JP3907366B2 - シートリフタ - Google Patents

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【0001】
【技術分野】
本発明は、ハンドルを操作することにより、シートが昇降するシートリフタに関する。
【0002】
【従来技術及びその問題点】
自動車、鉄道車両などの乗り物用、劇場用、その他様々な用途の座席には、座席のシートクッションの高さを調節するシートリフタを備えたものがある。この種のシートリフタは、ハンドルを回転操作して着座者の所望する高さにシートクッションを昇降させるものが多いが、ハンドルを操作したときにはシートに昇降動作を行わせ、ハンドルの操作を行っていないときにはシートクッションに負荷がかかってもその高さを変化させないように保持させるブレーキ機構が設けられる。ブレーキ機構には、シートクッションに負荷がかかったときにコイルばねの径を大きくさせてドラム状の内壁面(環状壁)に圧接させるタイプのものがあり、このコイルばねが環状壁に圧接するまでのレスポンスやその圧接力によってブレーキ性能が決定される。
【0003】
ハンドルの回転を減速機構で十分に減速してシートを昇降させるタイプのシートリフタでは、ハンドルの単位回転量あたりのシートの昇降量が小さいため、シートクッションに負荷が作用してからブレーキ機構のコイルばねが環状壁に圧接してブレーキが利き始めるまで若干の遅れがあってもシートクッションの移動量は少なくて済む。しかし、このような減速機構を設けない、あるいはハンドル操作に対する減速比が小さいタイプのシートリフタでは、ブレーキ作動が遅れたときのシートクッションの移動量が大きくなってしまうので、迅速かつ確実に作動するブレーキが要求される。
【0004】
【発明の目的】
本発明は、上記問題点に鑑みてなされたもので、ハンドル操作をせずにシートに負荷がかかったときに、迅速かつ確実にシートの動作を規制することが可能なシートリフタを得ることを目的とする。
【0005】
【発明の概要】
本発明のシートリフタは、中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;このハンドルの中立位置と正方向移動端との間の往復動作、及び中立位置と逆方向移動端との間の往復動作により正方向と逆方向の回転を与えられる第1の回転体;この第1の回転体と同軸で、シートの昇降動作と連動して回転する第2の回転体;第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び、一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;を備え、ハンドルを操作していない状態においてシートに負荷が作用したときには、第2の回転体に作用する回転力により小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制し、シートの昇降動作を規制し、ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して第2の回転体の回転が許されてシートが昇降されることを特徴としている。
【0006】
このようにハンドルの中立位置からの正逆方向への往復移動によりシートを昇降させるタイプのシートリフタでは、ハンドル操作回数が多くなって操作性が悪くなるおそれがあるため、大きな減速比の減速機構を設けにくい。従って、前述したように、作動が早くて強力なブレーキが要求されるが、以上の構成によれば、ハンドル操作をせずにシートクッションに負荷が作用した場合に、断面角形のコイルばねが迅速かつ確実に環状壁に圧接して強力な制動力が得られるので、シートの移動を抑えることができる。
【0007】
本発明のシートリフタはまた、中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;このハンドルの回転軸を中心として回転可能な第1の回転体;この第1の回転体と同軸で該第1の回転体に対し相対回転可能に支持され、周方向において対向する一対の径方向壁面を有する第2の回転体;この第2の回転体の回転をシートの昇降動作に変換させるリフト機構;ハンドルと第1の回転体の間に設けられ、該ハンドルの中立位置からの正逆の移動端への回転は第1の回転体に伝達し、該ハンドルの正逆の移動端から中立位置への回転は第1の回転体に伝達しないラチェット機構;第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び、一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;を備え、ハンドルを操作していない状態においてシートに負荷が作用したときには、第2の回転体に作用する回転力により小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制してシートの昇降動作を規制し、ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して第2の回転体の回転を許され、第1の回転体と共に第2の回転体が回転されてリフト機構を介してシートが昇降されることを特徴としている。
【0008】
このシートリフタのラチェット機構は、第1の回転体に固定され、ハンドルに対して相対回転可能に支持されたハンドル軸;このハンドル軸に固定されたラチェットホイール;ハンドルを回転したときに、このハンドル軸を中心とする公転動作を行い、かつその公転軌跡を中心として揺動可能な第1と第2のポール;この第1と第2のポールに形成され、このラチェットホイール外周部のラチェット歯に噛合する爪部;第1のポールに形成した爪部は、該第1のポールが正方向に公転を行ったときにはその移動力をラチェット歯に伝達させてラチェットホイールを回転させ、逆方向に公転を行ったときにはラチェット歯にその移動力を伝達させないこと;第2のポールに形成した爪部は、該第2のポールが正方向に公転を行ったときにはラチェット歯にその移動力を伝達させず、逆方向に公転を行ったときにはその移動力をラチェット歯に伝達させてラチェットホイールを回転させること;この爪部がラチェット歯に噛合する揺動位置に第1と第2のポールを付勢するポール付勢手段;及び、ハンドルを正逆に回転させたときに、該ハンドル回転に伴って公転する第1と第2のポールのうち、ラチェットホイールに対して移動力を伝達しない側のポールを、その爪部とラチェット歯との噛合が解除される位置まで揺動させるポール退避機構;を備えることが好ましい。
【0009】
本発明のシートリフタはまた、中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;このハンドルの回転軸を中心として回転可能な第1の回転体;この第1の回転体と同軸で該第1の回転体に対し相対回転可能に支持され、周方向において対向する一対の径方向壁面を有する第2の回転体;この第2の回転体の回転をシートの昇降動作に変換させるリフト機構;ハンドルと第1の回転体の間に設けられ、ハンドルを操作していないときは該ハンドルと第1の回転体の機械的接続を解除し、ハンドルを中立位置から正方向の移動端側と逆方向の移動端側に回転操作したときに該ハンドルを第1の回転体と機械的に接続させて第1の回転体を正方向と逆方向に回転させるハンドル連動制御機構;第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び、一端部が第2の回転体に係止され、他端部が第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;を備え、ハンドルを操作していない状態においてシートに負荷が作用したときには、第2の回転体に作用する回転力により小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制してシートの昇降動作を規制し、ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して第2の回転体の回転を許し、第1の回転体と共に第2の回転体が回転されてリフト機構を介してシートが昇降されることを特徴としている。この態様のシートリフタによれば、ハンドルの非操作時には、ハンドルとリフト機構の機械的接続が解除されているために強力なブレーキ機構が要求されるが、ブレーキ用のコイルばねの断面形状が角形であるため、シートクッションに負荷が作用した場合に該コイルばねが迅速に拡径して環状壁に圧縮して強力な制動力を得ることができる。
【0010】
ハンドル連動制御機構は、第1の回転体に固定された、同軸のラチェットホイールを有するハンドル軸;このハンドル軸に対し回転可能に設けられ、かつ該ハンドル軸と操作入力部を結んだ中間部においてハンドルが枢着されたベースプレート;ハンドルに形成した、ハンドル軸が孔形成方向に移動可能かつ回転可能に嵌合する長孔;ハンドルを挟むように配設され、その中間部がベースプレートに回転可能に取り付けられ、一方の端部側にラチェットホイールの歯に噛合可能な歯が形成され、他方の端部側はハンドルが当接可能な第1と第2のポール;及び、該第1と第2のポールの歯がラチェットホイールより離れる方向に付勢する付勢手段;を備え、ハンドルを操作していないときは、付勢手段により、第1と第2のポールの歯がラチェットホイールの歯と噛合せずにハンドルとハンドル軸の連動が遮断され、ハンドルを回転操作したときには、長孔の端部にハンドル軸が当接するまで該ハンドルがベースプレートに対して回転すると共に、該ハンドルによって第1あるいは第2のポールが押圧されてその歯がラチェットホイールと噛合し、長孔の端部にハンドル軸が当接した後は、該ハンドル軸を中心としてハンドルがベースプレート共に回転し、このハンドルの回転がラチェットホイールと噛合された第1あるいは第2のポールを介して該ラチェットホイールに伝達されてハンドル軸が回転されるように構成することが好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
