JP3907936B2 - 燃料電池用加湿装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば中空糸膜を利用した水透過型の燃料電池用加湿装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池自動車等に搭載される燃料電池には、固体高分子電解質膜の両側にアノード電極とカソード電極とを備えた電極膜構造体と、この電極膜構造体の両側にそれぞれ反応ガスを供給するためのガス通路を形成するとともに電極膜構造体を両側から支持するセパレータと、を積層して構成したものがある。
【0003】
この燃料電池では、アノード電極に燃料用反応ガスとして水素ガスを供給し、カソード電極に酸化剤用反応ガスとして酸素あるいは空気を供給して、これらガスの酸化還元反応にかかる化学エネルギを直接電気エネルギとして抽出するようになっている。
つまり、アノード側で水素ガスがイオン化して固体高分子電解質中を移動し、電子は、外部負荷を通ってカソード側に移動し、酸素と反応して水を生成する一連の電気化学反応による電気エネルギを取り出すことができるようになっている。
【0004】
ところで、この燃料電池にあっては、固体高分子電解質膜が乾燥してしまうと、イオン伝導率が低下し、エネルギ変換効率が低下してしまう。したがって、良好なイオン伝導を保つために個体高分子電解質膜に水分を供給する必要がある。
このため、この種の燃料電池には、燃料用反応ガスおよび酸化剤用反応ガスを加湿して供給し、固体高分子電解質膜に水分を供給して、良好な反応を維持させる加湿装置が設けられている。
【0005】
この種の加湿装置としては、例えば、特開平8−273687号公報に開示されているように、膜厚方向に水蒸気の透過を許容する中空糸膜を備えた水透過型の加湿装置が知られている。
図8は、従来の加湿装置を備えた燃料電池システムの構成図である。酸化剤用反応ガスとしての外気はスーパーチャージャー81によって加圧され、酸化剤反応ガス用配管82を介してカソード側加湿装置80Aに供給され、カソード側加湿装置80Aにおいて加湿されて燃料電池(以下、FCスタックという)83のカソード電極に供給される。そして、カソード電極に供給された空気中の酸素が酸化剤として用いられた後、オフガスとしてFCスタック83から排気される。FCスタック83での反応時に発生した水分を含むオフガスは、FCスタック83からオフガス用配管84を介してカソード側加湿装置80Aに送られ、カソード側加湿装置80Aにおいてオフガス中の水蒸気が酸化剤用反応ガスへ受け渡され、その後、排気されるようになっている。
【0006】
また、燃料用反応ガスとしての水素ガスは燃料供給用ガス配管85を介してアノード側加湿装置80Bに供給され、アノード側加湿装置80Bにおいて加湿されてFCスタック83のアノード電極に供給される。そして、アノード電極に供給された水素ガスの一部が燃料として用いられ、酸化還元反応に供される。水素ガスはその一部が反応に供された後、オフガスとなってFCスタック83から排出される。
【0007】
ところで、固体高分子電解質膜はイオン水和効果によって固体高分子電解質膜を境にして水分濃度の高い側から低い側に水蒸気を透過させる性質を有している。前述したようにカソード電極側を流れるオフガスは、反応時に発生した水分を含むためアノード電極側を流れるオフガスよりも水分濃度が高くなるが、前記イオン水和効果によりカソード電極側を流れるオフガス中の水分が水蒸気となって固体高分子電解質膜を透過して、アノード電極側を流れるオフガス中に拡散する。したがって、アノード電極側のオフガス中にも水分が含まれている。
このように水分を含むアノード電極側のオフガスは、FCスタック83からオフガス用配管86を介してアノード側加湿装置80Bに送られ、アノード側加湿装置80Bにおいてオフガス中の水蒸気が燃料用反応ガスへ受け渡され、その後、排気されるようになっている。
【0008】
ここで、カソード側加湿装置80A,アノード側加湿装置80Bの主要構成である加湿モジュールについて、図7を参照して説明する。
