JP3907992B2 - 新規な共重合体ラテックスの製造方法 - Google Patents

新規な共重合体ラテックスの製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、共重合体ラテックスの製造方法に関するものである。更に詳しくは、乳化重合に使用されるシードラテックス、塗工紙のバインダー、カーペットの裏打ちバインダー、各種接着剤および塗料の原料、水系現像可能なフレキソ印刷用固体版の感光性樹脂組成物等に使用される、新規な製造方法によるスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、塗工紙は、その印刷効果が優れていることにより、 印刷用に幅広く使用されてきており、その需要は増加の 一途をたどっている。このような需要の伸びを背景にして、バインダーのスチレン・ブタジエン共重合ラテックスに高い性能が求められる様になってきている。この中で、特に重要な性能として塗工液の流動性がある。すなわち、塗工紙生産の操業性の向上のためには高速で高濃度の塗工液を処理する必要がある。この際には、粒子径が小さいほど優れていることが知られている。
【0003】
また、共重合体ラテックスは感光性樹脂のような光学材料の原料として使用される場合も知られている、この場合は光学散乱の影響を避けるために、その粒子径は光学反応に使用される光線の波長以下である必要がある。このため、この用途での使用される場合は通常80nm以下が用いられる。また、このような小粒子径の共重合体ラテックスを製造する場合は通常シード重合法が用いられるが、この場合用いられるシードラテックスの粒子径は最終的な粒子径の30%以下であることが望まれる。
【0004】
すなわち、より小粒径の共重合体ラテックスを工業的に生産するためには原料となるシードラテックスを大幅に小さくかつ工業的スケールで生産する必要がある。このように、工業的に求められる共重合ラテックスの粒子径はより小さい物が主流となっている。
しかし、このような小粒子径のラテックスの工業的生産に対しては操業的条件や共重合体ラテックスの物性への制限等があるため100nm以下の共重合体ラテックスを製造することは事実上困難であった。これら、工業生産にかかわる問題点でもっとも重要な点は共重合体の固形分に関わる問題である。
【0005】
通常の操業上の経済性に見合う共重合体ラテックスの固形分量は約30%以上が確実に必要である。しかし、共重合体ラテックスの固形分の設定を30%以上にした場合、重合時の微細凝固物の発生や重合中の2次粒子への成長などにより、塗工液の流動性や樹脂に成形した場合の性能が充分得られないという問題がある。
これらの解決のために重合装置上の解決が数多く考案されており、たとえば特開平−49890、特開平6−16708、特開平−7−292002号公報等には複数段のパドル翼を組み合わせた攪拌装置による製造法が開示されている。また、特開2000−327726号公報には重合に際する攪拌所要動力を0.05〜1.0kw/m3とすることによるスケールの発生などを防止する方法が開示されている。しかしながら、最近の共重合ラテックスに対する技術的要求はますます高度化しており、これらの方法では重合時の安定性が確保できないほど小粒子径化が進んできている。
【0006】
一方、「重合性界面活性剤・高分子活性剤」(長井勝利、日本接着学会誌Vol.33 N0.6(1997),p233-239)に総説されているように、いわゆる反応性基を有する界面活性剤である反応性乳化剤を用いた乳化重合の技術が従来より良く知られている。このような反応性乳化剤を用いて製造された共重合体ラテックスは乳化剤自身が共重合体の粒子に化学結合を行うため、通常の乳化剤を用いた場合に比べ飛躍的に塗膜の耐水性や湿潤時の接着強度が増大することが多くの文献によって提出されている。
【0007】
これらの技術は乳化剤が多く必要な、最近の共重合体ラテックスの小粒子径化の要求に対して効果的である。たとえば特開昭63−270872、特開平8−209545、特開平8−134273、特開平7−324103号公報などに脂肪族共役ジエン系単量体や酸性官能基含有不飽和単量体などの組成範囲やゲル分率を規定して、剥離強度や耐水異性の優れたカーペットバッキング用途や機械的、化学的安定性に優れた接着剤として提出されている。
【0008】
また、特開昭57−180617、特開平6−299000号公報等には塗膜の耐水性や焼付け性の良好な塗料用途への考案されている。また、特開平11−209413、特開平5−171598、特開2000−234293号公報等には表面強度や網点再現性に優れる紙塗工用バインダーとしての考案も提出されている。
また、特開平7−52540、特開平7−246778、特開平7−52541号公報には感熱記録体や感熱記録型磁気シートへの応用も提出されている。また、特開平8−48705公報、には粒子径を10〜50nmにすることによる共重合体ラテックスのシード粒子としての応用も提出されている。
【0009】
また特開平9−12825号公報にはABS樹脂の原料ゴムラテックスへの応用も提出されている。さらに、特開平11−286897、特開平1−192896、特開2000−2975、特開平11−200294,特開2000−355670,特開2000−178897、特開平11−350387、特開昭59−122510、特開平6−157985、特開2000−26665、特開平5−194906号公報等の様々な新規なスチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの応用にも可能なことが示されている。