図1ないし図11を参照して、本発明の一実施形態にかかるシートリフタを説明する。図1は、自動車の車室内に配置された座席の概略を示す側面図である。この座席は着座者の尻部を支えるシートクッション1と、着座者の背部を支えるシートパック2とを有しており、シートクッション1は、その骨格をなすシートクッションフレームを有していて、シートリフタのハンドル3を回動操作することにより、後述するようにその高さを調節される。
【0012】
シートクッション1は、シートトラック4を介して車体のフロアパネル5に支持されており、このシートトラック4は、フロアパネル5に固定されたロアレール4Aと、該ロアレール4Aに沿ってその長手方向に摺動自在に組付けられたアッパレール4Bとを有し、そのアッパレール4Bにシートクッション1が後述する如く支持されている。アッパレール4Bをロアレール4Aに対して摺動させることにより、シートクッション1をその前後方向(図1の左右方向)に調節動させることができる。
【0013】
図2ないし図4は、図1に示したハンドル3の回動によって回転駆動されるピニオン6と、そのピニオン6の回転をシートクッション1の昇降動作に変換するリフト機構7の一例と、リフタ支持体8とを示す側面図であり、これらの図には、ハンドル3と、その回転をピニオン6に伝える後述する伝動機溝の図示は省略してある。また、図2ないし図4に示したリフト機構7の大半と、リフタ支持体8と、ピニオン6と、ハンドル3の回転をピニオン6に伝える伝動機構は、これらの図に示していないカバーによって覆われ、ハンドル3が図1に示すようにカバーの外部に露出している。
【0014】
図2ないし図4に示したリフタ支持体8は、金属板又は硬質樹脂アレートなどの剛体より成り、このリフタ支持体8がシートクッションフレームの一部を構成している。ピニオン6は、後述する要素を介してリフタ支持体8に回転可能に支持されている。
【0015】
リフタ支持体8には、ピニオン6に噛み合うセクターギヤ状のラック11が支持軸10を介して回動可能に支持されている。また、図1に示したシートトラツク4のアッパレール4Bには、第1及び第2の支持リンク12,13の基端側がピン14,15を介してそれぞれ回動可能に支持され、これらの支持リンク12,13の自由端側はピン16,17を介してリフタ支持体8に回動可能に連結されている。さらに、上述のラック11と第2の支持リンク13には、ピン18,19を介して連結リンク20の各端部がそれぞれ回動可能に連結されている。
【0016】
図2はシートクッション1が上下方向の中間位置を占めたときの状態を示し、図3はシートクッション1が最上位の位置を、また図4は当該シートクッション1が最下位の位置を占めたときの様子をそれぞれ示している。
【0017】
図1に示したハンドル3は、その基部3Aと、該基部3Aからその半径方向に延びた把手部3Bとを有するレバー状に形成され、着座者がその把手部3Bを掴んでハンドル3を回動操作することができる。例えば、シートクッション1が図2に示した中間位置にあるとし、この状態でハンドル3を第1の方向(図1の例では矢印Aで示す時計方向)に回動操作すると、その回転が後述するようにピニオン6に伝えられ、そのピニオン6も第1の方向A(図2の時計方向)に回転する。このため、ラック11は、支持軸10を中心として図2における反時計方向に回転し、連結リンク20を図2の左方向に移動させる。これにより、第1及び第2の支持リンク12,13が、その各基端側を中心として反時計方向に回動し、図3に示すように、これらの支持リンク12,13に連結されたリフタ支持体8、すなわちシートクッション1の全体が上昇する。
【0018】
一方、シートクッション1が図2に示した中間位置にある状態で、図1に示したハンドル3を、第1の方向と逆の第2の方向(図1の例では矢印Bで示した反時計方向)に回動操作すると、図2に示したピニオン6も第2の方向B、すなわち反時計方向に回転する。これによってラック11は支持軸10を中心として、図2における時計方向に回動し、連結リンク20は図2における右方に移動する。これによって、第1及び第2の支持リンク12,13は、その基端側を中心として時計方向に回動し、これによって図4に示すようにシートクッション1が下降する。
【0019】
図2ないし図4は、シートクシション1の幅方向(図1ないし図4の紙面に垂直な方向)における一方の側部の構成を示しているが、他方の側部にも、リフタ支持体、上記ラック11と同様に回動する回動体、第1及び第2の支持リンク、その第2の支持リンクと上記回動体に各端部がそれぞれ枢着された連結リンクが設けられている。ラック11は支持軸10の一端に固定され、その支持軸10はリフタ支持体8と他方の側部のリフタ支持体とに回転自在に支持されてシートクッション1の幅方向に長く延び、当該支持軸10の他端に上述の回動体が固定されている。従って、ピニオン6が前述の如く回転することにより、シートクッション1の他方の側部の回動体と、連結リンクと、第1及び第2のリンクは、図2ないし図4に示したラック11と、連結リンク20と、第1及び第2のリンク12,13と同じ動作を行い、これによってシートクッション1は安定状態で上昇又は下降することができる。
【0020】
以上から明らかなように、第1及び第2の支持リンク、ラック、回動体、支持軸及ぴ連結リンクは、ピニオン6の回転をシートクッション1の昇降動作に変換するリフト機構7の一例を構成している。
【0021】
なお、図示した形態以外のリフト機構を適宜採用することもできる。また図2ないし図4に示したシートリフタにおいては、ピニオン6の回転によってシートクッション1が昇降するように構成したが、ピニオン以外の回転体を用い、その回転体の回転をシートクッション1の昇降動作に変換するように構成することもできる。
【0022】
図5は、ハンドル3と、その回転をピニオン6に伝達する伝動機構と、ハンドル3の非操作時にシートクッションを所定の高さ位置に保持させておくためのブレーキ機構9の一例を示す断面図であり、図6はその分解断面図である。ハンドル3からピニオン6までの伝動機構は、該ハンドル3の中立位置からの正逆方向の移動端への回転はハンドル軸21、すなわちピニオン6側へ伝達し、該ハンドル3の正逆方向の移動端から中立位置への回転はハンドル軸21には伝達しないラチェット機構を含んでいる。また、図7は該ラチェット機構を含む伝動機構を図5の右方より見た図であって、その一部の要素を省略し、かつハンドル3を鎖線で表わした図であり、図8は該ラチェット機構を含む伝動機構の一部の要素のそれぞれを示す図である。以下では、まずハンドル3の回転をピニオン6に伝達するための伝動機構を説明し、続いてブレーキ機構9を説明する。
【0023】
図5及び図6に示すように、シートリフタはハンドル軸21を有し、このハンドル軸21は、リフタ支持体8に固定された支持部片8Aと、ブレーキ機構9とを介してリフタ支持体8に対して回転可能に支持されている。ハンドル3には、ハンドルジョイントブラケット22と、ハンドルブラケット23とが、複数のねじ24によって固定されている。ハンドルジョイントブラケット22とハンドルブラケット23は板材より成り、ハンドルブラケット23の中心孔25は、ハンドル軸21に回転自在に嵌合している。このように、ハンドル3は、ハンドルジョイントブラケット22とハンドルブラケット23を介して、ハンドル軸21に対して相対回転可能に、該ハンドル軸21に支持されている。なお、ハンドルジョイントブラケット22とハンドルブラケット23を省き、ハンドル3をハンドル軸21に直に回転自在に支持してもよい。ハンドル3とハンドル軸21は、その共通の回転軸線Xを中心として回転する。
【0024】
またハンドル軸21には、そのハンドル軸21と同心状に配置されたラチェットホイール26が固定され、図2ないし図4に示したピニオン6は、図5に示すようにハンドル軸21と同心状に配置されている。また、前述のブレーキ機構9は、ハンドル軸21の回転がピニオン6を含む回転体(第2の回転体)に伝わることを許容するが、その回転体にハンドル軸以外から回転力が加えられたとき、該回転体が回転することを禁止する働きをなすものであって、その具体的構成は後に詳しく説明する。
【0025】
シートリフタは、さらに薄板より成るガイド部材27を有し、このガイド部材27は、図7及び図8に示すように一対のアーム27Aを有していて、その各アーム27Aが図示していないねじによってリフタ支持体8に不動に固定され、ガイド部材27の中心孔28にハンドル軸21が入り込んでいる。かかるガイド部材27には、図7及び図8に示すように、ハンドル3の回転軸線Xを中心とする円弧状の長孔29が形成され、その長孔29に、第1及び第2のポール30A,30Bをそれぞれ支持した第1及び第2のポール支持部材31A,31Bが当該長孔29に沿って摺動可能に嵌合している。本実施形態のポール支持部材31A,31Bはピンにより構成され、その各先端都が、図5及び図6に示すようにハンドルブラケット23に形成された各孔32A,32B(図8)に嵌合し、ここに固定されている。また第1及び第2のポール30A,30Bは、そのそれぞれに形成された孔33A,33B(図8)が、第1及び第2のポール支持部材31A,31Bに回転自在に嵌合している。このようにして各ポール30A,30Bは、各ポール支持部材31A,31Bに、揺動可能に支持され、このときの揺動中心となる揺動軸線Y1,Y2は、各ポール支持部材31A,31Bの中心軸線となる。
【0026】