加湿モジュール30は、円筒状のハウジング31の内部に、水蒸気透過膜(水透過膜)からなる多数のチューブ状の多孔質の中空糸膜32を束ねたものが収納されており、中空糸膜32の両端部を束ねる仕切部材33が、中空糸膜32の外表面同士および中空糸膜32の外表面とハウジング31の内周面とを気密に結合する。ハウジング31の一端側は入口ヘッド34に連結されており、他端側は出口ヘッド35に連結されている。また、ハウジング31の外周部であって両仕切部材33よりも内側にはガス入口孔36aとガス出口孔36bが設けられており、ガス入口孔36a,ガス出口孔36bは、それぞれハウジング31の外周面に沿って設けられた入口環状カバー37a,出口環状カバー37bの内部環状通路に連通している。
【0009】
そして、この加湿モジュール30では、反応ガスは入口環状カバー37aの内部環状通路に供給され、ガス入口孔36aからハウジング31内に導入され、ハウジング31内の中空糸膜32の間を通ってガス出口孔36bから出口環状カバー37bの内部環状通路に流出し、一方、オフガスは入口ヘッド34に供給され、入口ヘッド34からハウジング31に供給されて中空糸膜32の中空部に入り、この中空部を通ってハウジング31の他端側から出口ヘッド35に流出するようになっている。このように反応ガスとオフガスとを流通させたときに、オフガス中の水分が中空糸膜32を介して反応ガスへ受け渡され、これにより、反応ガスが加湿される。なお、加湿モジュール30の使い方として、中空糸膜32の中空部にオフガスを流し、中空糸膜32の間に反応ガスを流す場合もあるが、このようにしても、オフガス中の水分を中空糸膜32を介して反応ガスに受け渡し加湿することができる。
【0010】
また、カソード側加湿装置80Aあるいはアノード側加湿装置80Bは複数の加湿モジュール30を備える場合もあり、その場合には、反応ガス供給基管を各加湿モジュール30の入口ヘッド34に連通させ、反応ガス排出基管を各加湿モジュール30の出口ヘッド35に連通させ、オフガス供給基管を各加湿モジュール30の入口環状カバー37aに連通させ、オフガス排出基管を各加湿モジュール30の出口環状カバー37bに連通させている。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
従来は、カソード側加湿装置80Aとアノード側加湿装置80Bをそれぞれ別々にユニット化して設けていたが、これでは設置スペースが大きくなるという問題があった。これに対処するに、両加湿装置80A,80Bを一つのユニットにまとめることによって設置スペースの縮小化を図るという考え方がある。
この場合、カソード側加湿用およびアノード側加湿用の加湿モジュール30の全てをその長手方向が互いに平行になるように配置し、全ての加湿モジュール30の入口ヘッド34、出口ヘッド35の端面を同一面に揃えて配置させようと考えるのが一般的である。
【0012】
ところで、加湿モジュール30には、反応ガス供給用通路と反応ガス排出用通路とオフガス供給用通路とオフガス排出用通路の4つの通路を接続する必要があり、カソード側加湿用の加湿モジュール30とアノード側加湿用の加湿モジュール30を一ユニット化した場合には、その倍の8つの通路をユニットに接続する必要がある。
【0013】
しかしながら、前述のように全ての加湿モジュール30のヘッド34,35の端面を揃えるように配置し、前記8つの通路のうちのいくつかの通路を加湿モジュール30の端面外側において加湿モジュール30の長手方向と直交する方向に同一面上に配列しようとすると通路同士が干渉してうまくいかない場合があった。したがって、このようにうまくいかない場合には、通路を加湿モジュール30の長手方向にずらして配置しなければならなくなるが、そのようにすると、通路を含めたユニット全体における加湿モジュールの長手方向に沿う長さが長くなってしまい、コンパクトに形成できないという問題が生じた。
そこで、この発明は、カソード側加湿用の加湿モジュールとアノード側加湿用の加湿モジュールをコンパクトに一ユニット化することができる燃料電池用加湿装置を提供するものである。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、燃料電池(例えば、後述する実施の形態におけるFCスタック6)に供給される反応ガスと(例えば、後述する実施の形態における空気および水素ガス)前記燃料電池から排出される排気ガス(例えば、後述する実施の形態における空気オフガスおよび水素オフガス)との間で水分を移動させて前記供給ガスを加湿する加湿モジュール(例えば、後述する実施の形態における加湿モジュール30A〜30E)を複数備え、前記燃料電池の両極を各々加湿する燃料電池用加湿装置(例えば、後述する実施の形態における加湿器ユニット