【0010】
このように反応性乳化剤の使用は、スチレン・ブタジエン系共重合体ラテックスの分野では広く知用いられる技術である。
また、アクリルラテックスの分野でも特開平8−188604、特開平6−279688、特開昭62−236808、特開平8−42967、特開平9−296011、特開平9−316347、特開平5−43852、特開平11−71527号公報等で耐水性に優れる塗料、接着剤、として反応性乳化剤を用いた新規なアクリルラテックスやその製造方法が提出されている。
【0011】
さらに、特開2000−109784、特開平6−157975、特開平11−209560、特開平9−111218、特開平9−104798、特開平10−298491、特開平10−128226、特開平10−251556、特開2000−191708、特開平11−209560、特開平11−124508、特開平6−256522、特開平8−169919号公報などに各種の新規なアクリルラテックスへも応用が可能なことが示されている。
以上から、反応性乳化剤を用いてラテックスを製造し、乳化剤の使用量に関わらず、耐水性の良好な塗料、接着剤、樹脂の原料へ応用することは従来から良く知られかつ広い分野で用いられている技術である。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、いずれの場合もラテックスの粒子径がさらに、小さくなるに従い共重合体ラテックス全体の表面積が大きくなり、重合時の安定性の維持のためには大量の乳化剤が必要であった。このため、反応性乳化剤を使用しても、最終的に得られたバインダーや接着剤、感光性樹脂などの耐水性が充分得られないという欠点があった。
【0013】
【問題を解決するための手段】
本発明者らは、上述の問題点を解決するために鋭意検討した結果、共重合体ラテックスを乳化重合するに際し、反応装置の体積当たりの攪拌所用動力を特定の範囲で使用することにより、粒子径が50nm以下でかつ耐水性を低下させない共重合体ラテックスが高い固形分濃度(約40%)で重合安定性良好に得られるという事実を見いだし本発明に到達した。
【0014】
すなわち、脂肪族共役ジエン系単量体50〜95重量部、酸性官能基含有不飽和単量体0.5〜30重量部及びその他の共重合可能な単量体からなる単量体混合物(A)成分100重量部、及び反応性乳化剤(B)成分0.1〜30重量部の両者を用いて乳化重合するに際し、反応系にあらかじめ(B)成分の60〜80重量%を仕込み、次いで(A)成分と(B)成分の残量を連続的に添加し、共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所用動力が0.08kw/m32.5kw/m3であり、粒子径が50nm以下であることを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法である。
【0015】
以下に本発明を詳細に説明する。以下、本発明に用いられる原料の添加量は単量体混合物(合計100重量部)に対する重量部数で表す。
本発明に使用される乳化剤(界面活性剤)には反応性乳化剤を用いることが必須である。このとき、使用する反応性乳化剤の量は使用する不飽和単量体総量100重量部に対して、共重合体ラテックスの安定性維持の観点から0.1重量部以上であり、製膜した樹脂フィルムの耐水性維持の観点から30重量部以下用いることが必須である。
【0016】
また、使用する不飽和単量体としては共役ジエン系単量体を50〜95重量部使用することが必須である。たとえば、塗工紙分野や接着剤分野では十分な強度が必要であり、フレキソ印刷用固体版の感光性樹脂組成物で使用された場合には十分な弾性や機械的強度が必須であるためである。
本発明では乳化重合するに際し反応装置の体積当たりの攪拌所用動力は、共重合体ラテックス重合時の安定性確保の観点から0.08kw/m3以上であり、操業場の重合装置の制約から2.5kw/m3であることが必須である。
体積当たりの攪拌所用動力の算出の方法としては神鋼ファウドラー・ニュースp1-7,vol24,No.1(1980/1)より、下記[式1]を用いて算出した。
【0017】
【式1】
Figure 0003907992
【0018】
本発明では特に制限されないが、共重合体ラテックスのトルエン不溶分は、共重合体ラテックスの製膜した樹脂フィルムの強度維持の観点から85%以上であり、共重合体ラテックスの製膜性と回収した樹脂の加工性流動性確保の観点から95%以下である。
本発明では特に制限されないが、共重合体ラテックスの粒子径は、共重合体ラテックスの製膜したフィルムの強度また回収した樹脂の光学的特性の点から50nm以下である。
【0019】
重合方法としては重合可能な温度に調製された反応系にあらかじめ所定量の水、反応性乳化剤(反応性界面活性剤)、その他添加剤を仕込み、この系に重合開始剤および不飽和単量体、反応性乳化剤、調製剤等を回分操作あるいは連続操作で反応系内に添加する事によって乳化重合を行い合成される。特に反応性乳化剤は不飽和単量体の添加前に全量の60重量%〜80重量を一括に使用し、不飽和単量体の添加開始の後に残りの全量を連続で添加することが好ましい。
【0020】
