JP3910760B2 - 内燃機関のバルブタイミング制御装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気弁,排気弁の開閉時期を機関運転状態に応じて可変にするベーンタイプのバルブタイミング制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来のバルブタイミング制御装置としては、例えば特開平9141022号公報に記載されているベーンタイプのものが知られている。
【0003】
図20及び図21に基づいて概略を説明すれば、このバルブタイミング制御装置は、外周に歯部を有するタイミングスプロケット90と、シリンダヘッドの上端部に回転自在に軸受けされて、タイミングスプロケット90から伝達された回転力によって吸気弁を開作動させるカムシャフト102と、該カムシャフト102の前端部にボルト120によって軸方向から固定されて、前記タイミングスプロケット90内部に正逆回転自在に収容された回転部材104とを備えている。
【0004】
前記タイミングスプロケット90は、筒状のハウジング91と、該ハウジング91の前端部と後端部とを閉塞するフロントカバー92及びリアカバー93とによって構成され、この3者91、92、93は、ボルト94によって共締め固定されている。また、前記ハウジング91の内周面には、径方向から互いに内方へ突出した断面ほぼ台形状の4つの突状部91a〜91dが一体に設けられている一方、前記回転部材104の外周面には、各突状部91a〜91d間に配置された4つのベーン104a,104b,104c,104dが一体に設けられている。さらに、各突状部91a〜91dと各ベーン104a〜104dとの間には、それぞれ4つの遅角側油室105と遅角側油室106が隔成されている。
【0005】
また、この各遅角側油室105と遅角側油室106は、油圧回路107の各油通路108、109を介して油圧が相対的に給排されて回転部材104を正逆回転制御されるようになっており、この油圧回路107には、各油通路108,109の流路を機関運転状態に応じて切り換える電磁切換弁110が設けられている。
【0006】
この電磁切換弁110は、筒状のバルブボディ111の内部にスプール弁体112が摺動自在に設けられていると共に、該スプール弁体112を所定の摺動ストローク位置制御する電磁アクチュエータ110aを有している。また、スプール弁体112に一体に設けられた4つの弁部113〜116が、バルブボディ111の各ポートP1〜P5を開閉制御して、各油圧室105、106への油圧の供給、排出を制御している。また、この電磁切換弁110は、電磁アクチュエータ110aが機関運転状態に応じてコントローラ117によるデュティー制御されて、スプール弁体112の摺動ストローク位置を適宜決定するようになっている。
【0007】
なお、前記4つのベーン104a〜104d中1つのベーン104aとタイミングスプロケット90との間には、タイミングスプロケット90と回転部材104との相対回転を規制ロックあるいはロックを解除するロック機構118が設けられている。
【0008】
そして、機関運転状態に応じて前記進角側と遅角側の各液圧室105,106に前記油圧回路107及び電磁切換弁110を介して油圧が給排されて回転部材104を正逆回転させることにより、タイミングスプロケット90とカムシャフト102との相対回動位相を変化させて、吸気弁の開閉時期を可変にするようになっている。
【0009】
また、例えば機関定常運転時には、スプール弁体112の摺動ストローク位置が中間位置に保持されて、各弁部111〜116がすべてのポートP1〜P5を閉止して各油圧室105、106内に作動油を封止することにより、回転部材104を所定の中間回転位置に保持するようになっている。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来のバルブタイミング制御装置にあっては、回転部材104を所定の中間回転位置に保持するには、前述のように、スプール弁体112の各弁部113〜116が全てのポートP1〜P5を閉止するようになっているため、ハウジング91と回転部材104との間のシール性能が低下するなどの技術的課題を招いている。
【0011】
すなわち、一般に、機関作動中において、カムシャフト102には吸気弁を閉方向に付勢するバルブスプリングのばね力に起因して正及び負の回転変動トルク(交番トルク)が発生していることは周知のとおりであるが、この装置においても、前記回転部材104の中間回転位置に保持された状態において、カムシャフト102に発生した交番トルクが回転部材104に作用して、該回転部材104を正逆回転させる力が発生する。このため、各油圧室105、106内に封止されたそれぞれの油圧(作動油)に正負の交番トルクによって圧縮力が交番状態に掛かって、この高圧となった一方の油圧室の作動油が、フロントカバー92とリアカバー93の対向内面92a,93aと回転部材104の両端面との間の微小隙間S1,S2を通って、低圧な他方の油圧室にリークしようとするが、この各油圧室105,106内の圧縮力は互いに交番トルクにより交互に発生するため、両者S1,S2間に流入した作動油は各油圧室105,106方向へ交番状態、つまり一方の油圧室105から他方の油圧室106へ流入する前に、他方の油圧室106から一方の油圧室105へ逆流移動を開始して互いに両者S1,S2内を行き来流動する形になる。
【0012】
したがって、各ベーン104a〜dの両端面とフロントカバー92及びリアカバー93の対向内面92a、93aとの摺動によって発生して作動油に混入した金属摩耗粉も、前記交互移動の作動油と一緒に両微小隙間S1,S2間内を行き来移動するようになる。
【0013】
この結果、かかる金属摩耗粉によって前記各対向内面92a,93aとベーン104a〜dの両端面との間に、摺動による細かな擦過傷が発生して、該内面92a,93aと両端面との間のシール性能が低下してしまう。
【0014】
そこで、両者間にシール部材を介装して各油圧室105,106方向への作動油の流動を規制することも考えられるが、このようにシール部材を介装した場合は、回転部材104とフロントカバー92及びリアカバー93との間のフリクションが大きくなって、回転部材104の円滑な回転が阻害されて、タイミングスプロケット90とカムシャフト102との相対回動の応答性が低下してしまう虞れがある。特に、かかるベーンタイプの装置は、軸方向の運動を回転運動に変換するヘリカルギアタイプのものに比較して回転部材104の回転量がそのまま両者90、102の相対回動応答性に影響してしまうため、大きなフリクションを発生させる前述のようなシール部材を介装することは不可能である。
【0015】
また、このベーンタイプの装置にあっては、前記正負の交番トルクを回転部材104が直接受けるため、該交番トルクによって各油圧室105、106の容積変化が大きくなる。したがって、前述のような回転部材104の中間保持状態では前記トルク変動によって一方の油圧室が増大しようとすると、該油圧室内が負圧になって前記各油通路108、109の途中の接合部などから前記油圧室内にエアーを吸い込んでしまう虞れがある。この結果、回転部材104が、交番トルクによって回転方向へ大きく振動して、中間位置を保持できなくなり、バルブタイミング制御精度が低下してしまう。また、回転部材104の回転方向の振動によって、前述のように該回転部材104とフロントカバー92、リアカバー93との間に金属摩耗粉による擦過傷が発生し易くなる。
【0016】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記従来の回転部材型におけるバルブタイミング制御装置の実情に鑑みて案出されたもので、請求項1記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、該カムシャフトあるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁と、を備え、前記切換弁は、ほぼ筒状に形成されて、その周壁に、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートと、を有するバルブボディと、該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられて、その軸方向位置に応じて前記供給ポートに対して第1,第2ポートを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の弁部を有する弁体と、該弁体における弁部の外周面が供給ポートの開口端全体に対向する軸方向の摺動位置で、前記弁部の軸方向の両端部と供給ポートの開口端との間に形成されて、前記各液圧室に連通する隙間部と、を有し、前記両隙間部の各開口面積のうち、前記回転変動トルクのいずれか大きい方に対応する一方の開口面積を他方の開口面積よりも大きく設定すると共に、前記両隙間部によって前記両液圧室に所定量の液圧を常時供給し、前記カムシャフトから伝達された正あるいは負の回転変動トルクによって回動した前記ベーンに押圧されて前記各液圧室から液圧がリークした際に、その減少分を供給するようにしたことを特徴としている。
【0017】
したがって、回転部材の中間保持時には、カムシャフトに発生した交番トルクが各液圧室内に圧縮力として作用したとしても、両方の液圧室内には所定量の作動液が常時供給されているため、該両液圧室内の作動液がリークして減少した分が各両室内の作動液の置換流動によって行われるのではなく、各液圧室に直接に供給された作動液によって行われる。換言すれば、各液圧室間方向への作動液の置換流動が行われることがなくなるため、摺動による金属摩耗粉も回転部材の両端面とハウジング内面などの間に侵入して各液圧室方向へ交番状に流動することがなくなる。
【0018】
しかも、回転部材の中間保持状態時において、交番トルクのうち大きい方のトルクが作用する液圧室への液圧の供給を多くしたことにより、かかる液圧によって回転部材の安定した支持が得られるとともに、一方の液圧室内の液圧が回転部材の両端面とこれが摺動する摺動面との間の微小隙間を通って他方の液圧室内に一方的に流入するため、各液圧室内に交互に高低圧変化が生じても、該各液圧室内の作動液とともに金属摩耗粉が回転部材の両端面とハウジングの内面との間を交番状に流動することがより確実に防止される。
【0019】
請求項2記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、該カムシャフトの端部あるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁とを備えたバルブタイミング制御装置において、前記切換弁を作動制御することにより前記回転部材を所定の回転途中位置に保持した際に、前記切換弁によって前記一方の液圧室に所定量の液圧を常時供給する一方、他方の液圧室への液圧の供給を遮断したことを特徴としている。
【0020】
したがって、回転部材の中間保持状態時において、一方の液圧室に流入した作動液は、変動トルクにより他方の液圧室が負圧になった際に、回転部材の両端面とハウジングなどの内面との微小隙間を通って他方の液圧室内に一方的に流入する。これにより、各液圧室内が交互に高低圧変化が生じても前記両端面と内面との間を交番状態に流動することがなくなる。
【0021】