上述のように第1及び第2のポール支持部材31A,31Bは、ハンドルブラケット23を介してハンドル3に固定されているが、そのポール支持部材31A,31Bを直にハンドル3に固定してもよく、また第1及び第2のポール30A,30Bをポール支持部材31A,31Bを介することなく、直にハンドル3に揺動可能に支持してもよい。いずれの場合も、図7に示すように、第1及び第2のポール30A,30Bは、その各揺動軸線Y1,Y2がハンドル3の回転軸線Xからその半径方向に距離L1だけ離間して位置し、従って、第1及び第2のポール30A,30Bは、ハンドル3が回動したとき、その回転の中心である回転軸線Xのまわりを公転する。しかも、第1及び第2のポール30A,30Bは、それぞれ自らの揺動軸線Y1,Y2を中心として揺動可能に他の要素を介し、または直接にハンドル3に支持されている。
【0027】
図7に示すように、第1及び第2のポール30A,30Bの各爪部34A,34Bは、ラチェットホイール26の局面の歯35に対し、そのラチェットホイール26の周方向における互いに異なった位置でそれぞれ係合することができる。
【0028】
また、図7及び図8に示すように、前述のガイド蔀材27の外周部にはカム36が形成され、このカム36は、ガイド部材外周部の一部を、これに隣接するガイド部材外周部よりも半径方向に膨出させることにより形成されている。一方、第1及び第2のポール30A,30Bは、カム36を含めたガイド部材27の外周都に摺接する突部37A,37Bを有している。さらに、第1及び第2のポール30A,30Bは、板ばねより成るポール押し込み用のばね(ポール付勢手段)38の付勢作用によって、各ポール30A,30Bの爪部34A,34Bがラチェットホイール26の歯35に確実に係合することができる。その際、第1及び第2のポール30A,30Bは、ばね38の保持部38A,38Bにそれぞれ嵌合して保持されている。
【0029】
図7は、ハンドル3が中立位置にあるときの様子を示しており、このとき第1及び第2のポール30A,30Bの爪部34A,34Bは、上記ばね38の付勢作用によって共にラチェットホイール26の歯35に係合している。しかも各ポール30A,30Bの突部37A,37Bは、カム36を挟んだ状態で、そのカム36に隣接したガイド部材外周部の部分に圧接している。
【0030】
ここで、前述のように、図1に示したシートクッション1を上昇させるべく、ハ'ンドル3を第1の方向A、すなわち図7における時計方向に回動させると、第1及び第2のポール支持部材30A,30Bは、ハンドル3の回転軸線Xのまわりに第1の方向Aに公転する。このため、第1のポール30Aの突部37Aはカム36から離れる向きに移動し、該第1のポール30Aの爪部34Aはラチェットホイール26の歯35に係合したままである。これに対し、第2のポール30Bの突部37Bはカム36に乗り上がるので、その第2のポール30Bはその揺動軸線Y2を中心として図7における時計方向に揺動し、そのポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35から離間し、両者の係合が解除される。つまり、ポール30Bがラチェットホイール26との噛合位置から退避される。
【0031】
第1のポール30Aの爪部34Aはラチェットホイール26の歯35に係合したままであり、かかる第1のポール30Aが第1の方向Aに公転するので、その爪部34Aはラチェットホイール26の歯35に強く噛み合いながら、ラチェットホイール26を第1の方向A、すなわち図7の時計方向に回転させる。このようにラチェットホイール26が回転すると、このラチェットホイール26に固定されたハンドル軸21も同じ第1の方向Aに回転し、この回転は後述する態様でブレーキ機構9を介してピニオン6に伝えられ、その回転によって、図2及び図3を参照して先に説明したようにシートクッション1が上昇する。
【0032】
ハンドル3を360°よりも小なる所定角度、例えば20°ないし30°程第1の方向Aに回動させると、第1のポール支持部材31Aが長孔29の一方の端部29Aに当り、これによってハンドル3のそれ以上の回動が阻止される。このように長孔29の端部29Aはポール支持部材31Aのストッパとしての用をなす。
【0033】
次いで、着座者がハンドル3から手を離すと、後述するリターンスプリング(中立保持機構)の作用で、ハンドル3は、第1及び第2のポール30A,30B及び第1及び第2のポール支持部材31A,31Bと共に、図7に示した中立位置に戻り、このとき、第2のポール30Bの爪部34Bも歯35に係合する。この戻り動作時も、第1のポール30Aの爪部34Aは、ラチェットホイール26の歯35に係合したままであるが、このときは後述するようにその爪部34Aが、ラチェットホイール26の歯35に対して滑り、ラチェットホイール26が第2の方向B、すなわち図7の反時計方向に回転することはない。
【0034】
以上のハンドル3の一方の移動端までの回動操作(往復動作)を行う毎に、シートクッション1は、所定量ずつ上昇して行き、かかる回動操作を繰返すことによって、最終的に図3に示した最上位の位置までシートクッション1を持ち上げることができる。
【0035】
ハンドル3が図7に示した中立位置にある状態から、そのハンドル3を第2の方向B、すなわち図7の反時計方向に回動させると、今度は、第1のポール30Aの突部37Aがカム36に乗り上がるので、その爪部34Aがラチェットホイール26の歯35から離間し、第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35に噛み合って、ラチェットホイール26を第2の方向B(図7の反時計方向)に回転させる。そして、その回転がハンドル軸21及ぴブレーキ機構9を介してピニオン6に伝えられ、これによってシートクッション1ぱ所定量だけ下降する。この場合も、ハンドル3を360°よりも小なる所定角度回動させると、第2のポール支持部材31Bが長孔29の他方の端部29Bに当接し、ハンドル3のそれ以上の回動が禁止される。このハンドル3が移動端にある状態でハンドル3から手を離せば、この場合もリターンスプリングの作用で、ハンドル3は図7に示した中立位置に戻る。再びハンドル3を第2の方向Bに回動させることにより、シートクッション1は所定量下降し、かかる動作を繰返すことによって、シートクッション1を図4に示した最下位の位置まで下降させることができる。
【0036】
上述のように、ハンドル3を360°よりも小なる所定の角度だけ第1又は第2の方向の回動させることにより、すなわちハンドル3を中立位置から正逆方向の移動端まで往復移動させることにより、正逆シートクッション1を上昇又は下降させることができ、その回動操作を繰返すことによって、シートクッション1を最上位又は最下位の位置にもたらすことができる。ハンドル3を一度に大きな角度、例えば360°或いはそれ以上の角度を回転させることなく、シートクッション1を最上位又は最下位の位置に昇降させることができるのである。これにより、着座者は楽にその操作を行うことができる。このようにして、着座者は、シートクッション1を自らが望む高さ位置に調節し、楽な姿勢で座席に着座することができる。
【0037】
上述したところから了解されるように、カム36は、中立位置にあったハンドル3を第1の方向Aに1回転させたとき、それまでラチェットホイール26の歯35に係合していた第1及び第2のポール30A,30Bの爪部34A,34Bのうちの第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35から離間してその係合を解除するように当該第2のポール30Bを揺動させる作用を有する。またカム36は、中立位置にあったハンドル3を第2の方向Bに回転させたとき、それまでラチェットホイール26の歯35に係合していた第1及び第2のポール30A,30Bの爪部34A,34Bのうちの第1のポール30Aの爪部34Aがラチェットホイール26の歯35から離間してその係合を解除するように当該第1のポール30Aを揺動させる作用を有する。すなわち、ハンドル3を中立位置から正逆方向に回転させたときに、ポール30A,30Bのいずれかをラチェットホイール26との噛合位置から退避させるポール退避機構が構成されている。
【0038】
図9は、第1のポール30Aとラチェットホイール26の歯35の係合状態を示す説明図である。第1のポール30Aが、ラチェットホイール26の歯35に係合した状態で、図7に示した位置から第1の方向Aに公転する場合を考えると、このとき、第1のポール30Aの爪部34Aは、ラチェットホイール26の歯35に対して、垂直方向の力Fを加える。このため、爪部34Aは歯35に強く噛み合って、ラチェットホイール26を第1の方向Aに回転させる。逆に第1のポール30Bが第2の方向Bに公転するときは、そのポール30Aの爪部34Aは、矢印Cで示すようにラチェットホイール26の歯35に対し滑るので、ラチェットホイール26は第2の方向Bにも、また第1の方向Aにも回転せず、爪部34Aはラチェットホイール26の歯35を乗り越えながら図7に示した位置に戻ることができる。このような作用が得られるように、第1のポール30Aの揺動軸線Y1とラチェットホイール26の歯35に係合する第1のポール30Aの爪部34Aの相対位置が設定されているのである。
【0039】
同様に、第2のポール30Bが図7に示した位置から第2の方向Bに公転すると、その爪部34Bがラチェットホイール26の歯35に対して垂直方向の力を加え、そのラチェットホイール26を第2の方向に回転させ、逆にその第2のポール30Bが第1の方向Aに公転すると、その爪部34Bがラチェットホイール26の歯35を滑り、ラチェットホイール26は回転せずに停止する。
【0040】
