガス流量Qpにおいて熱劣化もしくは溶損を引き起こす危険性の無い最大の残存HC量を示す。
【0086】
図16のようなマップは実験によって得られるが、危険域Iと安全域IIとの境界を示すLFm(Qp)は一般に図16で示したような下に凸の曲線となる。これは、フィルタ流通排気ガス流量Qpが少ない領域においては残存HCが十分にあっても供給酸素量が少ないために熱劣化もしくは溶損までには到らず、また、フィルタ流通排気ガス流量Qpが多い領域においては、発熱はするものの排気ガスの持去り熱も増加するため熱劣化もしくは溶損を引き起こす過加熱の状態に達するのは困難となるためである。残存HC量LFが曲線LFm(Qp)の極小点での値LFs以下である場合には、全てのフィルタ流通排気ガス流量Qpにおいてフィルタ15が熱劣化もしくは溶損する危険性が無いことになる。
【0087】
ステップ214においては、フィルタ流通排気ガス流量QpがQnの場合の曲線LFmの値(すなわち、LFm(Qn))とステップ212で推定されたLFnとが比較され、LFm(Qn)≧LFnである場合には、ステップ216に進み、LFm(Qn)<LFnの場合にはステップ220に進む。
【0088】
ステップ216に進む場合、すなわちLFm(Qn)≧LFnである場合というのは、その時の状態が安全域IIにあることを示しており、続くステップ216において更にLFnがLFsと比較される。ステップ216での比較において、LFs≧LFnである場合には、上述したように全てのフィルタ流通排気ガス流量Qpにおいてフィルタ15が熱劣化もしくは溶損する危険性が無いことになるので、ステップ218に進み操作カウンタnをリセットして制御が終了する。
【0089】
これに対し、ステップ216での比較において、LFs<LFnである場合には、現在の状態は安全域IIにあるものの、エンジン運転状態の変化等によりフィルタ流通排気ガス流量Qpが変化した場合には危険域Iに入ることが考えられるので、ステップ206に戻り操作カウンタnを更に1だけインクリメントして再度ステップ208からの制御が繰り返される。この時、ステップ208においては経路切替調整弁26は既に第1の位置に位置しているのでその位置が維持され、エンジン運転状態に応じた新たなフィルタ流通排気ガス流量QpであるQnが推定される。
【0090】
一方、ステップ220に進む場合、すなわちステップ214でLFm(Qn)<LFnである場合というのは、その時の状態が危険域Iにあることを示しているので、ステップ220においてはフィルタ15の熱劣化もしくは溶損が起こらないようにフィルタ流通排気ガス流量Qpの調整がなされる。すなわち、ステップ220においては、経路切替調整弁26の位置が第3の位置側へ調整されLFm=LFnとなるようにフィルタ流通排気ガス流量QpがQnからQn+1に減少される(LFm(Qn+1)=LFn)。この時目標とするフィルタ流通排気ガス流量Qn+1は図16のマップから求められる。
【0091】
ここで、図16のマップからはLFm(Qn+1)=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの値が二つ求められるが、その値へ調整可能であるフィルタ流通排気ガス流量Qpはそのうちの小さい方であるので、ここではその値をQn+1とする。この流量調整により図16上においてその時の状態を示す点は危険域Iから曲線LFm(Qp)の右下がりの部分上に移動することになる。これによって、その時の残存HC量LFnに対応して安全域II内にある状態を維持し且つできるだけ多くの排気ガスがフィルタ15を流通するようにされるが、これは、フィルタ15を流通することによって排気ガスが浄化されるため、フィルタ15を流通する排気ガス流量をできるだけ多くすることが望ましいためである。
【0092】
なお、この時フィルタ流通排気ガス流量QpをLFm=LFnとなるような目標排気ガス流量Qn+1とするように経路切替調整弁26の位置を調整する必要があるが、これは以下のように実施することができる。
すなわち、エンジンから排出される全排気ガス流量については、上述したようにこれをエンジン負荷Q/N及びエンジン回転数Nの関数として予め求めておくことにより、所定のエンジン運転状態について求めることができる。更に各エンジン運転状態における全排気ガス流量の場合において経路切替調整弁26が各位置の時にフィルタ15を流通する排気ガス流量Qpについては実験または計算により求めることができる。
【0093】
したがって、これらエンジン負荷Q/N及びエンジン回転数Nの関数としての全排気ガス流量と、全排気ガス流量及び経路切替調整弁位置の関数としてのフィルタ流通排気ガス流量Qpとが求められるので、これらの関係をECU8のROMに記憶させておくことによって、各運転状態に応じて、フィルタ流通排気ガス流量Qpを所望の流量とする経路切替調整弁26の位置を決定することができ、その位置へ経路切替調整弁26を駆動部28を制御することによって調整することができる。あるいは、他の方法として、フィルタ15の流入端に流量センサを取り付けることによってフィルタ15を流通する排気ガスの流量Qpを推定する場合には、その推定値を用いたフィードバック制御により所望のフィルタ流通排気ガス流量Qpとなるように経路切替調整弁26の位置を調整するようにしてもよい。
【0094】
続くステップ222では、フィルタ流通排気ガス流量Qn+1においてその時点でのHC濃度Cn+1が推定され、続いてステップ224において、これらフィルタ流通排気ガス流量Qn+1とHC濃度Cn+1とから図15のマップに基づいてその時点での残存HC量LFn+1が推定される。
