JP3911350B2 - 散布機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、少量散布時の散布量の設定精度を向上させた背負式動力散布機において、安定した散布が可能なシャッター構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の背負式動力散布機において、薬剤タンクからブロワーケース内へ落下させる薬剤量の調節は、薬剤タンクとブロワーケースの間に設けた円板状のスライドシャッターを回動し、開口重複部の面積を変更することにより行われてきた。しかし、少量散布の場合には、前記開口重複部の隙間を狭くする必要から、大粒や微粉の薬剤等では目詰まりや付着などの不具合を起こしやすく、少量散布から肥料・粉剤などの多量散布まで対応可能な散布機が望まれている。そこで、各散布量に適したタイプのシャッターを複数適正配置することにより、少量散布から多量散布まで高精度の散布が可能な複合シャッター装置に関する技術を本発明者らは提案している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記複合シャッター装置のシャッターの一つにダンパーシャッターを採用し、該ダンパーシャッターを使って薬剤等を散布する時、薬剤等が新しい場合には流動性が良好なためダンパーシャッター上に堆積する恐れはないが、薬剤の保存状態が悪い場合や保存期間が長い場合、あるいは、湿気や不純物を含む場合には、ダンパーシャッター上面へ薬剤が付着して堆積が進み、目詰まりを起こして薬剤が落下・供給できなくなる、という問題があった。本発明は、前記の点に鑑み、少量散布から多量散布まで、高精度で、しかも安定した散布が可能な散布機を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次に該課題を解決するための手段を説明する。
請求項1においては、薬剤タンク(1)とブロワーケース(2)との間にシャッター収納部(25)を形成し、該シャッター収納部(25)に回動シャッター部(47)とダンパーシャッター部(48)からなる複合シャッター装置(46)を設けた散布機において、該回動シャッター部(47)は、小開口部を一部に有する小開口部シャッター上板(15a)と、該小開口部シャッター上板(15a)の下面に当接されて回動量により散布量を調節する回動シャッター(49)とから構成し、該ダンパーシャッター部(48)は、大開口部を一部に有する大開口部シャッター上板(15b)と、該大開口部シャッター上板(15b)の下面に水平に軸支されて開度により散布量を調節するダンパーシャッター(52)とから構成し、前記ダンパーシャッター部(48)の開口時に、ダンパーシャッター(52)と、該ダンパーシャッター(52)上のシャッター上板(15)との間に空気流の発生が可能なスリット(63)を形成したものである。
【0005】
【発明の実施の形態】
次に本発明の実施の形態を説明する。
【0006】
図1は背負式動力散布機の正面図、図2は同じく側面一部断面図、図3はシャッター部分の側面断面図、図4はダンパーシャッターが「閉」状態における複合シャッター装置の側面断面図、図5はダンパーシャッターが「開」状態における複合シャッター装置の側面断面図、図6はダンパーシャッターが「閉」状態における複合シャッター装置の上面からの斜視図、図7は同じく下面からの平面図である。
【0007】
まず、本発明に係わる散布機の全体構成を、図1、図2、図3により説明する。上部には薬剤タンク1が、その下部にはブロワーケース2を配置し、これら薬剤タンク1及びブロワーケース2は、樹脂をブロー成形することによって一体的に構成されている。
【0008】
ブロワーケース2の前面にはエンジン26が、また該ブロワーケース2内には図示せぬ送風ファンが配置され、エンジン26の出力軸上に送風ファンが固設されている。この薬剤タンク1やブロワーケース2やエンジン26等は、側面視L形状に形成した背負枠3上に載置されている。7は燃料タンク、8はエアクリーナーである。尚、燃料タンク7はエンジン26よりも下方に位置させてある為に燃料を上方のエンジン26まで強制的に送り出すために、燃料タンク7上部にパルスポンプ9を設けている。
【0009】