上述のように、第1のポール30Aの爪部34Aがラチェットホイール26の歯35に係合した状態で、該第1のポール30Aが第1の方向Aに公転したとき、その第1のポール30Aの爪部34Aがラチェットホイール26の歯35に噛み合って該ラチェットホイール26を第1の方向Aに回転させ、かつ第1のポール30Aの爪部34Aがラチェットホイール26の歯35に係合した状態で、該第1のポール30Aが第1の方向Aと逆の第2の方向Bに公転したとき、該第1のポール30Aの爪部34Aがラチェットホイール26の歯35に対し滑って該ラチェットホイール26を回転させることがないように、該第1のポール30Aの揺動軸線Y1とラチェットホイール26の歯35に係合する第1のポール30Aの爪部34Aの相対位置が設定されている。同じく、第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35に係合した状態で、該第2のポール30Bが第2の方向Bに公転したとき、該第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホィール26の歯35に噛み合って該ラチェットホイール26を第2の方向Bに回転させ、かつ第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35に係合した状態で、該第2のポール30Bが第1の方向Aに公転したときは、該第2のポール30Bの爪部34Bがラチェットホイール26の歯35に対し滑って該ラチェットホイール26を回転させることがないように、第2のポール30Bの揺動軸線Y2とラチェットホイール26の歯35に係合する第2のポール30Bの爪部34Bの相対位置が設定されている。
【0041】
かかる構成により、ハンドル3を第1の方向Aに回動操作することにより、ラチェットホイール26を第1の方向Aに回転させ、逆にハンドル3を第2の方向Bに回転させることにより、ラチェットホイール26を第2の方向Bに回転させることができる。
【0042】
図10は前述のリターンスプリングの一例を示す斜視図であり、ここに示したリターンスプリング39はねじりコイルばね(トーションスプリング)より成っており、図10以外の図にはリターンスプリング39は図示されていない。ハンドル3が図7に示した中立位置にあるとき、リターンスプリング39の各端部39A,39Bはハンドルブラケット23の立上り部23A(図5及び図6には示さず)の各側縁に形成された切欠40A,40Bにそれぞれ圧接していると共に、その各端部39A,39Bの先端の折り曲げ部がガイド部材27の一方のアーム部27Aの各側縁41A,41Bに圧接している。
【0043】
ハンドル3を第1の方向Aに回動させると、ハンドルブラケット23はハンドル3と共に第1の方向Aに回転するが、ガイド部材27は停止したままであるため、リターンスプリング39の一方の端郡39Aは、ハンドルブラケット23の一方の切欠40Aに係合したまま第1の方向Aに移動する。これに対し、リターンスプリング39の他方の端部39Bはガイド部材27の側縁41Bに圧接したまま停止し、ハンドルブラケット23の切欠40Bはリターンスプリング39の他方の端部39Bから離れる。これによりリターンスプリング39には弾性エネルギーが蓄積される。
【0044】
次いでハンドル3から手を離すと、リターンスプリング39の弾性によって、ハンドルブラケット23はリターンスプリング39の第1の端部39Aから力を受け、そのハンドルブラケット23はハンドル3と共に第2の方向Bに回転し、該ハンドル3が図7に示した中立位置に至ったとき、リターンスプリング39の一方の端部39Aは再ぴガイド部材27の一方の側縁41Aに当る。このようにしてハンドル3は自動的に中立位置に戻り、ここで停止する。
【0045】
中立位置にあったハンドル3を第2の方向Bに回動させたときは、上述したところと逆に、リターンスプリング39の他方の端部39Bが、第2の方向Bに回転するハンドルブラケット23の切欠40Bに係合したまま、第2の方向Bに移動し、一方の端部39Aはガイド部材27の一方の側縁41Aに圧接したまま停止する。このため、この状態でハンドル3から手を離せば、ハンドルブラケット23はリターンスプリング39の他方の端部39Bによって加圧され、ハンドル3と共に自動的に中立位置に復帰する。
【0046】
なお、本実施形態のシートリフタにおいては、図7に示すように、ハンドル3の回転軸線Xから第1及び第2のポール30A,30Bの揺動中心Y1,Y2までの距離をL1とし、ハンドル3の回転軸線Xからカム36に当接する第1及び第2のポール30A,30Bのカム当接部(図の例では、各ポール30A,30Bの突部37A,37Bがカム36に接触する接触部)までの距離をL2としたとき、L1<L2となるように、その各距離L1,L2が設定されている。
【0047】
一般に、ハンドル3からピニオン6までの伝動機構の上下方向の全高が大きくなると、これを支持するリフタ支持体8の上下方向の幅も大きくなり、シートリフタ全体が大型化し、その重量とコストが増大する。これを解消するため、ラチェットホイール26の径や、回転軸線Xからカム36までの距離を小さく設定し、しかも第1及び第2のポール30A,30Bを小型化するなどして、伝動機構全体の高さを小さくすることが考えられる。ところが、これらの要素の寸法を小さく設定すると、その各要素の機能が害され、或いはその機能が低下することになるので、単に当該寸法を小さく設定して、伝動機構の全高を小さくすることは不適当である。例えば、回転軸線Xからカム36までの距離を小さくしすぎると、ポール30A,30Bを確実に揺動させることができなくなるおそれがある。このように伝動機構の各要素の寸法を小さくするには自ずと限度がある。これに対し、回転軸線Xから各ポール30A,30Bの揺動中心Y1,Y2までの距離L1は、これを距離L2より小さく設定しても、各ポール30A,30Bを揺動可能に支持する機能が低下することはない。
【0048】
本実施形態のシートリフタにおいては、かかる観点より、L1<L2を満たすように各距離L1,L2を設定し、これによって各ポール30A,30Bの高さを小さくすることを可能とし、これにより伝動機構全体の高さを小さく留め、これに伴ってリフタ支持体8の高さ方向の幅を小さくすることを可能としている。つまり、各要素の機能は低下させずに、シートリフタの重量とコストを低減することができる。
【0049】
また本実施形態のシートリフタは、ハンドル3の回転軸線Xを中心とする円弧状の長孔29が形成されたガイド部材27と、その長孔29に摺動可能に嵌合していると共に、第1及び第2のポール30A,30Bを揺動可能に支持するポール支持部材31A,31Bとを有していて、長孔29の各端部29A,29Bがポール支持部材31A,31Bのストッパとしての用をなすように構成されている。かかるガイド部材27の長孔29により、第1及び第2のポール30A,30Bを正しく案内しながら、回転軸線Xのまわりに公転させることができ、しかもその長孔29の各端部29A,29Bが各ポール30A,30Bを停止させるストッパとしての機能を有しているので、第1及び第2のポール30A,30Bを案内する案内部材と、これを停止させるためのストッパを別々に設ける必要がなく、シートリフタの部品点数を減少させることができる。なお、図示した例では、第1及び第2のポール支持部材31A,31Bを設け、そのそれぞれに第1及び第2のポール30A,30Bを揺動可能に支持したが、1つのポール支持部材を設け、その1つのポール支持部材に、第1及び第2のポール30A,30Bを共に揺動自在に支持するようにしてもよい。
【0050】
さらに、本実施形態のシートリフタには、第1及び第2のポール30A,30Bの爪部34A,34Bがラチェットホイール26の歯35に確実に係合するように、その各ポール30A,30Bをラチェットホイール26の歯35に向けて付勢する付勢手段の一例であるばね38が設けられており、これにより、第1及び第2のポール30A,30Bの公転によって、ラチェットホイール26を正しく回転させることができる。しかも、このばね38は、第1及び第2のポール30A,30Bを共に保持する保持部38A,38Bを備えた1つの板ばねより成るため、当該ばね38の構造を簡素化することができる。
【0051】
続いてブレーキ機構9について説明する。ブレーキ機構9は、上述の図5及び図6に断面が示されており、さらに図11には、図5及び図6とは直交する方向でのブレーキ機構9の断面(横断面)が示されている。
【0052】
図5、図6及び図11から判るように、このブレーキ機構9は、リフタ支持体8に固定されたケース42を有し、このケース42は、一端側が解放されたカップ状に形成されている。また、このケース42は、ハンドル軸21の回転軸線Xを中心とした同心状の小径環状壁42Aと大径環状壁42Bとを有し、その小径環状壁42Aと大径環状壁42Bは、開放端と逆側の環状の端壁42Cを介して一体化され、小径環状壁42Aの内側は中空となっている。
【0053】
ケース42内には、ほぼ扇形の横断面形状を有するコア(第1の回転体)43が回転可能に収容され、そのコア43の中心部に前述のハンドル軸21が貫通し、該ハンドル軸21とコア43は互いに固定され、これらは一体となって前述の回転軸線Xを中心として回転することができる。
【0054】
またコア43には回転軸線Xを中心とした環状溝44が形成され、ここにケース42の小径環状壁42Aが嵌合すると共に、その小径環状壁42Aの内側に小径コイルばね(トーションスプリング)45Aが配置されている。また、コア43の外周面と、ケース42の大径環状壁42B内周面との問に大径コイルばね(トーションスプリング)45Bが配置されている。図5及び図6に明らかなように、各コイルばね45A,45Bは、少なくとも積層されたばねの巻回部が角形(四角形)の断面形状に形成されており、自由状態においては、ケース42の対応する環状壁に対して、断面角形をなすその巻回部の外縁部が接触するようになっている。すなわち、小径コイルばね45Aは、ケース42の小径環状壁42Aの内周面に対して、ほぼ凹凸のない円筒面状に形成された外縁部で係合する。同様に、大径コイルばね45Bは、ケース42の大径環状壁42Bの内周面に対して、ほぼ凹凸のない円筒面状に形成された巻回部の外縁部で係合する。端的に言えば、このような角形断面形状のスプリング45A,45Bでは、ケース42の環状壁に対する接触領域を広くすることができる。
【0055】