【0095】
次いでステップ226においては、ステップ214と同様にして、フィルタ流通排気ガス流量QpがQn+1の場合の曲線LFmの値(すなわち、LFm(Qn+1))とステップ224で推定されたLFn+1とが比較され、LFm(Qn+1)≧LFn+1である場合には、ステップ230に進み、LFm(Qn+1)<LFn+1の場合にはステップ228に進む。
【0096】
ここで、ステップ228に進む場合、すなわちステップ226でLFm(Qn+1)<LFn+1である場合というのは、その時の状態が危険域Iにあることを示しているので、この場合にはステップ228で操作カウンタnを更に1だけインクリメントして再度ステップ220(経路切替調整弁26によるフィルタ流通排気ガス流量Qpの制御)から制御が繰り返される。この制御ルーチンによる方法においては、ここでのステップ220におけるフィルタ流通排気ガス流量Qpの制御においても、図16のマップから求められるLFm(Qn+1)=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの二つの値のうちの小さい方を目標排気ガス流量Qn+1とする。
【0097】
なお、実際にステップ228に進む場合というのは、何らかの原因でステップ212において推定した残存HC量LFnよりもステップ224において推定した残存HC量LFn+1の方が多くなった場合であり、これは通常では起こり得ないことである。
一方、ステップ230に進む場合、すなわちLFm(Qn+1)≧LFn+1である場合というのは、その時の状態が安全域IIにあることを示しており、続くステップ230においてステップ216と同様にして、LFn+1がLFsと比較される。
【0098】
ステップ230での比較において、LFs<LFn+1である場合には、その時の状態が、フィルタ流通排気ガス流量Qpが調整されていることによって図16のマップ上において曲線LFmの右下がりの部分上またはその下側であってLFsより上方の部分の安全域IIにあるということである。この場合、その時の推定残存HC量LFn+1に対して安全域II内にあることを維持しながらフィルタ流通排気ガス流量Qpを増加することができる場合があり、且つ上述したようにフィルタ流通排気ガス流量Qpはできるだけ多くすることが望ましいので、ステップ234で操作カウンタnを1だけインクリメントした後にステップ236においてフィルタ流通排気ガス流量Qpが調整される。
【0099】
すなわち、ステップ236においては、経路切替調整弁26の位置が第1の位置側へ調整されLFm=LFnとなるようにフィルタ流通排気ガス流量QpがQnからQn+1に増加される(LFm(Qn+1)=LFn)。この場合にも目標とする排気ガス流量は図16のマップから二つ求められるが、この制御ルーチンによる方法においては二つの値のうち小さい方を目標排気ガス流量Qn+1とする。この流量調整により図16上においてその時の状態を示す点は曲線LFm(Qp)の右下がりの部分上に移動することになる。このような流量調整を行った後、ステップ222からの制御が繰り返される。
【0100】
これに対し、ステップ230での比較において、LFs≧LFn+1である場合には、上述したように全てのフィルタ流通排気ガス流量Qpにおいてフィルタ15が熱劣化もしくは溶損する危険性が無いことになるので、ステップ232に進み経路切替調整弁26が第1の位置、すなわち通常状態における位置となるように制御される。次いでステップ218に進み操作カウンタnをリセットして制御が終了する。
【0101】
なお、上述の方法の説明では、ステップ228後のステップ220及びステップ236において行われるフィルタ流通排気ガス流量Qpの調整において、その目標排気ガス流量を図16のマップ上でLFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの二つの値のうちの小さい方とし、その値にフィルタ流通排気ガス流量Qpを制御することによって図16のマップ上において状態を表す点を曲線LFmの右下がりの部分に移動させるようにした。
【0102】
しかしながら、この部分の制御についてはエンジン運転状態によって全排気ガス流量が十分に多い場合には、図16のマップ上において状態を表す点を曲線LFmの右上がりの部分またはその下側の領域の安全域IIまで移動させるようにしても良い。この場合、経路切替調整弁26の調整の前にその時のエンジン運転状態における全排気ガス流量が上述した図16のマップ上でLFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの二つの値のうちの大きい方の値以上であることを確認する必要がある。
【0103】
このような制御を行うために、図13及び図14に示された制御ルーチンにおいて以下のような内容の制御ステップS1をステップ228及びステップ234の後にそれぞれ追加してもよい。すなわち、制御ステップS1では、まず図16のマップ上でLFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの二つの値を求める。次いで、その大きい方の値とその時のエンジン運転状態における全排気ガス流量とを比較する。ここで全排気ガス流量がLFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの大きい方の値以上である場合には、ステップ208に進むようにし、そこで経路切替調整弁26が第1の位置に調整され、図16のマップ上において状態を表す点が曲線LFmの右上がりの部分またはその下側の領域の安全域IIまで移動させられるようにする。
