JPH0672268A - 安全ベルト一体型エア−バッグ - Google Patents

Abstract

(57)【要約】 （修正有） 【目的】 安全ベルトとエアーバッグとを組み合わせて
双方共にコンパクトな収納を図り、エアーバッグは正面
衝突以外の多方向衝撃に対しても対応させ、かつ再使用
を可能とすることで、安全性が一層高められるととも
に、コスト面でも大幅に低減できる安全ベルト一体型エ
アーバックを提供する。 【構成】 エアーバッグ本体１０を安全ベルト２１に装
着し、安全ベルトを未使用時はエアーバック本体と共
に、ブロー成形により成形された空洞部を有する座席シ
ートの背部に設けられた収納スペース７に格納し、使用
時は収納スペースに一方端が固定された安全ベルトの他
方端をドア周辺の係止部８に接続して、エアーバック本
体を乗員保護部位に装着する。

Description

【発明の詳細な説明】

【０００１】

【産業上の利用分野】本発明は、車両衝突時の衝撃から
運転者や助手席乗員を保護する安全ベルト一体型エアー
バッグに関する。

【０００２】

【従来の技術】エアーバッグは、運転者保護用のものは
ハンドルに、助手席乗員用の場合はコンソール・ボック
スに装着されたエアーバッグ本体を、衝突の瞬間に窒素
（Ｎ₂）ガスで膨張させることによって運転者または助
手席乗員を衝撃から保護する。装置の原理やメカニズム
は以前より知られ、開発もほぼ完了してはいるが、コス
ト高となる問題を解決し得ず今日まで一般に普及をみて
いない。しかし、最近、走行中の安全対策が更に重視さ
れてきており、米国でも装着が義務化されるなどわが国
においてもにわかに搭載率が高まってきている。

【０００３】エアーバッグの構造の要素は、エアーバッ
グ本体と、このエアーバッグ本体を窒素ガスで急激膨張
させるためのガス発生装置（インフレータ）と、衝突時
の衝撃を検出するセンサ等からなり、衝撃センサからの
検出信号に基づいた車載コンピュータからの作動信号を
ガス発生装置等に送って作動させるシステムである。

【０００４】従来より、この種のエアーバッグは、正面
衝突時の衝撃緩和を想定して運転者や助手席乗員の前部
で作動させるようになっている。しかし、事故の状況は
正面衝突のみに限らず、現実に横方向及び斜め方向から
も発生することから、正面方向のみを対象としたシステ
ムでは対応しきれないといった問題がある。

【０００５】また、車内の限られたスペースに、緩衝源
のガス自体とインフレータとを収めなければならず、し
かも一度使用した後は再利用が殆どできないということ
で不経済であり、車両全体のコスト・アップの要因にな
っている。

【０００６】一方、車内にはエアーバッグと同じ安全防
備のシートベルトが装着されている。周知のように、シ
ートベルトは１本または２本からなリ、これを無端状に
して乗員の腹部や胸部を座席に固定する。乗降時でベル
ト装着の必要がない時、一般的なシートベルトの構造例
は、その一方端をドア近辺の車体に係止した状態で座席
シート上に散逸させておくことが多い。そのため、乗降
のおりに邪魔になるといった問題がある。

【０００７】

【発明が解決しようとする課題】本発明の目的は、従来
の安全ベルトが未装着時に散逸して乗降時の支障となる
ことに着目し、この安全ベルトとエアーバッグとを組み
合わせて双方共にコンパクトな収納を図り、エアーバッ
グは正面衝突以外の多方向衝撃に対しても対応させ、か
つ再使用を可能とすることで、安全性が一層高められる
とともに、コスト面でも大幅に低減できる安全ベルト一
体型エアーバックを提供することにある。

【０００８】

【課題を解決するための手段】本発明による安全ベルト
一体型エアーバッグは、エアーバッグ本体を安全ベルト
に装着し、安全ベルトを未使用時はエアーバック本体と
共に、ブロー成形により成形された空洞部を有する座席
シートの背部に設けられた収納スペースに格納し、使用
時は収納スペースに一方端が固定された安全ベルトの他
方端をドア周辺の係止部に接続して、エアーバック本体
を乗員保護部位に装着する構造である。衝撃を受けてエ
アーバック本体を急激膨張させるガス導入装置は、座部
及び背部からなる座席シートを利用してこの内部に収納
されている。少なくとも安全ベルトの乗員保護部位を二
重に形成して、二枚重ねの間にエアーバックを折り畳み
可能に収納する。安全ベルトの二枚重ねの部分では、衝
撃を受けて急激膨張することを妨げない程度の保持力で
エアーバック本体を収納している。