重合可能な温度は通常60℃〜120℃であるが、80℃〜120℃が特に好ましい。
また必要に応じて反応系には所定量のシードラテックス、開始剤、その他の調製剤をあらかじめ仕込んで置くことも通常良く用いられる方法である。また不飽和単量体、反応性乳化剤、その他の添加剤、調製剤を反応系へ添加する方法によって、合成される親水性共重合体粒子の層構造を段階的に変える事も可能である。各層の構造を代表する物性としては、親水性、ガラス転移点、分子量、架橋密度などが上げられる。また、本発明では、この層構造の段階数は特に制限されない。
【0021】
本発明に使用する酸性官能基含有不飽和単量体とは、一塩基酸単量体、二塩基酸単量体等があげられる。本発明で用いられる酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基やスルホン酸基やリン酸基、あるいはホウ酸基を有する性不飽和単量体であり、後述する反応性乳化剤は含まれない。
より具体的には一塩基酸単量体として、アクリル酸、メタクリル酸、クロトン酸、ビニル安息香酸、桂皮酸、スチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸およびこれらの一塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。
【0022】
二塩基酸単量体としては、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸、シトラコン酸、ムコン酸、およびこれらの二塩基酸単量体のナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、等が例示できる。これら、二塩基酸単量体またはスチレンスルホン酸、メタリルスルホン酸、アリルスルホン酸、ビニルスルホン酸等の親水性の大きい酸性官能基含有不飽和単量体を用いて不飽和単量体の添加前に、その全量を一括で添加した場合には著しく重合時の安定性が低下するため好ましくない。このように、酸性官能基含有不飽和単量体としては重合時の安定性上一塩基酸単量体が好ましく、この中でも特にアクリル酸、メタクリル酸の併用が好ましい。また、これらの一塩基酸単量体の添加方法は脂肪族共役ジエン系単量体及びその他の不飽和単量体の添加と同時に連続的に添加することが好ましい。
【0023】
脂肪族共役ジエン系単量体としては、1,3−ブタジエン、イソプレン、2,3−ジメチル1,3−ブタジエン、2−エチル−1,3−ブタジエン、2−メチル−1,3−ブタジエン、1,3−ペンタジエン、クロロプレン、2−クロル−1,3−ブタジエン、シクロペンタジエン等が例示できる。
共重合体ラテックスの重合において使用されるその他の不飽和単量体としては、芳香族ビニル化合物、アクリル酸エステル類、メタクリル酸エステル、水酸基を有する系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、アクリルアミド、メタクリルアミド、ビニルエステル、ビニルエーテル、ハロゲン化ビニル、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−性不飽和単量体、アリル化合物、等があげられる。
【0024】
芳香族ビニル化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、エチルスチレン、ビニルトルエン、ビニルキシレン、ブロモスチレン、ビニルベンジルクロリド、p−t−ブチルスチレン、クロロスチレン、アルキルスチレン、ジビニルベンゼン、トリビニルベンゼン、等が例示できる。
【0025】
アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、イソブチル(メタ)アクリレート、n−アミル(メタ)アクリレート、イソアミルヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、デシル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、オクタデシル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレート、ベンジル(メタ)アクリレート、2−エチル−ヘキシル(メタ)アクリレート、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、グリシジル(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、グリコールジ(メタ)アクリレート、1,3−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,4−ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、プロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、1,5−ペンタンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ジグリコールジ(メタ)アクリレート、トリグリコールジ(メタ)アクリレート、テトラグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリグリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、テトラメチロールメタンテトラ(メタ)アクリレート、アリル(メタ)アクリレート、ビス(4−アクリロキシポリエトキシフェニル)プロパン、メトキシポリエチリングリコール(メタ)アクリレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンフタレート、β−(メタ)アクリロイルオキシエチルハイドロジェンサクシネート、3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、フェノキシエチル(メタ)アクリレート、フェノキシポリグリコール(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシ−1,3−ジ(メタ)アクリロキシプロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ジエトキシ)フェニル]プロパン、2,2−ビス[4−((メタ)アクリロキシ・ポリエトキシ)フェニル]プロパン、イソボルニル(メタ)アクリレート等が例示できる。
【0026】
水酸基を有する系モノカルボン酸アルキルエステル単量体としては例えば、アクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、アクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、アクリル酸1−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸1−ヒドロキシプロピル、ヒドロキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート、等が挙げられる。
不飽和二塩基酸アルキルエステルとしてはクロトン酸アルキルエステル、イタコン酸アルキルエステル、フマル酸アルキルエステル、マレイン酸アルキルエステル、等を例示できる。
【0027】
シアン化ビニル化合物としては、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を例示できる。
アクリルアミド、メタクリルアミドとしては、(メタ)アクリルアミド、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−アルコキシ(メタ)アクリルアミド等を例示できる。
ビニルエステルとしては、酢酸ビニル、ビニルブチレート、ビニルステアレート、ビニルラウレート、ビニルミリステート、ビニルプロピオネート、バーサティク酸ビニル等を例示できる。
【0028】
ビニルエーテルとしては、メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、プロピルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル、アミルビニルエーテル、ヘキシルビニルエーテル等を例示できる。
ハロゲン化ビニルとしては、塩化ビニル、臭化ビニル、フッ化ビニル、塩化ビニリデン、フッ化ビニリデン等を例示できる。
アミノ基を有する塩基性単量体としては、アミノエチル(メタ)アクリレート、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート、等を例示できる。
【0029】
オレフィンとしては、エチレン、プロピレン等を例示できる。
ケイ素含有α,β−性不飽和単量体としては、ビニルトリクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン等を例示できる。
アリル化合物としては、アリルエステル、ジアリルフタレート、等を例示できる。
その他、トリアリルイソシアヌレート等の3個以上の二重結合を有する単量体も使用できる。
【0030】
これらの単量体は単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。
本発明に用いられる乳化重合には必要に応じて重合反応抑制剤が用いられる。重合反応抑制剤とは、乳化重合系に添加することにより、ラジカル重合速度を低下させる化合物である。より具体的には、重合速度遅延剤、重合禁止剤、ラジカル再開始反応性が低い連鎖移動剤、およびラジカル再開始反応性が低い単量体である。
【0031】
重合反応抑制剤は、重合反応速度の調整およびラテックス物性の調整に用いられる。これらの重合反応抑制剤は回分操作あるいは連続操作で反応系に添加される。重合反応抑制剤を用いた場合、ラテックス被膜の強度が向上する傾向がある。反応メカニズムの詳細は不明であるが、重合反応抑制剤はポリマーの立体構造に密接に関与していると思われ、このことによりラテックス被膜の物性の調整に効果があるものと推定している。
【0032】
これらの重合反応抑制剤の例としては、o−,m−,あるいはp−ベンゾキノンなどのキノン類、ニトロベンゼン、o−,m−,あるいはp−ジニトロベンゼンなどのニトロ化合物、ジフェニルアミンのようなアミン類、第三ブチルカテコールのようなカテコール誘導体、1,1−ジフェニルあるいはα−メチルスチレン、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテンなどの1,1−ジ置換ビニル化合物、2,4−ジフェニル−4−メチル−2−ペンテン、シクロヘキセン等の1,2−ジ置換ビニル化合物などがあげられる。
