JP3910875B2 - 回転センサ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転センサに関する。
【0002】
【従来の技術】
回転するシャフト、例えば、自動車のステアリングシャフトに取り付けて、ハンドルの回転角度を検出する際等に使用される回転センサ、例えば、ロータに対して固定コアを間隔を置いて対向配置する回転センサとして図5に示す回転センサ1が提案されている。
【0003】
回転センサ1は、図5に示すように、回転するシャフトShに取り付けられるロータ2、絶縁磁性材からなるコア本体3aとコア本体3a内に収容される少なくとも1つの励磁コイル3bとを有する固定コア3及び回転角度測定装置(以下、単に「測定装置」という)4を備えている。励磁コイル3bは、目的に応じて複数、例えば、図6に示すように、4個の磁コイル3b1〜3b4を設けると0°〜360°の範囲でリニアリティ良く回転角度を検出することができる。
【0004】
ロータ2及び固定コア3は、シャフトSh近傍に位置する固定部材(図示せず)に取り付けられ、それぞれ交流磁界の遮蔽性を有する金属或いは絶縁磁性材からリング状に成形される上ケース6と下ケース7とを備えたケース5に収納されている。回転センサ1は、シャフトShの回転による励磁コイル3bのインピーダンス変動に基づいてシャフトShの回転角度を検出する。
【0005】
ロータ2は、例えば、プラスチックマグネット等の絶縁磁性材によって円盤状に形成された本体2aの固定コア3と対向する面に、周方向に沿って銅箔やアルミ箔等の導電性材料を貼付したセンシング部2bが設けられている。ロータ2は、図5に示すように、回転するシャフトShの軸線方向所定位置にダンパ2cを介して取り付けられる。センシング部2bは、図6に示すように、位置P1の幅が最小で、180°回転した位置P2で最大の幅を有し、ロータ2の回転角度に対応して半径方向の幅が変化するように形成され、後述する交流磁界によって回転に伴う幅に対応した大きさの渦電流が誘起される。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、回転センサ1は、本体2aの表面にセンシング部2bとなる銅箔等を貼付したり、銅箔を貼り付けた後、センシング部2bの形状が残るよるように銅箔をエッチングで除去したりしてロータ2を製造している。このため、ロータ2の製造に手間が掛かり回転センサのコストアップになるという問題があった。
【0007】
また、ロータ2の素材としてプラスチックマグネットを用いた場合、強度を考慮すると、ロータ2はある程度の厚みを有する必要がある。一方、センシング部2bは、固定コア3と接触しないように固定コア3との間に所定の隙間を取る必要がある。このため、ロータ2の強度を考慮して厚さを増すと、回転センサが全体として厚くなり、ユーザーが要求する小型化に反することになってしまう。
【0008】
本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、製造コストを低減できると共に、小型化が可能な回転センサを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明においては上記目的を達成するため、回転するシャフトに取り付けられ、周方向に沿って幅が変化するセンシング部を有するロータと、交流励磁電流が流され、前記ロータとの間に磁気回路を形成する励磁コイルと、絶縁磁性材から成形され、前記励磁コイルを保持するコアとを有し、固定部材に取り付けて、前記ロータに対して前記シャフトの軸線方向に間隔を置いて対向配置される固定コアとを備えた回転センサであって、前記ロータは、前記シャフトに取り付けられるリング状の取付部と、該取付部の外側に配置され、周方向に沿って幅が変化するセンシング部と、前記取付部とセンシング部との間を接続する接続部が導電性素材によって一体に形成されている構成としたのである。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の回転センサに係る一実施形態として、自動車のステアリング装置において、ステアリングシャフトに取り付けてハンドルの回転角度を検出する回転センサを図1乃至図4に基づいて詳細に説明する。
回転センサ10は、図1に示すように、ステアリングシャフトShに取り付けられ、ロータ11、固定コア12,13及び回転角度の測定装置14を備え、ロータ11及び固定コア12,13はケース15に収納されている。
【0011】
ロータ11は、図2に示すように、ステアリングシャフトShに取り付けられるリング状の取付部11aと、取付部11aの外側に配置され、周方向に沿って幅が変化するセンシング部11bと、取付部11aとセンシング部11bとの間を接続する2ヶ所の接続部11cが導電性素材によって一体に形成されている。センシング部11bは、一方の接続部11cにおける幅が最小で、180°回転した他方の接続部11cにおいて最大の幅を有し、ロータ11の回転角度に対応して半径方向の幅が変化するように形成され、後述する交流磁界によって回転に伴う幅に対応した大きさの渦電流が誘起される。ロータ11は、導電性素材として、アルミニウム,銅,銀,鉄,真鍮等の導電性を有する金属をプレス加工等によって従来に比べて極めて安価に製造することができる。
