JP3910245B2 - 有機・無機複合粉末の製法 - Google Patents

有機・無機複合粉末の製法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、有機質高分子粒子の内部に無機質微細粒子が埋没した有機・無機複合粉末を製造する方法に関し、特に有機質高分子粒子内に機能性無機質微細粒子を高密度で効率よく埋没させて複合化することのできる方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
機能性無機質微粒子を有機質高分子マトリックス中に混入させてカプセル化した有機・無機複合粉末としては、例えば粉末塗料や電子コピー用トナー等があり、これらの複合粉末は、その機能性を高めるため、粒径が5〜20μm程度の微粉末として使用される。
【0003】
これらの複合粉末を製造する際には、例えば混練ディスクを有する2軸混練押出装置あるいは特公平2−92号に本願出願人が開示した様な連続捏和装置を使用し、有機質高分子を溶融温度以上に加熱して顔料や磁性粉末等の機能性無機質微細粒子と共に混練・分散させて複合コンパウンドを製造し、冷却固化させてから粗粉砕し、更に風力を利用したジェットミル等によって微粉砕する方法が採用されている。
【0004】
上記の様に、有機質高分子をマトリックス或はバインダーとし、これを溶融状態で機能性無機質微細粒子と混練・分散させる複合化法では、有機質高分子が疎水性であるのに対し、機能性微細粒子が親水性であることから、均一な分散状態が得られ難い。そのためシランカップリング剤、チタネート系カップリング剤、界面活性剤等を併用し、ヘンシェルミキサーやスーパーミキサー等の高速流動ミキサーを用いて均一に混合し、機能性微細粒子の表面を改質した後に分散させる方法が一般的に採用されているが、いずれにしても、均一な複合コンパウンドの製造、冷却・粗粉砕、微粉砕の多段の工程を必要とする点では変わりがない。
【0005】
この様に、有機質高分子と機能性無機質微細粒子の複合された複合粉末の製造には多種類の装置を用いた多段の工程が必要であり、製造コストを高める大きな原因となっている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記の様な課題に着眼してなされたものであって、その目的は、原料として有機質高分子粒子と機能性無機質微細粒子を使用し、これらが均一に複合された有機・無機複合粉末を、簡単な方法で効率よく製造することのできる方法を提供しようとするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することのできた本発明に係る有機・無機複合粉末の製法は、有機質高分子粒子と無機質微細粒子との混合物に、有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させて、前記有機質高分子粒子の表面に前記無機質微細粒子を付着せしめた後、上記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で更に擂り剪断力を作用させ、前記無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させるところにその特徴が存在する。
【0008】
又本発明に係る他の製法は、上記方法により無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させた状態のものに、前記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で更に擂り剪断力を作用させ、前記有機質高分子粒子内に無機質微細粒子が埋没し成長した複合粒子を分断して微細化することにより、より微細な複合粉末を製造するところに要旨が存在する。
【0009】
【発明の実施の形態】
上記の様に本発明の方法では、有機質高分子粒子と無機質微細粒子との混合物に、有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させて、前記無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させ、あるいは前記有機質高分子粒子の表面に前記無機質微細粒子を付着させてから、上記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させて、前記無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させ、
