JP2009091508A - ソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン及びその製造法 - Google Patents

ソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン及びその製造法 Download PDF

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Abstract

【課題】 従来のアクリル系ポリマーエマルジョンの耐水性、付着性、接着性を改良したソープレスアクリル系ポリマーエマルジョンを提供する。
【解決手段】 親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン、並びに親水性溶剤の存在下、親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体を用いてアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーを水中に乳化させ、ラジカル開始剤を加えて乳化重合することを特徴とするソープレスアクリル系ポリマーエマルジョンの製造法。
【選択図】 なし

Description

本発明は、エマルジョン中の乳化剤が低減され、耐水性、付着性、接着性等が著しく改良された、ソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン及びその製造法に関するものである。
アクリル系ポリマーエマルジョン(以下、アクリルエマルジョンという)は、塗料、コーティング剤、接着剤、粘着剤、繊維処理剤、カーペット処理剤、紙処理剤、各種バインダー剤の原料として利用されている。
ところが、従来のアクリルエマルジョンは、使用される用途によっては、耐水性、付着性、接着性など必ずしも満足できるものではなかった。
従来のアクリルエマルジョンは、アルキル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、ポリビニルアルコールなどの乳化剤を用いてアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なモノマーを水中に乳化した後、t−ブチルハイドロパーオキサイドなどのラジカル開始剤を添加することによりこれらを重合後、未反応モノマーをスチームストリッピング等の方法で除去する方法により製造されている。上記エマルジョンには、アクリル系ポリマーに対して5wt%程度の上記乳化剤が含まれるが、これが従来型アクリルエマルジョンの耐水性、付着性、接着性の発現を妨げる主要因と考えられている。そこでこれらの乳化剤を含まない、所謂ソープレスタイプのアクリルエマルジョンも開発されている。例えば、アルカリ可溶性ポリマーを乳化剤としてアクリルモノマーをラジカル重合する方法(特許文献1)、スチレンとスチレンスルホン酸ナトリウムを水中でラジカル重合することにより生成したスチレン/スチレンスルホン酸ナトリウム共重合体をシードとしてメタクリル酸エステルをラジカル重合する方法(特許文献2)が開示されている。
しかしながら、従来型乳化剤の代わりに使用しているアルカリ可溶性ポリマー又はスチレンスルホン酸ナトリウム共重合体は、基本的に水に可溶であり、耐水性、付着性、接着性等には未だ改良の余地があった。
また、アルコール中、メタクリル酸エステル及びメタクリル酸をラジカル共重合して得た親水基含有アクリル系共重合体中のカルボキシル基をアミンで中和後、純水を添加して転相乳化し、小粒子径のアクリルエマルジョンを得る方法が開示されている(特許文献3)。
しかしながら、該親水基含有アクリル系共重合体を転相乳化するためには、該親水基含有アクリル系共重合体がある程度低分子量である必要があり、塗膜強度、耐水性等が不十分だった。
また、ラジカル重合性の二重結合を分子内に有する、所謂、反応性乳化剤を用いてアクリル系モノマーを乳化重合することにより、ソープレスアクリル系エマルジョンを得る方法があるが、反応性乳化剤とアクリル系モノマーの共重合が必ずしも規則的にならないため、乳化剤成分が完全にはエマルジョン粒子表面に固定されず、従来型乳化剤に由来する問題が十分解決できないと言われている(非特許文献1)。
特開昭64−48801号公報 特開平9−43893号公報 特開2007−154106号公報 Krister Holmberg、翻訳 応用界面・コロイド化学ハンドブック、107〜109頁、2006年、エヌ・ティー・エス出版
以上のように、従来型アクリルエマルジョンの耐水性、付着性、接着性が改良された新規なアクリルエマルジョンが切望されていた。
本発明者は、上記した課題を解決するために鋭意検討した結果、親水性溶剤の存在下、親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体を用いてアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーを乳化重合することによって、従来型乳化剤又は水溶性ポリマーの使用量が大幅に低減された、又は全く含まないアクリルエマルジョンが得られ、従来の課題を解決できることを見いだし、本発明を完成するに至ったものである。すなわち、本発明は、親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするソープレスアクリルエマルジョン、並びにその製造法である。
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンは、従来のアクリルエマルジョンで使用されている従来型乳化剤を含まないか、その含有量が著しく低減されたものである。従来型乳化剤の含有量が著しく低減されたものとは、2wt%以下の従来型乳化剤を含有することをいう。2wt%を超えると、エマルジョンの耐水性、付着性、接着性等の低下が顕著になる。ここに、従来型乳化剤としては、従来から使用されているアニオン性乳化剤、ノニオン性乳化剤、カチオン性乳化剤、両性乳化剤等があげられ、例えば、アニオン性乳化剤としては、アルキル硫酸ナトリウム、高級アルコール硫酸エステルナトリウム、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸塩、高級脂肪酸アミドのスルホン酸塩、高級脂肪酸アルキロールアミドの硫酸エステル塩、ロジン酸塩、高級脂肪酸塩、アルケニルコハク酸塩、アルキルスルホベタイン等があげられ、ノニオン性乳化剤としては、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンスチレン化フェニルエーテル、高級脂肪酸アルカノールアミド、ポリビニルアルコール等があげられ、カチオン性乳化剤としては、アルキルアミン塩、四級アンモニウム塩、アルキルエーテル型四級アンモニウム塩等があげられ、両性乳化剤としては、アルキルベタイン、アルキルスルホベタイン、アルキルアミンオキサイド等があげられる。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンは、従来型乳化剤の代わりに、親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体(以下、親水基含有アクリル系ランダム共重合体という)を含有するものである。親水基含有アクリル系ランダム共重合体を含有することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体で分散安定化され、従来型乳化剤を含まないか、その含有量を著しく低減できるものである。アクリルエマルジョンにおける親水基含有アクリル系ランダム共重合体の含有量は、特に限定するものではないが、アクリルエマルジョンの耐水性、付着性、接着性、塗膜強度等を損なわないために、最終的なエマルジョンに含まれるポリマーに対して、親水基含有アクリル系ランダム共重合体由来の酸性基の含量が10wt%以下になるような含有量であることが好ましく、5wt%以下であることがさらに好ましい。