【0033】
この他にも、「POLYMER HANDBOOK 3rd Ed.(J.Brandup,E.H.Immergut:John Wiley & Sons,1989)」、「改訂高分子合成の化学(大津:化学同人、1979.)」に重合禁止剤あるいは重合抑制剤として記載されている化合物があげられる。これらの中でも、2,4−ジフェニル−4−メチル−1−ペンテン(α−メチルスチレンダイマー)が反応性の点で特に好ましい。これらの重合反応抑制剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの重合反応抑制剤の使用量は、重合効果あるいは速度の点から好ましくは0.1重量部〜10重量部である。
【0034】
本発明に用いられる乳化重合には必要があれば、既知の連鎖移動剤を用いることができる。例をあげれば、硫黄元素を含む連鎖移動剤として、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、等のアルカンチオール、メルカプトエタノール、メルカプトプロパノール等のチオアルキルアルコール、チオグリコール酸、チオプロピオン酸等のチオアルキルカルボン酸、チオグリコール酸オクチルエステル、チオプロピオン酸オクチルエステル等のチオカルボン酸アルキルエステル、ジメチルスルフィド、ジエチルスルフィド等のスルフィドがあげられる。
【0035】
その他に、連鎖移動剤の例としては、ターピノーレン、ジペンテン、t−テルピネンおよび四塩化炭素などのハロゲン化炭化水素をあげることができる。これらの中で、アルカンチオールは連鎖移動速度が大であり、また得られるラテックスの物性バランスが良いので好ましい。これらの連鎖移動剤は、単独で用いても良いし、2種以上を混合して用いても良い。これらの連鎖移動剤は単量体に混合して反応系に供給するか、単独で所定の時期に所定量添加される。これらの連鎖移動剤の使用量は好ましくは0.1重量部〜10重量部である。
【0036】
本発明に使用されるラジカル重合開始剤は、熱または還元性物質の存在下ラジカル分解して単量体の付加重合を開始させるものであり、無機系開始剤および有機系開始剤のいずれも使用できる。このようなものとしては、例えば水溶性又は油溶性のペルオキソ二硫酸塩、過酸化物、アゾビス化合物等、具体的にはペルオキソ二硫酸カリウム、ペルオキソ二硫酸ナトリウム、ペルオキソ二硫酸アンモニウム、過酸化水素、t−ブチルヒドロペルオキシド、過酸化ベンゾイル、2,2−アゾビスブチロニトリル、クメンハイドロパーオキサイドなどがあり、また他に、POLYMER HANDBOOK (3rd edition)、J.BrandrupおよびE.H.Immergut著、John Willy&Sons刊(1989)に記載されている化合物が挙げられる。
【0037】
また、酸性亜硫酸ナトリウム、アスコルビン酸やその塩、エリソルビン酸やその塩、ロンガリットなどの還元剤を重合開始剤に組み合わせて用いる、いわゆるレドックス重合法を採用することもできる。これらの中で特にペルオキソ二硫酸塩が重合開始剤として好適である。この重合開始剤の使用量は、全単量体の重量に基づき、通常0.1〜5.0重量部の範囲から、好ましくは0.2〜3.0重量部の範囲から選ばれる。
【0038】
この乳化重合における重合温度は、通常60〜120℃の範囲で選ばれるが、前記レドックス重合法等により、より低い温度で重合を行っても良い。さらに酸化還元触媒として、金属触媒、例えば、2価の鉄イオン、3価の鉄イオン、銅イオンなどを共存させてもよい。
本発明においては、必要に応じ各種重合調整剤を添加することができる。例えば、pH調整剤として、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、リン酸水素二ナトリウムなどのpH調整剤を添加することができ、この中でも水酸化カリウムが耐水性と合成時の安定性バランスを高める点で特に好ましく、合成後のpH調整剤としては好適である。また、ジアミン四酢酸ナトリウムなどの各種キレート剤なども重合調整剤として添加することもできる。
【0039】
また、その他の添加剤としてはアルカリ感応ラテックス、ヘキサメタリン酸などの減粘剤、ポリビニルアルコール、カルボキシメチルセルロース等の水溶性高分子、増粘剤、各種老化防止剤、紫外線吸収剤、防腐剤、殺菌剤、消泡剤、ポリアクリル酸ナトリウムなどの分散剤、耐水化剤、亜鉛華等の金属酸化物、イソシアネート系化合物、エポキシ化合物等の架橋剤、滑剤、保水剤等の各種添加剤を添加してもさしつかえない。これらの添加剤の添加方法は特に制限されず共重合体ラテックスの重合時、重合後に関わらず添加することができる。
【0040】
共重合体ラテックスを乳化重合するときに用いる反応性乳化剤とは、分子中にビニル基、アクリロイル基、あるいはメタアクリロイル基などのラジカル重合性の二重結合を有し、一般の乳化(界面活性)剤と同様に、乳化、分散、および湿潤機能を持つもので共重合体ラテックスを乳化重合するときに、反応性乳化剤を除いた不飽和単量体100重量部に対して、単独で0.1重量部以上用いることで粒径が5〜250nmの単分散の重合物が合成できる乳化(界面活性)剤である。
このような反応性(乳化)界面活性剤の例を下記(I)〜(VIII)に示す。
【0041】
【化1】
Figure 0003907992
【0042】
【化2】
Figure 0003907992