請求項3記載の発明は、前記切換弁を、ほぼ筒状のバルブボディと、該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられたスプール状の弁体と唐構成し、バルブボディの周壁には、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートを形成する一方、前記弁体には、該弁体の摺動に伴い前記供給ポートに対して第1,第2ポートとを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の弁部を設け、該弁部の外周面が供給ポートの開口端全体に対向する位置で前記回転部材を回転途中位置に保持制御すると共に、該弁部の外周面と供給ポートの開口端が対向した位置において、前記弁部の軸方向の両端部と供給ポートの開口端との間に、前記一方の液圧室に連通する隙間部を形成したことを特徴としている。
【0022】
請求項4記載の発明は、前記弁部の軸方向の長さを、供給ポート開口端の弁部軸方向の長さよりも小さく設定するか、あるいは前記開口端の弁部軸方向の長さを、弁部の軸方向の長さよりも大きくして前記両隙間部を形成したことを特徴としている。
【0023】
請求項5記載の発明は、前記弁部両端部の周方向の少なくとも一カ所に、切欠溝あるいは貫通孔を設けて前記隙間部を形成したことを特徴としている。
【0024】
請求項6記載の発明は、前記弁部の軸方向の両端部と対向する供給ポートの開口端の一端縁に切欠溝を設けて、該切欠溝により前記隙間部を形成したことを特徴としている。
【0025】
請求項7記載の発明は、機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、該カムシャフトあるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁と、を備え、前記切換弁は、ほぼ筒状に形成されて、その周壁に、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートと、を有するバルブボディと、該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられて、その軸方向位置に応じて前記供給ポートに対して第1,第2ポートを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の一対の弁部を有する弁体と、該弁体における両弁部の外周面が各第1,第2ポートの各開口端全体に対向する軸方向の摺動位置で、前記各弁部の軸方向の一端部と第1,第2ポートの各開口端との間に形成されて、前記各液圧室に連通する隙間部と、を有し、前記両隙間部の各開口面積のうち、前記各液圧室にカムシャフトを介して作用する正あるいは負の回転変動トルクのいずれか大きい方のトルクが作用する側の液圧室に連通した一方の隙間部の開口面積を、小さい方のトルクが作用する側の液圧室に連通した他方の隙間部の開口面積よりも大きく設定すると共に、前記両隙間部によって前記両液圧室に所定量の液圧を常時供給し、前記カムシャフトから伝達された正あるいは負の回転変動トルクによって回動した前記ベーンに押圧されて前記各液圧室から液圧がリークした際に、その減少分を供給するようにしたことを特徴としている。
【0026】
したがって、回転部材を介して大きな変動トルクを受ける一方の液圧室側には、他方の液圧室よりも多くの作動液が供給されるため、液圧剛性が高くなって回転部材を安定に支持することができるため、回転部材の挙動の不安定化を防止できる。
【0027】
【発明の実施の形態】
図1〜図7は、本願請求項1の発明に係る内燃機関のバルブタイミング制御装置の実施形態を示し、吸気弁側に適用したものを示している。
【0028】
すなわち、機関の図外のクランクシャフトによりタイミングチェーンを介して回転駆動される回転体たるタイミングスプロケット1と、該タイミングスプロケット1に対して相対回動可能に設けられたカムシャフト2と、該カムシャフト2の端部に固定されてタイミングスプロケット1内に回転自在に収容された回転部材3と、該回転部材3を油圧によって正逆回転させる油圧回路4と、タイミングスプロケット1と回転部材3との相対回動を所定位置でロックするか、あるいはロックを解除するロック機構10とを備えている。
【0029】
前記タイミングスプロケット1は、図3にも示すように、外周にタイミングベルトが噛合する歯部5aを有する回転部5と、該回転部5の前方に配置されて回転部材3を回転自在に収容したハウジング6と、該ハウジング6の前端開口を閉塞する蓋体たる円板状のフロントカバー7と、ハウジング6と回転部5との間に配置されてハウジング6の後端開口を閉塞するほぼ円板状のリアカバー8とから構成され、これら回転部5とハウジング6及びフロントカバー7,リアカバー8は、4本の小径ボルト9によって軸方向から一体的に結合されている。
【0030】
前記回転部5は、ほぼ円環状を呈し、周方向の約90°の等間隔位置に各小径ボルト9が螺着する4つの雌ねじ孔5bが前後方向へ貫通形成されていると共に、内部中央位置に後述する通路構成用のスリーブ25が嵌合する段差径状の嵌合孔11が貫通形成されている。さらに、前端面には、前記リアカバー8が嵌合する円板状の嵌合溝12が形成されている。
【0031】
また、前記ハウジング6は、前後両端が開口形成された円筒状を呈し、内周面の周方向の90°位置には4つの隔壁部13が突設されている。この隔壁部13は、横断面台形状を呈し、それぞれハウジング6の軸方向に沿って設けられて、各両端縁がハウジング6の両端縁と同一面になっていると共に、基端側には、小径ボルト9が挿通する4つのボルト挿通孔14が軸方向へ貫通形成されている。さらに、各隔壁部13の内端面中央位置に軸方向に沿って切欠形成された保持溝13a内にコ字形のシール部材15と該シール部材15を内方へ押圧する板ばね16が嵌合保持されている。
【0032】