さらには、上記方法により無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させた状態のものに、前記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で更に擂り剪断力を作用させ、前記無機質微粒子の埋没した有機質高分子粒子を分断して微細化し、より微細な複合粉末を製造するところに特徴を有しているが、その概念は図1に示す通りである。
【0010】
即ち図1においてAは有機質高分子粒子、Bは無機質微細粒子を示しており、これらの混合物を、有機質高分子粒子Aの軟化温度未満の温度(通常は常温)で強力に混練すると、両粉末A,Bが混合されると共に衝撃、圧縮、摩擦、接触等の機械エネルギーを受け、特に摩擦帯電による静電吸引力の作用によって両粉末A,Bの表面が活性化され、有機質高分子粒子Aの表面に無機質微細粒子Bが付着し、所謂カプセル化が起こる。こうした現象は、高分子粒子Aの表面に顔料や紫外線防止剤等を付着してカプセル化した、例えば化粧品の粉おしろいやファンデーション等として既に公知である。またこのカプセル化工程で無機質微細粒子Bの一部が有機質高分子粒子Aの表層部に埋まり込んで表層複合化状態になることもあると考えられている。
【0011】
そして従来の混練装置では、上記カプセル化乃至表層複合化までが限度であり、むしろこうした状態で止め無機質微細粒子Bを表面に露出させることによって、その機能をより効果的に発揮させることができると考えられている。
【0012】
これに対し本発明では、該カプセル化乃至表層複合化の段階から更に擂り剪断力を与え、無機質微細粒子Bを有機質高分子粒子Aの内部にまで埋没させて内部複合化状態にまで至らしめ、或は更にこれに擂り剪断力を作用させることによって、内部複合化された有機・無機複合粒子を分断し、更に微細な有機・無機複合粉末を製造するところに特徴がある。
【0013】
この様な内部複合化もしくは分断微細化を進めるには、有機質高分子粒子Aの表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させることが必要であり、有機質高分子粒子Aの表面が軟化を起こさない低温の条件下では上記の様な内部複合化が起こらず、又溶融温度を超える高温で擂り剪断力を作用させると、有機質高分子粒子Aが溶融して前記カプセル化乃至表層複合化状態が崩れ、溶融状態の複合コンパウンドとなってしまい、前記従来技術で指摘した様な冷却、粗粉砕、微粉砕等の後工程が必須となり、工程簡素化の目的が果たせなくなる。
【0014】
従って、本発明を実施するに当たっては、擂り剪断力を与えるときの温度条件を「有機質高分子粒子Aの表面が軟化を起こすが溶融しない温度」に設定することが不可欠の要件であり、有機質高分子粒子Aの種類に応じて当該温度条件を適正に制御することが極めて重要であり、それにより、有機質高分子粒子Aが溶融したり或は相互に融着して粗大化する様なことなく、粒状のままでその内部に無機質微細粒子Bが埋没した有機・無機複合粉末を得ることが可能となる。
【0015】
上記において複合化される有機質高分子粒子Aと無機質微細粒子Bの大きさの関係については、これらをいずれも球状の粒子とした場合、無機質微細粒子Bの径をd、有機質高分子粒子Aの径をDとすると、d/Dが1/10以下、より好ましくは1/20以下となる様にすることが好ましく、それにより有機質高分子粒子Aの内部に多数の無機質微細粒子Bが埋没した複合粉末を得ることが可能となる。
【0016】
ところで、特公平2−92号に示した様な連続捏和装置を使用し、溶融状態の高分子粒子Aと無機質微細粒子Bの混練を行なう場合、混練・分散効率を高める手段としては、当該装置の回転速度を高めることによって擂り剪断力を高めるのが一般的であるが、この手段では回転速度を高めるにつれて発熱量が急激に増大して素材の変質等が起こり易くなり、複合粉末の品質に悪影響が現われてくる。即ち、溶融状態の高分子と無機質粉末を混練するときの液相−固相系の分散を効率よく行なうには、該分散系にかかる剪断応力τを如何に大きくするかが重要であり、この関係は、粘性流体に関するニュートンの法則から次式によって表わすことができ、溶融状態の高分子の粘性ηが大きく影響する。
【0017】
τ=η・Ds =η・v/t……(1)
式中、ηは粘度、D,v/tは剪断速度勾配またはずり速度、vは速度、
tは剪断が作用する2面間の距離を夫々表わす。
【0018】