本発明における親水基含有アクリル系ランダム共重合体とは、主鎖中に親水基がランダムに分布している構造を有するアクリル系共重合体であり、適当量の親水性溶剤の存在下、アクリル系モノマーなどのラジカル重合性モノマーを水中に乳化させ、かつこれらのモノマーが重合して生成するエマルジョン粒子を水中で安定化させる能力を十分に有するポリマーである。すなわち、当該親水基含有アクリル系ランダム共重合体とは、メタクリル酸メチルに代表されるメタクリル酸エステル、アクリル酸メチル、アクリル酸エチルに代表されるアクリル酸エステルその他のアクリル系モノマーのような水不溶性モノマー単位を主体とした水不溶性ポリマー骨格の主鎖中に、スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩などの親水基をランダムに導入することによって、適当量の親水性溶剤の存在下、ミセルを形成してモノマーを乳化し得る水不溶性ポリマーである。例えば、メタクリル酸メチル/メタクリル酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/アクリル酸ブチル/メタクリル酸ランダム共重合体、メタクリル酸シクロヘキシル/スチレン/アクリル酸共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸エチル/アクリル酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/ビニル酢酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/p−ビニル安息香酸エステルランダム共重合体の加水分解物、メタクリル酸メチル/スチレン/ビニル安息香酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/無水マレイン酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/スチレン/p−スチレンスルホン酸エチルエステルランダム共重合体の加水分解物、メタクリル酸メチル/スチレン/スチレンスルホン酸ランダム共重合体、メタクリル酸メチル/メタクリル酸イソボロニル/アクリル酸エチル/スチレン/メタクリル酸ランダム共重合体等があげられる。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体が有する親水基とは、水溶性を有する基であれば特に限定するものではなく、例えば、酸性官能基(スルホン酸基、カルボキシル基、リン酸基及びこれらの塩)、水酸基、ポリアルキレンオキサイド、アミノ基、四級アンモニウム塩等があげられる。これらのうち、より少ない量で、適当量の親水性溶剤の存在下、水へ可溶化し、モノマーを乳化する特性をアクリル系ポリマーに付与することができる点で、酸性官能基がより好ましい。親水基含有アクリル系ランダム共重合体中の親水基の含有量は、特に限定するものではないが、十分なモノマー乳化力を得るとともに、耐水性を維持するためには、1〜40wt%が好ましく、1〜20wt%がさらに好ましい。
また、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で測定した数平均分子量は特に限定するものではないが、ミセル形成能を維持したり、エマルジョン粘度の上昇を防止するためには、500〜60000が好ましい。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体は、親水基含有ラジカル重合性モノマーと、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとを共重合することにより得られる。また、親水基含有アクリル系ランダム共重合体は、酸又はアルカリで加水分解することによって親水基へ変換可能な官能基(エステル基、酸無水物など)を含有するラジカル重合性モノマーと、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとを共重合した後、酸又はアルカリによる加水分解反応によって官能基を親水基へ変換することによっても得られる。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体の製造に用いられるアクリル系モノマーは、例えば、メタクリル酸メチル、メタクリル酸シクロヘキシル、メタクリル酸t−ブチル、メタクリル酸イソボロニル、エタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸グリシジル、メタクリル酸2−ヒドロキシエチル、メタクリル酸2−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸4−ヒドロキシブチル、メタクリル酸2−(ジメチルアミノ)エチル、メタクリル酸2−(ジエチルアミノ)エチル、メタクリル酸3−(ジメチルアミノ)プロピル、メタクリル酸2−(イソシアナート)エチル、メタクリル酸2,4,6−トリブロモフェニル、メタクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、メタクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、メタクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、メタクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル等のメタクリル酸エステル類、アクリル酸ブチル、アクリル酸エチル、アクリル酸メチル、アクリル酸2−エチルヘキシル、アクリル酸2−エトキシエチル、アクリル酸2−ブトキシエチル、アクリル酸シクロヘキシル、アクリル酸3−(トリメトキシシリル)プロピル、アクリル酸2,2,3,3−テトラフロロプロピル、アクリル酸2,2,2−トリフロロエチル、アクリル酸2,2,3,3,3−ペンタフロロプロピル、アクリル酸2,2,3,4,4,4−ヘキサフロロブチル等のアクリル酸エステル類、その他、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ジアセトンメタクリレート等があげられる。