【0104】
一方、全排気ガス流量がLFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの大きい方の値未満である場合には、ステップ220(ステップ228の後のステップS1である場合)またはステップ236(ステップ234の後のステップS1である場合)に進むようにする。各ステップ220、236では、これらのステップ220、236に関する上述の説明のように、LFm=LFnとなるフィルタ流通排気ガス流量Qpの小さい方の値を目標排気ガス流量として経路切替調整弁26が調整され、図16上において状態を表す点が曲線LFmの右下がりの部分へ移動させられることになる。
【0105】
このような制御を実施することにより、エンジン運転状態によって全排気ガス流量が十分に多い場合を捉えてフィルタ15により多くの排気ガスを流通させることが可能となる。
次に、フィルタ15の推定残存還元剤量に基づいてフィルタ15を流通する排気ガスの流量を調整することによってフィルタ15の過加熱を防止する別の方法について説明する。
【0106】
この方法は排気ガス浄化装置30の構成で実施可能である。以下、この方法について図13及び図17を参照しつつ詳細に説明する。
図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンは、排気ガス浄化装置30においてフィルタ15に対して浄化制御を行う場合の別の制御ルーチンを構成し、これまでに説明された他の制御ルーチンと同様、通常の浄化制御にフィルタ15の過加熱を防止しながら通常状態へ移行するための移行制御が追加されている。また、ここでの浄化制御にはフィルタ流通排気ガス流量を低下させて還元剤を添加することを含んでいる各種の浄化制御、もしくは同時または連続して行える場合にはこれらの組合せ等を含んでいること、及びこの制御ルーチンがECU8によって一定時間毎の割り込みによって実行されること等はこれまでに説明された他の制御ルーチンの場合と同様である。
【0107】
図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンに示されたこの方法は、先の図13及び図14を組合せて得られる制御ルーチンを参照して説明された方法をより単純化にしたものであり、図13に示された制御ルーチンの部分については共通するのでその説明は省略する。
そしてこれら二つの方法の相異する部分は図14と図17に示された制御ルーチンの部分であるので、ここでは図17に示された制御ルーチンの部分について説明する。すなわち、この方法では、図13に示された制御ルーチンのステップ214においてLFm(Qn)<LFnであると判定されるとステップ300に進み、経路切替調整弁26が第4の位置、すなわち浄化制御中にフィルタ流通排気ガス流量Qpを減少させるために経路切替調整弁26が位置せしめられる位置に制御される。
【0108】
上述したようにステップ214でLFm(Qn)<LFnである場合というのは、その時の状態が危険域Iにあることを示しているので、フィルタ15の熱劣化もしくは溶損が起こらないようにフィルタ流通排気ガス流量Qpの何らかの調整が必要となるのであるが、この方法では一度経路切替調整弁26を第1の位置に制御し(ステップ208)、その状態で危険域Iにあると判断されると、経路切替調整弁26を残存HC量LFnの値に応じて微調整することなく、第4の位置に戻す制御(ステップ300)を行う。こうすることによって、フィルタ流通排気ガス流量Qpは相当に少なくなるので図16のマップ上において状態を表す点は、危険域Iから安全域IIへ移動することになり、フィルタ15の熱劣化もしくは溶損が防止される。
【0109】
次いでステップ302において予め定められた待ち時間が経過したか否かが判定される。この予め定められた待ち時間は、例えば、ステップ208において一度経路切替調整弁26を第1の位置に制御したことによって上昇したフィルタ15の温度が、その後予め定められた所定の温度T1以下にまで低下した時に経過したものとすることができる。ここでフィルタ15の温度は、温度センサをフィルタ15の下流側に設けて排気ガス温度から推定するようにしてもよく、あるいは、温度センサをフィルタ15に直接設けて推定するようにしてもよい。
【0110】
ステップ302において予め定められた待ち時間が経過していないと判定された場合にはステップ300に戻り、経路切替調整弁26の位置が第4の位置に維持される。一方、ステップ302において予め定められた待ち時間が経過したと判定された場合には、図13に示された制御ルーチンのステップ206に戻って操作カウンタnが1だけインクリメントされた後、ステップ208において経路切替調整弁26の位置が第1の位置に再度調整され、その後の制御が続けられる。このことから明らかなように、この後のステップ214において再度LFm(Qn)<LFnであると判定された場合には、再びステップ300に進み、再度経路切替調整弁26の位置が第4の位置に戻されるという制御が繰り返される。
【0111】
図18は、図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンで示される方法を実行した場合のフィルタ温度Tp、フィルタ下流側排気ガス温度Tg及び排気ガス中HC濃度Cの経時変化の一例であって、ステップ202以降に対応する部分を示している。より詳細には、図18に示されている例は、図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンにおいて、制御が以下で説明するように実行された場合の上記の各温度Tp、Tg及びHC濃度Cの経時変化である。
