JP3908215B2 - スライド式ドアの上方移動制限構造 - Google Patents
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Description
近年、この種の自動ドアにおいては、ドア本体下部とガイド溝との隙間にバール等を差し込み、ドア本体を強制的にこじ上げることにより、ドア本体下部が下部レールのガイド溝から外されると共に、ドア本体上部の戸車が上部レールから外され、この外されたドア本体を前方あるいは手前にずらすことで侵入者が建物内に入り込むという犯罪が発生している。
すなわち、図12(a)に示すように、バール等を使用するてこの原理でドア本体1を持ち上げる場合、ドア本体1が全体的に持ち上げられるのではなく、実際には垂直方向Yから力の加わる方向Fへドア本体1が斜めに傾斜していくこととなる。このため、係合部2と被係合部3との係合は、図12(b)に拡大して示すように、面接触から限りなく線(断面では点)に近づくので、面接触と比較してより滑りやすくなるのは避けられない。従って、ドア本体1が持ち上げられるにつれて線接触に近い係合部分に滑りを生じ、比較的小さな力でも容易に係合が外れてしまうことが懸念される。
このような背景から、バール等を用いたてこの原理でドア本体が持ち上げられた場合においても、滑りのない面による係合部の接触を維持し、防犯性に優れたスライド式ドアの上方移動制限構造が望まれる。
なお、エレベータのドア装置では、下部レール側の係止部材と係合して開閉動作を阻止する鍵機構がドア下面に取り付けられることはないので、シューの移動範囲や位置について特別な配慮をする必要はなく、下部レールの全部を蟻溝状としても特に問題が生じることはない。
請求項1に記載のスライド式ドアの上方移動制限構造は、上部レールに吊り下げられているドア本体の下部に取り付けた振れ止め部材が開閉時に下部レールをガイドにしてスライドし、前記ドア本体の下部に設けた係合部と建築躯体側に固定設置される下部レールに設けた被係合部とを係合させて前記ドア本体の上方への移動を制限すると共に、前記ドア本体の下部に取り付けた鍵部材と前記下部レールに設けた鍵受部材とを係合させて全閉位置から開方向への移動を阻止するスライド式ドアの上方移動制限構造であって、前記鍵受部材を前記振れ止め部材のスライド範囲外に配設し、前記被係合部が、床面に開口して前記ドア本体の開閉方向へ延びるスリットを設けたスリット形成部材を備え、前記係合部が、前記ドア本体に固定されて前記スリットを貫通する接続部と、該接続部のスリット貫通位置より下方に固定された係合面形成部材とを備え、全閉位置で上方移動した時には、前記係合面形成部材の上面が前記スリット形成部材のレール側内面と面接触するように構成し、前記スリット形成部材に係止孔を設けると共に、前記係合面形成部材に前記面接触状態で前記係止孔に入り込む凸状係止部を設けることを特徴とするものである。
なお、ドア本体の下部には、戸当たり(ドア開方向先端)側から鍵部材、係合部及び振れ止め部材の順に配置するのが好ましい。
請求項1記載の発明によれば、係合面形成部材の上面がスリット形成部材のレール側内面と面接触するように構成したので、全閉状態にあるドア本体が強引にこじ上げられても、係合面形成部材の上面は接続部がスリットを貫通した状態でスリット形成部材のレール側内面に面接触するので、滑りにくい面接触の係合を維持することができる。従って、バール等を用いたてこの原理でドア本体を強制的に持ち上げて不法に開こうとしても、滑りのない面による係合部の接触を維持してドア本体の上方移動を制限するので、スライド式ドアの防犯性をより一層向上させることができる。そして、鍵受部材が振れ止め部材のスライド範囲外に位置しているので、鍵受部材によりドアの開閉が妨げられるようなこともない。
また、面接触に加えて係合手段を設けることにより、ドア本体側に滑りが生じないようにするためより一層確実な係合を得ることができ、従って、スライド式ドアの防犯性をより一層向上させることができる。
図1は両開きの自動ドア10を正面から見た図であり、図中の符号11はドア本体、12は無目、13は左右一対の側枠、14は固定ガラス、15は上部レール、16は下部レール、17は戸車、18は鍵穴である。
ドア本体11は、上下左右の框を枠組みしてなる框体11aにガラス板11bを嵌め込んだものである。このドア本体11は、框体11aの上端部側に取り付けられている戸車17を介して無目12内に配置されている上部レール15に吊り下げられ、図示しない駆動機構の動作によって水平移動が可能に支持されている。また、ドア本体11の下端部は、框体11aの下端部に設けられている後述の振れ止め部材(図2における符号19)が下部レール16をガイドとしてスライドする。すなわち、ドア本体11は、下端部と床面FLとの間に小さな隙間を形成し、吊り下げられた状態で開閉移動するようになっている。
なお、下部レール16は金属製の板材等を成形してなる長尺の部材であり、建築躯体の床にアンカーボルト等の固定手段を用いて固定されている。
なお、係合部20は、接続部21及び係合面形成部材22が一体に形成されたものでもよいし、あるいは、別体の部材を溶接等により一体化したものであってもよい。
この結果、全閉位置にあるドア本体11が上方へ持ち上げられると、係合部20の係合面形成部材22が一体に上方移動し、係合面形成部材22の上面がスリット形成部材32の下面(レール側内面)に面接触して係合する。このため、持ち上げ方向が垂直方向と異なっていても、係合部20と被係合部30との面接触は確実に維持されるので、係合部20が滑ることを原因として係止が外れることを防止または抑制することができる。
また、この場合の上方移動制限は、ドア本体11が全閉位置にある時だけでよいので、開閉途中の領域には被係合部30がなくてもよく、従って、振れ止め部材19については、その形状が被係合部30から制約を受けることはない。