アクリル系モノマーは単独で重合しても良いが、エマルジョン塗膜の硬度など、必要とされるエマルジョンポリマーの物性、又は乳化重合に用いるモノマーとの相性に応じてアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーを共重合することができる。アクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとしては、例えば、スチレン、α−メチルスチレン、p−クロロメチルスチレン、p−シアノスチレン、p−アセトキシスチレン、塩化p−スチレンスルホニル、エチルp−スチレンスルホニル、p−ブトキシスチレン、4−ビニル安息香酸、3−イソプロペニル−α,α’−ジメチルベンジルイソシアネート等のスチレン類、2,3−ジクロロ−1,3−ブタジエン、2−シアノ−1,3−ブタジエン、1−クロロ−1,3−ブタジエン等の1,3−ブタジエン類、その他、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン等があげられる。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体の製造に用いられる親水基含有ラジカル重合性モノマーは、例えば、スルホン酸基含有モノマーとしては、スチレンスルホン酸、4−(メタクリロイルオキシ)ブチルスルホン酸、メタリルスルホン酸、ビニルスルホン酸、2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、及びこれらの塩等があげられ、リン酸基含有モノマーとしては、2−(メタクリロイルオキシ)エチルフォスフェート及びその塩等があげられ、カルボキシル基含有モノマーとしては、メタクリル酸、アクリル酸、ビニル安息香酸、ビニル酢酸、無水マレイン酸、マレイン酸、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、クロトン酸、イタコン酸、フマル酸、無水シトラコン酸、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、及びこれらの塩等があげられ、水酸基含有モノマーとしては、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルアククリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、4−ヒドロキシブチルメタクリレート、4−ヒドロキシブチルアクリレート等があげられ、ポリアルキレンオキサイド含有モノマーとしては、ポリエチレングリコールメタクリレート、ポリエチレングリコールアクリレート等があげられ、アミノ基含有モノマーとしては、ジメチルアミノエチルメタクリレート、ジメチルアミノエチルアクリレート、ジエチルアミノエチルメタクリレート、ジエチルアミノエチルアクリレート等があげられ、四級アンモニウム塩含有モノマーとしては、[(2−メタクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド、[(2−アクリロイルオキシ)エチル]トリメチルアンモニウムクロライド等があげられる。これらのうち、有機溶剤への溶解性及びメタクリル酸メチルとの共重合性が比較的高い、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、無水シトラコン酸、フマル酸、フマル酸エステル、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニル酢酸から選択されるモノマーであることが好ましい。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体の製造に用いられる親水基へ変換可能な官能基を含有するラジカル重合性モノマーは、例えば、スルホン酸へ変換可能な官能基を有するモノマーとしては、p−スチレンスルホン酸アルキルエステル、p−クロロスルホニルスチレン等があげられ、カルボキシル基へ変換可能な官能基を有するモノマーとしては、t−ブチルメタクリレート、t−ブチルアクリレート、ベンジルメタクリレート、ベンジルアクリレート等があげられ、水酸基へ変換可能な官能基を有するモノマーとしては、グリシジルメタクリレート、グリシジルアクリレート等があげられる。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンを外部からの水分に対する耐水性が必要なコーティング剤、塗料、接着剤用途に使用する場合、上記した親水基の中では、より少ない親水基含量でエマルジョン安定性を発現できるスルホン酸基、リン酸基、カルボン酸基等の酸性基又はこれらの酸性基へ変換可能な官能基の利用が好ましい。さらに、上記親水基含有モノマー、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤の重合溶媒への溶解性を考慮するとカルボキシル基含有モノマー、ラジカル開始剤及び連鎖移動剤の使用が好ましく、価格等を考慮すると、モノマーとしてはメタクリル酸、アクリル酸、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、マレイン酸、マレイン酸モノエステル、ビニル酢酸が特に好ましく、開始剤としては4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)が特に好ましく、連鎖移動剤としてはチオリンゴ酸、チオグリコール酸などの親水基含有メルカプタン類が特に好ましい。
また、本発明のソープレスアクリルエマルジョンは、トナー結着剤、二次電池及びキャパシター電極用バインダーなどの用途にも使用可能である。これら、外部から遮断された密閉系で使用される場合、即ち、外部の水分との接触がない場合には、水酸基、アルキレンオキサイド、アミノ基含有モノマー又は水酸基、アミノ基へ変換可能な官能基を有するモノマーを使用しても良い。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体を製造する際の親水基含有ラジカル重合性モノマー又は親水基へ変換可能な官能基を含有するラジカル重合性モノマーと、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとを共重合する方法としては、ラジカル共重合する方法で良い。ここでいうラジカル共重合法は、従来の伝統的なラジカル重合法であり、溶媒又は無溶媒下、ラジカル開始剤及び分子量調節剤存在下でアクリル系モノマー等と親水基を含有するモノマー又は親水基へ変換可能な官能基を含有するモノマーをラジカル共重合するものである。ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過酸化水素、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどのパーオキサイド化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等のアゾ化合物等を用いることができる。上記分子量調節剤としては、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド、2,2’−ジチオジプロピオン酸、3,3’−ジチオジプロピオン酸、4,4’−ジチオジブタン酸、2,2’−ジチオビス安息香酸等のジスルフィド類、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、2−メルカプトプロピオン酸、3−メルカプトプロピオン酸、チオサリチル酸、3−メルカプト安息香酸、4−メルカプト安息香酸、チオマロン酸、ジチオコハク酸、チオマレイン酸、チオマレイン酸無水物、ジチオマレイン酸、チオグルタール酸、システイン、ホモシステイン、5−メルカプトテトラゾール酢酸、3−メルカプト−1−プロパンスルホン酸等のメルカプタン類、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー等を用いることができるが、エマルジョン安定性がより優れる点で、キサントゲンジスルフィド等のジスルフィド、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等のカルボキシル基含有メルカプタンが特に好ましい。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンは、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーを乳化重合してアクリル系ポリマーエマルジョンを製造する際に、親水基含有アクリル系ランダム共重合体及び適当量の親水性溶剤を用いることに特徴がある。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体のうち、特に、アクリル系モノマー等を水中に乳化させ、かつ安定なエマルジョンを得るために、メタクリル酸メチルに代表されるメタクリル酸エステルと親水基含有ラジカル重合性モノマーとの共重合体を用いることが好ましい。