【0012】
固定コア12は、測定装置14を構成するプリント基板上に搭載され、ロータ11を挟んで固定コア13との間に距離Lを置いて対向配置されている。固定コア13は、ケース15の後述する上ケース16に取り付けられている。固定コア12,13は、それぞれ周方向に沿って中心角90°間隔で4箇所に配置され、絶縁磁性材からなるコア本体12a,13aとコア本体12a,13a内に収容される励磁コイル12b1〜12b4と励磁コイル13b1〜13b4を有している。ここで、図1においては、励磁コイル12b1,12b4と励磁コイル13b1,13b4のみが図示され、他は省略されている。励磁コイル12b1〜12b4と励磁コイル13b1〜13b4は、それぞれ直列に接続され、ケース15内で測定装置14のプリント基板と電気的に接続され、交流励磁電流が流されている。これらの励磁コイルは、流される交流励磁電流により周囲に交流磁界を形成し、図1に示すように、磁気回路Cmgを形成する。
【0013】
ここで、2つの固定コア12,13を用いるのは、環境温度の変化に伴う温度補償をするためである。
測定装置14は、図1に示すように、ケース15の後述する下ケース17に固定されている。測定装置14は、ケース15から外部へ延出させた複数の電線14aを介して電源や信号伝送用のワイヤハーネスと接続されると共に、ケース15の外部に設けられた外部装置と接続される。
【0014】
測定装置14は、図3に示すように、分周回路14bと測定部14gとの間に、位相シフト部14c1,位相シフト量検出部14d1,コンバータ14e1、位相シフト部14c2,位相シフト量検出部14d2,コンバータ14e2、位相シフト部14c3,位相シフト量検出部14d3,コンバータ14e3及び位相シフト部14c4,位相シフト量検出部14d4,コンバータ14e4が並列に接続されている。コンバータ14e1の出力信号Sc1とコンバータ14e2の出力信号Sc2は、差動アンプ14h1で差分された後、増幅されて測定部14gのA/Dコンバータへ電圧信号の出力Po1として出力される他、直接測定部14gへと出力される。また、差動アンプ14h1には、増幅された電圧値の電圧レベルを調整するシフトレベル調整部14j1が接続されている。同様に、コンバータ14e3の出力信号Sc3とコンバータ14e4の出力信号Sc4は、差動アンプ14h2で差分された後、増幅されて測定部14gのA/Dコンバータへ電圧信号の出力Po2として出力される他、直接測定部14gへと出力される。また、差動アンプ14h2には、増幅された電圧値の電圧レベルを調整するシフトレベル調整部14j2が接続されている。
【0015】
発振回路14aは、分周回路14bを介して特定周波数の発振信号を、図3に示す抵抗R1〜R4、励磁コイル12b1〜12b4,励磁コイル13b1〜13b4及びコンデンサC1〜C4からなる位相シフト部14c1〜14c4に出力する。このとき、各コンデンサC1〜C4両端における電圧信号の位相は、励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4の後述するインピーダンスの変動によって変化する。コンデンサC1〜C4両端の電圧信号は、位相シフト量検出部14d1〜14d4へ出力される。
【0016】
各位相シフト量検出部14d1〜14d4は、各コンデンサC1〜C4両端の電圧信号の位相シフト量を検出する。
コンバータ14e1〜14e4は、検出された前記位相シフト量を対応する電圧値に変換する。
回転センサ10は、例えば、ワンチップマイクロプロセッサ等を用いた測定部14gに、図3に示すように、増幅された2つの差分信号である出力Po1,Po2及び4つのコンバータ14e1〜14e4からの出力信号Sc1〜Sc4が入力される。すると、測定部14gは、先ず、4つの出力信号Sc1〜Sc4のレベルの大小関係を比較することによって、ロータ11のセンシング部11bにおいて、励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4が配置された位置を判別する。その後、その位置に従い、リニアリティが優れている励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4の差分信号を用いて測定部14gが適当な信号処理を行い、処理された信号を角度信号としてワンチップマイクロプロセッサから出力する。本実施例では、測定部14gのワンチップマイクロプロセッサから出力される角度信号は、一定周期のパルス信号で、そのデューティー比はロータ11の回転角度に比例する。
【0017】
ケース15は、回転するステアリングシャフトSh近傍に位置する固定部材(図示せず)に取り付けられ、それぞれ交流磁界の遮蔽性を有するアルミニウム,銅等の導電性を有する金属或いは前記絶縁磁性材からリング状に成形され、上ケース16と下ケース17を備えている。