さらに、ケース42にはストッパプレート(第2の回転体)46が回転可能に収容され、そのストッパプレート46にも回転軸線Xを中心とした環状溝47が形成され、この環状溝47にケース42の小径環状壁42Aと小径コイルばね45Aが配置されている。また、ストッパプレート46の外周面と、ケース42の大径環状壁42Bの内周面との問にも上述の大径コイルばね45Bが位置している。ストッパプレート46の貫通孔48(図5)にハンドル軸21が相対回転自在に嵌合し、さらにこのストッパプレート46に前述のピニオン6が固定されている。
【0056】
大径コイルばね45Bの一方の端部49Aはコア43の一方の径方向壁面50Aに係合可能であり、該コイルばね45Bの他方の端部49Bはストッパプレート46に形成された孔51Aに係止されている。また小径コイルばね45Aの一方の端部52Aはコア43の他方の径方向壁面50Bに係合可能であり、該コイルばね45Aの他方の端部52Bはストッパフレート46に形成された孔51Bに係止されている。なお、図11において、大径コイルばね45Bの端部49Aと小径コイルばね45Aの端部52Aは、それぞれコア43の径方向壁面50A,50Bから離間しているが、このばね端部と径方向壁面の周方向への隙間は、ハンドル操作時の遊びのために設けられている。
【0057】
上述したところから判るように、ハンドル軸21は、コア43、ストッパプレート46及ぴケース42を介して、リフタ支持体8に対して回転可能に支持され、またピニオン6もストッパプレート46とケース42を介してリフタ支持体8に回転可能に支持され、ハンドル軸21と同心状に位置する。
【0058】
ここで、前述のようにハンドル3を第1の方向Aに回動操作することによってラチェットホイール26とハンドル軸21を第1の方向Aに回転させると、ケース42内のコア43も同じ第1の方向Aに回転する。これにより、コア43の他方の径方向壁面50Bが小径コイルばね45Aの一方の端部52Aを加圧し、これによって小径コイルばね45Aはその径を縮め、小径コイルばね45Aとケース42の小径環状壁42Aとの圧接力が減少する。これによってコア43は、ストッパプレート46と共に、第1の方向Aに回転することができ、これに伴ってピニオン6が第1の方向Aに回転する。
【0059】
ハンドル3を第2の方向Bに回動操作することにより、コア43がこれと同じ第2の方向に回転したときも、コア43の一方の径方向壁面50Aが大径コイルばね45Bの一方の端部49Aに係合してこれを加圧する。これにより、大径コイルばね45Bの径が縮小し、その大径コイルばね45Bとケース42の大径環状壁42Bとの圧接力が弱まるので、コア43はストッパプレート46及ぴピニオン6と共に、第2の方向Bに回転する。
【0060】
これに対し、例えばシートクッション1が最上位の位置にあるとき、そのシートクッション1に着座者が着座するなどして、当該シートクッション1に大きな荷重が加わると、図3に示したラック11には、当該ラック11が同図における時的方向に回転する向きの回転力が連結リンク20を介して作用する、このため、ピニオン6とストッパプレート46には、これが図3における反時計方向(第2の方向B)に回転する向きの回転力がラック11を介して加えられる。ところが、このときそのストッパプレート46の孔51Aに大径コイルばね45Bの一方の端部49Bが係合しているので、大径コイルばね45Bの径が拡大し、その大径コイルばね45Bの外縁部とケース42の大径環状壁42Bの内周面との間に大きな摩擦力が作用する。このため、ピニオン6は、第2の方向Bに回転することなく係止される。これにより、シートクッション1に大きな荷重が加えられても、該シートクッション1が下降することはない。
【0061】
また、ピニオン6とストッパプレート46に対して、これらが図11における時計方向(第1の方向A)に回転する向きの回転力が加えられた場合にも、小径コイルばね45Aの他方の端部52Bはストッパプレート46の孔51Bに係止されているので、その小径コイルばね45Aが径を拡大し、当該小径コイルばね45Aの外縁部とケース42の小径環状壁42Aの内周面との聞に大きな摩擦力が作用する。このため、ピニオン6とストッパプレート46は、第1の方向Aに回転することは阻止される。
【0062】
このように、ブレーキ機構9は、ハンドル軸21の回転がストッパプレート46及びピニオン6に伝わることを許容するが、該ストッパプレート46及びピニオン6に、ハンドル軸21以外から、すなわちシートクッション1の側から回転力が加えられたとき、該ストッパプレート46及びピニオン6が回転することを禁止するブレーキ手段を構成する。このブレーキ機構9を設けることにより、シートクッション1の高さを調整した後、そのシートクッション1に外力が加えられても、当該シートクッションが下降したり、或いは上昇することを阻止し、シートクッション1の高さを良好に保持できる。
【0063】
本実施形態のシートリフタは、ハンドル3とリフト機構7の間に、ラチェット機構を含む伝動機構を設け、ハンドル3を中立位置と正逆いずれかの移動端の間で繰り返し往復動作させてシートクッション1を昇降させるタイプとして構成されており、ハンドル3の操作回数が過度に多くなるのを避けるため、リフト機構7にはハンドル3の回転を減速して伝える減速機構が設けられていない。そのため、前述したように、シートクッション1に負荷がかかった際には、このような減速機構を備えるタイプよりも、ブレーキ機構は迅速に作動しかつ強力な制動力を発揮することが要求される。
【0064】
これに対応すべく、本実施形態のブレーキ機構9では、小径コイルばね45Aと大径コイルばね45Bは、その巻回部分の断面形状が角形に形成されており、対応する環状壁42A,42Bに対して広い円筒面領域で係合するように構成されている。そのため、ストッパプレート46の回転を受けて小径コイルばね45Aまたは大径コイルばね45Bの径が拡大する際に、該小径コイルばね45Aまたは大径コイルばね45Bは、その軸線方向に倒れ(角度変化)を生じることなく、迅速に環状壁42Aまたは42Bの内周面に圧接することができる。また、環状壁42A,42Bと小径コイルばね45A,大径コイルばね45Bの真円度に若干の差があっても、その接触領域が広いため圧接力が小さくなる等の影響を受けにくい。さらに、接触領域が広いと単位面積あたりの荷重負担が小さくなるので、経年使用によって環状壁42A,42Bの内周壁の一部のみが摩耗してしまうのを防ぐことができる。以上の理由から本ブレーキ機構9では、シートクッション1に負荷がかかったときのブレーキが作用するまでの遅れ、すなわちシートクッション1の不要な昇降動作を最小限に抑えることができる。そして、ブレーキが作用した後は、小径コイルばね45Aまたは大径コイルばね45Bが広い面領域で状壁42Aまたは42Bに圧接しているため、強力な制動力が得られる。以上から明らかなように、本実施形態のブレーキ機構9は、シートクッション1に負荷がかかったときには、該シートクッション1を迅速かつ確実に係止させることができるので、特にリフト機構7に減速機構を備えないようなシートリフタに用いて好適であると言える。
【0065】
なお、この実施形態では、自動車の車室内に設けられる座席用のシートリフタを例として説明したが、これに限定されず、他の各種座席のシートリフタにも広く適用できることは言うまでもない。
【0066】
次に、図12から図17を参照して、シートリフタの第2の実施形態を説明する。この第2実施形態も、自動車を初めとする各種の座席に広く適用可能である。
【0067】
図12及び図13に示すように、シートトラック60は、フロア側に固設されるロアレール61と、ロアレール61に移動可能に係合するアッパレール62とからなっている。アッパレール62上には、シートクッションが設けられるロアアーム63が配設されている。このロアアーム63は、シートトラック60のアッパレール62と、ロアアーム63とに設けられたリフト機構65によって、アッパレール62に対して昇降するようになっている。なお、図12及び図13では、図中右方がシート前方、左方がシート後方である。
【0068】
リフト機構65の構成は、第1の実施形態のものと基本的に同じであり、概略のみ説明する。フロントリンク66は、下端部側がピン66aを用いてアッパレール62上の前部に、上端側がピン66bを用いてロアアーム63の前部にそれぞれ回転可能に設けられている。リアリンク67は、下端部側がピン67aを用いてアッパレール62の後部に、上端側がピン67bを用いてロアアーム63の後部にそれぞれ回転可能に設けられている。このフロントリンク66と、リアリンク67と、アッパレール62と、ロアアーム63とで、四節回転機構が構成されている。従って、フロントリンク66、リアリンク67の少なくともどちらか一々をシートトラック60のアッパレール62に対して揺動させることにより、ロアアーム63は、アッパレール62に対して昇降することになる。
【0069】
このリフト機構65は、図12及び図13におけるロアアーム63の背面側に設けられたハンドル機構70を用いて駆動される。ハンドル機構70のハンドル71によって回転駆動されるヒンジピン(ハンドル軸)72は、同じくロアアーム63の背面に設けられるブレーキ機構100(詳細は後述する)を介して、ピニオン73を駆動するようになっている。ブレーキ機構100は、ピニオン73からの回転力に対してはヒンジピン72の回転を禁止し、ハンドル71からの回転力に対してはヒンジピン72を回転可能とするものである。
【0070】
ピニオン73近傍のロアアーム63上には、同軸上に設けられ、一体となって回転する大径ギヤ74aと小径ギヤ74bとからなるギヤ74が設けられ、ピニオン73はギヤ74の大径ギヤ74aに噛合している。ギヤ74近傍のロアアーム63上には、ギヤアーム75の中間部がピン75aを用いて回転可能に設けられている。ギヤアーム75の一方の回転端部には、ギヤ74の小径ギヤ74bに噛合するセクタギヤ部76が形成されている。ギヤアーム75の他方の回転端部には、ピン77aを用いてリンク77の一方の端部が回転可能に取り付けられ、リアリンク67の側部には、ピン77bを用いてリンク77の他方の端部が回転可能に取り付けられている。よって、ヒンジピン72が回転すると、ピニオン73,ギヤ74,ギヤアーム75,リンク77を介して、リアリンク67が揺動駆動され、ロアアーム63がシートトラック60に対して昇降する。
