JP3907468B2 - タンポン - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、膣腔に挿入されて使用され経血を吸収保持するタンポンに関し、更に詳しくは膣腔への挿入操作が容易であり且つ経血の漏れを防止し得るタンポンに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
特開昭56−112244号公報には、経血の吸収効率を高め、また使用者に違和感を与えないことを目的として、柱状体からなるタンポンの径方向断面を楕円形に成形することが記載されている。
【0003】
しかしこのタンポンでは、その全表面が膣腔内壁に接触するので、接触面積が高く膣腔挿入時に大きな抵抗力が生じてしまう。また、このタンポンの断面形状は、その長手方向及び短手方向の何れにおいても対称形となっているが、膣腔の断面形状は対称形ではないことから、膣腔内壁への密着性が十分に高いとは言えず、経血の漏れが発生するおそれがある。
【0004】
従って、本発明は、膣腔への挿入操作が容易であり且つ経血の漏れを防止し得るタンポンを提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、挿入方向に沿って多数の条溝が形成されており、挿入方向と直交する方向での断面形状が扁平であり、扁平な該断面形状は、該断面形状における短手方向に平行な方向に対称軸を有しており該対称軸に関し対称形であり且つ長手方向に平行な方向には対称軸を有しておらず非対称形であるタンポンであって、
該タンポンの挿入方向後端面及び該後端面に連なる後端部側面が、液不透過性シートによって被覆されていると共に、該後端部の側面全周を被覆する該液不透過性シートが、該タンポンの該断面形状における下面側において更に先端部へ向けて延出しているタンポンを提供することにより前記目的を達成したものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下本発明を、その好ましい実施形態に基づき図面を参照しながら説明する。図1には本発明のタンポンの第1の実施形態の斜視図が示されており、図2には図1におけるII−II線断面図が示されており、図3には図1に示すタンポンの側面図が示されている。本実施形態のタンポン1は、細長い扁平の形状をしている。タンポン1は、挿入方向の先端に位置する曲面状の先端部2、挿入方向の後端に位置する後端部3、及び先端部2と後端部3との間に位置する中間部4とから構成されている。後端部3からは、引き出し用紐5が延出している。先端部2、後端部3及び中間部4は一体的になっている。
【0008】
タンポン1は吸水性の材料から構成されている。吸水性の材料としては、高吸水性のコットン繊維、例えば脱脂されたコットン繊維、レーヨン繊維又はこれらの混合物などが用いられる。これらの繊維は、吸液性能の点からその繊度が1〜5デニール程度であることが好適である。その繊維長は、繊維の脱落防止の点から20mm以上、特に30mm以上であることが好適である。またタンポン本体2の構成材料として、少量の疎水性繊維が含まれていてもよい。
【0009】
タンポン1は、これら吸液性材料からなるシート材を複数枚重ねロール状に巻き上げた後に所定の扁平断面形状となるように圧縮成形して得られたものである。このシート材の坪量は40〜100g/m2程度である。
【0010】
タンポン1はその表面全体に亘り、挿入方向に沿って多数の条溝6,6,・・が形成されている。条溝6は、タンポン1の周方向に所定間隔を置いて規則的に形成されている。条溝6は、タンポン1のほぼ全長に亘って連続して形成されている。タンポン1の表面に条溝6を形成することで、該表面に凹凸形状が形成され、タンポン1を膣腔へ挿入するときに膣腔内壁との接触面積が低減し、挿入抵抗が低減する。その結果、タンポン1をスムーズに膣腔内へ挿入できる。
【0011】
タンポン1は、その挿入方向と直交する方向での断面形状が扁平となっている。詳細には図2に示すように、タンポン1は前記断面形状において長手方向Lとこれに直交する短手方向Sとを有している。そして、前記断面形状は、短手方向Sに平行な方向に対称軸を有しており該対称軸に関して対称形となっている。一方、長手方向Lに平行な方向には対称軸を有しておらず非対称形となっている。タンポン1のこのような断面形状は膣腔の断面形状に近い形状であることから、膣腔内に挿入された状態のタンポン1は膣腔内壁と良く密着するようになり、経血の漏れが効果的に防止される。タンポン1の前記断面形状が長手方向Lに関して非対称になっていることで、その上下方向がわかり易くなりタンポン1の挿入時に上下方向の向きを間違えることが防止されるという利点もある。向きを間違えずに挿入することは、タンポン1の性能をその設計通りに発現させる点から重要である。
【0012】