上ケース16は、下ケース17と組み合わされてロータ11,固定コア12及び測定装置14を収容する環状の空間を形成する板状の部材である。下ケース17は、固定コア12を設置した測定装置14を収容している。
【0018】
上記のように構成される回転センサ10は、ロータ11をステアリングシャフトShに、ケース15をステアリングシャフトSh近傍の固定部材に、それぞれ取り付けて使用される。回転センサ10においては、センシング部11bの幅はロータ11の回転角度に比例するように設定されている。このため、ロータ11の回転に伴い、センシング部11bに生ずる渦電流によって誘起される交流磁界は、励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4のインピーダンスを変動させる。励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4のインピーダンスの変動量は、ロータ11の回転角度に比例する。従って、回転センサ10は、励磁コイル12b1〜12b4や励磁コイル13b1〜13b4におけるインピーダンスの変動量を測定することでロータ11の回転角度を測定することができる。
【0019】
例えば、ステアリングシャフトShの回転角度(°)に対し、インピーダンスの変動に伴う励磁コイル12b1〜12b4の出力電圧(V)を測定すると、図4にNo.1〜4で示すようになる。このとき、励磁コイル12b1〜12b4の各出力電圧(V)は、図示のように、180°離れた位置にピーク状に突出する部分が出現するが、これらはロータ11の2ヶ所の接続部11cに対応している。従って、図4において、ピーク状に突出する部分を除く、略直線状の4箇所の部分Aを使用することにより、ロータ11の回転角度を高精度に測定することができる。
【0020】
このとき、回転センサ10においては、ロータ11が前記のように導電性金属をプレス加工して製造されるので、安価に製造することができ、従って回転センサ10自体の製造コストも安くなる。しかも、ロータ11は、金属製なので薄くすることができるうえ、プラスチックマグネット等の合成樹脂を使用したものに比べて変形を小さく抑えることができ、回転センサ10の精度や感度を向上させることができる。また、ロータ11は、距離Lを置いた固定コア12と固定コア13との間への配置が容易なうえ、回転センサ10を薄くすることができるので小型化の点でも優れている。
【0021】
更に、回転センサ10は、ロータ11を挟んで固定コア12と固定コア13とが対向配置され、固定コア12,13の間が常に距離Lに保持される。このため、回転センサ10は、ロータ11が回転軸方向に振動しても、ロータ11は、固定コア12,13との距離Lの間を振動するだけで、振動に起因した影響が固定コア12,13によって相互に補完される。このため、回転センサ10は、振動に起因した回転角度の検出誤差が大幅に小さく抑えられる。
【0022】
尚、上記実施形態の回転センサは、自動車のステアリング装置に使用する場合について説明した。しかし、本発明の回転センサは、例えば、ロボットアームのように互いに回転する回転軸間の相対回転角度,回転角度,回転トルクを求めるものであれば、どのようなものにも使用できる。
【0023】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、製造コストを低減できると共に、小型化が可能な回転センサを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の回転センサの断面正面図である。
【図2】図1の回転センサで使用するロータを、励磁コイルの配置と共に示した平面図である。
【図3】図1の回転センサで使用する回転角度の測定装置の回路図である。
【図4】図1の回転センサにおける励磁コイルの出力電圧の一例を示す出力特性図である。
【図5】従来の回転センサの右半断面正面図である。
【図6】図5の回転センサで用いられるロータを、励磁コイルの配置と共に示した平面図である。
【符号の説明】
10 回転センサ
11 ロータ
11a 取付部
11b センシング部
11c 接続部
12,13 固定コア
12b1〜12b4 励磁コイル
13b1〜13b4 励磁コイル
14 測定装置
15 ケース
16 上ケース
17 下ケース
Cmg 磁気回路
Sh ステアリングシャフト

Claims (1)

  1. 回転するシャフトに取り付けられ、周方向に沿って幅が変化するセンシング部を有するロータと、
    交流励磁電流が流され、前記ロータとの間に磁気回路を形成する励磁コイルと、絶縁磁性材から成形され、前記励磁コイルを保持するコアとを有し、固定部材に取り付けて、前記ロータに対して前記シャフトの軸線方向に間隔を置いて対向配置される固定コアとを備えた回転センサであって、
    前記ロータは、前記シャフトに取り付けられるリング状の取付部と、該取付部の外側に配置され、周方向に沿って幅が変化するセンシング部と、前記取付部とセンシング部との間を接続する接続部が導電性素材によって一体に形成されていることを特徴とする回転センサ。
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