【0071】
図14ないし図16を参照して、ハンドル機構70について説明する。ロアアーム63に設けられたブレーキ機構100を覆うように、ベースプレート78が配設される。ブレーキ機構100とベースプレート78との間に挿入されるハンドル71は、操作入力部(後述の取手79)とその反対側の端部(後述の長孔81を有する側)を結ぶ中間の部分が、ピン78aを用いてベースプレート78に回転可能に取り付けられている。
【0072】
ハンドル71の一方の端部側には、樹脂製の取手79が取り付けられている。一方、図14に示すように、ヒンシピン72はブレーキ機構100を押通して外部に突出し、ベースプレート78に形成された孔80に回転可能に嵌合している。ハンドル71の他方の端部には、ハンドル71をベースプレート78に枢着させているピン78aを中心とする円弧状の長孔81が形成され、この長孔81にブレーキ機構から突出したヒンジピン72が遊嵌している。
【0073】
ハンドル71とブレーキ機構100との間のヒンジピン72には、セレーション等の手法によりラチェットホイール82が固着されている。ヒンジピン72には、ベースプレート78に当接可能なEリング83が係合し、ヒンジピン72のロアアーム63方向の抜け止めがなされている。ロアアーム63は、ヒンジピン72が遊嵌する孔84が形成され、ヒンジピン72のガタを抑えるためのバーチカルプレート85が固着されている。
【0074】
ベースプレート78には、それらの一方の端部側がラチェットホイール82を挟むように設けられた第1及び第2のポールとしてのポール86,86’の中間部がピン87,87’を用いて回転可能に設けられている。各ポール86,86’の一方の端部側には、ラチェットホイール82の外周部の歯に噛合可能な歯88,88’が形成されている。また、各ポール86,86’の他方の端部側には、ハンドル71に形成されたポール当接部89,89’が当接可能なハンドル当接部90,90’が形成されている。
【0075】
さらに、各ポール86,86’の他方の端部側には、ロアアーム63側に折曲された折曲部91,91’が形成され、一方の端部が折曲部91に他方の端部が折曲部91’に係止された第1の付勢手段としてのスプリング(引張ばね)92によって、ポール86,86’は、歯88,88’がラチェットホイール82より離れる方向に付勢され、各ポール86,86’のハンドル当接部90,90’は、ハンドル71のポール当接部89,89’に当接している。
【0076】
このとき、ハンドル71の長孔81の略中間位置に、ヒンジピン72が位置している。ブレーキ機構100の外周を巻回するように設けられた第2の付勢手段としてのスプリング93の端部94,95は、ハンドル71の取手79から離れる方向に延出している。
【0077】
ハンドル71の取手79側と反対側のベースプレート78には、折曲してスプリング93の端部94,95間に位置する折曲部96が形成されている。また、ロアアーム63上には、スプリング93の端部94,95間に位置するスプリングフック97が取り付けられている。
【0078】
続いて、図14、図15及び図17を参照してブレーキ機構100を説明する。このブレーキ機構100は、第1実施形態のブレーキ機構9と基本的に同様の構成である。すなわち、ロアアーム63に取り付けられたケース101は、同心状の小径環状壁101Aと大径環状壁101Bとを有し、小径環状壁101Aと大径環状壁101Bは端壁101Cで接続されている。ケース101の、この端壁101Cと反対側の端面は開放されている。そして、ケース101内には、小径コイルばね102が小径環状壁101Aの内周面に係合するように配置され、大径コイルばね103が大径環状壁101Bの内周面に係合するように配置されている。各コイルばね102,103は、積層されたばねの巻回部が角形(四角形)の断面形状に形成されており、それぞれ自由状態では、ケース42の小径環状壁101Aと大径環状壁101Bの内周面に対して、ほぼ凹凸のない円筒面状をなすその巻回部の外縁部が係合する。
【0079】
ヒンジピン72の中央部は断面形状が非円形となっており、この非円形断面部にほぼ扇形の横断面形状を有するコア(第1の回転体)104が嵌合し、コア104はヒンジピン72と一体となって回動する。またコア104にはヒンジピン102の回転軸線を中心とした環状溝105が形成され、該環状溝105にケース101の小径環状壁101Aが嵌合すると共に、その小径環状壁101Aの内側に上述の小径コイルばね102が配置されている。さらに、コア104の外周面と、ケース101の大径環状壁101Bの内周面との問に上述の大径コイルばね103が配置されている。
【0080】
ピニオン73と一体的に形成されたストッパプレート(第2の回転体)106には、貫通孔107が穿設され、貫通孔107にはヒンジピン72が相対回転可能に挿入されている。このストッパプレート106にも、ヒンジピン72に回転軸線を中心とした環状溝108が形成され、この環状溝108にケース101の小径環状壁101Aと小径コイルばね102が配置されている。さらに、ストッパプレート106の外周面と、ケース101の大径環状壁101Bの内周面との問にも上述の大径コイルばね103が位置している。
【0081】
大径コイルばね103の一方の端部109Aはコア104の一方の径方向壁面110Aに係合可能であり、該大径コイルばね103の他方の端部109Bはストッパプレート106に形成された孔111Aに係止されている。また小径コイルばね102の一方の端部112Aはコア104の他方の径方向壁面110Bに係合可能であり、該小径コイルばね102の他方の端部112Bはストッパプレート106に形成された孔111Bに係止されている。
【0082】
ヒンジピン72には、コア104に当接可能なEリング113が設けられ、ヒンジピン72のハンドル71方向の抜け止めがなされている。
【0083】
次に、上記構成による本実施形態のシートリフタの作動を説明する。ハンドル71を操作していない状態、つまり、ヒンジピン72に回転力が作用しない状態において、ピニオン73側に回転力が作用し、ブレーキ機構100のストッパプレート106に時計または反時計方向のいずれかの方向の回転力が加わると、該ストッパプレート106の孔111A,111Bには、大径コイルばね103の端部109Bと小径コイルばね102の端部112Bがそれぞれ係止されているので、直ちに大径コイルばね103又は小径コイルばね102の径を押広げて、大径コイルばね103とケース101の大径環状壁101B、または小径コイルばね102とケース101の小径環状壁101Aとの間の圧接力が増大し、大きな制動カが発生する。よって、ピニオン側の時計、反時計いずれの方向にもガタのない状態でピニオン73の回転が禁止される。
【0084】
先の実施形態のブレーキ機構9と同様に、本実施形態のブレーキ機構100でも、小径コイルばね102と大径コイルばね103は、その巻回部分の断面形状が角形に形成されており、対応する環状壁101A,101Bに対して広い円筒状の接触領域で係合するように構成されている。そのため、コイルばねが環状壁に圧接する際に該コイルばねが軸線方向に倒れるおそれがなく、迅速に環状壁に圧接することができる。また圧接後は、コイルばねは広い領域で環状壁に圧接するので、強力な制動力を維持できる。つまり、シートクッションに負荷がかかったときには、シートクッションを迅速かつ確実に係止させることができる。
【0085】
図12において、ハンドル71の取手79を上方に引き上げると、ハンドル71はピン78aを中心に回転する。すると、ハンドル71のポール当接部89がポール86のハンドル当接部90を押し、ポール86はスプリング92の付勢力に抗してピン87を中心に回転し、ポール86の歯88がラチェットホイール82に噛合する。略同時に、ハンドル71の長孔81の上部端部がヒンジピン72に当接し、これ以降は、ハンドル71の回転中心はヒンジピン72となり、ハンドル71の回転は、ラチェットホイール82を介して、ラチェットホイール82が固着されたヒンジピン72に伝達され、ヒンジピン72が時計方向に回転する。このとき、ベースプレート78もヒンジピン72を中心に回転し、折曲部96がスプリング93の端部95を押し、スプリング93を縮径方向へ弾性変形させる。
【0086】
ヒンジピン72が時計方向に回転すると、コア104も時計方向に回転し、図17において、該コア104の径方向壁面110Bが小径コイルばね102の端部112Aと係合する。すると、小径コイルばね102は径を縮める方向の力を受け、小径コイルばね102とケース101の小径環状壁101Aとの間の圧接力が減少し、コア104は回転可能となり、ストッパプレート106を介してピニオン73が図12及び図13において、反時計方向に回転する。
【0087】
ピニオン73の反時計方向の回転により、ロアアーム63はシートトラック60のアッパレール62に対して下降する。所望の高さを得たならば、ハンドル71の取手79への操作力を解除する。すると、スプリング93の弾性復元力により、ベースプレート78,ハンドル71は中立位置へ回転復帰する。さらに、スプリング92の弾性復元力により、ハンドル71は、その長孔81の略中間位置にヒンジピン72が位置するまで回転復帰する。
【0088】