この結果、ガイド溝16aは被係合部30により埋められ、ガイド溝16aより細いスリット31が床面FLに形成されるので、たとえばハイヒールのヒール部分がガイド溝16aに嵌り込んだり、あるいは、ガイド溝16aに歩行者がつまずく原因となる段差(隙間)の形成を最小限にすることができる。従って、被係合部30は、振れ止め部材19をできるだけ戸袋側に配設したり、あるいは、その形状を工夫するなどして、下部レール16におけるドア本体11の開閉方向に対し、可能な限り開口部の全域にわたって設けるのが好ましい。
なお、被係合部30が長ければ、ドア本体11が垂直方向から傾斜する方向へ持ち上げられた場合、万が一係合部20が滑りはじめても、係合部が破損しない限り係止が外れることはない。
このような構成とすれば、ドア本体11を閉じた状態では、ドア本体11の下端部と床面FLとの間に形成される隙間が、接続部21により塞がれる。この結果、この隙間を利用して自動ドア開閉用のセンサを誤作動させることができなくなる。すなわち、建物の中から外へ出る場合のドア開閉がセンサを用いて自動で行われる場合、たとえば上述した隙間から薄い物体を挿入することでセンサを誤作動させ、不法に自動ドアを開くことができなくなる。
また、被係合部30についても、第1変形例で説明した理由からできるだけ長く設置することが好ましいのであるが、必ずしも係合部20と同様の長さを設ける必要はない。
このような構成とすれば、たとえば最初に右側の被係合部30Rを下部レール16に設置してからドア本体11の係合部20を挿入し、その後、左側の被係合部30Lを組み付ければよい。
また、上述した実施形態及びその変形例では、係合部20を略逆T字型断面の部材とし、平面による面接触をするものとして説明したが、係合部20の係合面と被係合部30とは面接触すればよいので、曲面どうしの面接触が可能なことは言うまでもない。
この構成では、略L字断面形状の係合部40と略逆L字断面形状の被係合部50との組み合わせを採用している。この場合、接続部41が貫通するスリット51は、ガイド溝16aの室内側または室外側の端部に形成されている。なお、図中の符号42は係合面形成部材、52はスリット形成部材である。
なお、この第4変形例では、略L字形状及び略逆L字形状の断面形状を有する係合部材及び被係合部材を係合させる構成としたが、たとえば被係合部材側に中空の角柱を採用し、スリットの位置をずらして逆L字断面形状の係合部材と組み合わせてもよい。
図9に示す係合手段の構成では、被係合部30のスリット形成部材32に係止孔34を設けると共に、係合部20の係合面形成部材22には、ドア本体11の全閉位置で面接触状態にある時、係止孔34に入り込む凸状係止部23を設けてある。この場合の係止孔34はスリット31と直交するスリット幅方向に設けられ、凸状係止部23は、係合面形成部材22の端部を上向きに折曲して形成した爪状のものである。
なお、係止孔34は、長さ及び幅が僅かなものであるため、たとえばハイヒールのヒール部分が嵌り込んだり、あるいは、歩行者がつまずく原因となるような段差を形成することはない。
この場合の係止孔34′についても、長さ及び幅が僅かなものであるため、たとえばハイヒールのヒール部分が嵌り込んだり、あるいは、歩行者がつまずく原因となるような段差を形成することはない。
なお、本発明の構成は上述した実施形態に限定されるものではなく、たとえばスリット31及び接続部22を複数にするなど、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において適宜変更することができる。
11 ドア本体
12 無目
15 上部レール
16 下部レール
16a ガイド溝
19 振れ止め部材
20,40 係合部
21,41 接続部
22,42 係合面形成部材
23,23′ 凸状係止部
30,50 被係合部
31,51 スリット
32,52 スリット形成部材
33,53 空間
34,34′ 係止孔
60 鍵部材
61 鍵受部材
FL 床面
Claims (5)
- 上部レールに吊り下げられているドア本体の下部に取り付けた振れ止め部材が開閉時に下部レールをガイドにしてスライドし、前記ドア本体の下部に設けた係合部と建築躯体側に固定設置される下部レールに設けた被係合部とを係合させて前記ドア本体の上方への移動を制限すると共に、前記ドア本体の下部に取り付けた鍵部材と前記下部レールに設けた鍵受部材とを係合させて全閉位置から開方向への移動を阻止するスライド式ドアの上方移動制限構造であって、
前記鍵受部材を前記振れ止め部材のスライド範囲外に配設し、
前記被係合部が、床面に開口して前記ドア本体の開閉方向へ延びるスリットを設けたスリット形成部材を備え、
前記係合部が、前記ドア本体に固定されて前記スリットを貫通する接続部と、該接続部のスリット貫通位置より下方に固定された係合面形成部材とを備え、
全閉位置で上方移動した時には、前記係合面形成部材の上面が前記スリット形成部材のレール側内面と面接触するように構成し、
前記スリット形成部材に係止孔を設けると共に、前記係合面形成部材に前記面接触状態で前記係止孔に入り込む凸状係止部を設けたことを特徴とするスライド式ドアの上方移動制限構造。 - 前記被係合部が中空部材であることを特徴とする請求項1記載のスライド式ドアの上方移動制限構造。
- 前記係合部が、ドア幅の略全域にわたって設けられていることを特徴とする請求項1または2記載のスライド式ドアの上方移動制限構造。
- 前記被係合部が、ドア開閉方向の略全域にわたって設けられていることを特徴とする請求項1から3のいずれかに記載のスライド式ドアの上方移動制限構造。
- 前記係合面形成部材が、前記ドア本体の振れ止めを兼ねることを特徴とする請求項1から4のいずれかに記載のスライド式ドアの上方移動制限構造。
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