【0043】
【化3】
Figure 0003907992
【0044】
【化4】
Figure 0003907992
【0045】
【化5】
Figure 0003907992
【0046】
【化6】
Figure 0003907992
【0047】
【化7】
Figure 0003907992
【0048】
【化8】
Figure 0003907992
【0049】
反応性乳化剤として一般的に市販されている商品名を以下に示すと、アデカリアソープSE、SDX(旭電化工業)、アクアロンHS、BC、KH、ハイテノールA (第一工業製薬株式会社)、ラテムルS、PD(花王株式会社)、エレミノールJS(三洋化成工業株式会社)、アントックスMS(日本乳化剤株式会社)、スピノマー(東洋曹達工業)などをあげることができるが、これらに限定されるものではない。これらは、単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせても用いてもよい。
本研究では特に制限されるものではないが、反応性乳化剤はアデカリアソープ(SE、SDX)、アクアロン(HS、BC、KH)、ラテムル(PD)等、硫酸基とポリオキシアルキレン鎖を分子構造中にもつものが重合安定性上特に好ましい。
【0050】
上記の一般の(非反応性)乳化剤とは、脂肪酸せっけん、ロジン酸せっけん、スルホン酸塩、サルフェート、リン酸エステル、ポリリン酸エステル、サリコジン酸アシル、等のアニオン界面活性剤、ニトリル化油脂誘導体、油脂誘導体、脂肪酸誘導体、α−オレフィン誘導体等のカチオン界面活性剤、アルコールエトキシレート、アルキルフェノールエトキシレート、プロポキシレート、脂肪族アルカノールアミド、アルキルポリグリコシド、ポリオキシアルキルアリールエーテル、ポリオキシソルビタン脂肪酸エステル、オキシオキシプロピレンブロックコポリマー等のノニオン界面活性剤が例示される。
【0051】
スルホン酸塩としては、アルキルスルホン酸塩、ジアルキルアリールスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルアリール硫酸塩、アルキルスルホコハク酸塩、ポリオキシアルキル硫酸塩、ポリオキシアルキルアリール硫酸塩、スルホン化油脂、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、アルキルグリセリルエーテルスルホン酸塩、N−アシルメチルタウリン酸塩、等が挙げられる。
【0052】
これらの界面活性剤の他の例としては、「界面活性剤ハンドブック(高橋、難波、小池、小林:工学図書、1972)」に記載されているものなどがあげられる。これら、非反応性乳化剤は得られる共重合体の製膜したフィルムの耐水性を悪化させない範囲で乳化重合に使用することが出来る。この量は不飽和単量体全量に対し概ね0.5重量部以下が好ましい。
【0053】
【発明の実施の形態】
以下に本発明について具体的に説明する。
(1)共重合体ラテックスの合成
【0054】
【実施例1〜5】
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125重量部、表1に示す反応性乳化剤の仕込量の75重量%を初期仕込みし窒素置換を行った。さらに表1に示す回転数で攪拌を行い内温を80℃に昇温し、表1に示す単量体混合物(ブタジエン70重量部、スチレン10重量部、アクリル酸ブチル13重量部、メタクリル酸5重量部、アクリル酸2重量部、合計100重量部)とt−ドデシルメルカプタンの油性混合液と、水28重量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2重量部、水酸化ナトリウム0.2重量部、表1に示す反応性乳化剤の仕込量の残りの25%からなる水溶液をそれぞれ、調整後、窒素置換を行い、5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。
【0055】
そして、80℃の温度をそのまま1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。ついで、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整してからスチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的には固形分濃度が40重量%になるように調整して実施例1〜5の親水性共重合体溶液を得た。
結果を表1に示す。
【0056】
ここで、式1により共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所用動力を計算する耐圧反応容器の装置定数と重合原料の条件としては下記のものを使用した。
槽径D[m]:0.195
翼径d[m]:0.125
動力数Np[−]:0.44
レイノルズ数Re[−]:72900
液量V[m3]:0.00255
通常回転数[rpm]280
翼形状:2枚後退翼
バッフル本数nb[−]:1
バッフル投影面積A[m2]:0.0024
液深H[m]:0.102
翼巾b[m]:0.027
密度ρ[kg/m3]:1000
粘度η[Pa・S]:0.001
【0057】
【実施例6〜7】
表1に示した非反応性乳化剤の全量を初期仕込した以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例6〜7の親水性共重合体溶液を得た。
