JP3911842B2 - 車両用空調装置の空気清浄装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両に装置される車両用空調装置の空気清浄装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
エバポレータの上流に、空気清浄用フィルタ(濾過式フィルタ+静電式フィルタ)を配置して、ダクト内に導入した空気中の微粒子を除去する車両用空調装置の空気清浄装置が従来より知られている(実開平5‐32040号公報)。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
この車両用空調装置の空気清浄装置は、比較的大きな粒径の微粒子を濾過式フィルタが捕捉し、小さな粒径の微粒子を静電式フィルタが吸着するので、濾過式フィルタの目詰まりが起き難く高い清浄効率が得られる。
しかし、静電式フィルタによりオゾンが発生するので、発明者らは、静電式フィルタ100とエバポレータ200との間に活性炭フィルタ300を配置してオゾンを分解することを考えた(図2参照)。
【0004】
しかし、下記の課題があることが判明した。
空気清浄用フィルタ500が、濾過式フィルタ(厚さ約20mm)400、静電式フィルタ(厚さ約30mm)100、活性炭フィルタ(厚さ約10mm)300の三層となるので、広いスペースが必要である。
しかし、図3に示すように、空気清浄用フィルタ500を設置する場所には、エバポレータ200の配管210や送風機(内外気切替箱)220があるので、三層式の空気清浄用フィルタを設置することは困難である。
【0005】
本発明の目的は、清浄効率に優れるとともに、空調用熱交換器の配管を取り回すことができる車両用空調装置の空気清浄装置の提供にある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
〔請求項1について〕
空調ダクトの空気取入口側に配設した送風機の作動により、空気取入口から空気清浄用フィルタ方向へ向かう空気流が発生する。なお、送風機の特性により空気流は送風機の回転方向に湾曲して空気清浄用フィルタ方向へ向かう。
空調ダクトの空気流の流速が速い部位に配された濾過式フィルタが比較的大きな粒径の微粒子を捕捉し、静電式フィルタが小さな粒径の微粒子を静電吸着し、静電式フィルタが発生するオゾンを活性炭フィルタが分解する。
空調ダクトの空気流の流速が遅い部位に配された濾過式フィルタが比較的大きな粒径の微粒子を捕捉し、オゾンを活性炭フィルタが分解する。
【0007】
空気流の流速が遅い部位の空気清浄用フィルタを、上流側から濾過式フィルタ、および活性炭フィルタを配置した二層構造としている。
これにより、空気流の流速が遅い部位における空気清浄用フィルタの厚さを薄くすることができ、空調用熱交換器の配管を取り回すスペースを確保することができる。
【0008】
なお、空気流の流速が遅い部位は運ばれて来る微粒子の絶対量が少ないとともに、小さな粒径の微粒子の大部分が、速い空気流により、空気流の流速が速い部位に運ばれるので、空気流の流速が遅い部位における空気清浄用フィルタの静電式フィルタを省いて二層構造としても、小さな粒径の微粒子の通り抜けは僅かしか増えず、問題が無い。
【0010】
空調ダクトの空気流の流速が遅い部位に位置する濾過式フィルタの目を、空調ダクトの空気流の流速が速い部位に位置する濾過式フィルタの目より細かくしたので、空気流の流速が遅い部位に運ばれて来る粒径が小さい微粒子を濾過式フィルタで捕捉することができる。
これにより、空気流の流速が遅い部位における静電式フィルタを省くことに起因する粒径が小さい微粒子の通り抜けを抑制することができる。なお、空気流の流速が遅い部位は、風量や運ばれて来る微粒子の絶対量が少ないので濾過式フィルタの目を細かくしても、通風抵抗は著しく増大せず、目詰まりの進行も空気流の流速が速い部位に位置する濾過式フィルタと同程度である。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を図1に基づいて説明する。
