JP3907479B2 - コンベヤベルトおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンベヤベルト、特に搬送面および駆動面の表面特性に優れたコンベヤベルトと、その製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般的に、コンベヤベルトは、帆布あるいはコードなどの芯体が接着ゴムとともに形成された芯体層と、該芯体層の上下両面に積層され、合成ゴムあるいは天然ゴムを主成分とするゴム組成物より形成されてなるカバーゴム層とを備えて構成される。そして、斯かる構成のコンベヤベルトは、所定形状に形成された芯体層の上下両面に、未加硫のゴム組成物からなるゴムシートを積層しておき、これを熱盤で挟み加熱加圧することによって架橋および硬化(本発明において、「加硫」という)させて製造される。
【0003】
熱盤によって挟む際には、該熱盤とコンベヤベルトとの間に離型剤を添加しておくことが必要であり、該離型剤によって圧力と熱により加硫した製品、即ちコンベヤベルトを、熱盤からスムーズに引き離すことができる。
離型剤としては、粉末状のタルク、液状のシリコン材料、固体のパラフィン材料などが使用される。
また、最近では、非常に薄い布材料(帆布あるいは不織布)を熱盤と接触するカバーゴム層に敷設しておき、加硫後そのまま製品の一部とする方法も検討されている。
【0004】
しかしながら、離型剤としてタルクを使用した場合には、コンベヤベルト表面に、タルク粉の流動付着による波状又は斑点状の汚れが生じて全体に光沢がなくなり、コンベヤベルトの外観が損なわれるという問題がある。また、離型剤として液状のシリコン材料を使用した場合には、コンベヤベルト表面に残ってべたつき、粉塵付着等による外観不良を生じやすいという問題がある。また、固体のパラフィン材料を使用した場合には、熱盤に徐々に堆積した付着物の跡が、ベルト表面に付着したり、凹部を形成して外観を悪くするという問題がある。
【0005】
さらに、布材料を使用して製品の一部とした場合には、材料費や成形・加硫費等のコストが高くなるほか、しわやそりといった外観不良が生じやすいという不具合がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
そこで本発明は、斯かる問題点に鑑み、このような離型剤による汚れ、表面凹凸および流れムラなどによってベルト外観を損なうことのない、搬送性および駆動性に優れたコンベヤベルトを提供すること、およびその製造方法を提供することを課題とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
そこで本発明は、芯体層の上下にカバーゴム層を積層一体化してなるコンベヤベルトにおいて、加硫前に、未加硫カバーゴム層の表面に短繊維を付着させることにより、カバーゴム層の表面に短繊維が含有されていることを特徴とする。
【0008】
さらに、本発明は、芯体層の表裏両面に未加硫ゴムシートからなるカバーゴム層を積層してコンベヤベルト成形体とし、該コンベヤベルト成形体に熱盤を圧接して加硫するコンベヤベルトの製造方法において、熱盤を圧接する前に、コンベヤベルト成形体の未加硫カバーゴム層の表面に短繊維を付着させることによりコンベヤベルト成形体の熱盤と接触する面に予め短繊維を含有させておくことを特徴とする。
た、本発明は、短繊維を含有させる方法が、コンベヤベルト成形体の未加硫カバーゴム層の表面に短繊維を付着させる方法であることを特徴とし、さらに、未加硫カバーゴム単位表面積当たりの短繊維の付着量を、1〜300g/m2とすることを特徴とする。
【0009】
本発明に係るコンベヤベルトによれば、カバーゴム層の表面に短繊維が含有されているため、カバーゴム層に内包された揮発分やカバーゴム層と熱盤との間に封じ込められるエヤ−等が該短繊維をつたって抜けやすくなり、エヤ−膨れや離型破れが生じなくなるので、コンベヤベルトの外観が良好となり、搬送性およびプーリ巻き掛け駆動性が良好となる。
【0010】
また、本発明に係るコンベヤベルトの製造方法によれば、カバーゴム層用のゴム組成物を作製する際に、芯体層の上下に未加硫ゴムシートを積層した後カバーゴム層表面に短繊維を付着させてカバーゴム層の表面に短繊維を含有させるものであるため、製造工程をほとんど変えることなく、しかも材料費の上昇も少なく、外観の良好なコンベヤベルトを得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るコンベヤベルトの製造方法およびコンベヤベルトについての実施の形態を示し、本発明について詳細に説明する。
【0012】
コンベヤベルトの一形態として、例えば、図1に示したように、表カバーゴム層12と裏カバーゴム層13とを備え、さらに、該表カバーゴム層および裏カバーゴム層13に挟まれた芯体層11を備えたものである。そして、表カバーゴム層12および裏カバーゴム層13には、短繊維14が含有されてなる。
【0013】