【0058】
【実施例8〜12】
アクリル酸ブチル及びt−ドデシルメルカプタンの重量部数を表1および表2に示したその他の共重合可能な単量体に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例8〜12に用いる親水性共重合体溶液を得た。
【0059】
【実施例13〜14】
ブタジエンとアクリル酸ブチル及びt−ドデシルメルカプタンの重量部数を表2に示した量に変更しに以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例13〜14に用いる親水性共重合体溶液を得た。
【0060】
【実施例15〜16】
メタクリル酸とアクリル酸ブチル及びt−ドデシルメルカプタンの重量部数を表2に示した量に変更しに以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例15〜16に用いる親水性共重合体溶液を得た
【0061】
【実施例17】
反応性乳化剤の重量部数を表3に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例17に用いる親水性共重合体溶液を得た
【0062】
【実施例18〜21】
攪拌回転数を表3に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例18〜21に用いる親水性共重合体溶液を得た。
【0063】
【実施例22】
重合温度及びt−ドデシルメルカプタンの重量部数を表3に示した量に変更しに以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例22に用いる親水性共重合体溶液を得た。
【0064】
【比較例1〜2】
乳化剤の種類を非反応性の乳化剤であるドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムをそれぞれ表4に示した量用いた以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例3、4に用いる親水性共重合体溶液を得た。
【0065】
実施例23〜24
表4に示した非反応性乳化剤の全量を初期仕込した以外は実施例1と同様な操作を行い、実施例23〜24の親水性共重合体溶液を得た。
【0066】
【比較例5〜6】
ブタジエンとt−ドデシルメルカプタンの重量部数を表4に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例5〜6の親水性共重合体溶液を得た。
【0067】
【比較例7〜8】
メタクリル酸、アクリル酸ブチル、t−ドデシルメルカプタンの重量部数を表4に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例7〜8の親水性共重合体溶液を得た。
【0068】
【比較例9〜10】
反応性乳化剤の使用量を表4に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例9〜10の親水性共重合体溶液を得た。
【0069】
【比較例11】
攪拌回転数を表4に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例11の親水性共重合体溶液を得た
【0070】
【比較例12】
攪拌回転数及びt−ドデシルメルカプタンの重量部数をを表4に示した量に変更した以外は実施例1と同様な操作を行い、比較例12の親水性共重合体溶液を得た
(2)評価方法
下記の評価法に基づいて評価した実施例及び比較例の結果を表1〜4に示した。
(a)粒子径
日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分布径(型式:9230UPA)を用いて数平均粒子径を測定した。
(b)重合時発生微小凝固物量
重合終了後の共重合ラテックス溶液の所定量(35%、50g)をSUS網(200m)でろ過し、不通過分の重量を該所定量中の樹脂分重量(17.5g)で除した数量を100倍し、重合時の微小凝固物の発生量の目安とした。
【0071】
(c)共重合体ラテックスフィルムの吸水率
共重合体ラテックスを23℃、湿度60%で3日間乾燥してフィルムを調整し、90℃30分加熱して完全に乾燥した後、重量1gで切り取った後23℃の水中に浸漬し24時間後に重量を測定し膨潤水量を測定し吸水率とした。
(e)マローン式安定性試験
共重合体ラテックスを30%に調整しマローン式安定性試験機により過重30kg、温度60℃、15分間テストを行い発生した残差量を測定し、試験に使用した全樹脂量に対する100分率を持って安定性の目安とした。
【0072】
(f)共重合体ラテックスの製膜性
共重合体ラテックスを40%1gをアルミ皿上に計り取り130℃、1時間加熱し乾燥後、製膜したフィルムの状態を観察しフィルムの強度を観察した。フィルムが室温で流動的であったり、クラック等の発生しているものは不良と判断した。
○:良好、△:しわ、ワキ等、×:クラック
(3)評価結果
本発明を実施例に基づいて説明する。
【0073】
実施例1〜5、比較例1と2の結果