20)において、前記複数の加湿モジュールの全てをその長手方向を互いに平行に配置するとともに、前記長手方向の一部において前記全ての加湿モジュールが前記長手方向に直交する同一平面を貫通するように配置し、前記複数の加湿モジュールのうちの一部の加湿モジュール(例えば、後述する実施の形態における水素加湿モジュール30A)の端面を他の加湿モジュール(例えば、後述する実施の形態における水素加湿モジュール30Bおよび空気加湿モジュール30C〜30E)の端面に対して前記加湿モジュールの長手方向に位置をずらして配置して一ユニット化し、このずれにより形成された空間(例えば、後述する実施の形態における空間S)に前記反応ガスまたは前記排気ガスが流通する通路の一部(例えば、後述する実施の形態における空気オフガス排出管43)を前記長手方向と直交させつつ前記一部の加湿モジュールの前記端面に隣接させて設けたことを特徴とする。
また、請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の発明において、前記一部の加湿モジュールの端面を前記他の加湿モジュールの端面から、前記通路の一部を通すのに必要な最小寸法だけ前記長手方向に位置をずらして配置したことを特徴とする。
このように構成することで、燃料電池用加湿装置における加湿モジュールの軸線方向に沿う長さを短くすることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、この発明に係る燃料電池用加湿装置の一実施の形態を図1から図6の図面を参照して説明する。なお、この実施の形態は、燃料電池自動車に搭載される燃料電池用加湿装置に適用した態様である。
初めに、図1を参照して、燃料電池用加湿装置を備えた燃料電池システムの全体構成を説明する。
水素貯蔵タンク1から供給される燃料用反応ガスとしての水素ガスは、水素供給管2、エゼクタ3、水素供給管4を通って加湿器ユニット(燃料電池用加湿装置)20に供給され、加湿器ユニット20において加湿された後、水素供給管5を介して燃料電池(以下、FCスタックという)6のアノード電極に供給される。
【0016】
そして、アノード電極に供給された水素の一部が燃料として用いられ、酸化還元反応に供される。水素ガスはその一部が反応に供された後、オフガス(以下、水素オフガスという)となってFCスタック6から排出され、水素オフガス排出管7を介して加湿器ユニット20に供給され、加湿器ユニット20において前記水素を加湿した後、水素オフガス排出管8に流出する。水素オフガス排出管8に排出された水素オフガスは水素オフガス戻り管9を介してエゼクタ3に供給可能であるとともに、排気弁10を介して排気可能になっている。
エゼクタ3は、水素供給管2からエゼクタ3に供給された水素ガスの流れによって生じる負圧により、水素オフガス戻り管9から導入される水素オフガスを吸引し、水素ガスと水素オフガスの混合ガスを加湿器ユニット20に供給するものである。
【0017】
酸化剤用反応ガスとしての空気はスーパーチャージャー11によって加圧され、空気供給管12を介して加湿器ユニット20に供給され、加湿器ユニット20において加湿された後、空気供給管13を介してFCスタック6のカソード電極に供給される。そして、カソード電極に供給された空気中の酸素が酸化剤として用いられた後、空気はオフガス(以下、空気オフガスという)となってFCスタック6から排出され、空気オフガス排出管14を介して加湿器ユニット20に供給され、加湿器ユニット20において前記空気を加湿した後、空気オフガス排出管15に排出され、圧力制御弁16を介して排気される。なお、圧力制御弁16はFCスタック6内の内圧を調整する弁である。
【0018】
次に、加湿器ユニット20について図2から図6の図面を参照して説明する。
加湿器ユニット20は、水素ガスを加湿するための加湿モジュールと空気を加湿するための加湿モジュールを一カ所にまとめて一ユニット化したものであり、2本の水素加湿用の水素加湿モジュール30A,30Bと、3本の空気加湿用の空気加湿モジュール30C,30D,30Eとを備えている。
加湿モジュール30A〜30Eは全て同寸法、同形状、同一構造をなしており、その構造については図7に示す従来の加湿モジュールと同じであるので、その説明を省略し、以下の説明では図7を援用するものとする。
【0019】