さらに、前記フロントカバー7は、中央に比較的大径なボルト挿通孔17が穿設されていると共に、前記ハウジング6の各ボルト挿通孔14と対応する位置に4つのボルト孔18が穿設されている。
【0033】
また、リアカバー8は、後端面に前記回転部材5の嵌合溝12内に嵌合保持される円板部8aを有していると共に、中央にスリーブ25の小径な円環部25aが嵌入する嵌入孔8cが穿設され、さらに前記ボルト挿通孔14に対応する位置に4つのボルト孔19が同じく形成されている。
【0034】
前記カムシャフト2は、シリンダヘッド22の上端部にカム軸受23を介して回転自在に支持され、外周面所定位置に、吸気弁をバルブリフターを介して開作動させる図外のカムが一体に設けられていると共に、前端部にはフランジ部24が一体に設けられている。
【0035】
前記回転部材3は、焼結合金材で一体に形成され、フランジ部24と嵌合孔11に夫々前後部が嵌合した前記スリーブ25を介して軸方向から挿通した固定ボルト26によってカムシャフト2の前端部に固定されており、中央に前記固定ボルト26が挿通するボルト挿通孔27aを有する円環状の基部27と、該基部27の外周面周方向の90°位置に一体に設けられた4つのベーン28a,28b,28c,28dとを備えている。
【0036】
前記第1〜第4ベーン28a〜28dは、夫々断面ほぼ逆台形状を呈し、各隔壁部13間に配置されていると共に、各外周面の中央に軸方向に切欠された保持溝29にハウジング6の内周面6aに摺接するコ字形のシール部材30と該シール部材30を外方に押圧する板ばね31が夫々嵌着保持されている。また、この各ベーン28a〜28dの両側と各隔壁部13の両側面との間に夫々4つの進角側油室32と遅角側油室33が隔成されている。
【0037】
前記ロック機構10は、前記回転部5の嵌合溝12の外周側所定位置に形成された係合溝20と、前記係合溝20に対応した前記リアカバー8の所定位置に貫通形成されて、内周面がテーパ状の係合穴21と、該係合穴21に対応した前記1つのベーン28のほぼ中央位置に内部軸方向に沿って貫通形成された摺動用孔35と、該1つのベーン28の前記摺動用孔35内に摺動自在に設けられたロックピン34と、該ロックピン34の後端側に弾装されたばね部材であるコイルスプリング39と、ロックピン34と摺動用孔35との間に形成された受圧室40とから構成されている。
【0038】
前記ロックピン34は、鋼材で成形され、図1〜図3に示すように中央側の中径状の本体34aと、該本体34aの先端側にほぼ先細り円錐状に形成された係合部34bと、本体34aの後端側に形成された段差大径状のストッパ部34cとから構成されており、ストッパ部34cの内部凹溝34dの底面とフロントカバー7の内端面との間に弾装された前記コイルスプリング39のばね力によって係合穴21方向へ付勢されるようになっていると共に、前記本体34aとストッパ34cとの間の外周面及び摺動用孔35の内周面との間に形成された前記受圧室40内の油圧によって係合穴21から抜け出る方向に摺動するようになっている。また、この受圧室40は、前記ベーン28の側部に形成された通孔36によって前記遅角側油室33に連通している。また、ロックピン34の係合部34bは、回転部材3の最大遅角側の回動位置において係合部34bが係合穴21内に係入するようになっている。
【0039】
前記油圧回路4は、図1〜図3に示すように進角側油室32に対して油圧を給排する第1油通路41と、遅角側油室33に対して油圧を給排する第2油通路42との2系統の油通路を有し、この両油通路41,42には、供給通路43とドレン通路44とが夫々通路切替用の電磁切換弁45を介して接続されている。前記供給通路43には、オイルパン46内の油を圧送するオイルポンプ47が設けられている一方、ドレン通路44の下流端がオイルパン46に連通している。
【0040】
前記第1油通路41は、シリンダヘッド22内からカムシャフト2の軸心内部に形成された第1通路部41aと、固定ボルト26の内部軸線方向を通って頭部26a内で分岐形成されて第1通路部41aと連通する第1油路41bと、該頭部26aの小径な外周面と回転部材3の基部27内に有するボルト挿通孔27aの内周面との間に形成されて、第1油路41bに連通する油室41cと、回転部材3の基部27内にほぼ放射状に形成されて油室41cと各進角側油室32に連通する4本の分岐路41dとから構成されている。
【0041】
一方、第2油通路42は、シリンダヘッド22内及びカムシャフト2の内部一側に形成された第2通路部42aと、前記スリーブ25の内部にほぼL字形状に折曲形成されて第2通路部42aと連通する第2油路42bと、回転部材5の嵌合孔11の外周側孔縁に形成されて第2油路42bと連通する4つの油通路溝42cと、リアカバー8の周方向の約90°の位置に形成されて、各油通路溝42cと遅角側油室33とを連通する4つの油孔42dとから構成されている。
【0042】
前記電磁切換弁45は、内部のスプール弁体が各油通路41,42と供給通路43及びドレン通路44a,44bとを相対的に切り換え制御するようになっていると共に、コントローラ48からの制御信号によって切り換え作動されるようになっている。
【0043】
具体的に説明すれば、図4〜図6に示すようにシリンダブロック49の保持孔50内に挿通固定された筒状のバルブボディ51と、該バルブボディ51内の弁孔52に摺動自在に設けられて流路を切り換えるスプール弁体53と、該スプール弁体53を作動させる比例ソレノイド型の電磁アクチュエータ54とから構成されている。
【0044】
前記バルブボディ51は、周壁のほぼ中央位置に前記供給通路43の下流端と弁孔52とを連通する供給ポート55が貫通形成されていると共に、該供給ポート55の両側に前記第1,第2油通路41,42の他端部と弁孔52とを連通する第1ポート56及び第2ポート57が夫々貫通形成されている。また、周壁の両端部には、両ドレン通路44a,44bと弁孔52とを連通する第3,第4ポート58,59が貫通形成されている。