【0112】
すなわち、図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンにおいては、経路切替調整弁26は浄化制御の完了後、一度第1の位置に制御される(ステップ208)のであるが、図18に示された例は、ここで推定される排気ガス中HC濃度Cが相当に高いため残存HC量が多く、そのフィルタ流通排気ガス流量Qpとの関係においてその時の状態が危険域Iにあると判断された(ステップ214)場合である。この場合、経路切替調整弁26が第4の位置に戻される(ステップ300)。そしてこの例ではその後、フィルタ15の温度が所定の温度T1以下まで低下したことにより予め定められた待ち時間が経過したとされて(ステップ302)再び経路切替調整弁26が第1の位置に制御されている(ステップ208)。そして、ここで推定された排気ガス中HC濃度Cが今度はそれ程高くないことから残存HC量は少なくそのフィルタ流通排気ガス流量Qpとの関係において安全域IIにあると判断されて(ステップ214)、経路切替調整弁26が第1の位置に維持され、その後通常状態へ移行していっている。
【0113】
以上のように、図13及び図17を参照して説明した上記方法によれば、図13及び図14を参照して説明した排気ガス流量の微調整を伴う方法に比べ、残存された還元剤の反応によるフィルタ15の過加熱を防止するために行う経路切替調整弁26の制御を単純化することができる。
なお、排気ガス浄化装置30を用いた場合の上記各方法の説明においては、HCセンサ36が第2の部分環状通路22bに設けられている関係から、経路切替調整弁26の位置は第1の位置と第3の位置(より詳細には第4の位置)との間で制御されてフィルタ流通排気ガス流量Qpが調整されたが、HCセンサ36が第1の部分環状通路22aに設けられていれば、経路切替調整弁26の位置は第2の位置と第3の位置(より詳細には第4の位置と対称となる第2の位置側の位置)との間で制御されてフィルタ流通排気ガス流量Qpが調整されてもよい。
【0114】
この場合、還元剤の添加を伴う浄化制御中にフィルタ15を流通する排気ガスの方向と、浄化制御が完了した後で通常状態に戻るべく行われる上記移行制御中にフィルタ15を流通する排気ガスの方向とが逆になる。このため、この場合についての図15及び図16に示される各マップに相当するマップとしては、上述したフィルタ流通排気ガスの方向が上記両制御中で同じ場合とは異なるものを用意する必要がある。
【0115】
これは、フィルタ15に残存するHC量は、フィルタ15のうちの浄化制御中(還元剤添加時)の流れの上流側部分、すなわち、図9から図12に示された排気ガス浄化装置30においてはS1側部分に多いため、浄化制御が完了した後で通常状態に戻る時に浄化制御中と逆方向に排気ガスを流した場合には同じ方向に排気ガスを流した場合に比べ、推定されるHC濃度は上昇するけれども熱劣化もしくは溶損の危険性は減少するからである。
【0116】
なお、本明細書において排気ガス浄化装置30を用い、図13及び図14を組合せて得られる制御ルーチン、並びに図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンをそれぞれ参照して説明した各方法については、上述の各方法の説明からも明らかなように、一部の方法を除き、排気ガス浄化装置30のようなフィルタ15を流通する排気ガスの方向を反転可能な構成でなくともフィルタ15を流通する排気ガスの流量を調整可能であれば実施可能である。したがって、本発明は上記説明で示された構成に限定されるものではなく、例えば、図19及び図20に示した構成の排気ガス浄化装置40、50等も含まれ得る。
【0117】
図19に示した排気ガス浄化装置40の構成は、NOx吸収剤12を担持したフィルタ14(すなわちフィルタ15)を備えた基幹通路41と、フィルタ15の上流側において基幹通路41から分岐しフィルタ15の下流側で基幹通路41に合流するバイパス通路42とを備えている。基幹通路41のフィルタ15の上流側には還元剤を基幹通路41内に添加するための還元剤添加ノズル34が設けられている一方、基幹通路41のフィルタ15の下流側には排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段として、HC濃度を推定するHCセンサ36が設けられている。
【0118】
そして、基幹通路41とバイパス通路42とのフィルタ15の下流側の合流部分には、駆動部28によって駆動される排気ガス流量調整弁43が設けられ、必要に応じて基幹通路41とバイパス通路42のそれぞれを流れる排気ガスの流量を調整することができる。排気ガス流量調整弁43は通常状態においては、図19に実線で示された位置にあり、ほぼ全ての排気ガスがフィルタ15を通過するようにされている。
【0119】
一方、図20に示した排気ガス浄化装置50の構成は、上流側の基幹通路44と、分岐した後に合流する二つの分岐通路45、45´と、下流側の基幹通路46とを備えている。第1及び第2の分岐通路45、45´には、それぞれ、NOx吸収剤12、12´が担持されたフィルタ、すなわち第1及び第2のフィルタ14、14´(第1及び第2のフィルタ15、15´)が配置されている。
【0120】
また、各分岐通路45、45´の各フィルタ15、15´の上流側には還元剤を各分岐通路45、45´内に添加するための還元剤添加ノズル34、34´が設けられている一方、各分岐通路45、45´の各フィルタ15、15´の下流側には排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段として、HC濃度を推定するHCセンサ36、36´が設けられている。
