JP3909501B2 - 衝撃吸収エアバック - Google Patents
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Description
【産業上の利用分野】
本発明は衝撃吸収エアバック、さらに詳細には衝撃吸収力が優れ、設置、撤収が容易な衝撃吸収エアバックに関する。
【0002】
【従来技術】
たとえば道路工事、電気工事などにおいて道路を作業者および工事車両などが占有しているとき、道路を走行する車両などが前記工事現場に突入してくることが考えられる。このような場合、作業者および工事車両に衝突する恐れがあり、突入自動車の運転手、作業者などの人身事故に発展する恐れがある。
【0003】
このような事故を最小に押さえるために、道路工事現場の前後に衝撃吸収コンテナ(クッションドラム等)を設置しておくことが行われるようになってきている。このような衝撃吸収コンテナは、従来基本的に水や砂が充填されたコンテナより成っている。そして衝撃吸収コンテナの後方にはコンテナを固定するための重量物(たとえばトラックなど)を設置している。このため自動車が衝突したときに、前記コンテナの水層又は砂により衝撃を緩和し、前記コンテナが破裂することにより衝突した自動車に反作用を生じないような構造になっているとともに、衝撃によって前記重量物がなるべく移動するのを防止している。
【0004】
しかしながら上述のような水を使用した衝撃吸収バックは、衝撃吸収性が充分ではなく、強固な固定点が必要であり、水の給排水を行うことから重量があり、設置及び撤収が困難であるという欠点がある。また工事現場によっては給水が困難な場所も考えられ、取り扱い、使用が制限されたものになっている。
【0005】
しかしながら上述のような水あるいは砂を使用した衝撃吸収コンテナは、衝撃吸収性が充分ではなく、水の給排水、砂の充填を行うことから重量があり、設置及び撤収が困難であるという欠点がある。
【0006】
上述の問題点を解決するため、気体を充填可能なエアバック本体と、前記エアバック本体に設けられ、前記エアバックの圧縮によって気体を排出する放出弁を備えた衝撃吸収エアバックが開発されている(特願平8−165258号)。
【0007】
上記衝撃吸収エアバックによれば、自動車などの衝突の衝撃が急激に衝撃吸収エアバックに負荷された場合、エアバックが圧縮される結果、放出弁から気体が速やかに排出されることになり、このため、前記衝撃を気体層、さらに気体が排出されることによって緩和でき、加えて気体が排出されるため衝突した自動車が反対方向にバウンドすることがないという利点がある。加えて、気体が充填されて膨張させるものであることから、たとえば自動車の排気ガスによって前記衝撃吸収エアバックを膨らませることが可能であり、設置が容易である。また撤収するときにも前記気体を排出して、折り畳むなどして、運搬保存が可能であり、夜間だけの工事の場合にも使用可能であるという利点がある。
【0008】
本発明は上述の衝撃吸収エアバックを改良し、さらに使用しやすく、実用に則している衝撃吸収エアバックを提供することを目的とする。
【0009】
【問題点を解決するための手段】
上述の問題点を解決するため、本発明による衝撃吸収エアバックは、気体を充填可能なエアバック本体と、前記エアバック本体に設けられ、前記エアバック本体の圧縮によって気体を排出する放出弁を備えた衝撃吸収エアバックにおいて、前記エアバック本体は衝突方向から複数並列に並べられてファスナーによって接続可能になっており、前記エアバック本体の衝突側に反射シートを着脱自在に設け、さらに前記エアバック本体の少なくとも上部を覆うように難燃性または不燃性カバーを設けたことを特徴とする。
【0010】
本発明によれば、自動車などの衝突の衝撃が急激に衝撃吸収エアバックに負荷された場合、エアバックが圧縮される結果、放出弁から気体が速やかに排出されることになり、このため、前記衝撃を気体層、さらに気体が排出されることによって緩和でき、加えて気体が排出されるため衝突した自動車が衝突方向と反対方向にバウンドすることがないという利点がある。加えて、気体が充填されて膨張させるものであることから、設置が容易である。また、撤収するときにも前記気体を排出して、折り畳むなどして、運搬保存が可能である。
【0011】
【実施例】
図1は本発明による衝撃吸収エアバックの一実施例の平面図、図2は前記実施例の一部側面図及び一部断面図であるが、これらの図より明らかなように、本発明による衝撃吸収エアバックは、空気が充填されるエアバック本体1に衝撃が付加されたときにエアバック本体1内の空気を放出するための放出弁2が上下に二箇所設けられている。そして、さらに前記エアバック本体1内の空気を充填するための給気弁3および衝撃吸収エアバックを収納し運搬するときなどにエアバック本体1内の空気を抜くための排気弁4が設けられた構造になっている。さらに、給気が過剰になった場合に空気を逃がすための安全弁5が備えられている。この実施例においてはこれらの弁は、作図上から側面に備えられているが、上部であってもよく、また上部及び側面の両方に備えてもよい。それぞれの弁の位置は機能的に定めることができる。またエアバック本体1は、好ましくは難燃処理を施したものであるのがよい。
【0012】
エアバック本体1の底部には、下敷マット6がレーシング(端部にハトメをうち、縄で連結する)7によって脱着自在に設けられており、前記下敷マット6は衝撃が負荷される方向と反対方向に長く伸長しており、前記伸長部分61に重量物8、たとえばトラックなどを設置することによって、前記衝撃吸収エアバックを所定箇所に固定するようになっている。