車両用空調装置の空気清浄装置Aは、図1に示すように、空調ダクト1の空気取入口側に送風機2を配設し、この送風機2の下流側に空気清浄用フィルタ3を取り付け、この空気清浄用フィルタ3の下流に空調用熱交換器であるエバポレータ4を内設している。
【0012】
空調ダクト1は、前部車室内に開口する空気吹出口(図示せず)を下流側に形成し、この空気吹出口からは前部座席に座っている乗員等に向けて温風または冷風が吹き出される。
空調ダクト1の上流側には内外気切替箱(図示せず)が配設され、この内外気切替箱の下側には送風機2を配設した円筒状のブロワケースが連結されている。
内外気切替箱には、内気導入口(図示せず)および外気導入口が開口し、内外気切替ダンパが組み付けられている。
【0013】
送風機2は、ブロワケース内に配される遠心式ファンと、遠心式ファンを駆動するブロワモータとにより構成され、遠心式ファンはブロワモータへの印加電圧に応じた回転数で回転する。なお、送風機2は、渦巻式でも良い。
【0014】
送風機2により発生する空気流20の大部分(流速が速い)は、ノーズ21に沿って(図示右下がり)流れ、空気清浄用フィルタ3の方向へ向かう。
また、空気流20の一部201(流速が遅い)は、空調ダクト1と平行(図示水平方向)して流れ、空気清浄用フィルタ3の方向へ向かう。
【0015】
空気流20の流速が速い部位(空気清浄用フィルタ3の下側4/5)では、空気清浄用フィルタ3を、上流側から濾過式フィルタ31、静電式フィルタ33、および活性炭フィルタ34を配置した三層構造としている。
また、空気流20の流速が遅い部位(空気清浄用フィルタ3の上側1/5)では、空気清浄用フィルタ3を、上流側から濾過式フィルタ32、および活性炭フィルタ34を配置した二層構造としている。
【0016】
濾過式フィルタ31(厚さ20mm)は、空気流20が通過する面が略正方形を呈し、粒径が10μmより大きい微粒子を捕捉可能な目を有する濾紙で形成され、表面積を大きくするためにアコーディオン状に折り畳まれている。
濾過式フィルタ32(厚さ20mm)は、空気流20が通過する面が略長方形を呈し、濾過式フィルタ31と同様に、粒径が10μmより大きい微粒子を捕捉可能な目を有する濾紙で形成され、表面積を大きくするためにアコーディオン状に折り畳まれている。
【0017】
静電式フィルタ33(厚さ30mm)は、空気流20が通過する面が略正方形を呈し、針が付いた1組のワイヤーを張ったイオナイザーと、粒径が10μm未満の微粒子が帯電吸着する渦巻状のコレクターとを有する。そして、イオナイザーおよびコレクターには、高電圧発生装置(図示せず)から数千Vの高電圧が印加される。
【0018】
この静電式フィルタ33は、以下の原理で10μm未満の微粒子を静電吸着する。
イオナイザーの各ワイヤー間でコロナ放電が発生する。このコロナ放電が起きている空間を微流子が通過する際に微粒子がプラスに帯電する。この帯電した微粒子はコレクターの陰極に引き付けられ陰極に吸着する。
【0019】
活性炭フィルタ34は、空気流20が通過する面が長方形略正方形であり、ハニカム構造を有する。
この活性炭フィルタ34は、濾過式フィルタ32および静電式フィルタ33の後方に位置し、静電式フィルタ33のコロナ放電により発生したオゾンを分解する。
【0020】
エバポレータ4は冷凍サイクルの一部をなす機能部材であり、冷媒が出入する配管を有する。冷凍サイクルは、冷媒圧縮機、冷媒凝縮器、レシーバ、減圧装置、およびエバポレータ4を冷媒配管で環状に接続してなる。
【0021】
冷媒圧縮機は、電磁クラッチを介し車両のエンジンによって駆動される。冷媒凝縮器は、冷媒圧縮機で圧縮された高温高圧の冷媒をクーリングファンの送風を受けて凝縮液化させる。レシーバは、冷媒凝縮器で凝縮された冷媒を一時蓄えて液冷媒のみ流す。減圧装置は、レシーバにより導かれた液冷媒を減圧膨張する。エバポレータ4は、減圧装置で減圧した低温低圧の冷媒を送風機2からの空気流20を通過させて蒸発させる。
【0022】