ここに、親水基含有アクリル系ランダム共重合体、アクリル系モノマー、アクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーは、前に説明したのと同じである。
乳化重合における上記の親水基含有アクリル系ランダム共重合体の使用量は、モノマーを十分乳化でき、かつ生成したエマルジョンの十分な安定性を維持できれば特に限定するものではないが、エマルジョンの粘度上昇を考慮すると全仕込モノマーの30wt%以下であることが好ましく、最終的に得られるエマルジョンの耐水性、付着性、塗膜物性等を考慮すると20wt%以下であることがさらに好ましい。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンの製造におけるアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びこれと共重合可能なモノマーを乳化重合する方法は、親水基含有アクリル系ランダム共重合体及び適当量の親水性溶剤を用いる他は、従来の乳化重合と同様である。即ち、適当量の親水性溶剤の存在下、親水基含有アクリル系ランダム共重合体を用いてアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なモノマーを水中に乳化する。この際、必要に応じてメルカプタン等の分子量調節剤を加えても良い。窒素フロー等よって重合系内の酸素を除去した後、パーオキサイド等のラジカル開始剤を添加し、常温〜100℃で数時間加熱重合し、目的とする重合転化率に達した時点で重合停止剤を添加し、重合を停止する。その後、未反応モノマー、及び親水性溶剤をスチームストリップ等により除去して、ソープレスアクリルエマルジョンが得られる。
親水基含有アクリル系ランダム共重合体の製造から、当該親水基含有アクリル系ランダム共重合体を用いたソープレスアクリルエマルジョンの製造までの例を以下に説明する。
まず、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、イソプロピルアルコール、エタノール、ブチルセロソルブ、メトキシエタノール、ジオキサン、酢酸エチルなどの親水性溶媒中又は無溶媒中で、キサントゲンジスルフィド、チウラムジスルフィド、メルカプタン等の分子量調節剤存在下、アクリル系モノマー等と親水基含有ラジカル重合性モノマーをラジカル共重合することによって、親水基含有アクリル系ランダム共重合体を合成する。親水基がカルボキシル基等の酸性基の場合、酸性基含有アクリル系ランダム共重合体の重合溶液にトリエチルアミン、ジエチルアミン、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、エタノールアミン、プロパノールアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、モルホリン、N−メチルモルホリン、2−アミノ−2−メチル−1−プロパノール、アンモニア、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等の塩基性化合物を添加して中和したものに水を添加し、攪拌してミセルを形成させた後(又は塩基性化合物を添加して中和したものを、攪拌下、水中に投入してミセルを形成させた後)、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマー及び必要に応じてメルカプタン等の分子量調節剤を添加し、モノマー乳化液を調製する。上記乳化重合において、適当量の親水性溶剤を共存させることが、乳化重合時のスケール抑制及び重合速度の面で好ましい。
乳化重合に用いるアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとは、前に述べたメタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、スチレン類、1,3−ブタジエン類等である。これらのうち、アクリルエマルジョンへ架橋性、耐油性、耐候性などを付与するため、上記メタクリル酸エステル系モノマー、アクリル酸エステル系モノマー、スチレン系モノマー、1,3−ブタジエン系モノマーに適量のアクリロニトリル、メタクリロニトリル、α−シアノエチルアクリレート、マレイン酸エステル、フマル酸エステル、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルフタレート、モノ2−(メタクリロイルオキシ)エチルサクシネート、モノ2−(アクリロイルオキシ)エチルサクシネート、メタクリル酸、アクリル酸、アクロレイン、ジアセトンアクリルアミド、ビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ジアセトンメタクリレート、2−ビニルピリジン、アクリルアミド、メタクリルアミド、N−メチロールアクリルアミド等を共重合することもできる。
親水性溶剤としては、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メトキシエタノール、エタノール、メタノール、ジオキサン、ジメトキシエタン、メチルイソブチルケトン、ブチルセロソルブ、エチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル、酢酸エチル等が使用できるが、これらうち、沸点が低く、乳化重合後、ラテックスからの留去が比較的容易なために、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メトキシエタノール、エタノール、メタノールが好ましい。これら親水性溶剤の添加量は、特に限定するものではないが、ミセル形成を促進させる効果を維持しつつ、エマルジョン粒子の凝集を防ぐため、親水基含有アクリル系共重合体及びメタクリル酸エステル類、アクリル酸エステル類、スチレン類、1,3−ブタジエン類などのモノマーの総和に対して5〜50wt%であることが好ましく、5〜20wt%であることがさらに好ましい。
塩基性化合物としては、ミセルの形成、ポリマーエマルジョンの接着性、付着性、耐水性を考慮するとアルキルアミン、アルカノールアミン、アンモニアが特に好ましい。
上記モノマー乳化液にラジカル開始剤及び必要に応じて還元剤を添加して乳化重合を行う。ここで、目標とするモノマー転化率に到達したところで、重合禁止剤を添加し、重合を停止する。その後、未反応モノマーを減圧留去することにより、ソープレスアクリルエマルジョンが得られる。また、重合中又は重合後、ミセル形成促進、エマルジョンの安定性向上、粘度低減、表面張力低減などを目的として、一般的な乳化剤、分散剤を添加しても良い。但し、これらの乳化剤の添加量はエマルジョン中に含まれる全ポリマー成分に対して2wt%以下である。2wt%を超えると乳化剤によるアクリルエマルジョンの耐水性、付着性、接着性低下が顕著になる。乳化剤による耐水性、付着性、接着性阻害を抑制するため、エマルジョンに含まれる乳化剤は1wt%以下がより好ましい。