一方、図12において、ハンドル71の取手79を下方へ押し下げると、ハンドル71はピン78aを中心に回転する。すると、ハンドル71のポール当接部89’がポール86’のハンドル当接部90’を押し、ポール86’はスプリング92の付勢力に抗してピン87を中心に回転し、ポール86’に歯88’がラチェットホイール82に噛合する。略同時に、ハンドル71の長孔81の下部端部がヒンジピン72に当接し、これ以降は、ハンドル71の回転中心はヒンジピン72となり、ハンドル71の回転は、ラチェットホイール82を介して、ラチェットホイール82が固着されたヒンジピン72に伝達され、ヒンジピン72が反時計方向に回転する。このとき、ベースプレート78もヒンジピン72を中心に回転し、折曲部96がスプリング93の端部94を押し、スプリング93を縮径方向へ弾性変形させる。
【0089】
ヒンジピン72が反時計方向に回転すると、コア104も反時計方向に回転し、図17において、該コア104の径方向壁面110Aが大径コイルばね103の端部109Aと係合し、大径コイルばね103は径を縮める方向の力を受ける。よって、大径コイルばね103とケース101の大径環状壁101Bとの間の圧接力が減少し、コア104は回転可能となり、ストッパプレート106を介してピニオン73が図12及び図13において、時計方向に回転する。
【0090】
ピニオン73の時計方向の回転により、ロアアーム63はシートトラック60のアッパレール62に対して上昇する。所望の高さを得たならば、ハンドル71の取手79への操作カを解除する。すると、スプリング93の弾性復元力により、ベースプレート78,ハンドル71は中立位置へ回転復帰する。さらに、スプリング92の弾性復元力により、ハンドル71は、その長孔81の略中間位置にヒンジピン72が位置するまで回転復帰する。
【0091】
以上の本実施形態のシートリフタでは、ハンドル71を操作していない状態では、第1及び第2のポールであるポール86,86’の歯88,88’はラチェットホイール82に噛合していない。そしてハンドル71を回転操作したときのみ、ポール86または86’を介してラチェットホイール82に回転が伝達され、ヒンジピン72が回転される。つまり、ハンドル71とヒンジピン72(コア104)の間には、該ハンドル71を操作していないときはハンドル71とヒンジピン72の機械的接続を解除し、ハンドル71を中立位置から正逆方向の移動端へ向けて回転操作したときにのみ該ハンドル71をヒンジピン72(コア104)と機械的に接続させてリフト機構65側に動力を伝達させるハンドル連動制御機構が設けられている。そのため、外部からの衝撃が直接にハンドル機構に作用するのを避けることができ、ハンドル機構の破損を防止できる。
【0092】
この実施形態のシートリフタでは、ハンドル71を中立位置から正逆いずれかの回転方向へ往復動作させてシートを昇降させるという操作態様は、第1の実施形態のシートリフタと同様である。したがって、図12及び図13にはヒンジピン72の回転を減速して伝えるギヤ74が設けられているが、シート昇降時のハンドル71の往復操作回数が多くなり過ぎて操作性が悪化するのを防ぐため、その減速比はあまり大きくできない。よって本実施形態のシートリフタにおいても、ハンドル71を操作しない状態でシートに負荷がかかったときには、迅速に作動しかつ強力な制動力を発揮するブレーキ機構が要求されることになる。前述したように、本実施形態のブレーキ機構100では、コイルばね102、103の巻回部の断面形状が角形であり、拡径方向の力が加わったときには軸線方向の倒れを生じることなく、コイルばね102,103が環状壁101A,101Bに圧接するので、シートクッションへの負荷に対して遅れることなく制動力を発揮することができる。また、コイルばね102,103が広い接触領域で環状壁101A,10Bに圧接するので制動性能が高い。
【0093】
本発明との比較のため、シートリフタのブレーキ機構において、環状壁と接触すべき巻回部の断面が丸形のコイルばねを用いた比較例を図18から図21に示した。同図にはブレーキ機構200のみが示されているが、ブレーキ機構200は、第1または第2の実施形態のいずれかのブレーキ機構9,100に代えてシートリフタに搭載されているものとする。説明の重複を避けるため、ブレーキ機構200では、先の実施形態と共通する構成要素に関してはブレーキ機構9のものと同符号で示し、具体的な説明は省略している。
【0094】
このブレーキ機構200では、小径コイルばね202と大径コイルばね203は、それぞれの巻回部の断面形状が丸形となっている。したがって、図18と図20に表れているように、各コイルばね202,203は、小径環状部42Aと大径環状部42Bの内周面に対しては、その巻回部外縁の線状の狭い領域で係合する。
【0095】
小径コイルばね202と大径コイルばね203は、それぞれの一端部204Aと205Aが、ストッパプレート46の孔51A,51Bに係止され、それぞれの他端部204Bと205Bが、コア43の径方向壁面50A,50Bに係合可能となっている。よって、ハンドルを介してコア43が正逆方向に回転されたときには、径コイルばね202または大径コイルばね203の径が小さくなり、環状壁42Aまたは42Bとの間の圧接力が弱くなり、ストッパプレート46及びピニオン6がコア43と同方向に回転される。
【0096】
逆に、シートクッションに負荷がかかり、ストッパプレート46及びピニオン6を回転させる力が加わったときに、断面丸形のコイルばねを用いた本ブレーキ機構では、次のような不具合が生じるおそれがある。例えば、図19において、シートクッションへの負荷によりストッパプレート46に矢印B方向の回転力が作用すると、大径コイルばね203の端部205Aが同B方向への移動力を受ける。ここで直ちに大径コイルばね203が拡径動作を行って大径環状壁42Bに圧接すれば、ストッパプレート46は回転されずにほぼ図19の位置で係止される。しかしながら、大径コイルばね203は大径環状壁42Bに接触するのが円形断面の巻回部であるため、図20に矢印Cで示すように、回転軸線Xに対する倒れが生じやすい形状である。このような倒れが生じると、その分、大径コイルばね203が大径環状壁42Bに圧接して制動作用を発揮するまでの時間が遅れ、ストッパプレート46及びピニオン6が図21に示す角度θだけ回転してから制動される。つまり、シートクッションが一定量動いてからブレーキが利き始めることになってしまう。リフト機構が減速機構を備えていない、あるいは減速比が小さい場合には、このストッパプレート46及びピニオン6の回転角に応じた量、あるいはそれに近い量でシートクッションが昇降移動してしまい、そのシート移動量は無視できないものとなる。ここでは大径コイルばね203について説明したが、ストッパプレート46が図19の矢印A方向への回転力を受けたときには、小径コイルばね202に関しても同様の不具合が生じるおそれがある。
【0097】
また、小径コイルばね202や大径コイルばね203が環状壁42Aや42Bに圧接するときにも、断面丸形のコイルばねの断面剛性は角形のコイルばねの断面剛性より小さいため、先に説明した実施形態のブレーキ機構9,100に比して高い制動力を得ることが難しい。
【0098】
また、コイルばねと環状壁に真円度の差がある場合には、コイルばねの断面が円形で環状壁との接触領域が小さいと良好な制動性を発揮しにくい。つまり、制動の開始が遅れたり、十分な制動力が得られないおそれがある。
【0099】
さらに、このような円形断面のコイルばねは線状の狭い領域で環状壁に係合するので、環状壁においてその狭い係合領域に荷重負担が集中し、経年使用によって環状壁の内周面が摩耗するおそれがある。これは結果的に環状壁の内径が大きくなることに相当するので、制動時のレスポンス低下の原因となる。
【0100】
これに対し、先に説明したように、環状壁と接触するコイルばね巻回部の断面形状を角形にしたブレーキ機構9,100では以上のような不具合を伴わずに、良好な制動性能を発揮することができるので、各実施形態のように中立位置からのハンドルの往復移動によってシートを昇降させるようなタイプのシートリフタに用いると特に好適である。
【0101】
【発明の効果】
以上のように、本発明によれば、ハンドル操作をせずにシートに負荷がかかったときに、迅速かつ確実にシートの動作を規制することが可能なシートリフタを得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のシートリフタを適用した座席の側面図である。
【図2】シートクッションが中間の高さ位置にあるときのリフト機構を示す図である。
【図3】シートクッションが最上位の高さ位置にあるときのリフト機構を示す図である。
【図4】シートクッションが最下位の高さ位置にあるときのリフト機構を示す図である。
【図5】ハンドル、ラチェット機構、及びブレーキ機構の断面図である。
【図6】図5の要素を分解して示す断面図である。
【図7】ハンドルとラチェット機構を示す図である。
【図8】ラチェット機構の一部の要素を示す図である。
【図9】ポールの爪部とラチェットホイールの噛合状態を説明する図である。
【図10】リターンスプリングの斜視図である。
【図11】図5と図6に示すブレーキ機構の横断面図である。
【図12】本発明の異なる態様に係るシートリフタの、シートクッション下降状態の側面図である。
【図13】図12の状態からシートクッションを上昇させた状態を示す側面図である。
【図14】図16の切断線XIV−XIVにおける断面図である。
【図15】図16の切断線XV−XVにおける断面図である。
【図16】ハンドル及びその連動制御機構機構の側面図である。
【図17】図14と図15に示すブレーキ機構の横断面図である。
【図18】本発明のシートリフタに搭載されるブレーキ機構との比較例を表す、ブレーキ機構の縦断面図である。
【図19】図18のブレーキ機構の横断面図である。
【図20】図18及び図19のブレーキ機構で、ブレーキが利き始めた状態を示す側断面図である。
【図21】図20のブレーキ機構の横断面図である。
【符号の説明】
1 シートクッション
3 71 ハンドル
6 73 ピニオン
7 65 リフト機構