実施例1〜5には反応性乳化剤のみを用いて、比較例1と2には非反応性乳化剤(ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、ドデシルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウム)のみを用いて乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。反応性乳化剤のみを用いた場合、共重合体ラテックスフィルムの吸水率が少なく耐水性に優れている。
【0074】
実施例6と7、実施例23と24の結果
実施例6、7には反応性乳化剤と0.3重量部の非反応性乳化剤を用いて、実施例23と24には反応性乳化剤と1重量部の非反応性乳化剤を用いて乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。非反応性乳化剤を0.3重量部用いた場合、共重合体ラテックスフィルムの吸水率が少なく耐水性に優れている。
【0075】
実施例1、8〜12の結果
実施例1、8〜12に種々の共重合可能なその他の不飽和単量体(アクリル酸ブチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、メタクリル酸メチル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリル酸2ヒドキシルエチル)を用い、t−ドデシルメルカプタンによってトルエン不溶分率を約90%に調節して乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。共重合可能なその他の不飽和単量体の種類にかかわらず得られた評価結果は良好であった。
【0076】
実施例1、13、14、比較例5と6の結果
実施例1、13、14、比較例5、6にブタジエンの組成量を変化させ、t−ドデシルメルカプタンによってトルエン不溶分率を約90%に調節して乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。ブタジエン組成が40重量部、97重量部の場合は共重合体ラテックスの製膜性が不良であった。
【0077】
実施例1、15、16、比較例7と8の結果
実施例1、15、16、比較例7、8に酸性官能基含有不飽和単量体であるメタクリル酸、アクリル酸の組成量を変化させ、t−ドデシルメルカプタンによってトルエン不溶分率を約90%に調節して乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。酸性官能基含有不飽和単量体が0.2重量部の場合は、重合時発生微小凝固物量が多くマローン式安定性試験の結果も不良であった。酸性官能基含有不飽和単量体が34重量部の場合は、重合時発生微小凝固物量が多く、共重合体ラテックスの製膜性も不良であり、共重合体ラテックスフィルムの吸水率多く耐水性に劣っていた。
【0078】
実施例1、17、18、比較例9と10の結果
実施例1、17、18と比較例9、10に使用する反応性乳化剤の量を変えて、乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。使用する反応性乳化剤が0.05%の場合は重合時発生微小凝固物量が多く安定性が不良であった。使用する反応性乳化剤が35%の場合は重合時発生微小凝固物量が多く、マローン式安定性試験の結果も不良であり安定性が不良であった。
【0079】
実施例1と19〜21、比較例11の結果
実施例119〜21、比較例11に攪拌回転数を変えて乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。攪拌回転数を120rpmに変更して乳化重合した親水性共重合体の場合、重合時発生微小凝固物量が多くマローン式安定性試験の結果も不良であった。
【0080】
実施例1と22、比較例12の結果
比較例1、2に攪拌回転数を変えて乳化重合した親水性共重合体の評価結果を示した。攪拌回転数を150rpmに変更して乳化重合した親水性共重合体の場合、重合時発生微小凝固物量が多くマローン式安定性試験の結果も不良であった。
【0081】
【表1】
Figure 0003907992
【0082】
【表2】
Figure 0003907992
【0083】
【表3】
Figure 0003907992
【0084】
【表4】
Figure 0003907992
【0085】
【発明の効果】
本発明による製造方法を用いることで、耐水性能、製膜性能、安定性が良好な塗料、接着剤、コーティング剤、汎用樹脂、感光性樹脂等に好適な小粒子系の共重合体ラテックス製造することが可能である。

Claims (2)

  1. 脂肪族共役ジエン系単量体50〜95重量部、酸性官能基含有不飽和単量体0.5〜30重量部及びその他の共重合可能な単量体からなる単量体混合物(A)成分100重量部、及び反応性乳化剤(B)成分0.1〜30重量部の両者を用いて乳化重合するに際し、反応系にあらかじめ(B)成分の60〜80重量%を仕込み、次いで(A)成分と(B)成分の残量を連続的に添加し、共重合体ラテックスの体積当たりの攪拌所用動力が0.08kw/m3〜2.5kw/m3であり、粒子径が50nm以下であることを特徴とする共重合体ラテックスの製造方法。
  2. 前記乳化重合が、前記(A)成分100重量部に対して、更に非反応性乳化剤を0.5重量部以下用いて行われる重合である請求項1に記載の製造方法。
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