図2は加湿器ユニット20の平面図、図3は同正面図、図4は加湿器ユニット20を左後方斜め上から見た斜視図である。以下、説明の都合上、単に左側(あるいは左方)と言った場合には加湿器ユニット20における左側(あるいは左方)を言うものとし、図2および図3において紙面左側(あるいは左方)を指すものとする。また、単に右側(あるいは右方)と言った場合には加湿器ユニット20における右側(あるいは右方)を言うものとし、図2および図3において紙面右側(あるいは右方)を指すものとする。
【0020】
加湿モジュール30A〜30Eはハウジング31の軸心方向(長手方向)を互いに平行にして配置されており、また、加湿モジュール30A〜30Eはいずれも入口ヘッド34を右側に位置させ、出口ヘッド35を左側に位置させている。
そして、加湿器ユニット20の正面側において水素加湿モジュール30A,30Bが上下に離間して配置されており、背面側において空気加湿モジュール30C,30Dが上下に離間して配置されており、これら加湿モジュール30A,30B,30C,30Dに囲まれた中央部に残る空気加湿モジュール30Eが配置されている。別の言い方をすれば、加湿器ユニット20の上段手前に水素加湿モジュール30Aが配置され、上段奥側に空気加湿モジュール30Cが配置され、下段手前に水素加湿モジュール30Bが配置され、下段奥側に空気加湿モジュール30Dが配置され、加湿モジュール30A〜30Dの間に残る一つの空気加湿モジュール30Eが配置されている。
【0021】
さらに、水素加湿モジュール30Aを除く他の4本の加湿モジュール、すなわち、水素加湿モジュール30Bと空気加湿モジュール30C,30D,30Eは、それらの入口ヘッド34の端面を面一にして配置されており、水素加湿モジュール30Aだけがその入口ヘッド34を他の加湿モジュール30B〜30Eの入口ヘッド34よりも左側にずらして配置されている。換言すれば、水素加湿モジュール30Aだけが他の加湿モジュール30B〜30Eに対して軸線方向(長手方向)左方に位置をずらして配置されている。
【0022】
図5は、図4と同じ方向から見た空気加湿モジュール30C〜30Eの組立斜視図であり、前記空気供給管12は空気加湿モジュール30C〜30Eの軸線方向に沿って左方に水平に延びる空気供給管41に接続され、前記空気供給管13は正面左下に配置されて空気加湿モジュール30C〜30Eの軸線方向に対し直交して手前に延びる空気供給管42に接続され、前記空気オフガス排出管14は正面右上に配置されて空気加湿モジュール30C〜30Eの軸線方向に対し直交して手前に延びる空気オフガス排出管43に接続され、前記空気オフガス排出管15は空気加湿モジュール30C〜30Eの軸線方向に沿って左方に水平に延びる空気オフガス排出管44に接続されている。
【0023】
空気加湿モジュール30C〜30Eにおいては、各入口ヘッド34が同一面上において連通されて入口ヘッドブロック45を構成し、各出口ヘッド35が同一面上において連通されて出口ヘッドブロック46を構成し、各入口環状カバー37aが同一面上において連通されて入口環状カバーブロック47を構成し、各出口環状カバー37bが同一面上において連通されて出口環状カバーブロック48を構成している。
【0024】
空気供給管41は空気加湿モジュール30Eの中心軸と同一高さに位置させて空気加湿モジュール30Eの背後に配置されており、この空気供給管41の先端が入口環状カバーブロック47に連通している。
また、空気オフガス排出管44はその軸中心を空気加湿モジュール30Eの軸中心と同軸上に位置させており、この空気オフガス排出管44の先端が出口ヘッドブロック46に連通している。
空気オフガス排出管43は、その軸中心を空気加湿モジュール30Cの軸中心と同一高さに位置させるとともに、入口ヘッドブロック45と面一に位置させており、この空気オフガス排出管43の先端が入口ヘッドブロック45に連通している。
【0025】
また、出口環状カバーブロック48は、加湿器ユニット20の背面側において空気加湿モジュール30Eの軸中心と同一高さで水平に延びる空気オフガス排出管49に連通しており、空気オフガス排出管49は加湿器ユニット20の左方に向かって延びた後、出口ヘッドブロック46と干渉しない位置において下方に曲がり、さらに空気供給管41および空気オフガス排出管44と干渉しない位置において加湿器ユニット20の手前方向に曲がって空気供給管42に接続されている。空気供給管42は出口ヘッドブロック46のすぐ左脇を通っている。
【0026】