【０００９】

【作用】未使用時、安全ベルトはエアーバック本体と共
に、ブロー成形により成形された空洞部を有する座席シ
ートの背部に設けられた収納スペースに格納され、座席
シート周辺に散逸しない。走行のため使用に際しては、
安全ベルトをエアーバック本体とともに取り出し、安全
ベルトの一端を車体側の係止部に接続してエアーバック
本体とともに乗員に装着する。衝撃を受けた際、ガス導
入装置が作動してエアーバック本体を急激膨張させる。
この際、他方向からの衝撃を受けても、これに対応して
エアーバック本体は安全ベルトと共に乗員を緩衝保護す
る。エアーバック本体としては、安全規定に適合する安
全ベルトに一体型の付属品としてみることができるの
で、従来からのエアーバックのような厳しい法規制が少
ないという利点がある。

【００１０】

【実施例】以下、本発明よるエアーバッグの実施例を図
面に基づいて説明する。図１に示すように、エアーバッ
グ本体１０は例えばポリエステルエラストマーもしくは
ポリウレタンエラストマー等の熱可塑性プラスチックス
を、インフレーション加工によって厚さ100〜150μのシ
ートに成形し、この２つのシート１１、１２を二枚重ね
に溶着して袋体としたものである。こうした袋体のエア
ーバッグ本体１０は収納性を考慮して折り畳み可能に成
形されている。袋体成形に備えて、二枚重ねの各シート
１１、１２の内面には、密着防止用のタックを設ける
か、もしくは内面に離型剤を塗布し、二層シート１１、
１２間に空気層を形成してある。

【００１１】安全ベルトとしてのシートベルト２０は、
従来からの構造及び機能のものを利用して、エアーバッ
グ本体１０を収納可能に改良が加えられている。例え
ば、幅寸法50〜100mm、厚さ10〜30mm程度で無端状とさ
れたベルト本体２１は、使用時この先端の止めフック２
２によってドア近傍の車体に設けられた係止部８にワン
タッチで接続可能であり、ベルト本体２１を乗員１の腹
部と胸部の斜めからたすきがけにできるようになってい
る。未使用時、ベルト本体２１は座席シートの背部３に
設けられた専用の収納スペース７に格納される。収納ス
ペース７ではベルト本体２１の他方端部は固定してあ
る。収納スペース７を設ける都合上、座席シートは座部
２と背部３とが一体になっていることが望ましく、この
意味からブロー成形などされたものが用いられる。

【００１２】この目的に合う座席シートはブロー成形に
よって製作できる。まず、必要となる空間であるが、ブ
ロー成形によれば、空間をシートの強度を損なうことな
く成形できる。強度（二重壁より構造の）は、部分的に
リブ構造をもたせることで付与できる。

【００１３】座部２と背部３は一体成形でき、成形つな
ぎ目はつぶしによってフランジ状に加工される。良好な
フランジ性を得るためには、線状ポリプロピレン３０％
を高密度ポリエチレンにブレンドしたものが好ましい。
ブロー成形方式によって、最大有効空洞スペースを確保
し、前述の収納を可能にすることができる。

【００１４】図のように、ベルト本体２１の乗員保護部
位にあたる一部または全体が二重に構成され、一方の帯
材２１Ａと他方の帯材２１Ｂとを重ね合わせ、両帯材間
にエアーバッグ本体１０が収納される。エアーバック本
体１０は嵩ばらないように折り畳み可能とする。帯材２
１Ａ、２１Ｂの向い合う内面にはそれぞれ面ファスナ２
５が要所要所に設けてあり、互いの面ファスナ２５同士
を上下から貼り合わせて、重ね面の間にエアーバッグ本
体１０を折り畳んで収納できる。面ファスナ２５の貼り
合わせ強さは作動時にエアーバック本体１０の急激膨張
を妨げないものとなっている。