これに対し本発明では、上記の様に有機質高分子粒子が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させ、軟化した有機質高分子粒子Aの内部に無機質微細粒子Bをめり込ます様に埋没させて請求項1記載に係る有機・無機複合粉末を製造したり、或はその後更に擂り剪断力を作用させて分断し微細化して請求項2記載に係る有機・無機複合粉末を製造する方法、即ち固相−固相系での複合化であり、以下に示す如く液相−固相系での複合化に比べると分散エネルギーを少なく抑えることができ、それに伴って複合化工程での発熱も抑えることが可能となる。即ち粉体と粉体の混練系に作用する剪断応力τは、クーロンの摩擦則から
τ=δtanΦi +C=δμi +C……(2)
(式中、δは圧縮力、Φi は内部摩擦角、μi は摩擦係数、
Cは付着力を夫々表わす。)
で表わされる。
【0019】
即ち、粘性流体の分散系に作用する分散に必要な液相−固相系の剪断応力は、前記式(1)に示した様に溶融高分子の粘度ηの影響を強く受けるが、粉体−粉体同士の混練時における剪断応力は、上記式(2)で示される如く粉体同士の摩擦係数と圧縮力によって直接材料に作用させることができ、従って粉体−粉体間の接触・複合化を行なう本発明によれば複合化に要するエネルギーを少なく抑えることができ、ひいては温度上昇も抑えられることになる。
【0020】
尚前記図1の例では、カプセル化→表層複合化→内部複合化→分断・微細化の一連の工程からなる最も代表的な経緯を示したが、求められる複合粉末の粒度によっては内部複合化の段階で完了して請求項1に係る有機・無機複合粉末を製造したり、或は更に分断を進めて複合粉末を一層微細にして請求項2に係る有機・無機複合粉末を製造することも可能である。また、複合化工程で採用される温度や擂り剪断力を高めに設定し、カプセル化状態から一気に内部複合化状態まで進めることも可能であり、それらも本発明の技術的範囲に包含される。
【0021】
尚、本発明で用いられる有機高分子粒子および無機質微細粒子の種類には一切制限がなく用途、目的等に応じて適宜選択すればよいが、代表的なものを例示すると、有機質高分子粒子としては、ポリアミド系樹脂、アクリル系樹脂、ポリオレフィン系樹脂(ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン)など、熱可塑性のものが使用可能であり、これらは単独で使用し得る他、必要に応じて2種以上を併用することができ、これら有機質高分子粒子の好ましい粒径は1〜20μm、より一般的には5〜10μm程度である。
【0022】
また無機質微細粒子としては、有機質高分子粒子と複合化することによって、導電性、磁性、熱伝導性、制振性、遮音性、摺動性、断熱性、電磁波吸収性、光散乱性、光反射性、難燃性、放射線防護性、紫外線防護性、着色、抗菌性など、様々の機能性を高めることのできる全ゆる無機質粉末が、使用目的や要求性能に応じて任意に選択して使用することができ、これらも単独で使用し得る他、必要に応じて2種以上を併用することが可能である。これら無機質微細粒子の好ましい粒径は0.05〜5μm、より一般的には0.1〜2μm程度で、前記有機質高分子粒子の粒径の1/10以下、より好ましくは1/20以下の粒径のものが望ましい。
【0023】
次に本発明にかかる装置について、その一例を示す図面を参照しながら詳細に説明する。
【0024】
図2は本発明にかかる有機・無機複合粉末の製造装置を示す全体図であり、図2において1はホッパー、1aは定量フィーダー、1cは材料供給口、4はフィードシリンダーであり、フィードシリンダー4内には、駆動装置2によって回転する回転軸5が挿入されると共に、該回転軸5の前方には、図3に示す如く回転スプライン軸5aが一体に固定され、この回転スプライン軸5の基端部(フィード部F領域)にはスクリューFsが嵌合されて原料粒子の供給が行なわれる。また前記スクリューFsの前方には、大径回転円盤部材6a,6b,6c,6d,6eと小径回転円盤部材7a,7b,7c,7dが、回転軸5と同軸のスプライン軸5aに嵌合されて締付ナット5により交互に固定され、回転軸5と同軸的に回転する様に構成されると共に、大径回転円盤部材6a,6b,6c,6d,6eおよび小径回転円盤部材7a,7b,7c,7dに対応して夫々の外周側には、それらの外周を微細間隙を残して取り囲む様に大径厚肉ドーナツ状環状部材8a,8b,8c,8d,8eおよび小径厚肉ドーナツ状環状部材9a,9b,9c,9dが、いずれもタイロッド10によってシリンダー内に一体に固定されており、これらの取付領域は擂り剪断部S1 ,S2 ,S3 ,S4 を構成している。
【0025】
大径回転円盤部材6a,6b,6c,6d,6eは、例えば図4の符号6として示す如く回転スプライン軸5aに嵌合する厚肉円盤状に構成されると共に、その両側面には中心から放射状に伸びる山12が円周方向に複数条形成され、それらの間には谷13が形成され、またその外周面側には、回転スプライン軸5aの軸心に対して斜方向(図5参照)に山14と谷15が交互に設けられている。