【0013】
この実施例においては衝撃吸収エアバックは、衝撃が負荷される方向に沿って複数並列に並べられており、それぞれの衝撃吸収エアバックは、エアバック本体1の端部に備えられたファスナー7によって接続可能になっている。
【0014】
このような衝撃吸収エアバックを複数有する場合、予測される衝撃の大きさによって、衝撃吸収エアバックの数を減少、増加できるようになっている。
【0015】
上述のような放出弁2は、機械的な逆止弁であってもよい。しかしながら、このような機械的放出弁であった場合、排気が遅い、弁部が折り曲がらず、嵩ばり、収納、運搬に支障を来たす、衝突時に機構部品が飛び散る恐れがあり、危険である恐れがある、などの欠点がある。
【0016】
この放出弁2としては、たとえば図3に示すような弁を使用することができる。すなわち、図3の放出弁2はエアバック本体1の放出穴11の周縁に接着剤などによって取り付けられたフランジ21を有しており、このフランジ21の周方向内側先端部はO−リング22と噛合するようなフランジ噛合溝211が設けられている。一方、このフランジ21と組み合わされる調圧弁23の周方向外側先端部にも前述のO−リング22と噛合する調圧弁噛合溝231が形成されており、前記O−リング22とこれらのフランジ噛合溝211および調圧弁噛合溝231が噛合することによって、前記フランジ21と調圧弁23は結合されるようになっている。
【0017】
前述の調圧弁23の調圧弁噛合溝231はエアバック本体1の内側方向に前記O−リング22と噛合するための下部突起232を有しているが、この下部突起232の形状を調整することによって、前記調圧弁23の脱落圧力を制御可能である。
【0018】
このような排気弁2はエアバック本体1内の内圧が上昇すると、調圧弁23とO−リング22との噛合が外れて、調圧弁23がフランジ21より脱落するため、放出穴11が開口し、オリフィス抵抗を利用した衝撃吸収効果を発揮する。
【0019】
このような調圧弁23の内側面にはロープ24が接続している。このロープ24は、エアバック本体1に設けられた、もう一方の放出弁2’の調圧弁に接続している。このため、調圧弁23が脱落してもこのロープ24の作用によって前記調圧弁は飛散することなく、危険性が極小にできると共に、再度使用する場合に、調圧弁が噴出することが内という利点を生じる。
【0020】
また、図4に示すようにエアバック本体1に衝撃によって破裂する放出弁2を設けることができる。すなわち放出穴11の周縁に接着剤などによって取り付けられた下部フランジ201とこの下部フランジ201に噛み合うような上部フランジ202を有しており、両者はボルト203によって着脱自在に一体化されている。これらの下部フランジ201および上部フランジ202は基本的にリング状になっており、このリング状の空隙部分が放出穴に相当している。そしてこの下部フランジ201と上部フランジ202との間にダイヤフラム204が挟着されており、エアバック本体1の放出穴11をふさぐようになっている。
【0021】
このようなダイヤフラム204は基本的に補強布の両面又は片面にゴム層を設けた構造になっている。このような補強布としては、ある程度の外力に耐え、かつ低圧で破裂可能なように、縦横の強度の異なる布であることが好ましい。縦横強度が均一であると破裂して穴が開きやすく、十分な気体の排出抵抗が得られない恐れがあるからである。このような強度の差異は、好ましくは所定の方向(縦あるいは横)の強度が1であるとき、これと垂直な方向(横あるいは縦)の強度が2〜4倍であるのがよい。強度の差が2倍未満であると、前述のように排出抵抗が小さくなり過ぎる恐れがあり、一方4倍を超えると、排気抵抗が大きくなりすぎ、衝撃吸収効果が小さくなる。
【0022】
このような補強布としては、たとえば不織布を使用することができる。
【0023】
上述のようなダイヤフラム204のゴム層としては、耐候性などを考慮し、たとえば、クロロプレンゴム、EPDM、PVCブレンドNBRなどを使用することができる。
【0024】
上述のように、補強布の種類、縦横強度あるいはゴム層の種類、厚さなどを調整することによって、ダイヤフラム204の破裂する圧力を制御することができる。
【0025】
前記エアバック本体1の衝突面には、図2に示すような反射シート9を面ファスナー91あるいはフック掛けなどの手段により脱着自在に取り付けることができる。このような反射シート9は光、たとえばヘッドライトの光を反射して自動車の運転者に障害物があることを喚起し事故防止の作用を行う。このような反射シート9を脱着自在に設けたのは、反射シート9の強度が小さく、運搬、保管中にもまれたりした場合に反射能力が劣化することが考えられるため、運搬、保管中などは丸めるなどして別個にしておくほうが好ましいからである。
【0026】
また、上述のような一連のエアバックに、図5に示すように難燃性または不燃性のカバー10を、少なくともエアバック本体1の上部を覆うように設けることもできる。このようなカバー10を脱着自在に、たとえば面ファスナーにより設けることによって、自動車などの衝突によって火災が生じたときも被害を極小にすることが可能である。
【0027】
上記衝撃エアバックを使用するに当たっては、前記エアバック本体1の下端部に固定された下敷マット6の衝撃側と反対側の伸長部分61に重量物8を設ける。
【0028】