8 リフタ支持体
9 100 ブレーキ機構
21 ハンドル軸
26 82 ラチェットホイール
30A 86 第1のポール
30B 86’ 第2のポール
35 歯(ラチェット歯)
36 カム
37A 37B 突部
38 ばね(ポール付勢手段)
34A 34B 爪部
39 リターンスプリング
42 101 ケース
42A 101A 小径環状壁
42B 101B 大径環状壁
42C 101C端壁
43 104 コア(第1の回転体)
45A 102 小径コイルばね
45B 103 大径コイルばね
46 106 ストッパプレート(第2の回転体)
50A 50B 110A 110B 径方向壁面
63 ロアアーム
70 ハンドル機構
72 ヒンジピン(ハンドル軸)
78 ベースプレート
78a ピン
81 長孔
89 89’ ポール当接部
90 90’ ハンドル当接部
92 スプリング(付勢手段)
93 スプリング93(第2の付勢手段)
X 回転軸線
Y1 Y2 揺動軸線

Claims (5)

  1. 中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;
    このハンドルの中立位置と正方向移動端との間の往復動作、及び中立位置と逆方向移動端との間の往復動作により正方向と逆方向の回転を与えられる第1の回転体;
    この第1の回転体と同軸で、シートの昇降動作と連動して回転する第2の回転体;
    前記第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;
    この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;
    を備え、
    前記ハンドルを操作していない状態において前記シートに負荷が作用したときには、前記第2の回転体に作用する回転力により前記小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が前記小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制し、シートの昇降動作を規制し、
    前記ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって前記小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して前記第2の回転体の回転が許されてシートが昇降されることを特徴とするシートリフタ。
  2. 中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;
    このハンドルの回転軸を中心として回転可能な第1の回転体;
    この第1の回転体と同軸で該第1の回転体に対し相対回転可能に支持され、周方向において対向する一対の径方向壁面を有する第2の回転体;
    この第2の回転体の回転をシートの昇降動作に変換させるリフト機構;
    前記ハンドルと第1の回転体の間に設けられ、該ハンドルの中立位置からの正逆の移動端への回転は第1の回転体に伝達し、該ハンドルの正逆の移動端から中立位置への回転は第1の回転体に伝達しないラチェット機構;
    前記第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;
    この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;
    を備え、
    前記ハンドルを操作していない状態において前記シートに負荷が作用したときには、前記第2の回転体に作用する回転力により前記小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が前記小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制してシートの昇降動作を規制し、
    前記ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって前記小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して前記第2の回転体の回転を許され、第1の回転体と共に第2の回転体が回転されて前記リフト機構を介してシートが昇降されることを特徴とするシートリフタ。
  3. 請求項2記載のシートリフタにおいて、前記ラチェット機構は、
    前記第1の回転体に固定され、前記ハンドルに対して相対回転可能に支持されたハンドル軸;
    このハンドル軸に固定されたラチェットホイール;
    前記ハンドルを回転したときに、このハンドル軸を中心とする公転動作を行い、かつその公転軌跡を中心として揺動可能な第1と第2のポール;
    この第1と第2のポールに形成され、ラチェットホイール外周部のラチェット歯に噛合する爪部;
    第1のポールに形成した爪部は、該第1のポールが正方向に前記公転を行ったときにはその移動力をラチェット歯に伝達させてラチェットホイールを回転させ、逆方向に前記公転を行ったときにはラチェット歯にその移動力を伝達させないこと;
    第2のポールに形成した爪部は、該第2のポールが正方向に前記公転を行ったときにはラチェット歯にその移動力を伝達させず、逆方向に前記公転を行ったときにはその移動力をラチェット歯に伝達させてラチェットホイールを回転させること;
    この爪部が前記ラチェット歯に噛合する揺動位置に第1と第2のポールを付勢するポール付勢手段;及び
    前記ハンドルを正逆に回転させたときに、該ハンドル回転に伴って公転する前記第1と第2のポールのうち、前記ラチェットホイールに対して移動力を伝達しない側のポールを、その爪部とラチェット歯との噛合が解除される位置まで揺動させるポール退避機構;
    を備えているシートリフタ。
  4. 中立位置を有し、中立位置と正逆の移動端の間を回転操作可能なハンドル;
    このハンドルの回転軸を中心として回転可能な第1の回転体;
    この第1の回転体と同軸で該第1の回転体に対し相対回転可能に支持され、周方向において対向する一対の径方向壁面を有する第2の回転体;
    この第2の回転体の回転をシートの昇降動作に変換させるリフト機構;
    前記ハンドルと第1の回転体の間に設けられ、ハンドルを操作していないときは該ハンドルと第1の回転体の機械的接続を解除し、ハンドルを前記中立位置から正方向の移動端側と逆方向の移動端側に回転操作したときに該ハンドルを第1の回転体と機械的に接続させて第1の回転体を正方向と逆方向に回転させるハンドル連動制御機構;
    前記第1及び第2の回転体と同心に設けた小径環状壁と大径環状壁;
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の一方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記小径環状壁の内周面に係合する小径コイルばね;及び
    一端部が前記第2の回転体に係止され、他端部が前記第1の回転体の一対の径方向壁面の他方に係脱可能で、自由状態においてその外縁部が前記大径環状壁の内周面に係合する大径コイルばね;
    この小径コイルばねと大径コイルばねはそれぞれ、少なくとも小径環状壁と大径環状壁と接触する積層されたばねの巻回部の断面が角形に形成されていること;
    を備え、
    前記ハンドルを操作していない状態において前記シートに負荷が作用したときには、前記第2の回転体に作用する回転力により前記小径あるいは大径のコイルばねが拡径し、角形断面形状からなる該小径あるいは大径のコイルばねの外縁部が前記小径環状壁あるいは大径環状壁の内周面に圧接して第2の回転体の回転を規制してシートの昇降動作を規制し、
    前記ハンドルを介して第1の回転体が正逆に回転されたときには、該第1の回転体の径方向壁面によって前記小径あるいは大径のコイルばねの端部が押圧されて該小径あるいは大径のコイルばねが縮径して前記第2の回転体の回転を許し、第1の回転体と共に第2の回転体が回転されて前記リフト機構を介してシートが昇降されることを特徴とするシートリフタ。
  5. 請求項4記載のシートリフタにおいて、前記ハンドル連動制御機構は、
    前記第1の回転体に固定された、同軸のラチェットホイールを有するハンドル軸;
    このハンドル軸に対し回転可能に設けられ、かつ該ハンドル軸と操作入力部を結んだ中間部において前記ハンドルが枢着されたベースプレート;
    前記ハンドルに形成した、前記ハンドル軸が孔形成方向に移動可能かつ回転可能に嵌合する長孔;
    前記ハンドルを挟むように配設され、その中間部が前記ベースプレートに回転可能に取り付けられ、一方の端部側に前記ラチェットホイールの歯に噛合可能な歯が形成され、他方の端部側は前記ハンドルが当接可能な第1と第2のポール;及び
    該第1と第2のポールの歯が前記ラチェットホイールより離れる方向に付勢する付勢手段;
    を備え、
    ハンドルを操作していないときは、前記付勢手段により、第1と第2のポールの歯がラチェットホイールの歯と噛合せずにハンドルとハンドル軸の連動が遮断され、
    ハンドルを回転操作したときには、前記長孔の端部にハンドル軸が当接するまで該ハンドルが前記ベースプレートに対して回転すると共に、該ハンドルによって前記第1あるいは第2のポールが押圧されてその歯が前記ラチェットホイールと噛合し、前記長孔の端部にハンドル軸が当接した後は、該ハンドル軸を中心としてハンドルがベースプレート共に回転し、このハンドルの回転がラチェットホイールと噛合された第1あるいは第2のポールを介して該ラチェットホイールに伝達されて前記ハンドル軸が回転されるシートリフタ。
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