【0026】
また、該大径回転円盤部材6の外周側に設けられる大径肉厚ドーナツ状環状部材8の内周面には、図6にも現われる如く回転スプライン軸5aの軸心とほぼ平行方向に複数の山16と谷17が交互に設けられており、上記大径回転円盤部材6の外周面との間で擂り剪断力が作用する様に構成されている。
【0027】
一方、回転スプライン軸5aに嵌合された小径回転円盤部材7の外周面にも、前記図5に現われ又図7に示す如く、複数の山18と谷19が回転スプライン軸5aの軸心に対してやや傾斜する方向に交互に形成されると共に、該小径回転円盤部材7の外周面側に固定して設けられる厚肉ドーナツ状環状部材9の内周面には、図6,7に現われる如く回転スプライン軸5aの軸心とほぼ平行方向に複数の山20と谷21が交互に設けられており、上記小径回転円盤部材7の外周面との間で擂り剪断力が作用する様に構成されている。また、該小径厚肉ドーナツ状環状部材9は、図1に現われる如く大径回転円盤部材6の側面側に近接して配置されることになるが、その両側面には、例えば図7に示す如く放射方向に伸びる多数の山22と谷23が交互に設けられている。
【0028】
そして、該小径厚肉ドーナツ状環状部材9の側面に設けられる山22と谷23は放射方向からやや傾斜し、その傾斜方向は装置の入口側では外周方向ほど回転方向に対し位相が遅れる方向に、また出口方向では逆方向に傾斜し、それによってその隙間を通る混合粉末が擂り剪断力を受けながら円盤部材6のつけ根側から外周方向へ送られ、該回転円盤部材6の外周面と上記ドーナツ状環状部材9の内周面に設けられた前記山と谷の間で擂り剪断力を受けながら、該回転円盤部材6の反対面側へ送られ、更に該円盤部材6の反対側の面と前記環状部材9との間で擂り剪断力を受けながら中心方向に送られる様に構成されている。
【0029】
尚、上記大径回転円盤部材6や小径厚肉ドーナツ状環状部材9の側面に設けられる山と谷の数、形状、形成パターン等はその一例を示しただけのものであって、勿論図示例に限定される訳ではなく、また大径回転円盤部材6と小径回転円盤部材7の外周面に設けられる山と谷、厚肉ドーナツ状環状部材8,9の内周面に設けられる山と谷の数や形状、形成方向についても同様であり、原料素材の種類などに応じて適宜変更することが可能である。
【0030】
但し、大径回転円盤部材6と小径回転円盤部材7の外周面に設けられる山と谷については、擂り剪断力をより効果的に発揮させるため、好ましくは15〜30。のリード角で形成するのが良く、また、大径回転円盤部材6の側面と厚肉ドーナツ状環状部材9の側面の間の隙間、大径回転円盤部材6および小径回転円盤部材7の外周面と厚肉ドーナツ状環状部材8,9の内周面との間の隙間は、原料となる有機質高分子粒子や無機質微細粒子の粒度や目的とする複合粉末の粒度も加味して適宜に設定すれば良いが、十分な擂り剪断力を確保する意味から0.5〜3mm、より好ましくは1〜1.5mmの範囲に設定することが望ましい。
【0031】
また、図1の例では各部材を夫々有効数で4個組み付けた例を示したが、その数も必要に応じて任意に増減変更することができる。更に、上記擂り剪断部Sでは擂り摩擦によってかなりの昇温が起こり、場合によっては有機質高分子粒子の溶融温度以上にまで昇温する恐れもあるので、例えば図6に表われる如く小径厚肉ドーナツ状環状部材9内に水冷ジャケット9xを付設することによって昇温を抑制し、あるいは温度センサー等や加熱機構を組合せて最適の温度に制御できる様にすることが望ましい。また図示例では、原料粒子を水平方向に移送しながら擂り剪断力を作用させる構成の横形装置を示したが、縦形装置とし原料粒子の重力を利用して下方に移送しながら連続処理できる様にすることも可能である。
【0032】
上記の様に、擂り剪断部Sは、大・小径回転円盤部材6,7と厚肉ドーナツ状環状部材8,9との組合わせによって複雑な形状となっているが、それらはいずれも独立の部材となっているので、それらの加工は容易に行なうことができ、又その組み立ても、スプライン軸5aへ嵌め込んでタイロッドで締め付けるだけでよいので簡単である。従って、擂り剪断部を比較的短くして装置を小型化し、その製作を容易にすることができる。
【0033】
次にこの装置の作用について説明する。
【0034】