タンポン1の前記断面形状においては、長手方向Lにおける幅L1は25〜50mm程度であり、短手方向における幅L2は5〜20mm程度であることが、挿入操作をスムーズにする観点から好ましい。同様の理由により、L1:L2=10:1〜5:4であることが好ましい。更に同様の理由により、条溝6の深さは1〜3mm程度で、隣り合う条溝6間の距離は2〜5mm程度であることが好ましい。
【0013】
特に本実施形態においては、図2に示すように、タンポン1の前記断面形状における長手方向に沿う上面U及び下面Bが同じ方向に湾曲している。具体的には上面U及び下面Bが何れも下向きの凸面となっている。このような断面形状によって、挿入状態のタンポン1は膣腔内壁と一層良く密着するようになり、経血の漏れが一層効果的に防止される。本実施形態においては、図2中、上面Uが使用者の身体の前側に位置し、下面Bが身体の後ろ側に位置するようにタンポン1を挿入する。従って、タンポン1の挿入状態において経血が排泄されると、該経血は下向きの凸面となっている上面Uに沿って後端部3へ向けて拡散する。経血は拡散しながらタンポン1に吸収される。従って前記断面形状を有するタンポン1においては、タンポン1の全長に亘って経血を効率良く吸収することができる。
【0014】
図1に示すように、タンポン1における挿入方向後端面R及び該後端面Rに連なる後端部3の側面全周は、液不透過性シート7によって被覆されている。後端部3の側面全周を被覆する液不透過性シート7は、下面B側において更に先端部2へ向けて延出している。これらによって、経血の漏れが一層防止される。この理由は次の通りである。通常、タンポンはその挿入状態において、図3に示すように後端部3から先端部2へ向けて斜めに上方へ傾いた状態となっている。従って、タンポンに吸収された経血は、重力の作用によって流下してタンポンの後端部3や下面Bに集中し易くなる。経血はこれらの部位から滲み出やすくなり、体の外に漏れ出すことになる。これに対して本実施形態のタンポン1においては、挿入方向後端面R及び該後端面Rに連なる後端部3の側面全周が液不透過性シート7によって被覆されているので、経血の漏れが防止される。その上、後端部3の側面全周を被覆する液不透過性シート7が、下面B側において更に先端部2へ向けて延出しているので、経血の漏れが一層防止される。
【0015】
液不透過性シート7としては、例えばポリエチレンやポリプロピレン等の各種熱可塑性樹脂のフィルムを用いることができる。液不透過性シート7は、接着剤を用いた接着や熱融着等の公知の接合手段によってタンポン1の表面に接合されている。
【0016】
本実施形態のタンポン1は、アプリケータを用いなくても挿入操作を容易に行い得るが、挿入操作を一層容易にするためにアプリケータ付きタンポンとして使用してもよい。図4には、本実施形態のタンポン1を収容した状態のアプリケータ10の斜視図が示されている。アプリケータ10は、共に筒状の部材である外筒12及び内筒13を備えている。外筒12及び内筒13は、例えばプラスチック製であるか、又はプラスチックがコート若しくはラミネートされた板紙製である。外筒12の内部にタンポン1(図示せず)が収容されている。タンポン1における引き出し用紐5は、内筒13内を通ってアプリケータ10の外部に延びている。
【0017】
外筒12は、大径部12Aと、該大径部12Aに連接し且つ該大径部12Aよりも小径である小径部12Bとから構成されている。そして、大径部12A側がアプリケータ10の前側になる。外筒12は、その前後両端に開口部16,17を有している。後端開口部17には、その周縁にフランジ19が形成されている。一方、前端開口部16は放射状のスリットから構成されている。このスリットによって前端開口部16には多数の片部18が形成されている。片部18は変形可能な程度の可撓性を有している。タンポン1の膣腔内への挿入時においては、タンポン1が後述する内筒13によって後方から押され、押されたタンポン1が片部18を押し開き外筒12の外部へ出る。
【0018】
外筒12における大径部12Aは、その横断面、即ち挿入方向と直交する方向での断面形状が、タンポン1の前記断面形状と相似形となっている。これによって、外筒12内に収容されたタンポン1を、該外筒12から膣腔内へ挿入する操作を極めてスムーズに行うことができる。また、振動や衝撃等の外力によって、収容状態のタンポン1がアプリケータ内で位置ずれを起こすことも防止される。
【0019】
内筒13は細長い棒状で、その横断面が円形である。内筒13は、その前後両端に開口部を有している。内筒13の外径は、外筒12における小径部12Bの内径と一致しているか又は若干小くなっている。内筒13は、外筒12の後端開口部17に摺動可能に挿入される。そして内筒13は、タンポン1を後方から押して外筒13の前端開口部16から押し出すことが可能となっている。内筒13の前端開口部には、その周縁にフランジ(図示せず)が形成されている。内筒13が外筒12から引き出された状態にあるときに、フランジは、外筒12における大径部12Aと小径部12Bとの連接部に係止される。これによって、外筒12からの内筒13の引き抜きを防止している。