【0121】
そして、各フィルタ15、15´の下流側の二つの分岐通路45、45´の合流部分には、駆動部28によって駆動される排気ガス流量調整弁43が設けられ、必要に応じて両分岐通路45、45´を流れる排気ガスの流量割合を制御することができる。排気ガス流量調整弁43は通常状態においては図20に図示されたような中間位置にあり、第1の分岐通路45を流れる排気ガスの流量と第2の分岐通路45´を流れる排気ガスの流量とがほぼ同じになるようにされている。
【0122】
排気ガス浄化装置30を用い、図13及び図14を組合せて得られる制御ルーチン、並びに図13及び図17を組合せて得られる制御ルーチンをそれぞれ参照して説明した各方法をこれらの排気ガス浄化装置40、50を用いて実施する方法については、上述の各方法の説明並びに各排気ガス浄化装置30、40、50の各構成要素の対応関係等から概ね明らかであると思われるのでその説明は省略する。なお、排気ガス浄化装置50については浄化制御が必要となるフィルタ15、15´が二つあるが、上述の各方法を実施する際にはフィルタ15、15´を流通する排気ガスの流量を必要に応じて調整することが求められることから、排気ガス浄化装置50について上述の各方法を実施する場合には片方のフィルタ15または15´毎に実施する必要がある。
【0123】
なお、上述の各排気ガス浄化装置30、40、50の構成においては、排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段として、HC濃度を推定するHCセンサ36、36´が使用されているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えばCOセンサ等の他の還元剤センサを用いてもよい。
あるいは、上述の各排気ガス浄化装置30、40、50の構成においてHCセンサ36、36´(還元剤センサ)を備えず、フィルタ15、15´に残存するHC量(還元剤量)を上記浄化制御の継続時間または上記浄化制御中に添加された還元剤量等に基づいて推定し、得られた推定残存HC量(推定残存還元剤量)に基づいて上記浄化制御完了後の通常状態への移行制御中におけるフィルタ流通排気ガス流量を制御するようにしてもよい。
【0124】
更に、フィルタ15、15´に直接温度センサを設ける、もしくはHCセンサ36、36´(還元剤濃度推定手段)の代わりに温度センサを設けて排気ガス温度からフィルタ15、15´の温度を推定する等、何らかの温度推定手段によってフィルタ15、15´の温度を推定し、この推定温度を用いたフィードバック制御によりフィルタ15、15´の温度が過加熱を生じる温度を超えないようにフィルタ流通排気ガス流量を各流量制御手段26、43によって調整するようにしてもよい。
【0125】
なお、上述の各排気ガス浄化装置20、30、40、50の構成においては、還元剤添加手段として、フィルタ15、15´の上流側において排気ガス通路内に還元剤を添加する還元剤添加ノズル34、34´を用いているが、本発明はこれに限定されるものではなく、還元剤の添加の結果としてフィルタ15、15´に還元剤が残存する可能性のある手段であれば、他の手段によって還元剤が添加される場合も含まれる。
【0126】
また、上述の説明においては、フィルタ流通排気ガス流量の制御について、主にフィルタ15、15´の過加熱を防止する点に着目して説明したが、図8に示された制御ルーチンによる方法の説明で述べたように、フィルタ流通排気ガス流量の制御によってフィルタ15、15´に残存した還元剤が一気に下流側に排出されることを防止し、エミッションの悪化を抑制することもできる。これは上述の各排気ガス浄化装置20、30、40、50の構成において可能であるが、特に、排気ガス浄化装置30の構成を例にとれば、上述したような浄化制御が完了して通常状態に戻るべくフィルタ15を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記HCセンサ36により検出されるHC濃度が予め定めた値以下となるように経路切替調整弁26によってフィルタ流通排気ガス流量を制御するようにすればよい。これにより、残存還元剤が徐々に吐き出されることになり、下流側に設置された酸化触媒32における還元剤の浄化率が向上する。
【0127】
更に、上述の説明においては、排気ガス浄化手段としてフィルタ15、15´を例にとり、そのフィルタ15、15´を流通する排気ガス流量を低下させてその上流側において還元剤を添加する制御の例として、フィルタ15、15´に対する浄化制御を挙げて説明しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させてその排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する制御であれば、他の排気ガス浄化手段に対する他の制御についても適用され得る。
【0128】
なお、上述の各排気ガス浄化装置20、30、40、50の構成においては、NOx吸収剤12をフィルタ14内の排気ガス通路壁面に担持させているが、NOx吸収剤12とフィルタ14とは別個に独立させてもよい。
【0129】
【発明の効果】
1番目の発明によれば、排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施される場合において、その予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させる時に生ずる恐れのある残存還元剤の反応による排気ガス浄化手段の過加熱が防止される。