まず駆動装置2によって回転軸5を回転させると共に、定量フィーダ1aを作動させ、無機質微細粒子と有機質高分子粒子が配合された原料粒子をホッパー1から一定量づつシリンダー4へ供給する。シリンダー4内に供給された原料粉末は、スクリューFsによって前方へ移送される。大径回転円盤部材6aの基部に達した原料粒子は、大径厚肉ドーナツ状環状部材8aとの隙間に送り込まれ、この部分で、回転する大径回転円盤部材6aの外周面と固定された大径厚肉ドーナツ状環状部材8aの内周面との間で擂り剪断を受けながら図面左方向へ移送され、次いで大径回転円盤部材6aの左側面と小径厚肉ドーナツ状環状部材9aの右側面との間で擂り剪断力を受けながら中心方向へ移送される。そして、小径回転円盤部材7aの表面に到達した原料は、該表面と小径厚肉ドーナツ状環状部材9aの内周面との間を左方向に移送されながら擂り剪断力を受け、更に大径回転円盤部材6bの基部に達した後は、該大径回転円盤部材9bの右側面と小径厚肉ドーナツ状環状部材9aの左側面との間を外周方向へ移送されながら再度の擂り剪断力を受け、これらを順次繰り返して複数回にわたる擂り剪断を受け、大径厚肉ドーナツ状環状部材8eの内周面と大径回転円盤部材6eの外周面の間を移送される過程で最後の擂り剪断力を受けて排出される。
【0035】
上記擂り剪断部においては、例えば図8,9に示す如く相対面する面に形成された山Y1 とY2 が対向する部分は広く、谷H1 とH2 が対向する部分はやや狭く、更に山Y1 と山Y2 とが対向する部分は極く僅かの間隙が形成される。従って、回転円盤部材が矢印R方向に移動すると夫々の境界線部の距離Lがちじまる結果、その内部の粒子は強力な圧縮作用を受ける。圧縮作用を受けた粒子は谷Hと山Yの間の狭い隙間を通って押し出され、ここで強力な擂り剪断作用を受ける。この様な作用が、回転円盤部材と厚肉ドーナツ状環状部材との隙間で繰り返される。即ち、圧縮工程Pと剪断工程Sとが交互に円周方向に繰り返され、強力な擂り剪断が加えられることになる。こうした擂り剪断は、大径回転円盤部材6の側面と小径厚肉ドーナツ状環状部材9の側面との隙間で繰り返されるばかりでなく、大径回転円盤部材6の外周面と大径厚肉ドーナツ状環状部材8の内周面との隙間、及び小径回転円盤部材7の外周面と厚肉ドーナツ状環状部材9の内周面との間でも同様に繰り返され、上記山Yと谷Hの出会い回数すなわち剪断工程Sと圧縮工程Pとの繰り返し回数が無数に繰り返されることになり、短い移動距離の間に擂り剪断が効率よく進行し、ひいては、有機質高分子粒子内への無機質微細粒子の埋め込みによる複合化、更には複合化した粒子の分断を効率よく遂行することが可能となる。
【0036】
かくして、この装置を使用すれば、擂り剪断を与える領域を短縮することが可能となり、コンパクトな設備で先に示した様な有機・無機複合粉末の製造を効率よく行なうことができる。
【0037】
【実施例】
次に実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はもとより下記実施例によって制限を受けるものではなく、前・後記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも可能であり、それらは全て本発明の技術的範囲に包含される。
【0038】
実施例
有機質高分子粒子として、粒径10μm±4の低密度ポリエチレン(溶融温度:76℃)、無機質微細粒子として、粒径0.4μm±0.1のアナタース型TiO2 を使用し、図2〜9に示した様な構造の装置を用いて有機・無機複合粉末の製造を行なった。尚、装置各部の寸法は、フィード部のスクリュー径80mm、大径回転円盤部材6の径は100mm、幅は16mm、小径回転円盤部材7の径は57mm、幅は36mmとし、擂り剪断の与えられる面に形成される山と谷の形状および形成パターンは図2〜9に示したものを使用し、それらを有効4組用いた。そして、小径厚肉ドーナツ状環状部材9に形成したジャケットに冷水および加熱水を媒体とする冷却・加温調節器を設けると共に、温度センサーによって内部温度を制御できる様にした。この装置を用い、駆動装置により動力3.7Kw、主軸回転数3〜33rpmで駆動した。
【0039】
上記原料粒子と装置を使用し、小径厚肉ドーナツ状環状部材9内に設けたジャケット9x(図6参照)に通水する水温を、図2のT2 〜T5 領域の温度が30℃となる様に設定し、回転数30rpmで主回転軸を回転させながら、低密度ポリエチレン23重量部とTiO2 77重量部の混合物を、定量フィーダーから10kg/hrで供給しつつ、負荷電流9Aで運転を行なった。
【0040】
その結果、図10の図面代用写真に示す如く、低密度ポリエチレン粒子の表面にTiO2 の微細粒子が内部に埋没し、その一部は表面に付着してカプセル化された複合粉末が得られた。
【0041】