【0020】
図4に示すアプリケータ10においては、外筒12における大径部12Aの表面に、アプリケータ10挿入方向に沿って多数の条溝14が形成されているので、該アプリケータ10を膣腔内へ挿入するときに膣腔内壁との接触面積が低減し、挿入抵抗が低減する。その結果、アプリケータ10をスムーズに膣腔内へ挿入できる。またアプリケータ10の断面形状がタンポン1の断面形状と相似形なので、タンポン1をアプリケータ10内に収容するときの上下方向が一意に定まる。従って、タンポン1の挿入時に上下方向の向きを間違えることが防止される。
【0021】
次に、本発明の第2の実施形態について図5を参照しながら説明する。本実施形態については、第1の実施形態と異なる点についてのみ説明し、特に説明しない点については、第1の実施形態に関して詳述した説明が適宜適用される。また、図5において、図1〜図4と同じ部材に同じ符号を付してある。
【0022】
図5に示す第2の実施形態においては、タンポン1の断面形状における長手方向に沿う上面U及び下面Bが互いに反対方向に湾曲している。具体的には上面Uは上向きの凸面となっており、下面Bは下向きの凸面となっている。また、上面U及び下面Bは、これらの面を何れも曲面で近似したときに、上面Uの曲率の方が下面Bの曲率よりも小さくなるように形成されている。このような断面形状を有することによって、該断面形状は、第1の実施形態と同様に、短手方向Sに関して対称形となり、長手方向Lに関して非対称形となる。その結果、本実施形態のタンポンも、膣腔内壁と良く密着するようになり、経血の漏れが効果的に防止される。尚、図5には図示していないが、本実施形態のタンポンにおいても、第1の実施形態のタンポンと同様に、挿入方向後端面及び該後端面に連なる後端部の側面全周が液不透過性シートによって被覆されていると共に、後端部の側面全周を被覆する液不透過性シートが、下面B側において更に先端部へ向けて延出している。
【0023】
尚、本実施形態においては、曲率の小さい上面Uが使用者の身体の前側に位置し、曲率の大きい下面Bが身体の後ろ側に位置するようにタンポンを挿入する。
【0024】
本発明は前記実施形態に制限されない。例えば、前記実施形態においては、条溝6は、タンポン1のほぼ全長に亘って連続に形成されていたが、これに代えて不連続の条溝を形成してもよく、或いはタンポン1の長手方向の一部分にのみ形成してもよい。
【0025】
【発明の効果】
本発明のタンポンによれば、膣腔内壁との接触面積が低減し、挿入抵抗が低減するので、タンポンの膣腔内への挿入をスムーズに行うことができる。また、断面形状が膣腔の断面形状に近い形状なので、膣腔内に挿入された状態のタンポンが膣腔内壁と良く密着するようになり、経血の漏れが効果的に防止される。特に使用者の身体の後ろ側に位置するタンポンの下面が、下向きの凸面になっていると、膣腔内壁と一層良く密着するようになる。更に、上下面が非対称な形状なので、タンポンの挿入時に上下方向の向きを間違えることが防止される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のタンポンの第1の実施形態を示す斜視図である。
【図2】図1におけるII−II線断面図である。
【図3】図1に示すタンポンの側面図である。
【図4】図1に示すタンポンが収容されたアプリケータを示す斜視図である。
【図5】本発明のタンポンの第2の実施形態を示す断面図(図2相当図)である。
【符号の説明】
1 タンポン
2 前端部
3 後端部
6 条溝
7 液不透過性シート
10 アプリケータ
U 上面
B 下面
L 長手方向
S 短手方向
R 後端面
Claims (6)
- 挿入方向に沿って多数の条溝が形成されており、挿入方向と直交する方向での断面形状が扁平であり、扁平な該断面形状は、該断面形状における短手方向に平行な方向に対称軸を有しており該対称軸に関し対称形であり且つ長手方向に平行な方向には対称軸を有しておらず非対称形であるタンポンであって、
該タンポンの挿入方向後端面及び該後端面に連なる後端部側面が、液不透過性シートによって被覆されていると共に、該後端部の側面全周を被覆する該液不透過性シートが、該タンポンの該断面形状における下面側において更に先端部へ向けて延出しているタンポン。 - 扁平な前記断面形状における上下面が同じ方向に湾曲している請求項1記載のタンポン。
- 上下面が何れも下向きの凸面になっている請求項2記載のタンポン。
- 扁平な前記断面形状における上下面が互いに反対方向に湾曲している請求項1又は2記載のタンポン。
- 上面が上向きの凸面になっており、下面が下向きの凸面になっている請求項4記載のタンポン。
- 上面及び下面を曲面で近似したときに、上面の曲率の方が下面の曲率よりも小さくなっている請求項5記載のタンポン。
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