そして、前記ブロワーケース2と薬剤タンク1の間にはシャッター収納部25が形成されており、薬剤タンク1の下部も兼ねている収納ケース10内には、回動シャッター部47とダンパーシャッター部48等を収納し、ブロワーケース2の一端(図1右側)に設けた噴出口には噴管5の一端が連結されている。また、ブロワーケース2側部にはレバーガイド4を設けて、アクセルレバー及び薬剤の調量レバー33が後方へ突出されて、レバーガイド4により回動がガイドされるようにしている。
【0010】
従って、圃場内では、背負式動力散布機を背負いつつ、エンジン26の駆動によりブロワーケース2内の送風ファンを駆動させ、該送風の大小の調節をアクセルレバーで行い、これにより発生した送風力を用いて、調量レバー33の操作により散布量を調整し、薬剤を薬剤タンク1内から噴管5を通じて散布することが出来るのである。
【0011】
ここで、このような全体構成から成る散布機におけるシャッター収納部25について、図3により説明する。前記薬剤タンク1とブロワーケース2の間の収納ケース10内の内面部にシャッター上板15と一体となったシャッター枠11を設け、該シャッター枠11上に本発明の回動シャッター部47とダンパーシャッター部48を対向させた複合シャッター装置46を形成する。前記シャッター上板15の上には安定具17を固定し、該安定具17上には締結金具19を載置し、該締結金具19の両側は収納ケース10上部内面で図示せぬ部分に係止し、この締結金具19の円周上に螺装した締結ネジ21を締め込むことにより前記安定具17を下方へ押し付けて、複合シャッター装置46がガタつかないように固定しているのである。
【0012】
次に、前記複合シャッター装置46について、図4乃至図7により説明する。複合シャッター装置46の上面を被覆する前記シャッター上板15は、平面視で各シャッターの回動軸間の略中央にあたる直径部分が最も低くなるように傾斜されており、該直径部分を境にし、一方に小開口部シャッター上板15aを有する回動シャッター部47、他方に大開口部シャッター上板15bを有するダンパーシャッター部48が配置されている。
【0013】
このうち前記回動シャッター部47については、小開口部シャッター上板15aの下半分に、回動シャッター回動軸51を中心軸とした円柱の側面形状を呈する曲面部15eから形成され、該曲面部15eの最も低い位置から上方に向かって長方形の小開口部57が開口されている。該小開口部57周囲からはガイド枠15cが垂下され、該ガイド枠15cの両側板によって前記回動シャッター回動軸51が軸支されている。この回動シャッター回動軸51上には両側にガイド側板50を設けたバネ支持板60がボルト61により固定され、該バネ支持板60上には、先端に、回動シャッター49を付けたバネ59が支持固定されており、小開口部57下面に当接した、回動シャッター49を常に付勢した状態で回動させることができ、小開口部シャッター上板15aと、回動シャッター49との間には、隙間が生じない構成としている。従って、回動シャッター部47で少量散布する場合には、小開口部57の隙間から薬剤がこぼれ落ちることがなく、精度良く散布量を制御することができるのである。
【0014】
ダンパーシャッター部48において、大開口部シャッター上板15bの最も低い部分から上方に向かって、平面視で幅広の長方形状の大開口部58が開口され、該大開口部58周囲からはガイド枠15dが垂下され、該ガイド枠15dの両側板にはダンパーシャッター回動軸53が軸支され、さらに、該ダンパーシャッター回動軸53にはダンパーシャッター52が上下に回動可能に軸支されている。
【0015】
該ダンパーシャッター52は、ダンパーシャッター回動軸53の周囲において、上方にかけて肉厚の大径部52bを有し、それ以外は肉薄の小径部52を構成している。前記大径部52bからは、複合シャッター装置46の中央方向に向かってシャッター板52cが延設され、該シャッター板52cの先端には、側面視でL字型の当接部52dが設けられており、「閉」状態においては、前記小開口部57下部のストッパー64下面に当接可能としている。また、ダンパーシャッター52の上方で、前記大開口部シャッター上板15bの下端には当接部15fを設け、該当接部15fは、その下面にダンパーシャッター回動軸53と平行に通気用凹部15gを設けると共に、前記通気用凹部15gと大径部52bとが接当可能な構成となっている。
【0016】