図6は、加湿器ユニット20を左手前斜め上から見た水素加湿モジュール30A,30Bの組立斜視図であり、前記水素供給管4は水素加湿モジュール30A,30Bの軸線方向に沿って左方に水平に延びる水素供給管50に接続され、前記水素供給管5は正面右下に配置されて水素加湿モジュール30A,30Bの軸線方向に対し直交して手前に延びる水素供給管51に接続され、前記水素オフガス排出管7は正面左上に配置されて水素加湿モジュール30A,30Bの軸線方向に対し直交して手前に延びる水素オフガス排出管52に接続され、前記水素オフガス排出管8は水素加湿モジュール30A,30Bの軸線方向に沿って左方に水平に延びる水素オフガス排出管53に接続されている。
【0027】
ところで、前述したように、水素加湿モジュール30Aは水素加湿モジュール30Bよりも左方にずらして配置されているので、入口ヘッド34同士、出口ヘッド35同士、入口環状カバー37a同士、出口環状カバー37b同士をそれぞれ同一面上で連結することができない。
そのため、水素加湿モジュール30A,30Bの各出口ヘッド35からは出口管54が軸線方向左方に延出しており、両出口管54,54が上下方向に延びる連結管55によって連結され、連結管55の略中央に前記水素供給管53が接続され連通している。
また、水素加湿モジュール30A,30Bの各入口環状カバー37aは、水素加湿モジュール30A,30Bの背面側において両加湿モジュール30A,30Bの高さ方向略中央で連結されており、この連結部56に水素供給管50の先端が接続され連通している。
【0028】
さらに、水素加湿モジュール30A,30Bの各入口ヘッド34同士は、水素加湿モジュール30A,30Bの正面側において両加湿モジュール30A,30Bの高さ方向略中央で連結されており、この連結部57に、水素加湿モジュール30A,30Bの正面側で水平に延びる水素オフガス排出管58の右端が接続され、この水素オフガス排出管58の左端が水素加湿モジュール30Aの出口ヘッド35の真下において加湿器ユニット20の手前斜め上方に曲がって水素オフガス排出管52に接続されている。
そして、水素加湿モジュール30A,30Bの各出口環状カバー37bは、水素加湿モジュール30A,30Bの正面側において両加湿モジュール30A,30Bの高さ方向略中央で連結されており、この連結部59は水平に右方に延びて、水素加湿モジュール30Bの入口ヘッド34とほぼ面一になる位置で加湿器ユニット20の手前斜め下方に曲がって水素供給管51に接続されている。
【0029】
この加湿器ユニット20では、前述の如く空気加湿モジュール30C〜30Eの出口ヘッドブロック46のすぐ左脇を通る空気供給管42は、図3に示すように、空気加湿モジュール30Bの出口ヘッド35のすぐ左脇を通っている。これは、空気加湿モジュール30Bを空気加湿モジュール30C〜30Eと軸線方向同一位置に配置したことによる。また、図3および図4に示すように、空気供給管42は、空気加湿モジュール30A,30Bの出口管54,54の間を挿通するとともに水素供給管50の下側を通っており、これらと干渉しないように配置されている。
【0030】
図3に示すように、加湿器ユニット20の左側において、水素オフガス排出管52と空気供給管42は同一垂直面上に上下に並んで配置されている。このように配置しても空気供給管42と水素オフガス排出管52が干渉しないようにするために、水素オフガス排出管52に連なる水素オフガス排出管58の左端を、前述の如く加湿器ユニット20の手前斜め上方に曲げているのである。
【0031】
一方、空気オフガス排出管43は、図3および図4に示すように、水素加湿モジュール30Aの入口ヘッド34のすぐ右脇を通って、加湿モジュール30Aに隣接させている。つまり、空気オフガス排出管43は、水素加湿モジュール30Aを他の加湿モジュール30B〜30E(この実施の形態では特に空気加湿モジュール30C〜30E)に対して軸線方向(長手方向)左方にずらして配置したことにより形成される空間Sを挿通している。逆に言えば、空気オフガス排出管43を通すのに必要な最小寸法だけ、水素加湿モジュール30Aを他の加湿モジュール30B〜30Eに対して軸線方向左方にずらして配置したのである。
【0032】
そして、加湿器ユニット20の右側において、空気オフガス排出管43と水素供給管51は同一垂直面上に上下に並んで配置されている。このように配置しても空気オフガス排出管43と水素供給管51が干渉しないようにするために、水素加湿モジュール30A,Bの出口環状カバー37b,37bを連結する連結部59の右端を、前述の如く加湿器ユニット20の手前斜め下方に曲げているのである。