【００１５】ここで、図２に示すように、袋体のエアー
バック本体１０の長さ方向の一方端にはガス導入口１３
が設けられ、ここから窒素ガス等が導入されてエアーバ
ック本体１０を急激膨張させる。ガス導入装置における
ガス供給源としては窒素ガス（またはエア）充填のボン
ベ４を用いることができ、このボンベ４をガス導入口１
３にホース５で接続してある。ボンベ１４は、図１のよ
うに、例えば座席シートの座部２を利用し、この内部に
安全に格納しておくことができる。また、ガス供給源シ
ステムの応用として、同じく図１に示されるように、座
席シートの背部３内に格納されたアキュムレータ６をボ
ンベ４にホース５で接続してガス導入装置を構成するこ
とも可能である。この場合、第１段階で、ボンベ４から
ガスをアキュムレータ６に送り、第２段階でアキュムレ
ータ６からエアーバック本体１０にガスを供給する方式
である。

【００１６】アキュムレータ６を接続する構造とするこ
とにより、このアキュムレータ６がガスの中継貯蔵機能
をして、作動時に急激膨張させる際にエアーバック本体
１０に作用するショックを和らげることができる。

【００１７】従って、以上の構成による実施例の安全ベ
ルト一体型エアーバックでは、未使用時、ベルト本体２
１はエアーバック本体１０と共に、ブロー成形により成
形された空洞部を有する座席シートの背部に設けられた
収納スペース３に格納されて座席シート周辺に散逸しな
い。

【００１８】走行時の使用に際して、ベルト本体２１を
エアーバック本体１０とともに取り出し、ベルト本体２
１の先端の止めフック２２を車体側の係止部８にワンタ
ッチで接続させる。ベルト本体２１は乗員１の腹部と胸
部の斜めからたすきがけされ、エアーバック本体１０も
乗員１の必要な保護部位に、例えば胸部中心として装着
される。

【００１９】衝撃を受けた際、窒素ガス（またはエア）
充填のボンベ４及びアキュムレータ６等からなるガス導
入装置が作動し、エアーバック本体１０を急激膨張させ
る。この際、正面方向からの衝撃ばかりでなく、左右及
び斜め方向など他方向から衝撃を受けても、これに対応
してエアーバック本体１０はベルト本体２１と共に乗員
を緩衝保護する。

【００２０】

【発明の効果】以上説明したように、本発明による安全
ベルト一体型エアーバッグは、安全ベルトと一体型で座
席シートの背部に設けられた内部収納スペースに格納さ
れることで、乗員への装着性が格段に向上するととも
に、限られた車内スペースを利用できしかも反復使用が
可能でコスト的にも有利であり、目標の安全面でも正面
衝突以外の他方向からの衝撃緩衝に効果がある。

【図面の簡単な説明】

【図１】本発明による安全ベルト一体型エアーバックの
実施例の装着時形態の側面図である。

【図２】安全ベルト一体型エアーバックの実施例の側面
断面図である。

【符号の説明】 １ 乗員 ２ 座席シートの座部 ３ 座席シートの背部 ４ ガスボンベ ５ ホース ６ アキュムレータ ７ 収納スペース ８ ベルト係止部 １０ エアーバック本体 １３ ガス導入口 ２０ シートベルト（安全ベルト） ２１ ベルト本体 ２５ 面ファスナ

Claims (3)

【特許請求の範囲】
1. 【請求項１】 エアーバッグ本体を安全ベルトに装着
   し、安全ベルトを未使用時はエアーバック本体と共に、
   ブロー成形により成形された空洞部を有する座席シート
   の背部に設けられた収納スペースに格納し、使用時は収
   納スペースに一方端が固定された安全ベルトの他方端を
   ドア周辺の係止部に接続して、エアーバック本体を乗員
   保護部位に装着することを特徴とする安全ベルト一体型
   エアーバック。
2. 【請求項２】 衝撃を受けてエアーバック本体を急激膨
   張させるガス導入装置が座席シート内に収納された請求
   項１記載の安全ベルト一体型エアーバッグ。
3. 【請求項３】 安全ベルトの少なくとも乗員保護部位を
   二重に形成して、二枚重ねの間にエアーバックを折り畳
   み可能に収納した請求項１記載の安全ベルト一体型エア
   ーバッグ。