従って、図4に示すように、「閉」状態の時には、大開口部シャッター上板15b下部の当接部15fは、前記大径部52bにより完全に閉塞されているが、ダンパーシャッター52がダンパーシャッター回動軸53を支点として回動して一旦「開」状態になると、図5に示すように、前記小径部52aと当接部15fとの間に、比較的大きな隙間を形成し、前記大径部52bと前記通気用凹部15gのと間にも、同等の大きさの隙間を形成する。このようにして形成されたスリット63により、従来の散布機においては、いつもダンパーシャッター52の下方のみを流れていた空気流62が、ダンパーシャッター52の下方を流れるシャッター下空気流62bと、上方を流れるシャッター上空気流62aの二つの空気流に分断され、そのうちのシャッター上空気流62aの圧力によって、ダンパーシャッター52上面の薬剤は常に押し出し・排除がなされ、薬剤の堆積による目詰りが防止されるのである。
【0017】
なお、本実施例におけるダンパーシャッター52と大開口部シャッター上板15bの形状や位置関係は一例にすぎず、ダンパーシャッター部48を「開」状態にした時に、ダンパーシャッター52上に空気が流れるスリット63が形成されるものであれば特に限定されない。
【0018】
【発明の効果】
本発明は以上の如く構成したので、次のような効果を奏するのである。
請求項1の如く、薬剤タンク(1)とブロワーケース(2)との間にシャッター収納部(25)を形成し、該シャッター収納部(25)に回動シャッター部(47)とダンパーシャッター部(48)からなる複合シャッター装置(46)を設けた散布機において、該回動シャッター部(47)は、小開口部を一部に有する小開口部シャッター上板(15a)と、該小開口部シャッター上板(15a)の下面に当接されて回動量により散布量を調節する回動シャッター(49)とから構成し、該ダンパーシャッター部(48)は、大開口部を一部に有する大開口部シャッター上板(15b)と、該大開口部シャッター上板(15b)の下面に水平に軸支されて開度により散布量を調節するダンパーシャッター(52)とから構成し、前記ダンパーシャッター部(48)の開口時に、ダンパーシャッター(52)と、該ダンパーシャッター(52)上のシャッター上板(15)との間に空気流の発生が可能なスリット(63)を形成したので、少量散布時に、回動シャッター部を使用する場合、設定散布量に対するばらつきが極めて小さくなり、より高精度の散布を実施することができる。
また、多量散布時にダンパーシャッター部を使用する場合には、十分に大きな開度が得られ、しかも、スリット(63)に発生する空気流の効果により目詰まりのない安定した散布も可能となるのである。
【図面の簡単な説明】
【図1】 背負式動力散布機の正面図である。
【図2】 同じく側面一部断面図である。
【図3】 シャッター部分の側面断面図である。
【図4】 ダンパーシャッターが「閉」状態における複合シャッター装置の側面断面図である。
【図5】 ダンパーシャッターが「開」状態における複合シャッター装置の側面断面図である。
【図6】 ダンパーシャッターが「閉」状態における複合シャッター装置の上面からの斜視図である。
【図7】 同じく下面からの平面図である。
【符号の説明】
1 薬剤タンク
2 ブロワーケース
15 シャッター上板
15a 小開口部シャッター上板
15b 大開口部シャッター上板
25 シャッター収納部
46 複合シャッター装置
47 回動シャッター部
48 ダンパーシャッター部
49 回動シャッター
52 ダンパーシャッター
63 スリット

Claims (1)

  1. 薬剤タンク(1)とブロワーケース(2)との間にシャッター収納部(25)を形成し、該シャッター収納部(25)に回動シャッター部(47)とダンパーシャッター部(48)からなる複合シャッター装置(46)を設けた散布機において、
    該回動シャッター部(47)は、小開口部を一部に有する小開口部シャッター上板(15a)と、該小開口部シャッター上板(15a)の下面に当接されて回動量により散布量を調節する回動シャッター(49)とから構成し、該ダンパーシャッター部(48)は、大開口部を一部に有する大開口部シャッター上板(15b)と、該大開口部シャッター上板(15b)の下面に水平に軸支されて、開度により散布量を調節するダンパーシャッター(52)とから構成し、前記ダンパーシャッター部(48)の開口時に、ダンパーシャッター(52)と、該ダンパーシャッター(52)上のシャッター上板(15)との間に、空気流の発生が可能なスリット(63)を形成したことを特徴とする散布機。
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