上記ラジカル開始剤としては、ベンゾイルパーオキサイド、ラウロイルパーオキサイド、t−ブチルハイドロパーオキサイド、パラメンタンハイドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウムなどのパーオキサイド化合物、2,2’−アゾビス(4−メトキシ−2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオニトリル)、2,2’−アゾビス(2−メチルブチロニトリル)、1,1’−アゾビス(シクロヘキサン−1−カルボニトリル)、1−[(1−シアノ−1−メチルエチル)アゾ]ホルムアミド、ジメチル2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオネート)、4,4’−アゾビス(4−シアノバレリックアシッド)、2,2’−アゾビス(2,4,4−トリメチルペンタン)、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1’−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス{2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]ジサルフェートジハイドレート、2,2’−アゾビス{2−[1−(2−ヒドロキシエチル)−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン]}ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(1−イミノ−1−ピロリジノ−2−メチルプロパン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス(2−メチルプロピオンアミジン)ジハイドロクロライド、2,2’−アゾビス[N−(2−カルボキシエチル)−2−メチルプロピオンアミジン]テトラハイドレート等のアゾ化合物を用いることができる。上記分子量調節剤としては、n−ドデシルメルカプタン、オクチルメルカプタン、t−ブチルメルカプタン、チオグリコール酸、チオリンゴ酸、チオサリチル酸等のメルカプタン類、ジイソプロピルキサントゲンジスルフィド、ジエチルキサントゲンジスルフィド、ジエチルチウラムジスルフィド等のスルフィド類、ベンジルジチオベンゾエート、2−シアノプロピルジチオベンゾエート、3−クロロ−2−ブテニルジチオベンゾエート、S−(チオベンゾイル)チオグリコール酸、クミルジチオベンゾエート等のジチオカルボン酸エステル類、ヨードホルム等のハロゲン化炭化水素、ジフェニルエチレン、p−クロロジフェニルエチレン、p−シアノジフェニルエチレン、α−メチルスチレンダイマー、イオウ等を用いることができる。過酸化物の分解を促進させるための還元剤としては、ハイドロサルファイト、ロンガリット、亜硫酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸第一鉄、アスコルビン酸、アニリン等を用いることができる。上記重合禁止剤としては、フェノチアジン、2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェノール、2,2’−メチレンビス(4−エチル−6−t−ブチルフェノール)、トリス(ノニルフェニル)フォスファイト、4,4’−チオビス(3−メチル−6−t−ブチルフェノール)、N−フェニル−1−ナフチルアミン、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)、2−メルカプトベンズイミダゾール、ハイドロキノン、N,N−ジエチルヒドロキシルアミン等を用いることができる。
本発明のソープレスアクリルエマルジョンは、必要に応じて、疎水化セルロース、ポリカルボン酸塩、会合型ノニオン界面活性剤、ポリアルキレンオキサイド、ポリサッカライド、ヘクトライト、クレーなどの増粘剤、ポリイソシアネート化合物、エポキシ樹脂、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物、ヒドラジン誘導体、シラン化合物などの硬化剤、シリカ、クレー、アルミペースト、酸化チタン、炭酸カルシウムなどの無機充填材、濡れ剤、可塑剤、凍結防止剤、造膜助剤等を配合して、塗料、コーティング剤、バインダー、トナー、接着剤、プライマー、シーリング剤として使用することができる。
本発明で得られるソープレスアクリルエマルジョンは、従来のアクリルエマルジョンに含有された多量の従来型乳化剤を著しく低減できるため、耐水性、付着性、接着性が著しく改良されたアクリルエマルジョン系コーティング剤、塗料、接着剤、トナー、キャパシター電極用バインダー、繊維処理剤等の製造を可能にする。
本発明をより具体的に説明するため以下に実施例を示すが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本発明の重合体の数平均分子量Mn、重量平均分子量Mw及び分子量分布Mw/Mnは、東ソー(株)製GPC8220により次の条件で測定した(溶離液=テトラヒドロフラン、流速=1.0ml/min、カラム温度=40℃、ピーク検出=示差屈折計、充填カラム=TSK−gel(登録商標、以下同じ)G7000Hxl/GMHxl/GMHxl/G3000Hxl/ガードカラムH−L、分子量計算=ポリスチレン換算)。重合中のモノマー転化率は、島津製作所ガスクロマトグラフGC−17A(GLサイエンス社製キャピラリーカラムNEUTRABOND−5、水素炎イオン化検出器)を用い、ベンゼンを標準物質として算出した。
アクリルエマルジョンの粒子径は、レーザー回折/散乱式粒度分布計LA−920((株)堀場製作所製)を用いて測定した。
アクリルエマルジョンの耐水性評価は、以下の方法で行った。黒色ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂)板にドクダーブレードを用いて約0.25mmの厚みとなるように固形分約45wt%に調整したポリマーエマルジョンを塗布後、常温で約2時間放置後、オーブン中90℃で10分乾燥した。この試験片を40℃の水中に2日間浸漬後、エマルジョンポリマー塗膜の状態から以下の通り判定した。
○:塗膜の白化及び水膨れ等が殆ど見られない。
△:塗膜の白化又は水膨れが少し見られる。
×:塗膜の白化又は水膨れ等が顕著である。
アクリルエマルジョンの各種基材への接着性,付着性評価は、以下の方法で行った。黒色ABS(アクリロニトリル/ブタジエン/スチレン樹脂)板にドクダーブレードを用いて約0.25mmの厚みとなるように固形分約45wt%に調整したポリマーエマルジョンを塗布後、常温で約2時間放置後、オーブン中80℃で20分乾燥した。この試験片を常温で2日間静置した後、塗面上に2ミリ間隔で素地に達する100個の碁盤目をカッターナイフで作り、その上にセロハン粘着テープを密着させて180°方向に引き剥がし、残存した塗膜の割合(%)から付着性、接着性を評価した。
実施例1