【0045】
前記スプール弁体53は、小径軸部の中央に供給ポート55を開閉するほぼ円柱状の第1弁部60を有していると共に、両端部に第3,第4ポート58,59を開閉するほぼ円柱状の第2,第3弁部61,62を有している。また、スプール弁体53は、前端側の支軸53aの一端縁に有する傘部53bと弁孔52の前端側内周壁に有するスプリングシート51aとの間に弾装された円錐状の弁ばね63によって図中右方向、つまり第1弁部60で供給ポート55と第2油通路25とを連通する方向に付勢されている。
【0046】
また、前記第1弁部60は、軸方向の両端部60a、60bが周方向へ円環状に切欠されて、図5に示すようにスプール弁体53が前後ストローク方向の中間位置に存する場合において、前記両端部60a、60bの端縁間の軸方向の長さLが、対向する供給ポート55の弁孔52側開口端55aの図中横方向の長さL1よりも小さくなるように設定されている。したがって、該スプール弁53のストローク中間位置おける前記両端部60a、60b端縁との間に、環状の隙間部68、69がそれぞれ形成されるようになっている。
【0047】
この隙間部68、69は、第1弁部60が図示の中間位置で開口端55aに対向している時点において、その断面積が異なるように形成されている。すなわち、前記隙間部68、69は、図7に示すように、第1弁部60の両端部60a,60bに切欠された円環状の溝の幅を互いに異ならしめて、前記カムシャフト2に発生する正負の交番トルクのうち、たとえば大きい方の正のトルクが作用する遅角側油室33と連通する一方の隙間部68側の溝幅Z1が他方の隙間部69の溝幅Z2よりも大きく設定され、一方の隙間部68の通路断面積が大きく形成されている。
【0048】
前記電磁アクチュエータ54は、コア64と移動プランジャ65と、コイル66,コネクタ67などを備え、移動プランジャ65の先端に前記スプール弁体53の傘部53bを押圧する駆動ロッド65aが固定されている。
【0049】
前記コントローラ48は、機関回転数を検出するクランク角センサや吸入空気量を検出するエアフローメータからの信号によって現在の運転状態を検出すると共に、クランク角及びカム角センサからの信号によってタイミングプーリ1とカムシャフト2との相対回動位置を検出している。
【0050】
したがって、この実施態様によれば、機関低速負荷時には、コントローラ48から電磁アクチュエータ54にOFF信号が出力され、スプール弁体53が弁ばね63のばね力で図4に示す位置つまり最大右方向に移動する。これによって、第1弁部60が供給ポート55の開口端55aを一方の隙間部68を介して開成して第2ポート57と連通させると同時に、第2弁部61が第3ポート58の開口端を開成すると共に、第4弁部62が第4ポート59を閉止する。
【0051】
このため、オイルポンプ47から圧送された作動油は、供給ポート55、弁孔52,第2ポート57,第2油通路42を通って遅角側油室33に速やかに供給されると共に、進角側油室32内の作動油が第1油通路41,第1ポート56,弁孔52,第3ポート58を通って第1ドレン通路44aからオイルパン46内に排出される。
【0052】
したがって、遅角側油室33の内圧が高、進角側油室32が低となって、回転部材3は、ベーン28a〜28dを介して最大一方向に回転する。これによって、スプロケット1とカムシャフト2とは一方側へ相対回動して位相が変換され、この結果、吸気弁の開時期が遅くなり、排気弁とのオーバラップが小さくなって燃焼効率が良好になり、安定した駆動と燃費の向上が図れる。
【0053】
一方、機関低速低負荷域から高速高負荷域に移行した場合は、電磁アクチュエータ54に最大パルス巾のON信号が出力されて、スプール弁体53が弁ばね63のばね力に抗して図6に示すように左方向へ最大に摺動して、第3弁部61が第3ポート58を閉止すると同時に、第4弁部62が第4ポート59を開成すると共に、第1弁部60が供給ポート55と第2ポート57との連通を遮断すると共に、他方の隙間部69を介して供給ポート55と第1ポート56とを連通させる。このため、作動油は、供給ポート55,第1ポート56,第1油通路41を通って進角側油室32内に供給されると共に、遅角側油室33内の作動油が第2油通路42,第2ポート57,第4ポート59,第2ドレン通路44bを通ってオイルパン46に排出され、遅角側油室33が低圧になる。このため、回転部材3は、ベーン28a〜28dを介して他方向へ最大に回転する。これにより、両者1,2の相対位相変換が行われ、吸気弁の開時期と閉時期が進角制御されて、オーバラップが大となり、吸気充填効率の向上によって出力が高くなる。
【0054】
次に、例えば機関中速中負荷時に移行した場合は、コントローラ48からの制御信号に基づいてスプール弁体53が、図5に示すように中間位置に移動保持されて第3,第4ポート58,59を閉止するが、第1弁部60が供給ポート55の開口端55a全体に対向するため、両隙間部68、69によって供給ポート55と第1、第2ポート56、57を連通させる。
【0055】
したがって、回転部材3は、所定の中間位置に保持され、これによって吸気弁も所定の開閉時期に制御される。したがって、運転状態に応じた機関性能を十分に発揮させることが可能になる。
【0056】
また、ここで、前記両方の油室32、33内には、両隙間部68、69を介して供給ポート55から所定量の作動油が常時供給される。このため、回転部材3を、各油室32、33内の油圧によって中間回転位置に安定に保持することが可能になる。
【0057】
しかも、前記大きな正のトルクによって遅角側油室33が比較的強く圧縮された場合でも、多く供給された作動油によってベーン28a〜28dを支持して不用意な遅角側油室33方向への回転を十分に規制することができ、回転部材3が中間回転位置により安定に保持される。