衝撃吸収バックの膨張は、自動車の排気ガスなどを利用して給気弁3を介して行うことができ、極めて容易に行うことができる。この際、過剰の気体が注入された場合には安全弁5より前記過剰な気体を逃がすようになっている。
【0029】
前記衝撃エアバックに自動車が衝突した場合、エアバック内に充填された気体によって、まずその衝撃が吸収される。さらに放出弁2よりエアバック内の気体が排出されることによって、前記衝撃がさらに吸収されると共に、気体層の反発力によって衝突した自動車が後方(衝突方向と反対方向)にリバウンドする力を抑制することになる。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明による衝撃吸収エアバックによれば、自動車などの衝突の衝撃が急激に衝撃吸収エアバックに負荷された場合、エアバックが圧縮される結果、放出弁から気体が速やかに排出されることになり、このため、前記衝撃を気体層、さらに気体が排出されることによって緩和でき、加えて気体が排出されるため衝突した自動車が衝突方向と反対方向にバウンドすることがないという利点がある。加えて、気体が充填されて膨張させるものであることから、設置が容易である。また、撤収するときにも前記気体を排出して、折り畳むなどして、運搬保存が可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】前記衝撃吸収エアバックの一部切り欠き側面図。
【図2】本発明による衝撃吸収エアバックの正面図。
【図3】放出弁の断面図。
【図4】他の放出弁の断面図。
【図5】カバーを被せたときの側面図。
【符号の説明】
1 エアバック本体
2 放出弁
21 フランジ
22 O−リング
23 調圧弁
24 ロープ
201 下部フランジ
202 上部フランジ
204 ダイヤフラム
6 下敷マット
9 反射シート
10 カバー
Claims (5)
- 気体を充填可能なエアバック本体と、前記エアバック本体に設けられ、前記エアバック本体の圧縮によって気体を排出する放出弁を備えた衝撃吸収エアバックにおいて、前記エアバック本体は衝突方向から複数並列に並べられてファスナーによって接続可能になっており、前記エアバック本体の衝突側に反射シートを着脱自在に設け、さらに前記エアバック本体の少なくとも上部を覆うように難燃性または不燃性カバーを設けたことを特徴とする衝撃吸収エアバック。
- 前記放出弁は、フランジと調圧弁とよりなり、前記フランジと調圧弁はO−リングに噛合することによって接続されており、前記調圧弁は前記エアバックの内圧が所定圧以上になったときに前記噛合が解除されて脱落するようになっていることを特徴とする請求項1記載の衝撃吸収エアバック。
- 前記調圧弁は隣接する放出弁の調圧弁とエアバック本体内を通過するロープで連結されていることを特徴とする請求項2記載の衝撃吸収エアバック。
- 前記放出弁は、放出穴周縁に設けられる下部フランジとこの下部フランジに噛み合わされて取り付けられる上部フランジと、この下部フランジおよび上部フランジによって挟着されて放出穴を覆うようになっているダイヤフラムとを含むことを特徴とする請求項1から3記載のいずれかの衝撃吸収エアバック。
- 前記エアバック本体底部には着脱自在に下敷マットが設けられていることを特徴とする請求項1から4記載のいずれかの衝撃吸収エアバック。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP24621097A JP3909501B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 衝撃吸収エアバック |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP24621097A JP3909501B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 衝撃吸収エアバック |
Publications (2)
Publication Number | Publication Date |
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JPH1171721A JPH1171721A (ja) | 1999-03-16 |
JP3909501B2 true JP3909501B2 (ja) | 2007-04-25 |
Family
ID=17145164
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP24621097A Expired - Lifetime JP3909501B2 (ja) | 1997-08-27 | 1997-08-27 | 衝撃吸収エアバック |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP3909501B2 (ja) |
-
1997
- 1997-08-27 JP JP24621097A patent/JP3909501B2/ja not_active Expired - Lifetime
Also Published As
Publication number | Publication date |
---|---|
JPH1171721A (ja) | 1999-03-16 |
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