コンデンサー冷却管と三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオリンゴ酸0.40g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.35g、ベンゼン0.50g及びアセトン40.00gを仕込んで溶解後、メタクリル酸メチル30.00g、スチレン5.00g、及びメタクリル酸5.00gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃のオイルバスで加熱して重合し、親水基含有アクリル系ランダム共重合体(メタクリル酸メチル/スチレン/メタクリル酸ランダム共重合体)のアセトン溶液を得た。27時間後の各モノマーの重合転化率は97%以上だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは34000、重量平均分子量Mwは68000であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液(上記仕込組成から計算したカルボキシル基濃度3.60wt%)6.00g、及びジエチルアミノエタノール0.57g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水40.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、メタクリル酸メチル30.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.0wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。メタクリル酸メチルの重合転化率は96.4%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Aを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。
平均粒径は106nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.72wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Aに濡れ剤として0.5wt%のオルフィンEXP.4036(日信化学工業製)を添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例2
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、実施例1で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液7.00g、ノニオン乳化剤エソミンT−25(ライオン製)0.50g、及びジエチルアミノエタノール0.67g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水45.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、メタクリル酸メチル20.00g、アクリル酸エチル10.00g、スチレン5.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.0wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら7時間重合した。各モノマーの重合転化率は全て96%以上であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Bを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤1.3wt%)。
平均粒径は110nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.72wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Bに濡れ剤として0.5wt%のオルフィンEXP.4036(日信化学工業製)を添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例3
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、実施例1で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液6.00g、ノニオン乳化剤ニューコール740(日本乳化剤製)0.40g、及びトリエチルアミン0.49g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水45.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレート30.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約8.5wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。2,2,2−トリフルオロエチルメタクリレートの重合転化率は98.6%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Cを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。
平均粒径は110nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.67wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Cに濡れ剤として0.5wt%のオルフィンEXP.4036(日信化学工業製)を添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例4
コンデンサー冷却管と三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオグリコール酸0.40g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.35g、ベンゼン0.50g及びメチルエチルケトン40.00gを仕込んで溶解後、メタクリル酸メチル20.00g、メタクリル酸イソボロニル5.00g、アクリル酸エチル5.00g、スチレン5.00g、及びメタクリル酸5.00gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、65℃のオイルバスで加熱して重合し、親水基含有アクリル系ランダム共重合体(メタクリル酸メチル/メタクリル酸イソボロニル/アクリル酸エチル/スチレン/メタクリル酸ランダム共重合体)のメチルエチルケトン溶液を得た。12時間後の各モノマーの重合転化率は95%以上だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは33000、重量平均分子量Mwは67000であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のメチルエチルケトン溶液(上記仕込組成から計算したカルボキシル基濃度3.48wt%)7.00g、及びトリエチルアミン0.56g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水45.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、メタクリル酸メチル20.00g、アクリル酸エチル10.00g、スチレン5.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.0wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。各モノマーの重合転化率は98%以上であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、メチルエチルケトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Dを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。