【0058】
そして、この中間回転位置においてカムシャフト2に発生した正負の交番トルクが回転部材3を介して進角側油室32と遅角側油室に作用して、該各油室32、33内の作動油がリークした場合には、その補充が各油室32、33内の作動油が互いに置換流動して行われるのではなく、前記供給作動油によって行われる。さらに、このとき、大きな正の交番トルクが作用する遅角側油室33への油圧の供給を多くすることにより、かかる油圧によって回転部材3の安定した支持が得られるとともに、前記遅角側油室33内の油圧が各微小隙間S1,S2を通って進角側油室32内に一方的に流入させることが可能になる。
【0059】
換言すれば、各油室32、33の作動油は、交番トルクによってベーン28a〜28dの両端面6a,6bと、フロントカバー7の内面7a及びリアカバー8の内面8dとの間の微小隙間S1,S2内を行き来状態(交番状態)に流動することがなくなる。このため、ベーン28a〜28dの摺動により発生した金属摩耗粉も、微小隙間S1,S2間で各油室32、33方向へ互いに交番状に流動することがなくなる。
【0060】
したがって、各対向面間での金属摩耗粉による擦過傷の発生が十分に防止され、この結果、各対向面6a,7a、6b,8d間のシール性能の低下を抑制することができる。
【0061】
また、前記各隙間部68、69は、第1弁部60の両端部60a,60bを単に軸方向に研磨するだけで形成することができるため、この成形加工作業が容易になり、コストの上昇を抑制できる。
【0062】
さらに、スプール弁体53の第1弁部60を軸方向へ大きく設定する必要がなくなるため、その分スプール弁体53の軸方向の長さを短尺化でき、電磁切換弁45全体のコンパクト化が図れる。
【0063】
尚、機関停止時には、アイドリング運転等を経るため回転部材3は、進角側油室32方向へ回転して図3に示す状態となり、ロックピン34の係合部34bがコイルスプリング39のばね力で係合孔21に係合する。また、万一アイドリング運転等を経ないで機関が停止しても、カムシャフト2に発生する変動トルクにより回転部材3が進角側油室32方向へ回動して、ロックピン34が係合穴21に係合する。
【0064】
図8〜図10は、隙間部を片側のみに形成した本願請求項2に対応する第1実施形態を示し、第1弁部60の一端部60a外周面に矩形状の切欠溝73を周方向の4カ所に形成し、この各切欠溝73によって開口端55aの一端縁間との間に1つの隙間部68を形成した。
【0065】
したがって、この実施形態では、図示のようにスプール弁53の中間ストローク位置においては、第1弁部60の他端部60bによって供給ポート55と第1ポート56との連通が遮断されて、進角側油室32への作動油の流入が規制されて該進角側油室32内が封止されているものの、第2ポート57は、切欠溝73によって構成された隙間部68によって供給ポート55と連通しているため、供給ポート55から弁孔52に流入した少量の作動油は、第2ポート57、第2油通路42を通って遅角側油室33に供給される。このため、交番トルクによって交互に圧縮された各油室32、33の作動油は、進角側油室32から遅角側油室33への流入はないが、遅角側油室33から進角側油室32へ各微小隙間S1,S2を通って一方的に流入する。なお、進角側油室32内には、前記圧縮によりハウジング6の外部にリークした作動油の不足分も遅角側油室33から補充される。
【0066】
このように、この実施形態では、遅角側油室33の作動油が進角側油室32内へ一方的に流入するため、同じく該作動油に混入した金属摩耗粉も遅角側から進角側油室32へ一方的に流動する。したがって、各油室32、33に交番トルクによる交互の圧縮が作用しても微小隙間S1,S2内での交番状態での流動が抑制できるので、擦過傷によるシール性能の低下を防止できる。
【0067】
図9は本願請求項2に対応する第2実施形態を示し、第1弁部60の一端部60aに、切欠溝に代えて比較的大径な2つの貫通孔74を直径方向に形成し、この貫通孔74を利用して片側に隙間部68を形成したものである。したがって、この実施形態も前記第1実施形態と同様な作用効果が得られることは勿論のこと、単にドリルなどによって孔開け加工するだけであるから、加工作業が容易になる。
【0068】
図10は本願請求項2に対応する第3実施形態を示し、供給ポート55の開口端55a一端縁に円環状の溝75を形成し、この円環状溝75を利用して一方側のみに隙間部68を形成したものである。よって、この実施形態によれば、少ない研磨加工によって隙間部68,69の通路断面積を大きく設定することができるため、車両の仕様によって電磁切換弁45から各油室32、33への作動油の要求量が多い場合にも、十分に対応することができる。
【0069】
図11は前記本願請求項1に対応する実施形態において前記スプール弁体53の構造が異なった本願請求項7に対応する実施形態を示し、第1弁部を、前記各実施形態のように中央に1つではなく、各第1、第2ポート56、57にそれぞれ対応した位置に2つ設けて、それぞれの弁部76、77が各ポート56、57の開口端56a,57aを直接開閉するように構成したものである。
【0070】
すなわち、前記各第1弁部76、77間の軸方向の長さL1が、各開口端56a,57aの供給ポート55側両端縁間の長さL2よりも短かく設定されて、図示のように、スプール弁体53の中間ストローク位置において、対向する端部76a,77aが各開口端56a,57aの両端縁よりも外側に配置されている。したがって、ここに一対の隙間部68,69が形成されるようになっている。なお、この実施形態においても、前記各隙間部68,69は、それぞれ前記本願請求項1に対応する実施形態と同様に互いに異なる断面積に設定されている。