また、小径厚肉ドーナツ状環状部材9のジャケット9xの全てに40℃の温水を通し、T2 とT3 の温度が42℃、T4 とT5 の温度が46℃となる様に設定し、主回転軸を30rpmで回転させながら、前記と同じ低密度ポリエチレン10重量部とTiO2 90重量部の混合物を、定量フィーダーから10kg/hrの速度で供給しつつ、負荷電圧12Aで運転を行なった。
【0042】
得られた複合粉末は、図11の図面代用写真に示す如く、低密度ポリエチレンがTiO2 の表面に現われ、TiO2 が低密度ポリエチレンの内部に埋没した複合粉末であることが確認された。また、図10に示した複合粉末の粒径は14μmであるのに対し、図11の複合粉末の粒径は17μmであることが確認された。このことは次の事実を物語っている。
【0043】
即ち図10の複合粉末は、粒径13μmの低密度ポリエチレン粒子に0.4μmのTiO2 が複合したものと思われる。そして、該14μmの複合粒子が更に擂り剪断を受けて複合化が進み、該ポリエチレン粒子内にTiO2 が埋没すると、得られる複合粉末の粒径は約20μmにまで成長するはずであるが、図11に示した如く実際に得られる複合粉末の粒径は17μmとなっている。そして、粒径20μmの粒子の体積は4.1886×10-6mm3 であるのに対し、粒径17μmの粒子の体積は2.5724×10-6mm3 であり、約1/2の体積に減少しているところから、上記後半の擂り剪断処理を行なうと、一旦複合化した粒子が約半分に分断されて微細化されたことを確認することができる。
【0044】
【発明の効果】
本発明は以上の様に構成されており、有機質高分子粒子と機能性無機質微細粒子を原料として、1段の工程でこれらが複合一体化した有機・無機複合粉末を効率よく製造することができる。しかも本発明の装置を使用すれば、比較的短い擂り剪断付与領域長さで十分な擂り剪断を与えることができ、上記の様な有機・無機複合粉末をコンパクトな擂り剪断装置で連続的に効率よく製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の方法を説明するための概念図である。
【図2】 本発明の方法および装置を説明するための全体図である。
【図3】 本発明で用いられる装置の回転軸とスプライ軸の部分を例示する構造図である。
【図4】 本発明で用いられる大径回転円盤部材および厚肉ドーナツ状環状部材の形状と組付け例を示す図2のA−A線断面矢視図である。
【図5】 本発明で用いられる大径回転円盤部材と小径回転円盤部材の外周形状と組み付け例を示す側面図である。
【図6】 本発明で用いられる厚肉ドーナツ状環状部材の内面形状と組み付け例を示す断面図である。
【図7】 本発明で用いられる小径回転円盤部材と小径厚肉ドーナツ状環状部材の形状と組付け例を示す図2のB−B線断面矢視図である。
【図8】擂り剪断機構を説明するための概念図である。
【図9】擂り剪断機構を説明するための概念図である。
【図10】 実施例で得た有機・無機複合粒子の形状を示す図面代用写真である。
【図11】 実施例で得た有機・無機複合粒子の形状を示す図面代用写真である。
【符号の説明】
A 有機質高分子粒子
B 無機質微細粒子
4 シリンダー
5 回転軸
5a 回転スプライン軸
5b 締付ナット
6,6a,6b,6c,6d,6e 大径回転円盤部材
7,7a,7b,7c,7d 小径回転円盤部材
8,8a,8b,8c,8d,8e 大径厚肉ドーナツ状環状部材
9,9a,9b,9c,9d 小径厚肉ドーナツ状環状部材
9x ジャケット
10 タイロッド

Claims (2)

  1. 有機質高分子粒子と無機質微細粒子との混合物に、有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で擂り剪断力を作用させ、前記有機質高分子粒子の表面に前記無機質微細粒子を付着せしめた後、上記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で更に擂り剪断力を作用させ、前記無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させることを特徴とする有機・無機複合粉末の製法。
  2. 前記請求項1に記載の方法によって、無機質微細粒子を有機質高分子粒子の内部に埋没させた状態のものに、前記有機質高分子粒子の表面が軟化を起こすが溶融しない温度条件下で更に擂り剪断力を作用させることにより、前記無機質微細粒子の埋没した有機質高分子粒子を分断して微細化することを特徴とする有機・無機複合粉末の製法。
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