【0130】
特に、1番目の発明によれば、流通方向の反転という比較的単純な流量調整によって上記排気ガス浄化手段の過加熱が防止される。
番目の発明によれば、上記排気ガス浄化手段に残存していた還元剤が一度に吐き出されることが防止される。
番目の発明によれば、残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱が確実に防止されると共に、過加熱を防止しながらできるだけ多くの排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通するようにすることができる。
4番目の発明によれば、上記排気ガス浄化手段に残存していた還元剤が一度に吐き出されることが防止される。
【0131】
5番目及び6番目の発明によれば、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量とその流量での上記排気ガス浄化手段の下流側における排気ガス中の還元剤濃度またはHC濃度とに基づいて、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤またはHCの量を推定することができる。
7番目の発明によれば、残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱を防止するために行う上記排気ガス流量調整手段の制御を単純化することができる。
【0132】
8番目の発明によれば、7番目の発明と同様の効果に加え、上記の予め定められた待ち時間を適切に設定することで、効率的且つ確実に上記排気ガス浄化手段の過加熱を防止しながら通常状態に移行することが可能となる。
9番目の発明によれば、上記の予め定められた温度を適切に設定することで上記排気ガス浄化手段の過加熱をより確実に防止しながら通常状態に移行することが可能となる。
【0133】
10番目の発明によれば、必要な上記排気ガス流量調整手段の制御をより単純化することができる。
11番目の発明によれば、上記排気ガス浄化手段の各種の浄化制御(NOxの放出還元、硫黄被毒再生、捕集排気微粒子の燃焼等)の完了後に通常状態に戻る際に発生する残存された還元剤の反応による上記排気ガス浄化手段の過加熱が防止される。
【0134】
12番目の発明によれば、排気ガス中のNOxを吸蔵し且つ還元浄化することができると共に、NOx吸蔵剤についての上記のような過加熱が防止される。
13番目の発明によれば、排気ガス中の排気微粒子を除去することができると共に、排気ガス中の排気微粒子を除去する手段についての上記のような過加熱が防止される
【0135】
また、14番目の発明によって1番目の発明とほぼ同様の効果が得られる。更に、15番目及び16番目の発明によって3番目の発明とほぼ同様の効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、本発明の排気ガス浄化装置をディーゼルエンジンに適用した場合を示す図である。
【図2】図2は、本発明の排気ガス浄化装置の外観を模式的に示した説明図であり、図2(a)及び図2(b)がそれぞれ上面図及び側面図を示している。
【図3】図3は、図2に示された排気ガス浄化装置の断面を示した説明図であって、図3(a)及び図3(b)がそれぞれ上方及び側方から見た場合の断面図を示しており、経路切替調整弁が第1の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している。
【図4】図4は、図2及び図3に示された排気ガス浄化装置に関し、経路切替調整弁が第2の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図3(a)と同様の図である。
【図5】図5は、図2から図4に示された排気ガス浄化装置に関し、経路切替調整弁が第3の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図3(a)及び図4と同様の図である。
【図6】図6は、NOx吸収剤が担持されたフィルタ(NOx吸収剤担持フィルタ)の拡大断面図である。
【図7】図7は、NOxの吸収放出及び還元浄化作用を説明するための図である。
【図8】図8は、図2から図5に示された排気ガス浄化装置においてフィルタに対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンを示しており、通常の浄化制御に、フィルタの過加熱を防止しながら通常状態へ移行するための移行制御が追加されている。
【図9】図9は、本発明の別の排気ガス浄化装置の外観を模式的に示した説明図であり、図9(a)及び図9(b)がそれぞれ上面図及び側面図を示している。
【図10】図10は、図9に示された排気ガス浄化装置の断面を示した説明図であって、図10(a)及び図10(b)がそれぞれ上方及び側方から見た場合の断面図を示しており、経路切替調整弁が第1の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している。
【図11】図11は、図9及び図10に示された排気ガス浄化装置に関し、経路切替調整弁が第2の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図10(a)と同様の図である。