【0033】
このように構成された加湿器ユニット20においては、水素加湿モジュール30Aを他の加湿モジュール30B〜30Eに対して軸線方向左方にずらして配置したことにより形成される空間Sに、空気オフガス排出管43を配置しているので、水素オフガス排出管52および空気供給管42の左側端面から空気オフガス排出管43および水素供給管51の右側端面までの軸線方向長さL(図2参照)を短くすることができ、水素加湿モジュール30A,30Bと空気加湿モジュール30C〜30Eとを一まとめにしてなる加湿器ユニット20を小型化することができる。これは、燃料電池自動車の車内等、搭載スペースの小さい場所に設置するのに特に有効である。
【0034】
もしも、水素加湿モジュール30Aを水素加湿モジュール30Bおよび空気加湿モジュール30C〜30Eと軸線方向位置を同じに配置した場合には、空気オフガス排出管43と水素加湿モジュール30Aの入口ヘッド34との干渉を避けるために、空気オフガス排出管43を図3における位置よりもさらに右側にずらさなければならなくなり、その分だけ前記L寸法を大きくせざるを得なくなる。したがって、この実施の形態の加湿器ユニット20の方がL寸法を短くすることができ、加湿器ユニット20をコンパクト化することができるといえる。
【0035】
尚、この発明は前述した実施の形態に限られるものではない。例えば、加湿モジュールの数は複数あれば5本に限られるものではなく、4本以下であってもよいし、あるいは6本以上であってもよい。
【0036】
【発明の効果】
以上説明してきたように、請求項1および請求項2に記載した発明によれば、燃料電池用加湿装置における加湿モジュールの軸線方向に沿う長さを短くすることができるので、燃料電池用加湿装置をコンパクトにすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明に係る燃料電池用加湿装置を備えた燃料電池のシステム構成図である。
【図2】 前記実施の形態における加湿器ユニットの平面図である。
【図3】 前記加湿器ユニットの正面図である。
【図4】 前記加湿器ユニットの斜視図である。
【図5】 前記加湿器ユニットにおける空気加湿モジュールとこれに連通する通路の斜視図である。
【図6】 前記加湿器ユニットにおける水素加湿モジュールとこれに連通する通路の斜視図である。
【図7】 加湿モジュールの断面図である
【図8】 従来の燃料電池用加湿装置を備えた燃料電池のシステム構成図である。
【符号の説明】
6・・・FCスタック(燃料電池)
20・・・加湿器ユニット(燃料電池用加湿装置)
30A・・・水素加湿モジュール(一部の加湿モジュール)
30B・・・水素加湿モジュール(他の加湿モジュール)
30C〜30E・・・空気加湿モジュール(他の加湿モジュール)
43・・・空気オフガス排出管(通路の一部)
S・・・空間
Claims (2)
- 燃料電池に供給される反応ガスと前記燃料電池から排出される排気ガスとの間で水分を移動させて前記供給ガスを加湿する加湿モジュールを複数備え、前記燃料電池の両極を各々加湿する燃料電池用加湿装置において、
前記複数の加湿モジュールの全てをその長手方向を互いに平行に配置するとともに、前記長手方向の一部において前記全ての加湿モジュールが前記長手方向に直交する同一平面を貫通するように配置し、前記複数の加湿モジュールのうちの一部の加湿モジュールの端面を他の加湿モジュールの端面に対して前記加湿モジュールの長手方向に位置をずらして配置して一ユニット化し、このずれにより形成された空間に前記反応ガスまたは前記排気ガスが流通する通路の一部を前記長手方向と直交させつつ前記一部の加湿モジュールの前記端面に隣接させて設けたことを特徴とする燃料電池用加湿装置。 - 前記一部の加湿モジュールの端面を前記他の加湿モジュールの端面から、前記通路の一部を通すのに必要な最小寸法だけ前記長手方向に位置をずらして配置したことを特徴とする請求項1に記載の燃料電池用加湿装置。
Priority Applications (2)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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