【0071】
よって、この実施形態においても、回転部材3の中間回転位置において両隙間部68、69を介して各油室32、33にそれぞれ少量の作動油が供給されるため、たとえ交番トルクが作用しても該各油室68、69内の作動油が微小隙間S1,S2を交番状態で流動することがなく、金属摩耗粉による擦過傷の発生を防止できる。
【0072】
また、スプール弁体53が摺動ストロークして、第1弁部60、76、78の両端部のいずれか一方が供給ポート55と第1あるいは第2ポート56、57を連通させると、同時に供給ポート55と他方のポート56あるいは57との連通を遮断するようになっているため、作動油の無駄な循環を押さえることができる。
【0073】
なお、本発明は、前記各実施形態の構成に限定されるものではなく、隙間部を形成するための構造を電磁切換弁の仕様などに応じて自由に変更することができる。
【0074】
【発明の効果】
以上の説明で明らかなように、請求項1記載の発明によれば、回転部材の中間保持時には、両方の液圧室内に所定量の液圧を常時供給するようにしたため、カムシャフトに発生する正負の交番トルクが各液圧室に作用しても、回転部材と該回転部材の両端面が摺動する摺動面との間から各液圧室間方向への作動液の置換流動が行われることがなくなることから、摺動により発生した金属摩耗粉も、回転部材の両端面とたとえば回転体の摺動面との間に入り込んで各液圧室方向へ交番状に流動することがない。
【0075】
しかも、回転部材の中間保持状態時において、交番トルクのうち大きい方のトルクが作用する液圧室への液圧の供給を多くしたことにより、かかる液圧によって回転部材の安定した支持が得られるとともに、一方の液圧室内の液圧が回転部材の両端面とこれが摺動する摺動面との間の微小隙間を通って他方の液圧室内に一方的に流入することになるため、各液圧室内に交互に高低圧変化が生じても、該各液圧室内の作動液とともに金属摩耗粉が回転部材の両端面とハウジングの内面との間を交番状態に流動することがより効果的に防止される。
【0076】
この結果、回転部材の両端面と摺動面に対して金属摩耗粉による擦過傷の発生が防止されて、前記両面間のシール性能の低下を防止できる。
【0077】
請求項2及び3記載の発明によれば、回転部材の中間保持状態時において、一方の液圧室に流入した作動液は、交番トルクにより他方の液圧室が負圧になった際に、回転部材の両端面とハウジングなどの内面との微小隙間を通って他方の液圧室内に一方的に流入する。これにより、各液圧室内が交互に高低圧変化が生じても前記両端面と内面との間を交番状態に流動することがなくなる。
【0078】
請求項4〜6に記載の発明によれば、隙間部の通路断面積を高い寸法精度で形成できると共に、加工コストの低減化が図れる。
【0079】
請求項7に記載の発明によれば、切換弁の仕様に応じてスプール弁体の構造を自由に変えたとしても、前記請求項1に記載の発明と同様な優れた作用効果を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本願請求項1に対応する実施形態を示す図2のA−A線断面図。
【図2】 図1のB−B線断面図。
【図3】 本実施形態の分解斜視図。
【図4】 本実施態様に供せられる電磁切換弁の縦断面図。
【図5】 本実施態様に供せられる電磁切換弁の縦断面図。
【図6】 本実施態様に供せられる電磁切換弁の縦断面図。
【図7】 本実施態様に供せられる電磁切換弁の要部断面図。
【図8】 本願請求項2に対応する第1実施態様を示す電磁切換弁の要部断面図。
【図9】 本願請求項2に対応する第2実施態様を示す電磁切換弁の要部断面図。
【図10】 本願請求項2に対応する第3実施態様を示す電磁切換弁の要部断面図。
【図11】 本願請求項7に対応する実施態様を示す電磁切換弁の要部断面図。
【図12】 従来のバルブタイミング制御装置を示す断面図。
【図13】 図12のC−C線断面図。
【符号の説明】
1…タイミングスプロケット(回転体)
2…カムシャフト
3…回転部材
4…油圧回路
6…ハウジング
7…フロントカバー
13…隔壁部
28a〜28d…ベーン
32…進角側油室
33…遅角側油室
45…電磁切換弁
47…オイルポンプ
51…バルブボディ
52…弁孔
53…スプール弁体
55…供給ポート
55a…開口端
56…第1ポート
57…第2ポート
60…第1弁部
68、69…隙間部
Claims (7)
- 機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、
該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、
該カムシャフトあるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、
前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、
該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、
該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁と、
を備え、
前記切換弁は、ほぼ筒状に形成されて、その周壁に、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートと、を有するバルブボディと、
該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられて、その軸方向位置に応じて前記供給ポートに対して第1,第2ポートを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の弁部を有する弁体と、