【図12】図12は、図9から図11に示された排気ガス浄化装置に関し、経路切替調整弁が第3の位置に位置された場合の排気ガスの流れを示している図10(a)及び図11と同様の図である。
【図13】図13は、図9から図12に示された排気ガス浄化装置においてフィルタに対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンの一部分を示し、この部分は図14または図17に示された制御ルーチンの部分と組合されて各制御ルーチンの全体を構成する。
【図14】図14は、図9から図12に示された排気ガス浄化装置においてフィルタに対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンの一部分を示し、この部分は図13に示された制御ルーチンの部分と組合されて1つの制御ルーチンを構成する。
【図15】図15は、フィルタ流通排気ガス流量と、フィルタから流出してくる排気ガス中のHC濃度と、フィルタに残存しているHC量との関係を示すマップである。
【図16】図16は、フィルタ流通排気ガス流量とフィルタに残存しているHC量との関係において、フィルタが熱劣化もしくは溶損を引き起こす危険域Iと、それらを引き起こす危険性の無い安全域IIとを示すマップである。
【図17】図17は、図9から図12に示された排気ガス浄化装置においてフィルタに対して浄化制御を行う場合の制御ルーチンの一部分を示し、この部分は図13に示された制御ルーチンの部分と組合されて、図13と図14の制御ルーチンの部分が組合されて構成される制御ルーチンとは別の制御ルーチンを構成する。
【図18】図18は、図13と図17を組合せて得られる制御ルーチンで示される方法を実行した場合のフィルタ温度、フィルタ下流側排気ガス温度及び排気ガス中HC濃度の経時変化の一例であって、ステップ202以降に対応する部分を示している。
【図19】図19は、本発明の別の排気ガス浄化装置を示した説明図である。
【図20】図20は、本発明の更に別の排気ガス浄化装置を示した説明図である。
【符号の説明】
10、20、30、40、50…排気ガス浄化装置
2…機関(エンジン)本体
4…吸気通路
6…排気ガス通路
8…電子制御ユニット(ECU)
12、12´…NOx吸収剤
14、14´…フィルタ(パティキュレートフィルタ)
15、15´…NOx吸収剤担持フィルタ
18…基幹通路
22…環状通路
24…経路変更部
26…経路切替調整弁
28…駆動部
32…酸化触媒
34、34´…還元剤噴射ノズル
36、36´…HCセンサ
43…排気ガス流量調整弁

Claims (16)

  1. 排気ガス通路に配置された排気ガス浄化手段と、
    該排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を調整できる排気ガス流量調整手段と、
    上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する還元剤添加手段とを備え、
    必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施される排気ガス浄化装置であって、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置において、
    更に、上記排気ガス流量調整手段が上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向を反転でき、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通する方向を上記予め定められた制御中とは反転して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置
  2. 上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される場合において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量が徐々に変化せしめられる、請求項1に記載の排気ガス浄化装置。
  3. 排気ガス通路に配置された排気ガス浄化手段と、
    該排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を調整できる排気ガス流量調整手段と、
    上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する還元剤添加手段とを備え、
    必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施される排気ガス浄化装置であって、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置において、
    更に、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量を推定する残存還元剤量推定手段を有していて、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記残存還元剤量推定手段によって推定された残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化装置。
  4. 上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される場合において、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量が徐々に変化せしめられる、請求項3に記載の排気ガス浄化装置。