平均粒径は115nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.70wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Dに濡れ剤として1wt%のメチルセロソルブを添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例5
攪拌機を備えた200ml耐圧容器に、実施例4で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体(メタクリル酸メチル/メタクリル酸イソボロニル/アクリル酸エチル/スチレン/メタクリル酸ランダム共重合体)のメチルエチルケトン溶液7.00g、及びジエチルアミノエタノール0.65g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水45.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、内部を窒素置換し、メタクリル酸メチル20.00g、スチレン5.00g、ブタジエン10.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.4ml仕込んだ(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.0wt%)。攪拌しながら、65℃で20時間重合した。各モノマーの重合転化率はほぼ100%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターでメチルエチルケトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Eを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。
平均粒径は110nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.70wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Eに濡れ剤として1wt%のメチルセロソルブを添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例6
コンデンサー冷却管と三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオリンゴ酸0.60g、4,4‘−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.35g、ベンゼン0.50g及びアセトン35.00gを仕込んで溶解後、メタクリル酸メチル30.00g、スチレン5.00g、及びアクリル酸3.00gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃のオイルバスで加熱して重合し、親水基含有アクリル系ランダム共重合体(メタクリル酸メチル/スチレン/アクリル酸ランダム共重合体)のアセトン溶液を得た。27時間後の各モノマーの重合転化率は97%以上だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは34000、重量平均分子量Mwは69000であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液(上記仕込組成から計算したカルボキシル基濃度3.89wt%)6.00g、及びジエチルアミノエタノール0.62g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水45.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、メタクリル酸メチル30.00g、アクリル酸n−ブチル5.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約8.1wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。各モノマーの重合転化率は98%以上であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Fを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。
平均粒径は105nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.67wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Fに濡れ剤として1wt%のメチルセロソルブを添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
実施例7
コンデンサー冷却管と三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、チオグリコール酸0.50g、4,4’−アゾビス(4−シアノペンタン酸)0.30g、ベンゼン0.50g及びアセトン40.00gを仕込んで溶解後、メタクリル酸シクロヘキシル30.00g、スチレン5.00g、及びアクリル酸4.00gを添加し、凍結−脱気−融解を2回繰返して十分脱気した後、窒素雰囲気下、マグネチックスターラーで攪拌しながら、60℃のオイルバスで加熱して重合し、親水基含有アクリル系ランダム共重合体(メタクリル酸シクロヘキシル/スチレン/アクリル酸ランダム共重合体)のアセトン溶液を得た。27時間後の各モノマーの重合転化率は97%以上だった。
GPCにより測定した生成ポリマーの数平均分子量Mnは26000、重量平均分子量Mwは51000であった。
続いて、三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液(上記仕込組成から計算したカルボキシル基濃度3.16wt%)6.00g、ノニオン乳化剤エソミンT−25(ライオン製)0.40g、及びジエチルアミノエタノール0.50g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水40.00gを添加し、混合することにより、親水基含有アクリル系ランダム共重合体のミセルを形成させた。続いて、メタクリル酸シクロヘキシル25.00g、スチレン5.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.05g、及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.9wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に3.00wt%過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。各モノマーの重合転化率は97%以上であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ソープレスアクリルエマルジョン−Gを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤1.2wt%)。