表カバーゴム層12および裏カバーゴム層13を構成する原料ゴムとしては、例えば、天然ゴム、BR(ポリブタジエンゴム)、SBR(スチレン・ブタジエンゴム)などのゴム、あるいはこれらのブレンド物を挙げることができる。
【0014】
また、芯体層11は、搬送物や走行抵抗によってベルトにかかる張力を担うものであり、図1(a)に示すような帆布11aと接着ゴム11cとからなるものや、図1(b)に示すようなスチールコード11bと接着ゴム11cとからなるものが例示できる。帆布としては、ポリエステル繊維、ナイロン(ポリアミド)繊維、アラミド繊維等が使用される。そして、帆布を使用する場合にはRFL(レゾルシン・ホルマリン・ラテックス)等で接着処理をし、スチールコードを使用する場合には該スチールコードをメッキ等で処理した後、該帆布11aの両面、又はスチールコード11bの配置間および両面に介在させる接着ゴム11cとともに芯体層11として前記表カバーゴム層12および前記裏カバーゴム層13に加硫接着される。
【0015】
短繊維14の材質としては特に限定されず、例えばポリエステル短繊維、ナイロン(ポリアミド系合成繊維)短繊維、アラミド短繊維、セルロース短繊維などの有機高分子繊維や、炭化珪素、チタン酸カリウムなどの無機繊維が例示でき、これら1種又は2種以上を混合したものを用いることができる。
【0016】
た、短繊維14としては、繊維径が概ね10〜1000μmであり、繊維長が概ね0.1〜10mmのものをいうが、前記カバーゴム層12又は13への分散性が良好で、しかもエヤ−膨れや離型破れのない外観が得られるという観点から、繊維径が20〜500μmのものを用いることが好ましい。
【0017】
該コンベヤベルト1の製造方法として好ましい実施形態は、帯状に成形されたコンベヤベルト各層の素材を積層し、コンベヤベルト成形体1を製造する第1工程と、該コンベヤベルト成形体を熱盤を備えたプレス装置へ導入し、該熱盤によって加圧加熱して未加硫のゴム組成物を加硫する第2工程とを備えてなる。
【0018】
第2工程で使用される加硫プレス装置としては、コンベヤベルト成形体1を挟むように配された一対の平らな熱盤を備え、該熱盤によってコンベヤベルト成形体1を所定長さ毎に順次送って加圧加熱するものや、或いは、コンベヤベルト成形体1を巻き掛けるように配された加熱ドラム(熱盤)を備え、該加熱ドラムの背面からスチールベルトを圧接することによってコンベヤベルト成形体1を連続的に加圧加熱するものなどが挙げられる。斯かるプレス装置を用いてコンベヤベルト成形体1は、例えば140〜160℃、3〜20kg/cm2で10〜60分間、加熱加圧された状態に保持されて加硫され、芯体層11と表裏カバーゴム層12、13とが一体化され、コンベヤベルトとなる。
【0019】
そして、本実施形態に係る製造方法では、第2工程で熱盤によって上述のように加硫する前、即ち第1工程において、熱盤と接触する表カバーゴム層12および裏カバーゴム層13の表面に、予め短繊維14を含有させる。
【0020】
カバーゴム層12、13の表面に短繊維14を含有させる具体的方法としては、前記カバーゴム層用のゴム組成物を作製する際、短繊維を含有しないゴム組成物を用いて芯体層11の上下にカバーゴム層12、13を積層して未加硫のコンベヤベルト成形体1を成形した後、該カバーゴム層12、13の表面に短繊維14を付着させる方法が好ましい。
【0022】
また、短繊維14を、カバーゴム層の表面に付着させる場合には、カバーゴム層の単位表面積当たりに、短繊維14の付着量が1〜300g/m2となるように付着させることが好ましい。短繊維14の付着量が1g/m2を下回ると、カバーゴム層と熱盤との間の短繊維の介在量が不足し、該短繊維による外観改善効果が不十分となり、エヤ−膨れや離型時の表面むしれが発生する虞がある。また、短繊維14の付着量が300g/m2を上回ると、ベルトの表面層がクッション性、耐引きかき性、搬送物の付着防止性能といったカバーゴム層としての機能を損なう虞があるため、好ましくない。
【0023】
カバーゴム層12、13の表面に短繊維14を付着させる方法としては、該短繊維14を物理的に塗布する方法や、静電気を利用して付着させる方法などによって行うことができる。
【0024】
このように、コンベヤベルト成形体1を加硫する際に、熱盤と接触するカバーゴム層12、13表面に短繊維14を含有させることにより、主に、カバーゴム内の揮発ガス分や熱盤とカバーゴム層表面の間に密封されたエヤ−を短繊維に沿って逃がすという作用により、ベルト表面にゴム膨れや凹部が生じることなく、離型剤によるむら汚れが生じないので、コンベヤベルトの外観が良好なものとなる。
【0026】
尚、前記実施形態では、コンベヤベルトの表裏両面に短繊維を添加する方法を説明したが、本発明はこれに限定されず、表裏一方の面にのみ短繊維を含有させてもよい。
【0027】
また、表カバーゴム層や裏カバーゴム層となゴム組成物には、例えば、カーボンブラック、シリカなどの補強剤、炭酸カルシウム、タルクなどの充填剤、加硫剤、加硫促進剤、可塑剤、老化防止剤、加工助剤など、ゴム配合で一般に使用される配合剤を必要に応じて混合される。