なお、エバポレータ4の下流には、エアミックスドア(図示せず)と、エンジンの冷却水を熱源としてエアミックスドアを通過した空気を加熱するヒータコア(図示せず)とが配設されている。
【0023】
車両用空調装置の空気清浄装置Aは、以下の利点を有する。
空調ダクト1の空気流20の流速が遅い部位の空気清浄用フィルタ3を、上流側から濾過式フィルタ32、および活性炭フィルタ34を配置した二層構造としている。
これにより、空気流20の流速が遅い部位における空気清浄用フィルタ3の厚さを薄くすることができ、エバポレータ4の配管を取り回すスペース30を確保することができる。
【0024】
なお、空気流20の流速が遅い部位は、流速が遅いので運ばれて来る微粒子の絶対量が少ないとともに、10μm未満の微粒子の大部分が、速い空気流20により、流速が速い部位に運ばれるので、空気流20の流速が遅い部位では静電式フィルタ33を省いて二層構造としても、10μm未満の微粒子の濾過式フィルタ32の通り抜けは僅かしか増えず問題が無い。
【0025】
本発明は、上記実施例以外に、つぎの実施態様を含む。
a.空調ダクト1の空気流20の流速が遅い部位に配置する濾過式フィルタ32の目を、空気流20の流速が速い部位に位置する濾過式フィルタ31の目より細かくしても良い(請求項3に対応)。
【0026】
例えば、濾過式フィルタ31の目の細かさを粒径が10μmより大きい微粒子の捕捉に適した大きさに設定し、濾過式フィルタ32の目の細かさを粒径が5μm以上の微粒子の捕捉に適した目の細かさに設定しても良い。
こうすれば、空気流20の流速が遅い部位に運ばれて来る粒径が10μm未満の濾過式フィルタ32で捕捉することができる。
これにより、空気流20の流速が遅い部位における静電式フィルタ33を省くことに起因する粒径が10μm未満の微粒子の通り抜けを抑制することができる。なお、空気流20の流速が遅い部位は、風量が少ないので濾過式フィルタ32の目を細かくしても、通風抵抗は著しく増大せず、目詰まりの進行も遅く、空気流20の流速が速い部位に位置する濾過式フィルタ31と同程度である。
【0027】
b.スペース30を取り回す配管は、エバポレータ4の配管以外に、ヒータコアの配管でも良い。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る車両用空調装置の空気清浄装置の構造説明図である。
【図2】濾過式フィルタ、静電式フィルタ、および活性炭フィルタを配置した、三層構造を有する車両用空調装置の空気清浄装置の構造説明図である(従来の技術)。
【図3】車両用空気調和装置の空調ダクトの構造説明図である(従来の技術)。
【符号の説明】
A 車両用空調装置の空気清浄装置
1 空調ダクト
2 送風機
3 空気清浄用フィルタ
4 エバポレータ(空調用熱交換器)
20 空気流
31、32 濾過式フィルタ
33 静電式フィルタ
34 活性炭フィルタ
Claims (1)
- 空調ダクトの空気取入口側に送風機を配設し、該送風機の下流側に空気清浄用フィルタを取り付け、該空気清浄用フィルタの下流に空調用熱交換器を内設した車両用空調装置の空気清浄装置において、
前記空調ダクトの空気流の流速が速い部位の前記空気清浄用フィルタを、上流側から濾過式フィルタ、静電式フィルタ、および活性炭フィルタを配置した三層構造とし、
前記空調ダクトの空気流の流速が遅い部位の前記空気清浄用フィルタを、上流側から濾過式フィルタ、および活性炭フィルタを配置した二層構造とし、且つ、
前記空調ダクトの空気流の流速が遅い部位に位置する前記濾過式フィルタの目を、前記空調ダクトの空気流の流速が速い部位に位置する前記濾過式フィルタの目より細かくしたことを特徴とする車両用空調装置の空気清浄装置。
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JP11659898A JP3911842B2 (ja) | 1998-04-27 | 1998-04-27 | 車両用空調装置の空気清浄装置 |
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