平均粒径は110nmであり、安定性の高いエマルジョンであった(エマルジョン中のポリマーに対するカルボキシル基量は約0.56wt%)。
得られたアクリルエマルジョン−Gに濡れ剤として0.5wt%のオルフィンEXP.4036(日信化学工業製)を添加し、耐水性を評価した結果、判定は○、即ち、塗膜の白化及び水脹れは殆ど見られなかった。接着性,付着性評価の結果は100%、即ち、塗膜の剥離は見られなかった。
比較例1
200mlガラスフラスコに、実施例1で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液6.00g、及びジエチルアミノエタノール0.57g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んで混合後、攪拌下ゆっくり純水40.00gを添加し、混合した後、ロータリーエバポレーターでアセトンを留去した。三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、上記の水溶液を移液し、メタクリル酸メチル30.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した(仕込モノマーに対する親水基含有アクリル系ランダム共重合体の添加量は約9.00wt%)。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら6時間重合した。メタクリル酸メチルの重合転化率は90.1%であり、塊状のスケールが多量発生した。エマルジョン部分を回収し、ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、及び水分を留去し、ポリメタクリル酸メチルエマルジョンを得た(固形分45wt%,従来型乳化剤0wt%)。平均粒径は176nmであり、500nm以上の大粒子も存在し、エマルジョン安定性は実施例よりも劣った。エマルジョン安定性が悪かったため、耐水性を評価するに値しなかった。
比較例2
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.00g及び純水35.00gを仕込、溶解した後、メタクリル酸メチル28.00g、n−ドデシルメルカプタン0.10g及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加した。1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら5時間重合した。メタクリル酸メチルの重合転化率は98.1%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、及び水分を留去し、ポリメタクリル酸メチルエマルジョンを得た(固形分45wt%、エマルジョン中のポリマーに対する従来型乳化剤の含量は約3.5wt%)。
平均粒径は106nmであり、安定性の高いエマルジョンであった。
得られたポリメタクリル酸メチルエマルジョンの耐水性の判定は×、即ち、塗膜の白化及び水脹れが顕著だった。接着性,付着性評価の結果は75%、即ち、塗膜の25%が剥離した。
比較例3
三方コックを備えた200mlガラスフラスコに、実施例1で合成した親水基含有アクリル系ランダム共重合体のアセトン溶液6.00g、及びジエチルアミノエタノール0.57g(上記溶液に含まれるカルボキシル基の1.02当量)を仕込んだ後、攪拌下、ラウリル硫酸ナトリウム1.20wt%水溶液40.00gをゆっくり添加し、混合した。これに、メタクリル酸メチル30.00g、ベンゼン0.15g、n−ドデシルメルカプタン0.10g及び3.00wt%過硫酸カリウム水溶液0.2mlを添加し、1L/分の流量で窒素を15分流して十分脱気した後、マグネチックスターラーで攪拌しながら、50℃のオイルバスで加熱を開始した。2時間毎に上記過硫酸カリウム水溶液を0.2ml添加しながら5時間重合した。メタクリル酸メチルの重合転化率は98.6%であり、スケールの発生は見られなかった。ロータリーエバポレーターで未反応モノマー、アセトン及び水分を留去し、ポリメタクリル酸メチルエマルジョンを得た(固形分45wt%、エマルジョン中のポリマーに対する従来型乳化剤の含量は約4.3wt%)。
平均粒径は96nmであり、安定性の高いエマルジョンであった。
得られたポリメタクリル酸メチルエマルジョンの耐水性の判定は×、即ち、塗膜の白化及び水脹れが顕著だった。接着性,付着性評価の結果は67%、即ち、塗膜の33%が剥離した。

Claims (7)

  1. 親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体、及び2wt%以下の従来型乳化剤を含有することを特徴とするソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン。
  2. 親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体が、親水基含有ラジカル重合性モノマーと、アクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーとを共重合して得られる共重合体であることを特徴とする請求項1記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン。
  3. 親水基含有ラジカル重合性モノマーが、メタクリル酸、アクリル酸、マレイン酸、無水マレイン酸、マレイン酸エステル、無水シトラコン酸、フマル酸、フマル酸エステル、スチレンスルホン酸、ビニル安息香酸、ビニル酢酸から選択されるモノマーであることを特徴とする請求項2に記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン。
  4. 親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体のゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)で求めた数平均分子量が500〜60000であることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかの項に記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョン。
  5. 親水性溶剤の存在下、親水基を含有する水不溶性のアクリル系ランダム共重合体を用いてアクリル系モノマー又はアクリル系モノマー及びアクリル系モノマーと共重合可能なラジカル重合性モノマーを水中に乳化させ、ラジカル開始剤を加えて乳化重合することを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョンの製造法。
  6. 親水性溶剤が、アセトン、メチルエチルケトン、テトラヒドロフラン、イソプロパノール、メトキシエタノール、エタノール、メタノールから選択される少なくとも1種以上の溶剤であることを特徴とする請求項5に記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョンの製造法。
  7. 請求項1〜請求項4のいずれかの項に記載のソープレスアクリル系ポリマーエマルジョンを含むことを特徴とする塗料、コーティング剤、バインダー、トナー、接着剤、プライマー、シーリング剤。
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