  5. 上記残存還元剤量推定手段が、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を推定する流量推定手段と、上記排気ガス浄化手段の下流側における排気ガス中の還元剤濃度を推定する還元剤濃度推定手段とを含む、請求項3または4に記載の排気ガス浄化装置。
  6. 上記還元剤濃度推定手段は、HC濃度を推定するHCセンサを含む、請求項5に記載の排気ガス浄化装置。
  7. 上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が上記残存還元剤量推定手段によって推定され、推定された上記残存還元剤量が予め定められた残存還元剤量を超えている場合には、上記排気ガス流量調整手段が上記予め定められた制御中の状態に戻されて、もしくは上記予め定められた制御中の状態とは上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向のみ異なるようにされた状態にされて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、請求項から6の何れか一項に記載の排気ガス浄化装置。
  8. 上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が上記残存還元剤量推定手段によって推定され、推定された上記残存還元剤量が予め定められた残存還元剤量を超えている場合には、上記排気ガス流量調整手段が上記予め定められた制御中の状態に戻されて、もしくは上記予め定められた制御中の状態とは上記排気ガス浄化手段における排気ガスの流通方向のみ異なるようにされた状態にされて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される上記制御が、予め定められた待ち時間をおいて繰り返される、請求項7に記載の排気ガス浄化装置。
  9. 上記排気ガス浄化手段の温度が予め定められた温度以下に低下した時に上記の予め定められた待ち時間が経過したとする、請求項8に記載の排気ガス浄化装置。
  10. 上記排気ガス流量調整手段を制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量を上記残存還元剤量推定手段によって推定する場合において、上記排気ガス流量調整手段を通常状態における状態へと制御して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量を増加させることにより上記残存還元剤量が推定される、請求項7から9の何れか一項に記載の排気ガス浄化装置。
  11. 上記予め定められた制御が上記排気ガス浄化手段を浄化するための制御である請求項1から10の何れか一項に記載の排気ガス浄化装置。
  12. 上記排気ガス浄化手段は、流入する排気ガスの空燃比がリーンの時にNOxを吸蔵し流入する排気ガスの空燃比が小さくなり、且つ還元剤が存在していれば吸蔵したNOxを還元浄化するNOx吸蔵剤を含む、請求項1から11の何れか一項に記載の排気ガス浄化装置。
  13. 上記排気ガス浄化手段は、排気ガス中の排気微粒子を除去する手段を含む、請求項1から12の何れか一項に記載の排気ガス浄化装置。
  14. 排気ガス浄化手段を排気ガス通路に配置して行う排気ガス浄化方法であって、
    必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施され、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法において、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、排気ガスが上記排気ガス浄化手段を流通する方向を上記予め定められた制御中とは反転して上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法
  15. 上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量が推定され、該推定残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、請求項14に記載の排気ガス浄化方法。
  16. 排気ガス浄化手段を排気ガス通路に配置して行う排気ガス浄化方法であって、
    必要に応じて、上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を低下させて上記排気ガス浄化手段の上流側において還元剤を添加する予め定められた制御が実施され、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の 反応によって上記排気ガス浄化手段が過加熱されないように上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される、排気ガス浄化方法において、
    上記予め定められた制御が完了して通常状態に戻るべく上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガス流量を増加させるべき時には、上記排気ガス浄化手段に残存している還元剤の量が推定され、該推定残存還元剤量に基づいて上記排気ガス浄化手段を流通する排気ガスの流量が調整される排気ガス浄化方法。
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