該弁体における弁部の外周面が供給ポートの開口端全体に対向する軸方向の摺動位置で、前記弁部の軸方向の両端部と供給ポートの開口端との間に形成されて、前記各液圧室に連通する隙間部と、を有し、
前記両隙間部の各開口面積のうち、前記回転変動トルクのいずれか大きい方に対応する一方の開口面積を他方の開口面積よりも大きく設定すると共に、
前記両隙間部によって前記両液圧室に所定量の液圧を常時供給し、前記カムシャフトから伝達された正あるいは負の回転変動トルクによって回動した前記ベーンに押圧されて前記各液圧室から液圧がリークした際に、その減少分を供給するようにしたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、
該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、
該カムシャフトあるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、
前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、
該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、
該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁と、
を備え、
前記切換弁を作動制御することにより前記回転部材を所定の回転途中位置に保持した際に、前記切換弁によって前記一方の液圧室に所定量の液圧を常時供給する一方、他方の液圧室への液圧の供給を遮断したことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。 - 前記切換弁は、ほぼ筒状のバルブボディと、該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられた弁体とを備え、バルブボディの周壁には、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートを形成する一方、前記弁体には、該弁体の摺動に伴い前記供給ポートに対して第1,第2ポートとを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の弁部を設け、該弁部の外周面が供給ポートの開口端全体に対向する位置で前記回転部材を回転途中位置に保持すると共に、該弁部の外周面と供給ポートの開口端全体が対向した位置において、前記弁部の軸方向の両端部と供給ポートの開口端との間に、前記一方の液圧室に連通する隙間部を形成したことを特徴とする請求項2記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記弁部の軸方向の長さを、供給ポート開口端の弁部軸方向の長さより も小さく設定するか、あるいは前記開口端の弁部軸方向の長さを、弁部の軸方向の長さよりも大きくして前記1つの隙間部を形成したことを特徴とする請求項3記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記弁部両端部の周方向の少なくとも一カ所に、切欠溝あるいは貫通孔を設けて前記隙間部を形成したことを特徴とする請求項3記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 前記弁部の軸方向の両端部と対向する供給ポートの開口端の一端縁に切欠溝を設けて、該切欠溝により前記隙間部を形成したことを特徴とする請求項3記載の内燃機関のバルブタイミング制御装置。
- 機関のクランクシャフトによって回転駆動する回転体と、
該回転体と相対回動可能なカムシャフトと、
該カムシャフトあるいは回転体に固定されて、ベーンがカムシャフトの直径方向に延出した回転部材と、
前記ベーンの両側面側に形成された少なくとも一対の液圧室と、
該両液圧室に相対的に液圧を給排して前記回転部材を正逆回転させる液圧回路と、
該液圧回路に設けられて、前記各液圧室に液圧を選択的に給排して回転部材を正転あるいは逆回転方向に切り換え制御する切換弁と、
を備え、
前記切換弁は、ほぼ筒状に形成されて、その周壁に、液圧源に接続された供給通路に連通する供給ポートと、該供給ポートと前記各液圧室に夫々連通する給排用の第1ポート及び第2ポートと、を有するバルブボディと、
該バルブボディ内の弁孔内に摺動自在に設けられて、その軸方向位置に応じて前記供給ポートに対して第1,第2ポートを選択的に切り換えて供給ポートと前記各液圧室とを連通,遮断するほぼ円柱状の一対の弁部を有する弁体と、
該弁体における両弁部の外周面が各第1,第2ポートの各開口端全体に対向する軸方向の摺動位置で、前記各弁部の軸方向の一端部と第1,第2ポートの各開口端との間に形成されて、前記各液圧室に連通する隙間部と、を有し、
前記両隙間部の各開口面積のうち、前記各液圧室にカムシャフトを介して作用する正あるいは負の回転変動トルクのいずれか大きい方のトルクが作用する側の液圧室に連通した一方の隙間部の開口面積を、小さい方のトルクが作用する側の液圧室に連通した他方の隙間部の開口面積よりも大きく設定すると共に、
前記両隙間部によって前記両液圧室に所定量の液圧を常時供給し、前記カムシャフトから伝達された正あるいは負の回転変動トルクによって回動した前記ベーンに押圧されて前記各液圧室から液圧がリークした際に、その減少分を供給するようにしたことを特徴とする内燃機関のバルブタイミング制御装置。
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A521 | Written amendment |
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