【0028】
【実施例】
以下、本発明に係るコンベヤベルトの実施例と、参考例と、比較例とを示すことにより、本発明についてさらに詳細に説明する。
【0029】
参考例1
表1に示したような配合の原料ゴム、配合剤およびナイロン短繊維(繊維径20μm、繊維長1mm)を、バンバリーミキサーに混練りしてゴム組成物を得、該ゴム組成物をカレンダーロールに通し、3mm厚のカバーゴム用シートを形成した。次いで、2本のローラからなるベルト成形機のローラ間に、防錆と接着用亜鉛メッキを施したスチールコード(7×7 6.1mmφ)を12mm間隔で幅方向に並べて供給し、スチールコードの上方に接着ゴムシートと表カバーゴム層用ゴムシートを供給し、スチールコードの下方に接着ゴムと裏カバーゴム層用シートを供給し、成形ローラで加圧して未加硫のコンベヤベルト成形体を形成した。そして、上記コンベヤベルト成形体を加硫プレス装置に供給し、145℃で45分間加圧加熱することによって加硫し、参考例1のコンベヤベルトを作製した。
【0030】
比較例1
ナイロン短繊維を混合しないことを除き、他は参考例1と同様にして比較例1のコンベヤベルトを作製した。
【0031】
実施例1
ナイロン短繊維を混合せずに、前記参考例1と同様にしてゴム組成物を得、これを用いて同様にコンベヤベルト成形体を作製した。
さらに、ナイロン短繊維(同上)の付着量が50g/m2となるように、前記コンベヤベルト成形体の表裏両面に塗布し押圧ローラで押圧して付着させた後、該コンベヤベルト成形体を加硫プレス装置に供給し、145℃で45分間加圧加熱することによって加硫し、実施例のコンベヤベルトを作製した。
【0032】
比較例2
コンベヤベルト成形体表面にナイロン短繊維を付着させる代わりに、離型剤としてタルク(100g/m2)を付着させる点を除き、他は実施例と同様にして比較例2のコンベヤベルトを作製した。
【0033】
尚、前記実施例および比較例においては、下記の各原材料を用いた。
天然ゴム…RSS#3(タイ産)。BR…ポリブタジエンゴムBR01(JSR(株)製)。ナイロン(ポリアミド系合成繊維)短繊維…1mm長(東レ(株)製)。HAFカーボンブラック…シースト3(東海カーボン(株)製)。アロマ系オイル…JSR AROMA(JSR(株)製)。ステアリン酸…ステアリン酸(新日本理化(株)製)。酸化亜鉛…亜鉛華3種(堺化学工業(株)製)。老化防止剤…アンチゲン6C(住友化学工業(株)製)。ミクロクリスタリンワックス…サンタイト(精工化学(株)製)。硫黄…粉末硫黄(細井化学工業(株)製)。加硫促進剤…ノクセラーCZ(大内新興化学工業(株)製)。
【0034】
【表1】
Figure 0003907479
【0035】
得られたコンベヤベルトの外観を目視によって観察したところ、参考例1および実施例1のベルト表面には凹凸による欠点の発生がなく、コンベヤベルトの外観が良好であった。これに対し、比較例1および2のコンベヤベルト表面には、ゴム膨れ(ぶく)、離型剤流動むら、凹み(あばた)といった多くの凹凸が発生した。
【0036】
【発明の効果】
以上のように、本発明に係るコンベヤベルトによれば、加硫時の離型剤の流動むらや、熱盤との間に密封されるエヤ−による凹凸や汚れのない外観に優れたものとなる。また、本発明に係るコンベヤベルトの製造方法によれば、熱盤を用いて架橋する際の表面への悪影響を有効に防止し、上記のような優れた外観を有するコンベヤベルトを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 コンベヤベルトの形態を示した断面図で、(a)は芯体層が帆布と接着ゴムとからなる場合を示し、(b)は芯体層がスチールコードと接着ゴムとからなる場合を示す。
【図2】 本発明に係るコンベヤベルトの実施形態を示した断面図。
【符号の説明】
1…コンベヤベルト、11…芯体層、11a…帆布、11b…スチールコード、11c…接着ゴム、12…表カバーゴム層、13…裏カバーゴム層、14…短繊維

Claims (3)

  1. 芯体層の上下にカバーゴム層を積層一体化してなるコンベヤベルトにおいて、加硫前に、未加硫カバーゴム層の表面に短繊維を付着させることにより、カバーゴム層の表面に短繊維が含有されていることを特徴とするコンベヤベルト。
  2. 芯体層の表裏両面に未加硫ゴムシートからなるカバーゴム層を積層してコンベヤベルト成形体とし、該コンベヤベルト成形体に熱盤を圧接して加硫するコンベヤベルトの製造方法において、熱盤を圧接する前に、コンベヤベルト成形体の未加硫カバーゴム層の表面に短繊維を付着させることによりコンベヤベルト成形体の熱盤と接する面に予め短繊維を含有させることを特徴とするコンベヤベルトの製造方法。
  3. 未加硫カバーゴム単位表面積当たりの短繊維の付着量を、1〜300g/m2とすることを特徴とする請求項2記載のコンベヤベルトの製造方法。
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